Comments
Description
Transcript
太陽光発電で遅れをとるベルギー(ベルギー)【PDF:74KB】
NEDO海外レポート NO.967, 2005.11. 16 < 新刊目次のメール配信をご希望の方は、http://www.infoc.nedo.go.jp/nedomail/ > 海外レポート967号目次 http://www.nedo.go.jp/kankobutsu/report/967/ 【新エネルギー】 太陽光発電で遅れをとるベルギー 太陽光発電は、風力発電とともに、EU の主要な再生可能エネルギー源となってお り、2003 年末における EU15 カ国の太陽光発電施設の総出力は 572.67MWp に達して いる。EU15 カ国では、風力発電同様、ドイツが太陽光発電でも支配的地位にあり、 全体の 75%(410.30MWp)を占めている。これに対しベルギーは、1.06 MWp にし かすぎない。 ベルギーでは、太陽光発電施設とは対照的に、太陽熱温水器の設置が進んでいる。 これは太陽電池に比べ、太陽熱温水器の設置費用が安いことや、太陽熱温水器を設置 する個人や企業は、連邦政府をはじめ地域政府、州、市町村の奨励金、減税措置の恩 恵を享受できることが影響している。各種の奨励金を合計すると、太陽熱の場合、投 資の 50%近くを回収することも可能になる。例えばワロン地域では、2003 年に 21,172 ㎡の太陽光パネルが設置されたが、同地域は 2∼4 ㎡の太陽光パネルの設置に 1,500 ユ ーロの奨励金を出している。1 ㎡増えるごとに 100 ユーロが上乗せされる(上限 6,000 ユーロ)。同地域は、2010 年までに 20 万㎡の太陽光パネル設置を目標に掲げている。 太陽光発電への投資は、太陽熱温水器に比べ遥かに高いが、ワロン地域やブリュッ セル首都圏地域には支援制度がなく、唯一フラマン地域が奨励金を出しているにすぎ ない。但し、ワロン地域政府のアントワーヌ・エネルギー相は最近、2006 年度から太 陽光発電奨励のための何らかの措置を導入する意向を表明している。 こうした中、ワロン地域の Ittre 市に本拠を置く企業 DROBen 社は 9 月 16 日、ア ントワーヌ・エネルギー相列席のもと、ワロン地域では初めてのものとなる、60 万ユ ーロを投じた太陽光パネルの生産工場をオープンさせた。同社は設立からまだ 2 年と いう新しい企業で、自社ブランドでの太陽光パネルやモジュールの組み立てを行うほ か、フランスの Photowatt International 社製の太陽光モジュールやシステム、ドイ ツの SunWare 社のセミフレキシブル太陽光モジュールやスペインの Isofoton 社の太 陽光モジュールなども取り扱っている。 上記のような事情から、ベルギーは DROBen 社の市場とは成り得ず、同社はドイツ やフランスなど他の欧州諸国を主要な市場としている。地球温暖化や原油価格の高騰 など、同社には追い風となる条件が揃っている。また、ドイツ、フランス、オランダ、 イタリアなどの太陽光発電市場は急速な伸びを示しており、需要にも事欠かない。新 工場は、年間 7200 ㎡あまりの太陽光パネルの生産能力を持つ。工場は 3 人で稼働さ せることが可能だが、年末までには従業員数を 8 人に増やす予定である。同社の CEO 67 NEDO海外レポート NO.967, 2005.11. 16 である Vandermeersch 氏は、「供給が需要に追いついておらず、生産に乗り出すには 好機だと判断した」と語っている。 ベルギーでは、土地 1 ㎡ 当たり約 1,000kWh の太陽エネルギーを受ける計算となる。 これは燃料油 100 リットル分に相当する。ドイツの日照時間はベルギーと大差ないが、 太陽光発電部門の売上は年間 120 億ユーロに達している。これはドイツでは、太陽光 を利用した電力生産者からの電力の購入価格が 58 セント/kWh と高く設定されてい ることによる。これに対しベルギーでは、ワロン地域が 15 セント/kWh、ブリュッ セル首都圏地域が 7.5 セント/kWh に留まっている。フラマン地域は、2006 年度か ら購入価格を引き上げるが、それでも 45 セント/kWh と、まだドイツには及ばない。 Vandermeersch 氏は、「ベルギーでは、太陽熱温水器は良く知られているが、政府 や企業、個人レベルでも再生可能エネルギーとしての太陽光発電の認知度は低い」と 現状を分析。一方、系列会社 Belpower を通じ太陽光パネルを輸入している Reibel 社 の CEO、Esposito 氏は、「太陽熱パネルはエネルギーを貯蔵するだけだが、太陽光パ ネルはエネルギーを生産する」とその違いを強調、クリーン・エネルギーとしての太 陽光に投資することが、気候の温暖化との戦いにより有効であるとしている。なお、 同社は、ベルギーでの太陽光発電所の建設を計画している。 <参考> 欧州委員会エネルギー総局:http://europa.eu.int/comm/energy/res/sectors/photovoltaic_en.htm DROBen 社:http://www.droben.com/ Reibel 社:http://www.reibel.be/ 以 上 68