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選択的カテーテル術の基本から塞栓術まで

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選択的カテーテル術の基本から塞栓術まで
IVR マニュアル/ 2003 日本血管造影・ IVR 学会「技術教育セミナー」より:谷畑博彦
連載 2
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IVR マニュアル/ 2003 日本血管造影・ IVR 学会総会「技術教育セミナー」より・・・・・・・・・・・・・
選択的カテーテル術の基本から塞栓術まで
和歌山県立医科大学 放射線科
谷畑博彦
側副路の塞栓術
われわれが常日頃 TAE に際し心がけていることは,
いかに合併症を回避させながら最大の TAE の効果を得
るかということであり, またそれが術者の技量を問われ
るところである。TAE の効果をより強める工夫として
PTPO 併用 TAE 1), 肝静脈バルーン閉塞下 Segmental
2)
TAE などがある一方, 合併症を抑えるために, 超選択
的 TAE が広く行われている。TAE すべき病変に過不足
なく TAE ができれば, 合併症も最小限に抑えることが
できる。今日 coaxial system の発達, 普及によって技術
的にはますます選択的なカテーテリゼイションは容易
になり, Segmental TAE をはじめとする選択的 TAE は
広く行われ, すでに選択的 TAE は侵襲の少ない切除不
能肝細胞癌の治療法として確立している。優れた治療
効果は当然長期生存率を生み, そのため同一患者の
TAE 頻度も高くなる。頻回な TAE は肝動脈の分布を変
えるばかりでなく, 肝外に側副血行路発達をもたらし腫
瘍への血行動態が複雑化し, その複雑化がさらに合併症
のリスクを高めてしまう。それ故側副血行路を熟知す
ることは大切で, 常に側副血行路の関与を意識し積極的
に側副血行路を検索し, 忍耐強く選択的にカテーテリゼ
イションを試みる姿勢が, “合併症を回避させながら最
大の TAE の効果を得る”ために要求されている。
TAE 後に発達する側副血行路は Charnsangavej らが詳
細に分類している 3)。それらの頻度は多くの施設より報
告されているが, その代表的なものは頻度順に下横隔動
脈, 胃十二指腸動脈, 背側膵動脈, 膵十二指腸動脈, 左
胃動脈, 腎被膜動脈・副腎動脈, 肋間動脈・腰動脈, 右
4 ∼ 6)
。Charnsangavej らの分類に従えば,
内胸動脈である
側副路は大別して肝内側副路と肝外側副路に区分され
る。リザーバー留置時に肝に流入する複数の肝動脈を
一本化する血流改変術は, この肝内側副路の発達を利用
したものである。TAE 時における側副路の発達は両者
ともにみられるが, 問題になるものの多くは肝外側副路
の発達でありその種類も多い。本章では比較的頻度の
高い肝外側副路の症例をいくつか提示する。側副路は
基本的には頻回に及ぶ TAE による既存の肝動脈の狭
窄・閉塞によって発達するが, 腫瘍の vascularity, 大き
さ, 位置によって狭窄・閉塞がなくてもみられる場合も
7)
ある 。
1. 肝動脈の閉塞
動脈硬化や手術などによって腹腔動脈等の主幹動脈
に狭窄・閉塞が生じると, 固有肝動脈への血流は下膵十
二指腸動脈や背側膵動脈などの pancreacoduodenal
arcades を介して流入する。【症例 1】は動脈硬化によっ
て腹腔動脈起始部に閉塞をきたし, 下膵十二指腸動脈か
ら胃十二指腸動脈を通って固有肝動脈に流入している
( 図 1 )。 こ の 症 例 は 下 膵 十 二 指 腸 動 脈 か ら c o a x i a l
catheter による固有肝動脈へアプローチした。しかしミ
カエルソンカテーテルを用いて狭窄した腹腔動脈より,
coaxial catheter による固有肝動脈へのアプローチも可
能な場合が多いので, まずはこちらを先に試してみる価
値はある。
手術や頻回な TAE によって固有肝動脈や左右肝動脈
の閉塞が起こると, 肝に流入する肝動脈以外の動脈, 胆
嚢動脈や傍胆管動脈が側副路を形成する。胆嚢動脈深
在枝は肝内枝と細かい吻合枝を形成していることは知
8)
られているが , 【症例 2】では過去に 6 回の TAE が施
行され, 胆嚢動脈と肝内動脈枝の交通がみられ腫瘍を栄
養していた(図 2)。胆嚢動脈を TAE することは急性胆
嚢炎を引き起こすため, このように TAE が不可能な症
例には, われわれはリピオドールエマルジョンの動注の
みに止めている。
傍胆管動脈は正常例では血管造影で同定困難な場合
が多い。肝切除例や TAE 頻回例に同定できることが多
く, 後上膵十二指腸動脈近傍から分枝し総胆管を栄養し
ながら胆管にそって分布し右肝動脈, 胆嚢動脈に吻合す
る。この動脈を TAE すると胆管壊死を引き起こすため,
TAE は禁忌である。【症例 3】はかつて 5 回の TAE が行
われていた(図 3)。この症例に対しリピオドールエマ
ルジョンの動注のみを施行した。
2. 肝外突出型・巨大肝癌
固有肝動脈や左右肝動脈の閉塞の閉塞がみられなく
とも巨大な腫瘍や肝外に突出した腫瘍は, 隣接する臓器
から側副路を形成しやすい。【症例 4 - 1, 2】は過去に 2
回の TAE が施行されており, S 6 の 6b 大の HCC で右大
網動脈が側副路になっていた(図 4a, b)。右大網動脈
は胃大網動脈から分枝する。腹腔動脈からの距離やそ
の蛇行した経路のわりに, マイクロカテーテルを用いた
選択的なカテーテル挿入は比較的容易である。しかし,
この症例は複数本の細い動脈が腫瘍を栄養し, 選択的な
(265)55
IVR マニュアル/ 2003 日本血管造影・ IVR 学会「技術教育セミナー」より:谷畑博彦
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カテーテリゼイションが不可能であったため, 胃大網動
脈末梢を coil で塞栓し, 末梢への血流を遮断した上で
TAE を施行した。
【症例 5】は S 5 の肝外に突出する巨大な腫瘍に対し
過去 5 回の TAE が施行されてきた症例であるが, 上腸間
膜造影にて右結腸動脈の分枝より栄養されていた(図
5)。上述のように消化管の動脈からの側副路は TAE が
困難なことが多い。【症例 6】は 3 回の TAE によって外
側区域枝が閉塞し, 左胃動脈が側副路を形成していた
(図 6)。多数の小動脈からなる側副路が発達しており
TAE は不可能であった。
3. 腫瘍の位置
腫瘍の位置によって形成する側副路がある程度特定
できることもある。下横隔動脈は最も頻度の高い肝の
側副路である。横隔膜に接するような腫瘍や頻回な
TAE による肝内動脈枝の閉塞によって発達し, S 7, S 8
領域に多くみられる。【症例 7 - 1】では 4 回の TAE によ
って後区域枝が, 【症例 7 - 2】では 3 回の TAE によって
外側区域枝が閉塞し, それぞれ右下横隔動脈, 左下横隔
動脈が側副路となっていた(図 7a, b)。右下横隔動脈
は 10 %が右腎動脈起始部より分枝しており, 筆者はま
ずこちらをあたり, 右下横隔動脈の有無を確かめること
にしている。また時に腹腔動脈起始部すぐに分枝しカ
テーテル挿入が困難な場合もあるが, Miyayama らは側
孔からの coaxial 法を用いて選択的にカテーテリゼイシ
9)
ョンを行う工夫をしている 。右葉外側部, S 5, S 6 な
どの肝表面に存在する巨大な腫瘍, 肝外突出型腫瘍の場
合, 肋間動脈が側副路になっていることがある。【症例
8】は 8 回の TAE によって右肝動脈末梢が閉塞し, 肋間
動脈が側副路になっていた(図 8)。肋間動脈・腰動脈
の起始部近傍より adamkiewicz artery や脊髄枝が分枝し
ていることは知られている。TAE に際しては coaxial 法
を用いて腫瘍に極力近い部位からの TAE が行われなけ
ればならない。S 2, S 3 の左葉腹側は内胸動脈が側副路
図1
図2
【症例 1】Pancreacoduodenal arcades(上腸間膜動脈 【症例 2】Cystic artery(胆嚢動脈造影): 69 歳, 男性.
造影): 74 歳, 男性. HCC に対し過去 2 回の TAE.
HCC に対し過去に 6 回の TAE. 胆嚢動脈と肝内動脈
動脈硬化によって腹腔動脈起始部が閉塞し, 肝動脈
枝の交通がみられる.
血流は下膵十二指腸動脈から胃十二指腸動脈を通っ
て流入している.
図3
【症例 3】Epicholedocal artery(腹腔動脈造影): 81 歳,
女性. HCC に対し過去 5 回の TAE. 傍胆管動脈は, 後上
膵十二指腸動脈近傍から分枝している.
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a
b
図4
a : 【症例 4 - 1】Omental artery(総肝動脈造影)
: 67 歳, 男性. 2 回の TAE が施行されており右大網動脈が S6
の 6 b 大の HCC の側副路になっていた.
b : 【症例 4 - 2】Omental artery(右胃大網動脈造影):右胃大網動脈を coil で塞栓し末梢への血流を遮断し
た上で TAE を施行した.
図5
図6
【症例 5】Rt-Colic artery(上腸間膜動脈造影): 48
【症例 6】Lt-Gastric artery(左胃動脈造影): 68 歳,
歳, 男性. S 5 の肝外に突出する巨大な腫瘍に対し 5
男性. 3 回の TAE によって外側区域枝が閉塞し, 左
回の TAE. 上腸間膜造影にて右結腸動脈の分枝より
胃動脈が側副路を形成していた.
栄養されていた.
a
b
図7
a : 【症例 7 - 1】Rt-Inferior phrenic artery(右下横隔動脈): 70 歳, 男性. 4 回の TAE によって後区域枝が閉塞
し, S 7 の HCC が右下横隔動脈に栄養されている.
b : 【症例 7 - 2】Lt-Inferior phrenic artery(左下横隔動脈): 76 歳, 女性. 3 回の TAE によって外側区域枝が閉
塞し, S 2 の HCC が左下横隔動脈に栄養されている.
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図8
図9
【症例 8】Subcostal artery(肋下動脈): 68 歳, 男性. 【症例 9】Internal mammary artery(内胸動脈): 60
8 回の TAE によって右肝動脈末梢が閉塞し, 肋間動
歳, 男性. 4 回の TAE によって左肝動脈末梢が閉塞
脈が側副路になっていた.
し, 内胸動脈が側副路になっていた.
となることがある。【症例 9】は 4 回の TAE によって左
肝動脈末梢が閉塞し, 内胸動脈が側副路になっていた
(図 9)
。また肝下面 S6 などでは副腎動脈・腎被膜動脈が
関与することがある。
合併症から学ぶことがら
合併症は, 穿刺・止血, カテーテル操作によって引き
起こされる技術的あるいは偶発的な合併症と, 塞栓術自
体によって起こる合併症に大別される。穿刺時や止血
時に起こる合併症は血腫, 動静脈瘻, 仮性動脈瘤, 血栓
形成などで, カテーテルやガイドワイヤーの操作によっ
て起こる合併症は内膜損傷, 血管損傷(動脈解離, 動脈
穿孔)などである。また, 塞栓術自体が引き起こす合併
症として, 肝不全, 肝梗塞, 肝膿瘍, Biloma, 胆嚢梗塞,
胃潰瘍, 膵炎, 肺塞栓, 脊髄硬塞などがある(表 1)。
1.仮性動脈瘤
止血時におこる合併症として, 【症例 10】は止血が
不十分であったために右大腿動脈に仮性動脈瘤を形成
した症例である(図 10)。仮性動脈瘤は翌日発見され,
エコーを用いて再度止血を行った。われわれは血小板が5
万/i 以下の場合術前に血小板輸血を依頼している。
2.血管損傷
穿刺時に起こる血管損傷として, 【症例 11】は動脈
穿孔をきたし翌日巨大な血腫をみた症例である(図 11)
。
穿刺後血管内にガイドワイヤーを進入させる時, 先端が
細い分枝に進入していても, 親水性のガイドワイヤーは
抵抗を感じないまま進みやすい。特に心臓カテーテル
検査時に使用するガイドワイヤーは硬いワイヤーが使
われているので, 容易に動脈穿孔をきたしてしまう。こ
の症例は外側大腿回旋動脈を穿孔してしまった症例で
ある。われわれは穿刺時に J ワイヤーを使用するよう指
導されている。
3.胃潰瘍
次に塞栓術による合併症であるが, 【症例 12】は胃
58(268)
表 1 TAE にともなう合併症
・穿刺,止血
1.血腫
2.動静脈瘻
3.仮性動脈瘤
4.血栓形成
・カテーテル,ガイドワイヤー操作
1.内膜損傷
2.血管損傷(動脈解離,動脈穿孔)
3.塞栓
・塞栓術
1.肝不全
2.肝梗塞
3.肝膿瘍
4.Biloma
5.膵炎
6.胃潰瘍
7.肺塞栓
8.胆のう梗塞
9.脊髄梗塞
潰瘍を形成した症例である。副左胃動脈は左肝動脈よ
り分枝していた(図 12)。CT 上, 外側区域に HCC が存
在しており, 副左胃動脈が A 2 の分枝と誤認し TAE が施
行された。この症例のように左肝動脈末梢 umbilical
portion 近傍で分枝する場合もあるので解剖の把握が重
要である。
4.薬剤性皮膚炎
肋間動脈や内胸動脈に TAE を行うと, その血管分布
にしたがって帯状の薬剤性皮膚炎を引き起こすことが
あることはよく知られている。Falciform artery の場合
も同様で注意が必要である。
【症例 13】のように, この
動脈は A4 から鎌状靭帯にそって臍周囲に分布する(図
13)。この動脈に抗癌剤が流れると, 臍周囲に発赤, 薬
剤性皮膚炎, 潰瘍形成をみることがある。その場合は事
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前に患者への十分な説明が必要となる。
5.肝膿瘍
Pericholedocal plexus に塞栓物質が多量に流れ込むと
胆管壊死から biloma, abscess が形成される。【症例 14】
は S 8 の 7 b 大の HCC に対し, segmental TAE 施行 2 ヵ
月後に膿瘍形成をみた症例である(図 14)。この患者は
糖尿病患者であったが, 糖尿病の合併は TAE 後の肝膿
瘍形成の risk factor となっている 10)。糖尿病合併例は炎
症反応の追跡を十分に心がけるべきである。
行されている。臓器移植や高度先進医療の対象患者を
除く一般病棟の入院患者の包括評価は, まず診断群分類
に基づき, 傷病名, 手術の有無, 処置の有無, 副傷病の
包括評価について
包括評価は, 『特定機能病院等の機能を適切に評価
し, 医療機関の機能分担のより一層の推進を図る観点か
ら, 特定機能病院等における入院の診療報酬の見直しを
行う』ことを趣旨とし, 特定機能病院等(大学病院, 国
立がんセンター, 国立循環器病センター)で現在既に施
図 10
【症例 10】仮性動脈瘤(右大腿動脈造影): 72 歳, 男
性. 浅大腿動脈内側に pooling 像を認める.
図 11
【症例 11】外側大腿回旋動脈穿孔(総腸骨動脈造
影): 80 歳, 男性. 外側大腿回旋動脈末梢に pooling
を認める.
図 12
【症例 12】胃潰瘍(左肝動脈造影): 76 歳, 女性. 副
左胃動脈が A2 の分枝と誤認し TAE が施行された.
図 13
【症例 13】Falciform artery(固有肝動脈造影): 68
歳, 男性. この動脈に抗癌剤が流れると, 臍周囲に発
赤, 薬剤性皮膚炎, 潰瘍形成をみることがある.
図 14
【症例 14】肝膿瘍: 63 歳, 男性. S 8 にガス像を認め
る. ガス産生肝膿瘍である. 糖尿病の合併は TAE 後
の肝膿瘍形成の risk factor となっている.
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有無等によって細分化され, その診断群分類別に入院期
間に応じた保険点数が決定される。それに医療機関別
係数(各施設によって設定されている)を積算した値が
包括部分の点数となる。また手術等は別に出来高部分
として評価され, これら包括部分と出来高部分を加算し
たものが包括評価となる。
例えば肝細胞癌の患者が一般病棟に入院してきたと
する。診断群分類に基づき傷病名は肝・肝内胆管の悪
性腫瘍で, TAE が行われるのであれば手術あり, さらに
PEIT が追加されれば処置あり, 糖尿病を合併していれ
ば副傷病ありとなり, 診断群分類番号は 739 となる。入
院期間が 30 日であったとすると, 診断群分類番号 739 の
場合, 最初の 12 日間は一日 3,076 点, 13 日目から 25 日の
間は一日 2,305 点, 26 日目から 30 日の間は一日 1,959 点
で計算され, 計 76672 点となる。これに医療機関別計数
1.0356(和歌山県立医大)を積算し 79,402 点が包括部分
となる。これに出来高部分血管塞栓術の 12,700 点を加算
して92,102点として包括評価は算定される(表 2)
。
われわれ IVR に携わる者として最も問題になるのは,
IVR 手技に対する評価である。現時点では出来高評価で
算定するものは, 『入院基本料等加算(入院時医学管理
加算等を除く), 指導管理, リハビリテーション, 精神
科専門療法, 手術, 麻酔, 放射線療法, 心臓カテーテル
法による諸検査, 内視鏡検査, 診断穿刺・検体採取, 処
置(1,000 点以上のもの)』となっており, 血管造影検査
は出来高評価になっていないことである。TAE, PTA な
ど治療に属する手技は手術として扱われているが, 診断
としての血管造影は CT, MRI などと同様な包括部分に
含まれている。心臓カテーテル検査や内視鏡検査は出
来高であるにもかかわらず, 同様な特殊技術を要する血
管造影が出来高にならないことは納得のいかないとこ
ろである。この件に関して日々ご尽力いただいている
諸先生方に今後も期待している。
表 2 包括評価の算定イメージ(肝癌で 40 日入院)
診断群分類:肝・肝内胆管の悪性腫瘍, 開腹肝区域切除(処置等、副傷病なし)
包括評価=包括部分+出来高部分
・包括部分の算定の仕方
1 日当たり点数
×
医療機関別係数
12 日まで
3,076 点
調整係数
13 日から 25 日
2,305 点
紹介外来加算
26 日以上
1,959 点
看護配置 2 : 1 満たさず
従って
包括部分
(3,076 点× 12 日+ 2,305 点× 13 日+ 1,959 点× 5 日)× 1.0356 = 79,402 点
出来高部分
血管塞栓術= 12,700 点
包括評価
79,402 点+ 12,700 点= 92,102 点
【文献】
R
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的肝内門脈塞栓術. 臨床放射線科のコツと落とし穴
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60(270)
1.0356
1.0179
0.0257
− 0.0080
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