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偽造防止策を複合的に施すことで真贋判定を容易にする。

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偽造防止策を複合的に施すことで真贋判定を容易にする。
No.12:偽造防止策を複合的に施すことで真贋判定を容易にする。
事例のプロファイル
権利種別
商標権
対象国・地域
対策シーン
全世界
①権利取得・ブランディング、②製造と情報管理、
⑧調査・監視(モニタリング)
対象外
対策コスト
※継続的な取組み
所要期間
対策の目標レベル 模倣品を模倣品と容易に見分けることができるようにする
対策効果
 ネットオークションにおける模倣品の容易な発見
 税関・警察における真贋判定の効率化
業種
アパレル等製造業
経緯まとめ

衣服を製造販売する X 社の製品は人気が高く、ネットオークションでは模倣品が安価で数
多く取引されてしまっている。

アパレル業界では、模倣品に対抗すべく、商品タグにホログラムを付けるといった取組みを
してきたが、近年では偽造ホログラムさえも出回っている状況にある。

また、インターネットで X 社製品のニセモノの見分け方というニセ情報が出回っていることも
判明した。「検品票が入っているものは本物だ」という情報が出回っていたが、実際には X
社では商品出荷時に検品票を抜いている。

このような状況から、X 社では一つの対策で模倣品を防ぐのではなく、商品タグ、生地メー
カーのタグ、部品、自社ロゴなどの各パーツに様々な工夫を凝らす複合的な対策をとり、さ
らにそれらをマイナーチェンジさせていくことにした。

また、対策をとっているのは X 社だけでなく、X 社製品に使われている生地メーカーや部品
メーカーなども模倣品対策をとっている。

ホログラムなど一つの対策では、模倣品事業者に容易に真似されてしまうことがあるが、
複数の模倣品対策を仕掛けることで、すべて正しいバージョンで模倣することを容易にでき
ないようにした。

X 社の模倣品担当者は、ネットオークションで自社製品を検索して発見されたものについ
て、製品デザインから何年に発売されたものなのかを確認し、その年のデザインに付され
ているはずのタグやロゴであるかどうか複数のポイントでチェックすることで、巧妙化する模
倣行為に対抗している。
1
問題の構造
模倣品事業者
箱の中に検品票が
付いているものは
本物らしい。
真正品には検品票が
入っているらしい。
この製品には検品票が入っているし、
タグにホログラムも付いているから
本物に違いない!
消費者
問題の核心
模倣品対策を逆手にとった巧妙な模倣品の流通。

企業は模倣品が出回ることを防ぐために、ホログラムを貼付するなど工夫を凝らしてきた。

しかし近年、ホログラムごとコピーした模倣品を製造・販売する事業者も出てきた。

消費者はホログラムが付いていることで真正品であると誤認し、購入してしまうこともある。
企業が模倣品対策を講じることで、それを逆手に取った模倣品事業者の製品を消費者に
真正品と思いこませる結果になってしまっている。

また、インターネットで調べれば模倣品が多く出回っている製品の真贋判定ポイントに関す
る情報が氾濫している。中には、模倣品事業者が意図的に流しているニセ情報も含まれ
る。

模倣品に対する消費者の認識が高まる一方で、企業側が模倣品対策の在り方を考えなけ
れば、消費者に不利益を生じさせてしまい、企業の信用やブランドを棄損してしまうおそれ
がある。
2
対策事例
④サイズ表記
表記方法異なる場合がある。
対策例
①ロゴのフォント
ロゴデザインを手作業では不可能な曲線にしている。
コンピュータ制御のミシンで刺繍しているが、
このミシンは数億円するため模倣品事業者が
利用するとは考えづらい。
L
②文字の配置
RR
RR
ロゴの文字が
一段目と二段目で
配置をずらしている。
③ロゴの付け方
特殊なロゴの縫い付け方をしている。
⑤商品タグデザイン
定期的にデザインを変更する。
また、コピーすると図柄が綺麗に
印刷されないデザインにしている。
⑥バーコード
⑨生地メーカーのタグ
製品情報を含むバーコードを付ける。
製品に使用されている生地の
メーカーが付ける製品タグも利用可能。
定期的にデザインを変更している。
⑦ホログラム位置
⑧部品
ホログラムそのもので真贋判定を
するのではなく、縫い付ける位置で判定する。
部品メーカーの真贋判定を
利用させてもらう。
アパレル業界では毎年デザイン変更することが多い。
⑩製品デザイン 型番遅れなのに真新しい製品は注意。
対策のポイント
各パーツに複合的に模倣品対策を施すことで、模倣品事業者のミスを誘え。

模倣品事業者が対策まで模倣するという状況下で 、「これさえやっておけば模倣品は出な
い」と言える対策を打ち出すのはなかなか難しい。真贋判定ポイントを1つのものに頼って
いると、それを真似されてしまって真贋判定さえままならないという状況にもなりかねない。

しかし、様々な対策を組み合わせて施すことで、模倣されにくくすることもできる。

特に多くのパーツからなる製品の場合、各パーツに真贋判定ポイントを組み込むことで、ど
こか一つでも模倣に失敗すると模倣品だと容易に判定することができる。
~今回のケース~

衣類は多くのパーツから出来上がっているので、各パーツそれぞれ模倣品を意識した設計
にした。ブランドロゴや商品タグはもちろんのこと、部品や生地など各メーカ ーの対策と組
み合わせることも有効。

製品自体は去年のデザインなのに、生地メーカ ーのタグが今年のものといった形で模倣品
実践編
であることが発覚することもある。
3
実践編
対策の手順
STEP
Step1
確認
ここに注意
1
自社で現在実施している模倣品
対策を確認する。
 これまでの変更記録も確認する。
 模倣品対策に対する模倣品事業者の対応
2
取引先(製品の素材や部品の提
供元)のロゴなどを確認する。
 これまでのロゴ やロゴ のついたタグなどを確
を掴んでいれば整理する。

3
Step2
対策検
討
4
5
インターネット上で出回っている
自社製品の真贋判定情報を確
認する。

新たに自社で施すことができる
模倣品対策、とりやめる対策を
検討する。

取引先(製品の素材や部品の提
供元)との情報交換を行う。





Step3
情報整
理
6
真贋判定ポイントの組み合わせ
を整理する。

認する。また、 これらの変化も合わせて確認
する(20XX 年頃に販売した製品に付いてい
るロゴマークの形、等)。
これらに対する模倣品事業者の対応の状況
を掴んでいれば整理する。
ニセ情報がある場合、 ウェブサイト等で消費
者への注意喚起が必要。
本当の情報が流れている場合、 その情報が
流れることで模倣品事業者がコピーしやすく
なる類のものかを確認。 コピーしやすく なる
場合は早急な対策変更が必要。
コストや模倣品事業者のコピ ーしやすさ等
から検討する。
従来の対策との組み合わせを意識する。
知財部門だけでなく、 商品開発部門との協
議が必要。
サプライチェーンの縦の連携を意識し、情報
交換することで、 模倣品対策の組み合わせ
がよりしやすくなる。真贋ポイントを共有して
もらうなど、連携をとれるとスム ーズとなる。
模倣品被害の情報の共有や共同の対策な
どの連携までできると良い。
発売年、 型番、 デザインとそれぞれの対策
を組み合わせ、整理する。
本事例からの示唆

模倣品業者の手口が巧妙化しており、模倣品対策のライフサイクルは短いと心得るのが肝
要。導入当時はコピー不可と思われたものでも、模倣品事業者は次々にコピーする手段を
見付け対応してくる。

一つの対策で万全と言えるものはないので、いくつかの対策の組み合わせで防ぐとよい。

自社単独でとることができる対策だけでなく、取引先な どと相互連携しながら、他社の施す
対策も取り入れて、複合的に対策を講じる必要がある。
4
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