Comments
Description
Transcript
3.595MB - 文部科学省平成22年度看護師の人材養成システムの確立
役割拡大実践能力育成プログラムの実施 患者の意思決定を支援するための 補足説明を担える看護師の育成 平成26年2月13日 ○鈴木察子 竹内美恵子 笹井知子 野々瀬美智子 近藤佐地子 木田菊惠 平成22年度採択文部科学省 看護師の人材養成システムの確立事業 キャリア開発支援 システム(CDSS) 愛と知と技のバランスのとれた看護職養成 経験 キャリアパス構築 ・ポイント制導入で処遇 ・多様なキャリアプログラム ・複線型人事制度 ワーク・ライフ・バランス 自己啓発 教育 自律した看護師 教育プログラム開発 自 己 啓 発 力 を 育 成 実践能力向上コース ・対人援助向上プログラム ・役割拡大プログラム 教育指導者養成コース ・教育担当者育成プログラム 教育指導者養成 人事交流 キャリア相談サロン 看護部 看護部 キャリア開発委員会 人事交流 徳島大学病院キャリア形成支援センター 徳島大学病院キャリア形成支援センター (プランの総括及びキャリア管理) (プランの総括及びキャリア管理) プログラム開発委員会 人事交流委員会 保健学科 自己点検・評価委員会 役割拡大実践能力育成プログラム開発 背景 • 在院日数の短縮により、外来で診断名や治療の説明の多くが行わ れている • こうした状況で、がん患者への看護師による補足説明が重要 目的 • 限られた時間しか取れず、患者個々の理解度に合わせた説明が 十分行えない医師に変わって、患者の身近にいる看護師が、がん 患者及び家族への補足説明を担うことができる能力を獲得する 研究・調査 • どのような「補足説明」が求められているのか、基礎的研究・調査 により抽出 (患者・看護師・医師を対象に面接調査等を実施) • 得られたデータは、KJ法により分析 患者が求めている「説明」内容は? 患者 (乳がん・肺がん・肝臓がん・ 胃がん・大腸がん)(手術前) 医師に対して ●分からないことを質問できる時間が欲しい ●具体的に自分の病状説明を受けたい ●今後の治療計画の全体像が知りたい 看護師に対して ●専門的な内容を分かりやすく説明してほしい ●不安を受け止めたり、不安を軽減してほしい ●治療検査がスムースにいくよう調整してほしい ●治療の希望を聞いてほしい 病状や治療が専門的で難しい内容であっても充分に分かるまで説明を聞きたい 不安を受け止め、軽減するような説明をしてほしい 自分の価値観、人生観も受け止めてほしい がんの治療を受けるにあたり、説明内容を充分理解し、自分の価値観をもとに決めたい どのような質問・相談を診察後の患者から求められているか? 看護師 (外科外来) ●診断名と病状の関連(自分はがんなの?悪いもの?) ●病状と治療の関連(本当にその手術が必要?) ●検査の必要性(なぜその検査?) ●術前の体調管理 ●術後の日常生活の状態、ボディイメージの問題 ●不安な気持ちの対応方法 ●家族の問題 ●経済的な問題 ●入院期間や社会復帰の目安 医師診察で分からなかった病状、治療、検査の意味の質問から、術前術後の身体の変化、不安 への対処方法、家族・経済的問題まで幅広い質問・相談を受けていた どのような「補足説明」を看護師に求めているのか? 医師 (がん診療連携センター) ●診察後の患者の理解状況、治療の受け入れ状況の確認と検査の 結果と診断名、治療への補足説明 ●手術の必要性 ●手術の方法・範囲 ●手術の利益と危険性 ●その他の治療法の選択 など ●転院などの急性期病院の役割 診察時に行った説明内容を患者が理解した上で治療を受けとめているかの確認 患者が意思決定する状況で、医師の再説明又は看護師の補足説明の必要性の判断と対応 患者の心身の苦しみ、希望、日常生活を視野に入れた補足説明 医師・患者間の信頼関係の保持・促進のための補足説明 分析結果から求められる看護師の役割 外来において患者の知る権利を擁護し、必要な情報提供が行え るように看護師が介入を行い、意思決定を促す。 外来で説明された検査や治療が、患者の思いや願いと一致し ているかを確認し、医師への報告と連絡を行い、意思決定への 支援を行う。 患者にとって重要なことを見極め、チームでサポートできるよう 調整役割を持つ。 (チームで患者の問題を共有し、他のチー ム員との連携ができる。) 育成対象となる看護師 知る権利の擁護と意思決定促進 これまでの 臨床経験を基に 役割分担が 担える看護師 患者-医療者間信頼関係促進 チーム医療調整 プログラム概要 (基礎編) 研修名 単位数 方法 事前 学習 学習のねらい プログラム概要(講義・演習内容) 疾患の基本的な病態生理や標準的な 検査・診断・治療等を理解する。 ・指定のガイドライン・e-ラーニングシステム 等を用いて課題に沿って自己学習する ・徳島大学病院 Cancer Board Web カンファレンス に参加 (3回以上参加) 乳がんの検査・診断・治療について 講義 (臨床 腫瘍学) 基 礎 患者に必要な情報提供ができるように、 疾患の基本的な病態生理や標準的な 検査・診断・治療、最新の治療・検査等 を理解する 肺がんの検査・診断・治療について 大腸がんの検査・診断・治療について 肝臓がんの検査・診断・治療について 胃がんの検査・診断・治療について 3単位 (45時間) 編 講義 (がん 看護学) ゼミナール 患者が自分の思いや願い、希望を表出 できるよう傾聴し、意思決定を促すため のコミュニケーション力を身に付ける がん治療に関わる中で、倫理的な問題 や判断に迷うことなどを話合い、看護師 としてどのように対応すべきか考える 患者の知る権利を擁護し、意思決定を 支援するとはどのようなことかを理解 する がん罹患という危機に対して、正常な心 理反応を示しているかどうかを見極め、 病気や治療に前向きに取り組めるよう ケアできる 意思決定を促すためのコミュニケーション ~傾聴~ <事例検討> 倫理的側面から事例を検討 意思決定支援とは がん患者の心理とカウンセリング 意思決定を行うために求められる知識とは プログラム概要 (実践編) 研修 名 単位数 方法 学習のねらい プログラム概要(講義・演習内容) 演習 患者が提供された選択肢について十分 に理解できるまで支援すると共に、患者 が自分の意思を明確化できるよう支援 できる ①テーマ:「がん看護における意思決定支援」 ②説明場面のロールプレイ 病態等を設定した患者の説明を実施し、説明 におけるコミュニケーション能力を身に付ける <事例カンファレンス> 診療科の事例カンファレンスに参加し、治療 計画等を理解する (3例以上) 実 践 編 3単位 (120時間) 実習 実際の事例を通して、患者の願いや思 <実習> いを理解すると共に、治療計画や医師、 ①がん患者の外来診察に同席し、診察時の医 師の説明を理解すると共に、補足説明が必要 他の職種との連携についてチーム医療 な内容を理解する (8例以上) の具体的な方法を理解する ②フォローアップ研修:定期カンファレンス 経験した事例・対応が困難であった事例等の 情報交換を行う(可能であれば、医師の参加 を求める) ゼミ ナール チームで患者の問題を共有しよう! 実習の流れ 外来での患者・家族への補足説明の流れ 来 院 受 付 同席 医師と患者 の橋渡し 面談 患 者 の 思 い と 願 い 診 察 後 診 察 医 師 へ 報 告 医 師 の 説 明 バッド ニュース 告知 意思決定への支援 面談 患 寄者 りの 添気 う持 ち に 医 師 へ の 報 告 ・ 連 絡 ・ 相 談 手 術 ・ 治 療 の 開 始 実習計画表 実習計画表 (乳腺:新患→手術) 受診の 流れ FAX予約 新患受付 ■来院 ■受診手続き 外科外来受付 (診察迄の待ち時間) ■問診票記載 診察 □医師に疑問なこと等を質 問できる 患者目標 看護目標 □追加情報確認 ・どこまで診断が進んでい るか ・血のつながった親族で乳 がん、婦人科がんの方 がいるか ・定期検診はどれくらいの 頻度で受けていたか アセスメン トの視点 声かけ □自分の疾患について理 解できる □検査や治療について必 要性・内容等が理解できる □医師からの追加説明が 必要 評価 介入の ポイント 診察終了後 ■問診・視診・触診 ■超音波検査 ■細胞診 □FAX予約票よ り情報収集し、 診断名、病気 のステージ等を 把握(気になる ことをメモする) □紹介状、問診票等か ら追加情報を確認 □今回の受診に至った 経緯を確認。不明な 点を面談で補う □追加サポートは不要 □患者が自分の疾患等の 今の状況を理解できてい るか把握できる □患者の受診にあたっての準 備状況を確認し、期待して いることが把握できる □医師の説明を通して心理 的な反応を把握する □受診し、治療を受けるにあ たってどのような思いを持って いるか □家庭環境・家族の支援の有無 □社会的な立場(仕事をしてい るか) □心理的な準備状況、不安の 程度を把握 □疾患等の知識の程度を把握 □医師の診察前に面談 □思いが表出できるよう支援 □今回の受診に至った経緯を 確認(紹介状、問診票から得 られなかった内容を直接うか がう) □医師の説明が理解でき ているか □不安が軽減したか □新たな問題が発生して いないか □医師の説明は理解でき たか □スムーズに診察が受けられ るよう介助 □医師に聞きたいことが聞 けるよう支援 □プライバシーの配慮・室温 調整 □今回の受診に至った経 緯について紹介状、問診 票、面接で得られた内容 を医師に提示(必要時患 者の話す内容を補足) □補足説明(患者用パス・ パンフレット・模型 等を使用) □不安に対して傾聴・共感 的支援 □「本日の受診に至った経緯を 教えていただけますか?」 □「紹介いただいた先生からど のようにお聞きしていますか?」 □「医師に聞きたいことがありま すか?」 □「聞きたかったことが十 分聞けましたか?」 □「心配なことはありま せんか?」 説明用パス 乳腺外科患者計画表(全身麻酔下乳房切除術) 2013.5.10 月日 経過 検査 初診~検査日 □問診・視診・触診 □マンモグラフィー・超音波 □細胞診・組織診・CTL G・MRI・血液検査 □PET-CT 診断確定~治療決定・説明 入院~手術前々日 □全身麻酔前検査(血液検査、尿検 査、出血時間、胸部写真、肺機能、心 電図) 手術前日 □持続点滴→→→ →→→□抜去 □酸素吸入 □傷のあたりに管(ド レーン)が入ってます □検査結果等の説明時 はご家族等の同伴をお 願いします □術前オリエンテーション □入院手続き方法 □電話相談を受け付けています □入院時オリエンテーション □術前オリエンテーション □術前説明 □リストバンド装着 □手術準備物説明・確認 □患肢リハビリ説明 □手術同意書 *「入院のご案内」 □入院申込書・入院保証書 □病衣使用確認書 □個人情報保護に関する同意書 □感染症の有無を確認するための検査に 関する同意書 □他の医療機関における入院確認 □限度額適用認定証の交付について(70 歳未満) □要介護認定の有無について □入院時手続き □入院診療計画書 □手術同意書(外来で手渡 されたものを入院時に持 参) 説明 書類 術後第2日 ~10日 術後第11日~退院 退院後 □術後説明 □退院時指導 □リマンマブラ(補正下着) の紹介(希望者) □リンパ浮腫について (リンパ節郭清の方の み) □外来で術後治 療の説明がありま す(病理結果が出 るまでに2~3週間 かかります) □ドレーンは排液が 少なくなったら抜 きます(40ml/日以 下) □患肢リハビリ説明 □次回外来予約票 □退院証明書 □痛み止めを服用 □常用薬がある場 合は指示通り服用 □制限なし □制限なし □常食 □麻酔科医師診 □絶食 察⇒絶飲食時間 □飲水許可 説明 □自由 □組織診施行日のみ短 時間のシャワー □自由 □自由 □口腔清拭 □自由 □自由 □自由 □手術後は尿を出す □尿カテーテル抜 管が膀胱内に入ってい 去⇒トイレ歩行 ます(歩けるようになっ たら抜きます) □制限なし □制限なし □自由 □ベッド上 □制限なし □制限なし □自由 食事 排泄 日常生活 □麻酔科診察 □血液抗凝固剤(無・有) 有の場合術前(7~10日前)に中止 □その他の内服薬は継続 薬剤 安静度 術後1日 □採血 治療処置 清潔 手術当日 手術後 □朝全粥 □昼から常食 □常食 □常食 □全身清拭 □下半身浴 □全身浴 手術 □自由 □自由 □自由 □患肢リハビリ □患肢リハビリ □患肢リハビリ □痛みや腫れがあ れば外科外来へ連 絡して下さい がん看護における意思決定支援 振り返り 看護師役:ロールプレイ中の言葉か けや態度について、そのようにし た意図や理由を説明する。 患者役:看護師の関わりにより感じ たことや体験したことを説明する (ポジティブフィードバックを意識 する)。 観察役:観察中に感じたことや考え たこと、看護師の言動の意図や 理由について質問する。 全員:看護師役、患者役を体験して 生じた感情や気分を話し合う。 効果的な関わりはどのようなもの だったかを共有する。 実習事例検討会 実習において関わった事例について報 告し、他の受講者やがん看護専門看 護師等からアドバイスをもらいました。 今年度の受講生 5名 ・患者が気持ちや考えを表現する機会や 場面を提供する ・患者の悩む過程に寄り添う ・患者の求める情報提供のため、他部署と の調整を行う などなど ・ 研修受講申請~認定までの流れ 役割拡大研修プログラム 受講申請 研修プログラム受講許可 研修プログラム受講・終了・試験 合格・資格取得 看護部長より認定/活動 「役割拡大実践能力取得コース」の概要 目次 Ⅰ 役割拡大資格取得コースの概要 1)目的 2)役割 3)期待される成果と今後の展開 Ⅱ 研修プログラム Ⅲ 役割拡大を担う看護師に対する資格認定 について 1)資格の認定 2)認定基準 3)試験分野:評価・合格基準 4)その他 研修受講申請等の流れ Ⅳ 募集要項 次年度の看護部教育計画に組み込み、 キャリアアップのための研修計画に活用 できるよう提示 今後の課題 プログラム実施後の評価を受講者及び研修実施担当者 を対象に調査し、評価・修正 認定された看護師の活動の評価を患者及び医師を対 象に実施 看護師が患者の疑問や質問への対応、補足説明、精神的な フォロー等を行うことによって、患者満足の向上や医師の負担 軽減に繋げる ご清聴ありがとうございました。