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照顧脚下・眼横鼻直

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照顧脚下・眼横鼻直
2009 年 11 月 12 日
経営禅研究会 飯塚 如風
しょう
【 照
こ
きゃっ
顧
脚
か
下 】
多くの禅寺の入り口に照顧脚下と書かれた看板があります。照顧とは、用心・注意するという意味
であり、脚下とは、足もとの意味です。
この句は、
「足もとに用心せよ」という意味です。禅の真髄というと皆遠く高いところに求めるが、
足もとにあるのだということです。仕事もまさにその通りだと思います。
そこつ
■足もとに用心せよ。足もとに気をつけて粗忽な振る舞いのないように。
かんきゃっか
■脚下を照顧せよ。顧みて良く考える。看脚下。脚下を看よ。汝自身を知れ。
こ ほうかくみょう
そ
し
■南北朝時代の禅僧・孤峰覚 明 が中国元に渡った時、ある僧が問いました。
「如何なるか是れ、祖師
せいらいい
西来意」その時に覚明が答えた言葉が「照顧脚下」です。
■足もとを良く見よ。我々は禅の真髄の中にいるのです。
■私たちは今、その場にいる自分の中にある真実の命、本来の力に気づかずに、自分以外のところ
に真実があると思っている。
■自分の人生、人の尺度に頼っていてはいけない。思いもかけない逆境になった時、人を恨んだり、
自分の不幸を嘆いていても何もなりません。
■自分自身をしっかり見つめて、自分にある力を確認し、再起することが禅の真髄です。
■仏道は遠くに求めるのではなく、「即今」その場にあるのです。
きゃっこんか
■道元禅師は、
「仏道は人々の脚跟下にあり」 白隠禅師は、
「遠く求むるはかなさよ」と唱えてい
る。
■自分を飾らず、ごまかさず正直に生きる。禅の真髄は脚下にあります。
がん
のう
び
【 眼 横 鼻
ちょく
直 】
道元禅師が、禅を修得して帰国したときの第一声は「眼横鼻直」でした。中国天童山の如浄禅師の
下で修行して、「眼横鼻直」を悟ったのです。眼横鼻直とは、眼は横に鼻は縦についている、とい
くうしゅげんきょう
う当たり前の事実です。日本には仏教の経典も仏像も持たず、 空 手 還 郷 (空手で故郷に還る)
をしたのです。道元は、中国各地の禅堂で仏道を求めて研鑽すればするほど、きわめて日常的で単
純なところに仏道の真髄があると悟ったのです。当たり前のことを当たり前として知ることです。
また、自分を飾らず、ごまかさず、正直に生きたらいいのです。どうしても私達は、良い事を認め、
嫌なことを否定してしまいがちです。しかしそれは自分の都合で、事実は色々なことが起きます。
事実を総て肯定することです。全宇宙の総ての現象が、そのまま真実です。
■当たり前のことを当たり前に捉える“あるがままの姿勢”が大切です。
■一を一として捉えるには、一という概念を超えて、一そのものを自ら会得しなければいけません。
■「仏道を習う・自己を学ぶ」とは、“自己を忘れること”です。「仏道」とは、仏の教え。「忘れ
る」とは忘却ではなく、自己にとらわれない、自己を超えた自己です。
■「万法に証せらるるなり」万法とは、
“一切の現象”
。森羅万象(一切の事象)にバックアップさ
れることです。森羅万象、すべてのモノやコトに支えられて頂くので、自分一人の力ではありま
せん。
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