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オーストラリア・メルボルン

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オーストラリア・メルボルン
平成 23 年度輸出倍増サポート事業のうち
マッチング対策'農林漁業者等向け商談会支援(実施報告書
オーストラリア・メルボルン
平成 24 年 1 月 16 日
平成 24 年 3 月
'農林水産省補助事業(
共同ピーアール株式会社
平成 23 年度輸出倍増サポート事業のうちマッチング対策(農林漁業者等向け商談会支援)実施報告書
オーストラリア・メルボルン
目次
1 事業概要
(1)
事業の趣旨 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
(2)
商談会概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
(3)
事業実施体制 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
(4)
商談会成果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
2 国内事業者への事前支援等
(1)
参加者'国内事業者(の募集、選定 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
(2)
事前の情報収集、提供 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
(3)
事前説明会の開催・事前アドバイス ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
3 商談会の準備・開催
(1)
商談会開催準備 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
(2)
商談会の開催 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
(3)
会場レイアウト ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13
(4)
商談の状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14
4 商談会開催後の支援等 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
5 総括、今後の課題等 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
1
平成 23 年度輸出倍増サポート事業のうちマッチング対策(農林漁業者等向け商談会支援)実施報告書
オーストラリア・メルボルン
1 事業概要
(1)
事業の趣旨
オーストラリアは、欧州諸国からの移民、90 年代以降は中国やインド等アジア諸国からの移民が
増加に伴い、様々な食文化が入り込み、多様化を見せた。その結果、オーストラリアは、新たな食
への順忚性が高い国となり、中でも、メルボルンはオーストラリアの文化の中心地であり、美食が集
まる地域と言われている。
メルボルン人にとって、食と映画は市民の楽しみのひとつである。人気番組の発信の殆どがメルボ
ルンであり、食に関する出版物もメルボルン発が多い。
メルボルンで成功すれば、オーストラリアの他の地域でも成功すると言われているこの地で 2010 年
11 月に行った商談会では、日本産食品を集めた初めてのイベントとして、「このような会を待ってい
た」「ぜひ継続して開催して欲しい」との現地参加者からの声にも反映されている通り、商談成果も
好調だったと言える。
市場の特徴としては、健康志向の強まりによる、寿司に代表される日本食ブームがあり、メルボルン
だけでも寿司をファーストフード感覚で食する寿司ロール テイクアウト店が約 700 店舗あり、ハン
バーガー店よりも多くある。
しかし、輸出先国・地域としての特徴として、食品小売が大手2社で全体の 7 割以上のシェアを占
めており、この2社への供給、もしくは差別化された商品による別マーケット確立が必要とされてい
ることが挙げられる。
また、もう一つの特徴としては、消費者による食品の安全性に対する関心の高さである。そのため、
国が定める規制の他に、各小売店等でも独自の取り組みによる品質管理システム等を構築してい
る。
ただし、オーストラリアは、検疫が非常に厳しいため、消費者も輸入されたものに関しては、信頼性
を高く持っており、東京電力福島第一原子力発電所事故による、日本産品の安全性に関しても、
国が輸入しているものであれば大丈夫だという信頼から、風評被害は比較的少ない。
輸入状況としては、日本産食品については、既に日常食となっている寿司でも、その食材の多くは
非日本産が使用されている。生鮮品の輸入規制や価格差等が障害となっていると言えるが、前述
の食に対する安全性重視という面から、Made in Japan は信頼度が未だ高く、大きな可能性を持っ
ている。例えば、うどんやパン粉などは低価格の他国産よりも、値段の高い日本産がよく売れてい
る傾向にあり、高価格でも品質や味が良い物が売れる事が分かる。東京電力福島第一原子力発
電所事故後も大きな影響は受けてはいないが、日本産食品への信頼を崩さないためにも、正確な
情報を発信している姿勢を提示していくことが必要と思われる。
また、現地の嗜好として、“甘いものを好み、粘り気のある物は好まない”、“ジャンク系のものを好
む”、また、食の傾向として、“気軽に食べられる物を好む”が、反面、安全性重視の傾向、健康志
向の強まりという側面も持ち合せ、歴史的な“簡素な食文化”から“食への関心の高い国”へ変貌し
つつあるといえるのではないか。そのため、日本産食品の輸出にあたっては、現地の変化、それに
伴う商品の現地仕様への調整・対忚が必要とされる。
この機に、日本産食品輸出にあたっての国の姿勢'正確な情報の発信(を PR しつつ、寿司ネタ
2
平成 23 年度輸出倍増サポート事業のうちマッチング対策(農林漁業者等向け商談会支援)実施報告書
オーストラリア・メルボルン
'手巻き寿司用(、麺類'レトルト食品(等、また、2010 年 11 月の商談会時も要望の高かった酒類
'日本酒(の提案を行い、現地流通事業者の理解拡大と浸透を図り、輸出拡大を目指す。
(2)
商談会概要
・ 商談会の名称:
メルボルン日本食品大商談会 2012 ~Japanese Food Buyers Meeting 2012~
・ 開催日時:平成 24 年 1 月 16 日'月(9:30~18:00
・ 開催場所:オーストラリア・メルボルン
・ 会場:The Langham Melbourne (Clarendon Ballroom)
'住所: 1 Southgate Ave., Southbank, VC 3006 Australia(
・ 参加国内事業者数:11 社
・ 参加現地事業者数:23 社
・ 実施商談のべ件数:122 件
(3)
事業実施体制
本事業を実施するにあたり、2 社と業務提携を結んだ。詳細は以下のとおり。
①セントラル貿易株式会社
昭和 37 年創立の日本食の輸出専門商社。北米、アジア、欧州各国への輸出実績を持つ。米国
(NY、CA、HI)に日本食品総合卸問屋と、創立明治 40 年の片桐商会(日本食小売店)を NY で経
営。 2004 年からオーストラリアに進出し、近年オーストラリアへの輸出に注力している。
②Dengon Design & Publishing Pty LTD
オーストラリア・ビクトリア州メルボルンにて 1996 年設立。イベント運営、ウェブ製作、月刊誌発行、
撮影、翻訳、コーディネート等を行う。
日本食イベントを多数開催しており、最近では、2011 年 6 月にメルボルンにおいて現地の有名シ
ェフと日本から料理の鉄人で一躍有名となった坂井宏行シェフと陳建一シェフを招致し、「IRON
CHEF」イベントを開催。日本食レストラン、メニュー等へのコンサルタントも行う。
(4)
商談会成果
商談会当日'平成 24 年 1 月 16 日(の商談成約件数は 7 件、成約金額は 2,994,000 円'FOB 価格(。
商談当日からフォローアップ期間終了'平成 24 年 3 月 26 日(までの商談成約件数は 43 件、成約
金額は 15,364,987 円'FOB 価格(である。
3
平成 23 年度輸出倍増サポート事業のうちマッチング対策(農林漁業者等向け商談会支援)実施報告書
オーストラリア・メルボルン
2 国内事業者への事前支援等
(1)
参加者'国内事業者(の募集、選定
・周知、募集方法
共同ピーアール株式会社ホームページ内での参加者の公募と共に、農林水産省メールマガジン
内での周知、またオーストラリアで実績のあるセントラル貿易株式会社のネットワーク、共同ピーア
ール株式会社のネットワーク'300 社(へ電話・Fax 等で直接コンタクト、訪問を行った。
参加募集期間:平成 23 年 10 月 18 日~平成 23 年 11 月 2 日までの 16 日間
・Web
参加忚募者 14 社より 11 社を選出した。
審査日:平成 23 年 11 月 21 日'月(
会 場:共同ピーアール株式会社会議室
審査員:共同ピーアール株式会社、セントラル貿易株式会社
4
平成 23 年度輸出倍増サポート事業のうちマッチング対策(農林漁業者等向け商談会支援)実施報告書
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・参加国内事業者の状況
事業者名
所在地
業種
1 株式会社あじかん
広島県
メーカー
2 月山酒造株式会社
山形県
メーカー
3 ひかり味噌株式会社
長野県
メーカー
粉末みそ'白・赤(500g、西京焼きのたれ1
kg、みそかつのたれ 1kg
4 かねさ株式会社
青森県
メーカー
MISOTCHUP130g、GRANULATED
MISO130g、塩分 1/2 みそ汁 5 食入
5 数馬酒造株式会社
石川県
メーカー
6 共栄製茶株式会社
大阪府
メーカー
竹葉 能登大吟、竹葉 純米吟醸、竹葉
能登純米、竹葉 能登の梅しゅわ~、竹葉
能登の梅酒、竹葉 能登のゆず酒、竹葉
能登の柚子しゅわ~
玉露、煎茶、ほうじ茶、玄米茶、殺菌 宇治
抹茶 MOK シリーズ
和歌山県
メーカー
8 都一株式会社
千葉県
メーカー
那智黒米寿、梅黒酢、土佐酢、古来上寿し
酢、ちゃんぽんず、塩ポンず、酒酢、実生
柚子ぽんず、生しぼり橙ぽん酢、手造りつ
ゆ、黒にんにく黒酢
うどん、焼そば、中華そば
9 株式会社大崎水産
広島県
メーカー
フィッシュスチック
10 柴沼醤油販売株式会社
茨城県
メーカー
11 清水醸造株式会社
三重県
メーカー
業務用しょうゆ 18L QB、紫峰醤油 1000m
l、寿司醤油 5g×3200 個、あわ漬 500ml、ポ
ン酢 ゆずかつお 300ml、テイクアウト用め
んつゆ 30g×375 個、アナゴのたれ 4g×3200
個、醤油ラーメンスープ 18L
作 雅乃智 中取り、作 穂乃智 、作 恵
乃智、作 和乃智
No.
7 合名会社丸正酢醸造元
5
出展品目
シーフードレッグスティック、おぼろ、焼海
苔、味付椎茸スライス、味付干瓢、寿司揚
げ
純米大吟醸、梅酒
平成 23 年度輸出倍増サポート事業のうちマッチング対策(農林漁業者等向け商談会支援)実施報告書
オーストラリア・メルボルン
(2)
事前の情報収集、提供
平成 23 年 11 月 5 日から 11 月 10 日までの 6 日間'現地 3 日半(、平成 24 年 1 月 16 日開催予定の
商談会に向けて、オーストラリア・メルボルンに出張し、現地の市場等の調査を行った。
訪問事業者、市場調査内容は以下のとおり。
訪問現地流通事業者
事業者名
備考
どんな日本食材に興味があるか
1 業務店卸
アジア食品業務店卸'レストラン向け(。日本食材をはじめ日 有名なお酒だけではなく、小さい酒蔵でも美味しく
本酒も多く扱い、小さな酒蔵のお酒等も扱う。
良い日本酒があれば小ロットでも値段に関係なく
取り扱いたい。レストランで使えるようなドレッシング
類の種類を増やしたい。またアイスに入られるよう
な原液がないか探している。
2 レストラン
香港人オーナーのフレンチ-ジャパニーズレストラン。
刺身、寿司、焼き鳥、日本酒がメニューにある。香港人オー
ナー自ら寿司を握る。
3 小売店卸
オーストラリア大手のアジア食品輸入商社。(小売店・スー
一番の問題は賞味期限。賞味期限が半年以上な
パー向け)ColesやWoolworthsを顧客にもつ。日本食等、認 いと、オーストラリアでは扱うのが難しい。ラーメン
知がないものをレシピを独自に作成しマーケティングを行って や冷やし中華への消費者の関心が高まっている。
いる。
4 スーパー
オーストラリアの2大大手小売チェーンの1つ。2大スーパーで アジア食品コーナーだけでなく、しょうゆ・パン粉
小売の7割を占める。メルボルンにて1914年創業。アジア食 等一部の商品は、一般食品の棚に陳列されるよう
品のコーナーがありその中に日本食品も陳列されている。
になってきている。
5 スーパー
オーストラリアの2大大手小売チェーンの1つ。。2大スーパー
で小売の7割を占める。全豪に800店以上展開している最大
手。アジア食品のコーナーがありその中に日本食品も陳列さ
れている。
テイクアウェイ店舖グループのセントラルバイング'商品や原
材料を仕入れする際、本部が一括して行う中央仕入れ(会
社。寿司のテイクアウェイと麺のお店を展開。
6 テイクアウェイ店舗グループ
日本酒の味の違いまで分かるお客さんはまだ少な
く、瓶やラベルなどの見た目のデザインが重視され
ているのが現状。初心者のお客さんには飲みやす
いものから勧めているが、商品と一緒に説明書の
ようなものが付いていると売る側としても勧めやす
い。
アジア食品コーナーだけでなく、しょうゆ・パン粉
等一部の商品は、一般食品の棚に陳列されるよう
になってきている。
ラーメン店も増えてきており、手打ち麺や夏のシー
ズンに向け、冷やし中華に興味を持つ店が増えて
いる。
7 Sushiチェーン店
オーストラリア人がオーナー。
寿司の具材全般に興味がある。巻き寿司に入れら
寿司&FISH&CHIPという面白いスタイルで、メルボルン市内 れる具材が欲しい。
に展開。
8 Sushiチェーン店
中国系オーナーのテイクアウト用すし屋。
お弁当を扱っているので、日本食材全般に興味が
DFO'DIRECT FACTORY OUTLET)のフードコートに入って ある。
おり、温かい日本食弁当も取扱う。
<日本食品のマーケットについて>
メルボルンの人口は 400 万人、シドニーの 450 万人に次いでオーストラリアの中では第 2 位の都
市。シドニーよりも平地が多く、2037 年頃には 570 万人になり、オーストラリアでは一番人口の多い
都市になると予測されている。メルボルン在住の日本人は約 1 万 2 千人'世界で 16 番目(で、日本
人相手だけの商売だと非常に厳しい。
また、メルボルンは、オーストラリアの中では一番小さな州、ビクトリア州の中心である。ビクトリア州
の面積は豪州全体の 3%しかないが、農業生産高は全豪州の 3 割を占める。メルボルンはオースト
ラリアの食品の中心地であり、物流拠点となっている。日本の食品メーカーのビクトリア州の進出や
企業買収も、そのような理由からと考えられる。
市場としては、オーストラリア全土は、2 大スーパー'コールズ、ウールワース(が小売りの 7 割を占
める寡占体制となっている。それぞれの店には、必ずアジアンコーナーが設置されており、その中
6
平成 23 年度輸出倍増サポート事業のうちマッチング対策(農林漁業者等向け商談会支援)実施報告書
オーストラリア・メルボルン
に日本食品も陳列されている。
商品によっては、一般食品の棚に入り込んでいるものもあり、醤油、パン粉が一般食品と一緒に陳
列されている。韓国産商品の 3 倍以上の価格がついているが、品質の違いが明らかであり良く売
れている。
日系スーパーも若干あるが、その客層もオーストラリア人が 6 割以上となっており、販売ターゲット
は、やはり現地オーストラリア人となっている。
家で料理をすることが多く、ホームパーティー等を開く機会が多くあるからか、料理番組が多く、料
理本等がよく売れている。実際に、パン粉はテレビの料理番組によく取り上げられた結果、実際に
売れるようになった。
日本食もごく一般的に受け入れられており、ショッピングモール内のテイクアウェイの店では、主力
はハンバーガー店ではなく、寿司の店の方が多く、最近はラーメン店も増えている。
最近では、手打ち麺や、夏のシーズンに向けて冷やし中華に興味をもつ店も増え始めており、ス
ーパーマーケットやレストランへの卸業者からも、ラーメンや冷やし中華への消費者の関心が高ま
っているとコメントをされており、今後さらに市場が広がっていくと予想できる。
また、こういったテイクアウェイ店の経営は日本人ではなく、中華系、韓国系、ベトナム系のオーナ
ーが多く、我々日本人からすると、「本物ではない」と感じるが、それが根付いているのは事実で、
そのマーケットに入り込む算段が必要である。
いかに本物の日本食および日本産品をより多く取り入れてもらうか、第三国の食材に負けない品
質と価格のバランスが重要なカギを握る。
<オーストラリアの物価について>
オーストラリアは、GST'消費税:Goods and Services Tax(10%が完全に内税として入った価格表示
になっている。元々物価が高い上に、内税表示のため、さらに高く感じられる。平均的な物価は、
オーストラリアドルが強くなったこともあるが、ビッグマック指数でも日本の 2 割高で、それに GST の
10%が加わるので、1.3 倍~1.5 倍くらいの価格帯と見るのが一般的である。この一番の要因は人
件費で、各企業は従業員に対して強制的に 1 年で 1 ヵ月の有給休暇をとらせなければならず、そう
いった法律が負担になっているとも言われている。
例としてあげると、コンビニエンスストアではペットボトル飲料水'550ml(が、AUD$2.50~$3.00 程
'およそ 213 円~255 円(で売られている。このように、全般的に価格が高いため、東アジア諸国と
比較しても、日本食品との価格差が目立ってつくわけではないが、アジア市場からの日本食品の
類似品が、安価で大量に入ってくるため、「品質の違い」を、歴然と訴えなければならない。
<日本酒のマーケットについて>
オーストラリアは南半球のワイン生産大国であり、多くの消費者は食事の際にワインを飲む。ボトル
での注文が多く、日本酒も 4 合瓶'720ml(で注文する。日本酒の競合相手はワインとなるが、残念
ながら味の違いまでわかる消費者は、まだ少なく、瓶の形状やラベルの善し悪しが決め手となって
おり、ファッション性が重視されているのが現状。最近はパブやスタンドバー等でもファッショナブル
7
平成 23 年度輸出倍増サポート事業のうちマッチング対策(農林漁業者等向け商談会支援)実施報告書
オーストラリア・メルボルン
に飲まれる客が多くなり、レストラン以外にも日本酒が並んでいる。日本酒に関しては、関税は 4 つ
の条件を満たせば 0%だが、GST(消費税:Goods and Service Tax(の他に、29%の WET(酒税:
Wine Equalisation Tax)が課せられる。
税率に関する詳細は下記参照。
日本酒人気は高く、日本酒を置いているレストランでは、料理にあう日本酒のお勧めなどを聞く客
が増えている。日本酒に詳しくない客には、初心者にも飲みやすい日本酒から勧めるようにすると、
多少値段が高くても注文するという。ただし、味がわかる消費者は未だ少ないため、ラベル等を工
夫してファッショナブルにして欲しい、お客様に説明しやすい資料などがあると分かりやすい等現
地需要者からのコメントがあった。
'2010.9 JETRO 調べ(
'1( 関税率:
1(日本酒:関税率は 0%ですが、以下の 4 条件を満たす必要があります。
a.アルコール度が 1.15%超。
b.米の完全なまたは部分的発酵の産物。
c.他のソースからエチルアルコールを加えていない。
d.色または香りをつける他の酒または物質を加えていない。
'2(内国税として以下の 2 種類が課税されます。
a.ワイン均一化税'Wine Equalization Tax:WET(:CIF 価額および関税額の合計額の 29%
課税対象はアルコール含有量 1.15%超の次の酒類:a(ぶどう酒'スパークリングワイン、補強ワインを含
む(、b(ぶどう酒製品'ベルモット、ワインカクテル、クリームなど(、c(フルーツワイン'補強ワインを含む(,
ベジタブルワイン'補強ワインを含む(、d('りんご由来の(サイダー、'梨由来のペリー(、ミード'補強ミー
ドを含む(、日本酒です。
b.財・サービス税'Goods and Services Tax:GST(:CIF 価額、関税額および上記 WET の合計額の 10%
<日本産品の安全性について>
オーストラリアの検疫検査局 AQIS'Australian Quarantine and Inspection Service(にて、3 月 11 日
以降に 1 都 12 県から出荷された野菜、海産物等について検査を実施している。なお、FSANZ'食
品検疫当局(が「日本産食品における放射能の影響は軽微」と明言するなど、オーストラリア政府
機関からの正確な情報提供もあり、いわゆる風評被害は見受けられない'2011.6 JETRO 調べ(。
また今回の事前調査においても、現在はほとんど忘れ去られているので、あまり大きく PR をする必
要がない。逆に思い出させて逆効果に働いてしまうのではと現地需要者の意見が多かったため、
事実関係のみの資料配布程度に絞った方がよい。
8
平成 23 年度輸出倍増サポート事業のうちマッチング対策(農林漁業者等向け商談会支援)実施報告書
オーストラリア・メルボルン
(3)
事前説明会の開催・事前アドバイス
・事前説明会
商談会概要、現地市場特性、事前準備、商品輸送等についての説明を行った。欠席した事業者
については個別に対忚した。
開催日時:平成 23 年 12 月 2 日'金( 14:00~16:00
開催場所:共同ピーアール株式会社 会議室'住所:東京都中央区銀座 7-2-22(
出席社数:8 社
欠席社数:3 社
説明会配布資料は別紙のとおり
・事前アドバイス
メルボルンの特性、日本食品・日本食のマーケット事情、東日本大震災による風評被害等の現地
市場調査結果をフィードバックし、商談会における留意点、現地需要者の特性、商品輸送方法等
を事前説明会にて説明した。セントラル貿易株式会社内に相談窓口を設け、商談準備を支援。主
な相談内容は、下記のとおり。
・持っていく商品アイテムは他に自社商品のどれがオーストラリア向けに良いか。
・商品アイテム数が多い方が有利か?そうであれば増やそうと思う。
・類似商品の現地での需要は?具体的に商品をどんな使い方をされているか。
・価格について高すぎるか。 等
事前説明会の様子
9
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3 商談会の準備・開催
(1)
商談会開催準備
・現地需要者との調整の状況
個別に電話や直接訪問を行い、当日の来場時間を聞くと共に、商談希望する国内事業者、興味のあ
る食材をヒアリング。その情報を元に国内事業者とのマッチングスケジュールを組んだ。
・現地需要者の周知、募集方法
卸・小売店・フランチャイズ経営企業等へ、メルボルン事務局である Dengon Design & Publishing Pty
LTD 及びセントラル貿易株式会社の協力の元、招待状を 200 通送付。Dengon Design & Publishing
Pty LTD、セントラル貿易株式会社及び共同ピーアール株式会社が個別に電話・Fax・直接訪問等を
行い個別に誘致。
また、現地需要者等向けの Web サイトを制作し、商談会詳細、国内事業者の会社・商品情報、現地事
務局のコンタクト先を掲載。
<招待状>
10
平成 23 年度輸出倍増サポート事業のうちマッチング対策(農林漁業者等向け商談会支援)実施報告書
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<WEB>
・参加現地需要者数
No
1
2
3
4
5
12
13
6
7
8
9
10
11
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
社名
Nippon Food Distributors Pty Ltd.
Taiyo Food Pty Ltd.
Oriental Merchant Pty Ltd.
Youki`s
Shoya
Obento
Misuzu`s
Taxi
Chocolate Buddha
Takumi
Crown Melbourne Ltd.
Komeyui
Miyako
Golden Monkey
Meijiya
Akachochin
Clariong Bolo's
Do Imaginia
Itamae Sushi
Heirloom
Yuu
Sofitel Melbourne
Sakura
所在地
Melbourne, VIC
Sydney, NSW
Laverton North, VIC
Phillip Island, VIC
Melbourne, VIC
East, VIC
Albert Park, VIC
Melbourne, VIC
Melbourne, VIC
Melbourne, VIC
Southbank, VIC
Melbourne, VIC
Southbank, VIC
Melbourne, VIC
Melbourne, VIC
Docklands, VIC
South Yarra, VIC
Wantirba South, VIC
Doncaster, VIC
Melbourne, VIC
Melbourne, VIC
Melbourne, VIC
Melbourne, VIC
11
業種
卸'レストラン(
卸'レストラン(
卸'小売店・スーパー(
小売'フランチャイズ(
飲食店'フランチャイズ(
小売'フランチャイズ(
飲食店'フランチャイズ(
飲食店'バー(
飲食店'バー(
飲食店(レストラン)
ホテル
飲食店(レストラン)
飲食店(レストラン)
飲食店'バー(
飲食店(レストラン)
飲食店'バー&レストラン(
小売'テイクアウェイ(
小売'ケータリング(
小売'テイクアウェイ(
飲食店'フランチャイズ(
飲食店(レストラン)
ホテル
飲食店(レストラン)
平成 23 年度輸出倍増サポート事業のうちマッチング対策(農林漁業者等向け商談会支援)実施報告書
オーストラリア・メルボルン
(2)
商談会の開催
商談会の名称:
メルボルン日本食品大商談会 2012 ~Japanese Food Buyers Meeting 2012~
開催日時:平成 24 年 1 月 16 日'月(9:30~18:00
開催場所:オーストラリア・メルボルン
・ 会場:The Langham Melbourne (Clarendon Ballroom)
'住所: 1 Southgate Ave. Southbank, VC 3006 Australia(
参加国内事業者数:11 社
参加現地事業者数:23 社
実施商談のべ件数:122 件
12
平成 23 年度輸出倍増サポート事業のうちマッチング対策(農林漁業者等向け商談会支援)実施報告書
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(3)
会場レイアウト
商談スペース
(各テーブルには現地
需要者が待機)
国内事業者用
待機席
試食会
スペース
展示
スペース
商談会・試食スペースの様子
13
平成 23 年度輸出倍増サポート事業のうちマッチング対策(農林漁業者等向け商談会支援)実施報告書
オーストラリア・メルボルン
商談の状況
国内事業者及び現地需要者のマッチング状況
122 件
①現地需要者配布資料
円滑に商談が進み多くの成約につながるよう、国内事業者の会社情報・商品情報をシート化し、日英
版を作成した。
②国内事業者配布資料
商談した内容をきちんと整理できるよう、商品情報、現地需要者からのリクエスト等を記入するシート作
成した。
③日本産品の安全性 PR 資料
別紙のとおり
④現場マニュアル
別紙のとおり
⑤マッチング状況
マッチングスケジュールについては別紙のとおり
14
平成 23 年度輸出倍増サポート事業のうちマッチング対策(農林漁業者等向け商談会支援)実施報告書
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・商談会の成果
商談成約状況
商談
商談件数'件(
成約件数'件(
成約金額'円(
結果
商談会当日
~平成 24 年
取扱品目
3 月 26 日
水産物・水産物加工品
商談会当日
うち商談会
~平成 24 年
当日分
3 月 26 日
商談会当日
うち商談会
~平成 24 年
当日分
3 月 26 日
うち商談会
当日分
21
21
0
0
0
0
野菜加工品
1
1
1
1
24,000
24,000
茶
8
8
0
0
0
0
酒類
41
41
4
0
257,223
0
その他加工品
52
52
38
6
15,083,764
2,970,000
計
122
122
43
7
15,364,987
2,994,000
'注 1(「商談会当日~平成 24 年 3 月 26 日」は、商談会当日を含むフォローアップ期間全体の実績である。
'注 2(「成約件数」欄は「商談件数」欄の内数であり、また、各「うち商談会当日分」欄はそれぞれ、「商談会当日~平成 24 年
3 月 26 日」欄の内数である。
4 商談会開催後の支援等
商談会開催後、参加現地需要者へ電話および訪問によるフォローを行った。
また当日都合がつかず、商談会に参加できなかった現地需要者に興味のある国内事業者の情報を提
供し別途フォローを行った。
その後、商談会時に興味をもって頂いた商品を現地需要者へサンプル・見積書・販促品等を送付。商
談会参加現地需要者へ電話および訪問によるフォローを定期的に行った。
5 総括、今後の課題等
商談数は、昨年に比べ 1 社あたり平均 7 件から 11 件に増加。今年の傾向としては、酒の商談を希望す
る現地需要者が多くいた。
現地需要者からは、国内事業者から日本食材や日本酒等について直接説明が聞け、とても勉強にな
ったという声があった。比較的値段が高い「酢」に関しても、どれも味が良いと評判が良く、ホテルや高
級食材を扱う現地需要者に非常に感触が良かった。
参加国内事業者の姿勢としては、商談会終了後にメルボルン市内のスーパーやレストラン等を回り市
場調査を行ったり、商談相手の店に出向き直接フォローアップを行うなど意欲的な活動が見られた。
商談会の開催方法としては、メルボルンでは有名シェフが使用する等でのテレビや雑誌の露出、地元
の旗艦店・中心人物による商品の取り扱いによる影響力が大きく、そこから流行の兆しを見せることとな
る。そのため商談会の際に初めて商品を紹介するのではなく、事前に有名シェフ等による商品を使っ
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平成 23 年度輸出倍増サポート事業のうちマッチング対策(農林漁業者等向け商談会支援)実施報告書
オーストラリア・メルボルン
たイベントを開催し、その後商談会を開催した方が成約に繋がるのではないかと考える。
また、商談会開催日が 1 日というのに難色を示す現地需要者もあり、開催日に来場できない需要者は
参加を断念するところもあった。
あわせて、開催時期に関しては、盛夏の繁忙期に向けて 9~10 月の商談会開催の方が、新商品の取
り扱いなどの検討、商品調達の需要の面等から、効果的と考えられる。
メルボルンでの商談会は、現地在住の日本人だけでなく、事前のアポイント制、テーブル着席型商談
を苦手とするオーストラリア人、中華系、韓国系の現地需要者も参加されるため、各回参加する現地需
要者の状況を鑑み、柔軟に運営方法を対忚させていく必要があると感じている。日本食材を日本式料
理法の押し付けで販売しない、現地に合わせた食し方での提案していく、という姿勢と相通ずる部分が
ある。
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