...

計 画 期 間 平成28年度∼平成37年度 長崎県酪農・肉用牛生産近代化

by user

on
Category: Documents
21

views

Report

Comments

Transcript

計 画 期 間 平成28年度∼平成37年度 長崎県酪農・肉用牛生産近代化
計
画
期
間
平成28年度∼平成37年度
長崎県酪農・肉用牛生産近代化計画書
平成28年3月
長
崎
県
目
次
Ι
酪農及び肉用牛生産の近代化に関する方針・・・・・・・・・・・・・・・P1
1 酪農及び肉用牛生産をめぐる近年の情勢
2 担い手の育成と労働負担の軽減に向けた対応
3 乳用牛・肉用牛飼養頭数の減少への対応
4 国産飼料生産基盤の確立
5 家畜衛生対策及び畜産環境対策の充実・強化
6 畜産クラスターの取組等による畜産と地域の活性化
7 畜産物の安全性の確保・消費者の信頼確保
8 ニーズを踏まえた生産・供給の推進
Ⅱ
生乳の生産数量の目標並びに乳牛及び肉用牛の飼養頭数の目標・・・・・・P10
1 生乳の生産数量及び乳牛の飼養頭数の目標
2 肉用牛の飼養頭数の目標
Ⅲ
近代化な酪農経営方式及び肉用牛経営方式の指標・・・・・・・・・・・・P11
酪農経営方式
肉用牛経営方式
1
2
Ⅳ
乳牛及び肉用牛の飼養規模の拡大に関する事項・・・・・・・・・・・・・P13
1 乳牛
2 肉用牛
Ⅴ
飼料の自給率の向上に関する事項・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P15
1 飼料の自給率の向上
2 具体的措置
Ⅵ
集乳及び乳業の合理化並びに肉用牛及び牛肉の流通の合理化に関する事項・P16
1 集送乳の合理化
2 乳業の合理化
3 肉用牛及び牛肉の流通の合理化
Ⅶ その他酪農及び肉用牛生産の近代化を図るために必要な事項・・・・・・・P20
1 担い手の育成と労働負担の軽減のための措置
2 畜産クラスターの推進方針
Ι
酪農及び肉用牛生産の近代化に関する方針
本県では、離島・半島地域が大部分を占め平坦地が少ないという厳しい条件の中、
農業者をはじめ関係者の創意工夫と努力の積み重ねにより、各地域の特性を活かした
多様な農業が展開されている。なかでも畜産業は、農業産出額(平成25年:
1,444億円)の約3分の1を占める基幹的作目であり、うち肉用牛は品目別
産出額の1位の197億円、酪農(生乳)は第7位の52億円を占めるなど、本県の
農業振興を図る上でいずれも重要な作目となっている。
しかし、近年における配合飼料価格や子牛価格の高騰をはじめ、担い手の減少や
高齢化等により生産基盤の弱体化が懸念されるなど、畜産・酪農をめぐる農業情勢は
厳しい現状にある。
このような中、平成27年3月に策定された国の新たな「酪農及び肉用牛生産の近
代化を図るための基本方針」では、国や地域の関係者が生産者と一体となって、人・
牛・飼料のそれぞれの視点から、生産基盤の強化を推進することとされた。具体的に
は、酪農及び肉用牛については、畜産経営の収益性向上を図るため、地域の関係者が
有機的に連携・集結した畜産クラスターの取組をはじめ、農業者等の自主的な取組を
活かしつつ、経営基盤の強化及び高品質化による肉用牛生産の振興、飼料基盤に立脚
した酪農経営の確立等、生産の維持・拡大対策を実施するとともに、家畜排せつ物の
適正な処理と利用の推進を図るなど、生産から流通・消費までの施策を総合的に実施
することとされている。
今回の「長崎県酪農・肉用牛生産近代化計画」の策定に当たっては、このような
酪農・肉用牛をめぐる状況や国の施策の方向性も踏まえながら、県の「長崎県総合
計画チャレンジ2020」、「新・ながさき農林業・農山村活性化計画」及び「新・
ながさき肉用牛振興計画」に沿って、次の事項を基本に、本県酪農及び肉用牛生産の
生産基盤の強化と消費者ニーズに対応した畜産物の安定供給の実現を図るものとする。
1 酪農及び肉用牛生産をめぐる近年の情勢
(1)酪農
酪農については、高齢化・担い手不足、飼料価格を始めとする生産コストの上昇に
より、農家戸数(H20:220戸→H25:171戸)、飼養頭数(H20:
10,300頭→H25:9,250頭)ともに減少が続いており、生乳生産量が
減少するなど生産基盤の弱体化が懸念されている。さらに、施設投資の負担の増加や
重い労働負担により、後継者と新規就農者の確保が困難な状況となっている。また、
九州他県と比較すると、飼料費が高い傾向にあり、所得が他県より低くなっている。
これらのことから、生産基盤の強化とコスト低減の取組をより推進していく必要が
ある。
(2)肉用牛
肉用牛については、配合飼料価格・素牛価格の上昇等による厳しい経営環境の中、
担い手の高齢化や後継者不足等による離農も増加し、この間、本県の1戸当たりの肉
用牛飼養頭数は増加(H20:22.9頭/戸→H25:25.4頭/戸)している
ものの、総戸数の減少(H20:3,980戸→H25:3,010戸)が、総飼養
頭数の減少(H20:91,200頭→H25:76,500頭)につながっている。
また、本県の1戸当たり平均飼養規模は、繁殖雌牛:8.8頭/戸、肥育牛:125
頭/戸と、いずれも九州平均(繁殖雌牛:12.1頭/戸、肥育牛:214頭/戸)
と比較して小規模である。これらのことから、今後、生産基盤の維持・強化の取組を
一層推進していく必要がある。
また、飼料費・敷料費等の生産コストについては、九州各県と比べて高い傾向に
あるため、収益性向上のため、これらの課題について、地域の関係者全員が共通認識
を持って検討を行い、経営規模の拡大や生産性の向上等の取組を推進していく必要が
ある。
さらに、消費者のニーズの多様化や海外での日本食ブームや訪日外国人観光客の
増加等を踏まえ、需要に即した多様な牛肉を供給するとともに、長崎和牛のブランド
推進については、神戸牛や佐賀牛等の他の産地に比べて後発的であったことから、
これまでの長崎和牛の販路拡大やブランド化の取組に加え、さらなる輸出拡大を図る
必要がある。
2
担い手の育成と労働負担の軽減に向けた対応
酪農については、新たな担い手を確保するため、離農予定農家と新規就農者との
マッチング等経営継承システムを構築する。
毎日の搾乳作業や飼料生産等 重労働が多く、定期的な休日が確保しにくいため、
新たな担い手の確保が困難となっている。周年拘束性の高い酪農の労働条件の改善の
ため、酪農ヘルパー組織など外部支援組織の活用や省力化機械の導入による労力負担
軽減を図る必要がある。
肉用牛においては、飼養戸数の減少を抑制し、新規就農者を確保するため、就農の
初期リスクの低減を図るとともに、企業等の参入についても、関係市町や団体等と
連携しながら推進する。
さらに、省力化・分業化により労力負担を軽減することにより、地域全体での
飼養頭数の増加を図るため、外部支援組織の活用による分業化、放牧やICTの活用や
機械化による飼養管理の省力化を推進する必要がある。
(1)新規就農の確保と担い手の育成
(背景・課題)
酪農及び肉用牛生産の新規就農に当たっては、飼養・経営管理に係る技術・知識の
習得のみならず、農地の取得、牛舎等の整備、家畜の導入等に多額の初期投資が必要
である。また、例えば肉用牛繁殖経営では、素牛の導入から子牛の出荷までに数年を
要することから、経営が軌道に乗るまでの運転資金の調達が課題である。このように、
畜産・酪農の新規就農のハードルは、他の農業分野に比べても高いため、初期リスク
の軽減を図ることによる新規参入の加速化が必要である。
(対応・取組)
新規就農者の確保・育成のため、家畜導入や牛舎整備に対する支援や制度資金の
活用等の新規就農対策を強化するとともに、畜産クラスター協議会の仕組み等を活用
した地域での話し合い等を通じて、離農農家を含む経営資産(牛舎や牛)を後継者や
若年層に円滑に継承することが重要である。また、地域の関係者と連携し新規就農に
当たっての初期負担を軽減することにより、より円滑な就農を実現するための取組に
ついても検討する。さらに、肉用牛生産基盤の継承のため、既存農家の経営継承等は
もとより、企業等の参入についても、関係市町や団体等と連携しながら推進する。
(2)外部支援組織や省力化機械等の活用推進
(背景・課題)
酪農及び肉用牛生産は、家畜の飼養・衛生管理、飼料の生産・調整などに多くの
労働力を要するが、担い手の高齢化、後継者不足、過疎化等により、労働力が不足
している。このため、外部支援組織の活用や、省力化機械等の導入により、労力負担
の軽減を図るとともに、これらを活用して、地域全体の収益力向上を図る必要がある。
(対応・取組)
酪農家の定期的な休日を確保するため、酪農ヘルパー組織の強化と利用促進を
図るとともに、搾乳ロボットや搾乳ユニット自動搬送装置等の搾乳作業省力化機械
の導入により省力化を推進する。また、自給飼料の安定的な生産・確保を担う
TMRセンターの整備やコントラクター組織等の活用を推進する。
肉用牛農家の高齢化等に伴う労力不足を補い、また効率的な規模拡大に対応する
ため、飼料生産受託組織(コントラクター)をはじめ、ヘルパー組織、肉用子牛の
共同育成施設(キャトルステーション。以下、「CS」という。)、繁殖牛受託施設
(キャトル・ブリーディング・ステーション。以下、「CBS」という。)等による
分業化・省力化支援体制を整備・推進するとともに、雇用・研修の場としての有効
活用にも取り組んでいく。
さらに、労働力不足を補い、省力化を推進するため、ICT等の新技術も積極的
に導入しながら、監視カメラ、哺乳ロボット、発情発見機器等の導入による効率的・
省力的な生産体系を推進する。
これらの外部支援組織や省力化機械の活用に当たっては、畜産クラスターの
仕組みも活用しつつ、地域の実情に応じて組み合わせて利用することにより、個々
の経営だけでなく、地域全体での収益性向上を推進する。
3
乳用牛・肉用牛飼養頭数の減少への対応
酪農経営においては、高齢農家等の飼養戸数の減少による飼養頭数の減少に対して
飼養規模の拡大で補いきれず、乳用牛飼養頭数が減少している。規模拡大を行うには
施設整備への投資負担が大きく、優良な牛群整備による生産性の向上、飼料生産基盤や
労働力の確保が必要である。
小規模農家及び高齢農家を中心とする離農等により、本県の肉用牛の総飼養頭数は
平成20∼21年度の91,200頭をピークに減少に転じ、平成25年度の飼養頭数
は76,500頭にまで減少している。また、繁殖雌牛の減少を背景とした子牛生産
頭数の減少により、子牛価格が高騰しており、肥育経営を圧迫している。加えて、本県
は、周辺の各県に比べ、一戸当たりの飼養頭数が少ないことから、引き続き、個々の
経営における飼養規模の拡大に取り組むほか、外部支援組織等を活用した地域全体での
増頭・集積を進め、性判別技術と受精卵移植技術の活用による計画的な乳用後継牛の
確保と和子牛の拡大等にも努めることが必要である。
さらに、県有種雄牛等の本県独自の遺伝資源も活用した家畜改良の推進や、飼養管理
の適正化などにより、乳用牛・肉用牛の生産性の向上を推進する必要がある。
(1)生産構造の転換等による規模拡大
(背景・課題)
離農等に伴う飼養頭数の減少を抑制するため、引き続き個々の経営体の飼養頭数
の増加を図ることが重要である。また、分業化や個々の経営における省力化の推進等
を図ることにより、地域全体の飼養頭数の拡大を図る。特に、肉用牛生産においては、
CBS、CS等の地域の繁殖・育成拠点を活用し、地域の肉用牛繁殖経営が、繁殖牛
や子牛を預託することで余裕の生じた飼養スペースにおける増頭が可能となる。
さらに、繁殖・肥育一貫経営への移行は、子牛価格の変動リスクを軽減し、
いわゆる「飼い直し」も回避できることから、出荷月齢の早期化や、生産性の向上も
期待できる。
(対応・取組)
引き続き、畜産クラスターの仕組みを活用しながら、地域の中心的経営体に
対する施設整備や導入支援策等により、飼養頭数の増加を推進する。また、生産者
団体等は、畜産クラスターの仕組みも活用しつつ、地域の飼養規模を拡大するための
CS、CBSの整備・活用を進め、地域で繁殖・育成を集約する体制の構築を推進
する。
酪農では、従来の高品質乳用牛の導入に加え、性判別精液や受精卵移植を活用
した経営内での優良な乳用後継牛の確保を推進し、牛群の確保と生産性の向上を図
る。新たな子牛の生産方式による構造改善として、繁殖部門では性判別精液や受精
卵移植技術等を活用した酪農部門由来の和牛生産基盤の拡大を推進する。肥育部門
においては、素牛価格の変動に左右されない強固な経営体を育成するため、
繁殖部門や育成部門を経営に取り込んだ経営内一貫体制への移行を推進する。
さらに、肉用牛の持つ繁殖能力や産肉能力などを最大限発揮できるよう、
畜産クラスター協議会の中で分娩間隔短縮や飼養・衛生管理の技術向上に関する
勉強会を実施するなど、地域指導者の育成も強化しながら生産性の向上を図る。
加えて、経営感覚に優れた経営体を育成するため、経営コンサルタント、
普及指導員及び営農指導員等の指導による経営管理能力の向上と法人組織の育成を
推進する。
(2)乳用牛の供用期間の延長
(背景・課題)
近年、乳用牛の平均供用期間は短縮傾向にあり、平成26年度の平均除籍産次は
3.4産に低下している。このことが乳牛償却費用の増大につながっているため、
飼養管理の見直しによる供用年数の延長を図る必要がある。
(対応・取組)
的確な情報発信に努めることに加え、乾乳期間を短縮し、泌乳ピークを抑えた飼
養管理方法や暑熱対策を施すなどの飼養環境の改善により、供用年数の延長を図り、
生涯生産性の向上に努めることで生乳生産量の確保・増加を行う。
(3)肉用牛生産における肥育期間の短縮
(背景・課題)
肉用牛の肥育期間の長さは、脂肪交雑などの肉質の向上と枝肉重量の増加に貢献
してきたが、近年の飼料価格の上昇により、肥育経営が圧迫されている。このため、
枝肉の品質を維持しながら、肥育期間を縮減することにより、飼料費の低減等による
収益性の向上を図る必要がある。
(対応・取組)
県農林技術開発センターで開発した「長崎型新肥育技術」(前期粗飼料多給型肥育
期間短縮技術)について、肉質自動判定装置(しもふりマスター)も活用した改善
指導を行いながら普及・拡大を図り、生産コストの低減や出荷率の向上に取り組み、
収益性の改善を推進する。
(4)家畜改良の推進と牛群検定の加入率向上
(背景・課題)
需要に応じた畜産物の安定供給、品質の向上とともに、繁殖性、生産性の向上を
通じた肉用牛経営の安定を図るため、家畜改良を推進していく必要がある。
牛群検定の積極的な活用により乳用牛の生産性を向上させることが必要であるが、
本県の牛群検定加入率(頭数ベースで約41%、戸数ベースで約36%)は全国
加入率(同約60%、約50%)と比較して低く、経産牛 1 頭当たり生乳生産量が
伸び悩んでいる一因と考えられる。このため、酪農家の加入を推進し、その積極的
な活用により生産性の向上を図る必要がある。
(対応・取組)
肉用牛については、遺伝子解析や超音波画像診断技術を用いた肉質判定技術を
活用するとともに、消費者ニーズに対応していくため、肉質や枝肉重量等に加え、
牛肉の「おいしさ」等も考慮しながら優良種雄牛の効率的な造成を推進する。また、
優良な県有種雄牛の産子を中心に、育種価などを用いて選抜した高能力で特色ある
繁殖雌牛群の整備を推進する。
牛群検定の参加を推進し、検定データを有効に活用して技術改善指導の柱とする
とともに、経営管理能力の向上及び高能力牛群の整備を促進する。
(5)家畜の快適性に配慮した飼養管理の推進
(背景・課題)
日々の観察や記録・家畜の適切な取扱い、良質な飼料や水の給与等の適正な飼養
管理の励行により、家畜を快適な環境で飼養することは、家畜が健康であることに
よる安全な畜産物の生産につながるとともに、家畜の能力を最大限発揮させること
による生産性向上にも寄与する。
(対応・取組)
社団法人畜産技術協会(当時)が平成23年3月に公表した「アニマル
ウェルフェアの考え方に対応した乳用牛/肉用牛の飼養管理指針」に基づき、共通の
理解の醸成に努める。
4 国産飼料生産基盤の確立
(1)国産粗飼料の生産・利用の拡大
(背景・課題)
酪農及び肉用牛生産においては、一定量の粗飼料の給与が必要不可欠であり、
粗飼料の生産・利用の拡大は重要である。
輸入粗飼料の利用は、その価格変動等により畜産経営に影響を及ぼすことから、
高品質で低コストな国産粗飼料の生産・利用の拡大を推進し、飼料生産基盤に立脚
した安定的な経営体制を構築することが必要である。
(対応・取組)
各関係機関、生産者団体と連携し、優良品種を用いた収量の増加を推進すると
ともに、水田を活用した稲発酵粗飼料(稲WCS)等の良質な国産粗飼料の生産・
利用の拡大を図る。
また、コントラクター等の飼料生産組織や粗飼料流通組織の育成により、良質な
粗飼料を低コストで生産・流通する取組を推進する。
(2)放牧活用の推進
(背景・課題)
放牧面積及び実施戸数については、近年増加傾向で推移してきたものの、放牧
適地が確保できなかったり、放牧についての地域の理解不足等を背景に、近年伸び
悩んでいる。放牧は、生産コストの低減による収益性の向上や飼養管理の省力化の
ほか、適度な運動等による受胎率の改善など生産性の向上、また未利用地の活用に
よる耕作放棄地の解消等にも寄与する。放牧の利用にあたっては、実施者の技術の
習得や地権者の理解醸成、放牧適地の効率的な利用拡大へ向けたマッチング体制の
強化等の取組が必要である。
(対応・取組)
放牧の利用拡大を図るため、研修会の開催やICTを活用した超省力型放牧技術
の構築と普及拡大、また農地GISシステムを活用した放牧適地のマップ化による
マッチングの強化、お試し放牧事業の実施や優良事例の紹介による理解醸成、農地
中間管理事業を活用した耕作放棄地等の農地流動化の促進等を推進する。
(3)エコフィードの生産・利用の促進
(背景・課題)
飼料自給率の向上のみならず、酪農及び肉用牛経営における飼料費の低減や、
県内における資源循環の確保を図るため、食品残さや地域で排出される農場残さを
原料としたエコフィードを活用することが重要である。
(対応・取組)
食品産業事業者や再生利用事業者、畜産農家等の関係者の連携や生産利用体制の
強化を促進し、品質の確保を図りつつ、エコフィードの生産・利用の更なる拡大を
推進する。
5 家畜衛生対策及び畜産環境対策の充実・強化
(1)家畜衛生対策
(背景・課題)
口蹄疫等の家畜の伝染性疾病は、酪農及び肉用牛経営のみならず、地域経済へも
多大な影響を及ぼす。特に口蹄疫等については近隣のアジア諸国において継続的に
発生していることから、人や物を介した本県への侵入リスクは依然として極めて高い
状況にある。また、呼吸器病や消化器病などの慢性疾病も、生産量の減少や生産費の
上昇に繋がることから、これらの予防は経営改善のためにも重要である。
口蹄疫等の家畜伝染病発生の未然防止や飼養衛生管理基準遵守指導等を行うため
に、産業動物診療獣医師や公務員獣医師の確保・育成が重要である。
(対応・取組)
口蹄疫等の家畜伝染病に対し、日頃から飼養衛生管理基準の遵守に努め、
衛生管理の徹底や異状確認時の早期通報をする防疫意識の普及・啓発に努めると
ともに、発生時の円滑・迅速な防疫対応に備えた初動防疫の体制を整備する。また、
慢性疾病についても、飼養衛生管理基準の遵守に取組み、地域においては自衛防疫
を中心とした発生予防及びまん延防止に取り組む。
また、地域の産業動物獣医師を志す獣医学生への獣医修学資金の貸与、インター
ンシップ研修等を実施し、就業誘引する。加えて、家畜伝染病発生時における防疫
指導を的確に対応できる獣医師の養成を推進する。
(2)畜産環境対策
(背景・課題)
家畜排せつ物法対象農家では管理施設において適正な管理が行われているが、
家畜排せつ物の発生が多い畜産地帯では窒素負荷低減のためには適正な管理を維持
していくことが必要である。
(対応・取組)
家畜排せつ物の管理の適正化と利用の推進、自給飼料の生産はもとより、
畜産農家と耕種農家等の連携による良質堆肥や稲WCS等を含めた飼料の広域流通
と利用拡大の取組を推進する。
6 畜産クラスターの取組等による畜産と地域の活性化
(背景・課題)
近年の飼料価格高騰や農家の高齢化などにより、畜産経営を取り巻く環境は厳しさ
を増しており、生産基盤の弱体化が懸念されている。
これらの課題に対応するため、畜産農家をはじめ、地域の各関係者が有機的に
連携・結集した高収益型畜産体制(「畜産クラスター」)を構築することにより、地域
全体で畜産の収益性を高めていくことが重要となっている。
(対応・取組)
県内各地域で畜産クラスター協議会が設立され、畜産クラスター計画に基づき、
地域の収益性向上に向けた取組が行われているところであり、引き続き、各地域
協議会において地域の役割分担を明確にしながら、国の事業等も活用しつつ、各畜産
クラスターの取組を推進する。また、本県畜産のさらなる収益性の向上を目指すため、
畜産関係機関との連携により設立した「長崎県畜産クラスター協議会」において、
各地域の取組状況の共有や優良事例の情報共有等を実施し、本県全体の畜産の収益性
の向上を図る。
「畜産クラスター」の取組と増頭運動を強化しながら、中心的経営体の規模拡大等
による収益性向上をはじめ、優良事例の地域内及び県全体への波及を推進する。
また、空き牛舎の活用を含めた牛舎建設や素牛導入等による負担軽減や、巡回指導
による生産技術等の支援により、初期リスクの低減を図りながら、新規就農者や女性
を含む新たな担い手の確保・育成や規模拡大の加速化を図る。
7 畜産物の安全確保・消費者の信頼確保
(背景・課題)
酪農及び肉用牛生産の競争力強化のためには、生産者が加工・流通業者等と一体と
なって、畜産物の安定供給、食品の安全、消費者の信頼を確保する必要がある。
(対応・取組)
家畜の健康と食品の安全性を確保し、安全な牛肉を消費者に安定的に供給するため、
動物用医薬品等の適正使用の指導に努める。
さらに、HACCPについては、食肉処理施設等のHACCP導入型基準が示され
るなど、食肉の製造・加工段階でのHACCPによる衛生管理の導入を一層促進
させる動きが進展していることを踏まえ、消費者に対し、安全な供給するとともに、
国産畜産物への信頼性を確保するよう、HACCP導入に努めるものとする。
8 ニーズを踏まえた生産・供給の推進
(背景・課題)
牛乳・乳製品では、飲用牛乳の消費は年々減少し、市場も縮小傾向にある一方、
消費者の美容や健康への関心の高まり等を背景に、チーズや機能性をうたった
発酵乳等の需要は増加している。チーズについては、消費者の嗜好に合った商品の
開発が必要であり、発酵乳については、消費者の健康志向に積極的に働きかけること
が必要である。
牛肉では、脂肪交雑の多い牛肉だけでなく、適度な脂肪交雑の牛肉へのニーズも
高まっており、平成27年8月現在の牛枝肉相場は、各畜種・各等級とも堅調に
推移している。
長崎和牛については、第10回全国和牛能力共進会(肉牛の部)での日本一獲得を
契機として、ブランド化を推進するためのPRや販路拡大を図っているところである。
また、海外における日本食への関心の高まり等を背景に、和牛など国産畜産物の輸出
拡大や、訪日外国人客への国産畜産物提供の機会が増加している。
(対応・取組)
牛乳が持つ機能を消費者へ積極的に周知するとともに、牛乳・乳製品を利用した
食事等を普及・推進することで、消費拡大を図る。消費者ニーズに的確に対応した
商品開発を推進する。
霜降り牛肉に加えて、適度な脂肪交雑の牛肉等の生産を推進するとともに、褐毛
和種等の特色ある品種や地域の遺伝資源・飼料資源を活用するなど、消費者のニーズ
を踏まえながら、多様な肉用牛・牛肉の生産を推進する。
また、牛肉の「おいしさ」にも着目しながら、家畜改良を推進する。
長崎和牛については、ブランド化を推進するためのフェアやキャンペーン等の
PR対策を実施するとともに、県内外での長崎和牛指定店・協力店を拡大していく。
また、海外での商談会出展や料理講習会の開催、バイヤー招へい等に取り組み、
長崎和牛の継続的な輸出支援や新規輸出国の開拓により、長崎和牛の海外での需要
開拓を図る。
Ⅱ
1
生乳の生産数量の目標並びに乳牛及び肉用牛の飼養頭数の目標
生乳の生産数量及び乳牛の飼養頭数の目標
平成37年度の生乳生産目標は、牛乳・乳製品の消費拡大を図り現状並みの生産
水準が確保されるものとして53,000トンとする。
また、乳牛の飼養頭数については、農家戸数については減少するものの、規模拡大
により1戸当たりの飼養頭数が増加することで、現状を維持する。1頭当たりの年間
乳量は牛群改良と飼養管理技術の高度化により現在の8,006kgから概ね10%
向上させ、目標年度には8,800kgとする。
区域名
区域
の範囲
長崎県
県全域
現在(平成25年度)
経産牛1
経産牛 頭当たり
総頭数 成牛頭数
頭数
年間搾乳
量
kg
頭
頭
頭
9,250
7,060
6,570
8,006
生乳
生産量
t
52,600
目標(平成37年度)
経産牛1
経産牛 頭当たり
総頭数 成牛頭数
頭数
年間搾乳
量
頭
頭
頭
kg
8,500
6,400
6,000
生乳
生産量
8,800
t
53,000
(注)1.必要に応じて、自然的経済的条件に応じた区域区分を行い、市町村をもって区域の範囲を表示すること。
また、以下の諸表における区域区分もこれと同じ範囲によること。
2.生乳生産量は、自家消費量を含め、総搾乳量とする。
3.「目標」欄には計画期間の平成 37 年度の計画数量を、「現在」欄には原則として平成 25 年度の数値を記入すること。以下、諸表において同じ。
4.成牛とは、24 ヶ月齢以上のものをいう。以下、諸表において同じ。
2
肉用牛の飼養頭数の目標
肉用牛は、本県農業の基幹作目であり、特に離島・半島地域の農業振興に不可欠な
作目であることから、引き続き、積極的に振興を図る。
具体的には、「畜産クラスター」の仕組みを活用し、地域協議会で課題と役割分担を
確認しながら、中心的経営体の収益性向上のための施設整備や空き牛舎等の有効活用
をはじめ、分業化や担い手の育成・確保などにより、肉用牛生産基盤の強化を推進する。
これに加え、生産コストの低減と収益力の向上を図るため、農地中間管理機構等を活用
した放牧地の確保や、実証結果も踏まえながらICT等を活用した省力的な放牧等に
取り組むとともに、分娩間隔の短縮や肥育期間の縮減の取組を推進する。
これらの取組により、本県の過去最高レベルの飼養頭数を取り戻し、肉用牛生産基盤
を再構築することを目標とし、平成37年度の飼養頭数の目標は、肉用牛全体で
90,000頭、繁殖雌牛30,000頭とする。
区域名
長崎
現在(平成25年度)
乳用種等
肉専用種
区域の
範囲 肉用牛 繁殖雌
総頭数
肥育牛 その他
計 乳用種 交雑種
牛
全域
頭
頭
頭
頭
頭
76,500 26,500 23,600 14,000 64,100
頭
2,720
目標(平成37年度)
肉専用種
計
肉用牛
総頭数 繁殖雌 肥育牛 その他
牛
計
頭
頭
頭
頭
頭
頭
頭
9,690 12,400 90,000 30,000 31,000 19,000 80,000
乳用種等
乳用種 交雑種
頭
1,500
頭
8,500
(注) 1.繁殖雌牛とは、繁殖の用に供する全ての雌牛であり、子牛、育成牛を含む。
2.肉専用種のその他は、肉専用種総頭数から繁殖雌牛及び肥育牛頭数を減じた頭数で子牛を含む。以下、諸表において同じ。
3.乳用種等とは、乳用種及び交雑種で、子牛、育成牛を含む。以下、諸表において同じ。
計
頭
10,000
Ⅲ
1
近代的な酪農経営方式及び肉用牛経営方式の指標
酪農経営方式
単一経営
生産性指標
経営概要
牛
飼養形態
方式名
(特徴とな
る取組の概
要)
経営
形態
経産牛
頭数
飼養
方式
外部化
頭
作業の外部化に
よりつなぎ飼い
で規模拡大する
家族経営
家族
50
放牧
利用
(放牧
地面
積)
給与
方式
経産牛
1頭当た
り
乳量
kg
( ha)
つなぎ・
パイプラ
分離給与
イン・搾
または
ヘルパー
乳ユニッ
TMR、稲
ト自動搬
WCS利用
送装置
―
8,800
人
飼料
更新
産次
生産コスト
作付
経営内 生乳1kg当
購入国 飼料自
延べ
作付体
外部化
産飼料 給率 粗飼料 堆肥 たり費用合
面積
系及び
(種
(種 (国産 給与率 利用割 計(現状平
※放牧
単収
類)
合
類) 飼料)
利用を
均規模との
含む
比較)
産次
kg
ha
%
%
割
労働
経産
牛1
頭当
たり
飼養
労働
円(%)
hr
経営
総労働時
間(主た
る従事者
の労働時
間)
粗収
入
hr
3.7
イタリアン
6,000
ソルガム
6,100
12
コントラ
クター
稲WCS
50
50
8 83(95%)
4,000
80
(1,700×
(70%)
2人)
万円
経営
費
万円
4,280 3,680
主た 備考
る従
事者
1人
当た
り所
万円 万円
農業
所得
600
県
全
300 域
搾乳ロボット等
の機械化・外部
化を進める法人
経営
法人
100
フリース
トール・
TMR、稲
ヘルパー
搾乳ロ
WCS利用
ボット
―
8,800
3.7
イタリアン
6,000
ソルガム
6,100
20
コントラ
クター
稲WCS
50
50
6 80(92%)
54
(48%)
5,400
(1,800× 8,287 7,125 1,162
2人)
県
431 全
域
飼料生産・調整
の分業化・機械
化等による省力
化・効率化し経
営の持続性を確
保する大規模法
人経営
法人
200
フリース
トール・
哺乳ロ
ボット
―
8,800
3.7
イタリアン
6,000
ソルガム
6,100
30
コントラ
クター・
TMRセン
ター
稲WCS
40
50
6 82(94%)
60
(54%)
12,020
(2,000× 16,600 14,500 2,100
3人)
県
600 全
域
―
TMR、稲
WCS利用
(注) 1.「方式名」欄には、経営類型の特徴を、「備考」欄には「方式」の欄に掲げる方式を適用すべき区域名等を記入すること。
2.6次産業化の取組を織り込む場合には、基本方針の第3の票のように、6次産業化部門に係る指標を分けて記入すること。
3.(注)1,2については、「2肉用牛経営方式」についても同様とする。
2
肉用牛経営方式
(1)肉専用種繁殖経営
経営概要
生産性指標
飼養形態
方式名
(特徴とな
る取組の概
要)
経営
形態
飼養
頭数
頭
外部支援組
織を活用し
た労力負担
家族・
の軽減等取
複合
り組む中小
規模の家族・
複合経営
超早期母子
分離による
分娩間隔の
縮減や外部
支援組織を 家族・
活用した労 複合
力負担の軽
減に取り組
む家族・複合
経営
超早期母子
分離による
分娩間隔の
縮減や外部
支援組織を 家族・
活用した労 専業
力負担の軽
減に取り組
む家族・専業
経営
超早期母子
分離による
分娩間隔の
縮減や哺乳
ロボット・
発情発見装
家族・
置、外部支
専業
援組織を活
用した労力
負担の軽減
に取り組む
家族・専業経
営
飼養
方式
外部
化
人
飼料
牛
生産コスト
作付
放牧
延べ
購入国 飼料自
経営内 子牛1頭当た
作付体
外部化
給与
利用 分娩間 初産月 出荷月 出荷時
面積
産飼料 給率 粗飼料 堆肥 り費用合計
系及び
(種
齢
方式 (放牧地
体重
※放牧
齢
(種 (国産 給与率 利用割 (現状平均
隔
単収
類)
面積)
利用を
類) 飼料)
合
規模との比
含む
較)
%
ha
kg
%
割
円(%)
( ha) ヶ月 ヶ月 ヶ月
kg
労働
子牛1
頭当た
り飼養
労働時
間
hr
経営
主たる 備考
総労働時
従事者
間(主た
農業所
1人当
る従事者 粗収入 経営費
得
たり所
の労働時
得
間)
hr
万円
万円
万円
万円
イタリアン
6,000
15
牛房群飼・
連動スタンチョ CS(CB 分離給
ン・CS
与
S)
(CBS)
(1.5)
12.5
23.5
8.5
280
ソルガム
6,100
758
557
201
県
201 全
域
4,580
62 (1,800×2
人)
2,010
1,210
800
県
400 全
域
390,000
(76.2%)
2,180
56 (1,800×1
人)
2,900
2,220
680
県
560 全
域
384,000
(75.0%)
3,490
47 (1,800×1
人)
4,640
3,551
1,089
県
560 全
域
4.5
―
稲WCS
75
75
10
478,000
(93.4%)
88
9.5
―
稲WCS
75
75
10
394,000
(77.0%)
15.5
コントラクター 稲WCS
75
75
10
25
コントラクター 稲WCS
75
75
10
1746
(1,200)
稲WCS
3,900
30
50
80
牛房群
飼・連動ス
分離給
タンチョン・超 CS(CB
与
早期母子
S)
稲WCS
分離・
CS(CBS)
牛房群
飼・連動ス
分離給
タンチョン・超 CS(CB
与
早期母子
S)
稲WCS
分離・
CS(CBS)
牛房群
飼・連動ス
タンチョン・超
早期母子
分離・哺
分離給
CS(CB
乳ロボット・
与
S)
発情発見
稲WCS
装置・分
娩監視装
置・
CS(CBS)
イタリアン
6,000
(3)
12.0
23.5
8.5
280
ソルガム
6,100
稲WCS
3,900
イタリアン
6,000
(5)
12.0
23.5
8.5
280
ソルガム
6,100
稲WCS
3,900
イタリアン
6,000
―
12.0
23.5
8.5
280
ソルガム
6,100
稲WCS
3,900
注)CS:子牛共同育成施設(キャトル・ステーション)、CBS:繁殖牛受託施設(キャトル・ブリーディング・ステーション)。出荷月齢及び出荷時体重については、去勢牛について記載。
(2)肉用牛(肥育・一貫)経営
経営概要
生産性指標
牛
飼養形態
方式名
(特徴とな
る取組の概
要)
人
労働
生産コスト
経営
形態
飼養
頭数
飼養
方式
給与
方式
分離給
肉専用
与・
家族・
牛房群
種肥育
自動給
専業
飼
210頭
餌機
繁殖・肥育一
貫化による
もと畜費の
低減及び長
崎型新肥育
技術の導入
による肉専
用種繁殖・肥
育一貫の大
規模法人経
営
法人
肥育牛の出
荷月齢の早
期化による
飼料費等の
低減等によ
り収益性の
向上を図る
交雑種の育
成・肥育一貫
の家族経営
家族・
専業
肉専繁
殖・肥
育一貫
(繁殖
60
肥育
130)
肥育開始
時月齢
ヶ月
頭
長崎型新肥
育技術を導
入した肉専
用種の家族
経営
飼料
牛房群
飼
・連動ス
タンチョ
ン・哺 分離給
乳ロボッ 与・
ト、発 稲WCS
情発見
装置、
分娩監
視装置
分離給
交雑種
与・
牛房群
一貫
自動給
飼
380頭
餌機
9
7
1
出荷
月齢
肥育
期間
作付
延べ
購入国 飼料自
経営内 肥育牛1頭当
1 日 作付体
外部化
面積
出荷時
産飼料 給率 粗飼料 堆肥 たり費用合
当たり 系及び
(種
※放牧
体重
(種 (国産 給与率 利用割 計(現状平
増体量 単収
類)
利用を
類) 飼料)
合
均規模との
含む
比較)
ヶ月
ヶ月
kg
kg
26
17
800
0.96
26
25
19
24
800
820
(注)「肥育牛1頭当たりの費用合計」には、もと畜費は含まない。
0.96
1.04
ha
kg
イタリアン
6,000
稲WCS
3,900
9.9
イタリアン
6,000
ソルガム
6,100
稲WCS
3,900
25
‐
‐
コントラ
クター
コントラ
クター
コントラ
クター
%
%
割
20
20
1
490,387
(97%)
39
39
4
490,387
(74%)
肥育牛
31.8
子牛75
20
20
0
559,043
(-)
13.8
稲わら
稲WCS
稲わら
稲WCS
稲わら
稲WCS
牛1頭
当たり
飼養労
働時間
円(%)
hr
20.44
経営
主たる
総労働時
従事者
間(主た
農業所
1人当
る従事者 粗収入 経営費
得
たり所
の労働時
得
間)
備考
万円
万円
13,850 12,827
1,022
県
520 全
域
7,428
1,145
県
520 全
域
5,252
13,974 13,374
(2,844)
600
県
400 全
域
hr
4,292
(2,044)
8,634
(2,158)
万円
8,573
万円
Ⅳ 乳牛及び肉用牛の飼養規模の拡大に関する事項
1 乳牛
(1)区域別乳牛飼養構造
乳牛頭数
①総農家戸数 ②飼養農家戸
数
区域名
戸
現在
②/①
戸
171
25,603
長崎県
目標
(
0 )
130
(
0 )
1戸当たり平
均飼養頭数
③/②
④うち成牛
頭数
③総数
%
頭
頭
頭
0.7
9,250
7,060
54.1
8,500
6,400
65.4
(注)「飼養農家戸数」欄の( )には、子畜のみを飼育している農家の戸数を内数で記入する。
(2)乳牛の飼養規模の拡大のための措置
乳用牛の飼養規模拡大に向けては、生乳の計画生産の的確な実施により需給の
安定を図りつつ、効率的かつ安定的な生乳生産構造の実現を目標として、高齢化によ
る離農や担い手不足に対応するため、酪農ヘルパーやコントラクター組織の強化を
図り、その利用拡大を推進して、労働負担の軽減や定期的な休日を確保して労働条
件を改善することで、新規就農や担い手の確保を図る。
また、乳用牛の生産性向上や能力向上のため、牛群検定への参加に向けた普及拡大に
努めるほか、能力の高い雌牛の導入支援を行いつつ、性判別技術を活用した優良な後
継牛の確保を図り、牛群の改良を推進する。
さらに諫早湾干拓地の自然干陸地等未利用地を活用するとともに、耕種農家と連携し
て飼料用稲の利用を推進し、飼料自給率の向上を図る。
2 肉用牛
(1)区域別肉用牛飼養構造
区域名
①
②
総農家数 飼養農家
戸数
肉用牛飼養頭数
②/①
肉専用種
総数
計
戸
戸
肉専用
現在
種繁殖 県全域
経営
目標
肉専用
現在
種肥育 県全域
目標
経営
乳用
現在
種・交
県全域
雑種肥
目標
育経営
現在
合計
県全域
目標
2,770
25,603
25,603
(
(
25,603
(
(
25,603
(
(
)
)
計
交雑種
乳用種
頭
頭
頭
頭
頭
頭
頭
10.8%
38,300
38,300
24,300
0
14,000
0
0
0
45,800
45,800
26,800
0
19,000
0
0
0
0
0
0
0
0.8%
25,800
34,200
0.1%
)
)
その他
頭
)
)
肥育牛
%
2,060
207
27
168
39
31
25
12
3,010
27
2250
62
繁殖雌牛
乳用種等
11.8%
2,200
23,600
25,800
( 2,200 ) ( 4,700 )
3,200
31,000
34,200
( 3,200 ) ( 6,800 )
0
12,400
0
0
0
0
10,000
0
0
0
0
76,500
64,100
90,000
26,500
23,600
( 2,200 ) ( 4,700 )
30,000
31,000
80,000
( 3,200 ) ( 6,800 )
14,000
19,000
(
0
0
0
12,400
2,720
9,690
- ) (
10,000
( 4,900 ) (
12,400
(
- ) (
10,000
( 4,900 ) (
- ) (
1,500
- )
8,500
600 ) ( 4,300 )
2,720
- ) (
1,500
9,690
- )
8,500
600 ) ( 4,300 )
飼養頭数のうち、一貫経営(肉専用種肥育経営のうち繁殖一貫経営及び乳用種・交雑種肥育経営のうち育成との複合経営)の飼養頭数については、
農林水産省畜産統計、長崎県畜産課調べをもとに算出。
(2)肉用牛の飼養規模の拡大のための措置
肉用牛の規模拡大に向けては、肉用牛農家の高齢化等に伴う労力不足や効率的な
規模拡大に対応するため、飼料生産受託組織(コントラクター)をはじめ、ヘルパー
組織、肉用子牛の共同育成施設(CS)、繁殖牛受託施設(CBS)等による分業化・
省力化支援体制を整備・推進するとともに、雇用・研修の場としての有効活用にも
取り組んでいく。
さらに、労働力不足を補い、省力化を推進するため、ICT等の新技術も積極的
に活用しながら、監視カメラ、哺乳ロボット、発情発見機器等の導入による効率的・
省力的な生産体系を推進する。加えて、素牛価格の変動に左右されない強固な経営体
を育成するため、繁殖部門を経営に取り込んだ経営内一貫体制への移行を推進する。
これらの外部支援組織や省力化機械の活用に当たっては、畜産クラスターの仕組みも
活用しつつ、地域の実情に応じて組み合わせて利用することにより、個々の経営だけ
でなく、地域全体での所得向上を推進する。
(CBS、CS等の整備・活用状況)
本県では、これまでに、キャトル・ブリーディング・ステーション(CBS)が
壱岐市(平成20年度:繁殖牛舎4棟、子牛育成牛舎2棟、哺乳牛舎1棟)に、
キャトル・ステーション(CS)が壱岐市(平成12年度:子牛育成牛舎2棟、
平成17年度:子牛育成牛舎2棟、繁殖牛舎1棟)、五島市(平成18年度:
子牛育成牛舎2棟)及び平戸市(平成23年度:子牛育成牛舎2棟)にそれぞれ整備
されている。
これらの施設からは、年間2,500頭を超える子牛が県内市場に上場されており、
県内市場年間出荷頭数の14%を占めている。
また、これらの施設の活用により、委託農家の労力負担軽減、余裕スペースを利用
した規模拡大、不妊牛の早期治療による繁殖成績の向上等が期待でき、地域の
繁殖基盤の維持、強化を目指す上で、重要な役割を果たしている。
農家の高齢化の進展、担い手不足等により、繁殖基盤の弱体化が懸念されるなか、
外部受託施設等の果たす役割はますます重要となってくることが考えられる。
このため、引き続き、畜産クラスターの仕組みも活用しつつ、これらの生産拠点の
整備・活用を図る。
Ⅴ
1
飼料の自給率の向上に関する事項
飼料の自給率の向上
乳用牛
肉用牛
飼料作物の作付延べ面積
飼料自給率
現在
20%
22%
12,183ha
目標(平成37年度)
50%
39%
16,442ha
2 具体的措置
(1)国産粗飼料の生産・利用の拡大(再掲)
(背景・課題)
酪農及び肉用牛生産においては、一定量の粗飼料の給与が必要不可欠であり、粗
飼料の生産・利用の拡大は重要である。
輸入粗飼料の利用は、その価格変動等により畜産経営に影響を及ぼすことから、
高品質で低コストな国産粗飼料の生産・利用の拡大を推進し、飼料生産基盤に立脚
した安定的な経営体制を構築することが必要である。
(対応・取組)
各関係機関、生産者団体と連携し、優良品種を用いた収量の増加を推進するとと
もに、水田を活用した稲発酵粗飼料(稲WCS)等の良質な国産粗飼料の生産・利
用の拡大を図る。
また、コントラクター等の飼料生産組織や粗飼料流通組織の育成により、良質な
粗飼料を低コストで生産・流通する取組を推進する。
(2)放牧活用の推進(再掲)
(背景・課題)
放牧は、生産コストの低減による収益性の向上や飼養管理の省力化のほか、適度
な運動等による受胎率の改善など生産性の向上、また未利用地の活用による耕作放
棄地の解消等も期待される。放牧の利用にあたっては、実施者の技術の習得や地権
者との理解醸成、放牧適地の効率的な利用拡大へ向けたマッチング体制の強化等の
取組が必要である。
(対応・取組)
放牧の利用拡大を図るため、研修会の開催やICTを活用した超省力型放牧技術
の構築と普及拡大、また農地GISシステムを活用した放牧適地のマップ化による
マッチングの強化、お試し放牧事業の実施や優良事例の紹介による理解醸成、農地
中間管理事業を活用した耕作放棄地等の農地流動化の促進等を推進する。
Ⅵ
1
集乳及び乳業の合理化並びに肉用牛及び牛肉の流通の合理化に関する事項
集送乳の合理化
平成17年に県内の約6割の酪農家が加入する酪農協が設立され、県内の酪農協は
5団体となった。今後も県内1酪農協体制に向けた酪農協の再編統合を推進することで、
集送乳経費の生産者負担の軽減と集乳路線の合理化を図る。
また、さらなる集送乳経費の削減や、効率的な集乳路線の整備を行うには、現在の
集乳路線の域を超えた、より広域的な取組みが必要となるため、生産者団体の自発的な
推進方策のもと、指定生乳生産者団体が主体となって行う生乳流通体制の合理化へ
向けた取組を推進する。
2 乳業の合理化
(1)乳業施設の合理化
工場数
(1日当たり
生乳処理量2t以上)
現在
(平成25
年度)
飲用牛乳を
主に製造
する工場
乳製品を主に
製造する工場
33,573
133,980
25.1
1工場平均
16,787
66,990
25.1
合計
53,600
133,980
40
1工場平均
26,800
66,990
40
合計
1工場平均
区域名
目標
(平成37
年度)
合計
備考
2工場
乳製品を主に
製造する工場
飲用牛乳を
主に製造
する工場
1日当たり
稼働率
生乳処理
能力
①/②×100
②
%
kg
kg
1日当たり
生乳処理量
①
2工場
合計
1工場平均
(注) 1.「1 日当たり生乳処理量」欄には、年間生乳処理量を 365 日で除した数値を記入すること。
2.「1 日当たり生乳処理能力」欄には、飲用牛乳を主に製造する工場にあっては 6 時間、乳製品を主に製造する工場にあっては北海道は 12 時間、北海道以外は 6 時間それぞれ稼働した場合に
処理できる生乳処理量(kg)の合計を記入すること。
(2)具体的措置
乳業工場の再編・合理化は、製造販売コストの低減や酪農経営の安定、安全で
消費者の信頼が確保された牛乳・乳製品の安定供給につながることから推進する。
現在、県内には2つの飲用牛乳工場(1日当たり生乳処理量2トン以上)があるが、
生乳生産及び地域経済を考慮して、生産体制の整備や稼働率の向上等を促進する。
また、県内工場での生乳処理販売は、生乳生産量の概ね3割程度で、残りの7割の
生乳は県外で処理されていることから、今後は県内の生産者、乳業者及び販売者が
連携を密にし、県内で処理された牛乳の販路拡大に努め県内工場の生乳処理販売量の
増加を図る。
牛乳・乳製品の安全性の確保については、県内にはHACCP手法を導入した高度
な衛生管理水準を備えた乳業工場は1工場のみであり、その他の乳業者は経営状況や
施設・環境等の整備が必要なため、HACCP取得及びHACCP手法に準じた処理
施設の導入について継続した指導を行う。
牛乳・乳製品の製造過程に起因する食品事故を未然に防止することは、消費者に
対して安全性に対する信頼感を与えるだけではなく、乳業メーカーの経営安定にも
資することから、各乳業者は、牛乳・乳製品の製造過程におけるHACCP手法の
導入に積極的に取り組むこととする。
3 肉用牛及び牛肉の流通の合理化
(1)肉用牛の流通合理化
ア 家畜市場の現状
登録
年月日
名称
開設者
宇久小値賀
ながさき西海農協
壱岐
平戸口
五島
県南
計
壱岐市農協
S31.12.04
S31.12.06
ながさき西海農協
H15.07.11
ごとう農協 H13.04.20
全農長崎県本部
H13.04.02
5 ヶ所
年間開催日数
乳用種等
肉専用種
成牛 初生牛 子牛
子牛
成牛
回(日) 回(日) 回(日) 回(日) 回(日)
6(6)
6(6)
6(16) 6(16)
8(14) 8(14)
6(11) 6(11)
6(12) 6(12)
32(55) 32(55)
1(2)
1(2)
年間取引頭数(平成25年度)
肉専用種
乳用種等
子牛
成牛 初生牛 子牛
成牛
頭
頭
頭
頭
頭
( ) ( ) ( )
1,714
131
4,447
774
5,374
711
3,049
372
4,827
365
2(2)
2(2)
19,411 2,353
(注) 1.肉用牛を取り扱う市場について記入。
2.初生牛とは生後 1∼4 週間程度のもの、子牛とは生後 1 年未満のもの(初生牛を除く)、成牛とは生後 1 年以上のもの。
3.乳用種等については、交雑種は内数とし( )書きで記入。
イ
具体的措置
現在、県内には5箇所の家畜市場があり、平成25年度において、肉専用種の
子牛19,411頭、成牛2,353頭等が取引されている。
家畜市場は、上場子牛の公正な取引及び適正な価格形成を確保するとともに、地域
において肉用牛繁殖基盤の維持・拡大等に重要な役割を果たしていることを
踏まえつつ、関係機関、農業団体等の一体的な協力支援の下で、周辺の市場も含めた
上場頭数の実態に応じて再編整備を推進する。
(2)牛肉の流通の合理化
ア 食肉処理加工施設の現状
名称
佐世保食肉セ
ンター
設置者
(開設)
設置
(開設)
年月日
佐世保市
年間
稼働
日数
と畜能力
1日当たり
①
と畜実績
1日当たり
うち牛
②
うち牛
稼働率
②/①
%
部分肉処理
能力1日当たり
③
部分肉処理
実績 計
うち牛
④
稼働率
④/③
%
うち牛
昭39.4.1
245
790
240
589
164
74.6
―
―
396
120
―
(株)日本フー (株)日本フー
ドッカー諫早工場
ドパッカー
平10.4.1
245
880
200
684
100
77.7
―
―
671
92
―
(株)日本フー (株)日本フー
ドッカー川棚工場
ドパッカー
平8.4.1
245
990
―
727
―
73.4
―
―
725
―
―
五島食肉セン
ター
五島市
昭56.10.6
171
162
48
90
12
55.5
―
―
56
9
―
島原半島地域
食肉センター
島原半島地域
食肉センター
事業協同組合
平25.4.1
243
500
40
430
20
86
―
―
―
―
―
1,149
3,322
528
2,520
296
75.9
―
―
1,848
221
―
計
5 ヶ所
(注) 1.食肉処理加工施設とは、食肉の処理加工を行う施設であって、と畜場法(昭和 28 年法律第 114 号)第 4 条第 1 項の都道府県知事の許可を受けたものをいう。
2.頭数は、豚換算(牛 1 頭=豚 4 頭)で記載すること。「うち牛」についても同じ。
イ
肉用牛(肥育牛)の出荷先
出荷頭数
食肉処理
①
加工施設 家畜市場
②
区
域
名
県
域
肉専用種
乳用種
交雑種
合
計
目標(平成37年度)
出荷先
県内
現在(平成25年度)
出荷先
県内
区分
頭
13,616
1,287
5,590
頭
6,536
412
1,843
20,493
8,791
頭
その他
頭
県外
②/①
出荷頭数
食肉処理
①
加工施設 家畜市場
②
頭
7,080
875
3,747
%
48%
32%
48%
頭
19,062
944
5,117
頭
11,982
412
1,843
11,702
43%
25,123
14,237
頭
その他
頭
県外
②/①
頭
7,080
532
3,274
%
63%
44%
36%
10,886
57%
長崎県畜産課調べ、農林水産省畜産統計及び牛トレーサビリティデータを元に算出。
ウ
具体的措置
県内では現在、5カ所の食肉処理加工施設(本土4、離島1)が稼動している。
佐世保市のと畜場については、肉用牛の県内と畜頭数の6割を処理し、その出荷
農家は県内全域にわたっていること、また、県内唯一の市場併設の施設であり、価格
形成に大きな影響を与えていることなどから、本県の基幹的食肉処理加工施設として
位置づけている。
引き続き、佐世保市及びと畜場その他の施設の連携の下、県内の牛肉流通の合理化
に努める。
さらに、HACCPについては、食肉処理施設等のHACCP導入型基準が示され
るなど、食肉の製造・加工段階でのHACCPによる衛生管理の導入を一層促進させ
る動きが進展していることを踏まえ、消費者に対し、安全な畜産物を供給するととも
に、国産畜産物への信頼性を確保するよう、HACCP導入に努めるものとする。
Ⅶ
1
その他酪農及び肉用牛生産の近代化を図るために必要な事項
担い手の育成と労働負担の軽減のための措置(再掲)
酪農については、高齢化・担い手不足、飼料価格を始めとする生産コストの上昇
により、農家戸数、飼養頭数ともに減少が続いており、生産基盤の弱体化が懸念されて
いる。
新たな担い手を確保するため、離農予定農家と新規就農者とのマッチング等経営
継承システムの構築を検討する。
毎日の搾乳作業や飼料生産等重労働が多く、定期的な休日が確保しにくいため、
新たな担い手の確保が困難となっている。周年拘束性の高い酪農の労働条件の改善の
ため、酪農ヘルパー組織など外部支援組織の活用や省力化機械の導入による労力負担
軽減を図る必要がある。
肉用牛については、配合飼料価格・素牛の上昇等による厳しい経営環境や、後継者
不足等を背景に、担い手の高齢化や後継者不足等による離農も増加し、この間1戸
当たり飼養頭数は少しずつ増加しているものの、総戸数の減少が、総飼養頭数の減少に
つながっている。
飼養戸数の減少を抑制するためには、後継者による継承や、新規参入を促すと
ともに、畜産クラスター協議会の仕組み等を活用した地域での話し合い等を通じて、離
農 農家を含む経営資産(牛舎や牛)を後継者や若年層に円滑に継承することが重要で
あ る。また、新規就農者の確保に向けては、初期リスクの低減を図るとともに、企業
等 の参入についても、関係市町や団体等と連携しながら検討する。
さらに、省力化・分業化により労力負担を軽減することにより、地域全体での飼養 頭
数の増加を図るため、外部支援組織の活用による分業化、放牧や ICT の活用や機械 化
による飼養管理の省力化の推進が取組を推進する必要がある。
① 新規就農の確保と担い手の育成
(背景・課題)
酪農及び肉用牛生産の新規就農に当たっては、飼養・経営管理に係る技術・知識
の習得のみならず、農地の取得、牛舎等の整備、家畜の導入等に多額の初期投資が
必要である。また、例えば肉用牛繁殖経営では、素牛の導入から子牛の出荷までに
数年を要することから、経営が軌道に乗るまでの運転資金の調達が課題である。こ
のように、畜産・酪農の新規就農のハードルは、他の農業分野に比べても高いため、
初期リスクの軽減を図ることによる新規参入の加速化が必要である。
(対応・取組)
新規就農者の確保・育成のため、家畜導入や牛舎整備に対する支援や制度資金の
活用等の新規就農対策を強化するとともに、畜産クラスター協議会の仕組み等を活
用した地域での話し合い等を通じて、離農農家を含む経営資産(牛舎や牛)を
後継者や若年層に円滑に継承することが重要である。また、地域の関係者と連携し
新規就農に当たっての初期負担を軽減することにより、より円滑な就農を実現する
ための取組についても検討する。さらに、肉用牛生産基盤の継承のため、既存農家の
経営継承等はもとより、企業等の参入についても、関係市町や団体等と連携しながら
推進する。
② 外部支援組織や省力化機械等の活用推進
(背景・課題)
酪農及び肉用牛生産は、家畜の飼養・衛生管理、飼料の生産・調整などに多くの
労働力を要するが、担い手の高齢化、後継者不足、過疎化等により、労働力が不足
している。このため、外部支援組織の活用や、省力化機械等の導入により、労力負担
の軽減を図るとともに、これらを活用して、地域全体の収益力向上を図る必要がある。
(対応・取組)
肉用牛農家の高齢化等に伴う労力不足や効率的な規模拡大に対応するため、
飼料生産受託組織(コントラクター)をはじめ、ヘルパー組織、肉用子牛の
共同育成施設(CS)、繁殖牛受託施設(CBS)等による分業化・省力化支援体制
を整備・推進するとともに、雇用・研修の場としての有効活用にも取り組んでいく。
さらに、労働力不足を補い、省力化を推進するため、ICT技術等の新技術も
積極的に導入しながら、監視カメラ、哺乳ロボット、発情発見機器等の導入による
効率的・省力的な生産体系を推進する。
これらの外部支援組織や省力化機械の活用に当たっては、畜産クラスターの仕組み
も活用しつつ、地域の実情に応じて組み合わせて利用することにより、個々の経営
だけでなく、地域全体での所得向上を推進する。
2 畜産クラスターの推進方針(再掲)
(背景・課題)
近年の飼料価格高騰や農家の高齢化などにより、畜産経営を取り巻く環境は厳しさ
を増しており、生産基盤の弱体化が懸念されている。
これらの課題に対応するため、畜産農家をはじめ、地域の各関係者が有機的に
連携・結集した高収益型畜産体制(「畜産クラスター」)を構築することにより、
地域全体で畜産の収益性を高めていくことが重要となっている。
(対応・取組)
県内各地域で畜産クラスター協議会が設立され、畜産クラスター計画に基づき、
地域の収益性向上に向けた取組が行われているところであり、引き続き、
各地域協議会において地域の役割分担を明確にしながら、国の事業等も活用しつつ、
各畜産クラスターの取組を推進する。
また、本県畜産のさらなる収益性の向上を目指すため、畜産関係機関との連携に
より設立した「長崎県畜産クラスター協議会」において、各地域の取組状況の共有や
優良事例の情報共有等を実施し、本県全体の畜産の収益性の向上を図る。
「畜産クラスター」の取組と増頭運動を強化しながら、中心的経営体の規模拡大等
による収益性向上をはじめ、優良事例の地域内及び県全体への波及を推進する。
また、空き牛舎の活用を含めた牛舎建設等の負担軽減や、巡回指導による生産技術
等の支援により、初期リスクの低減を図りながら、新規就農者や女性を含む新たな担
い手の確保・育成や規模拡大の加速化を図る。
Fly UP