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2016年新春対談 2016年新春対談 新春対談

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2016年新春対談 2016年新春対談 新春対談
ですが、鳥イ な要素で、子どもたちがあのく 所長 本当に市長のおっしゃる
ンフルエンザ らい大きな鳥を見ると感動が起 とおりだと思います。鳥は環境
となると大変 きるんですよ。しかも、コウノ の一番分かりやすい指標ですね。
なことになっ トリというのは人が好きで、い ﹃ 沈 黙 の 春 ﹄ と い う 衝 撃 的 な 本
てしまいます。 じめさえしなければ、田んぼの がありますが、鳥のさえずりも
全てではない 中でドジョウとかカエルをつい 聞こえないような環境というの
のですが、鳥 ばみながら、子どもたちが隣を は、多くの人にとって非常に不
の中には群れ 通っても見てるだけで逃げよう 幸な環境だと思います。
を作りたがる としない。人工物が好きで電柱 市長 ただ、手賀沼の環境を守
ものは集まる とかに巣を作ります。鳥の中で ろうとすると、我孫子だけでは
傾向がありま も人間の近くに住むのに適した 守りきれないですね。利根川も
そうですが、近隣や流域の市町
す。そこを何とか人間の知恵で 鳥だと思います。
分散させるというのは良い姿だ 市長 もう 年くらい前ですか、 村と連携していかないと、この
と思います。
我孫子の北新田にコウノトリが 水辺空間というものは維持でき
市長 ムクドリもあれだけ集ま 来て、田んぼでエサを食べてい ないと思っています。
ると子どもから怖いって言われ るところを写真で見ました。や 所長 コウノトリやトキを呼び
ますからね。
はり広々としたところがエサも 戻すネットワークが 市町村に
所長 近隣の野田市で昨年 羽 とりやすいのでしょうね。
及んでいるというのは、そうい
のコウノトリを放鳥しました。 所長 豊岡で放鳥したもので一 う意味で大きなことです。鳥を
若い時に放鳥したので、予想ど 番遠くに行ったのは奄美大島で 守るにもやっぱり連携というこ
おり全国を駆け巡ってくれまし すね。大きな鳥ですから、ひと とは大事なことです。アホウド
っ飛びで行っちゃうんです。韓 リはおかげさまで、 千羽近く
た。
市長 兵庫県の豊岡市や能登半 国にも 羽行ってます。ある程 まで増えています。昨年も鳥の
島の方にも行ってましたね。
度の年齢になると落ち着くよう 博物館で﹁アホウドリ展﹂を開
所長 コウノトリというのは縄 です。
催し、多くの方に理解していた
張りというか、ある程度のテリ 市長 若いうちはあっちに行っ だき、ありがたいこと
トリーがないといけないのです。 たりこっちに行ったりふらふら だと思います。
個体群が カ所だけだと絶滅の するんですかね。何か人間に似 市長 JBFに毎年来
てくれる小笠原の人た
危 機 が 高 ま り ま す。 メ タ 個 体 ていますね。
群(※ )といいますけど、交 所長 大人になってもなかなか ちがアホウドリのデコ
流のある複数の地域個体群の存 落ち着かない人もいますけどね。 イをブースの前に飾っ
在が大切です。せっかく野田市 市長 昨年のJBFの時に、リ ていましたね。
で放鳥したので、この手賀沼周 トアニアの大使がコウノトリは 所長 山階は研究所で
辺にも落ち着いてくれるとあり リトアニアの国鳥ですという話 すので、やはり保護活
動とか保全活動は、そ
がたいなと思います。いずれに をしていました。
しても、関東にコウノトリがよ 所長 向こうではかなり数が多 こにいる地域の方たち
みがえる日が来るといいですね。 いんです。コウノトリはどの国 が主体となってやって
いくことが重要で、山
やっぱり大きさというのは重要 でもイメージがいいですね。
階としては後ろから応
援するというスタンス
地域の連携で守る
でやっています。
市長 そうですね。沖
縄のヤンバルクイナ、
佐渡のトキ、豊岡や野
田のコウノトリ、そし
てアホウドリにしても、
山階鳥類研究所の学術
的な裏付けのバックア
ップがあって保護活動
があるんですよという
話をすると、そういう
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▲コウノトリ飛翔
市内北新田にて(平成17年1月撮影)
3
所長 我孫子は鳥の博物館を持
ち、また鳥で知名度やイメージ
を上げていくことはいいですね。
市長 今の地方創生に絡めて、
どのようにまちづくりに生かす
かという話の中で、我孫子とし
ては水鳥、野鳥が生息しやすい
水辺環境を守っていくこと。鳥
が生息しやすい環境は人にとっ
1
No.1396 平成 28
(2016)
年 1 月 1日号
新春対談
市政情報
5 広報 あびこ
人と鳥の
2016
20
16年 新春対談
201
新春対談
林良博さん プロフィール
東京大学卒、農学博士。ハーバード大学客員研究員、コーネル大学客員助教授、東京大学教授を歴任。
2010年に山階鳥類研究所所長、我孫子市鳥の博物館名誉館長、2013年に国立科学博物館館長に就任。
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ても生活しやすい。水や緑は人
が生活していく上で、心にゆと
りや安らぎを与えてくれます。
大正から昭和にかけて、白樺派
の文人たちが執筆活動をしてい
ましたし、最近では昨年本屋大
賞を受賞した上橋菜穂子さんも、
手賀沼周辺を散歩して気分転換
するとおっしゃっていました。
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員の浄財で活動できるというこ
とがありますから。何をしてい
るかを分かっていただく必要が
あります。
市長 市としても、広報やホー
ムページで山階鳥類研究所の活
動をもっとPRしていければと
思います。
今年の抱負
※1 メタ個体群 …複数の個体群(ある一定範囲に生育・生息する生物1種の個体のまとまり)の集まり
※2 バイオミメティクス…生物の構造や機能にヒントを得て、人工物に応用する技術
研究所が我孫子にあるんですか
と言われますね。
所長 ありがとうございます。
やはり研究所は研究的なところ
から応援するというスタンスが
一番いいんじゃないかなと思っ
ています。広報活動もきちんと
やっていかないといけないです。
公益財団法人ですので、賛助会
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市長 最後になりますが、林さ ルギーを使わない飛び方ができ
んの今年の抱負は。
るんです。それから羽毛のすご
所長 山階鳥類研究所も我孫子 さですね。特に羽毛の色ですが、
で再スタートさせていただき、 構造色といいまして、人の着る
本当にいい環境で研究を続けさ 衣服にあの技術を応用できたら
せていただいています。一昨年、 華やかな衣類ができるんじゃな
昨年と日本人があれだけノーベ いかと。すでに開発も始まって
ル賞を取りました。バイオミメ います。そういうことを研究し
ティクス(※ )という分野が ている研究者も山階に出てきま
あるんですが、鳥も今、大きな した。山階発で鳥の保全に加え
注目を浴びています。鳥の飛び て、こうした新しい鳥の役割な
方もその一つです。非常にエネ どを発信できたらいいなと思っ
ています。
市長 私の抱負は、市民の皆さ
んが我孫子に住んでよかった、
これからもずっと住み続けたい
と思ってもらうことです。財政
的には非常に厳しいので、事業
の優先順位をきちんと付けて、
ニーズに合わせてやっていくし
かないと思っています。特に子
育ての政策は、長期のビジョン
というより、若い世代の皆さん
が何を求めているのか敏感に察
して、必要であればどんどん変
えていこうと思います。この水
辺を大切にして落ち着いた住環
境の中で子育てをしやすいまち
にしたいです。市の基本構想で
も将来都市像を﹁手賀沼のほと
り 心
輝 く ま ち ~人・ 鳥・ 文 化
のハーモニー~﹂としています。
人と鳥の共存をめざしたまちづ
くりを進めていきたいと思いま
す。本日は、大変お忙しいとこ
ろありがとうございました。
所長 こちらこそありがとうご
ざいました。
▲手賀沼と周辺の緑
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