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Keysight Technologies 高解像度技術による熱画像の改善
Keysight Technologies 高解像度技術による熱画像の改善 Application Note はじめに ソーシャルメディアが一般的に利用されるようになり、デジタル画像の新たな用途が広がり私たちの生活の一部 になっています。デジタル画像は、画像をデジタル的にほとんど制限なく保存/複製/共有できます。しかし、 デジタル画像はやはり離散システムなので、システム解像度によって見えるものは制限されます。デジタル画像 システムのテクノロジーはこれまでに着々と進化し、現在では非常に安価に利用できますが、それとは対照的に、 赤外線画像システムの価格はディテクターの解像度とともに非常に高価なります。 デジタル画像の解像度を向上させるテクノロジーは超解像技術と呼ばれています。デジタル画像システムの開発 途上でさまざまな超解像技術が開発され、それぞれに長所と短所があります。赤外線画像システムは解像度を上 げるために、デジタル画像システムに使用されている解像度拡張テクノロジーを利用しています。Keysight TrueIR赤外線サーモグラフィには、高解像度(FR)技術と呼ばれる独自のマルチフレーム超解像手法/アルゴリズ ムが採用され、これにより熱画像の解像度が4倍向上しています。このアプリケーションノートでは、このテク ノロジーの概念を説明します。 03 | Keysight | 高解像度技術による熱画像の改善 - Application Note 解像度とコスト 高解像度の仕組み 空間分解能とも呼ばれる瞬時視野角(iFOV)により、赤外線サーモグラ 図1は、高解像度処理を簡素化したモデルです。処理の各ステップが、 フィが検出できる視野角(FOV)の最小単位が決まります。対象物が赤 それぞれ別のタスクを行うようにデザインされています。マルチフ 外線サーモグラフィの実iFOVよりも大きくなければ温度を正しく測定 レーム収集では、次の処理で使用する画像データを準備します。重ね できません。赤外線サーモグラフィディテクターの各ピクセルは、対 合わせでは、すべてのデータを解析/マージした後で復元し、仕上げ 象物までの距離で決まる実iFOV内の面積の平均温度を測定します。高 調整でクリアでシャープな画像を作成します。これにより、赤外線画 解像度は、大きな対象物(ビルディング、壁、屋根)を検査するときに 像の実効解像度が4倍向上します。 特に便利で、遠くの対象物(変電所、大型機械)や小さい対象物(電子プ リント基板アセンブリ(PCBA))にも利用されています。 マルチフレーム収集 赤外線サーモグラフィの解像度が高いほど測定対象物をより細部まで 具体的にはマルチフレーム収集の処理では、同じカットのIR画像フ 確認でき、さらにクリアな赤外線(IR)画像を取得でき、測定が正確に レームを複数、連続的に捕捉します。ここでは、サーモグラフィを操 なります。赤外線サーモグラフィは解像度が高いほど価格も高いので、 作するときの自然な手ぶれによって、各フレームがわずかにずれるこ 予算によって赤外線サーモグラフィソリューションの選択が制限され とも考慮されています。わずかにずれた各フレームの熱情報は少しず ることも多くあります。例えば、通常、320×240ピクセルの赤外線サー つ異なっており、これは後の処理で抽出されます。 モグラフィの価格は、160×120ピクセルの赤外線サーモグラフィの価 格の2倍になります。 マルチフレーム収集の処理中に、簡単な補間法を用いてすべてのフ レームがより高解像度の画面(例:160×120ピクセルから320×240 ピクセルに)に拡大されます。補間とは、低解像度ディテクターで捕 高解像度ソリューション デジタル画像システムには基本的な制限があります。赤外線画像シス テムはデジタル画像テクノロジーを利用しているので、赤外線画像シ ステムにも同様の制限が存在します。例えば、ディテクターアレイは 離散的な特性がありピクセル数が有限なので、検出できる面積が制限 されます。したがって、デジタル画像では多少の情報が欠落します。 また、光学システム(レンズ)によってデジタル画像が不明瞭になりま す。この現象は、赤外線画像システムでは、解像度が低い場合に顕著 捉した隣接ピクセルデータを用いて新しいサブピクセルを予測し、画 像ピクセルを増加させる手法です。この手法は、カーブフィッティン グ演算機能によく似ています。新しいピクセルは測定値ではなく予測 値です。 補間処理は高速なので、補間された高解像度画像はリアルタイムです。 リアルタイムの低解像度画像をディスプレイ表示する代わりに補間さ れた高解像度画像がLCDに表示されます。これは、デジタルカメラと 同様に、熱画像のモニタとして使用できます。 に現れます。 TrueIR赤外線サーモグラフィが採用している高解像度技術により、実 効熱解像度が4倍向上し、瞬時視野角(iFOV)は1.5倍向上します。これ を実現するために、低解像度ディテクターに複雑なアルゴリズムを適 用しています。高度なデジタル画像プロセッサを併用して、複雑なア マルチフレーム 収集 ルゴリズムをシステムラグなしで処理できるようにしています。全体 的に、高解像度技術を使用すれば、赤外線画像システム全体に高いコ ストをかけなくても画質と測定確度が向上します。 重ね合わせ 復元 図1. 高解像度モデル 04 | Keysight | 高解像度技術による熱画像の改善 - Application Note 結論 重ね合わせ 捕捉された各フレームは位置がわずかにずれているので、単にフレー ムを重ねただけでは正しい結果が得られません。重ね合わせ処理では、 最初に、各フレームに共通した複数の特徴点を特定します。これらの 特徴点により、すべてのフレームの共通アイデンティティを表すレジ スタマップが作成されます。その後、レジスタマップに従ってフレー ムを配置/調整し、すべてのフレームを重ね合せて高解像度画像を作 成します。図2は、重ね合わせ処理を示しています。 高解像度技術を使用した出力画像はラボテストで実証できます。最も 簡単なテスト方法は、細い1 mmの垂直バーの温度を一定の距離で測 定する方法です。図3は、TrueIRのディテクターアレイが細いバーの 熱画像を捕捉する様子を示しています。前述の実iFOVの制限により、 フレームを1つだけ使用している場合(この例では、フレーム1のみを 使用する場合)は、バーの平均温度が1つしか記録されないので不正確 になります。 復元 マルチフレーム収集による高解像度技術により、サブピクセル情報を 熱画像を改善してシャープにするには復元が必要です。ノイズを低減 復元できます。図4は、160×120ピクセルのディテクターを用いた場 する平均化アルゴリズム、画像をシャープにするエッジ・エンハンス メント・アルゴリズムなど、多くの数学モデルと画像処理手法が使用 されています。 合と、320×240ピクセルの高解像度赤外線サーモグラフィを使用し た場合のテスト結果の比較です。高解像度技術によりiFOVが1.5倍向 上し、1.5倍正確な温度測定が可能です。このように、赤外線画像シス テムを購入する際に、TrueIRの高解像度を選択すれば高いコストをか けなくても高解像度が得られます。 補間済みフレーム 特徴点 ピクセルアレイ ターゲット(1 mmバー) フレーム1 調整 フレーム2 ファインレゾリューション画像 ・ 4倍以上の 解像度 フレーム5 ・ 1.5倍以上の 図2. 重ね合わせ 図3. ディテクターのピクセルアレイ 1.5倍の向上 温度 iFOV 320×240 高解像度技術 160×120 ディテクター 解像度 ピクセル 図4. ラボテスト結果(1 mmバー) 05 | Keysight | 高解像度技術による熱画像の改善 - Application Note myKeysight www.keysight.co.jp/find/mykeysight ご使用製品の管理に必要な情報を即座に手に入れることができます。 www.axiestandard.org AXIe(AdvancedTCA® Extensions for Instrumentation and Test)は、 AdvancedTCA®を汎用テストおよび半導体テスト向けに拡張したオープン規格 です。Keysightは、AXIeコンソーシアムの設立メンバーです。 www.lxistandard.org LXIは、Webへのアクセスを可能にするイーサネットベースのテストシステム用 インタフェースです。Keysightは、LXIコンソーシアムの設立メンバーです。 www.pxisa.org PXI(PCI eXtensions for Instrumentation)モジュラー測定システムは、PCベー スの堅牢な高性能測定/自動化システムを実現します。 www.keysight.com/go/quality Keysight Technologies, Inc. DEKRA Certified ISO 9001:2008 Quality Management System 契約販売店 www.keysight.co.jp/find/channelpartners キーサイト契約販売店からもご購入頂けます。 お気軽にお問い合わせください。 www.keysight.co.jp/find/trueir_art © Keysight Technologies, 2015 Published in Japan, June 23, 2015 5991-4606JAJP 0000-00DEP www.keysight.co.jp