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第35回 中国四国地域 農山漁村女性のつどい開催
第35回 中国四国地域 農山漁村女性のつどい開催 平成21年8月26日(水)∼27日(火)に「第35回農山漁村女性のつ どい」を、高知共済会館(高知県)土佐町内にて開催しました。中国四国 管内の生活研究グループ員や農業者と行政担当者等100名が参加し、「 つどい 学び つなげたい伝統の技とおもてなしの心」をテーマに、基調 講演、事例発表、意見交換、現地研修を行いました。 ☆★ 基 調 講 演 「十和おかみさん市の取組について ☆★ 講師 四万十町十和おかみさん市 会長 居長原 信子氏 十和おかみさん市の取組は「十和の台所」という小さな直売 所を出発点として始まった。おかみさん市は、この「十和の台所 」と「おでかけ台所」と称した高知市周辺のスーパーでの直販、 都市部の消費者をおもてなしする「おもてなしツアー」、「おも てなしバイキング」と食育の推進として学校給食や福祉施設など への食材の提供の4つを取り組みの柱としている。自分たちが生 きている条件の中で何ができるか、何をしたらいいか考えて行動 しようという発想から十和地区の財産でもある地域資源を活用し て外に出て売ることにした。 おかみさん市の特徴としては、男性、女性に関わらず一緒に活動する中で、グループを組んでグル ープ単位で動いているということ、総会と毎月開催される企画会議、代表者会議で決定される組織で あること。またその中で加工部会、エコ部会、給食部会に分かれ、それぞれが特色ある取り組みを行 っている。 エコ部会では、ISO14001に取り組んでいる。これに取り組むことによって、環境問題、農 薬についての学習が義務づけられるので、農薬が適正使用できるようになった。また、高齢者でも簡 単に記帳できる生産履歴カレンダーもでき喜ばれている。加工部会では、味噌造りにも取り組み、休 耕田を使って麦と大豆を栽培することで遊休農地の利用にも役立っている。また、平成17年から年 4回、各地域の郷土料理を食べてもらいながら、色々な農業体験をしてもらう「おもてなしツアー」 に取り組んでいる。都会の人の癒しになれる喜びを感じている。給食部会では、昨年給食食材の55 %を提供した。納入する時間は決まっているし、虫が1匹いても大変だけれども、子供に地元の安全 なものを食べさせたいという強い思いがあるからこそできることである。 また、平成19年7月1日に道の駅がオープンし、その中にバイキングレストランを開業した。こ こには、「おもてなしツアー」で培ったノウハウが活かされている。1日多い日は200人。この前 のお盆休みには、11時から14時までの間に250人の来店があった。7,8割は十和地区以外か らの来店である。地元で取れる旬の野菜を基本にした郷土料理が 知ってますか? おかみさん市 よその地域の方々に大変喜ばれている。また、これもグループ別 ○ 十和の台所・・・地元の小さな直販店 に行動している。個人だと責任転嫁するが、グループだとグルー プ全体の責任が問われるので個人個人がしっかりしてくる。グル ○ 十和のおでかけ台所・・・高知市周辺 ープでの活動としたことが「おかみさん市」成功の秘訣の一つで のスーパーで直販 はないかと考えている。何億も売り上げている直売所が多くある ○ おもてなしの取り組み・・・おもてなし 中で、売り上げとしては、5千400万円と微々たるものではあ ツアー・おもてなしバイキング るが、十和地区という山間地で、自分たちにできることを精一杯 ○ 学校給食の取り組み・・・地元食材の することが自分たちに与えられた役割だと思っているのでお金に と食育の推進 替えられないと語った。 ☆★ 事 例 発 表 ☆★ ①地域資源を生かした交流活動「いつものこっちゃ どがいぞにゃぁなるがな」 吉野ハイジの会 会長 小坂田 尚子氏 町の土産物を作る特産物加工研究会として、吉野地区で「歳はと っても気分はいつも17歳、アルプスの少女ハイジのように若々し く元気な仲間」とともに吉野ハイジの会を結成した。大坂の近鉄百 貨店で開催された岡山の観光物産展で、切り花や白糸草、つづら籠 などを展示販売したところ大反響。自然の花が金になり、植林の邪 魔になるつづらが芸術作品になる。そのことがきっかけとなり、岡 山の京橋朝市での出稼ぎ販売を始めることになった。その後、出稼 ぎだけでなく来てもらうことも考えようと仲間20人で直売所を開 設。人気はあったもののテントでは雨風がしのげないことから、町 に救いを求めたところ、管理運営は地区で行うことを条件に直売所 の建物を借りることができ、「吉野きんちゃい館」が誕生した。きんちゃい館の中心となっている活 動は、毎月第2土曜日に開催されている朝市で、きんちゃい館の売上の3分の1を占めている。つづ ら籠、山野草、古新聞を活用した手作り鉢などの販売、いただいた糸を利用した機織り体験、高齢者 の集いファッションショーなどの活動を通じて、新会員は増え、平均年齢も10歳若くなった。限界 集落は元気な女性でもっている。自然と上手に付き合い、男女共同参画を行うことが大事と語った。 ②食農教育の実践活動「ふるさとの味を伝えたい-さぬきの食文化を次世代に-」 多度津生活研究グループ連絡協議会 会長 池内 靖子氏 結婚を機に生まれ育った北海道から香川に来て、全く違う食文化に 戸惑っていた頃、多度津町の生活研究グループに参加し、讃岐の料理に 関する知識や技術を身に付けた。平成6年に食と農を結ぶ活動推進事業 に取り組んだことがきっかけとなり、生産者でもあり、消費者でもある 農村女性代表として郷土料理の掘り起こしと伝承、特産品を使った新し いメニューを提案する活動に参加。そして「さぬきの味の歳時記」とい うレシピ集を完成させた。多度津町生活研究グループの会長の就任して からは、ミニトマトを使った焼き肉のたれやしそジュースなどの特産品 開発に取り組み、農村婦人の家で生活展を開催したり、多度津の町花町 木である桜を利用した桜餅を特産品としてPRする ため、桜祭りで20年間配布するなどの活動を行った。また、平成8年からは、自分たちが得た知識 を若い世代に伝えて行こうと幼稚園の保護者と郷土料理や特産品を使った加工講習会を開催。グルー プ員と若い母親が交流することで、グループには活気が出て、若い母親からは調理のポイント地域の 特産品について勉強できてうれしいとの声があった。さらに「食と農を結ぶハッスル講座」、幼稚園 の保護者との味噌造り、小学校でのおにぎり授業などを通じて、作る喜びと食べる喜びを経験しても らった。12年間にわたって続けてきた郷土料理や地元農産品の加工技術の伝承の活動によって地域 農業への理解や地域への愛着につながったと語った。 ③男女共同参画「男女がともに輝くまちづくり-宇和島市農山漁村女性ビジョン推進会議の取組-」 宇和島市生活研究協議会 会長 大本 サダ子氏 平成17年8月に新しい宇和島市となり、男女共同参画推進本部が 設置され、農林水産分野での男女共同参画を促進するため、宇和島市 農山漁村女性ビジョン推進会議により、毎年「パートナーシップに関 する指標・目標」の設定や進捗状況の確認を行っている。 具体的な取り組みとしては、女性認定農業者の育成と家族経営協定 の締結である。なぜ認定農業者にならなければならないのかと思う女 性や夫が認定農業者なので自分も認定農業者と勘違いしている女性も いたことから、経営主でなくても、家族経営協定を締結して、共同申 請すれば認定農業者になれることをPRする活動を行った。これに より平成19年度以降、女性の認定農業者が着実に増加した。また、 共同申請と一緒に家族経営協定を推進したことから、家族経営協定締結数も増加した。認定農業者に なった女性は、資質向上のためスキルアップ研修に参加したり、東京消費動向調査に参加したりして いる。次に、女性の社会参画促進として女性農業委員を2名とすることを目標にして取り組んだ。行 政の理解を得て、関係機関と連携、調整した結果、議会推薦枠で2名を選出した。一連の取り組みを 通じて、男女共同社会への足がかりとなるチャンスがあっても人材の育成ができていないと地域の活 動につながっていきにくいと感じたと語った。 ☆★ 意 見 交 換 会 ☆★ 市で家族経営協定の締結を推進しているがなかなか進まないが、どのような働きかけが効果的か。 古新聞の鉢の作り方を教えて欲しい。地元で道の駅構想があるが、十和のおもてなしバイキングでは どのように運営しているのかなど、参加者から居長原さんや事例発表者に対して多くの質問が寄せら れた。特に、農家レストランに関して参加者同士が意見を活発に交換した。 ☆★ 現 地 研 修 ☆★ 「米粉の製造から活用までの一連の取り組みについて」 土佐町基幹集落センターの会議室で、土佐れいほく農業協同組合の佐竹常務から土佐れいほくの全 体の取り組みについて、続いて千頭営農販売課長からJA土佐れいほくにおける米粉の取り組みにつ いて詳しい説明を受けた。JA土佐れいほくでは、農家の所得確保と米の消費拡大から米粉の製造販 売に取り組み、米粉入りギョウザやうどんの販売にも力を入れている。米米ハートの真辺さんから、 米米ハート開店のための人材育成・確保から資金の準備し、開店に至たるまでの苦労話や勤務態勢や 商品開発の取り組みについて説明を受けた後、米米ハートを視察した。 米粉加工場での様子 ☆★ 取組を話す米米ハートの真辺さん 米米ハート店内の様子 参加者の感想 ☆★ アンケート結果では、9割以上の方から良かったという回答をいただきました。 ・内容はとても豊富で大変役に立った。意見交換会も活発な意見、自由なトークがありとても良か った。大変良い研修会でした。 ・事例発表も良かったが、新聞の鉢のように帰ってやってみようと思えるアイディア展示とレシピ のコーナーがあると盛り上がるかも。食育、道の駅など事前にテーマを決めて、そのテーマの問題 点や成功事例をアンケートで集約。その結果を基に意見交換すると、より参加後に活かしやすくな るかも。 ・生活研究グループの方々の熱心な取組には頭が下がる思いです。生活研究グループはどんどん人 数が減ってきていますが、いつまでもこの貴重なつどいを継続していただけたらと思います。 ・皆さんの熱心さに感心しました。元気の秘訣だと思います。