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NRI Solutions「証券ホールセールビジネスのための共同利用型システムI

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NRI Solutions「証券ホールセールビジネスのための共同利用型システムI
NRI Solutions
第
1
証券ホールセールビジネスのための
共同利用型システム 「 I - STAR 」
話
誕生から普及まで
「 でも、こうした 出 来 事だ けで
素早い対応、
手厚いサポートで業界を支えるシステムへ
シェアを伸ばしたわけではないの
証券ホールセールのバックオフィスシステムとして、証券業務をトータルにサポートする
ていたらすぐに飛んでいく、問い
「I-STAR」。1987年に誕生して以来20年間、数多くのユーザーの支援を受けてきまし
合 わ せを い ただ い たら即 座 に対
た。現在では、日本に進出しているほとんどの外資系証券会社、ならびに日本のホールセー
応するといった、
“ クライアント・
ル系証券会社で利用され、証券業界のインフラとして一翼を担っています。
ファースト ”の姿勢を貫いてきま
図1 I- STARの利用社数
社
80
です。私たちは、お客様が困られ
60
20
0
した。困ったらN RI へ 。そんな 評
外国証券会社の日本参入を支援
40
1987
89
91
93
95
97
99
2001
03
05 年
判がお客様の間に広まっていったことも、I-STARの魅力の一つです」
1980年代半ば、海外から金融自由化を求められるようになった日本では、外国証券会
現在I-STARは、市場を支えるインフラとしての役割をますます強めています。例えば、
社に対する免許発行数が増え、証券取引所の会員権も開放されます。これを機に、外国証
日本銀行の国債・資金決済を行うI-STARのサービス群のひとつ「I-STAR/LC」。このサ
券会社の日本市場参入が始まりますが、
その前には、大きな障壁が立ちはだかっていました。
ービスは、国債・レポ取引等の決済をトータルにサポートし、我が国の国債市場の拡大に大
証券市場慣行、証券取引法への対応、書類の作成、当局への報告……。複雑な日本独自の
きく貢献しています。日銀と金融機関との国債・資金決済をオンラインで処理する日銀ネッ
ビジネス慣行は、外国証券会社にとって、言語以上に大きな壁だったのです。外国証券会社
トが高度化された時にはいち早く対応しました。また、2005年に業務を開始したJGBCC
を何とかサポートできないものか。そんな思いを抱いたNRIは、外資系証券会社向け共同
(日本国債清算機関)との連携では、スムーズなネット決済を実現しています。
利用型システムの開発に着手します。そして1987年、画面も帳票もすべて英語でサポー
「2009年の株券のペ ーパーレス化により、日本の証券決済制度の変更は一段落します
トした「I-STAR」が誕生しました。
が、今後は証券各社が、独自の戦略の下で競争を強いられることになるでしょう。I-STAR
「I-STARは日本の証券制度の変更に常にキャッチアップし、お客様のご満足を得るよう
ではバックオフィスシステムとしてのサービスを提供しながら、さまざまなお客様ニーズに
説明して参りました。ですから、外資系証券会社にとって、日本の証券決済制度に準拠した
お応えしていきたいと思っています」
バックオフィスシステムという位置づけになっているんですね。外国の証券会社が、日本で
新たにビジネスを開始する場合、I-STARをご利用頂ければ、会社立上げが最もスム ーズ
で、安定したビジネスが遂行可能になります」
NRI
I-STAR事業部
グループマネージャー
平中 直也
表1 金融市場の動きとI-STARの変遷
金融市場の動向
1985年
I-STAR
・I-STAR開発に着手
NRIの I-STAR事業部営業グループマネージャーの平中直也が語ります。誕生以来20年。
1986年
1987年
・大阪証券取引所が、株式先物取引を開始
・I-STARサービス開始
長く運用されてきたシステムだからこそ、日本独自の証券慣行と、外資特有の文化を理解し
1988年
・東京・大阪証券取引所が、株価指数先物取引を開始 ・東京証券取引所が、株価指数オプション取引を開始 ・先物取引管理の機能対応
1989年
・香港拠点向けサービス、I-STAR・Hサービス開始
た、
ノウハウが蓄積されています。その結果、外国の証券会社にとってI-STARは、日本にお
1990年
・バブルの崩壊
・東京証券取引所が、債券先物オプション取引を開始
ける良きパートナーとなっています。
1991年
・証券保管振替制度開始 ・株式店頭市場システム開始
・NRI横浜データセンターでI-STARの運用開始
平中がI-STARの営業を始めた1994年当時、I-STARの他にも、類似の証券ホールセ
1993年
・金融制度改革法が施行。銀行に証券子会社設立が認められる
・銀行系子会社向けにシステム大幅改修。
銀行系証券子会社6社が利用開始。
(∼95年)
ール向けバックオフィスシステムがありました。I-STARが徐々にシェアを広げ、業界の標
1995年
準システムになっていくまでに、いくつかのエポックがあります。
1996年
手厚いサポート姿勢がシェアを伸ばす
「一番大きなエポックは、西暦2000年問題への対応です。このとき他社システムを使っ
ム交換の必要があるのならば、業界標準となりつつあるI-STARのほうがいいだろう、とい
うことで」1993年に施行された金融制度改革法により、日本の銀行が証券子会社を設立
できるようになったことも、シェア拡大を後押ししました。それまで外資系証券会社のため
・I-STAR/CM(資金管理システム)サービス開始
・外資系銀行向けにサービス開始(2行)
・I-STAR/RR(対外報告作成システム)サービス開始
1997年
・国債の決済期間短縮
・約定基準・時価会計制度開始
・約定基準・時価会計制度に対応(会計機能を大幅改修)
1998年
・欧州通貨統合の準備に入る
・金融監督庁が発足
・I-STARでユーロ・コンバージョンの対応
1999年
・証券子会社での株式関連業務の開始
・株式委託手数料の完全自由化
・銀行系証券子会社で株式業務開始
・手数料の自由化対応
・コンピュータの西暦2000年問題対応
2001年
・日銀、国債のRTGS化(即時グロス決済)
・東京・大阪取引所で、上場株式のDVP決済開始(証券と代金の同時受渡し)
・保振決済照合システム開始
・取引所DVP決済対応
・I-STAR/LC(日銀RTGSシステム)サービス開始
・I-STAR/MX(保振決済照合システム)サービス開始
2004年
・保振、一般振替DVP制度を開始
・I-STAR/CX(保振決済システム)サービス開始。
一般振替DVP制度に対応
ていた大手の外資系証券会社が、I-STARに乗り換えられました。2000年対応でシステ
1
・
・東京証券取引所、外国証券会社に対する会員権の自由化を決定
2005年
・日本国債清算機関(JGBCC)、業務を開始
・I-STAR/LCのASP化(JGBCC、日銀ネット高度化に対応)
のシステムとされていたI-STARの日本語対応が行われ、日本の会社も利用できるシステ
2006年
・一般債振替制度開始
・I-STARにて、一般債振替制度に対応
2007年
・投信の振替制度開始
・I-STARにて対応中
ムとして認知されていきます。
2009年
・株券の無券面化
・I-STARにて対応中
Copyright
2
C
2006 Nomura Research Institute, Ltd.
この冊子の内容は、2006年8月14日に野村総合研
究所公式ホームページの「NRI Solutions」コーナ
ーに掲載したものです。本文内の情報については、基
本的にはホームページ掲載時点の内容です。
NRI Solutions
第
2
証券ホールセールビジネスのための
共同利用型システム 「 I - STAR 」
話
外資系証券会社から見た
I-STAR
「制度変更に素早く対応してくれる I-STARは
いつでも頼れる存在です」 はありませんが、その影響により、決済処理が遅滞したというほどの大きなシステム障害は
起きていません。
また、制度変更などの際にも、I-STARは常に早期の対応を心がけているように見受けら
ドレスナー・クラインオート・ワッサースタイン証券会社(2006年9月18日よりドレスナ
れます。また、業務フローや法廷帳票、報告書の作成などに関しても、NRIの営業担当は、シ
ー・クラインオート証券会社)は、
ドイツのアリアンツ・グループ傘下にあるドレスナー銀行の
ステムの対応はもちろん、何がどう変わり、そのために何をしなければならないのかを十分
投資銀行部門です。ロンドン、フランクフルト、ニューヨーク、東京などに拠点を置いて投資
理解し、業務を丁寧にサポートをしてくれます。その点も高く評価しています。
銀行の広範な金融サービスを提供しています。同社のアジア パシフィック業務部長である
● ● ●
ウィリアム・ヴァン・オルスタイン氏は、日本での業務経験も長く、I-STARの利用経験も積
み重ねられています。I-STARについて日頃どのように感じられているのか伺いました。
NRIの営業担当も評価いただいているということでしょうか。
もちろんです。本当にきめ細かくフォローしてくれます。制度変更への対応もそうですが、
何か困ったことが起きれば、すぐに駆けつけてくれる。だから私たちは、まるで頼れる友人
● ● ●
日本での御社の事業歴は長いようですね。
のように、必要ならいつでも連絡できる気持ちで安心しています。
日本においては、
クラインオート ベンソン証券(1995年にドレスナー銀行の傘下に入る)
加えて、顧客のリクエストにも、誠心誠意、目先の利益にとらわれずにフレキシブルに
の前身であるクラインオート&サンズが、日本初の新橋―横浜間の鉄道「敷設」計画の融資
真摯に対応していただいていることには、いつも感謝をしています。
に参加した1880年にまでさかのぼります。1970年に、外資系投資銀行としては初めて
● ● ●
東京に駐在事務所を開設し、1988年には、東京証券取引所の正会員権を取得しました。
東京支店は、アジアの拠点にもなっています。日本では、債券と株式の事業を統合したキ
ャピタル・マーケッツ部門、国内外におけるM&A業務に携わっている投資銀行部門に注力
ドレスナー・クラインオート・
ワッサースタイン証券会社
アジア パシフィック業務部長
ウィリアム・ヴァン・オルスタイン 氏
し、お客様のニーズに対応したサービスを展開しています。
今後のI-STARに、どんなことを望まれていますか。
日本 の 証 券 業 界は 、電 子 化 、ネットワーク化が進 んでいますが 、この 流れに伴って、
I-STARはどう進化していくのでしょうか。私は、次世代のI-STARではメインフレームを
Webベースにしてもらえたらと思います。そうなれば、フレキシビリティもさらに増すでしょ
う。もっとも、I-STARにすでに備わっている優れた点は、このまま維持しつつ、さらなる進
● ● ●
オルスタインさんご自身も、日本の証券業界で長く仕事をされているときいています。
化を遂げていってほしいと切に願います。
はい、20年以上になります。当社には2001年に入社しました。それまでに、2社の外資
系証券会社に勤務してきました。現在のコンピュータ取引に移行する前の東京証券取引所
で、手サインで売買を成立させる「場立ち」をしたこともあるんですよ。日本の証券業界の
歴史や変遷に関しては、よく理解しているつもりです。日本の証券市場において、決済シス
テムや市場慣行など、証券にかかわる法令などによって定められた決済まわりの業務は、欧
米と比べ独特なところがあります。決済制度などを整備するための法改正、制度変更など
も頻繁に起こる。ひと昔前は、海外の企業が日本の証券市場に参入する際には、自社システ
ムを構築するのにそれなりの苦労をしたものです。でも今は、I-STARが支えてくれます。
実際、外資系証券会社の多くが、I-STARを導入していますね。
● ● ●
I-STARのどんなところを評価されていますか。
当社にI-STARを導入したのは1997年ですが、私は前職でもI-STARを利用していま
した。最も評価できる点のひとつは、安定したインフラを提供するシステムとしての運用実
績です。毎朝、オフィスに出社してくると、いつもきちんと動いている。そのような当たり前
に思えるようなことにも、私は安心します。これは非常に大切なことです。システムのSTP
(約定から決済までの全自動処理)化がますます進むこの市場環境の中で、目まぐるしく売
買される日々の証券取引を毎日滞りなく決済していくためには、システムインフラの安定性
は重要な要素として評価されます。これまでにI-STARにトラブルがなかったというわけで
Copyright
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C
2006 Nomura Research Institute, Ltd.
この冊子の内容は、2006 年8月21日に野村総合研
究所公式ホームページの「NRI Solutions」コーナ
ーに掲載したものです。本文内の情報については、基
本的にはホームページ掲載時点の内容です。
NRI Solutions
第
3
証券ホールセールビジネスのための
共同利用型システム 「 I - STAR 」
話
日本の証券会社が語る
I-STAR
「I-STARに貫かれた精神がユーザーの信頼を維持する」
何でもシステム化の傾向に疑問顧客の声に惑わされない対応を
渋谷
I-STARは、日本に進出している外資系証券会社だけでなく、数多くの日系証券会社の
氏
業務もサポートしています。三菱UFJ証券株式会社は、最近二度の合併を経験しましたが、
I-STARには、DNAとして伝わっている何かを感じます。NRI担当者たちの確固とし
I-STARを継続してご利用いただいています。システム部業務システム第一課長の渋谷聡
た思いや自信、真摯に業務に取り組む姿勢……。これらが脈々と受け継がれてきたか
氏に、I-STARならびにシステム業務に対するお考えについて語っていただきました。
らこそ、20年もの間、ユーザーの信頼を維持し続けてきたのではないでしょうか。証
券の世界は、急激に取引高が増えたり制度変更が繰り返されたりと、動きが激しいこと
「絶対にやり遂げる」証券会社の血筋を引く強い自信
で知られていますが、その変化をくぐり抜けながら、大きな問題を発生させることもな
渋谷
三菱UFJ証券
システム部
業務システム第一課長
渋谷 聡
氏
氏
く今日まで続いているのは驚異的なことだと思います。
I-STARとのつきあいは、すでに7年になります。1999年10月に、三菱UFJ証券の
今後もI-STARのDNAを大切にしながら、利用者の声に過剰に振り回されることな
前身である旧・東京三菱証券が株式業務を開始しました。当時、規制緩和によって、銀
く対応していってほしいと思います。I-STARユーザーにはいろんな会社があります
行系の証券会社で株式の取り扱いが許されるようになったんですね。10月1日から業
からね。一般的に人は、何でもシステム化を望む傾向にあります。システムに頼り過ぎ
務をスタートさせるために、出身の異なるメンバーが集められました。私は9ヶ月前か
ると、業務をどのように組み立て、どのように仕事を進めていくのかを、考えなくなって
ら準備にあたりました。全くゼロからのスタートです。このとき、バックオフィスのシス
くると思うんです。けれども、人間の知恵を働かせ、柔軟に対応しなければならない部
テムとして採択されたのが I-STARです。特別な理由があってI-STARを選んだわけ
分ってありますよね。
ではありません。債券業務ですでにI-STARを利用していましたから、それなら株式業
そこが逆に、I-STARユーザーの付加価値になっていくのではないでしょうか。それ
務もということでNR I の担当者に来てもらった。それが始まりです。
に、何でもシステム化してしまったら、莫大なシステム投資が必要だし、メンテナンス作
NRI の担当者は何かが違う。私は証券業務に長年携わり、さまざまなSIベンダーと
業も大変。特に証券業界は、新しい変化が次々と起きているので、システム改修に時間
接してきましたが、直感的にそう感じました。当時、株式委託手数料が自由化される時
をかけていたらビジネスは成り立ちません。我々の業務に求められるのは「スピード」
期で、各社ごとの計算ロジックをシステムに組み入れる必要がありました。私は、手数
と「決断力」。そうしたことが活かせるよう、NRIの人たちは、顧客の顔色ばかりを伺う
料はフロントシステムで計算するので、I-STARにはその計算結果を受け取る仕組み
のではなく、I-STARに受け継がれたDNAを貫いてほしいと思います。
だけ作ってほしいと要求しました。今までの経験から、手数料計算はフロントシステム
で行わなければ業務が回らないと確信していたからです。しかしNRI 側は、I-STAR上
で計算機能を提供することを強く主張し、お互い一歩も譲らず激しくぶつかり合いまし
た。NRIの担当者は、客と対立してでも、あるべき姿を主張したのです。驚きですよ。
己のポリシーを持ちつつ、顧客である私たちの業務を真剣に考えてくれていた表れだ
と思います。相手の立場を十分に理解しながら本質の議論を行う。あとは全力を尽く
す。それでこそ、信頼関係が築けるのです。これは、証券会社に共通する仕事への姿勢
ですし、NRIも共有していると思います。
結局このときは、NRI 側が納得し、手数料の計算結果を受け取る仕組みをI-STAR
で提供してもらうことになりました。ところが気づいてみれば期日が差し迫っている。
期日に間に合わなければ業務を開始できません。私たちは、必ず間に合わせるという
保証を書面で提出するよう迫りました。そのときのNR I の担当者が発した一言、
「NRI
が、一度やるといったものは絶対にやります」。
今でもその言葉が私の耳に焼き付いています。I-STARに強い自信と信念を抱いて
いるからこその発言です。言葉どおり、期日にはきちんと間に合い、株式業務は無事に
スタートしました。
Copyright
5
6
C
2006 Nomura Research Institute, Ltd.
この冊子の内容は、2006 年8月28日に野村総合研
究所公式ホームページの「NRI Solutions」コーナ
ーに掲載したものです。本文内の情報については、基
本的にはホームページ掲載時点の内容です。
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