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グローバルコミュニケーションプログラム文化講演会 公職選挙法一部改正

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グローバルコミュニケーションプログラム文化講演会 公職選挙法一部改正
校長室だより
第 114 号
平成 27 年 6 月 30 日
グローバルコミュニケーションプログラム文化講演会
公職選挙法一部改正案の成立と高校生の政治参加教育
東洋大学附属牛久高等学校
校長
遠藤隆二
6月 18 日(木)11:50~13:05、体育館において、
第1・第2学年及び保護者対象に、グローバルコミュ
ニケーションプログラム文化講演会を実施した。テー
マは「日本の現状から見詰める、トライリンガル可能
性の扉、台湾の魅力」、講師は公益法人台湾留学サポ
ートセンター長の安蒜順子先生。
安蒜先生は、我が国の文部科学省に当る台湾政府教
育部公認の日本で唯一の台湾公益法人団体・台湾留学
サポートセンターの所長さん。台湾やアメリカ、日本
の大学・高等学校を飛び回って教育情報を収集してい
2015.06.18
安蒜先生の講演の様子
る。日本では全国の主だった高等学校、特にスーパー
グローバルハイスクール(SGH)やスーパーサイエ
ンスハイスクール(SSH)指定校から招待され、講演
を重ねている大変お忙しい先生である。この度、急遽、
本校にも来ていただけることになり、グローバル人材
育成推進計画に基づき、上記講演会を開催した。
安蒜先生は、世界の中での日本の位置を分かり易く
グラフ化した資料(経済力・人口・言語・雇用・貧富
の割合・科学技術等)をパワーポイントで解説・説明。
先ずは現状把握、否応なくグローバル化の波に巻き込
まれている日本の姿を見詰めさせた。次にデータに基
2015.6.18
台湾サポートセンター作成のパンフレット
づいて 10~20 年後の米国・中国・インド・日本の姿
を比較し、
「将来幸せな人生を送るにはどうしたらよいか?」
「高校生の貴方たちは今何を為すべきですか?」と
問いかける。「日本の今と将来」についての的確な分析はもちろん、生徒との対話を通したメリハリの利いた説
明はさすがだと思った。昔、英語の先生だったとのことであるが、ポイントを押さえ、生徒の心を掴むこともみ
ごとで、教師として見習うべきものが多かったのではないかと思う。
安蒜先生は、講談社の「2020 年になくなる仕事」を根拠に「現在の職業の約 65%が変わっていく」と説明。
今後なくなると思われる仕事を具体的に挙げながら、その仕事がなぜ変わっていくのか、なぜなくなっていくの
かを考えさせた。一時世界的に繁栄した「ポラロイド社の倒産」を例にあげて、「これまでの価値観や仕事観に
固執していると、せっかく就いた仕事が将来あまり必要とされなくなり、ついにはなくなってしまう心配がある。
会社も人も時代の先を見通して変化に応じて変わらなければ、生き延びられない。これからの社会では、常に変
化し続ける組織・会社・人だけが生き延び、繁栄していくことができる。過去の栄光や現状に甘んじ、変化に応
じて変えようとしない組織や人は衰退し滅んでいく。答のない、若しくは答が一つでない時代においては、『な
ぜ?
どうして?』と考えながら生きていくことが大切である。」とおっしゃった。蛇足ではあるが、「2020 年
に生き残る会社」の中では、「なぜ生き残れるのか?
生き残るために会社は何をしているか?」について、専
門家が解説している。それを要約すると、生き残る会社に共通していることは「先を見越して常に変化し続ける
努力をしている」ことに尽きる。このことは、学校でも教職員についても同じことが言えると思う。
また、将来幸せになるために高校生が今なすべきことは「基礎学力を付ける、考える学習をする、企業が求め
る人間になる努力をする、広く情報とり、正しく読み取る」ことであるとし、「皆さんは、今苦労すべきです。
ものの見方やむ考え方を学び、自分のことは自分で解決する生き方をしなさい、外に飛び出す勇気をもちなさい」
と熱っぽく語られた。最初から最後まで生徒たちの心に響いた話だったと思う。
本校は昨年度に続き、文部科学省から平成 27 年度スーパーグローバルハイスクール(SGH)アソシエイト校
に選定された。先月には、茨城県から今後 5 年間「私立学校世界に羽ばたく人材育成推進事業」の指定校に採択
された。これらの指定への期待を裏切らないよう、今年度もグローバル人材育成推進計画に基づき、母体校、東
洋大学の SGU(スーパーグローバル大学)プログラムと連携しながら、着実に実践し、よりよく変化していき
たいと思う。今年度の夏休みに実施予定のグローバル人材育成推進計画は、次の通りである。ご協力ください。
○台湾研修(「未来のグローバル人材育成塾キャリアデザイン研修 in Taiwan)
7月 30 日~8月6日
〇夏期集中講座①English Camp in 河口湖及び②English Camp in 富士見高原
7月 31 日~8月3日
〇第2学年特進コース
オーストラリアの SA 州 Adelaide 語学研修
〇British Hills (パスポートのいらない英国)英語研修
8月 17 日~8月 30 日
8月 23 日~8月 25 日
政治参加教育と生活指導における課題
6月 17 日(水)の参議院本会議で選挙権年齢が現
在の「満 20 歳以上」から「18 歳以上」に引き下げる
改正公職選挙法案が可決、成立した。これにより「高
校生を含む 18 歳以上」が有権者となった。この改正
法は1年の周知期間を経て施行されるが、次期改選参
議院議員の任期が 2016 年7月 25 日であることから、
来年夏の参議院議員選挙から適用されることになる。
国会議員選挙の他、自治体の首長選挙や議会選挙、最
高裁判所裁判官の国民審査等はもちろん、選挙犯罪の
2015.06.18
公選法改正を伝える朝日新聞朝刊
連座制等も適用されることになる。
世界の 190 カ国・地域の約9割の国・地域では「選挙権年齢 18 歳以上」となっており、先進国では選挙権年
齢と成人年齢が一致し、これが世界の潮流となっている。この公選法の改正により、新たな有権者となるのは 18
歳と 19 歳の合計約 240 万人と言われる。これは全有権者の約2%に当たり、約 232 万人の宮城県の人口を上回
る。新たな有権者の未熟を案じる声がある一方で、硬直した政治に新風を吹き込めるとの期待もある。しかしな
がら、この新たな有権者は未成年者であるため、少年法が適用される。このため、高校現場においては、「選挙
権をもつ未成年者の指導をどうするかかという大きな課題を抱えたことになる。これまでの指導を新たな視点で
見直し、今後の指導のあり方を考えていく必要がある。
教育基本法第 14 条に「良識ある公民として必要な政治的教養は教育上尊重されなければならない」とある一
方で、「特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他の政治的活動をしてはならない」とあ
る。教育現場においては、良識ある公民として必要な政治的教養として、例えば政治の争点となっている「原子
力発電所」や「米軍事基地」等に関する具体的な問題を取扱う場合、後段の条項に抵触する恐れがあるため、多
くの学校ではこれまで政治的教養に関する指導が通り一遍であまりなされてこなかった実態があるのではない
か?
そのことが若者の政治的関心の低さと低投票率に繋がっているのではないか?という指摘がある。この指
摘を受け、文部科学省では夏までに「政治的教養の指導の在り方」の指導資料を作成し、総務省が印刷して全国
の高等学校に配布するとのことである。この指導資料では、主権者教育を充実する観点から高校生の適正な政治
参加を促す指針が求められよう。また、選挙年齢に達していても高校生は未成年者であるから少年法が適用され
る。高校生の飲酒・喫煙等は当然今まで通り禁止である。飲酒・喫煙防止に関する指導は今でも難しいが、今後
は今まで以上に難しくなることが予想される。生徒たちの新たな政治参加により、生徒・保護者の意識だけでな
く、関係業者や周囲の意識もかなり緩むのではないかと心配される。いずれにせよ、今後、学校現場においては
主権者教育と飲酒・喫煙防止教育の充実が求められ、その指導の在り方も問われることになる。このため、本校
として、主権者教育と飲酒・喫煙防止教育を具体的にどう推進するかの検討が必要になる。
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