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Page 1 Page 2 しいもの 人間、所診通り一辺倒な「日常生活」を過ごして

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Page 1 Page 2 しいもの 人間、所診通り一辺倒な「日常生活」を過ごして
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Title
Author(s)
Citation
22 旅は嬉しいもの
水野, 智久; Mizuno, Tomohisa
学問への誘い −大学で何を学ぶか−, 2007: 88-92
Date
2006-12-15
Type
Learning Material
Rights
publisher
KANAGAWA University Repository
旅 は嬉 し いも の
水 野 智 久
人間、所詮通 り 一辺倒 な 「
日常生活 」を過ご し て いるだけ では視 野が狭 -な ってしまう
ば かりでなく' それはと ても人生豊 かな生活 とは言 えな いし、第 一、退屈 し てしまう。 や
はり、人間 には、 い つも とは違 う 「
非 日常性」 が必要 にな って- る。 また人間、気 が滅 入
った時'気晴らしへ転地 が必要 だ。 そ のため に余暇 があ る。従 って、人生を楽 し-過ご せ、
やり甲斐あ る生活を送 れ るかどう かは、 いか に余 暇をうま-過ご す か にかか って いると言
っても過言 ではな い。
そ こで、 みな さん に薦 めた いのが 「
旅 (
たび)
」だ。 「
旅 」 は直接 「
非 日常性」を体験 で
き るば かりでなく、 そ の土地 そ の場所 で の名所 旧跡を訪 ね ること によ り視 野を広げ、知的
好奇心を満 たす ことも でき る。 なん と言 っても、 「
百聞 は 一見 にし かず」 の諺 通 り、本物
を見 たとき にし か味 わえな い感動 は格別 であ る。 そ の 「
旅」 は、 どんな旅 でも構 わな い。
長 期 の旅行 だ ろう が、 ち ょ っとそ の辺 り の散歩程度 のも のでも であ る。肝心 な ことは、 い
か にそ の旅 によ って 「
非 日常性 」を得 る ことができ るかだ。 一般的 には、遠 - に行 けば行
-ほど、非 日常性 を得 ら れ ると言 われ て いる。し かし、時 間的 にも'金銭的 にも、 い つも
す る。
私 は三 つの旅 を使 い分 け て いる。 一つめ は思 い っきり遠 - に行 - 「
海 外旅行」
、 これ は
お金 も かかることだし年 一回程度 の頻度 であ る。 二 つめは 一泊程度 の国内 の 「
温泉旅行 」
であ る。最後 は土 日 に行 って いる 「
散歩」 であ り これ にはほとんどお金 はかからな い。
堅苦 し い前置 きは この辺 りで止 め にし て、端的 に言 えば、旅 は楽 し-心を浮 き浮 きさ せ
てくれ るも のな のであ る。 それ では、今 ま で の経験 から印象 に残 った旅 の 一端を紹介 す る。
海外旅行 のお勧 め の 一つは、文化 が古 - から発達 し、名所旧跡 が有 り余 って いる ヨー ロ
ッパであ る。 そ の中 でも スイ スのア ルプ ス山脈 であ る。特 にそ の代表的 な山 マッタ-ホ ル
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逮 - に行 け るとは限らな い。 そ こで、私 が行 って いる 「
非 日常性 」を体験 す る方法を紹介
旅 は嬉 しい もの
ン (
標 高 四 四七 八m) を見 な がら の ハイ キ ング は今 でも目 に焼 き ついて いる。 マッタ- ホ
ルン観 光 は、 スイ ス の田舎 町 ツ ェル マット を基点 に行 われ る。 そ こから赤 い登 山電 車 (
日
本 だ と、 山岳観 光 はほ とん ど ロープ-ウ ェイを使 う が、 スイ スでは登 山電 車 がど こ の山 で
も発達 し て いる) に乗 り、急 勾配 の山 並 みを登 ってゴ ルナ-グ ラート展 望台 ま で行 き着 -0
す ると、雪 を頂 いたブ ライ ト ホ ルン (
標 高 四 7五九 m)、 モンテ ローザ (
標高 四六 三 四 m)
な ど スイ スア ルプ ス の四〇〇〇 m級 の有名 な山 々と、雄大 なゴ ルナ-氷 河 の大 パ ノラ マが
目 に飛び 込 ん で- る。 ヨー ロッパア ルプ スは' 日本 ア ルプ ス の三〇〇〇 m級 の山 々と は そ
の規模 ・迫 力 が圧倒 的 に違 い、優 しげ な 日本 の山 と は対 照的 に、人を威 圧 し てく る。 これ
が太 古 には海 の底 だ ったと は想 像 が つかな い。 こ の展望台 から ツ ェル マット の町 ま で約 三
時 間 の ハイ キ ング の開 始 だ。紺碧 の空 のも と、夏 な の にひん や りとし た澄 んだ空気 が心地
良 い。雄大 な マッタ- ホ ルンを ぐ る っと見 な がら' 町 ま で下 ってゆ-。高 原 1杯 のお花 畑、
湖 面 に映 る 「
逆 さ マッタ- ホ ルン」 を見 な がら途 中 、 一服 し てソー セージ を食 べな がら生
ビ ー ルを飲 んだ時 の爽快感 。 あ っと いう間 の三時間 であ った。
もう 1つは、 「
山 と き た ら海 」 と いう こと で、南 海 の楽 園 タ ヒ チ のお話 であ る。 タ ヒ チ
は日本 から直 行便 で約十 一時 間、南緯 十 七度 に位 置 し、全部 で 一 一八個 も の島 々からな る
常 夏 の楽 園 であ る。住 民 は ハワイ と同 じポ リネ シア人 で、 末 だ フラ ンス によ って統 治 され
て いる関係 上、 フラ ンス系 の人 々も多 々 いる。 目指 すボ ラボ ラ島 は、 タ ヒチ本島 から飛行
に囲 まれ た 「
太 平 洋 の真 珠 」 であ る。 昼間 は、 こ のど こま でも ど こま でも透 明 なブ ルー ラ
グー ンを シ ュノー ケリ ング によ る素 も ぐ りを や り、 眼前 の数 々 のさんご樵 、幾種 類 もの熱
帯魚 / エイ を観察 し て いると数時 間 はあ っと いう間 に過ぎ て いる。夜 には、 日本 の空 では
想 像 も できな いほ ど の満 天 の星 々、 英語 でmi
k
ywayと呼 ば れ る のが納 得 で き る天 の白
い川 (
天 の川 )、南 十字 星 と偽 南 十字 星 (
なぜか偽 南 十 字 星 のほう が立 派 ) を、 あ っけ に
取 ら れ て眺 め て いる ことが でき る。 ラグー ン上 に建 てら れた ホテ ルの水 上 コテージ には絶
えず貿 易風 が流 れ て いるた め'夜 は エアコンは いら な い。 タ ヒチ の自 然 に囲 まれ て いると'
テ レビ と か の娯楽 はま ったく必要 では無 -、文 明 と は、過酷 な自 然 の中 で生存 す るた め に
人間 が切 羽詰 って考 え出 し た代物 であ ると の認 識 を改 め て強 - した。印象 派 の巨匠 ゴーギ
ャ ンが、 わざ わざ フラ ンスよ りタ ヒチ に移 り住 み、 ここで 一生 を終 え た のは充 分 理解でき
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機 で数 十 分 の位 置 で、 オ テ マヌ山 のあ る島 を中 心 に、 さんご 樵 から できた遠 浅 のラグー ン
旅 は嬉 しいもの
る。
1万、国内 温泉旅行 に関 し て いえば、推薦 す る場所 が多 々あ る。江戸時代 の蘭学者林羅
山 が提唱 したと いう、草津 温泉 (
群馬県)
、下呂温泉 (
岐阜 県)
、有馬 温泉 (
兵庫 県) の日
本 三名泉 はも とよ り、山中 温泉 (
石川県)
、城之崎 温泉 (
兵庫 県) な どな ど、昔 から の由
緒 あ る老舗 温泉場 がし っとりし て良 い。中 には北陸粟津 温泉 の 「
法師 」 のよう に 二二
〇〇
年 も の歴史 あ る名旅館 もあ る。自然 を借景 した庭園 と 1体化 した露 天風呂 に浸 か って体を
休 め爽快感 を味 わ い、 そ の地方 の山海珍味 を加 えた和食グ ルメ に舌鼓 を打 ち、文化財 にも
指定 され るような純和風作 り の宿 が我 々を心 から のんび りさせ て-れる。 これは、海外旅
さあ皆 さんも心 の洗濯 のため に、 いざ旅 に出 かけよう ではあ りま せん か。 き っと 1生心
行 では絶対 に味 わえな い日本独特 の旅情 であ る。
に残 る旅 が人生 を豊 か にし て-れ るはず であ る。旅 の後 には、色 々な情景を何気 な- ふと
とも ひさ 理学部教授 ・物 理学 )
思 い出 すと、 「
あ の旅 はよ か ったなあ」 と、 ほ っとし た気 分 に浸 る ことが でき るも のであ
。
る
(
みず の
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