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古文の基本
古典⑴ ① 古典⑴ 歴史的かなづかいで書かれている。 / わ・い・う・え・お ご び 古文の基本 古文の言葉 じょうしゅ ① 古文に特有の言葉 たいそう。とても。非常に。 例 いと いみじ はなはだしい。りっぱだ。ひどい。 げに 本当に。 おもむき ちが 趣がある。すばらしい。かわいらしい。おもしろい。 めずら しみじみと心をうつ。情趣が深い。 珍しい。まれだ。 いとおしい。心をひかれる。 ② 現代語と意味の異なる言葉 例 あはれなり ありがたし かなし をかし 現代語との意味の違いに注意しよう。 現代語とは異なる特色 ① 古文では、主語(何が)や述語(どうする・どんなだ・何だ)、「が・は・ を・と」などの言葉が、 省略されることが多い。 主語「翁」が省略されている。 おきな 例 ・あやしがりて、寄りて見るに…… (翁が、不思議に思って近寄って見ると……) ・春はあけぼの。(春は夜明け方がよい) 述語「をかし」が省略されている。 ⑤ 母音( ・ a ・i ・ u ・ e )oが連続するときは、次のように直す。 助詞「が」が省略。 ⑵「イ段」+「う・ふ」 「 ) /○ュウ」( iu / yû しうか(秀歌) / しゅうか / にゅうわ / 例 にうわ(柔和) ⑶「エ段」+「う・ふ」 「 ) /○ョウ」( eu / yô ちょうし / けふ(今日) / きょう 例 てうし(調子) / ・養ひ たてまつりたる我が子を(養い申し上げた我が子を)。 わ ② 古文には、 敬語表現がたくさん出てくる。 例 ・竹の中に おはするにて(竹の中にいらっしゃることで)。 (しだいに白んでいく山ぎわの空が、少し明るくなってきて……) ・やうやう白くなりゆく山ぎは、すこしあかりて……。 ⑴「ア段」+「う・ふ」 「 /オ段」の長音( au /)ô やうす(様子) / ようす / おうぎ / 例 あふぎ(扇) ④ くわ・ぐわ /か・が む / ん 例 くわじ(火事) / かじ / ね むごろ ね んごろ / ③ ぢ・づ /じ・ず 例 あ ぢ(味) /あ じ / あ づま(東) /あ ずま / ふで(語頭にあるときはそのまま) ふで(筆) ② ゐ・ゑ・を /い・え・お 例 ゐる(居る) / いる / ゆ ゑ(故) /ゆ え / あ を(青) /あ お う へ(上) 例 あ はれ /あ われ(語中にあるとき) /う え(語尾にあるとき) ① は・ひ・ふ・へ・ほ(語中や語尾にあるとき) 歴史的かなづかいを現代かなづかいに直すには、次のようなルールがある。 歴史 的 か な づ か い ③ 現代語とは異なる文法によって、文章が書かれている。 ② 古文に 特有の言葉や、 現代語と意味の異なる言葉が用いられている。 古文 の 特 色 要 点 チ ェ ック 12 52 を埋めて、 う 歴史的かなづかい・古文の言葉・現代語とは異なる特色 次の問いに答えな さい。 語中・語尾にあ ⑴ 次の表は歴史的かなづかいについてまとめたものである。 表を完成させなさい。 「は・ひ・ふ・へ・ほ」 るとき ○ 段の長音 「イ段」 + 「う・ふ」 ○ 「ア段」 + 「う・ふ」 「エ段」 + 「う・ふ」 ⑵ 次の①〜④の言葉について、歴史的かなづかいが使われている部分を で囲みなさい。 ① ゐなか(田舎) ② しづかに(静かに) ③ くわし(菓子) ④ こほり(氷) ⑶ 次の①〜④の古語の意味を次から一つずつ選び、記号で答えなさい。 うつくし かなし ④ ① いと ② のたまふ ③ いた。 ア おっしゃる イ かわいらしい ウ いとおしい エ しみじみと心をうつ オ たいそう、とても カ 興ざめだ ⑷ 次の古文の現代語訳にある にあてはまるひらがな一字を書きなさい。 す 酢を買ひにくる人あり。 〔現代語訳〕酢を買いにくる人 解法のヒント ⑷ 古文では、主語や、主語を示す助詞が省略されることも多い。 次の文章を読んで、 古文の言葉・現代語とは異なる特色・歴史的かなづかい あとの問いに答えなさい。 ① 「五月 水なしの池こそ、あやしう、などてつけけるならむとて、問ひしかば、 など、すべて雨いたう降らむとする年は、この池に水といふものなむ、なくな ② かわ る。また、いみじう照るべき年は、春のはじめに、水なむ多くいづる。」と言ひ ( 「枕草子」より) まくらの そう し しを、 「むげになく、乾きてあらばこそ、さも言はめ、いづるをりもあるを、一 筋にもつけけるかな。」と、言はまほしかりしか。 〔現代語訳〕 (池なのに水がないとは) で、どうして(こん 水なしの池というのは、 いんれき な名前を)つけたのだろうと思って、(人に)聞いたところ、「(雨の多い陰暦) 五月などに、いったいに(例年よりも)雨〔 〕ひどく降ろうとする年には、こ の池に水というものが、まったくなくなってしまう。また(逆に)、ひどく日照 ひ あ りの続くような年には、春のはじめに、水がたくさんわき出るのです。」と言っ たけれども、(それを聞いたとき、)「全然(水が)なくて、(いつも)干上がっ うれしく思って 不思議に思って かなしく思って イ 疑わしく思って エ にあてはまる最も ているのなら、そうも言うでしょうが、出るときもあるのに、一方的に(名前を) つけてしまったことですね。」と、言いたかったことだ。 ウ ア ⑴ 線①「あやしう」の意味として現代語訳中の 適切なものを次から一つ選び、記号で答えなさい。 ⑵ 線②「雨いたう降らむ」とあるが、この部分の意味がわかりやすくな るように、「雨」と「いたう降らむ」の間に補うことのできるひらがな一字を 書きなさい。 ちが ⑶ 線③「また、いみじう照るべき年は、春のはじめに、水なむ多くいづ る」は、三か所で歴史的かなづかいが使われている。古文中の部分を で囲 みなさい。 解法のヒント ⑴ 現代語の「あやしい」との意味の違いに注意する。 53 ③ わかる 12.古文の基本 ほたる c むらさき だちたる 春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山ぎは、すこしあかりて、紫 雲のほそくたなびきたる。 b は からす ね d 秋は夕暮れ。夕日のさして山の端いと近うなりたるに、烏の寝どころかりへ行く とて、三つ四つ、二つ三つなど、飛びいそぐさへあはれなり。まいて雁などの f ね 音など、はたいふべきにあらず。 ② ③ 〔現代語訳〕 そう し まくらの (「枕草子」より) a 。夕日がさして山の端にたいそう近くなるころ、烏が 秋は夕暮れ(が趣深い) ふ ぜい 巣に帰ろうとして、三羽四羽、二羽三羽と(並んで)、飛び急ぐさままでが風情 b のかに光って飛んで行くのも趣深い。雨などが降る(さま)も趣深い。 。月の(ある)ころは言うまでもない。やみ夜でもやはり、 夏は夜(が趣深い) か いっぴき 蛍がたくさん飛び交っている(のは趣深い)。また、ほんの一匹 二匹などが、ほ 。しだいに白んでいく山ぎわ(の空が)、少し明る 春は夜明け方(が趣深い) くなってきて、紫がかった雲が細くたなびいている(のが趣深い)。 おもむき 、霜のいと白きも、また 冬はつとめて。雪の降りたるはいふべきにもあらず わた さらでもいと寒きに、火など急ぎおこして、炭もて渡るもいとつきづきし。 しも つらねたるが、いと小さく見ゆるはいとをかし。日入りはてて、風の音、虫の e 夏は夜。月のころはさらなり、やみもなほ、蛍の多く飛びちがひたる。また、 ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行くも 。雨など降るもをかし。 ① a 次の文章を読んで、あとの問いに答えなさい。 できる 古典⑴ これまた言うことができない。 しず たいそう趣深い。日がすっかり沈んで、風の音や虫の音など(が聞こえるの)は、 がある。まして雁などが列をなしている(の)が、たいそう小さく見えるのは、 c 似つかわしい。 急いでおこして、(部屋ごとに)炭火を持って行くのも、本当に(冬の早朝には) 冬は早朝(が趣深い) 。雪の降っている早朝は、言いようもない(ほど趣深い)。 霜がたいそう白い早朝も、また、そうでなくても、たいそう寒い朝、火などを d f さへ d をかし b なほ ⑴ 線a〜fを現代かなづかいに直し、すべてひらがなで書きなさい。 a やうやう c ちがひ e 近う ⑵ 線①〜③の言葉の、この文章中での意味として最も適切なものを次か ら一つずつ選び、記号で答えなさい。 しんせん ① さらなり ア 新鮮な感じがする イ もちろんだ ウ さっぱりしている エ 晴れやかである ② いふべきにあらず ア 言ってはいけない イ 言いようがない ウ 言ったほうがよい エ 言ってもよい つきづきし ③ ア ぎょうぎょうしい イ わずらわしい ウ 差し出がましい エ ふさわしい にあてはまる言葉を、古文の文章中から三字で書き抜きなさい。 d c a b ⑶ 現代語訳の 線a〜dの言葉は、古文ではどの言葉にあたるか。古文中 ぬ から書き抜きなさい。 ⑷ 解法のヒント ⑶ 現代語訳と古文とをよく照らし合わせてみるとよい。 54 12.古文の基本 ② 次の文章を読んで、あとの問いに答えなさい。 じついんそう づ ① さいたふ b これで完ペキ! ひ えいのやま a にてありける。 ひる ね c そら ね および d こん じゃく くだ (「今昔物語集」より) の指をはさみつけると、八つのくるみは一度にバリバリとくだけてしまった。 はさませておいてから、寝ながらのびをするように、 「う、うん」とうめいて足 みを八つはさんだところ、僧都はたぬき寝入りをしていたので、するがままに 〔 〕 昼寝をしていたときに、若い弟子たち〔 〕、師の力持ちであるとい 僧都 ため う話を聞き、試すために、くるみを持ってきて、僧都の足の指十本の間にくる に、ものすごい力持ちの人であった。 〕いた。 (人々は)小松の 今は昔のこと、比叡山の西塔に実因僧都という人〔す ぐ 僧都と呼んでいた。顕密の道について、この上なく優れていた人である。それ 〔現代語訳〕 うに、打うむめて足をはさみければ、八つの胡桃一度にはらはらと砕けにけり。 うち れば、僧都は虚寝をしたりければ、うち任せてはさまれて後、寝延びをするや ⑤ したりけるに、若き弟子ども、師の力ある を聞きて試むがた 僧都昼く寝 るみ きた うち めに、胡桃を取り持て来りて、僧都の足の指十が中に胡桃八つをはさみたりけ ④ 、比叡山の西塔に実因僧都といふ人ありけり。小松の僧都とぞいひけ 今はけ昔 んみつ る。顕密の道につきてやむごとなかりける人なり。それに、いみじく力ある人 * *顕密 = 顕 教 と 密 教 と い う 教 え の 種 類 。 ⑴ 線a〜dを現代かなづかいに直し、すべてひらがなで書きなさい。 a 西塔(さいたふ) やむごとなかりける b いふ c d するやうに 線②「いみじく」の、この文章中での意味として最も適切なものを次 ⑵ から一つ選び、記号で答えなさい。 ア たまたま イ たいへん ウ 少しだけ エ おおよそ ⑶ 線①「人」、③「僧都」、④「若き弟子ども」のあとには、それぞれ現 代語なら入るはずの共通する言葉が省略されている。それをひらがな一字で 書きなさい。 0 0 0 0 0 0 0 0 0 ⑷ 線⑤「うち任せて」とあるが、この動作の主語にあたる人物はだれか。 あてはまらないものを次から一つ選び、記号で答えなさい。 ア 実因僧都 イ 小松の僧都 若き弟子ども エ いみじく力ある人 ウ よし ⑸ にあてはまる言葉として最も適切なものを次から一つ選び、記号で 答えなさい。 ア 由 イ 力 ウ 道 エ 足 55 ③ 文学的文章⑴ 文学的文章⑴ 場面・情景 さか がないときは、「水着」「 (海で) ひと泳ぎ」 な ※「夏」のように、時がはっきりわかる言葉 ・ いつ (時)…夏の昼 ① 場面の四つの柱(いつ/どこで/だれが/ どうした)をとらえる。 場面・情景をとらえる手順 例 夏も盛りだ。 海辺は海水 浴に来た大勢の人でにぎわ きそ っていた。ぼくと弟は水着 に着がえると、競うように 波打ちぎわまで走っていっ してから入りなさい」とい ・ だれが (人物) ・ どこで (場所)…海辺 どの言葉に注目して考えるとよい。 う母さんの声が聞こえた。 た。後ろのほうから、「体操 振り向くと、母さんはパラ 2 どこで 1 いつ 場所 時 時代・年・月・日・時刻・時間帯・季節など 国・地方・自然・建物など 場面に登場する人物・話題に上っている人物な ど 出来事や事件・人物の行動など ② 1 時間の流れ…お昼のサイレンが鳴る 2 場所の移動…波打ちぎわ→水の中 3 人物の登場・退場…ぼく、弟、母さん →ぼく、弟 出来事の移り変わり…水着に着がえて波打 ちぎわまで走る→準備体操をして海に入り、 4 け合った。顔にかかるしぶ 水をかけ合う った。水面は、太陽の光を 反射して、きらきらしてい る。見上げれば、まぶしい 太陽がさんさんと照ってい かがや る。何もかもが輝いている ように見えた。ぼくは、う れしくてたまらない。 海に来た「ぼく」の「 うれしくてたまらない」 / 気持ちを表す情景が想像できる。 ・ 何もかもが輝いているように見えた ・水面は〜 きらきらしている 景を想像する。 ③ ①②の場面の様子をふまえて、作者や登場人 物の思ったことが書かれた部分に注目して、情 きがひんやりと気持ちよか くたちはおたがいに水をか 両手で水をはね上げて、ぼ 準備体操をして水に入ると、 前に、ひと泳ぎしたかった。 ちょうどお昼のサイレン が鳴った。お弁当を食べる ちょっとさびしそうだった。 仕事で来られなかったので、 ふ 情景とは、小説の中で、その場のありさまを、作者や登場人物がど ソルの下にいた。父さんが 情景 ……目に見えたり、思いうかべたりするありさま。 のように見たり思ったりしたかを表した様子である。 情景は、作者や登場人物の気持ち(心情)と深く関わっている。 場面 の 主 な 柱 3 だれが 人物 場面は、次の四つの柱を中心に組み立てられる。 4 どうした 出来事 場面の様子の変化をとらえる。 1 場面にいる人物…ぼく、弟、母さん 2 話題に上っている人物…父さん ・ どうした (出来事)…海水浴に来ている つの 場面ととらえる。 により、文章を区切ることができる。そのひと区切りの部分を、一 小説などの文学的文章では、時間の流れや出来事の移り変わりなど 場面 ……あることが起こっている場所とその様子。 場面 ・ 情 景 と は 要 点 チ ェ ック 01 4 場面・情景を表す言葉 次の文章について、( )に示した内容にあたる 言葉にそれぞれ 線を引きなさい。 ⑴ 夏休みのある朝のことである。少年は、いつものように散歩に出かけた。 (「いつ」がわかる言葉) (「どこ」がわかる言葉) ⑵ 少年は、毎日同じコースを散歩することに決めていた。海が見える高台 の公園でひと休みするのがお気に入りで、その朝も、いつものように寄っ てみた。 ⑶ ヒロシは、ぼんやりと海をながめていた。あたりにはだれもいなかった。 (「だれ」がわかる言葉) 静かで、波の音だけが聞こえていた。 ⑷ 少女は泣いた。悲しかったわけではない。なみだは、うれしい時にだっ (「どうした」がわかる言葉) てこぼれるのだ。 ⑸ ビルの屋上から、ぼくは空を見上げた。もう何年も、夜空の星なんて見 「 「どこ」「だれ」「どうした」がわかる言葉) たことがなかった。 ( いつ」 おうえん ⑹ いよいよ明日は試合だ。練習を終えての帰り道、さなえはわくわくして ため きた。自分の実力を試すいい機会だ。きっと勝てる。がんばろう。そう思 ( 「さなえ」の気持ちを暗示している情景がわかる一文) った。真っ赤な夕焼けも、さなえを応援するかのようにキラキラ光ってい た。 解法のヒント ⑴ 季節だけでなく、一日の中でいつごろかということにも気をつけよう。 ⑸ 「どうした」だけでは様子がわかりにくいときは、 「何をどうした」のかが わかる部分全体に線を引こう。 ⑹ さなえの「きっと勝てる。がんばろう。 」という気持ちが情景に表れている 一文をさがそう。 場面・情景をとらえる 次の文章について、( )の中の指示にしたがっ てそれぞれ答えなさい。 ⑴ 学校が終わって、かな子が家に帰ってきたのは、夕方に近いころだった。 ぬ (いつ帰ってきたのか、文中から七字で書き抜く) で 、だれ…… 。 が (「どこ」で、「だれ」が「どうした」か、文章中から書き抜く) ⑵ かな子は、自分の部屋に入り、そっと机の引き出しをあけた。そして、 白い巻き貝の貝がらを取り出してながめた。 どこ…… どうした……白い巻き貝の貝がらを (場面が変わったことがわかる言葉を、文章中から六字で書き抜く) めていたようだ。かな子はちょっとはずかしくなった。 朝目覚めると、手の中に貝がらがあることに気づいた。ひと晩中にぎりし ⑶ かな子は、夏休みに海で拾った白い巻き貝を、宝物にしていた。今夜も ふとんの中で貝がらをながめて、思い出にひたりながらねむりに落ちた。 こ ⑷ ある日かな子は、親友とけんかをしてしまい、気分が落ち込んでいた。 宝物の貝がらをながめても、気分が晴れない。貝がらさえも、なんだかそ っけないふうに見えてきた。 様子 (「貝がら」は「かな子」にどう見えたか、文章中の言葉を使って五字で書く) 解法のヒント ⑶ 時間の流れがわかる言葉をさがしてみよう。 5 わかる 01.場面・情景