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2 読書活動を推進するための施設、設備、図書資料等の諸条件

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2 読書活動を推進するための施設、設備、図書資料等の諸条件
2
読書活動を推進するための施設、設備、図書資料等の諸条件の整備・充実
(1)公立図書館の整備・充実
ア
子どもの読書環境の整備
【現状及び課題】
多くの公立図書館では、児童図書コーナーあるいは児童図書室が設置され
ているほか、おはなし室が設けられている図書館もあります。しかしながら、
中・高校生を対象とした図書コーナーや児童専用カウンターを設置されてい
る図書館は少数です。
また、県内には、図書館未設置町村があり、図書館設置市町村における移
動図書館車の運行等、全域サービスに向けた取組みにおいて、市町村間の格
差が大きいのが現状です。
【施策の方向】
市町村立図書館は、児童サービス担当者が、乳幼児用絵本のコーナーや小
・中・高校生向け図書等のコーナーの設置等、子どもたちのニーズに応じた
環境整備を行うとともに、効率的、有効的に図書の保存ができる施設の整備
に努めることが期待されます。
県立図書館については、市町村立図書館との役割分担を踏まえた機能やサ
ービスのあり方等について検討を行うとともに、市町村立図書館の選書やコ
ーナーのレイアウト等の環境整備、施設の整備等が円滑に推進されるよう支
援していきます。
また、図書館の未設置等による地域の状況を踏まえ、子どもたちが各地域
の身近なところで図書館サービスを受けることができるように、県と市町村
が一体となって環境整備等を推進していきます。
イ
図書資料の整備や情報化の推進
【現状及び課題】
近年、図書資料購入費の削減が続いており、新刊図書等の収集が十分とは
言えない状況にあります。特に、子どもの本は利用が多く消耗が激しいため、
頻繁に更新する必要があります。
県立図書館の蔵書情報がインターネット経由で検索できるようになり、
多くの市町村立図書館には、インターネットで検索できる蔵書システムが
導入されていますが、これからは、県立図書館を中心とした公立図書館間の
情報ネットワークや物流ネットワークを構築し、連携を深めていく必要が
あります。
- 12 -
【施策の方向】
市町村立図書館には、乳幼児用から小・中・高校生を対象とする幅広い図
書資料等の計画的整備が行えるような、資料費の措置と体制の整備、また、
全県的なネットワークにつなげられるような情報システムの整備が期待され
ます。
子ども読書支援センターでは、市町村立図書館や民間団体、図書館未設置
町村等を積極的に支援するため、幼児・児童向け図書等の整備に努めます。
また、子どもの読書活動の推進に携わる図書館や民間団体等の関係者、保
護者等に役立つような児童書研究資料や情報の収集・提供、 * レファレンス
・サービス、図書館体験学習の受入れなど、専門的なサービスを行うシステ
ムの整備に努めます。
さらに、県内外の様々な児童生徒用 Web (ウェブ)サイトとリンクした子
ども向け読書推進専用の * ポータルサイトを開設し、情報提供を行っていき
ます。
これらを通じて、県立図書館、市町村立図書館、学校図書館等の全県的な
ネットワークを充実させ、* 横断検索システムや、図書資料等の貸借のため
の搬送システムの充実に努めます。
用語解説
*
レファレンス・サービス
利用者からの様々な調査の依頼や問い合せに対し、資料、情報を提供すること。
*
ポータルサイト
インターネットに接続した時に最初に表示され、多数のユ−ザ−が「入口」又は「拠
点」として頻繁に利用する場所のことを言う。
*
横断検索システム
山口県内にある複数の図書館所蔵資料を同時に検索することができるコンピュー
ターシステム。
ウ
司書の充実
【現状及び課題】
図書館職員は、児童図書を始めとする図書館資料の選択・収集・提供、利
用者に対する読書相談、子ども読書活動に対する指導など、子どもの読書活
動を推進する上で極めて重要な役割を果します。
県内図書館の児童サービス担当者の現状は、専任の * 司書を置いていると
ころはわずかであり、多くの図書館では他の業務を兼務している状況にあり
ます。
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子どもの読書活動を支援していくためには、専門的知識や技術を持った職
員の適切な配置や養成を図っていく必要があります。
【施策の方向】
市町村立図書館は、子どもの読書活動に最も密接に関係する機関として、
子どもの読書活動の推進に関する専門的知識や技術を修得できるよう、研修
の充実を図るとともに、専門的知識や技術を持った職員が適切に配置される
ことが期待されます。
また、県立図書館は、市町村立図書館及び関係機関と協力し、経験年数や
職能等に応じたきめ細かい研修を実施することにより、県内各図書館全体の
職員の資質の向上を図ります。
用語解説
*
司書
図書館の専門職員として、「図書館法」に定める資格(司書資格)を取得し、図書館の
管理・運営、資料の収集・整理・保管、閲覧・貸出し・レファレンス・サービスなど
の専門的業務に従事する者。
(2)幼稚園や保育所における整備・充実
【現状及び課題】
「家庭でしっかり読み聞かせを」と呼びかけている幼稚園や保育所は多く
ありますが、各施設に備えられている図書は、質・量において十分とは言え
ない状況です。
幼児の想像力や知的好奇心を刺激する絵本や図鑑、また、ストーリーテリ
ングで活用する物語等、蔵書の計画的な購入・整備を図るとともに、幼児の
目線・動線を考えた絵本コーナー作りや展示を工夫するなど、環境整備に努
めることが求められます。
【施策の方向】
幼稚園や保育所では、子どもたちが教員、保育士と一緒に楽しんで本と出
会えるスペースを確保し、保護者や民間団体等と連携・協働して、図書環境
の整備が行われるとともに、図書館等の協力を得て、発達段階に応じた絵本
等の整備・充実を積極的に進めるように促していきます。
また、最近、地域でみられる幼児ライブラリ−など、子育て支援と連携し
た取組みについての調査・研究を進めていきます。
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(3)学校図書館の整備・充実
【現状及び課題】
学校図書館には、「豊かな心」を育む読書センターとしての機能と、児童生
徒の自発的、主体的な学習活動を支援する学習情報センターとしての機能が
あります。県内の学校においては、図書資料の整備が十分とは言えない状況
にあり、学校図書館がその機能を発揮するためには、図書資料の整備が図ら
れなければなりません。
小・中学校においては、 *「学校図書館図書標準」を目標に、計画的に図書
資料の整備・充実を図っていくことが求められています。
また、各学校においては、学校図書館担当の職員等が配置されたり、ボラ
ンティアによる活動を取り入れたりしており、平成15年度からは、12学
級以上の学校で司書教諭の発令がされるようになりました。
学校図書館をより充実させるためには、司書教諭や学校図書館担当の職員
等の適切な配置や、校内において司書教諭や学校図書館担当の職員等が図書
館運営に十分な役割を果すことができるような校内体制の確立を図っていく
必要があります。
【施策の方向】
学校においては、学校図書館の図書の充実を図っていくよう努めます。
特に、市町村に対しては、国の「学校図書館図書整備5カ年計画」(平成
14∼18年度)を基に、子どもの知的活動を増進し、多様な興味や関心にこ
たえ、各教科、道徳、特別活動、総合的な学習の時間など多様な教育活動を
展開していくための魅力的な図書資料等の整備・充実のため、平成18年度
までに、国が示した図書資料の整備目標が達成できるよう、継続的に働きか
けます。
また、高等学校においても、図書館の蔵書の見直しを行うなど、計画的に
整備を進めていくよう努めます。
学校図書館の情報化を図り、*やまぐち情報スーパーネットワークや*スク
ールネットワーク21を活用して、図書や読書の情報の収集・発信ができる
環境整備を促します。
子どもの学習活動や読書活動を推進するためには、司書教諭や学校図書館
担当の職員等のみならず、すべての教職員が連携して取り組むことが必要で
す。
このため、司書教諭や学校図書館担当の職員等のための研修会を充実させ、
図書館運営に十分な役割を果たすことができるよう支援を行います。
また、11学級以下の学校においても、司書教諭の資格を有する教諭の学
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校図書館担当者への拡大を図って行くよう努めていくとともに、学校図書館
担当の職員等の配置等について、各学校の実情に応じ、引き続き努めます。
多様な経験を有する地域の社会人やボランティアの協力を得て、学校図書
館の充実を図っていきます。
用語解説
*
「学校図書館図書標準」
平成5年に、文部省(現文部科学省)が、公立の義務教育諸学校において、学校図書
館の図書の整備を図る際の目標として設定したもの。
*
やまぐち情報スーパーネットワーク(YSN)
平成13年7月、山口県が整備した光ファイバーによる高速かつ大容量の全県情
報通信網。
*
スクールネットワーク21
平成14年4月に、YSNを利用して山口県教育委員会が整備した県内の学校間を
結ぶネットワーク。
(4)児童館や公民館における整備・充実
【現状及び課題】
児童館や公民館においては、児童図書の閲覧や、保護者や民間団体等によ
る読み聞かせやおはなし会等の活動が行われ、子どもが読書に親しむことの
できる場としての役割を果しているところもありますが、地域差があり、必
ずしも充実しているとは言えません。
今後、児童館や公民館における図書資料の充実や民間団体等による読書支
援のボランティア活動の育成・充実の必要があります。
【施策の方向】
児童館や公民館には、子どもの本のコーナーが設置され、本の貸出しやお
はなし会などが行われるよう、また、子ども読書活動推進に関連する県内情
報が入手できるパンフレットボックスの設置やインターネットの開設を関係
機関に働きかけます。
また、必要に応じて、児童館や公民館に公立図書館から職員が派遣された
り、各種講座の開催や助言活動が活発化されるとともに、児童館や公民館で
開催される読書活動に関する情報が、市町村立図書館等でも入手できるよう、
関係機関に働きかけます。
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