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第1章 保健・医療を適切に受けられる体制づくり
第2編 健康なまちづくり 第1章 保健・医療を適切に受けられる体制づくり 第1節 救急医療体制の整備 現状 ○美馬市医師会は、在宅当番医制などで、初期救急医療の機能を持ち、つるぎ町立半田病院とホ ウエツ病院は、入院を要する救急医療( 2 次救急医療)の機能を持つ。 ○管内( 西部I救急医療圏)の救急搬送人員(発生数)は 1,700 人前後で 、ほぼ横ばいである。 ○平成 23 年の管内自己完結率は 56.7%(965/1703)で、平成 19 年度の 65.9% (1123/1704)から低下 している。 H19年~H23年管内搬送人員及び 自己完結患者数(資料:救急患者搬送調べ) 2000 1500 1000 500 0 1704 1123 H19 1698 1093 H20 搬送人員 自己完結患者数 1627 1723 1703 974 981 965 H21 H22 H23 ○平成 23 年の救急搬送人員(発生数)に占める管内の重症度割合は 、軽症が 32.9%、中症が 45.0%、 重症が 19.5%、死亡が 2.6 %で、平成 19 年から比べるとほぼ傾向は変わらない。 ○つるぎ町立半田病院と県立三好病院が、小児救急輪番病院として入院小児救急医療を行ってい る。 ○県では夜間(18 時から翌朝 8 時)における子供の急な病気やけがに対応するため小児救急電話 相談事業「 #8000」に取り組んでいる。 ○桜木病院 、折野病院 、秋田病院、ゆうあいホスピタルが、精神科救急医療施設「 病院群輪番型」 として、精神科救急患者の医療を提供している。 ○美馬市消防本部、美馬西部消防組合、美馬保健所等は、住民からの依頼に応じて、一次救命処 置(救急蘇生法と AED)の講習を実施している。 課題 ○管内には脳卒中、急性心筋梗塞の急性期医療機関がない。 ○管内は自己完結率が県下で最も低く、他圏域への流出が多い地域である。 ○管内の救急搬送人員、軽症者の割合のどちらも減少傾向にないことから、救急車の適正利用を 推進していく必要がある。 ○病気や怪我により、突然に心停止、もしくはこれに近い状態になった場合に、地域住民が救急 蘇生法を実施し蘇生率の向上を図る必要がある。 施策の方向 ○ドクターヘリの活用の方法及び搬送基準等について、関係機関と情報共有を図る。 ○住民に対して、かかりつけ医の普及や救急車の適切な利用方法 、「徳島こども救急電話相談」 #8000 等の啓発を行うことで、救急医療についての理解を深める。 ○消防署、保健所、市町による住民への一次救命処置に関する講習を充実させるとともに、県民 へ自動体外式除細動器(AED)の設置場所の周知を図る。 ○管内の救急医療の関係者と現状及び問題点について協議することにより、円滑な救急医療体制 を推進する。 【自己完結率】管内で発生した患者が同管内の医療機関に搬送された割合 第2節 災害医療体制の整備 現状 ○平成 24 年8月に内閣府が公表した「 南海トラフ巨大地震に関する津波高 、想定浸水区域 、 被害想定」で、最大震度は、美馬市が震度7、つるぎ町が震度6となっている。 ○管内では、「災害拠点病院」としてつるぎ町立半田病院 、「災害医療支援病院」としてホウ エツ病院が指定されている。両病院共に耐震化対応済である。 ○「災害派遣医療チーム( DMAT)」は、つるぎ町立半田病院とホウエツ病院に1チームずつ編 成されている。 ○「 災害時コーディネーター( CN)」として、医療 CN 1名 、薬務 CN 4名 、保健衛生 CN 4名 、 介護福祉 CN 1名が配置されている。 ○美馬市及びつるぎ町は、美馬市医師会と「災害・事故等時の医療救護に関する協定書」を締結 している(平成 20 年6月 14 日)。 ○災害時に医療救護活動を、迅速かつ円滑に提供するために関係機関と連携を図りながら、医療 救護体制の検討を行っている(災害時 CN「全体会議」及び「圏域内連絡調整会議 」)。 ○県内では、広域災害救急医療情報システム( EMIS)が導入された(平成 23 年9月1日)。 課題 ○美馬市医師会は 、「災害・事故等時の医療救護に関する協定書」に基づき 、「災害時医療救護 計画」を作成し、毎年、検討及び修正を行う必要がある。 ○災害発生時における関係機関の連携体制が不十分である。 ○災害に関する知識や発災時の対応等について、住民や関係機関に対して啓発する必要がある。 ○広域災害救急医療情報システム( EMIS)の登録医療機関の増加及び関係機関への普及を図る 必要がある。 施策の方向 ○「災害時医療救護計画」を検討及び修正し、発災時、迅速な対応を行うことができる体制づく りを推進する。 ○災害時 CN「全体会議」及び「圏域内連絡調整会議」等により、平常時において関係機関との 連携体制の構築を推進する。 ○健康危機管理研修会等を通して、関係機関に対して災害医療に関する知識の普及啓発を行う。 ○医療機関及び関係機関に対して、広域災害救急医療情報システム(EMIS)の普及を推進する。 【災害拠点病院】 災害時に多発する重篤救急患者等の救命医療を行う医療機関 【災害医療支援病院】 災害拠点病院を支援・補完する医療機関 【災害派遣医療チーム( DMAT)】 災害急性期(発災後概ね 48 時間以内)に迅速に被災地に出向き 、「被災地内におけるトリアージや救 命処置」「患者を近隣・広域へ搬送する際における必要な観察・処置 」「被災地内の病院における医療支 援」等を行う、専門的な訓練を受けた医療チーム 【トリアージ】 災害発生時など多数の傷病者が同時に発生した場合、傷病者の緊急度や重症度に応じて搬送や適正な 処置を行うための優先順位を決定すること。 【災害時コーディネーター】 発災後、刻々と変化する被災地の状況を把握し、限られた資源の適正配置・分配など、被災地の医療 ・福祉を統括・調整する者 【広域災害救急医療情報システム(EMIS)】 災害時に被災した都道府県を越えて医療機関の稼働状況など災害医療に関わる情報を共有し、被災地 域での迅速且つ適切な医療・救護に関わる各種情報を集約・提供するシステム 第3節 へき地医療体制の整備 現状 ○無医地区は、美馬市に5地区(人口 590 人)、つるぎ町に2地区(人口 348 人)ある(平 成 21 年 10 月現在 )。 ○無歯科地区は 、美馬市に6地区(人口 762 人)、つるぎ町に3地区(人口 408 人)ある( 平 成 21 年 10 月現在 )。 ○へき地診療所として、美馬市国民健康保険木屋平診療所と美馬市国民健康保険口山診療所 があり、つるぎ町国民健康保険八千代診療所は平成 24 年6月1日付で廃止となっている (平成 24 年6月 27 日付けで多田クリニック八千代診療所が開設 )。 ○へき地歯科診療所は美馬市木屋平歯科診療所があり、平成 24 年 1 月 1 日より廃止となってい たが、平成 25 年4月から毎週水曜日に再開する予定となっている。 ○つるぎ町立半田病院が へき地医療拠点病院に指定され、へき地診療所等への医師派遣、医師 等の研修や休暇時等における代診医の派遣といった支援を行っている。 ○専門的な医療を行える医師の不足により、医療サービスの格差が生じている。 ○急峻な山間部で高齢者の多い地域では、遠方の医療機関に通うことが困難になっている。 ○救急搬送時間が1時間を超える地域がある一方 、ドクターヘリによる搬送も随時行われている。 課題 ○ へき地診療所においては、医師の確保が困難な状況である。 ○へき地医療を支援するために、診療情報の伝達システム等の整備が必要である。 施策の方向 ○地域医療支援機構、へき地医療拠点病院による支援体制を充実する。 ○無医地区等の住民の医療機関への交通手段(介護タクシーやボランティアによる搬送)を確保 するため、市町や社会福祉協議会等との関係医療機関と連携を図る。 ○山間部での健康増進を図るため、健康教育、健康相談等の保健活動を充実すると共に、高齢者 世帯への健康指導・退院後の在宅支援等について充実を図れるように支援する。 【無医地区・無歯科医地区】 無医地区とは、医療機関のない地域で、当該地域の中心的な場所を起点にとして概ね半径4㎞の区域 内に人口 50 人以上が居住している地域であって、かつ、容易に医療機関を利用できない地区のことを いう。無歯科医地区とは、同様に歯科医療機関がない地区のことである。また、この要件を満たしてい ないが、無医・無歯科医地区に準じた医療の確保が必要な地区であると、都道府県が判断した地区を、 準ずる地区という。 【へき地診療所】 医療機関のない地域で中心地から半径4㎞の区域内に 1、 000 人以上が居住し、容易に医療機関を利 用できない地区の住民の医療を確保するため都道府県や市町村によって設置された診療所をいう。 【地域医療支援機構】 都道府県単位で設置される組織で、へき地診療所への代診派遣(診療所医師が不在の場合に代わりの 医師を派遣)の調整や、へき地医療に関する研修会の計画やプログラムの策定を行う等、へき地医療対 策の各種事業を実施する。 第4節 在宅医療体制の整備 現状 ○徳島県における在宅医療を受けている患者の主たる疾患は、居住場所が自宅の患者では、 脳血管疾患が約 22 %、骨・関節疾患が約 15 %、認知症が約 11 %となっており、悪性新 生物は約6%である。居住系施設の患者では、認知症が約 54 %、脳血管疾患が約 16%、 骨・関節疾患が約8 %となっている。 ○平成 24 年度の県民意識調査では、病気やけが等により通院が困難になった場合、8割以 上の方が「可能であれば自宅で療養したい」という希望を持っている。 ○在宅医療の提供に当たっては、患者が住む慣れた地域で安心して療養生活を送ることがで きるために、包括的かつ継続的に在宅医療・介護サービスが提供できるよう、県内を6圏 域に分け、在宅医療圏として設定している(美馬保健所は西部Ⅰ医療圏 )。 ○円滑な退院を支援するため、退院支援担当者を配置する医療機関が管内では8箇所である(県 全体:65 箇所)。 ○管内の在宅療養支援診療所診療所は6箇所、在宅療養支援病院は3箇所である(県全体:在宅 療養支援診療所診療所は 153 箇所、在宅療養支援病院は 20 箇所 )。 ○管内の訪問看護事業所数は、6箇所であり、訪問看護事業所間の連携強化や専門的な看護師の 育成、訪問看護事業所や看護師が不足しているため、機能強化等を進める必要がある。 ○在宅療養支援歯科診療所は、県全体で 91 機関であり、全歯科診療所の 20.7 %である。 ○県全体における在宅患者訪問薬剤管理指導料届出薬局は、 293 箇所であり、全薬局の 77.7 %で ある。 ○管内では医療、介護、福祉関係者間で連携を図るための「地域連携の会」が発足し活動を行っ ている。 課題 ○在宅療養支援診療所及び在宅療養支援病院及び訪問看護事業所、在宅療養歯科診療所、在宅患 者訪問薬剤指導料届出薬局等の機能強化を図る必要がある。 ○在宅医療に関する知識の普及や啓発等により、円滑な退院支援、日常の療養支援等の体制を図 る必要がある。 ○入院から在宅までを継続した医療や介護サービスが提供されるためには、医療機関、歯科診療 所、薬局、訪問看護事業所、居宅介護支援事業所、介護サービス事業所等の多職種との連携が 必要である。 施策の方向 ○在宅医療・介護の関係者に対して、在宅医療に関する知識の普及や啓発を行い、在宅医療への 理解を深めるとともに連携強化を図る。 ○地域医療福祉連携ネットワーク事業等を通して、地域連携クリティカルパスの運用等により切 れ目のない継続的な医療提供体制の構築を図る。 【在宅療養支援診療所】 在宅医療の推進、普及を担う診療所で、24 時間連絡を受ける医師または看護職員を配置し、 24 時間 往診および訪問看護の提供が可能な体制を確保していること、在宅療養患者の緊急入院の受け入れ体制 を確保していること等の要件を満たした診療所。 【在宅療養歯科診療所】 後期高齢者の訪問歯科診療を行う歯科診療所で、高齢者の口腔機能管理に係る研修を受けた常勤の歯 科医師の配置、歯科衛生士の配置、在宅療養を担う保険医療機関の保険医等との連携により、患者の求 めに応じて、迅速な歯科訪問診療が可能な体制を確保していること等の要件を満たした歯科診療所。 第5節 臓器等移植対策・血液確保対策 現状 ○骨髄移植 県では、(財)骨髄移植推進財団の設立時からドナー登録を呼びかける普及啓発事業に取り組ん でいる。美馬保健所では、毎月第1・3水曜日 11 時から 12 時をドナー登録の窓口として設置して いる。また、窓口以外でも、献血併行型ドナー登録会の実施及び毎年 10 月の骨髄バンク推進月間 においては市町の広報誌への掲載、若い世代への啓発などを実施している。 ○献血 全血献血(400ml)の年齢は男女とも 18 歳から 69 歳であったが、平成 23 年4月1日に採血基準 が改正され、男性については 17 歳から 69 歳となった。 平成 18 年度より、移動採血車における献血は 400ml 献血のみとなった。管内の移動採血車にお ける献血者数は、平成 20 年度をピークに右下がりとなっている。 移動採血車における献血者数 1050 1000 950 人 900 850 800 750 平成19年度 平成20年度 平成21年度 平成22年度 平成23年度 課題 ○骨髄移植に関する長期的なドナー登録者数の確保のためには、ドナー登録会実施回数の増加や若 年層に対するより一層の普及啓発が必要である。 ○献血に精力的に参加してきた方々が高齢化となり、糖尿病・血圧の薬服用の増加などにより、献 血に協力できない人が増加している。 ○移動採血車における献血が 400ml の全血献血のみとなったことにより、血液検査における比重 不足、体重不足などによって献血できない人が年々増加傾向にある。 ○献血経験者は、学生時代や若いときに献血し、継続して協力してくれる方が多い。しかし、若年 層が献血に触れあう機会が少ないため、献血に対する意識が薄くなっている。 施策の方向 ○骨髄移植に関しては、保健所窓口でのドナー登録受付に加えて、献血併行型ドナー登録会につい て、新規の協力事業所の開拓を進めるとともに、関係機関との連携を図り、骨髄バンク推進月間 などの機会を利用し、幅広い普及啓発を実施する。 ○県赤十字血液センターと連携し、献血推進ポスターを掲示する等の啓発活動を実施すると共に、 美馬保健所が実施する健康づくり講座等の機会を利用して、地域の各種団体や事業所等に対する 啓発を推進する。 ○男性の献血可能年齢が 17 歳からと改正されたため、高等学校で献血に関する啓発を行い、理解 を深めるとともに、高等学校での献血を実施し、献血に参加する機会を増やす。 第6節 安全な医療の提供及び医療に関する情報化の推進 現状 ○保健所では、医療法に基づく医療機関に対する立入検査を、管内医療機関及び歯科医療機関に対 して実施している。 ○医療安全窓口を保健所に設置している。 ○県民の医療に関する情報提供を求めるニーズの高まりに応え、インフォームド・コンセン トの理念に基づく医療の一環として、医療情報の提供に関する重要性が高まっている。 ○医療に関する必要な情報について、いつでもどこでも簡単に利用できる環境整備が求めら れている。 ○医療法において「医療機能情報提供制度」が定められている。 ○県は「医療とくしま」の名称でホームページを設けている。 ○福祉保健医療情報ネットワーク(WAMNET)、感染症サーベイランシステム等の保健医療に関す る情報を集約するためのシステムも構築されているが、十分に活用されていないものもある。 課題 ○医療安全に関する委員会の設置、指針・マニュアルの策定、院内感染の防止、職員に対する医療 安全研修の実施などについて指導を行い、医療機関における医療の安全確保の推進を図っている。 ○患者・家族、医療機関からの相談などに対応しすることにより、住民が安心して医療を受けるこ とができる体制づくりが必要がある。 ○既存の情報システムの内容を充実させ、利用者を拡大し、住民や関係機関への情報提供をより一 層図る必要がある。 ○散在する保健・医療・福祉サービスに関する情報を集約し、一貫した情報を効率的に提供できる システムの整備が必要である。 ○医療の分野の情報化を推進する必要がある。 施策の方向 ○医療機関に対する立入検査における指導などを通じて、医療法の趣旨を周知し、医療機関におけ る医療安全の管理体制を推進する。 ○医療安全窓口における相談に適切な対応を行い、必要に応じて医療機関との調整を行うことによ り、住民に対する医療安全を推進する。 ○稼働中のシステムについて、内容を充実させると共に、住民に利用方法を周知し、利用者の拡大 を図る。 ○住民に適切な情報を提供するために美馬保健所のホームページを充実させる。 ○ホームページを閲覧できない人のために印刷物等の情報媒体の活用も図る。 【医療機能情報提供制度】 医療機関に対し医療機関の有する医療機能に関する情報について県への報告を義務づけ、県はそれらを 住民や患者にわかりやすく提供することで、住民や患者に対し医療機関の適切な選択を支援する制度。 【医療とくしま情報箱】 県のホームページで、医療政策、研修の案内、医療機関の事務手続き、通知医療機関の情報等を掲載し ている。