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ワークショップ参加報告書(南)
ワークショップ参加報告書 報告者氏名 南 和幸 ワークショップ名 East – Asian Collaborative Design Workshop 会場 成均館大学校(Sungkyunkwan University:SKKU) 場所 大韓民国ソウル特別市鍾路区, 京畿道水原市長安区 日程 14 – 16 April, 2007 Team No. 4 2007/4/20 1 1. ワークショップ概要 新製品や新サービスを提供する上で,市場の動向を理解することは必要不可欠なことで ある.また現代のグローバルな社会において,世界レベルでの市場の動向を明確化するこ とは,世界のトレンドをリードする上で大きなファクターの 1 つといえる. そこで本ワークショップは,東アジア(日本,中国,韓国)における「トレンド」をキ ーワードに,製品やサービスなどから現在における各国のトレンドの傾向を探り,今後,3 ヶ国でヒットする新製品やサービスなどの潜在的な要因を探り出すことを目的に開催され た.またスペシャルワークショップとして,グループワークにおける作業の効率化実験及 び創造的発明実験が行われた.本ワークショップは数回の会合が予定されており,今回は その第 1 回目に当たる. 本稿では,以下にワークショップの作業内容と作業結果,そしてスペシャルワークショ ップの作業内容と作業結果をレポートする. 2. ワークショップ内容 本ワークショップは,日本,中国,韓国(以下,日中韓)の大学生,大学院生からなる 4 つの混合チーム(6~8 人)に分かれて作業を行った.チーム毎に各国に共通するトレンド を理解し,今後 3 ヶ国でヒットする新製品あるいは新サービスを考案することを目的とし ている.本ワークショップは,各国の現状におけるトレンドを理解するフェーズと,理解 したトレンドから 3 ヶ国でヒットする新製品あるいは新サービスを考案する 2 つのフェー ズに分かれている.各作業内容を以下に示す. 2.1 フェーズ 1:トレンドの理解 フェーズ 1 では,各国の現状におけるトレンドを理解するために,オンラインあるいは オフラインから,以下の 2 つの観点から主観的に各自各国のトレンドを考察し,そのトレ ンドを象徴するキーワードを幾つか選び出するよう求められた. • TV ドラマ,映画の人気ランキングから,人々のライフスタイルを考察 • 2006 年度に最もヒットした商品から,その成功に関する重要な要因を考察 2.2 フェーズ 2: 商品の考案 フェーズ 1 より選び出されたキーワードを基に,チームごとにブレーンストーミングを 行い,3 ヶ国でヒットする新製品あるいは新サービスを考案するよう求められた.ジャンル や対象,予算などの制約はなく,3 ヶ国でヒットすることが必要最低制限とされた.成果物 として,アイディアのイメージ図,そのアイディアに至った根拠の説明が求められた. 2 3. ワークショップ結果 以下にチーム No.4 のワークショップの作業結果を記述する.フェーズ 1 として各自各国 のトレンドをオンラインまたはオフラインから調べた結果,表 1 に示すキーワードを選び 出した.選び出したキーワードから分かるように,身近にあるアジア圏であっても各国で トレンドが異なることが分かる. 表 1 日中韓における現在のトレンドキーワード(チーム No.4) 日本 中国 韓国 日本製品 ファッション ダイエット製品 教育とトレーニング エンターテイメント エコデザイン 小型製品 デジタル製品 男性人の活躍 先端技術製品 文具 健康食品 フェーズ 2 として上記のキーワードを基に,ブレーンストーミングを行った結果,3 ヶ国で 使用されており,またその需要が高いことから携帯電話をより拡張したマルチデバイスを 考案した.そのイメージ図を図 1 に示す.コンセプトキーワードは, 「鞄の中をスッキリ」 である.免許書,電子マネー,携帯電話,電子辞書などといった日常生活を送る上で必要 最低限の持ち物を 1 つのデバイスとしてまとめる事によって,シンプルでスタイリッシュ な生活を提供することが目的である.見た目は学生書のようなカード状の形状をしている が,前面が薄型のタッチスクリーンになっており,携帯電話としての機能はもちろん,ID カード,電子辞書,電子マネー,TV,ミュージックプレーヤーなど,マルチな機能が兼ね 備えたデバイスである. 余談ではあるが,上記のアイディアは製品としては実用的で魅力的ではあるが,新規性 には欠けるものがある. いわば既存の機能を 1 つのデバイスにまとめただけの製品であり, 今回 3 ヶ国が一同に会して議論を行ったアイディアとしては少し寂しい結果と考える. 図 1 マルチデバイスイメージ図 3 4. スペシャルワークショップ内容 本スペシャルワークショップは,上述したワークショップとは別に,グループワークに おける作業の効率化実験と Finke(1990)による創造的発明実験が行われた.尚このスペシャ ルワークショップの意図とその実験結果はまだ参加者にフィードバックされていないので, グループワークにおける作業の効率化実験においては作業内容及び作業結果を,創造的発 明実験においては作業内容をレポートする. 4.1 グループワークにおける作業効率の実験 本実験は,前述のワークショップで組まれた 4 つのチーム毎に,スパゲティー13 本とセ ロハンテープを用いて,タワーを 20 分で作成するように求められた.各チーム内でタワー を作成するメンバーとタワーを作成するメンバーを行動,言動などの 8 種類の観点から観 察するメンバーに分かれて作業を行った.その後,タワーを作成していたプレーヤーと行 動を観察していたプレーヤーが入れ替わり,ストロー13 本とセロハンテープを用いて,タ ワーを 10 分で作成するように求められた.尚,タワーの作成に際しタワーの高さ,強度, 美しさ,作成時間を各チームで競い合うように求められた.各チームが作成したタワーを 図 2~3 に示す 図 2 スパゲティータワー 4 図 3 ストロータワー 4.2 創造的発明実験 本実験は,Finke(1990)による創造的発明実験に基づき,15 の物体部品(球,半球,立方 体,円錐,円筒,直方体,ワイヤ,チューブ,腕木,正方形の板,鈎,十字,車輪一対, リング,取っ手)の中から指定された 3 つの物体部品を合成し玩具を作成するように求め られた.1 分間,頭の中で物体部品の合成をイメージし,その後,紙にイメージした形状を 描き,描いた形状を玩具として意味付けするように求められた.同様に 2 回目に実験では, 指定された 3 つの物体部品を合成し家具を作成するように求められた.1 分間,頭の中で物 体部品の合成をイメージし,その後,紙にイメージした形状を描かせた.次に,描いた形 状に意味付けをする際に,家具ではなく武器として意味付けするように求められた. 5. 感想 異なる文化を持つ学生同士が集まり,各国のトレンドをキーワードに新たな製品を提案 する直接的且つ刺激的なワークショップであった.普段,我々は学問の立場からデザイン について探求しているわけだが,より直接的な作業を行うことは非常に稀であり,今回の ように実際に市場のニーズを理解し,デザインを考える作業は非常に良い経験となった. また 3 ヶ国が協力しながら作業を行うことによって,日本にはないアイディアや視点,作 業スタイルなど,自身の研究活動に収穫の多い時間を過ごすことができた. 今回のワークショップは第 1 回目ということもあり,提案された新しい製品のアイディ アは非常に簡単であり練られたものではなかった.3 ヶ国が協力して新たなアイディアを導 き出す本ワークショップの本質について,今後ネットミーティングを通して議論したいと 考える. 5