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1950 年 6月 13
1 9 5 0年 6月 1 3日の宮城県涌谷町地ナベり調査報告 佐 S1 . ま えがき 1 9 5 0年(昭和 2 5年) 6 月 1 3日 , 藤 道 司 長 宮城県?墨田郡涌谷町大久保部落に, 地 す べ り が 起 久 住 宅 2戸が倒れ, 5戸が小破し, 7戸が危険となり,送電用電柱など 6本が倒れ た。地すべりはその後も引続き,山林,畑地たど,部落一帯にわたり,無数に地割れ,き裂が生じ, 田尻道路ではかん落が起り,とのため地元民は危険と息わ,れる家屋のたちのきを始めるに至った。 S2 . 地 す ベ り 地 区 の 位 置 と 地 形 地 す べ り 地 区 は 東 北 本 線 小 牛 田 駅北東約 4kmの地点く5万 j 分の 1地形図「涌谷」参照)で,第 1図のように,、標高 65mの所をほぼ、東西に走るはば 2m近く の田尻道路を稜として,ほぼ南南西に扇形に開いた緩斜くぼ地で, くほ、地の末端は江合川流域の同 5度くらいで,末端の田地附近では, 地にのぞんでいる。く段、地の斜面はだいたい 2 2 0度,田尻道 路F 付近では 3 0 度近い勾 配になって公り,第 1 ~ 図の点線 a a 'は沢に なっているが,との沢 の右傾斜面は訟なむか 耕地になって沿り,影 b '附近では急:傾 線b 斜 で3 5 度近く森林にな っている。沢の左傾斜 面は林地と耕地で約2 5 f / ' 度の傾斜にたっている が,との左傾斜面と田 F i g ._1 . 尻道路附近に約 3 0戸の 人家が分布している。 S3 . 地 す べ り の 一 般 状 況 部 落 民 の 訴 に よ る と , 当 剖i 落は過去に沿いても年代不明の大;J、の地 すべりが相当あり,新らしいもので、は 1 9 4 7 年 8月 1 5日 , 1 9 4 8年 9月のキテイ台風時に起ったもの, 1 9 4 9年 6月などにもあり,その度に 1--2戸が危険を感じて移転していたようであるが,今回のよ 0日 44mmC D降水があってから第 6図のよ うに大規模で・はなかったとのととである。今回は 5月 2 骨仙台管区気象台観測課 - 64ー 1 9 5 0年 6月 1 3日の宮城県涌谷町地すペり調査報告一一佐藤 うに 6月 2 5日までに 3 9 4m r r i も降り,地すべりの発現明日については部落民にようて多少遣って いたがだいたい 6月 1 3日と推定され,場所は弟 1図影線 b ' " ' ' b 'の 念 傾 斜j 寝 買 6 ‘(側面〉の森林 の部分が最も早くすべり烏ち,地はだが見えたととが人々によって認められたようで,初め 5尺 位 すべり落ちた後徐々にすべ、りだし,同時に田尻道路及び、その附 j[にき裂が現われ,徐々にすべり, ),宮島氏宅(寓買ののように家 その後も引続き地割れかん落しく潟異1),稲田氏宅(寓真 3 屋が破壊し,沢の右傾斜面及び左傾斜面には無数のき裂,地割れが生じ,樹木は'倒れ,沢をはさん 1 1 1で 、 で・第 1図太実線.ABCの方向に傾斜面に沿って全体的にすべった。沢の部分イ印の家の裏庭附 ; は次第に ~ 地面が下から盛上って沿りまた沢の上の方では両方から弐第にはさまれている。 4 . かん落,地割れ,き裂 はじめ第 1図 B B!,の影線の部会が1.5mくらいすべり落ちたのが 多くの許s 落民によってみとめられたが,とのさいには音響な左は伴わず,その後も日日約 2.5mづ つ徐々に立木のあるままがん落し,第 2図 , 思 買 6 ,7のよ 陪 ザ 1ではか うになった。とれとともに第 1図 田 尻 道 路 K, 第 買: J z . l r . ん落の深さが1.2m近く,第 1図幅同氏宅の庭先でも議頁 3 のように 1.2m近くのくい遣いが生じたため,同家は大破し, 寓 真 5の田尻這路は 1.5mくらいのくい遣いを生じた。第 1 図の破線(東北大学岩石学教室調査〉は顕著な地割れの分布 を示すが,地すべりは全体的に第 1図 太 実 線 ABCの方向に J tO Fig..2. ( c .f . Photo. 6) の走向はだいたい 直-角に部落全体に扇形に分 すべっているが,との方向にほぼ i 布しているか,沢の右傾斜面は耕地になっているか,地割れ 3間島きぐらいになっており,深さ 1m間口 30cm ぐらいのものもあり,地調l れの問に無数のき裂が生じて沿り,左傾斜面は樹木等があるため右傾斜面ほど顕著にみとめるとと F i g .3 . G e o l o g i c a l .Map near Okubo. ー - 65. 験 震 時 報 はできなかったがとのため耕地の作物は相当の被害をと沿むっていた。田尻道路附近では最も顕著 で無数に地割れ,き裂が生じている 0 95 . 地すべりの速度及び方向 1 3日から弐第にすべり,毎回 3,,-, 4問くらいで 6月 2 3日が最も 大きく,右傾斜面で・は桐の木ば立ったままずべっている。地すべりの移動方向は第 1図の太線 A B Cのように沢に向いた勾配に沿ってすべっている。 96 ." : 1 : 也 質 第 3図のように当部落一帯の地質は,との;庄の代表的な 6のとして,小牛 同居,広淵屠,黄金遁唐の各麿に分けているが,表唐は広淵麿といって厚さがだいたい 30~50m で, 砂荒,砂質,買の交互居で亜茨をはさみ,基底に機岩及び礁質砂岩唐を有するもので,その下屠は 乏「ごl~今。 合 .・等 、 々 F i g .5 . The P o s i t i o no f Photographing. F i g . 4 . 粘土質の黄金遁唐厚さ 4 0, . . , 50m で責褐色細粒依砂岩粘土をふく m m んで沿り,第 2図寓買: 6のすべりなちた面の下麿陀現われている。 4 0 ‘ 小午田屠は 2 5, . . , 30mで含介石青友色頁岩唐,砂岩唐をはさむも 3 0 のであり,だいたい以上 3唐になっている。(東北大学地理学教 20 室調査) 1 0 97 . そ の 他 第 4図,潟異 8,第 1図 b印F 付近で・は 1.8m Q 5~2o日 258 3 1日 向 5日 1 0白 ,F i g .6 . ~ 1 5日 206 25日 P r e c i p i t a t i o na tK o g o t a . 8・ 結 くらい盛とり, . 2 3日には 1日に 30cmも盛とっている。第 5図 は寓真撮影の個所とその方向を示す。 論 小牛閏屠,広淵唐,黄金迫居の各唐の頁岩その他の泥質岩の軟弱な地唐に 5 月2 0日の大雨以来 1ヶ月の長期間 3 9 4rhmの多量の雨が徐々に連続的に降って者り,とのため雨 5度 水が地中にしみと沿りしたがって頁岩屠が水に疹澱し,溶解,粘扶物質となったが,加えて 2 近くの勾配のため徐々にすべり出したととが今回の地すべりの原因と考えられる。、 , Landslide i n vVakuya-machi Miyagi-ken r : M. SA O (SendaiD i s t .C e n t . Met. Obs.) A l : : ) nd s l i d e occurred i nt h e town、 June 1 3, 1 9 5 0 .I t s c a u s e s a r e o f t ground and l a r g e amount o fr a i n f a ll . s t e e ps l o p e, s 一66-