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西洋人の日本語 詞活用型の把握

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西洋人の日本語 詞活用型の把握
一 研 究 ノー トー
西 洋 人 の 日本 語 動 詞 活 用 型 の把 握
金
弘
子
は じ め に
西 洋 人 の 日本 語 研 究 に は,ロ
ド リゲ ス以 来 の 伝 統 が あ る。 しか し,本 格 的 な
日本 語 研 究 が起 こ った の は,江
戸 幕 府 が 鎖 国 政 策 を解 除 した 幕 末 以 降 の こ とで
あ り,明 治 期 に な る と多 くの 優 れ た 研 究 者 が 表 れ た。 そ の 中 の 一 人 で あ るチ ェ
ンバ レ ンは,日
本 語 動 詞 の活 用 型 を 次 の よ うに 把 握 して い る(r日
本 口語 文 典 』
唖225)。
動 詞 の 三 種 の 規 則 活 用 の例
(イ タ リ ックは語 幹)'
第 一 活 用
第 二 活 用
toselltoput
tosleeptoeat
第 三 活 用
tofalltosee
確定現在形
uruoku
nerutaberu
ochiruYniru
不定形
urioki
netabe
ochimi
否定語基
uraoんa
netabe
ochi〃zi
条件語基
ureoke
Here'tabere
ochiremire
第 一 ・第 二 ・第 三 とい う活 用 型 は,学
校 文 法 で い うと ころ の,五
段 活 用 ・下 一
段 活 用 ・上 一 段 活 用 と対 応 す る。 そ の 中 で,「 下 一 段 活 用 → 上 一 段 活 用 」と い う
述 べ方 の順 が,学
校 文 法 とは 異 な って い るの が 目に つ く。 本 稿 で は,こ
な述 べ 方 の順 序 の 由 来 を 確 か め つ つ,西
洋 人 の 日本語 研 究 の うち,動
の 枠 組 み が ど うで あ った のか を概 観 した い 。
1取
り上 げ る研 究 者 と資 料 に つ い て
今 回取 り上 げ た 研 究 者 とそ の研 究 書 は,以
(28)
下 の とお りで あ る。
の よう
詞 活用 型
西 洋 人 の 日本 語 動 詞 活 用 型 の 把 握
1ロ
ド リゲ ス
(Rodriguez)
1604-8『
1620『
日本 大 文 典 』 土 井 忠 生 訳
日本 小 文 典 』
(複 製 の 福 島 邦 道 氏 に よ る 解 説 及 び 阿 部 健 二 氏 のr国
語 文 法 史
論 考 』 の 試 訳 稿 を 参 照)
2コ
リャー ド
1632r日
本 語 文 典』 大 塚 高 信訳
(Collado}
3P吊
一
18561ntroductiona1'etudedelaIanguejaponaise.
(Rosny)
4ク
ル チ ウス
1857r日
本語 文 典 例証 』 三 澤 光 博 訳
(Curtius}
5ブ
ラウ ソ
1863ColloquialJapanese.
(Brown)
6ホ
フマ ソ
1868r日
本 語 文 典 』 三 澤 光 博 訳.
(Hoffmann)
7ヘ
ボ ソ
1872『
{Hepburn)
(初 版 に は 文 法 の 記 述 無 し)
☆ 馬場 辰 已
8ヘ
和 英 語林 集 成』 第二 版
ボ ン
1873『
日本 文 典 初 歩 』
1886『
和 英 語 林 集成 』 第 三 版
(Hapburn;
9ア
ス トン
1888AGrammeroftheJapaneseSpokenLanguage.4版
(Aston)
10チ
(初 版 は1869)
ェ ソバ レソ
1888AHandbookofColloq喉1ialJapanese.初
版
(Chamberlain)
11イ
ン ブ リー
1906HandbookofEnglish-JapaneseEtymology.15版
(lmbrie}
12ラ
(初 版 は1880)
ソ ゲ
1907JapaneseGrammer.
(Range)
(LehbiicherdesJapanishenUmgangssprache.1890の
英 訳
本)
13バ
レー
1925GrammaireJaponaisedelaLangueParlee.(4版)
(初 版 は1899)
(Balet)
14マ
ク ガパ ン
1934ColloquialJapanese.
{McGovern)
15ブRヅ
ク
1946『
ブRッ
ク 日 本 語 論 考 』R.A.ミ
ラ ー編
1967『
日本 語 一 歴 史 と構 造 』 小 川 昌 一 訳
・林 栄 一 監 訳
(Bloch)
16ミ
ラー
(Miller)
取 り上 げ た の はt現
在 自分 が 確 認 で き る研 究 書 で あ り,こ れ を 華 に して,順
次 網 羅 的 に 多 くの研 究 者 ・研 究 書 を 取 り上 げ る予 定 で あ る。 参 考 と して ・ 馬 場
(29)
辰 已 も取 り上 げ たoな
お,コ
リ ャ ー ドは 訳 本 の み しか 見 て い な い 。 ク ル チ ウ ス
は パ ジ ェス に よ る仏 訳 本 も参 照,ホ
み 参 照 。 そ の 他,翻
2動
フ マ ンは 英 語 版 を 参 照,ラ
訳 本 を 掲 げ て い る も の は,原
ン ゲは英 訳 本 の
本 も参 照 した 。
詞 活用 型 の比較
そ れ ぞ れ の活 用 型 を 並 ぺ た の が 次 の表 で あ る。 規 則 活 用 と認 識 して いた と思
わ れ る活 用 の み を 取 り上 げ,「 来 る ・す る」 や 「候 ・ます 」 な ど は 必 要 な場 合
以 外 除 い て あ るo
① エe下0・
二 段活用
イ=上
一一・二 段 活 用
ア=五(四)段
活用
と略 記 。
② 第 一 等 は 第 一 活 用 等 の略 で,そ の 他 の 活 用 の 名 称 の 場 合 略 さず 訳 して あ る。
③*は
現 代 共 通 語 以 外 を主 と して 記 述 。
研 究 司
*
1ロ
規則活用型 の名称 と叙述 の順序
ドリゲス
第 一 エ/イ
第ニ ァ
第三 ハ行 ア
2コ
リ ャ ー
第 一 エ/イ
第ニ ァ
第 三 ハ行 ア
*
3ロ
ニm
*
ド
4ク ル チ ウ ス
5ブ ラ ウ ン
第 一 エ 第 ニ ァ 第 三 ハ行 ア
(イ カミ無 い)1)
イ
(工無 し
ア
活 用 に特 別 な名 称 無 し)
規則活用 イ/工
不規則活用 ア
実
際
の
例
語
〔活 用 させ る語〕
上 げ 読み 習い
(イ の例 と して 「恥 じ」)
求 め 読 み 習 いr小 文 、
典』
〔活 用 させ る語 〕
上げ 読み 習い
〔活 用 させ る語 〕
与}読
み 失い
(見 る)
〔最 初 の例 語 〕
見る 着る 切 る
〔命 令形 の表 〕
開 ける ゆ く 見 る
歩 く
6ホ フ マ ソ
a)幹 母 音変 化,強 変 化 ア
〔ク ル チ ウ ス
の解 説 〕
b)幹 母 音 不 変 化,弱 変 化 工/イ
*〔 ホ フ マ ソ 自 幹母 音 無 変 化 活 用 幹 母 変化 活用
工/イ
ア
身 の 文 典 〕2)
〔§86変 化 表 〕
開 け る 見 る 行(ゆ)く
7ヘ
〔活 用 させ る語 〕
聞 く 見 る 上げ る
ボ ン
☆馬場
8ヘ ボ ン
第0ア
〔最 初
第一 ア
〔本文
第一 ア
第一 ア
第=ニ イ
第三 工
の説 明〕
第 ニ エ 〔第 三 ス ル]
の説 明〕
第 ニ ィ [第三 クル]
第ニエ
第三 イ
C30)
〔最 初 の例 語 〕
打っ 投 げる す る
〔活 用 させ る語 〕
行 く 見 る
来る
〔活 用 させ る語 〕
聞 く 上 げる 見 る
西洋人の 日本語動詞活用型 の把握
9ア ス ト ソ
*[文
語 文 典]
第一 ア
[第0ア
第 二ニエ/イ
第ニエ
第 三 イ]
〔
活用表 の例 語〕
貸す 食べ る
[貸す 食 べ る 見 る]
置〔活
く用 食
表 の例 語〕
べ る 落ち る
10チ
ェ ソバ レン
第 一一ア
第二
ニエ
11イ
ン ブ リー
第一 ア
第 ニ エ/イ
12ラ
ンゲ
第一 工/イ
13ノ
第0ア
ミ レ・一
第三 イ
〔
活用表 の例語〕
殺す 開け る 見 る
食〔活 用表 の例 語〕
べる 見る 取る
第 ニア
第ニ イ
〔動 詞 要 約表130P〕
読 む 見 る 開ける
第三 工
(サ 変)母 音 動 詞 ア/工
子 音 動詞 ア
〔最 初 の例 語〕
見る 食べる 書 く
14マ
クガバ ソ
15プ
ロ ヅ ク
母音動詞 工/イ
子音動詞 ア
〔
活用表 の最初 の例語〕
食べ る 起 きる 待 つ
16ミ
ラ ー
母音動詞工/イ
子音動詞 ア
〔最 初 の例 語 〕
食べ る 待 つ
注1)古
典 語 の 上 二 段 に っ い て の 記 述 を 見 つ け る こ と が 出 来 な か っ た 。 た だ し,r日
本 語文 法 』 に
「見 る 」 を 例 と し た 次 の よ うな 記 述 が あ る の で,上
二 段 動詞 を規 則
活 用 と考 え て い た と 思 わ れ る 。
104.LeverbeactifseconjugueaI'aideduradicalverbeinvariable,
suivide1'auxiliarernashi-masondontonadonneplushautleparadigme;
見MIROU(radica1;mi)
(下 線 は 引 用 者,Elemantsdelagrammairejaponaise.1867,72頁)
[訳]能
動 態 は 不 変 化 動 詞 の 語 幹 を 使 っ て,先
に 表 で 与 えた 助 動 詞 マ シマ スを
後 に く っっ け て 活 用 させ る。
見
2)ク
ミ ル(語
幹;ミ)
ル チ ウ ス へ の 補 足 の 部 分 で は,五
身 の 文 法 書 で は.__.→
段 → 一 段 と い う記 述 の 順 に な っ て い て,自
五 段 の 順 に な っ て い る 。 ク ル チ ウ ス へ の 解 説 で は 「強 変
化 ・弱 変 化 」 と い う用 語 を 使 用 し て お り,そ
の こ と と 関 連 す る か と も 思 うが ま だ
結論 は 出 てい な い。
(1)この 表 の 「規 則 活 用 型 の 名 称 と叙 述 の順 序」 の欄 か らわ か る こ とは,次
の
よ うに要 約 で き る。
① 二 種 類 の活 用 型 に分 類 す るの が 主 流 で あ り,そ の 原 則 に反 して三 種 類 の特
用 型 に分 類 して い る の は ヘ ボ ン ・チ ェ ンバ レ ソ ・バ レー の三 人 で あ る。 ヘ ボ ソ
は,三
つ に分 け る理 由を 次 の よ うに 述 べ て い る。
TheverbsmightbenaturallyarrangedintotwoConjugations,
C31)
accordingastherootformofendsiniore;butastherearequitea.
numberofverbswhoserootformsendini,whichtaketheauxilliary
syllabieswithoutchange,itisthoughtbettertochassifytheseinto
aseparateconjugation,thusmakingthree.(二
〔訳 〕
動 詞 は,語
根 形 がiかeで
・三 版
終 わ る と い う こ と か ら,二
類 す る の が 自 然 か も れ な い 。 し か し,補
ず にiで
序xxペ
ー ジ)
つ の 活 用 型 に分
助 動 詞 的 な言 葉 を 取 る と きに変 化 せ
終 わ る 語 根 の 動 詞 が 非 常 に 多 く 存 在 す る の で,こ
う した も の を 分 け
た 活 用 型 に 分 類 す る の が よ い と考 え ら れ る 。 こ う し て 三 つ の 活 用 型 を な す 。
この 記 述 に よ る と,語 根 がiで
終 わ る もの とeで 終 わ る もの に 分 け,語
根 がi
で 終 わ る もの を二 つ に分 け て三 分 類 に な った 過 程 が み て とれ る。
識 ミ
ゴL灘
瓢1ヒ)髪;騰
晶。
三
〔下 一 段 活 用 〕(語
-e第
した が っ て,三
つ の 記 述 の 順 も二 版 で は
る 。 そ れ に 対 して,チ
い る だ け で あ り,三
根 不 変 化)
「五 段 → 上 一 → 下 一
一」 の 順 に な っ て い
ュ ンバ レ ンは,唖227の
終 わ り 近 くで 次 の よ うに 記 して
つ に 分 け た 理 由 を は っ き り と記 して い な い 。
NotefurtherthattheonlydifferencebetweentheSecondandThirdConjugationsisthevowelewhichcharacterisestheformer,andthevoweliwhichcharadterisesthelatter.ThisfacthascausedsomeEuropeengrammarianstoclassthemtogetherasasingleconjugation
(thesecond).
〔訳 〕
さ ら に,第
て 特 徴 付 け ら れ,後
二 と 第 三 の 活 用 の 間 に あ る 違 い は,前
者 が 母 音iに
意 せ よ 。 こ の 事 実 は,何
活 用 型(第
二 活 用)と
考 え られ る の は,語
者 が 母 音eに
よ っ
よ って 特 徴 付 け られ る に す ぎ な い こ とに 注
人 か の ヨ ー ロ ッ パ の 研 究 者 が,二
つ の活 用 を 単 」 の
し て 分 類 す る こ と を 引 き起 こ し て い る 。
幹を統一 的 に
「子 音 終 止 」 と考}る
目 した の で は な い か と い う こ とで あ る 。 そ の こ と は,古
こ とが で き る 点 に 注
典 語 動 詞 で,第
二 ・第
三 活 用 の 動 詞 をot-i(-zu),ot-uruの
よ うに 子 音 終 止 で 分 析 せ ざ る を え な い
こ と と も 関 連 して い る か も しれ な い(チ
ェ ンバ レ ン の 文 語 文 法 の 研 究 書 で あ る
『簡 約 日本 文 典 』 で は,そ
の よ うに 古 典 語 動 詞 を 分 析 し て い る)。な に よ り,チ
(32)
西洋入 の 日本語動詞活用型 の把握
エ ンバ レ ンは そ れ ま で の 研 究 者 が
な か っ た こ と に 異 議 を 唱 え,文
「語 幹stem」
と 「語 根root」
法 的 な 単 位 と して の 語 幹 と語 彙 的 な 単 位 と して
の 語 根 と い う用 語 の 区 別 を した 最 初 の 日本 語 研 究 者 な の で,語
が 強 か っ た の は 間 違 い な い 。 バ レ ー も,特
不 明 で あ る が,ヘ
(128p),ヘ
幹 に対 す る意 識
に 言 及 し て い な い の で,そ
の理 由は
ボ ン等 の 辞 書 記 述 の 中 の 動 詞 の 三 分 類 を 紹 介 し て い る の で
ボ ンに した が っ た の か も しれ な い 。
な お,Rド
リゲ ス ●コ リ ャ ー ド ・ロ ニ ー は,ハ
る。 これ は,当
〔ま とめ 〕
行 五 段 活 用 を特 に 立 て て い
時 の 語 根 の 語 尾 が 二 重 母 音 に な っ て い る こ と に 注 目 した ロ ド リ
ゲ ス の 観 点 を 継 承 した も の で,今
②
を 区 別 して い
ヘ ボ ン
回 の 考 察 か らは 除 い て あ る。
チ ェ ソバ レ ン バ レー の 特 異 性
「下 一 段 ・上___..段→ 五 段 」(ロ
ら 「五 段 → 下___..段・上 一一段 」(ヘ
な お ラ ン ゲは,同
ド リ ゲ ス ∼ ホ フ マ ン)と
ボ ン∼ バ レ ー)へ
時 代 の 人 物 な の で,前
い 。 そ の 後,下0段
い う記 述 の 順 序 か
と記 述 の 順 序 が 変 化 した 。
の 時 代 の 研 究 に した が っ た と 考}た
・上 一 段 → 五 段 の 順(マ
ラ ー は ブ ロ ッ ク を 踏 襲 して い る と考}ら
ク ガ バ ン∼ ミラ ー)に
れ る(例
語 が 同 じ)の
戻 った 。 ミ
で,マ
クガパ ン
と ブ ロ ッ クが ど う考 え た か が 問 題 で あ る。 「母 音 動 詞 ・子 音 動 詞 」と い う用 語 を
採 用 した こ とが そ の 原 因 か と思 わ れ る 。 つ ま り,母
明 さ れ る の が 普 通 な の で,そ
れ に 従 っ た と考 え られ る か らで あ る。
な ぜ 五 段 活 用 を 最 初 に した の か,そ
ボ ンは 語 根 の 語 尾 を
音 の方 が 子 音 よ りも先 に説
「i→e」
の 理 由 を 述 べ て い る研 究 者 は 少 な い 。 ヘ
の 順 で 述 べ て い る だ け で,ど
か は 特 に 記 し て い な い 。 ア ス ト ソは,「
う して そ の 順 な の
こ う した 活 用 型 を 「第 一 」 と か
「第 二 」
とか 名 付 け た の は そ れ ほ ど 任 意 な も の で は な い 。 非 派 生 動 詞 の 大 変 多 くは 第 一
活 用 型 に した が っ て 活 用 し,全
て の 受 身 動 詞 や ほ と ん ど の 使 役 動 詞,そ
派 生 動 詞 は 第 二 に 属 す る」(42P)と
非 派 生 動 詞 の 多 い こ とが
と こ ろ で,ロ
「下0段
・上 一 段 → 五 段 」 の 順
然 理 由 が あ る と考 え られ る。 現 在 の と こ ろ 二 つ の 理 由 を 考 え
て い る 。 一 つ は,記
,語
属す る
「第 一・
」 と し た 理 由 の よ うで あ る。
ド リゲ ス が 最 初 の 研 究 者 と して
に した の に も,当
一 つ は
書 い て い る 。 ア ス ト ン と して は,所
の他 の
述 の 紛 れ が 少 な い も の か ら並 べ た と い う こ と で あ る 。 も う
根 形 の 語 尾 が,e→iと
る 見 方 で あ る 。 そ の 場 合,当
い う,ア
ル フ ァベ ッ トの 順 に 従 っ た と考}
時 の ラ テ ン語 の 権 威 性 な ど も議 論 の 対 象 と な る だ
ろ う。
〔ま と め 〕Aグ ル ー プ
Bグ
ル ープ
ロ ド リゲ ス ∼ ホ フ マ ン
ヘ ボ ン∼ バ レー
(33)
ラ ンゲ
マ ク ガ バ ン∼ ミ ラ ー
③0段
り,ロ
活 用 の 内 部 で は,下
一 段 → 上 一・
段 の 順 で記 述 す るの が ほ と ん ど で あ
ニ ー や ク ル チ ウ ス な ど,片
ン ・ヘ ボ ン(二
一 段 → 下0段
ボ ン は,三
版)・
方 が 欠 け て い る場 合 を 除 く と,例
バ レ ー ・マ ク ガ バ ンで あ る。 ブ ラ ウ ン の 場 合,説
で あ るが
,実
理 由 は 特 に 述 べ て い な い 。 そ れ に 対 し,マ
る 」 を セ ッ トに し て 取 り上 げ る 場 合,必
一 段 → 上 一 段 に して い る がsそ
の
ク ガ バ ン の 場 合,「 見 る 」 と 「食 べ
ず
「見 る」 の 方 を 最 初 に 取 り上 げ て い
用 意 に 並 べ た も の で は な い 。 た だ し,SECTIONTWOのGRA-
MMATICALANALYSISのV章VERBSで
の 例 と して
は,語
「食 べ る 」 の 方 を 掲 げ て あ る の で,母
(下 一 段)の
版)の
明 は上
際 の 活 用 形 は 下 一 段 → 上 一 段 の順 に 挙 げ て い る。 ヘ
版 に お い て 記 述 の 順 序 を 変 え,下
る か ら,不
外 は ブラウ
方 を 考}て
影 響 が,こ
ボ ン(二
。
学 流 の 活 用 研 究 の 結 論 と は 異 な っ て い る 。 た だ し,国
の 研 究 の 系 譜 の 中 で も,本
ひ 抄 』(装 図)や 本 居 宣 長
居春庭
『詞 の や ち ま た 』 以 前 の,富
「活 用 言 の 冊 子 」 で は,取
二 段 → 上 二 段 の 順 も見 られ る か ら,そ
〔ま と め 〕
音 動詞
音 動 詞 の 典 型 と し て は,エ
い た の か も しれ な い 。 バ レ ー に つ い て は,ヘ
こ で も 出 た の か と考}る
こ う した 点 で は,国
基 の 表 の 中 で,母
土 谷 成 章rあ
学
ゆ
り上 げ て い る 語 の 順 序 が 下
の 点 か らの比 較 は 興 味 深 い もの が あ る。
バ レー と マ グ ガパ ンが 特 異
(2)次 に 同 じ表 の
「実 際 の 例 語 」 か らわ か る こ と は,次
① ロ ド リゲ ス(r大
文 典 』)と
の よ うな こ と で あ る 。
コ リ ャ ー ドは 同 じで あ る 。 ま た,ブ
ロ ックと ミ
ラ ー も ほ ぼ 同 じで あ る 。
② 上 一 ・二 段 活 用 の 動 詞 の 例 語 と し て は,ク
ル チ ウ ス(ロ
ニ ー も か?)以
「見 る 」 が 使 わ れ る こ と が 多 い 。 例 外 は チ ェ ンバ レ ンで あ る が,最
表 に は 「見 る 」 も あ る の で,代
初 の ¶225の
表 的 な 語 と し て 定 着 して い た と考 え ら れ る。
③ 下 一 段 活 用 の 活 用 表 が 提 示 さ れ る 時,ブ
バ レーが
来
ラ ウ ン ・ホ フ マ ン ・イ ン ブ リ ー ・
「開 け る 」,ア ス トン ・チ ェ ソバ レ ソ ・ラ ン ゲ ・マ ク ガ バ ン ・ブ ロ ッ
ク ・ミラー で は
「食 べ る 」 が 使 わ れ て い る。 ヘ ボ ソは
「上 げ る」,馬 場 は
「投 げ
る」 で あ る。
④ 五 段 活 用 の 例 語 に は 偏 りが 見 ら れ な い 。 語 幹 の 最 終 音 に 注 目す る と,ロ
リゲ ス ∼ ロ ニ ー を 別 に し て,k〔
(ブ ラ ウ ン),聞
s〔 「殺 す(イ
る(ラ
く(ヘ
ボ ン),置
ソ ブ リ ー),貸
ソ ゲ)」,m〔
「読 む(バ
「行 く(ブ
く(チ
す(ア
ラ ウ ン ・ホ フ マ ン ・馬 場),歩
ェ ソ バ レ ン),書
ス トン)」〕sr〔
レ ー)」〕 に な る 。kは
(34)
く(マ
「切 る(ク
ド
く
ク ガ バ ン)」〕,
ル チ ウ ス),取
ア行 の動 詞 が 無 い の で 五
西洋人 の 日本語動詞活用型 の把握
十 音 図 の 最 初 に で て く る動 詞,sは
音 便 が な い 動 詞,rは
一 段 活 用 の 動 詞 と の バ ラ ン ス と い っ た こ とが 考}ら
用 型 を並べ た表 では
「読 む 」 だ が,実
れ る
際 の活用 では
ル 語 尾 と して の 他 の
。 バ レ ー は,三
「申 す 」 のsで
つ の活
あ り,そ
う
な る と イ ン ブ リー ・ア ス ト ソ と 同i類 と な る 。
今 回 は,以
上 の事 実 を確 か め る段 階 に止 め て お く。 今 後,伝
記 的 な 記 述 も踏
ま え た 上 で さ らに ま とめ て行 きた い。
参
杉 本っ とむ1957「
考
文
ホ フマ ン の 日本 語考 察 一
献
動 詞 ・形 容 詞 に っ い て一
」r文 学 ・語
学 』4
鈴 木 一 彦/林
巨樹 編 集1984r研
建 部0男1986r近
究 資料 日本 文 法2用
言 語(一
一
一)動
詞 』 明治 書 院
世 日本 文 法研 究 史 論』 双 文 出版 社
西田
直敏1979『
資 料 日本 文 法研 究史 』 桜 楓 社
古 田
東 朔1978「
アス トソの 日本文 法 研 究」r国 語 と国文 学』55-8
松村
明1973「
洋 文 典 と品詞 論」r品
詞 別 日本文 法 講 座10品
詞 論 の周 辺』 明 治書
院
(か ね こ ・ひ ろ し,本 学
(35)
専 任 講 師)
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