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要旨(PDF) - 東京造形大学

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要旨(PDF) - 東京造形大学
八王子市の都市アイデンティティの確立
~日本社会の歴史的変化と郊外の存続:中高齢者が選んで住み,滞在し,利用する都市へ~
平島可菜,金刀礼奈,今川悠子,谷口由人,山岸可奈,山本貴史,野村大樹,新井拓斗,髙島雅弥子,
牧茂明,平川貴弘,郡司侑紀,井澤哲平,遠藤真耶,大石佳名子,大柿笙子,熊川莉野,高橋菜月,丹
澤宏充,中尾祐介,柳沢友樹
以上 1 )
可,日橋慶充,Jonathan Wahlstedt
,高瑤,葛セイ,高佼鈺,宣冉,鄭納,藤田倫久,馬島孝太朗,楊
以上 2)
指導教員 上田知正(東京造形大学 上田知正研究室)、鈴木実
1) 東京造形大学 造形学部 デザイン学科 室内建築専攻領域
2) 東京造形大学 大学院 デザイン研究領域
1.はじめに
高度経済成長期のドーナツ化・スプロール化の
・均質な商品の通販はさらに拡大する。
・65 歳までは労働人口にカウントされる。
波にさらされた郊外は,その波が引いていく時に
・第二次産業の雇用は減少する。
大きな傷を負う。ユニークなアイデンティティを
・ローカル,小規模,中低速の網目状移動手段
確立した都市以外は存続自体が難しくなる。同じ
が重要になる(逆モータリゼーション)。
買い物客を都市間で奪い合うのではなく,他に代
わるもののない特徴によって選ばれ,住まれ,滞
今後の主役は中高齢者である。中高齢者が選択
在され,利用される都市を目指すべきであり,そ
して住み,滞在し,サービスを利用する,居住・
の内実を定めたグランド・ヴィジョンの下,今後
消費地であるべきである。都心型の高密度コンパ
も現れる複数の大規模跡地の利用はなされるべき
クトシティというだけでは得られない質,単純な
である。投資資金を都合するという逆転した目的
利便性とは全く別の質において選ばれなければな
のために,短期的に,その敷地単位でのみ考えら
らない。
れた計算上の収益構造は,大きな流れのなかで早
晩立ちゆかなくなる。
3.八王子
すでに,八王子の顔とも言うべき中心市街地に
2.逆ドーナツ化・逆スプロール化,生産と消費
おいて,東京都立産業技術研究所や八王子医療刑
の構造的変化,少子高齢化
務所の移転後の跡地利用が大きな課題となってい
都心回帰,都市圏の縮小,生産拠点の集約・海
外移転,消費牽引層の変化,人口減少,人口構成
るが,今後も,生産拠点,オフィス,大学の縮小・
転出を想定しておかねばならない。
と家族の変容は,絡み合いながら以下のような現
八王子の都市アイデンティティを構成できる地
象となってすでに表れており,その傾向はますま
域資源には,すでに多く点在する医療機関,単に
す強くなる。
観光資源としてだけではなくヘルスプログラムの
内に組み込み可能な高尾山と複数の史跡,有形無
・生産拠点は縮小,集約,移転(海外)する。
形の史的文化がある。これらは,八王子の本当の
・オフィスも縮小,集約,移転(都心・海外)
地域資源である中高齢者層によって支持されてお
する。
・大学は縮小し都心に回帰する。
・若年層は消費の主役ではなくなる。
り,さらに強化すべきである。
高度成長期に形成された郊外型住宅都市は,団
地型高齢化により衰退する運命と通常考えられて
いるが,それを逆手にとるべきで,若年層が引き
て,高尾山までをつなぐ,ヘルスプログラムのロ
継ぐ代わりに,新たな中高齢者層が引き継ぐ構造
ーカル基幹交通。路面電車は,八王子にかつて存
を創りだすべきである。
在し,その復活は歴史のリマインダーでもある。
都市間交通の一部と重複するが,その大量,高速
4.私達の提案
な効率主義が持ち得ない,特有の質(味わい)と,
私達は,東京都立産業技術研究所と八王子医療
高速でないことに価値を持つ。無論,低環境負荷。
刑務所の跡地利用計画,そして,LRT(路面電車)
旧中心地である甲州街道沿い店舗のファサードを
とオンデマンド・EV バスによる網目状移動サー
再活性化するきっかけともしたい。
ビスの提案を通じて,
「医療・健康・リラクゼーシ
ョン都市」という八王子の都市アイデンティティ
確立のためのグランド・ヴィジョンを提案する。
・オンデマンド・EV バス
LRT を基幹とすると,枝はその他の路線バスで
あり,当該システムは葉脈的交通である。下車は
・八王子医療刑務所跡地
任意だが,高齢者にとって乗車も容易に予約可能
コア施設。健康保険適用を目指す予防医学的都
とするシステムを構築すべきである。自転車に乗
市型クアオルト系施設(中短期滞在型健康保養施
らず,車を運転しない(しなくなった)歩行可能
設,予防医療の集積施設)である。多くの医療施
な高齢者,
( 電動)車椅子使用者の移動手段であり,
設が点在する八王子に予防医学,リハビリテーシ
外出を促進する。
ョンの集積施設(中心)を作ることで,相互補完
LRT と合わせて,高尾山登山を健康プログラム
的,相乗効果的ネットワーク体を成立させる。治
に組み入れ,従来の高尾山登山客を健康プログラ
療・予防・健康増進という総合医療都市という都
ムに組み入れる。
市ブランドを作り上げる。健康と病気との間の,
フィジカルとメンタルとの間の,あらゆるスペク
トラムに対応し,様々な層と世代の集客をおこな
う。
・東京都立産業技術研究所跡地
リラクゼーション施設。更新性の高い小規模な
リラクゼーション施設の集積。水面,緑,散策コ
ース,足湯,釣り堀,高級~中級の食事処,高級
な小規模旅館,趣味性の高い店舗群,そして歴史
資料展示保管施設からなる。ヘルスプログラムの
一部として行った高尾山から下山した際,欲しく
なるが十分存在しないリラクゼーションの機会を
提供する。一般の観光目的での高尾山登山客には,
リラクゼーションを提供すると同時に,八王子医
療刑務所跡地施設への導入になる。
・LRT (Light Rail Transit,路面電車)
八王子医療刑務所跡地施設を起点に,東京都立
産業技術研究所跡地施設を経由,甲州街道を通っ
【計画の詳細は展示模型にて示す】
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