...

豪州主要経済指標 今週の注目点 金融市場・原油・為替 先週の主な話題

by user

on
Category: Documents
5

views

Report

Comments

Transcript

豪州主要経済指標 今週の注目点 金融市場・原油・為替 先週の主な話題
お客様用
2016 年 4 月 4 日
豪州主要経済指標
今週の注目点
経済指標・イベント
直近
前回
日付
経済指標・イベント
前回
市場予測
オーストラリア産業グループ製造業指数
58.1
53.5
4月5日
米国 ISM 非製造業景況指数(総合)
53.4
54.1
金融市場・原油・為替
指数等
S&P/ASX200 指数
2016年4月1日
2016年3月25日
前週比
2015年4月1日
前年比
4,999.39
5,084.21
-1.7%
5,860.75
-14.7%
1,335.9
1,348.8
-1.0%
1,288.3
+3.7%
豪州 90 日バンクビル利回り
2.28%
2.30%
-2bps
2.21%
+7bps
豪州債券 10 年物利回り
2.53%
2.57%
-4bps
2.33%
+19bps
85.69
84.89
+0.79
91.01
-5.33
豪ドル米ドル(セント)
0.77
0.75
+0.02
0.76
+0.01
豪ドル TWI
64.3
63.5
+0.8
63.2
+1.1
S&P/ASX200 不動産投信
豪ドル円
※3 月 25 日は豪州市場が祝日のため一部取得できないものについては前日の現地終値を表示しています。
先週の主な話題
先週は、投資家に「リスクオン」のムードが戻り、米国株式市場は変動の大きい動きを見せました。きっかけとなったのは、米連邦準備制度理事
会(FRB)イエレン議長によるハト派発言と、米国雇用統計と製造業指数の良好な結果であり、それを受けて、米ドルや世界の債券利回りを下押
ししたことで、米国株式市場は週を通して 1.8%上昇しました。中国は、中国経済が安定してきているという肯定的な予想により株式市場は 1%
上昇しました。一方で、欧州株(-0.6%)、日本株(-4.9%)、豪州株(-1.7%)とそれぞれ下落しました。豪州株式市場は銀行の不良債権に対する懸
念が一層強まりました。また、弱含む米ドルの影響により一時 1 豪ドル 0.77 米ドルまで反発し、供給過剰懸念のあった原油と金属価格は下落
しました。
3 月の株式市場は欧州株が 2%、中国株は 9.9%上昇し、豪州株は 4%上昇するなど総じて良好な結果となりました。2016 年の 1 月と 2 月は
低調な滑り出しとなりましたが、世界経済成長懸念が後退し米ドルと人民元相場は徐々に安定してきおり、資源価格も回復しています。歴史的
に見て 4 月は季節的要因により株式市場は堅調に推移する傾向があり、一方で 5 月は下落する傾向にあります。
イエレン議長発言の主な論点は、FRB は引き続き世界経済のリスク、弱い米国のインフレ見通し、またインフレ上振れ/下振れリスクに対する
FRB の許容範囲に大きな影響を与える利上げに対し慎重に対応するということです。明らかにイエレン議長は金利引き締めリスクよりも、緩和
リスクを許容しており、なぜなら、低インフレと低成長に対する FRB の政策余地は、インフレ上昇リスクに対する FRB の政策余地に比べ限られ
ているからです。つまり、イエレン議長は、米国の経済成長やインフレ率に再び悪影響を及ぼすような世界経済リスクの悪化を引き起こさないよ
う慎重姿勢を維持すると見られます。前回の米連邦公開市場委員会(FOMC)後、一部の FRB 高官はタカ派発言を行いましたが、ニューヨーク
連銀総裁を含む大半の FRB 高官はイエレン議長を支持しているようです。4 月の利上げは非常に可能性が低くなりましたが、6 月の利上げの
可能性はまだ残っています。私の見解では約 55%とみています。特に FOMC の 1 週間後に行われる Brexit(ブレグジット、英国の EU 離脱を
問う国民投票)を前に、市場に緊張が走るようであれば次回の利上げは 7 月まで先送りされる可能性もあります。
1/3
3 月の米国の非農業部門雇用者変化は、21 万 5,000 人増と堅調であり、製造業部門の雇用統計が軟調ではあるものの、全体の労働市場は
底堅く推移していることが分かります。しかしながら、労働参加率が上昇したことにより、失業率は前月の 4.9%から 5.0%に上昇する中、平均時
給は前年比 2.3%となっており徐々に上昇してきています。以上のことは、FBR が金利の引き上げに慎重な姿勢と整合的です。
不良債権懸念は、豪州の銀行と豪州株式市場にとり明らかに重石となっています。ある銀行が不良債権引き当てに 1 億豪ドルを追加したこと
自体は些細な出来事ですが、必然的に不良債権サイクルが最悪期に入ったのではないか、また仮に 1 行が格下げになった場合、さらに波及す
るのではないかと投資家は懸念しています。この懸念はしばらく払しょくされないでしょう。ただし注意しておくべきことは、鉱業関連の融資は、豪
州 4 大主要銀行の全貸出の中で 2%に留まっています。
世界経済指標
米国の経済指標は概ね良好でした。2 月は貿易赤字が拡大し、1 月と 2 月の家計支出は軟調でしたが、3 月は非農業部門雇用者変化が 21 万
5,000 人増と底堅く、ISM 製造業景況指数は新規受注に支えられ上昇し、製造業が不振を脱したことを示しており、中古住宅販売仮契約指数
(全米不動産協会)と消費者信頼感も改善し、景気後退の兆候はありませんでした。しかし、アトランタ連銀データの 2016 年 1~3 月期の GDP
成長率が年率換算で前期比 0.7%増となり、過去 20 年間の同期の平均 1%を下回ったことは注目に値します。一方で、FRB が選好する PCE
デフレーターは、2 月は前年比 1.7%と変化はありませんでした。
ユーロ圏では、3 月の消費者信頼感指数は下落しましたが、緩やかな成長と整合的に、一定の水準を維持しています。2 月の民間貸出が増加
するなどこの期間の銀行への下押し圧力を考えるとポジティブな兆しと見られます。
日本の 3 月の経済指標は概ね良好でした。実質家計支出は予想以上に増加し、雇用統計も底堅く、中小企業景況感も上昇しました。鉱工業生
産について 2 月は急落しましたが、これは中国などが旧正月で工場の稼働を止めたことと、日本国内の自動車工場の稼働が一時的に停止した
ことが要因です。ただし、3 月の日銀短観は、企業景況感も企業信頼感も予想を下回りました。
中国については良好な結果がいくつか見られました。3 月の Caixin 中国 PMI 製造業は予想を上回る結果となりました。この結果からみると、中
国の経済成長は安定してきており、政府の景気刺激策が徐々に効果を発揮し始めているようです。
豪州経済指標
豪州の経済指標も概ね良好でした。2 月の民間信用部門は居住用不動産ローンが引き続き好調でしたが、投資用不動産は引き続き鈍化しまし
た。また、2 月の新築住宅販売は 5%落ち込み、建設許可件数の低下に伴う下降トレンドを引き続きたどりました。3 月の住宅価格は昨年の勢
いはありませんが緩やかに上昇しました。しかし、求人件数は底堅い雇用成長を受けて引き続き堅調に推移し、オーストラリア産業グループ製
造業指数も 58.1 まで上昇しました。事実、豪州の PMI 製造業指数は世界で最も高水準にあり、2011 年からの豪ドル安の恩恵を受けている証
ともいえます。ただ、直近の反発は豪ドル安次第の可能性もあります。
国内平均住宅価格が勢いを失った背景は明らかにシドニーの不動産熱が落ち着いたことにあります。さらにいえば、2017 年~2018 年にかけ
ては緩やかながらシクリカル要因から更に値下がりが予想されます。しかし、リセッション(景気後退)の兆候や金利の急激な上昇が確認されな
い状況下、住宅市場が急落する可能性は低いと見られます。
今週の注目点
米国の前回の FOMC 議事録は、先週のイエレン FRB 議長のコメントに基づいたものになると予想され、今週行われるイエレン議長による講演
は注視する必要があります。非製造業 ISM 指数は若干の改善が予想され 2 月の貿易統計と雇用指標も発表予定です。
豪州は RBA が 11 ヶ月連続で金利を据え置く可能性があります。弊社では、(1)鉱業投資ブームの巻き戻しが続いていること、(2)住宅セクタ
ーからの成長への寄与が鈍化していること等から、今後数ヶ月内に再び金利を引き下げるという見通しに変更ありません。しかし直近の GDP
成長率と失業率の良好な結果を受けて、今すぐに RBA が金利引き下げに入るかどうかは際どい判断となっています。しかし、最大の関心事は
前回の議会での口先介入以来、豪ドルが対米ドルで 7%近く上昇していることから RBA ステーブンス総裁は「豪ドル高は行き過ぎている」とコメ
ントするなど RBA は緩和バイアスを維持すると見られます。豪州の経済指標に目を向けると 2 月の小売売上高は 0.4%上昇の予想、建築許可
件数は 1%反発する見通しですが引き続き下落トレンドとなっており、貿易赤字も約 28 億豪ドルとなる見通しです。
相場見通し
グローバル株式は、2 月の安値からの力強い回復を経て、足元では買われ過ぎの水準に達しており、調整のリスクもありますが、目先の不透
明感が解消された場合には、年内、上昇基調を辿ると弊社は見ています。その理由としては、株式のバリュエーションが債券と比べて割安であ
ること、世界的に金融緩和が加速していること、緩やかな経済成長が続いていることなどが挙げられます。
現在、世界の国債の約 25%で利回りがマイナス圏に沈んでいるように、債券利回りが極めて低い水準にあることから、国債投資のリターンが
中期的に低調になる可能性が考えられます。しかし、不安定な経済成長、余剰生産能力、軟調なコモディティ価格、低インフレなどの要素を併せ
持つ市場環境において、債券に対して過度に弱気の見方を取ることは難しいと言えます。相対的に見て、豪州、米国、(恐らく)中国など、高い利
回りを提供する国の債券に妙味があると考えられます。
2/3
商業用不動産やインフラ資産は今後も、投資家による利回り追求の動きから恩恵を享受する見通しです。
豪州では、シドニーやメルボルンの住宅市場が沈静化に向かっていることから、2016 年は、主要都市の住宅用不動産価格の上昇率が+3%前
後まで鈍化すると予想されます。また、パースやダーウィンでは値下がりが続く一方、ブリスベンでは上昇すると見られます。
RBA が今後政策金利を 1.75%まで引き下げる可能性があることから、キャッシュや銀行預金のリターンは引き続き低水準に留まると考えられ
ます。
豪ドル相場については、FRB が利上げを見送り続け、豪州の経済指標が改善すれば、短期的には一段と上昇するリスクがあります。しかし、行
き過ぎの水準となる可能性は低く、長期的には下落基調を維持するでしょう。というのも、RBA は最終的には追加利下げに踏み切るか、少なくと
も口先介入を実施、FRB もいずれ利上げを再開すると見られており、それに伴ってこれまで豪ドル高の要因となってきた豪州・米国間の金利差
が縮小に向かうと予想されるほか、コモディティ価格は依然低迷しており、豪ドルがフェアバリュー(適正価値)を下回るのも珍しいことではないた
めです。
3
当資料は、投資の参考となる情報の提供を⽬的として、AMP キャピタル・インベスターズ・リミテッド(オーストラリアにおける登録番号:
AMP キャピタル・インベスターズ株式会社
ABN 59 001 777 591; AFSL 232 497)から提供された情報をもとに AMP キャピタル・インベスターズ株式会社が作成したものであり、特定の
登録番号: 関東財務局⻑(⾦商)第 85 号
有価証券への投資を勧誘する⽬的で作成したものではございません。当資料は、各種の信頼できると考えられる情報に基づいて作成されており
加⼊協会: ⽇本証券業協会、⼀般社団法⼈⽇本投資顧問業協会
ますが、情報の正確性、完全性が保証されているものではありません。当資料中のいかなる内容も将来の投資成果及び将来の市況環境の変動等
を保証するものではありません。当資料の記述内容、数値、グラフ等は作成時点のものであり、予告なく変更される場合があります。
3/3
Fly UP