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2016年8月22日号 (PDF/1141KB)

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2016年8月22日号 (PDF/1141KB)
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2016 年 8 月 22 日
豪州主要経済指標
経済指標・イベント
7 月 新規雇用者数
今週の注目点
直近
前回
2.62 万人
1.00 万人
日付
経済指標・イベント
8 月 25 日 米国 7 月 耐久財受注 前月比
前回
市場予測
-4.0%
3.5%
金融市場・原油・為替
指数等
2016年8月19日
2016年8月12日
前週比
2015年8月19日
前年比
S&P/ASX200 指数
5,526.68
5,530.91
-0.1%
5,380.19
+2.7%
S&P/ASX200 不動産投信
1,494.20
1,489.60
+0.3%
1,273.50
+17.3%
豪州 90 日バンクビル利回り
1.74
1.76
-2bps
2.14
-40bps
豪州債券 10 年物利回り
1.86
1.91
-5bps
2.74
-88bps
76.44
77.52
-1.08
90.97
-14.53
0.76
0.77
-0.00
0.73
+0.03
63.80
64.40
-0.6
62.60
+1.2
豪ドル円
豪ドル米ドル(セント)
豪ドル TWI
先週の主な話題
先週の株式市場は、多くの市場で横ばいから値下がりする動きとなりました。中国株式市場は 2.2%上昇したものの、米国株式市場は横ばい、
ユーロ圏株式市場は先週の上昇分の一部失う形で 2%の下落、日本株式市場は 2.2%の下落、豪州株式市場も 0.1%の下落となりました。米
連邦準備理事会(FRB)の一部の理事から 9 月の政策金利引き上げが「可能」との示唆があったことを受けて、豪州を除く債券市場において利
回りは上昇したものの、米ドルは英国の EU 離脱(Brexit)を問う国民投票前の水準近くまで下落しました。その一方でコモディティ市場では、原
油供給量が減少する可能性があるとの楽観論を背景に原油価格が上昇したこともあり、コモディティ価格は上昇しました。豪ドルは、僅かながら
も下落しました。
オリンピック、米国大統領選挙が、8 月の株式市場に与える影響。季節要因として 8 月が米国株式市場にとって厳しい月となる傾向があること
は良く知られており、1985 年以降の S&P500 指数を見ると、8 月の平均リターンは-0.6%です。興味深いことに、同じ期間で米国大統領選挙の
年とオリンピックが開催される年(同じ年になりますが)だけに絞った 8 月の平均リターンは 0.7%の上昇となっています。恐らくオリンピック開催
のお祭りムードが大統領選挙を巡る不透明感を相殺しているものと思われます。同じ期間での豪州株式の 8 月の平均リターンは 0.4%の上昇
となっており、米国大統領選挙とオリンピック開催年に絞った場合においても同じリターンとなっています。
今年最大のポジティブなニュースといえば、過去数年にわたって力強く上昇してきた米ドル相場において調整が見られることです。昨年後半に
つけた高値から、現時点では約 6%の下落となっています。これにより米国の製造業やグローバル企業は通貨高圧力から解放されるほか、コモ
ディティ価格の安定化と上昇(ドル建てでの取引がほとんどであるため)につながります。また、中国人民元に対する下落圧力や中国からの資本
流出リスクも低下し、新興国市場における米ドルでの資金調達危機に対する懸念が緩和されることから、これらすべてのことが世界経済成長見
通しにとって、ひいてはリスク資産への投資にとってポジティブです。もちろん円安と豪ドル安を待望している日本と豪州にとってはマイナス材料
ではあるもの、世界全体の視点からはさほど大きな問題ではありません。
金融政策の再検討か、過去に戻るのか。過去 20 年間において、中央銀行が景気サイクルの安定化のための第一線として(インフレターゲット
を設定して)物価の安定に注力する一方、財政政策は効率性や公平性を向上させる役割を担ってきました。しかし、世界が低成長トレンドの環
境下にある中、マクロ経済の安定を成し遂げるための新しい試みが必要とされているかどうかについての活発な議論が始まっています。議論の
1/4
重要な点となっているのが、インフレターゲットについて高めに設定する必要があるのか、もしくは物価の水準によって柔軟性を持たせるのか、
名目 GDP の目標と同水準にするのかといったことや、また、財政政策についてはより大きな役割を担うべきかといったことも論点となっています。
この議論は、米国や豪州といった国ではさほど大きな問題とはなっておらず、日本や恐らく欧州といったデフレが存在している国やもしくはそのリ
スクが定着しつつある国で大きな問題となっています。既に GDP 比で多額の公的債務を抱えている日本では、債務をさらに膨らませることなく
インフレおよび経済成長目標を達成する可能性を高めるには、金融政策と財政政策を併せた包括的な景気刺激策が必要で、ヘリコプターマネ
ーのような手法も選択肢としてあり得ると思われます。8 月 25 日~27 日にかけてワイオミング州ジャクソンホールで開催される FRB の年次経
済シンポジウムでは、「将来に向けた弾力性のある金融政策フレームワークの設計」がテーマとして掲げられており、これらの問題のいくつかに
ついて関心が高まると見られます。
先週発表された豪州企業の 1-6 月期の決算は、回復基調が確認される内容となりました。BHP の減益については予想通りの結果ではあった
ものの、一部では JB ハイファイやトレジャリー・ワイン・エステートにように非常に好調な決算を発表する企業もありました。コモディティ価格の安
定を背景とした資源企業の事業環境の改善、資本財企業における収入の伸び悩み、コスト削減の継続、銀行に対する逆風の継続、引き続き配
当を重視する企業の姿勢などが市場の関心を集めている重要なテーマとなっています。これまでに上場企業の 51%が決算発表を終え、46%
が予想を上回る決算を発表しました。通常ではその割合は 45%程度です。68%の企業が前年同期を上回る利益を発表し、56%の企業の株価
が決算発表当日の市場をアウトパフォームしました。92%の企業は配当額を維持ないしは増配を発表しました。決算発表を終えた企業全体で
は、資源企業の減益が影響した結果 2015 年 7 月-2016 年 6 月期は 8%の減益となりましたが、資源企業の業績は底打ちしつつあり、また非
資源企業の業績は成長基調にあることから、2016 年 7 月-2017 年 6 月期は成長軌道に戻ると見込まれます。
(%)
市場予想に対する豪州企業の決算発表の結果
←
予
想
を
上
回
る
→
予
想
を
下
回
る
決算発表シーズン
出所:AMP キャピタル
(%)
豪州企業の配当結果(前年比)
←
増
配
↑
横
ば
い
→
減
配
決算発表シーズン
出所:AMP キャピタル
世界経済指標
米国の経済指標は概ね良好でした。NAHB 住宅市場指数は堅調で、住宅着工件数も予想を大きく上回る好調な結果となったほか、景気先行指
標総合指数も好調で、新規失業保険申請件数も減少しました。一方で製造業指数については、ニューヨーク連銀製造業景気指数は下落したも
のの、フィラデルフィア連銀製造業景気指数は上昇するなど、まちまちの結果となりました。FRB がどのタイミングで利上げに踏み切るのかにつ
いては、7 月の FOMC 議事録からはハト派寄りのスタンスが読み取れるものの、一方で FRB のウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁やダド
リー・ニューヨーク連銀総裁はハト派的過ぎる市場観測を牽制するなど、利上げの時期についての見方が錯綜しています。弊社では 9 月の利上
げはないと見ており、12 月の利上げをメインシナリオとしています。しかし、8 月の雇用統計が非常に好調な結果となれば 9 月の可能性を完全
2/4
に否定することはできないでしょう。米金融市場では、9 月の利上げについては 20%の可能性、12 月については 47%の可能性となっており一
週間前の時点よりも高まっていますが、あまりにも低すぎると見ています。
英国の 7 月の小売売上高は前月比で 1.4%、前年比で 5.9%の上昇となり、予想を大きく上回る結果となりました。Brexit(英国の EU 離脱に関
する国民投票)後の沈滞ムードは、どうなったのでしょうか?
中国の 7 月の新築住宅価格は前年比で加速したものの、一級都市における前月比ベースでは小幅な上昇にとどまりました。一方で 7 月の電力
消費量は前年比で 9.6%の上昇となっており、過去 3 年間で最大の伸び率となっていることから、中国に対する弱気見通しを複雑なものにして
います。
日本の 4-6 月期経済成長率は、弱い純輸出と設備投資が個人消費支出と住宅投資の伸びを相殺し、かろうじてプラス成長に留まる結果となり
ました。弱い経済成長は、コアインフレ率を再びデフレに向かわせ、日本円も昨年の最安値から 20%上昇していることから、日銀や安倍首相に
対して何らかの対応策の実施を促す圧力となっています。円は対米ドルで 100 円を挟む展開となっていることから、近々対応策が出されるもの
と思われます。
豪州経済指標
7 月の豪州の雇用者数の伸びは予想を上回る良好な結果となり、失業率は 5.7%に低下したものの、パートタイムの雇用者数が大幅に上昇し
た一方で、フルタイムの雇用者数が落ち込み、雇用の質で見ると依然として失望させる内容となっています。 これらを背景に、失業者数と不完
全雇用者数を合わせた広義の失業率は 14%と高止まりしており、4-6 月期のボーナスを含めた賃金成長率は過去最低の前年比 2%の水準に
留まっています。足元の雇用環境の弱さとそのことによるインフレ率の下振れリスクを勘案し、豪州準備銀行(RBA)は 11 月に再び政策金利の
引き下げを行い、1.25%にすると弊社では見ています。この点については 前回の RBA 金融政策会合議事録では、特段目新しい内容は見当た
りませんでした。
政策金利といえば、シドニーとメルボルンの住宅市場については、難しいかじ取りが迫られそうです。住宅価格については強弱入り混じった状況
に見えるものの、投資家への住宅ローンが回復していることや、シドニーとメルボルンの HIA 新築住宅販売件数及び週次のオークション・クリア
ランス率を見ると(下図参照)、少なくとも一部の地区では再び過熱感を帯びているようにも見えます(西シドニーはそれほどでもないようです)。
集合住宅の供給が急増し始めている中で、住宅価格が再び急上昇することは好ましいこととは思えません。一方で、政策金利のあり方としては、
これら 2 つの都市の住宅価格だけを見ながら決定するのではなく、豪州の平均的な状況を見ながら妥当な水準を決定することが求められるた
め、RBA は必要に応じて政策金利の引き下げを行うと思われます。とはいえ、住宅価格の上昇圧力により豪州健全性規制庁(APRA)はさらな
る融資基準の規制強化を行う可能性があります。
オークション・クリアランス率
月次平均(%)
シドニー
政策金利
政策金利
引き下げ*
引き下げ*
メルボルン
(月/年)
*利下げの 1 つのサイクルにおける第 1 回目の利下げ
出所:Australian Property Monitors/Domain, AMP キャピタル
今週の注目点
米国では、ジャクソンホールで行われるシンポジウムにおいてジャネット・イエレン FRB 議長の講演に注目が集まるでしょう。イエレン議長が現
在の金融政策について述べる機会があれば、政策金利の見通しについての何らかの手がかりになるかもしれません。その内容としては、政策
金利をより正常な水準に引き上げるプロセスについて、引き続き慎重かつ緩やかに行うことを強調するものの、FRB が年末までに利上げをする
準備があることを改めて主張する内容となる可能性があります。経済指標に目を向けると、マークイット米国製造業指数 (PMI)が 52.9 と横ばいとな
る見通しで、新築住宅販売件数及び中古住宅販売件数が落ち込む一方で、住宅価格は一段と上昇、コア耐久消費財受注も上昇が予想されま
す。また、4-6 月期の GDP 成長率(前期比年率)の改定値が発表予定で速報値の 1.2%から僅かに低下し 1.1%になると予想されています。
ユーロ圏では、企業景況感が発表予定ですが、まずまずの水準である 53 近辺に留まると見ています。
日本では消費者物価指数が発表予定で、CPI 総合指数は前年比-0.4%と依然としてデフレ傾向を示すと予想され、コアコア CPI は前年比で
0.4%のプラスと予想されています。
豪州では、4-6 月期の建設関係指標が発表予定で、引き続き資源セクター関連の投資が弱含む一方、住宅関連が堅調に推移することが予想さ
れます。7 月の技術職求人も発表予定です。
フォーテスキュー、オイルサーチ、ウェストフィールド、ウールワースを含む豪州大手企業 87 社の 4-6 月期の決算発表も行われます。
3/4
相場見通し
足元の株式市場は力強い上昇を演じましたが、今後数ヵ月間はその一服感と季節的な要因に加え、イタリアの銀行や、イタリアの上院改革を
めぐる憲法改正の国民投票を巡るリスクや、FRB の利上げや世界経済を取り巻く不透明感などから上値の重い展開となるでしょう。しかしなが
ら、1、2 ヵ月間の調整局面もしくは底値固めの時期を経た後は、株式市場は適正なバリュエーション、世界的な超金融緩和政策、そして穏やか
な世界の経済成長を背景に、その後 1 年間にわたって上昇基調を辿ると見ています。
(グローバルで国債利回りの 3 分の 1 がマイナス金利となっている)超低水準の債券利回りにより、中期的には債券からのリターンは軟調とな
る見込みです。しかし、脆弱な世界経済成長、余剰生産能力、低インフレ及び現在進行形の様々なイベントリスクを鑑みると、過度に弱気になる
ことは難しいと思われます。 とはいえ、最近の債券利回りの上昇は、債券利回りが急騰するリスクをはらむほど、非常に低い水準となっています。
商業用不動産やインフラ資産は、今後も投資家による利回り追求の動きから恩恵を享受する見通しです。
今後 1 年間の主要都市の住宅価格の上昇率については、購買能力の低下や融資基準の厳格化、供給量の増加によってシドニー、メルボルン
での過熱感が沈静化に向かうと想定されるため、3%程度に鈍化することが見込まれます。
現金および銀行預金からのリターンは低迷するでしょう。
FRB が引き続き金利の引き上げを先送りする中、豪ドルは 1 豪ドル 0.78 米ドルまで上昇し、その後 0.80 米ドルまで押し上げられるリスクがあ
ります。 豪ドルはまだフェアバリュー(適正価値)よりは高いことから、長期的には下落基調となるでしょう。というのも、RBA が政策金利の引き
下げを行っている一方で、FRB はいずれ利上げを再開すると見られており、今後、金利差の縮小が見込まれることや、引き続き豪州国債 の格
下げリスクが高まっていること、コモディティ価格が依然低迷していること、豪ドルがフェアバリューを下回るのも珍しいことではないためです。
当資料は、投資の参考となる情報の提供を目的として、AMP キャピタル・インベスターズ・リミテッド(オーストラリアにおける登録番号:
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登録番号: 関東財務局長(金商)第 85 号
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