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賃貸不動産の含み益が増加
審査番号・280525-B1 第 2325 号 2016 年 5 月 30 日 目 日 〔今週号は 5 月 23 日時点の情報を基に作成しています〕 次 投資コラム 日本株銘柄情報 日本株銘柄情報 :賃貸不動産の含み益が増加 ······························································ 1 :商船三井(9104)··················································································· 2 :三菱倉庫(9301)··················································································· 3 を参照)となり、株価には割安感があります。 賃貸不動産の含み益が増加 例えば大手倉庫会社、三井倉庫ホールディング 飯田 裕康 スの株価は 303 円ですが、同社の不動産含み益 大手不動産や大手倉庫会社等が保有する賃貸 を加味した実質 1 株純資産は 1334 円もあり実 不動産の含み益が増えています。不動産含み益 質 PBR は 0.23 倍、保有賃貸不動産を売却し法 は決算書の貸借対照表に計上されている保有賃 人税が発生した場合を考慮しても実質 PBR は 貸不動産鑑定評価価格(時価)から不動産価格 0.28 倍となります。 株主資本(純資産)は本来株主に還元される (簿価)を差し引いた金額です。 三井不動産の賃貸不動産含み益は前年同期比 べき資産です。不動産含み益が増加している企 で 3478 億円(22%)増加し 1 兆 9121 億円に、 業は長期的に投資価値が高いとみています。 三菱地所の含み益は 3884 億円(18%)増加し 都心及び主要都市 地価公示価格(商業地)上昇率 2 兆 5690 億円に、住友不動産の含み益は 4075 による地価上昇が考えられます。国土交通省が 2014年 2015年 2014年 2015年 東京23区 3.4% 4.8% 大阪市 3.5% 7.5% 千代田区 5.7% 7.4% 京都市 2.3% 5.0% 中央区 7.2% 9.6% 名古屋市 2.9% 5.5% 港区 5.6% 7.6% 広島市 2.2% 4.1% 新宿区 4.0% 5.3% 福岡市 3.8% 5.9% 品川区 4.3% 4.8% 札幌市 1.5% 6.0% 渋谷区 4.6% 7.6% 出所:国土交通省、アイザワ証券作成 大手不動産と倉庫 含み益を考慮した株価純資産倍率 3 月末に発表した都心及び主要都市商業地の地 コード 億円(32%)増加し 1 兆 6975 億円になってい ます。 不動産の含み益が増加した背景として日銀の マイナス金利、量的・質的金融緩和政策の影響 銘柄名 価公示価格は東京、大阪、京都、名古屋などで 2014 年の上昇率を 2015 年の上昇率が上回って います。 含み益増加により、大手不動産株等の 1 株実 質純資産(実質 BPS→実績 1 株純資産+1 株賃 貸不動産含み益)も増え、不動産含み益を足し た大手不動産株や倉庫株の株価純資産倍率を計 算すると軒並み 1 倍割れ(右下の表の実質 PBR http://www.aizawa.co.jp / 投資リサーチセンター 8801 8802 8830 8804 9301 9302 8933 三井不 三菱地所 住友不 東京建物 三菱倉 三井倉HD NTT都市 株価 不動産 含み益 1株 実質 実質PBR (BPS) 円 円 円 2672.0 2118.5 3067.0 1376.0 1503.0 303.0 1125.0 1兆9121億 2兆5690億 1兆6975億 2740億 2235億 1040億 5621億 倍 3,884 2,865 5,465 2,588 2,731 1,334 2,336 0.69 0.72 0.56 0.52 0.55 0.23 0.48 出所:QUICK、決算短信、アイザワ証券作成 株価は5/23 ・不動産含みは賃貸等不動産時価から残高を引いて算出(億円以下切捨て) ・実質PBRは実質BPSと株価で計算(実質BPS=実績BPS+1株あたりの含み利益) ・各社2016年3月期 東京建物のデータのみ2015年12月期 本資料のご利用にあたり、お客様にご確認いただきたい 事項を、本資料の最終ページに記載させていただきました。 ご確認の程、よろしくお願いいたします。 日本株銘柄情報 2 商船三井(9104) アナリスト 株価指標 株価(2016/5/23) 売買単位 市場 発行済株式数 <業績の推移:連結> 248円 1000株 東証1部 11億9606万株 (自己株式を除く) 時価総額 水口活也 2966億円 決算期 売上高 経常利益 純利益 1株利益 1株配当 2015/3 1817069 51330 42356 35.4 7.0 2016/3 1712222 36267 -170447 -142.5 5.0 2017/3予 1516000 20000 20000 16.7 4.0 単位:百万円(1株利益、1株配当は円)、予想は会社予想によります。 <投資指標:連結> 今期予想PER PBR 予想配当利回り 14.8 倍 0.5 倍 1.6 % 外航海運大手の 1 社 商船三井(9104)は、不定期専用船とコンテナ船が主力の外航海運大手で、フェリー・内航や関 連事業に展開しています。不定期専用船では、バルカー(鉄鉱石や石炭などのばら積み船)、石油 タンカー、LNG 専用船、自動車専用船などの船隊を持っています。 輸送数量、運賃、コストなどが業績変動の主な要因ですが、運賃や燃料費など収益・費用の多く がドル建てであり、為替相場の影響を受けやすい事業構造です。 海運市況悪化を受けて前期は赤字計上 前期(2016 年 3 月期)の業績は、減収・経常減益、当期損益は赤字となりました。コンテナ運賃 の低下に加え、鉄鉱石や石炭などの輸送需要低迷が響き、関連会社株式評価損 262 億円や構造改革 費用 1792 億円などの特別損失を計上しました。コスト削減や運航効率化、燃料油価格低下もあっ たものの、急激な市況悪化と円高によって、大きく悪化しました。 今期(2017 年 3 月期)の会社予想は、減収・経常減益の見通しです。海運市況は足元でやや回復 しているものの、前第 4 四半期の厳しい市況を前提にしています。不採算船処分や航路再編など構 造改革を進めており、市況によっては上振れ余地もあります。また、コンテナやバルカーの需要は 変動が大きいものの、LNG や自動車などは比較的安定しています。 市況・業績底打ちに期待 国際的な海運市況は今世紀に入って からの最低水準であり、底打ちが待た れます。世界大手の海運会社では再 編・提携が相次いでおり、今後は需給 改善が見込めそうです。 収益性指標から見て株価に特段の割 安感はありませんが、業績面では最悪 期を脱した可能性があります。既に株 価は大きく下落し、BPS (1 株当たり純 資産)の半分程度の評価にとどまって いるため、市況次第では再評価の可能 性もあると見ています。 (出所:QUICK) 本資料のご利用にあたり、お客様にご確認いただきたい事項を、本資料の最終ページに記載させてい ただきました。ご確認の程、よろしくお願いいたします。 日本株銘柄情報 3 三菱倉庫(9301) アナリスト 株価指標 株価(2016/5/23) 売買単位 市場 発行済株式数 <業績の推移:連結> 1503円 1000株 東証1部 1億7520万株 (自己株式を除く) 時価総額 水口活也 2633億円 決算期 売上高 営業利益 純利益 1株利益 1株配当 2015/3 204362 11449 9133 52.1 12.0 2016/3 206831 11309 9350 53.4 12.0 2017/3予 215000 12100 9600 54.8 14.0 単位:百万円(1株利益、1株配当は円)、予想は会社予想によります。 <投資指標:連結> 今期予想PER PBR 予想配当利回り 27.4 倍 1.0 倍 0.9 % 国内倉庫大手の 1 社 三菱倉庫(9303)は、国内倉庫大手の1社で、倉庫、港湾運送、国際輸送、陸上運送などからな る物流事業に加え、不動産事業にも展開しています。東京都心などに賃貸ビルを保有、横浜や神戸 などでは商業施設も運営、マンション開発・販売も手がけています。 事業別構成比(前期連結調整前)は、営業収益では物流が大きく(物流 81%、不動産 19%)、営 業利益では不動産が大きくなっています(物流 34%、不動産 66%)。 荷動きは低調だが、不動産賃貸は堅調 前期(2016 年 3 月期)の業績は、前年同期比で増収・営業減益(ほぼ横ばい)となりました。倉 庫を含む物流事業は増収・減益でしたが、新ビル稼動やマンション販売増加によって不動産事業が 増収・増益となりました。今期(2017 年 3 月期)の会社予想は、増収・営業増益の見通しです。物 流事業での新施設稼動を受けた数量増加と収益性改善、不動産事業の増益を想定しています。1 株 当たり配当金は、創業 130 周年記念配当 2 円を含めて増配予想です。 なお、同社の前期末の賃貸用不動産の評価差額は 2235 億円、1 株当たり含み益は 1275 円(税引 後 893 円)でした。前期末の 1 株当たり純資産 1455 円に対する実績 PBR は 1.03 倍ですが、不動産 含み益を加味した実質 PBR は 0.55 倍(税引後 0.64 倍)と計算できます。 実質 PBR からは株価に割安感 物流事業の利益率向上という課題は あるものの、不動産賃貸の安定的利益 計上が見込まれ、実質 PBR から見て株 価には割安感があります。 新中期経営計画では、3 年後(2019 年 3 月期)の営業収益 2400 億円、営業 利益 155 億円が目標です。将来的に東 京や名古屋などの既存ビル再開発や新 規物流施設などへの投資が拡大する可 能性もありますが、財務体質は強固で あり、収益性向上と株主還元の余地は 大きいと考えています。 (出所:QUICK) 本資料のご利用にあたり、お客様にご確認いただきたい事項を、本資料の最終ページに記載させてい ただきました。ご確認の程、よろしくお願いいたします。 4 金融商品取引法に基づく表示事項 ■ 本資料をお客様にご提供する金融商品取引業者名等 商 号 等: 藍澤證券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 6 号 (本社)東京都中央区日本橋1-20-3 加入協会: 日本証券業協会、一般社団法人 日本投資顧問業協会 当社が契約する特定第一種金融商品取引業務に係る指定紛争解決機関 : 特定非営利活動法人 証券・金融商品あっせん相談センター(略称:FINMAC) ■ お客様にご負担いただく手数料(税込)およびリスク等について ・対面口座:約定代金に対し、最大 1.2420%を乗じた額 (ただし最大 147,150 円、約定代金が 217,391 円以下の場合は、2,700 円) ・インターネット口座「ブルートレード」 インターネット発注:最大 1,620 円、 コールセンター発注:約定代金に対し、最大 0.6210%を乗じた額 (ただし最大 73,575 円、約定代金が 260,869 円以下の場合は 1,620 円) ・コンサルティングネット口座「アイザワプラス」 インターネット発注:最大 4,860 円、 コールセンター発注:約定代金に対し、最大 0.9936%を乗じた額 (ただし最大 117,720 円、約定代金が 489,130 円以下の場合は 4,860 円) 株式は株価の変動等により、損失が生じるおそれがあります。 本レポート等でご紹介する商品等の勧誘を行う場合があります。 藍澤證券 免責事項 本資料は証券投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。株式 は株価の下落や発行者の信用状況の悪化等により、投資元本を割り込むお それがあります。投資に関する最終決定は、情報の被提供者自身による判 断でお決め下さい。本資料は企業取材等に基づき作成していますが、その 正確性・完全性を全面的に保証するものではありません。結論は作成時点 での執筆者による予測・判断の集約であり、その後の状況変化に応じて予 告なく変更されます。 本資料のご利用にあたり、お客様にご確認いただきたい事項を、本資料の最終ページに記載させていただき ました。ご確認の程、よろしくお願いいたします。