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7/18 - 名古屋大学経済学部・経済学研究科
2013/7/16 ミクロ経済学II(第15回) 平成25年度 名古屋大学経済学部 花薗 誠 シグナリング 1 2013/7/16 復習:レモンの原理 • 買手が品質を見分けられない ⇒市場価格が低くなり、売手が良質な財を出し惜しむ ⇒市場に出る財の平均品質が低下し、価格が更に下落 ⇒粗悪品(レモン)しか市場で取引されなくなる可能性。 • 良質な財も売手価値 < 買手価値⇒結果は非効率。 • 効率性を高めるため、取引機会をいかに回復するか? シグナリング • 高品質の車を持つ売手が、品質を正しく買手に伝達でき るなら、高値で販売でき取引利益が発生。 • 低品質の車を持つ売手が真似できない方法が必要。 • 信憑性のある情報伝達方法とは? 高品質なら、伝達が自らの利益に適う 低品質なら、伝達は自らの利益に適わない ⇒買手は伝達される「シグナル」から品質を判定可能。 2 2013/7/16 中古車市場でのシグナリング • 修理保証(一定期間内の無償修理契約) 故障確率: pG<pB 故障時に発生する売手の(平均)費用:R • その他の設定、数値はレモン市場と同じ タイミングと価格決定 1. 売手は各車毎、以下のいずれかを決定 ①保証有で販売②保証無で販売③販売無 2. 保証の有無から、買手は品質G:B= α:1-αを予想 3. 各車毎オークションを行い、最高入札の買手が落札 • 予想は所与、後に予想の整合性を確認。 • 入札は買手の期待価値まで上昇(ベルトランと同様)。 – 落札価格:150α+45(1-α) = 105α+45. 3 2013/7/16 売手の利益 ①保証有で販売の場合: 落札価格(=105α+45)-保証費用(=pGR or pBR ) ②保証無で販売の場合:落札価格(=105α+45) ③販売無の場合:売手価値(=100 or 30) シグナルの信憑性 • 高品質の車を持つ売手のみが「保証有」をだし、保証を高品 質のシグナルとすることは可能か? G:保証有⇒α=1⇒落札価格=150 B:保証無⇒α=0⇒落札価格=45 • 売手のインセンティブ条件(予想の整合性): 【想定行動による利益】 ≥ 【次善の利益】 G:150 - pGR ≥ max{45, 100}=100 B:45 ≥ max{150 - pBR, 30}⇒ 45 ≥ 150 - pBR 4 2013/7/16 シグナリング均衡 • インセンティブ整合性のための条件 G:50 ≥ pGR (高品質車の保証費用小) B:pBR ≥ 105 (低品質車の保証費用大) • シグナリングの鍵: – シグナルを出す費用に差。 – シグナルを出す者だけ以下が成立。 【シグナルの便益】>【シグナルの費用】 – シグナル受取側の予想とシグナル行動の整合性。 例 (情報) 品質 能力 本気 誠意 (シグナル) 品質保証契約・広告・宣伝 学歴・肩書き・資格 給料3か月分の指輪? ・・・いろいろ 5