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特別重点化資金成果報告書(学生国際学会等参加)2016 年 3 月 22 日
特別重点化資金成果報告書(学生国際学会等参加)2016 年 3 月 22 日 申請 責任者 所属・資格 理学部・教授 氏 名 今市 涼子 学生 所属・学年 (学籍番号) 理学研究科 物質・機能科学専攻(11437011) 氏 鈴木 絢子 名 会議等名称 (開催場所) 出張期間 (開催日程) 発表の有無 パングランゴ国立公園のシダ植物配偶体のフロラ調査と菌共生 平成 27 年 12 月 10 日〜12 月 17 日 ○1.口頭発表(審査有り・○審査なし) 共同発表者(今市涼子) 2.ポスター発表(審査有り・審査なし) 共同発表者( ) 3.発表なし 交 付 額 130,000 円 執 行 額 112,704 円 1.出張先での概要(出張先での詳細を 1,500 字程度で具体的にご記入ください) 【口頭発表題目】Arbuscular mycorrhizas association in cordate gametophytes of ferns. 今回の出張では、ボゴール植物園セミナーにおいて、当研究室の院生、鈴木絢子が修士論文研 究の内容を英語で発表する事、そして、同人の修士論文研究の一部として熱帯での配偶体調査を 行う事が目的であった。インドネシア到着翌日に、植物園セミナーでの講演を行い、その後、調 査地であるチボダス植物園に移動し、4日間に渡って、調査を行った。以下に概要を記す。なお、 本重点化資金申請時にはインドネシア行を5月に予定していたが、共同研究相手のボゴール植物 園の都合により、12月に変更した事を申し添える。 12 月 10 日: 朝、羽田空港より出国、ジャカルタ空港に到着後、車にてボゴールへ移動、午後7 時ホテル着 12 月 11 日: 午前 9:00〜11:30 ボゴール植物園セミナーにて鈴木絢子が研究発表を行った。発 表後、内容について多くの質問が出され、本研究の今後の展開について議論がなされた。そ の後、同セミナーにおいて、ボゴール植物園スタッフに対して、今市がシダ植物配偶体の形 態と発生についての講義を行った。セミナー終了後、来年度の調査計画、調査許可申請手続 きなど、ボゴール植物園の共同研究者 Dr. Titien Praptosuwiryo ならびに他のスタッフと打 合せを行った。お昼過ぎに車でチボダスへ移動。午後3時、チボダス植物園に到着。チボダ ス植物園はパングランゴ国立公園の山麓に作られた植物園で、インドネシア科学研究所によ り運営されている。海抜 1300m〜1400m の高地に存在しており、園内には多くのシダ植物 が自生している。チボダス植物園到着後、園のディレクターやスタッフと打合せを行った。 植物園内のゲストハウス泊。 12 月 12 日: チボダス植物園内のシダ植物配偶体の生息状況の調査を行った。 12 月 13 日: パングランゴ国立公園ゲデ山にてシダ植物配偶体の調査を行った。パングランゴ 国立公園のゲデ山(高さ 2958m)は雲霧帯が広がり、着生シダ類の宝庫として有名である。 採集許可がまだおりていないため、地上、岩上、樹上など、生息地の状況を丹念に調査した。 12 月 14 日: チボダス植物園内および裏山(ゲデ山の一角)にてシダ植物配偶体の調査を行っ た。夕刻から、これまでの調査記録の整理を行った。 12 月 15 日: 午前中は、パングランゴ国立公園ゲデ山に入り、最終調査を行った。午後、ボゴ ールへ移動し午後7時にボゴール到着。その後、インドネシア科学院前委員長の Dr. Dedy Darnaedi と会食し、調査許可の入手、調査スケジュール等について意見交換を行った。 12 月 16 日: 午前中は、ボゴール植物園にて Dr. Titien Praptosuwiryo と、今後の調査につい て最終の打合せを行った。午後はボゴール植物園内の着生シ配偶体の調査を行った。午後4 時半にジャカルタ空港へ移動。夜行便でジャカルタから日本へ出発した。 12 月 17 日: 朝、羽田空港に帰着した。 2.出張で得られた成果(1,000 字程度で具体的にご記入ください) 今回の出張の目的は2つ、(1)院生のセミナーでの英語による発表と質疑応答、そして(2) 院生の修士論文研究の一部として配偶体自生地のデータを取る、事であった。(1)については、 英語での口頭発表および質疑応答を行うことができたのは、鈴木絢子本人にとって大きな自信と なり、英語でコミュニケーションをとることへの苦手意識が薄くなったとの事である。発表内容 について植物園研究者達が十分に理解してくれ、研究内容に関心をもってくれたという手応えも 感じたようで、本人にとっては貴重な経験になったと考えられる。また英語での発表スライドを 作ったり、英語の原稿を作ったりする作業を行う上でも、英語で考える事の重要性を理解したよ うで、良い訓練になったと考える。また、現地の若い研究者との意見交換は文化交流という面か らも、重要な事と考える。 鈴木絢子にとって、これまで日本の配偶体を材料として研究を進めてきたが、熱帯での配偶体 の形態と生育地について、日本産のものと比較する事は、修論研究の中で大きな位置を占めるも のである。本出張にて、熱帯の雨霧林帯にみられる着生配偶体を多く観察できた事は、修論作成 において重要な情報となるものである。 また、チボダス植物園、パングランゴ国立公園における配偶体の予備調査は、過去に5月と2 月に行ったが、雨季である12月の調査は、今回が初めてであった。今回、雨季であっても、シ ダ植物配偶体は存在していることがわかったが、5月に比べ、配偶体の量は少なく、雨で濡れて いるためコケとの区別が難しく、採集には向いていないことが分かった。配偶体採集のベストシ ーズンは乾季の初めに当たる5月がよいと結論された。 アジア諸外国と共同研究を行う場合、生物多様性条約の関連から、相手国の若手研究者の教育 の援助を行うことが要求される。本セミナーでは今市もシダ植物配偶体研究の重要さについて、 現地の若手研究者に対して講義を行った。鈴木の発表と同時に、ボゴール植物園研究員に研究内 容を十分に伝えることができたようで、その影響かと思うが、セミナー後の今後の調査について の研究連絡がスムースに行われた事は大きな成果であった 3.当初の申請書と変更があった場合や交付額に 10%以上の残額がある場合にその理由を記し て下さい。 当初予定していた航空運賃の金額が、閑散期の 12 月にずれこんだ事と、 「早割」を使って 低く抑えることができたため、10%以上の残額が出た。