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第 2部 調査結果 - 全国家族調査 (NFRJ)
第 2部 調査結果 1 結婚 が社会的に承認 され るプ ロセス 本章では、間 1か ら間 6までの回答の集計 を中心に結婚が社会 的に承認 されるプロセス に関 して、出生コーホー ト間の比較を行 う。 1-1 現在の配偶 関係 問 1「 あなたには現在、配偶者 ( 夫)がいますか。 ( 婚姻届 けを出 していない内縁関係 も結婚 と考 えます)」への回答を出生コーホー ト別 にみたのが表 1 -1 である。 「 結婚 したこ 9 4 0 年代生 まれまでは 1%∼ 2%であるが、それ以降のコーホー とはない」 とするのは、 1 トでは 4%を越 える。 1 9 6 5年∼1 9 6 9 年生 まれでは、調査時には3 0 代前半であることを考慮 2. 5%と多数 を占める。 しても、 「結婚 したことはない」 が1 表 ト1 配偶者の有無 間1 配偶者の 有 現在、夫がいる をし 死別や 夫はいない て、離 現在 別無 緒婚し とはない たこ 合計 題 間32 字 1920-1924年 禦3 度数3 2 L( 精 弘 等 ㌻ 4 0. 0 % 4 6 5 9 . 1 % 6 8 . 9 % 1 1 0 0 . 0 % 1 1 5 露 1925-1929* ;_ T2 L( 精 謎 等 ㌻ 6 4 . 5 % 1 2 7 3 3. 5 % 6 6 2. 0 % 4 1 0 0. 0 % 1 9 7 1930-1934* ホ-ト J 間3 th2( 5 回答者出生コ 年停級)の 鷺 - 7 6 . 7 % 2 6 0 21 . 2 % 7 2 2 , 1 I 7 1 0 0 . 0 % 3 3 9 1935-1939年 ホート 度数 間32( 5 回答者出生コ 年柑級)の 鷺 ー 81 . 0 % 2 7 7 1 7 . 8 % ○ 1 1 . 2 % 4 1 0 0 . 0 % 3 4 2 1940-1944年 度散 ホート 開32( 5 B年舟級) ) 等者出生コ の鷺 ー 9 0 . 8 % 41 4 8 . 6 % 3 9 . 7 % 3 1 0 0 . 0 % 4 5 6 1945-1949年 1950-1954年 度散 ホ-ト 開32( 5 回答者出生コ 年階級)の 鷺 度数 91 . 7 % 4 4 3 3 7 8 6 . 4 % 3 1 27 1 . 9 % ○ 1 0 0 . 0 % 4 8 3 1 ○ 4 21 1955-1959年 度数 3 5 5 2 3 1 6 3 9 4 9 0. 1 % 3 3 8 5 . 8 % 1 7 4. 1 % 2 0 1 0 0 . 0 % 5 5 5 9 0 . 1 % 2 ○ 8 A. 5 % l l 5 . 3 % 4 4 1 0 0 . 0 % 5 5 3 度数 8 4. 4 % 2○ 3 6 3. 1 % 41 5 1 2 . 5 % 1 2 4 1 0 0 . 0 % 3 4 7 5 間32( ホート 回答書出生コ 5年階級)の ー 鷺 8 4 . 5 % l l . 9 鷺 3 . 6 % 1 0 0. 0 % ホート 5 回答者出生コ 年階級)の 鷺 ー 間32( 1960-1964年 度数 ホート 6 回等看出生コ 年貯級)の 鷺 ー 仰32( 1965-1969年 度数 ホート 5 回答書出生コ 年階級)の 鷺 ー 間32( 合計 -1 9- 1-2 集計分析 の対象 とするケース コーホー ト間比較 をするということは、それぞれの出生コーホー トの人々の結婚をする までの、 また、結婚前後の、歴史的時期の社会的 ・経済的条件の比較 を意味する。今回の データにもとづいてそのような比較を容易 にするために、本稿では初婚時のデータの比較 に限定することに した。初婚時のデータを示す として選択で きるのは、次の 3つの条件す べてに当てはまるケースである。第 1に結婚の経験がある。すなわち、間 1 「 あなたには 現在配偶者がいますか」に対する答えが、 「1現在夫がいる」ない しは 「2死別や離別 を 配偶者の方にと して現在夫はいない」である。第 2に夫が初婚である。すなわち、間 7 「 って、あなた との結婚は初婚で したか、再婚で したか」に対する答えが、 「1初婚」であ る。第 3に、配偶者 と離 ・死別の経験があるが、その後再婚の経験はない。すなわち、問 1 8「(間 1 7 で離 ・死別の経験があると答えた人に)あなたはこれまでに再婚の経験があ り ますか」に対する答 えが 「2ない」 または、 この質問に非該当。 選択の結果 これ らの条件 にあては まるケースは3079ケースであった。集計分析 の対象 と 2)、選択 されているケースの占め して選択 したケースを出生 コーホー ト別にみると ( 表1 9 35-1964年生 まれでは9 0%前後であるが、高年コーホー トではやや少な く、 る割合は、 1 96 5-11 969年生 まれでは80% を下 まわった。 最 も若い1 表1 2 集計分析対象の選択 と出生 コーホー ト 遺 いないケ 択 され ー て ス 1( 遭いるケ 択 され て f i k ● r 一三 ∩ L TE Rー )ス 合計 間32 妄評 1920-1924年 度数 , i mt 等 ( 精 酪 智 ㌻ 1 5 . 7 1 % 8 8 4 . 3 8 % 7 1 00 1 . 0 1 % 5 露 ' 1925-'92昨 鼠 等 ㌻ 1 6 . 8 3 % 3 8 3 1 . 2 8 % 4 1 0 0 1 . 0 8 % 7 1930-1934年 間32 回答者出生コ度数 5年階級)の 鷺 ホ-ト( 1 4. 2 4 % 8 8 5 2 . 8 ○ % 1 1 0 0 3 . 0 3 % ○ 1935-1939年 間32 回等青出生コ度数 ホ-ト( 5年階級)の 鷺 7 . 0 2 % 4 9 3 3 . 0 1 % 8 1 00 3 . 0 4 % 2 1940-1944年 間32 回答者出生コ度数 5年階級)の 鷺 ホ-ト( 7 . 0 3 % 2 9 3 4 . 0 2 % 4 1 00 4 . 0 5 % 6 1945ん1949年 間3 度数2 回等者出生コホ-ト( 6年階級)の 鷺 7 . 5 3 % 6 9 2 4 . 5 4 % 7 1 0 0 4 . 0 8 % 3 1950-1954年 問32 回答書出生コ度数 ホ-ト ( 8年階級)の 鷺 1 0 . 2 4 % 3 89 3 . 8 7 鷺 8 1 0 0 4 . 0 2 % 1 1955-1959年 間32 回答者出生コ度数 ホ-ト( 6年階級)の 鷺 l l . 4 % 5 8 8 . 8 % 3 4 9 1 0 0 . 0 % 3 ○ 4 1960-1964年 問32 回答者出生コ度数 ホ-ト( 5年階級)の 鷺 度数 l l . 5 4 % 3 8 8 3 . 5 3 % 2 1 0 0 3 . 0 7 % 5 7 4 27 ○ 35 3 問32 回答者出生コホ-ト( 6年欝級)の 鷺 度数 21 . O t 7 9 . 0 % 1 0 0. 0 ≠ 3 9 6 3 07 ○ 3 47 5 問32 回答者出生コ- l l . 4 % 8 8 . 6 % 1 0 0. 0 % 1965-1969年 合計 瓢 -2 0- 1-3 見合 い結婚か恋愛結婚か 結婚 の きっかけに関 して、問 3で 「その結婚は見合 い結婚で したか、恋愛結婚で したか」 である。 とたずねた。 この間に対する回答 を出生 コーホー ト別 にみたのが図 ト1 2% であ るが、 1940- 1 944 見合 い結婚 とす るものの割合は、 1920- 1924年生 まれでは73. 年生 まれでは約半数の53. 1% とな り、 1 960- 1964年生 まれでは 16% を 占めるのみである。 4% にす ぎない 一方、恋愛結婚で ある とい う回答の割合 は、 1920年 か ら1924生 まれでは 13. 9 4 5 -1 9 4 9 年生 まれになると5 4 . 4 %と半数 を超 え、 1 9 6 0 -1 9 6 4 年生 まれ以降は8 0 %を が、 1 9 2 0 年代生 まれの高年 コーホー トで 1 2 -1 3 % 超 える。なお、 「その他」とする回答の割合が 1 み られ るが、 その後 のコーホー トでは漸次減少 している。 図1 1 結婚の きっかけ ロ問3 結婚のきっかけ 無回答 口間 3 結婚のきっかけ その他 t間3 結婚のきっかけ 恋愛結婚 E)問 3 結婚のきっかけ 見合い結婚 1-4 結婚後の姓 表 ト3 結婚後の姓 夫方の姓 階級) 藍 間 ( 53 年2 妻方の姓 夫婦で月 の姓 の関係 ( 内、 I J ) 縁 々 姓 婦養子など) その他 ( 夫 問4 結婚後の 無 回答 1945-1949年 1950-1954年 ∃9 1 …4 2 … ≡ ;. ]9 …2 4 … …年 … 50 5-1 54 9 9 4. 9 % 9 6 . 0 % 8 4 6 8 . 0 4 8 % % 9 2 3 4. 7 % 4. 0 % l 4 5 3 l . 0 5 1 % 6 6 . 3 6 4 % 1 . 6 9 7 0 % . 7 % 1965-1969年 1960-1964年 3 4 % 9 5 . 7 9 6 . 7 % 6 0 3 . 6 % 2 . 4 % . 4 % . 3 * . 3 % . 4 6 % . 4 3 % - 21- 合計 1 00. 0 % 1 0 0. 0% 1 00. 0 % 1 0 0. 0 % 1 00. 0 % 間 4で 「 結婚後の ご夫婦の姓 ( 苗字)は次のどれにあた りますか」 と して、結婚後の姓 にみるように、1 9 2 5-1 9 29年生 まれを除いて9 0%以上 についてたずねた。その結果は表 ト3 が夫方の姓 を名乗 っている。 1-5 結婚式 結婚式は、結婚が社会的に承認 されるプロセスの重要な一環 と して位 置づけることがで きよう。問 5で 「結婚に際 して結婚式 をあげましたか」 とたずねた。図ト2にみるように、 0%台後半か ら9 0%台前半の人々が結婚式 を挙げている。ただ、 どの出生コーホー トでも8 1 9 2 0年代生 まれのコーホー トでは1 0%以上が 「 結婚式はあげなかった」 と回答 している。 図1 2 結婚式の有無 ロ間5 結婚式の有無 無回答 % 0 7 0 6 ■間5 結婚式の有無 結婚式をあげな かった % ロ間 5 結婚式の有無 結婚式をあげた % % % % % 0 0 0 0 JH H U0 4 3 2 ■ー 1-6 仲 人 間 5で 「結婚式をあげた」 と答えた人々に付間で 「 結婚式に際 して、仲人をされた方は どなたですか。あなたと配偶者の両方の関係の方の場合 には該 当する二つに○をつけて く ださい」とい う質問を した。 この質問 ( 群)には二つの軸が含 まれている。第 1の軸は、 仲人の帰属集団である。すなわち仲人は近隣、親族などの当事者の生育 した過程が埋め込 めまれている基礎的集団に属 した人か、そのような埋め込みを離れて特定の 目的で属する 職場な ど目的集団に属 した人だったのか。第 2の軸は、当事者 と仲人 との関係であるo妻 (-調査対象者)方なのか、夫方なのか。 -2 2- ( 1) 仲人の分類 そこで、仲人の帰属集団 と、仲人 との関係の二つの変数を作成することに した。そのた めのエ ンコーデ ィングを次のような作業手順で行 った。 0の組み合わせ を集計 したo仲人な し、の場合 を含めて34 ①データの示す問 5の付問 1-1 通 りの組み合わせパター ンがあることが判った。 ②仲人の帰属集団のエ ンコーデ ィング 1) 親族 ,近隣,職場 ,学校時代,その他,仲人な し、の 6分類 とした。 ③仲人 との関係のエ ンコーデ ィング 2) 妻方 ( 被調査者側 ),夫方 ( 配偶者側),双方,その他 ,仲人な し、の 5分類 とした。 ( 2) 仲人帰属集団 出生コーホー ト別 に仲人帰属集団をみたのが図 ト3 である。1 9 40年代生 まれ よ り上のコー ホー トにおいては、親族、近隣が占める割合が高いo しか し、1 9 40年代∼1 9 50年代生 まれ を境 に して、親族 に代わって、職場の関係者が仲人 を占める割合が高 くなる。そ して、1 9 5 0 年代後半生 まれ以降では、近隣の人が仲人を務める割合 も減少 してい く。若年のコーホー トでは職場の関係者が最 も多 くなるO-方、最 も若いコーホー トでは 「 仲人な し」が 目立 って きてもいる。 すなわち、親族 ・ 近隣など当事者の生育過程 が埋め込 まれている基礎集 団にかかわる人々 が仲人 となる割合 は、高年コーホー トでは高いが若年になると低い。逆 に、職場、学生時 代の関係な ど当事者がそのような埋め込みを離れて属する集団に属する人々が仲人 となる 割合は若年 コーホー トになるほど高い ということになる。 図 ト3 仲人帰属集団 ■仲人帰属集団 仲人なし 1仲人帰属集団 その他 t E l 仲人帰属集団 学校時代 □仲人帰属集団 職場 由仲人帰属集団 近隣 雷仲人帰属集団 親族 -2 3- ( 3) 仲人との関係 4 である。 1 9 40年代生 まれ よ り上のコー 出生 コーホー ト別 に仲人 との関係 をみたのが図 1 ホー トにおいては、仲人が夫方の関係 とする割合は5 0%を下 まわ る。妻方が3 0-40% を占 0-2 0%であった。それに対 して、 1 9 40年代生 まれ以降のコーホー め、双方 とするものも1 トでは仲人 として夫方の比重が高 まってい く。 1 9 6 0年代前半生 まれでは6 7. 6%が夫方であ 5%にす ぎない。 る。 このコーホー トでは妻方は5. 4 仲人 との関係 図1 ■仲人との関係 仲人なし ロ仲人との関係 その他 ■仲人との関係 双方 ■仲人との関係 夫方 □仲人との関係 妻方 (4)仲人の変化 高年 コーホー トにおいては、仲人は、当事者が生育の過程で埋 め込 まれていた基礎的集 団に属 する人々がな り、それ らの人々は、恒 に夫方 とは限 らず、妻方ない しは双方の場合 もみ られた。 これ に対 して、 1 9 4 0年代生まれ以降のコーホー トでは、仲人は、夫方の職場 の関係者である傾 向が強 まる。結婚が承認 される社会的文脈の変化 を表 してい ると考 え ら れる。 1- 7 披露宴 (1)形式 問 6で 「披露宴や、会費制の結婚披露パーテ ィを行いま したか」とたずねた。図 1 5にみ るように、 1 9 40年代生 まれのコーホー トまでは 「披露宴だけを行 った」 とする割合が もっ とも多いが、 1 9 5 0年代生 まれ以降のコーホー トでは。 「 披露宴 に加 えて披露パーテ ィもお こなった」 とする割合が多 くなる。特 に1 96 0年代後半生 まれのコーホー トでは5 7%が披露 宴 と披露パーテ ィの両方を行 っている。 -2 4- なお、 「いずれ も行わなかった」 とする割合は、 1 9 2 0 年代生 まれのコーホー トで1 0%を 0%以上の人々が、披露宴、披露パ 超えていたが、その後のコーホー トでは少な くな り、9 ーテ ィの どち らかない しは双方を行っている。ただ、 1 9 6 0 年代後半生 まれのコーホー トで は、再び 「いずれ も行わない」割合が増加の兆 しを示 し、披露の形式が多様化 しているこ とが推測 される。 図1 5 披露宴の形式 ■いずれも行わなかっ ロ披露パーティだけを行った ロ披露宴と披露パーティを行った ■披露宴だけを行った 6 披露宴の会場 図1 % 0 0 ■ー ー ■その他の会場 ■レストラン・ 料亭 ■ホテル・ 旅館 ■専門の結婚式場 口公共施設 ( 公民館など) ■近隣の家 ■ 自 宅 -2 5- (2)会場 披露宴の会場は どこで したか」と聞いている。図ト6 にみるよう つ ぎに、問 6の付間で 「 9 3 0-1 9 3 5 年生 まれ以前のコーホー トでは 「自宅」が大多数である。 に、 1 1 9 3 5-1 9 4 0 年生 まれのコーホー トでは 「公共施設 」 「 専門の結婚式場」な どで披露宴 を する割合が合わせて3 0%とな り、 「自宅」 3 3%とほぼ同 じ比重 を占めるようになる。その 9 4 5-1 9 4 9 年生 まれのコーホー ト以降は、披露宴の会場は 「 専門の結婚式場」が中心 後、 1 となっている。加 えて、 「ホテル ・旅館」などでの披露の割合 は若年 コーホー トほ ど多 く なっている。結婚の披露が、生育 した空間ない しは 日常の生活空間 とは分離 した空間でな されるようになったのである。 このことは、結婚の披露 とい う過程の社会化及び商業化 に 対応 しているといえよう。 1-8 結婚 が社会的に承認 されるプ ロセスの変化 結婚 を承認する基盤 (-結婚の社会的承認を当事者が求める社会集 団)も結婚 を披露す る空間も変化 して きた。 1 9 2 0 年代 ∼1 9 3 0 年代生 まれの人々では、結婚の社会的承認 を求める集 団は、親族 ・近隣 な どの基礎的集団/ 当事者が第一次社会化の過程で埋め込 まれていた集 団の人 々であ った0 表 4にみるように、 これ らの人々が結婚 したのは1 9 4 0 年代か ら1 9 6 0年代 にかけてが中心で ある。農林漁業 にせ よその他の商業等 にせ よ、 自営業家族が親族 ・近隣のネ ッ トワー クに 埋め込 まれて持続 していた時代であったと考えられる。た しかに、表 5にみるように1 9 3 0 年代生 まれの人々の結婚時の夫の職業は3 0%以上が 自営業だったのである。そのことは、 仲人 との関係 に関 して、妻方や双方が相当数存在することと関連する と解釈で きよう。披 露の空間は当事者の生育 した空間 と連続 していた。 1 9 4 0年代 ∼1 9 5 0 年代生 まれの人々の場合は、結婚の社会的承認 を求める社会集 団は、職 9 6 0年代か ら1 9 8 0 年代が 場 ( 夫の雇用先)である。 このコーホー トの人々が結婚 したのは 1 中心であるが、戦後農村か ら都市へ流入 した人々を含めて、大量のサ ラ リーマ ン層 に とっ て家族形成 の基盤は職場であった と考えられる。この場合の職場は、 目的集団 としての職 業集団 とい うよ り、企業ない しは事業所そのものであったろう。企業/ 事業所 が生活の基盤 となっていたと考え られる。 親族 ・近隣か ら離脱 しても、企業 とい う集団には埋め込 ま れていたといって よいのではないか。企業集団への埋め込みに対応 して、夫方の職場の関 係の人が仲人 となる傾向がつよまった と考えられる。そ して披露の空間は当事者の生育 し た空間か ら分離 してい く。 1 9 6 0 年代 コーホー トは、 1 9 8 0年代 中頃か ら1 9 9 0 年代に結婚 しているが、仲人を夫方の職 場関係者 とする割合は顕著 に増加 する。 しか し、一方で、それ に対抗するかの ように、仲 人な し結婚式を行 うケースが増 えて来 る。 これは、特にどの社会集団にも結婚の社会的承 認を求めるのではない、個人主義的な結婚の位置づけ (どこにも埋め込 まれないで家族形 成 を始める傾向)を反映 しているようの思われるのである。結婚 を承認する基盤が拡散す るとともに披露の形式も多様化 しているのである。 -2 6- 表1 4 結婚年次 1920- 1 924年 年次 柘婚 1925∼ 1 929年 1930- 1 934年 1935- 1 1940- 1 1945- 1 939年 問32 回9 答4 者 4年 出 生 コ- ホ 949 ト 年 ( 5年 8. 0% 52, 2ヽ 27. 8% 1 . 0% 1 4. 2% 55. 3% 25. 4% 1950- 1 A9 ) 54年 1955- 1 959年 1960-1 964年 1965∼ 1 969年 合計 1 955-1 959 3. 2% 1 965-1 969 1 . 1 % 1 94 3 5 0 6 5 -1 94 5 4 9 8 8 1 985 -1 989 4 3 1 3 7 2. 9 2 6 % % 5 30 6 3. 0 4 7 ≠ % 29 4. 2 1 % 2. 2% . 9% 1 1 % . 3 . 4% 3 % 1 8. 1 鷺 2. 1 % 1 4% 54 . 5 1 8. 2% 9 ll . 5% ′ 59. 2% . 4% 1 5. 9% 4 5 1 . 4 3 % 9 9 1 0. 3% 1. 1 % 1 00 0 1 00 1. 6 2 0 % 1 0 0 0 3 1 2 1 % . 7 % 1 0 0 0 5 3 . 6 % 1 1 0 2 0 4 0 2 9 . 8 % l l 6 1 0 1 4 0 2 4 0 % 鷺 5 7. 1 % . 3% 56 1 1 2 . 6 % . 9% 23 1. _ 3 7 % 5. 7 % 22. 7% 26. 1 % 57. 6% 3. 1 % l 8 4 2 l . 1 % 1 3 6 1 995 -2002 9 9 5 9 0 -1 96 4 1 96 7 ( ト1 7 8. 5% 1 3. 0% 表 ト5 結婚時の夫の職業 大企業 . 団休の 正社 且、 役員 藍 間 32 ( 5年 階級 ) 1 ∃9 …2 …0≡: ∼1 ∃9 …2 …… 4… 年 1940- 1944年 1945- 1949年 1950- 1954年 1955- 1959年 1960- 1964年 1965- 1969年 36. 6% 34. 0 % 35 . 5% 4 1 . 2 % 33. 3% 34. 2% 37. 6% 39. 0 % 40. 4% 39. 4% 団休の正社 中小企業. 員、役且 23. 2 % 27. 1 % 3 . 3 % 24 4. 7 % 43. 2 ≠ 46. 5 % 47. 6% 47. 9 % 47. 3% 49. 1 % 問 10 結婚当時のt A着服集 農林漁業 農林漁業 以Ei 臨時雇い( パー の 自営業 外の 自営業 ト. アルバイ ト ) 20. 1 ≠ 1 9. 9 % 1 0 . 7 % 1 3. 4 ㌔ 5. 4 % 4. 3 % 2. 9 % 1 . 7 % 2. 1 % 1. 4 ㌔ -2 7- 9. 1 % ll . 3% 1 6 . 0 % 9 . 3 % 1 5. 3 % ll . 6% 9. 8% 8. 6% 6. 6% 7. 5% 6. 7% 4. 1 % 1 . 9 % 3 . 1 % . 7% 2. 9% . 5% 1 . 1 % 1. 8% . 7 % 仕事に はつい ていなかった 3. 7% 2. 7% 6 % 6. . 2 % 1. 4% . 2% . 8% . 9% . 6% 1 . 1 % 無 回答 . 6% . 7 % 9 % 2. . 1 % . 7% . 2% . 8% . 9% 1 . 2% . 7 % 合計 1 00. 0% 1 00. 0% 1 0 0. 0 1 00 . 0% % 1 00. 0% 1 00. 0 % 1 00. 0% 1 00. 0% 1 00. 0% 1 00. 0% 〔 注〕 1)仲人の帰属集団の分類は以下のように行った。 ○を 1つだけつけている場合 にはその選択肢をコー ド。 ○を 2つつけている場合 には以下の手順。 ィ. 2つ とも帰属集団が同類の場合 ( e x . 1.あなたの近隣の方 と 2.夫の近隣 の方に○)はその選択肢。 ロ.2つが異なるタイプの帰属集団の場合 ( e x. 2.夫の親族 と 5.あなたの 職場の方に○)には、近隣<親族、親族<職場、職場 <学校 の基準で、優先順 位の 1つをコー ド。 ハ.2つの ○の内の 1つが 「その他」である場合 ( e x. 9その他 と 1あなたの 親族)は、その他ではないほ うの選択肢をコー ド。 2)仲人 との関係の分類は以下の ように行った。 どの帰属集団でも妻方 ( あなたの…)に 1つ○をつけているか、その他 と妻方 ( あなた の…)の帰属集団のいずれかの 2つに○をつけているケースを、妻方 -1とコー ド。 どの帰属集団でも夫方 ( 夫の…)に 1つ○をつけているか、その他 と夫方 ( 夫の…)の 帰属集団のいずれかの 2つ に○をつけているケースを、夫方 -2とコー ド。 ○を 2つ、それぞれ、妻方 (あなたの…)と夫方 (夫の…)につけているケースを、 双方 -3とコー ド。 「9 その他 」 4とする。 「 1 0仲人な し」 5とする。 = = -2 8- 2 離婚 の イベ ン ト ・ヒス トリー分析 2-1 研 究の 目的 本章では、NFRJ・ SOl調査の結婚歴 ・ 離婚歴データとイベ ン ト・ヒス トリー法を用いて、 離婚の要因を明 らかに したい。NFRJSOl調査では、結婚歴のほかに、結婚後の親 との同 居歴、出産歴、職業歴 を測定 しているので、 これ らのライフコース変数が離婚 に対 して与 える効果を、その他の社会経済的変数を統制 した うえで確認で きる。 2-2 離婚 の諸要因 従属変数は、結婚 ( 初婚)後、各年の離婚発生の有無である。観察期間は結婚後 3 0年 とした。結婚後の経過年数が 3 0年に満たないケースについては、調査時点現在の結婚年 数において観察打ち切 り処理を行 った。また、夫 と死別 した場合 にもその時点で観察打ち 切 り処理 を した。分析 に当たっては、まず結婚経過年別の結婚継続率の分布を観察 してか ら、多変量解析 を行 った。利用する統計モデルは、離散時間ロジッ ト ・モデルである。 結婚後の経過時間を表す変数 (七年)と、下記の独立変数 を組み込んだ人年データ ・フ pe r s o ny e a rr e c o r df i l e)を作成 した. ァイル ( 離婚の確率 を高める要因として想定 される特性は、 (1)家族水準の特性、 (2)夫 と妻 の個人水準の特性、(3)時代や社会の特性 に分類で きる。以下、モデルに投入する独立変 数 とその理論的背景について簡単に述べる。変数の一覧 とカテゴ リー設定の詳細について は表 21を参照 してほ しい。 (1)家族水準の特性 結婚年齢 :夫婦の結婚年齢は相関が高いので、回答者である妻の結婚年齢 を使 う。若 くし て結婚すると早期 に破綻する確率が高い と考え られ る。 末子年齢 :いわゆる 「 子は夫婦の鑓」を検証する。子 どものいる夫婦 よ りも子 どものいな い夫婦の方が、離婚確率が高い。また低い年齢の子 どもがいる場合 よ りも、高い 年齢の子 どもがいる場合の方が離婚 しに くい と予想 される。 夫方親 との同居 :夫方親 との同居は、離婚確率を高める方向 と低める方向の二方向に働 く ことが理論的に想定される。いわゆる 「 嫁姑問題」のように妻 と義母 との相性が 悪ければ、離婚を促すかもしれず、他方、相性がよければ安定的な家族関係 を築 くことにつながると考え られる。ただ し、離婚の 1年前 には別居が始 まっている ことが十分考え られるので、この変数の値 には、結婚経過各年の 2年前 (t- 2 年)の値が使われている。 妻方親 との同居 :婿養子的な妻方親 との同居は、夫方親 との同居 と同様 に、義理の親子関 係の相性 によって離婚の確率を増減させると考え られる。離婚前に実家に戻 るこ とが多い と考え られるので この変数 も 2年前の値 を使 う。 -2 9- (2)夫 と妻の個人水準の特性 妻の職業 : 妻が専業主婦の場合 よ りも、 妻が仕事をもち経済的に独立 している場合の方が、 離婚 Lやすいだろう。 と くにフルタイムで働いている場合、離婚 を選択 しやすい と考え られる。なお、夫婦関係が危機 的状況 になる と妻が働 き始める可能性 が高 いので、結婚後各年に対 して一年前 ( 七一1年)の値 を使 う。 夫の職業 :夫が経済的に安定 している大企業 に勤務 している場合 に比べて、一般 に収入 と 安定度の低い中小企業 ・自営業の方が、離婚確率が高 くなるだろう。 とくに、失 業 して無職やアルバイ トになった場合 には、離婚確率 を大 き く高めることが予想 される。 妻の学歴、夫の学歴 :学歴 も職業 同様、社会階層変数である。高い階層 よ りも低い階層で 離婚確率が高 くなると予想 される。 妻の出身階層 :妻の実家の階層が高いほど、それを離婚後の生活たて直 しの資源 にで きる ので、離婚確率 を高めると考えられる。 5歳の時の実家の持ち家の有無を、実家の階層変数 (資産)の 妻の実家の持ち家 :妻が 1 一つ として用いる。 (3)家族がそのなかで生 きた時代や社会の特性 結婚 コーホー ト・妻の出生 コーホー ト:時代の効果 をとらえるための指標 として用いる。 離婚確率 を高める結婚コーホー トの効果が、高度成長以後 に強 まる傾 向をみせた 場合 には、時代効果の実質がマクロ経済成長の効果であるか否かを確認するため に、結婚後各年 に対応 する西暦年の対前年実質経済成長率 ( ただ し 7年移動平均) を変数 としてモデルに投入する。 2-3 分析結果 (1)結婚継続率の分布 まず、結婚継続率 を結婚コーホー ト別、出生コーホー ト別 に推定 して ( カプランーマイ 1 ) 。なお、離婚経験者数が少ないた ヤー法による) 、戦後の離婚の動向を確認 した ( 図 2・ め、コーホー トの階級設定は 1 0年間隔 とした。 結婚コーホー ト別のグラフも、出生 コーホー ト別のグラフもよ く似 た傾 向を示 している。 1 980年代以降の結婚 コーホー トと、 1 95 0年代以降の出生コーホー トで離婚確率が高 くな ってい く様子を確認で きる。1 990年代の結婚コーホー トと 1 980年代 の結婚コーホー トの グラフを比べると、前者の方が後者 よ りも、結婚後 3年間のグラフの傾 きが緩やかになっ 970年代生 まれが調査対象に入 っていないので、その分 1 990年代 の結 ているが、これは 1 990年代 に、若い年齢で結婚 した夫婦の 婚コーホー トのサ ンプル構成が偏 るためである。1 離婚が とらえ られていないわけで、大変残念である。 また、1 940年代結婚コーホー トにおいて結婚初期の離婚がみ られるが、このコーホー ト の結婚後の 5年間は戦時中か ら戦後 まもない混乱期 にあたることを指摘 してお きたい。 -3 0- (2)離散時間 ロジッ ト・モデル推定結果 表 2・ 1には、モデル ごとに 6係数 と e xpB係数 1を示 した。 6係数がプラスの場合は離婚 の可能性 を高める方向に、マイナスの場合は離婚 の可能性 を低 める方向に働いていること を示す。e x p B係数は、カテゴ リー変数では基準 カテゴ リー に対 するオ ッズ比であ り、連 続変数では 1単位 の増加 に対するオ ッズ比である。オ ッズ比が 1よ り大 きいほ ど離婚する 可能性 が高 い ( 離婚 しやすい)こと、 1よ り小さいほ ど離婚 す る可能性 が低 い ( 離婚 しに 1のモデル 1では、他 の条件 が等 しい とき、 くい) ことを意味 している。た とえば、表 2夫方の親 と 「同居」 している者の離婚する可能性 ( 離婚のオ ッズ)は夫方の親 と 「別居」 している者 の 0. 39倍 ( 39%) と推定 される。 また、夫が 「中小企業」の夫婦 が離婚する 可能性は、「大企業」の場合の 1 . 9倍 と推定 されている。さ らに、妻が 「正社員」かつ夫が 「無職 」 の夫婦 と、妻 が 「無職 」かつ夫が 「大企業 」 の夫婦 のオ ッズ比 を求め るには、 ( 1. 467×4. 480)÷( 1. 000×1. 000)-6. 572の ように、二つの変数 の expBの積 を前者夫婦、 後者夫婦のそれぞれについて求めて、その比 を とれば よい (この場合は、妻 「正社員」・夫 57倍高 い とい う推定結果 「無職」の離婚可能性は、妻 「無職」夫 「 大企業」の夫婦 よ り 6. である)0 ここに示 した係数の大 きさは、 日本全国の母集 団について標 本か ら推定 した値であるか ら、 当然の ことなが ら標本誤差 を含んでいる。係数の右 に示 した * (アスタ リスク)は こ の誤差の小 ささにもとづいてつけ られてお り、「要 因の効果が母集 団において も存在 する」 とい う判断 を誤 る確率 を表 している。た とえば、夫方親 との 「同居」の右 に四つの *がつ いているが、 これは 「離婚 に対する 『 夫方同居』 の効果が母集 団において も存在 する」 と 010 / .未満 ( **** p<0. 0001)であることを表 してい い う判断を誤 る確率 ( 危険率)が 0. る。統計学では この ことを 「危険率 0. 01%で統計的 に有意であ る」 と表現する。研究の実 質的な観点 か らは、 *の数が多いほ ど、そのモデル において重要な要 因 ( 主因)になって いる と考えて よい (もちろん理論的にも説明がつ く必要がある)0 表 中の係数の値 の意味 を読み とる際に、最 も重要なことは、 ある一つの要因の係数の値 は、他 のすべての要因の効果 を取 り除いた、独立の効果 を表 している とい うことである。 また、現実 の人生では一つの要因が単独で働 くことはな く、つね にモデル に投入 した複数 の要因が同時 に働 くことになる ( 前述のようなかけ算 になる) 。それゆえ、ある要因が強い 促進効果 をもっていて も、他のい くつかの要因の抑制効果で相殺 され ることがあ りうる。 さて、以上 の ことを念頭 においてモデル 1をみ る と、離婚確率 を高め る要因の うち最 も 強力な効果 をもっているのは、結婚年齢、夫の職業、結婚 コーホー トである。 これ らの要 因の効果の方向はみな予想 どお りである。 一方、離婚確率 を低下 させ る要因で最 も強力なものは、夫方 同居であ る。夫方 同居は離 婚 に対 して両方向の効果 を想定 したが、予想外 に強力な抑制効果がみ られて興味深い。「離 婚 しないのではな く、で きないのだ」 とい う声が聞 こえて きそ うだが、そ うとばか りもい えない理論 的な理 由が考え られ る。今後、検討 してい きたい。 末子年齢 の効果 の方向は、予想 どお り離婚 を抑制 する方向だ ったが、 この要 因の理論的 な重要性 に比べて、 p値 が低 す ぎる感がある。そ こで、経過年数の 2乗項 をモデルに入れ 1 e x pβは e x po n e n tb e t a と読む。 -3 1- てみることに した。なぜな ら、理論的には有意にプラスの方向になるはずの結婚か らの経 1に表れているように、離婚確率は 過年数が有意 になっていないか らであ り、 また、図 2離婚初期 に高 く、時間経過 とともに逓減 してい く傾 向がみ られるので、経過年数の効果が 曲線的に働 いていることが考え られるか らである。 モデル 2はその結果である。予想 どお り経過年数はその 2乗項 とともに有意 になった。 経過年数のプラスの効果は、時間経過 とともに離婚確率が増加 してい くことを示 し、 2乗 項がマイナスなのは、そのプラスの効果が時間 とともに弱まってい くことを示 している。 さらに、モデル 2では、末子年齢の効果 もク リアに検出された。子 どものいない場合 に 比べて、子 どものいる夫婦 は離婚 しに くい。 しか し、その効果は子 どもの年齢 が上がると ともに弱 まってい く。 ・ 1か ら容易 に予想され るように、1 9 80年代以降に 結婚コーホー トの効果 をみると、図 2 結婚 した比較的若いコーホー トで離婚確率が高 くなっている。 この変数の効果の大 きさか らも、 p値か らも、非常に強力な時代効果が存在することがわかる。そこで、結婚コーホ ー トの代わ りに実質経済成長率をモデルに投入 してみた。結婚後各年の西暦年がわかって いるので、その年の経済成長率 (ただ し7年移動平均)を使用 した。 その結果がモデル 3である。予想 どお り、離婚 を抑制する経済成長の強力な効果 を確認 %増加するごとに、離婚の可能性 することがで きた。推定結果 によれば、経済成長率が 1 3%低下する。高度成長期のように、年 1 0%経済が成長する時代 には、ゼ ロ成長時に は 1 比べて、離婚の可能性は 24%程度にまで低下する。これは夫の 「臨時 ・無職」の効果 を相 殺 して しまう水準の値である。 2-4 むすび 以上の分析か ら、離婚 をもた らす主因は、夫の職業 とマクロ経済状況であることが明 ら かになった。妻の就業は離婚確率 を増加させる方向に働 くが、夫の職業 に比べればそれほ ど強い効果ではない。 9 8データを使 って結婚のイベ ン ト・ヒス トリー分析 を行 私は今回の研究の前 に NFRJ った。その結果明 らかになったのは、未婚化の主因が男性側の職業階層要因 と経済成長率 の低下にあるとい うことだった。それゆえ、未婚化の要因の関連構造 と離婚の要因の関連 構造は同型であ り、未婚化 も離婚増加 も結婚難 とい う同一次元の現象である。経済成長の 時代の終わ りが、結婚難をもた らしている。 離婚を抑制する効果 としては、やは り子 どもの存在が 「夫婦の鑓」 として働 く。今回の 分析の最大の発見は、夫方親 との同居が離婚 を抑制する強い効果をもっていることである。 夫方同居が有する離婚抑制効果の理論的意味については、今後の検討課題 としたい。 -3 2- 結婚 コーホー ト別 結婚継続率 ー + + 19 40-49年 195 0-59* 196 0-69* -0-1 97 0-79年 一義-1 9 8 0-89年 199 0-99年 + 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 0 ll 1 21 31 41 51 61 71 81 92 0 21 22 2 32 4 25 26 27 2 82 9 30 初婚からの経過年数 出生コーホー ト別 結婚継続率 ー 192 0-29年 -0-1 9 30-39年 + 19 40-49* 一 〇一195 0-59年 」 ■-1 96 0・ -69年 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 0 ll 1 21 31 41 51 61 71 81 92 0 21 22 2 32 4 25 26 27 2 8 29 30 初婚からの経過年数 図2 1 結婚継続率 -3 3- 表2 1 離婚の離散時間 ロジッ ト・モデル モデル 1 結 婚からの経過 年 数 ( t 年) 年)の 2乗 ( t 結 婚年齢カテゴリー 20歳 以 下 21-23歳 〔 24-26歳〕 27-29歳 30歳 以上 末 子年齢 ( t 年) 〔 子どもなし〕 0-6歳 7-1 2歳 1 3歳 以上 モデル 2 モデル 3 B Ex p( B) 0. 01 8 0. 983 0. 923 408 0. 0. 000 0. 246 0. 707 0. 000 446 0. 0. 654 0. 696 B Exp( B) B Ex p( ち) 0. 084 1 . 087* 0. 068 1 . 070+ 0. 004 0. 996** 0. 005 0. 995*** 2. 51 6**** 0. 945 2. 574**** 0. 757 2. 1 33*** 1 . 504* 0. 41 8 1 . 51 9* 0. 348 1 . 41 6* 1 . 000 0. 000 1 . 000 0. 000 1 . 000 0. 782 0. 247 0. 781 0. 1 78 0. 837 493* 0. 746 0. 474* 0. 663 0. 51 6+ 0. 1 . 000 0. 000 1 . 000 0. 000 1 . 000 0. 640* 0. 644 0. 525** 0. 576 0. 562** 520辛 0. 1. 043 0. 353*** 0. 998 0. 369*** 0. 498+ 490+ 486+ 0. 71 2 0. 0. 721 0. 0. 000 0. 953 1 . 000 0. 000 0. 385****0. 964 1 . 000 0. 000 0. 381****一 0. 988 1 . 000 0. 372**** 夫方親 との同居 〔 別居〕 ( t-2年) 同居 妻 方親 との同居 ( t-2年) 〔 別居〕 同居 0. 000 0. 338 1 . 000 1 . 402 0. 000 0. 305 1 . 000 1 . 357 0. 000 0. 293 1 . 000 1 . 340 〔 大学以上〕 0. 00 0 0. 438 0. 1 96 0. 000 0. 383 0. 1 62 0. 1 61 1 . 000 1 . 550 1 . 21 6 1 . 000 1 . 467* 1 . 1 76 1 . 1 75 0. 000 0. 449 0. 201 0. 000 0. 456 0. 1 66 0. 1 42 1. 000 1 . 567 1 . 222 1 . 000 1 . 577** 1 . 1 80 1 . 1 52 0. 000 0. 422 0. 01 9 0. 000 0. 524 0. 1 75 0. 263 1 . 000 1 . 525 1 . 01 9 1 . 000 1 . 690** 1 . 1 91 1 . 301 0. 000 0. 484 0. 740 0. 000 0. 661 0. 950 1 . 500 1 . 000 0. 000 1 . 623* 0. 485 2. 095** 0. 755 0. 000 1 . 000 663 1 . 936*** 0. 965 2. 586**** 0. 480**** 1 . 496 4. 1 . 00 0 0. 000 1 . 623* 0. 468 2. 1 27** 0. 625 0. 000 1. 000 765 1 . 940*** 0. . 023 2. 625**** 1 . 564 4. 464**** 1 0. 000 0. 21 7 0. 322 0. 073 0. 266 1 . 000 1 . 242 1 . 380 0. 930 1 . 305 1 . 000 1 . 247 1 . 376 0. 934 1 . 298 0. 000 0. 262 ー 0. 431 41 8 0. 0. 000 0. 278 1 . 286 1 . 270 1 . 000 0. 000 1 . 30 0 0. 268 0. 650 0. 433 0. 658 0. 422 1 . 000 0. 000 1 . 320 0. 251 3. 620**** 1 . 245 3. 559**** 1 . 277 妻 の学歴 短 大 ・高専 ・ 高校 中学校 妻 の職 業 (t- 1年) 〔 仕 事 につ いていない〕 正社 員 ・ 正職 員 、役 員 自営業 主 ・ 家族従 業員 パー ト・ アルバイト 夫 の学歴 〔 大学 以上〕 短 大 ・高専 ・高校 中学校 夫 の職 業 ( 結 婚 時) 〔 大企 業 ・ 団体〕 中小企業 ・団体 、自営 ( 非農 ) 自営 ( 農林 漁 業) 臨時 ・ 無職 妻 の出身階層 〔 一般 従業者〕 管理職 以上 非農 自営 農林 漁業 臨時・ 不明 妻 の実家の持 ち家 〔 持ち家〕 借 家 ほか 結 婚コーホー ト 1 940-49年 1 950-59年 〔 1 960-69年〕 1 970-79年 1 980-89年 1 990-99年 0. 000 0. 221 31 9 0. 0. 069 0. 261 0. 000 0. 1 71 0. 1 97 0. 235 0. 1 61 1 . 000 1 . 1 86 1 . 21 8 0. 790 1 . 1 75 1 . 000 0. 000 1. 307 0. 253 0. 649 0. 656 1 . 000 1 . 285 3. 472**** 3. 586**** - 1 . 000 1 . 288 0. 1 42 経 済成長 率 定数 x 2Ⅰ Jguke l i hood 2 自由度 Numbe rofEve nt s 1 . 00 1 . 596* 1 . 869* 1 . 000 2. 1 49**** 2. 780**** 4. 777**** 7. 348 0. 867**** 0. 001****7. 543 0. 001****6. 1 62 0. 002**** 536 2562. 789 2549. 077 2540. 21 3. 656**** 222. 1 97**** 200. 727**** 30 31 27 200 200 200 73, 608 Numbe rofPe r s onye a r s 73, 608 73, 752 ****p<0. 0001 ***p<0. 001 **p<0. 01 *p<0. 05 + p<0. 1 0 注)(t年) 、 (t- 1年) 、 (t- 2年)は時間変動変数であることを示す。詳 しくは本文参照。 〔 〕は基準カテゴリーを示す。 -3 4- 3 子 どもの誕生 と育児をめ ぐる変化 本章では、生殖家族経歴の初期に位置する 「子 どもの誕生」 と 「育児」に関するデータ 4 -2 7の回答)を分析 して、それ らの経験のされ方が結婚コーホー ト間でど ( 調査表の間 2 のように変化 して きたかを述べる。 3-1 結婚 コーホー トによる分析の意味 と問題点 分析 に入る前に、出生コーホー トでな く結婚 ( 初婚)コーホー トによる比較を行なうこ との意味 と問題点 について触れてお く ( 本報告書では基本的に出生コーホー トを比較の単 位 として採用 してお り、巻末の基本集計も出生コーホー トによるクロス集計の形式をとっ ている) 0 本章で 「 結婚コーホー ト」を採用する理由は、同 じ 「 結婚コーホー ト」は同 じ 「出生コ ーホー ト」よ りも、子 どもの誕生や子育てを同 じ時代に経験する確率が大 きいか らである ( 「 長子誕生コーホー ト」な らさらにその確率は大 きくなるが、あま り一般的なコーホー ト とはいえず、他の調査 との比較に不便 という欠点がある) 。本章の関心は 「 〇〇年生 まれの 女性」の出産や育児の経験の仕方にではな く、「 〇〇年に結婚 した夫婦」の出産や育児の経 験の仕方にある。もちろん出産や育児の経験の仕方は、結婚 した時代の影響 ( 時代効果) だけでな く、個人が生 まれ育った時代の影響 ( コーホー ト効果)も当然受けるか ら、後者 に着 目するのであれば 「出生コーホー ト」による分析が適当である。 というわけで、本章では 「 結婚コーホー ト」による分析 になるわけだが、 ここで注意 し -1は結婚コ てお くべ きことが 2つある。第 1は、各コーホー トの規模の問題である。図 3 2 0 0年 と 2 0 01年に結婚 し ーホー ト (5年間隔)のサンプル数の分布を示 したものである ( た1 1ケースは除いてある)。規模が最大なのは 1 9 7 0 7 4年結婚コーホー トで、サ ンプル数 は4 4 8 .-万、規模 が最小なのは 1 9 3 5 3 9年結婚コーホー トで、サンプル数は 5. これは 今回の調査が一定の出生年 ( 1 9 2 0 6 4年)の範囲でサ ンサ ンプルの抽出 ( 無作為)を して -1 結婚コーホートのサンプル規模 図3 1 9 35 -1 9 40 -1 9 45 -1 9 5 0 -1 9 55 -1 9 6 0 -1 9 65 -1 97 0-1 97 5 -1 98 0 -1 9 85 -1 99 0-1 995 39 44 49 5 4 5 9 6 4 69 7 4 79 8 4 89 9 4 9 9 - 35- いるためである。 したがって出生コーホー トの規模は最大で 4 83( 1 94549年出生コーホ 1 6( 1 92024年出生コーホー ト)と調査時点の人 口構造 を反映 してお り、 ー ト) 、最小で 1 かつ規模 の最小のコーホー トで も分析 に耐えるだけのサ ンプル数 となっているが、 これを 結婚コーホー トに再編成するとサ ンプル数の点で分析 に耐えないコーホー トが生 じる。 2は各結婚コーホー ト 第 2は、各結婚コーホー トの結婚年齢の偏 りの問題である。図 3- 1 935・ 3 9年結婚コーホー トはサ ンプル数が極端 に少ないとい う第 の平均初婚年齢 を示 し ( 1の理 由によ り除外) 、同時に、厚生労働省の人口動態調査のデータか ら計算 した各期間の 平均初婚年齢 を点線で併記 したものである。 2つの調査の数値は両端のコーホー トで大 き 94044年結婚 コーホー トでは くずれている。すなわち今回の調査か ら計算 した数値は、 1 人口動態調査の数値を大 きく下回 り、逆に、 1 99599年結婚コーホー トでは人 口動態調査 の数値 を大 き く上回っている。これは両端の結婚コーホー トのサ ンプル構成 に問題がある ために生 じる見かけ上の変化なのである。 図3 -2 初婚年齢 ′ / ▲ 、 . ■ 一 ▲ ' . A一 -- ll 「 i ■ ---. _. ▲-- - I l - 義 - 今回の調査 人口動態調査 1 9 4 0 -1 9 4 5 -1 9 5 0 -1 9 5 5 -1 9 6 0 -1 9 6 5 -1 9 7 0 -1 9 7 5 -1 9 8 0 -1 9 8 5 -1 9 9 0 -1 9 9 5 4 4 4 9 5 4 5 9 6 4 6 9 7 4 7 9 8 4 8 9 9 4 9 9 表3 1を見ては しい。 これは各結婚 コーホー トがどのような出生コーホー トによって構 成 されているかを示 したものである。一般 に結婚年齢 には 「 適齢期」 と呼ばれる年齢があ り、そのため どの結婚コーホー トにおいても特定の出生コーホー トが過半数 を占めるとい う現象が見 られる ( 網掛けの部分) 。しか し、その特定のコーホー トが占める割合は、両端 のコーホー トで非常に大 きくなっている。これは言うまでもな く、今回の調査のサ ンプル 920年、下限を 1 969年 として設定 したあるためである。そ 抽 出において出生年の上限を 1 9 4044年結婚コーホー トは本来のものよりも結婚 のため、われわれのサ ンプルにおける 1 1 91 9年以前の生まれで 1 9 40・ 44年 に結婚 した人々があ らか じめ 年齢が非常に低 くな り ( 排除されているため) 、逆に、1 995・ 99年結婚コーホー トは本来のものよ りも結婚年齢が非 常に高 くなるのである ( 1 97 0年以降の生まれで 1 9 9599年 に結婚 した人々があ らか じめ は排除されているため) 0Lがたって、結婚年齢 に大 きな偏 りのあるこの 2つの結婚コーホ ー トは、本章での分析か らは外すことにするo -3 6- ( %) 表3 -1 各結婚 コーホー トに占める各出生コーホー トの割合 出生コーホー ト 1 9 2 0 1 9 2 5 1 9 3 0 1 9 3 5 1 9 40 1 9 4 5 1 9 5 0 1 9 5 5 1 9 6 0 1 9 6 5 -2 4 -2 9 3 4 3 9 4 4 49 5 4 -5 9 -6 4 -6 9 1 9 45 49 31. 0 7. 7 1 9 5 0 5 4 7. 4 3 6. 9 4. 0 1 9 5 5 5 9 1. 4 6. 3 3 3. 7 1. 7 l. 8 1 9 6 0 6 4 0. 5 1.1 l 3 6. 4 1. 9 1 9 6 5 6 9 0. 2 1. 4 l l. 2 1 9 7 0 7 4 0. 4 1. 8 1 9 7 5 7 9 紘 婚 ホ コ 卜 I 1 9 4 0 4 4 1 9 8 0 8 4 1 9 8 5 8 9 2 8. 3 0. 2 1 . 6 l l. 8 2 3. 9 1. 3 0. 5 0. 8 3. 2 1 7. 9 1 5 . 9 0 . 3 2 1. 1 0. 8 0. 3 2. 1 2 1. 3 0. 3 1 4. 1 1. 5 1. 5 2. 9 1 9. 8 1 9 9 0 9 4 0. 4 1 6. 3 1. 9 5. 2 3 0. 2 注 :網掛けの部分は各結婚コーホー トにおいて過半数 を占める出生コーホー ト 。 また、両端か ら 1つ内側の 1 945・ 49年結婚コーホー トと 1 99094年結婚コーホー トも出 94549年結 生コーホー トの構成の点でやや問題があることに留意 してお く必要がある。 1 婚コーホー トは一番年長の 1 92024年出生コーホー トが 31%を占めているが、他の結婚 91 9年以前の出 コーホー トに占める出生コーホー トの分布状況か らわかるとお り、 も し 1 生コーホー トが存在 していたらそち らにもっと流れたはずである ( 実際の平均結婚年齢は 990・ 94 年結婚 コーホー トは一番年少の もう少 し高いはずであ るとい うこと)。一方、 1 1 96569出生コーホー トが過半数を占めているが、 も し 1 97 0年以降の出生コーホー トが 存在 していた らそち らにもっと流れたはずである ( 実際の平均結婚年齢はもう少 し低いは ずであるとい うこと) 。この 2つの結婚コーホー トについては、分析か ら外すことは しない が、変化 を解釈するときに 「それはサンプルの結婚年齢 にやや偏 りがあるためかも しれな い」 とい う保留を付けてお くことを忘れないように しない といけない0 なお、1 99094年結婚コーホー トについては、もう 1つ、留意 してお くべ きことがある。 それは結婚後の経過年数がまだ 7-11年 と短いことか ら、これか らまだ子 どもをもつ可能 性が他のコーホー トに比べて高い ということである。通常、「 完結出生児数」を確定するた めには妻の年齢が 49歳 になるまで待つ必要があるが、 これは多産であった時代のコーホ ー トに基準を合わせているためであって、今回のように戦後 に結婚 したコーホー トに限定 9歳 まで待てば十分であ り、趨勢 を把握 した場合は 40代での出産はレアケースなので、3 するためな ら 3 4歳 まででも大丈夫である (た とえばすでに全員が 40歳以上 になっている 1 9757 9年結婚コーホー トの場合、40歳以上で末子 をもった者は 2%に過 ぎない)。 しか 99094年結婚コーホー トはまだ 3 4歳未満が 35%を占めている。子 どもの数や末子 し、 1 をもった年齢 に関する分析 を行なう場合は、 このコーホー トは外 した方がよいだろう。 -3 7- 3-2 晩婚化 と晩産化 と少子化 方法論的な議論はここまでに して、戦後の結婚コーホー トの比較 を通 して、生殖家族の 形成期 に見 られる変化 ( 家族変動の一側面)を検証する作業 に入 ることに しよう。 図 33は結婚 ( 初婚)年齢、長子 をもった年齢、末子をもった年齢の各平均値の推移 を 示 したものである。「 晩婚化」 と 「晩産化」の傾向が連動 している様子が見て取れる。 図3 -3 結婚・ 出産の年齢 1 9 4 5 -1 9 5 0 -1 9 5 5 -1 9 6 0 - 1 9 6 5 -1 97 0 -1 9 7 5 -1 9 8 0 - 1 9 8 5 4 9 5 4 5 9 6 4 6 9 7 4 7 9 8 4 8 9 結婚 ( 初婚)年齢は、1 9 45・ 49年結婚コーホー トの 21 . 6歳 に始 まって、1 9858 9年結婚 5. 6歳 に至 るまで、一貫 した上昇傾向を示 している。 コーホー トの 2 長子 をもった年齢は、基本的には結婚年齢 と対応 した変化 を しているが、 1 97 0・ 7 4年結 97 07 4年結婚 婚コーホー トだけ趨勢 に逆行 してやや下降 しているのが目を引 く。これは 1 9 45・ 4 9年出生コーホー ト ( ベ ビーブーマー)が 5 9%を占めている コーホー トにおいて 1 94549 ことと関係があるだろう。出生コーホー ト別に長子 をもった年齢 を見てみると、 1 年出生コーホー トはその前後のコーホー トに比べてやや低いのである。ちなみに 1 945・ 4 9 年出生コーホー トが 「 専業主婦化」 したコーホー トであることはつ とに指摘 されている。 末子をもった年齢は、長子をもった年齢 と呼応 した変化 を示 している。 とくに 1 9555 9 年結婚コーホー ト以降は、両者の間隔はほぼ一定である。このことは平均子 ども数が一定 であることを示唆するものである。 図3 4 平均子ども数 1 9 4 5 -1 9 5 0 -1 9 5 5 -1 9 6 0 -1 9 6 5 -1 9 7 0 -1 9 7 5 -1 9 8 0 -1 9 8 5 4 9 5 4 5 9 6 4 6 9 7 4 7 9 8 4 8 9 -3 8- その平均子 ども数の推移 を示 したものが図 3・ 4である.戦後す ぐの 1 94549年結婚コー 3人であったほかは、ずっと 2. 5人か ら 2. 0人の間で上下 しなが ら、全体 とし ホー トが 3. てはゆるやかな減少傾向にある。細か く見れば、 1 945・ 49年結婚 コーホー トか ら 1 955・ 59 年結婚コーホー トまでが第 1の減少期、 1 975・ 79年結婚コーホー ト以降が第 2の ( 第 1の 減少期 に比べた ら緩やかな)減少期 ということになるだろう。これは戦後の合計特殊出生 96064年結婚コーホー トにおける子 ども 率の変化 と相似形 をなすものである。ちなみに 1 2. 2人⇒ 2. 4人)の背景には、皇太子妃の男子 ( 浩宮徳仁)出産 ( 1 960年) 数の再上昇 ( 1 963年)の大 ヒッ トに象徴 される 「赤ちゃんブー や梓みちよの 『こんにちは赤ちゃん』 ( ム」 があると考え られる。 表 32は各結婚コーホー トにおける子 ども数の内訳を示 したものである。平均値 という 尺度に圧縮 して しまうと見逃 して しまう重要な変化 と持続がここか らわかる。 第 1に、「子 どもは 2 人」が標準的な家族 の姿になったのは戦後 す くの ことである。 1 94549年結婚コーホー トにおいては、もっとも多いのは 「3人」であった。 もっとも多 0%台で、標準 とは呼べないものであった。 しか し、それが早 くも次の い とは言っても 3 1 95054年結婚コーホー トでは 「2人」が標準 とな り、以後、その状態が持続 している。 第 2 に、「一人っ子」は とくに増えてはいない。世間の レベルでは しば しば誤解 されて いるが、「少子化」は 「一人っ子」の増加ではない。「一人っ子」の割合 に大 きな変化がな いのは、「一人っ子はかわいそう」 とか 「一人っ子はわがまま」 といった 「一人っ子言説」 の影響によるところが大 きいのではないだろうか。 第 3 に、 「 0人」つま り 「子 どもがいない夫婦」は微増傾向にある。子 どもが欲 しくて も出来ない夫婦 というのはどのコーホー トでも一定数はいるであろうか ら、 この微増傾向 は 「 子 どもはい らない」 と考える夫婦の増加 によるもの と考えるのが妥当であろう。 しか し、「 環境ホルモ ン」などの影響によって子 どもができない夫婦が増加 しているという見方 も否定はできないだろう。 ( %) 表3 2 子 ども数の分布 1 9 4 5 4 9 1 9 5 0 5 4 1 9 5 5 5 9 1 9 6 0 6 4 1 9 6 5 6 9 1 9 7 0 7 4 1 9 7 5 7 9 1 9 8 0 8 4 1 9 8 5 8 9 0人 1人 2人 3人 4人 2. 6 4. 0 2. 4 3. 6 2. 1 4. 3 5. 1 3. 9 6. 4 1 0. 3 7. 4 1 3. 9 l l. 2 l l. 0 9. 2 8. 3 1 5. 0 l l 2 9. 7 4 7. 2 5 6. 3 4 3. 8 5 4. 4 5 6. 6 4 8. 9 4 7. 6 5 0. 7 3 4. 2 31 . 8 2 2. 2 3 3. 7 2 8. 4 2 5. 5 3 3. 2 2 8. 7 2 8. 3 1 8. 1 8. 5 4. 5 6. 0 2. 9 3. 6 3. 7 4. 2 2. 9 . 1 5人以上 5. 2 . 1 0. 7 1. 1 1. 2 0. 9 0. 8 0. 6 0. 6 1 注)参考 までに 1 9 90 94年結婚コーホー トの数字を示 してお くと、「0人」が 6. 4、 「1人」が 1 8. 7、「 2人」が 5 2. 1 、「3人」が 21 . 0 、「4人」が 1 . 9であった ( 「5人以上」はな し)0 -3 9- 3-3 女の子の価値 と妻の勢力の増大 「 少子化」 とワンセ ッ トで指摘されることに 「 子 どもに対する意識の変化」がある。す なわち、かつて子 どもは 「 跡取 り」や 「 労働力」としての意味が強かったが、いまでは 「愛 情の対象」 となったと。 しか し、 こうした変化は 「 少子化」のように簡明な数量的指標 に よっては明 らかにすることがで きない。今回の調査では、「 子 どもに対する意識の変化」を 調べるために 「 第一子が生 まれるとき、男の子 と女の子 どち らを希望 したか」 という質問 を行った。過去の時点の意識を現在の時点か ら尋ねることには問題があるものの、結果 ( 図 35)は興味深いものであった。 いずれの結婚コーホー トにおいても 「どちらでも」が一番多い点は共通であるが、「 男の 子」希望は、1 94549年結婚コーホー トで 40%あったものが、1 95 054年結婚コーホー ト 0%に急落 し、以後は 1 97 0-7 4結婚年コーホー トまで 3 0%付近で安定 していた。そ で3 れが 1 97579年結婚コーホー トか ら再び (ただ し緩やかな)下降が始 ま り、 1 98589年結 0%ラインを割っている (この変化の仕方は戦後の合計特殊出生 婚コーホー トではついに 2 率のそれ と似ていないだろうか)。一方、「女の子」希望は右肩上が りの変化 を示 して、 1 975・ 7 9結婚コーホー トで 「男の子」希望 と並び、 1 98589年結婚コーホー トでは 「男の 子」希望をはっき りと上回っている。一般 に 「 女の子は育てやすい」 とか 「女の子はかわ いい」 と言われているが、 このデータか ら見る限 り親 にとっての 「女の子」の価値は明 ら かに上昇 している。 図3 -5 長子の性別希望 ー 男の子 -■一 女の子 ー どちらでも 1 9 4 5 -1 9 5 0 -1 9 5 5 -1 9 6 0 -1 9 6 5 -1 9 7 0 11 9 7 5 -1 9 8 0 11 9 8 5 4 9 5 4 5 9 6 4 6 9 7 4 7 9 8 4 8 9 男の子であれ女の子であれ、子 どもが生 まれた ら命名をする。命名 とい う行為は基本的 に権力的な行為である( 命名された側はそれを拒否することがで きない) 。 今回の調査では、 「 最初のお子 さんの名前を思いついた方はどなたですか」 という質問によって長子の名前 6がその結果である。 の発案者 を尋ねた。図 3- 夫」である ( 50%台) 。これに対 して 「 妻」 どの結婚コーホー トで も発案者の第 1位は 「 970・ 7 4年結婚 コーホー トまでは 1 0%台であったが、1 97579年結婚 コーホー ト以降 は、1 985・ 89年結婚年コーホー トでは 3 0%を越 えた。明 らかにここには、 は一貫 して増加 し、 1 次で述べ る 「 核家族化」を背景 とした、家族内における妻の勢力の上昇を見 ることがで き るだろう。家族内における女性の価値の上昇は、子 どもについてだけのものではない。 -4 0- 図3 -6 長子の名前の発案者 19451 1950- 1 955- 1 960- 1 965- 1 970- 1 975- 1980- 198549 54 59 64 69 7 4 79 84 89 今回の調査では、長子の名前に関 してもう 1つ質問を している。それは 「 最初のお子さ 「 子」の字は除 きます)が入 っていますか」という質 んの名前には、ご夫婦の名前の一部 ( 問である。この質問の意図は、たとえば 「 家康」 と 「 秀康」のように同 じ 「 康」 という字 を継承することによって親子間の ( あるいはイエの)連続性 をもたせ ようとする志向につ いて知 ろうとしたものであった。結果は図 37の とお りである。 もともと 「入 っている」 が多 くはなかったので、変化はあまり明瞭 とはいえないものの、「入 っている」が緩やかに 減少 していることは確認できる。 -7 長子の名前に親の名前の字が入っているか 図3 ー 入っている 1 9 45 - 1 95 0- 1 955 - 1 96 0- 1 965 - 1 97 0- 1 975- 1 980- 1 985 49 5 4 59 6 4 69 7 4 7 9 84 89 -4 1- 3-4 核家族化 「 核家族化」は戦後の家族変動を論 じるときに代名詞のように使われている。今回の調 査データか らそれを確認 してお こう。ただ し、ここでいう 「 核家族化」は、規範 レベルで の 「 核家族化 」 ( 家族を形成するときに核家族が家族のあるべ きモデルになって くること) 「 核家族的世帯」の割合が増加するこ ではな く、あ くまでも現象 レベルでの 「 核家族化 」 ( と) と言 う意味である。 8は、第一子が 1歳の頃の対象者 と一緒に住んでいた者 ( 1 2種類のカテゴ リー)を 図 3すべてあげてもらい、そこか らその世帯が核家族的世帯であるか拡大家族的世帯であるか を再カテゴ リー化 した結果である。最初の 2つの結婚コーホー トでは核家族的世帯 と各台 9555 9年結婚コーホー トか ら核家族的世帯の増 家族的世代の比率は 4 :6であったが、 1 96 469年結婚コーホー トか ら 1 98085年結婚コー 加 と拡大家族的世帯の減少が始 ま り、1 0%台、後者が 3 0%台で安定 していたが、 1 98589年結婚コー ホー トまでの間は前者が 6 5%、後者が 25%) 。戦後の家族変動を論 じる ホー トで両者の差が一段 と開いた ( 前者が 7 とき、 これほ どク リアーな傾向はほかにないかもしれない。生殖家族経歴の初発段階にお いて核家族的世帯を構 えることは戦後 日本の家族の常態 となった。 もちろんこれはあ くま でも初発段階でのことであって、その後、親や結婚 した子 どもたち と一貫 して別居を続 け るわけでは必ず しもない (このことは本報告書の別の章で論 じられるであろう) 0 8 長子が 1 歳の頃の世帯形態 図3 0 0 0 0 0 0 0 0 0 8 7 6 5 4 3 2 1 1 9 5 5 -1 9 6 0 -1 9 6 5 -1 9 7 0 -1 9 7 5 -. 1 9 8 0 -1 9 8 5 5 9 6 4 6 9 7 4 7 9 8 4 8 9 なお、図表は省略するが、「 核家族化」は 「 少子化」とあいまって必然的に家族規模を縮 945・ 49年結婚コーホー トが 4. 8人であっ 小させる。長子が 1歳の頃の平均世帯人数は、 1 98589年結婚コーホー トは 3. 6人である。 たのに対 して、 1 また、その ときの世帯主は、 どのコーホー トでも 「 夫」が一番多いのは同 じだが、その 94549年結婚 67%であったのに対 して、 1 98589年結婚コーホー トでは 7 9%に 割合は 1 増えている。これは言 うまで もな く、「夫の父親」の減少 ( 21%⇒1 4%)と連動 している。 -4 2- 3-5 夫の育児参加 初発段階にある生殖家族にとっての大 きな家庭内労働は育児である。その育児の主たる 担当者が妻であることは今も昔も変わ らないが、夫の育児参加の程度は大 き く変わって と 思われる。今回の調査では育児 ( 長子が 3歳の頃)にかかわる 6つの項 目、「 遊び相手にな る」「 風 呂に入れる」「 寝か しつける」「 食事をさせる」「 おむつを替える」「 保育園 ・幼稚園 への送 り迎えをする」について夫がそれを当時 したかどうかを尋ねた。図 39がその結果 である。 6つの項 目は変化の傾向から3つのグループに分けることがで きる0 第 1は、参加度の比較的高いレベル ( 50% あた り)か ら始 まってさらに上昇 を続けてい るグループで、「 遊び相手」と 「 風呂に入れる」がこれにあたる。どちらも育児 としては難 易度の低いもので、それ故に参加度が高いのであろうが、それでも 80%付近 までの上昇は やは り大 きな変化である。 第 2は、参加度の低い レベル ( 1 0%台)か ら始 まって比較的高い レベル ( 40%前後)ま で上昇 しているもので、具体的は 「 寝か しつける」 「 食事の世話」 「 おむつ替え」 がこれに あたる。 どれも育児 らしい項 目で、難易度もそれな りに高 く ( 根気や技術 を必要 とする) 、 大便か小便かの違いは大 きいが) 、最近のコーホー トに関 しては とくに 「 おむつ替え」は ( 育児に参加する夫 と参加 しない夫を二分する格好の指標 と言えるだろう。 第 3は、参加度が最初か らきわめて低 く (5%程度)、最近のコーホー トで もあいかわ 1 0%程度)グループで、「 保育園 ・幼稚 園への送 り迎え」がこれにあたる。こ らず低い ( れは夫の生活時間の関係で しょうとしてもで きないということがあるだろう。 肝心なことは、どの項 目も一律に右肩上が りの変化 を して きたとい うことだ。「 育児は妻 ( 母親)の仕事」 という認識か ら 「 二人で子育て」 という認識に変わって きたことは間違 いない。 図3 9 夫の育児参加 1一一遊び相手 一 + -うー + ー 1945- 1 950- 1 955- 1 960- 1 965- 1 970- 1975- 1980- 198549 54 59 64 69 74 79 84 89 -4 3- 風 呂に入れる 寝かしつける 食事の世話 おむつ替え 送 り迎え 3-6 育児サポー トの双系化 と外部化 しか し、夫の育児参加の程度が上昇する一方で、「 核家族化」や居住環境の都市化の影響 で、妻が孤立無援の状況で育児を行わな くてはな らな くなって きた という指摘 もつ とに行 われて きた。また、そうした状況 に陥 らないために、近隣や友人のネ ッ トワークの活用や、 託児所の利用な どが言われてきた。今回の調査では、育児のサポー トネ ッ トワークの状況 を知 るために、長子が小さい頃 (3歳未満)に、子 どもの世話を して くれた り、預かった 1 0がその結果で りして くれる人がいたか、施設があったかを、複数回答で質問 した。図 3・ ある。 98084年結婚コーホー トを境 として、サポーターの トップが 「 夫 一番 に目を引 くのは、1 の親」か ら 「 妻の親」に入れ替わった点である。「 夫の親」 が 30%台で上下動 している間 に、「 妻の親」が 25%か ら 45%へ と一直線に上昇 して、あっとい う間に抜 き去ったのであ る。 もっとも 「 夫の親」が決 して低下 したわけではないので、 この現象は親族 における育 児ネ ッ トワークの双系化 と呼べるものではないか と思 う。核家族化 したことで、妻は 「夫 の親」の傘下か ら解放 され、双方の親 を必要に応 じて資源 として活用で きるようになった とい うことだろう (もちろん妻にとって 自分の親の方が心理的に活用 しやすいことはい う まで もない) 0 幼稚園・ 託児所)が 1 94549年結婚コーホー トの 8% 次 に目を引 くのは、「 保育園など」( か ら 198589年結婚コーホー トの 20% まで着実に上昇 していることだろう。 これに加 え 0%台をほぼ維持 してお り、「 友人」も最近の 2つのコーホー トで 10% て 「 近所の人」は 1 に近づいている。こうした状況は、さきほ どの育児ネ ッ トワークの双系化 に対 して、育児 ネ ッ トワークの外部化 と呼んでよいだろう。 図3 -1 0 育児ネットワーク ■ l■ ■ 』 - ■ 』 一l 一■ ■ ■ 1 9 4 5 -1 9 5 0 -1 9 5 5 -1 9 6 0 -1 9 6 5 -1 9 7 0 -1 9 7 5 -1 9 8 0 -1 9 8 5 4 9 5 4 5 9 6 4 6 9 7 4 7 9 8 4 8 9 -4 4- 一 幸の親 一 夫の親 一 章のきょうだい -■ト 夫のきょうだい =儀ヨE aJ! + 近所の人 + 保育園など 3-7 子供 中心的 ・優先的傾向の増大 今回の調査では、子 どもと家族空間に関する試行的な質問を 2つ行 った。その 1つは長 就寝時の 3人の 子が 3歳未満で、かつ まだ次子が生まれていない 3人家族の ときの寝方 ( 空間的配置)を尋ねたものである。家族の寝方は家族の心理的関係の外在化、その空間的 表現である。 3人家族の就寝パターンの主要なものは 4種類ある。 3人が同 じ部屋で母親 を真申に して寝るタイプ ( M 中央型) 、やは り3人が同 じ部屋に寝るが、子 どもが真申に C中央型) 、母親 と子 どもが同 じ部屋に寝て、父親が別室に寝るタイプ ( F別 寝るタイプ ( C中央型)である。た 室型) 、そ して夫婦が同 じ部屋に寝て、子 どもが別室に寝 るタイプ ( とえば、夫婦の幹 と子 どもの自立心を重視するアメ リカの中産階級の家族では、C別室型 が主流である。では、 日本の場合はどうだろうか。今回の結果を図 3 1 1に示す。 家族の一体感 と母子の幹 を重視する日本の家族 において、 3人家族全員が同 じ部屋で寝 97 07 4年 と 1 97 5・ 7 9 る M 中央型 と C 中央型が主流であることは予想 どお りであったが、1 年の連続する 2つの結婚コーホー トで、M 中央型が C中央型を上回った り、両者が括抗 し ていることは大変に興味深い。この 2つのコーホー トは専業主婦の割合が前後のコーホー トよ り高いことが知 られているが、専業主婦 を志向することと真申に寝ることには親和的 な関係があるのかもしれない。 9 656 9年以前の結婚コーホー トと、 それでは C 中央型が M 中央型を大きく上回る、 1 1 9 8 08 4年以後の結婚コーホー トは、同じような家族のメンタ リテ ィーをもっていると考 えてよいのだろうか。否である。両者の決定的な違いは、前者は夫の育児参加度が低 く、 後者はそれが高いことにある。 したがって、C 中央型 という形は同 じでも、前者は俗にい う伝統的な 「 川の字」で、おそ らくその機能は弱者 ( 子 ども)の保護 ということにあ り、 一方、後者は子 ども中心的な家族観をもち、育児は夫婦が協力 し合 ってするべ きもの と考 える新 しい世代の寝方である。 しか し、その新 しい世代 には、同時にまた、母子 と父親が 分離する F別室型が じわ じわ と増えている点 も見逃 してはな らないだろう。 -11 長子が3歳の頃の家族の寝方 図3 -● 一一C中央型 一 一一M中央型 ー ◆ 1 945- 1 950- 1955- 1960- 1 965- 1 97 0- 1975- 1 980- 1 98549 54 59 64 69 7 4 79 8 4 89 -4 5- F別室型 C別室型 子 どもと家族空間に関するもう 1つの質問は、長子に個室 ( 複数の子 どもで共有する部 屋は除 く)を与えた時期はいつか、 というものである。戦後 日本の、 とくに都市で生活す る家族 にとって、広い家 ( マイホーム)に住むことは大 きな夢であったが、拡張された家 族空間は優先的に子 ども部屋 として使われることが多かった。親は子 どもに対 して愛情の 付与だけでな く多額の教育投資 を行ない、子 どもの社会的上昇移動を願 ったので、子 ども 部屋は勉強部屋 とも呼ばれ、そ こには勉強机 と椅子 と本棚が 3点セ ッ トのように必ず備わ っていた。 ・ 1 2を見 ると、「個室 を与えたことはない」 が 1 94549年結婚 コーホー トの 33%か 図3 ら急激 に下降 して きて、 1 955・ 5 9年結婚コーホー トで底 を打ち、一応の安定 に達 したよう すが よ くわかる。一方、個室を与えた時期の第 1位は、 1 960・ 64年結婚 コーホー トにおい て 「中学生の とき」か ら 「小学生の とき」代わった。すなわち戦後 日本の政治の季節が終 わり( 安保闘争の終鳶) 、経済の季節が始まろうとしていた時期である ( 所得倍増計画 と三 種の神器) 0 2 長子に個室を与えた時期 図3-1 ー 小学生のとき ー 中学生のとき ー 高校生のとき ー 大学生・ 社会人になってか ら -■ト 与えたことはない 1 9 4 5 4 91 9 5 0 5 41 9 5 5 5 91 9 6 0 6 41 9 6 5 6 91 9 7 0 -7 4 3-8 まとめ 本章では、 まず結婚 コーホー トを用いてのコーホー ト間比較の意味 と問題点 を指摘 した 上で、子 ども (とくに長子)の誕生 と育児にかかわる状況 をめ くって結婚コーホー ト (5 年刻み)間比較 を行ない、晩婚化、晩産化、少子化、女の子の価値の上昇、家庭内での妻 の勢力の増大、核家族化、夫の育児参加の増大、育児サポー トネ ッ トワークの双系化 と外 部化、家庭内における子 ども中心的志向と子 ども優先的志向の強 ま りについて、明 らかに した。 -4 6- 4 職業キャリアの展開 と家族 NFRJ・ SOl調査では、職業 キャ リアのすべての期間にわたって就業形態 をおさえるとい う試みをおこなった。そこで、 このデータに基づいて、女性の職業キャリアの基礎的な情 報 を提示するのが、本章の 目的である。まず、職業キャ リアの経験 と初職 について記述す る。続いて、戦後顕著 になって きたマクロな女性の年齢別労働力参加である、いわゆる M 字型曲線の形成 メカニズムを、 ミクロデータの次元か ら明 らかに してい く。すなわち、家 族 キャ リア上の出来事である結婚が、 どのようにキャ リアの中断や再開をもた らしている 0 かを分析 してい く。なお、本章では、クロス分析 に必要なサ ンプル数を確保するため、 1 年刻み出生コーホー トを用いる。 4-1 職業経験の一般化 と初職 本節では、 まず女性が職業につ くことがコーホー トを通 じて一般化 して きたことを提示 する。続いて、その後の職業キャ リアの展開に影響するであろう、初職の内容を取 り上げ、 本人の学歴、父の学歴 ・職業などとの関連が検討 される。 (1)職業経験 1でみ よう。なお、全サ ンプル 3475 まず、職業 についたことがあるかどうかを、表 4人中、就業経験の有無が不明な 1ケースは分析か ら除外 した。 1 920年代 コーホー トか ら 1 960年代コーホー トにかけて、経験率は上昇 した。 とりわけ、 1 920年代か ら 40年代 に かけて、仕事をもつことが一般化 したことが分かる。 表 4-1 就 集 経 故 では、就業経験 を規定する要因はなんであろうか。 ここでは、本人の学歴、父職 との関連を見たが、対象 者全体では、学歴が高いほ ど、また、父親が被雇用で あると、 自営業 よ りも、就業経験率は高い傾 向は認め られるが、それは大 きなものではない ( 図表略) 。む し ろ、コーホー ト間での経験率の変化のほうが大 きかっ た。 ここで、就業経験者の初就職年齢の中央値 をあげて 920年代か ら順に、23. 0、20. 3 、1 9. 4、1 9. 7、 お くと、1 1 9. 9の各歳 となっている。年長の二つのコーホー トの 数値が高いのは、後で見るように、結婚後初めて就職 出ホー 生コー ト 就ある 兼経壊 ( 問 39) ない 1 920-29年 224 88 71 . 8% 28. 2% 1 930-39年 579 1 02 85. 0% 1 5. 0% 1 940∼49 881 57 93. 9% 6. 1 % 1 950. }59 794 21 97. 4% 2. 6% 1 960∼69 717 11 98. 5% 1 . 5% 合計 31 95 279 92. 0% 8. 0% 合計 31 2 1 00. 0% 681 1 00. 0% 938 1 00. 0% 81 5 1 00. 0% 728 1 00. 0% 347 4 1 0. 0% p(0. 01 した人がそれぞれ 3分の 1ほど含 まれているためである。 (2)初職 95人を対象 として、初めてついた職業 ( 初職)についてみて ここでは、就業経験者 31 - 47- いこう ( ただ し、以下の観察で は、無回答サ ンプルは除外 して ある) 。表 42は初職の内容 を、 3は初職が専門的か また、表 4- 出生コ ホート ー 1 9 2 0∼2 9 どうかをコーホー ト別に表 して 1 9 3 0一 一3 9 いる。 1 9 4 0∼4 9 1 9 2 0年代 をのぞけば、初職の 内容 には、コーホー ト間でお よ そ次のような変化が生 じた ( 義 42)。すなわち、大企業、中 小企業 ともに、被雇用正規従業 員が増加 し、逆 に、農林漁業 も 含めた自営業従業者が減少 して 1 9 5 0-5 9 年 年 1 9 6 0-6 9 初職の内容( 2) 臨時 合計 中小 農林問39自営 企業 漁業 7 2 7 2 21 1 1 4 5 2 21 3 2 . 6 % 3 2 . 6 % 9 . 5 % 5 . 0 % 2 0 . 4 % 1 0 0. 0 % 1 3 2 2 3 0 4 0 47 1 2 2 5 7 1 2 3 . 1 % 4 0 . 3 % 7 . 0 % 8 . 2 % 21 . 4 % 1 0 0. 0 % 2 3 9 41 8 1 9 6 6 1 3 0 8 7 2 2 7 . 4 % 47 . 9 % 2 . 2 % 7 . 6 % 1 4 . 9 % 1 0 0. 0 % 2 7 6 386 3 31 9 6 7 9 2 3 4 . 8 % 4 8 . 7 % 0 . 4 % 3 _ 9 % 1 2 . 1 % 1 0 0. 0 % 2 41 3 7 2 1 1 9 8 0 7 1 3 % 5 2 . 2 % 0 . 1 % 2 . 7 % 1 1 . 2 % 1 0 0 . 0 % 3 3 . 8 1 4 7 8 8 4 1 7 4 47 3 31 6 9 3 0 . 3 % 4 6 . 6 % 2 . 7 % 5 . 5 % 1 4 . 9 % 1 0 0. 0 % 大企業 9 6 0 合計 p( 0 . 01 注:「 大企業」 および「 中小企業」 は、それぞれ正社長・ 役員を含 「 自営」 は農林漁業以外のも む。「 農林漁業」 は自営のものを表す。 のを表す。r 砧時」 はパート・ アルバイト・ 派遣・ 内牧を含む。 きた。パー ト・アルバイ ト ・派 遣、内職 を含む臨時雇い も減少 9 2 0年代 コーホー トは、サ ンプル数がはかのコーホー トよ りも小さい上 に、就 している。1 業経験率 もほかのコーホー トよ りも一段 と低かったこ 表43 初牡は寺門牡か とを考慮すると、集計結果 には留保が必要かも しれな 専門 問3 非専門 初職( 93) 4 0 1 8 4 17. 9 % 8 2 . 1 % 1 9 3 0一 一3 9 81 4 9 5 1 4. 1 % 8 5 . 9 % 年 1 07 7 7 0 1 9 4 0-4 9 1 2. 2% 8 7 . 8 % 年 1 5 9 6 35 1 9 5 0-5 9 2 0. 0% 8 0 . 0 % 1 9 6 0-6 9 年 1 68 5 4 9 2 3. 4% 7 6 . 6 % 合計 555 2 6 3 3 1 7 . 4 % 8 2 . 6 % p( 0 . 01 出生コ ホート ー 1 9 2 0-2 9 い。 初職の専門性 にも、コーホー ト間で変化がみ られる ( 表 4・ 3)。すなわち、専門的な職業 についた人の比 率は、コーホー ト間で上昇 した。 では、 初職の内容 を規定 する要因はなんであろうか。 ここでは、本人学歴、父学歴、父職 との関連を見た。 まず、サ ンプル全体の傾 向を要約 しておこう。学歴が 高いほ ど、大企業の正社員の比率は高 くな り、 自営業 ( 農林漁業含む) と臨時雇いの比率は低 くなる。中小 合計 2 2 4 1 0 0 . 0 % 5 7 6 1 0 0 . 0 % 8 7 7 1 0 0 . 0 % 7 9 4 1 0 0 . 0 % 7 1 7 1 0 0 . 0 % 31 8 8 1 0 0 . 0 % 企業の正社員の比率は、学歴 にはさほ ど大 きく影響受けない ( 〆 0. 01)。初職の専門性は、 3%、 学歴 に大 き く規定 されてお り、専門的職業 についた人の比率は、学歴 が高い順 に、4 1 1 %、5%であった ( 〆 0 . 01 )。初職 の内容 と父職 との関連 を見 る と、父親が管理職であ ると、本人の初職は 4 4%が大企業、3 7%が中小企業で、これ らをあわせる と、8割が企業 の正規社員である。父親が管理職以外の被雇用の場合、やは り 8割が企業の正規社員であ るが、大企業の比率は 3 2%と少 し下がる。農林漁業の父親 をもった女性は、半数が中小企 業 に就職 を した。非農林漁業の 自営業の父親の娘の場合 も、 これ とほぼ同様の傾向であっ た ( 〆 0. 01)。父親の職業 と、初職 の専門性 との関連では、管理職、雇用、 自営 ( 農林漁 業含む)の順 に、専門的職業 についた人の比率は高かった ( 〆 0 . 01 )0 こうした関連性が、 コーホー ト間で違いがあるかどうかを検討 してみよう。 まず、学歴 と初職内容 との関連は、コーホー ト別 にみても ( 表 4・ 4)、さきと同様の傾向が認め られ る。全体的な、コーホー ト間を通 しての高学歴化傾向 と照 らし合わせ ると、雇用職業 とり わけ、大企業社員の増加 と高学歴化 という二つの変化は連動 していると言える。全 く同様 -4 8- のことが、初職の専門性 についてもあてはまる ( 表 45)0 つ ぎに、父職 と初職 との関連では、 どのコーホー トにおいても、大企業社員になった人 6)0 の父親の職業は、管理職、雇用職、 自営業の順に多い と言える ( 表 4初職の専門性 と父職 との関連では、父親が管理職の場合、娘の初職が専門職である確率 7に表れている。 は、そうでない場合 よ りもはるかに高いことが、表 4父親の学歴 と初職 との関連では、父親が中等以上の学歴であると、娘が大企業に勤める 確率が、そうでない場合 よりもはるかに高い と言える ( 表 48)0 初職が専門的職業である割合 も、父親が中等以上の学歴である場合 に高 くなる ( 表 4・ 9)0 以上見てきたように、初めてついた職業は、学歴、父親の学歴 と職業によって、強 く規 定されていた。 出生コー ホー ト 学歴 中等 1 9p 20 -2 9年 < 0. 01 合計 初等 中等 高等 < 0. 01 1 9p 30 -3 9年 合計 初等 中等 高等 p0 < 0. 01 1 94 -4 9年 合計 初等 中等 高等 1 9p 50 -5 9年 < 0. 05 合計 初等 高等 p0 < 0. 01 1 96 -6 9年 合計 中等 大企業 中小 初職 の内容 農林 ( 問 39自営 2) 企集 漁集 臨時 合計 1 9. 1 % 47 52. 8 % 72 32. 7 % 2 5 38. 2% 21 2 3. 6% 71 32. 3 % 50 1 3. 0% 4 4. 5% 21 9. 5 % 1 7 3. 8% 6 6. 7 % 11 5. 0% 5 26. 0% 1 00. 0% 11 89 1 2. 4% 1 00. 0% 45 220 20. 54 % 1 00 . 0% 3 1 3 1 1 4. 7 % 7 3 26. 4% 22 53. 7 % 1 32 23. 2% 3 7 40. 1 % 117 42. 4% 11 26. 8% 229 40 . 2% 1 0 1 1 0. 3% 1 3 4. 7 % 1 2. 4% 40 7. 0 2% 6 7. 9% 24 8. 7 % 3 7. 3% 47 8. 3 % 20 27. 0% 49 17. 8% 4 9. 8% 1 21 21 . 3 6% 8 1 00. 0% 276 1 00. 0% 41 1 00. 0% 569 1 00 . 0 2 5% 2 1 4. 4% 1 42 30. 4% 59 41 . 8 % 239 27. 4 3% 8 49. 4% 240 51 . 4% 47 33. 3% 417 47 . 9% 1 3 0 4. 2 % 7 1 . 5% 1 0. 7 % 1 9 2. 2 % 1 1 1 2. 2% 26 5. 6% 8 5. 7 % 66 7. 6% 3 2 1 9. 8% 52 11 . 1 % 26 1 8. 4% 1 30 1 4. 9% 5 2 1 00. 0% 467 1 00. 0% 1 41 1 00. 0% 871 1 00 . 0 2 6% 3 1 0. 0% 177 36. 9% 9 4 36. 0% 276 34. 9% 5 6 4. 0% 233 48. 5% 1 20 46. 0% 385 48. 7 % 3 2 2 0. 4% 1 0. 4% 3 0. 4% 8. 0% 1 5 3. 1 % 1 2 4. 6% 31 3. 9% 4 1 8. 0% 53 11 . 0% 34 1 3. 0% 96 1 2. 1 % 9 1 00. 0% 480 1 00. 0% 261 1 00. 0% 791 1 00. 0 5% 0 3. 1 % 7 2. 2% 1 9 1 2 1 2. 4% 1 00. 0% 32 324 9. 9% 1 00. 0% 80 71 2 48 388 26. 0% 58. 5% 1 40● 1 44 43. 2% 4 4. 4% 241 371 1 01 227 1 0. 3% 1 注 : サンプル規模 の関係 から、1 9 34年 以前 出生の 「 高 等 」は 「中等 」に含 め、1 955年 以降出生の 「 初等」は「中等 」に含めた。 -4 9- 出生コ ホート ー 学歴 中等 合計 1 9p 20 < -2 0. 01 9年 初等 中等 高等 1 9 3 p0 < -3 0. 01 9年 合計 初等 中等 高等 1 94 p0 < -4 0. 01 9年 合計 初等 初牡 問3 9-3) 専 門( 非専門 合計 出生コ ホート ー 5. 3% 33 35. 9% 40 17. 9% 7 94. 7 % 1 0 0. 0% 59 92 64. 1 % 1 0 0. 0% 1 83 223 82 . 1 % 0 0 . 0 1 2 4 1 1 3% 1 4. 3% 44 1 5. 9 % 26 61. 9% 81 1 4. 1 % 1 95. 7 % 233 84. 1 % 1 6 38. 1 % 493 85 . 9% 2 4 4 1 0 0. 0% 1 9p< 5 0-5 0. 01 9年 277 1 0 0. 0% 42 1 0 0. 0% 57 4 1 0 0 . 0 2 5% 5 1 p0 < -6 0. 01 9年 96 4. 5% 24 5. 1 % 71 50. 0% 1 07 1 2. 2 % 1 2 95. 5 % 445 94. 9% 71 50. 0% 768 87 . 8% 2 5 2 1 00. 0% 469 1 0 0. 0% 1 42 1 00. 0% 87 5 1 0 0 . 0 % 2 6 4 -5 0- 学歴 中等 高等 合計 初等 高等 合計 中等 初職 問3 9-3) 専門( 非専門 合計 1 4. 0% 43 8. 9% 1 08 41 . 2% 1 58 1 9. 9% 7 86. 0% 438 91 . 1 % 1 54 58. 8% 635 80. 1 % 4 3 1 00. 0% 481 1 00. 0% 262 1 00. 0% 793 1 00. 0 5% 0 1 0. 3% 1 27 39. 0% 1 67 23. 3 4% 0 89. 7 % 1 00. 0% 1 99 326 61 . 0% 1 00. 0% 549 71 6 76 . 7 % 00 . 0 3 5 0 1 3 9% 0 出生コー ホート 父職 大企業 初職 の 内容 ( 問 392) 農林 自営 中小 企業 漁業 52. 2% 1 3 43. 3% 21 23. 6% 1 4 30. 4% 60 31 . 9 % 1 2 21 . 7 % 11 36. 7 % 28 31 . 5 % 2 0 4 3. 5 % 64 3 4. 0% 5 40. 2% 20 21 . 5% 32 1 7. 3% 21 21 . 2% 1 08 23. 3% 5 合計 1 8 20. 2% 1 2. 2% 2 0 1 0. 6% 1 4. 3% 5 1 6. 7 % 2 2. 2% 3 6. 5% 11 5. 9% 1 17. 4% 1 3. 3% 20 22. 5% 8 17. 4% 33 17. 64 % 1 00. 0% 30 1 00. 0% 89 1 00. 0% 46 1 00. 0% 1 88 1 00. 0 % 23 32. 2 % 48 51 . 6% 75 4 0. 5 % 35 35. 4% 1 86 4 0. 1 % 2 8 1 . 1 % 1 1 . 1 % 26 1 4. 1 % 5 5. 1 % 33 7. 1 % 1 8. 0% 3 3. 2% 5 2. 7 % 22 22. 2% 37 8. 0% 7 1 8. 4% 21 22. 6% 47 25. 4% 1 6 1 6. 2% 1 00 21. 6 % 1 6 1 00. 0% 93 1 00. 0% 1 85 1 00. 0% 99 1 00. 0% 464 1 00. 0 8% 7 40. 4% 63 28. 8% 46 1 9. 8% 59 31 . 9% 206 28. 2% 3 8 35. 1 % 11 5 5 2. 5 % 1 22 52. 6% 71 38. 4% 341 46. 7 % 3 3 2 0. 9% 11 4. 7 % 5 2. 7 % 1 8 2. 5% 7. 4% 1 3 5. 9% 1 6 6. 9% 21 11 . 4% 57 7. 8% 7 17. 0% 26 11 . 9% 37 1 5. 9% 29 1 5. 7 % 1 08 1 4. 8 % 1 6 1 00. 0% 21 9 1 00. 0% 232 1 00. 0% 1 85 1 00. 0% 7 30 1 00. 0 % 94 合計 < 0. 1 0 1 9p 5 0 -5 9年 管理職 44. 3% 96 35. 7 % 53 31 . 4% 54 35. 1 % 25 0 35. 8% 4 7 38. 7 % 1 41 52. 4% 87 51 . 5 % 69 4 4. 8 % 338 48. 4% 1 2 1 . 2% 1 0. 6% 3 0. 4% 2. 8% 4 1 . 5% 7 4. 1 % 1 0 6. 5% 24 3. 43 % 1 4. 2% 28 1 0. 4% 20 11 . 8% 20 1 3. 0% 83 11 . 9 % 1 5 1 00. 0% 269 1 00. 0% 1 69 1 00. 0% 1 54 1 00. 0% 698 1 00 . % 1 06 41 . 4% 171 5 4. 6 % 43 65. 2% 66 5 0. 0% 338 51 . 98 % 5 1 . 4% 6 1 . 9% < 0 . 01 管理職 雇用 合計 自営 1 9p 60 -6 9年 農林漁 47. 1 % 1 04 33. 2% 1 3 1 p 9. 7 % 44 33. 3% 227 34. 9% 6 6 1 0. 0% 1 00. 0% 32 31 3 1 0. 2% 1 00. 0% 1 0 66 1 5. 2% 1 00. 0% 1 4 1 32 1 0. 6% 1 00. 0% 7 0 651 1 0. 8 % 1 00 . 00 % 1 4 1 4 雇用 農林漁 自営 合計 1 9p 20 < -2 0 . 01 9年 管理職 雇用 農林漁 自営 合計 p0 < 0. 01 1 93 -3 9年 管理轍 雇用 農林漁 自営 合計 1 94 p 0 < -4 0 . 01 9年 管理職 雇用 農林漁 自営 - 51- 4. 3% 臨時 8 6. 1 % 1 6 2. 52 % 蓑47 出生コ ホート ー 父職別 _初版 の 父職 雇用 農林漁 自営 合計 1 9 p 2 0 < 0. 0 2 5 9 年 管理職 雇用 農林漁 自営 合計 1 93 p0 < -3 0. 01 9年 管理職 雇用 農林漁 自営 合計 9p< 40-4 0. 01 9年 、管理職 1 初職 問3 9-3 ) 専 門( 非専 門 合計 出生コ ホート ー 父職 初職 問3 9-3) 専門( 非専門 合計 34. 6% 2 6. 7 % 1 4 1 5. 7 % 9 1 9. 6% 34 1 7. 8% 9 65. 4% 28 93. 3% 75 84. 3% 37 80. 4% 1 57 % 82. 2 1 7 1 00. 0% 雇用 30 1 00. 0% 農林漁 89 1 00. 0% 自営 46 1 00. 0% 合計 1 91 1 00. 0 % 95 0 n -5 . S .9年 管理職 2 6 1 27. 4% 52 1 9. 3% 35 20. 7 % 31 20. 0% 1 47 2 9 21 . 0 % 72. 6% 21 8 80. 7 % 1 34 79. 3% 1 24 80. 0% 553 7 7 79. 0 % 1 00. 0% 27 0 1 00. 0% 1 69 1 00. 0% 1 55 1 00. 0% 7 00 1 6 1 00 . 0% 28. 7 % 11 ll . 7 % 1 9 1 0. 2% 1 4 1 4. 1 % 69 1 4. 8% 2 5 71 . 3% 83 88. 3% 1 68 89. 8% 85 85. 9% 398 85. 2% 6 2 1 00. 0% 雇用 9 4 1 00. 0% 農林漁 1 87 1 00. 0% 99 自営 1 00. 0% 467 合計 1 00. 0 % 8 7 1 < 0. 1 0 9p 60 -6 9年 管理職 28. 4% 79 25. 0% 8 1 2. 1 % 28 21 . 2% 1 55 23. 7 % 4 0 71 . 6% 237 75. 0% 58 87. 9% 1 04 78. 8% 500 76 . 3 1 0% 1 1 00. 0% 31 6 1 00. 0% 66 1 00. 0% 1 32 1 00. 0% 655 1 00 . 0% 1 4 1 28. 7 % 25 ll . 3% 22 9. 4% 1 9 1 0. 3% 93 1 2. 7 % 2 7 71 . 3% 1 96 88. 7 % 211 90. 6% 1 66 89. 7 % 640 % 87. 3 6 7 1 00, 0% 221 1 00. 0% 233 1 00. 0% 1 85 1 00. 0% 7 33 1 00. 0 % 9 4 - 52- 出生コー ホート 父学 歴 中等 以上 1 92 p 0 < -2 0 . 1 0 9年 合計 初等 中等 以上 1 930 -3 n _ S.9 年 合計 初等 中等 以上 p < 0 . 0 1 94 0 J Y 41 9年 合計 初等 中等 以上 < 0 . 0 5 1 9p 50 -5 9年 合計 初等 中等以上 p < 0 . 01 1 96 0 -6 9年 出生コー ホート 父学 歴 中等 以上 合計 1 9p 20 < -2 0. 01 9年 初等 中等 以上 合計 19p 30 < -3 0. 01 9年 初等 中等 以上 1 94 p0 < -4 0. 01 9年 合計 初等 合計 初等 初職 の 内容 ( 問 392) 農林 自営 中小 企業 漁業 大企 業 臨時 合計 30. 8 % 1 6 55. 2% 61 34. 9% 4 5 33. 6% 7 2 4. 1 % 56 32. 0% 4 9 1 2. 3% 1 3. 4% 1 9 1 0. 9 % 1 8 3. 4% 2 6. 9% 7 4. 0% 5 1 9. 9% 1 00. 0% 3 29 1 0. 3% 1 00. 0% 32 175 1 8. 3 00 . 0% 2% 9 1 1 4 6 22. 7 % 41 29. 9% 11 9 24. 7% 8 40. 4% 55 40. 1 % 19 4 40 . 1 3% 9 8. 4% 6 4. 4% 35 7. 3 2% 9 7. 0% 1 3 9. 5% 37 7. 2 7 4 % 21 . 5% 1 00. 0% 22 1 37 1 6. 1 % 1 00. 0% 96 481 20. 0 7 4 % 1 00 3 . 4 04 % 24. 4% 92 36. 8% 206 28 . 7 % 1 1 4 49. 5% 11 2 44. 8% 343 47 . 8% 2 3 1 1 . 9 % 2 0. 8% 11 1 . 59 % 8_ 4% 1 6 6. 4% 55 7. 7 % 3 9 1 5. 8% 1 00. 0% 28 250 11 . 2% 1 00. 0% 1 02 717 1 4. 2 % 1 00 . 0 7 4 4 6% 7 32. 2% 1 21 43. 2% 251 36 . 7 % 1 3 0 51 . 7 % 11 5 41 . 1 % 324 47 . 4% 2 0 9 0. 2% 2 0. 7 % 3 0. 4% 1 4. 2% 1 2 4. 3% 29 4. 2 % 1 7 11 . 6% 1 00. 0% 30 280 1 0. 7 % 1 00. 0% 77 684 11 . 3% 00 . 04 % 4 7 1 4 27. 1 % 1 52 40. 8% 226 35. 0 % 7 4 58. 6% 17 4 46. 6% 334 51 . 7 % 1 6 0 3. 7 % 7 1 . 9% 17 2. 6 % 1 0 1 0. 6% 1 00. 0% 40 37 3 1 0. 7 % 1 00. 0% 69 646 1 0. 7 % 1 00 . 0 % 2 9 2 7 3 初職 問3 9-3 ) 専 門( 非専 門 合計 出生コ ホート ー 父学 歴 初 9専 -3 ) 専職 門(問 3 非 門 合計 1 3. 7 % 1 4 45. 2% 34 1 9. % 20 86. 3% 1 00. 0% 17 31 中等 以上 5 4. 8% 1 00. 0% 合計 1 43 1 77 80 . 8% 00 . 0% 1 2 6 1 1 4 6 1 < 0. 01 9p 50 -5 9年 初 等 17. 0% 76 27. 0% 1 45 21 . 1 % 6 9 83. 0% 1 00. 0% 205 281 7 3. 0% 1 00. 0% 541 686 78 . 9% 00 . 3 3 6 1 4 0% 5 9. 8% 35 25. 5% 69 1 4. 3% 4 90. 2% 1 00. 0% 1 02 1 37 中等 以上 7 4. 5% 1 00. 0% 合計 41 4 48 3 85 . 7 % 0 0 . 0 % 3 1 2 1 ・ 3 4 6 1 < 0 . 01 9p 60 ^6 9* 初 等 1 9. 0% 1 04 27. 7 % 1 56 52 81 . 0% 1 00. 0% 27 2 37 6 72. 3% 1 00, 0% 494 65 0 222 27 4 1 0. 0% 47 1 8. 7 % 94 1 3. 1 % 4 7 9 0. 0% 〕OO. 0% 2 04 251 81 . 3% 1 00. 0% 625 71 9 86 . 9 00 . 0 % 4 2% 1 1 4 6 8 -5 3- 4-2 結婚前の就業 本節 と次節では、戦後顕著になって きた M 字型曲線の形成メカニズムを、二つのピーク とその間の谷の形成 に着 目しなが ら、 ミクロデータか ら明 らかに してい く。すなわち、家 族キャ リア上の出来事が、 どのようにキャ リアの中断や再開をもた らしているかを分析 し てい くが、ここでは結婚イベン トを取 り上げる。具体的には、本節では、M 字曲線の最初 の山すなわち結婚前の就業 ( Phas e1) 、M字の谷すなわち結婚 ・出産期の落ち込み ( Phas e 2)を取 り上げる。 まず、労働力参加の年齢別プロフィールを提示 した後、結婚前の就業 経験の有無、お よび、それ と教育、父の学歴 ・職業 との関連が分析 される。結婚後の離職 と、その後の再就業 については、次節で取 り上げる。 (1)M字型曲線の形成 まず、年齢別の就業の変化を、コーホー ト別に見ておこう。ここでは、職業移動の回答 97と、 2つ以上の仕事がだぶっているサ ンプル 1 3の、計 21 0サ に不備のあるサ ンプル 1 ンプルを分析か ら除外 し、3 265ケースが対象 となっている。図 4-1か ら分かるように、 0歳代前半の ピークと、 3 0歳代後 就業率のカーブは、コーホー トが若 くなるにつれて、2 半以降の高ま りが顕著 になって きた。すなわち、いわゆるM字型 をはっき りと示すように なって きた. ところで、 この曲線が、学歴、父学歴、, 父職 によって どのように変わるかを 確かめてみたが、 こうした要因によって、大 きく変化が生 じていなかった。む しろ、コー ホー ト内では、就業率のカーブは驚 くほどの類似性を見せていた。 図4-1 年齢別就業率 ・ S や や や や t P b b i 年齢 -5 4- 命 令 合 金 や こうしたカーブが表れる理由は、よく言われるように、結婚前の就業が一般化 してきた ことと、子育てが一段落 した後に再就業する既婚女性が増えていることにあると考えられ る。そこで、以下では、結婚経験者に分析の対象を限定 して、M字型曲線 における、これ らの二つのピーク、およびそれ らの間の谷間の形成要 因について考察 していきたい。 表 4-1 0 結婚前の就業経鹸 出生コー ホート 1 92 0-29年 (2)結婚前の就業の一般化 ( P h a s e1 ) 表 41 0は、結婚 ( 初婚)より前に、仕事についた 1 930-39年 経験があるかどうかを、コーホー ト別に表 している。 1 940-49年 ここにはっきりと表れているように、初婚前の就業経 1 950-59年 験率は、コーホー トが若 くなるにつれて、著 しい上昇 1 96 0-69年 を見せている。 表 41 1は、初婚前の就業経験 と学歴 との関連を見 ている。ほぼ全員が結婚前の就業経験をもつ 1 95 0年 合計 結婚前の就業 あり なし 1 20 1 32 47. 6% 52. 4% 368 227 61 . 8% 38. 2% 667 17 0 79. 7 % 20. 3% 641 76 89. 4% 1 0. 6% 589 28 95. 5% 4. 5% 2385 633 79. 0% 21 . 0% 合計 252 1 00. 0% 595 1 00. 0% 837 1 00. 0% 717 1 00. 0% 617 1 00. 0% 301 8 1 00. 0% 〆 0 ・ 01 代お よび 1 9 6 0年代 コーホー トを別にすると、それよ り年長のコーホー トでは、学歴が高 いほ ど、経験率は高かった。統計的に有意なのは、 1 93 0年代のみである ( p<0 . 01 )。も っとも、コーホー ト内のバ リエーションは、コーホー ト間での就業経験の一般化に比べる と、小さい と言える。 表41 1父学歴別、結 出生コ ホート ー 学歴 中等 1 920 n -2 . S .9年 合計 初等 中等 高等 0. 01 1 9p< 30-3 9年 合計 初等 中等 高等 1 940 -4 n . S .9年 合計 初等 初婚 あり前 婚 前 の 就 集 の 就 な 業 し 合計 出生コー ホート 44. 1 % 56 52. 8% 1 20 6% 4 47 . 8 55. 9 % 1 00. 0% 5 0 1 06 47. 2 % 1 00. 0% 1 31 251 8% 1 1 1 4% 5 52. 2 00 . 0 55. 7 % 1 87 65. 8 % 33 76. 7 % 367 62 . 1 % 1 4 7 44. 3% 97 34. 2 % 1 0 23. 3% 224 37 . 9 % 1 1 7 1 00. 0% 1 950 n -5 _ S .9年 28 4 1 00. 0% 43 1 00. 0% 591 960 n -6 . S .9年 1 00 . 0 % 1 2 6 4 78. 7 % 372 82. 3% 99 7 2. 8% 667 1 9 6 79 . 7 % 21 . 3% 80 1 7. 7 % 37 27 . 2% 1 7 0 53 2 0. 3 % 1 00. 0% 452 1 00. 0% 1 36 1 00. 0% 8 37 2 4 9 1 00 . 0% 学歴 中等 高等 合計 初等 高等 合計 中等 初婚前の就業 あり なし 86. 7 % 383 88. 9% 21 8 90. 8% 640 89. 4 3% 9 94. 5% 262 96. 7 % 588 3 2 6 95 . 5% 1 3. 3% 48 11 . 1 % 22 9. 2% 76 1 0. 6% 6 合計 1 00. 0% 431 1 00. 0% 2 40 1 00. 0% 71 6 1 00. 0 4% 5 5. 5% 1 00. 0% 9 271 3. 3% 1 00. 0% 28 61 6 1 9 1 3 4 5 4. 5 % 00 . 0% 父職 について も同様のことが言える ( 表 4・ 1 2)。父親が雇用職であると、自営の場合 と 9 2 0年代 と 1 93 0年代のみに顕 比べて、結婚前に就業経験があるケースが多い。しか し、1 93 0年代 ( 〆 0 . 01 )と 1 9 4 0年代 ( 〆 0 . 05) 著に表れている。ただ し、統計的に有意なのは、1 のみであった。なお、父学歴に関 しては、結婚前の就業経験 との関連は認め られなかった。 - 55- 義4-1 2 父政則_結婚前の就 集 出生コー ホート 父職 雇用 農林漁 自営 合計 1 920 n -2 . S .9年 管理職 雇用 農林漁 自営 合計 1 93 p 0 < -3 0 . 01 9年 管理職 初婚前 あり の就業 なし 合計 コ-ホ出生 父職 合計 管理職 1 2. 2% 23 9. 9% 1 0 6. 2% 1 8 1 2. 3% 63 9. 9 % 1 2 1 00. 0% 232 1 00. 0% 1 62 1 00. 0% 1 46 1 00. 0% 638 1 00. 0 9% 8 31 . 4% 24 25. 8% 1 03 5 0. 0% 36 34. 6% 1 90 38. 9% 2 7 1 00. 0% 雇用 93 1 00. 0% 農林漁 206 1 00. 0% 自営 1 04 1 00. 0% 合計 489 1 00. 0 n . S . 管理職 96 0 -6 8% 6 1 96. 0% 255 94. 8% 58 96. 7 % 1 09 96. 5% 542 95 . 60 % 1 2 4. 0% 1 4 5. 2% 2 3. 3% 4 3. 5% 25 4. 4% 5 1 00. 0% 269 1 00. 0% 60 1 00. 0% 11 3 1 00. 0% 567 1 00 . 0 1 2% 5 26. 6% 27 1 3. 4% 46 20. 3% 45 24. 7 % 1 43 2 0. 3 2% 5 1 00. 0% 202 1 00. 0% 227 1 00. 0% 1 82 1 00. 0% 7 05 1 00. 0 % 9 4 45. 2 % 1 5 46. 9% 67 62. 0% 22 45. 8% 11 8 53. 9 % 1 4 1 00. 0% 32 1 00. 0% 1 08 1 00. 0% 48 1 00. 0% 21 9 1 00. 0% 3 1 1 95 n 0 . S ∼5 . 68. 6% 69 7 4. 2% 1 03 50. 0% 68 65. 4% 299 61 . 1 % 5 9 7 3. 4% 175 86. 6% 1 81 79. 7 % 1 37 75. 3% 562 79. 7 % 6 9 農林漁 自営 合計 p0 < 0. 05 1 94 -4 9年 管理職 合計 87. 8% 209 90. 1 % 1 52 93. 8% 1 28 87. 7 % 575 90. 1 % 8 6 54. 8% 17 53. 1 % 41 38. 0% 26 54. 2% 1 01 46. % 1 7 雇用 初婚前 業 あり の就 なし 雇用 農林漁 自営 ここで、結婚前 に初就職 を経験 したか どうか、つま り初就職のタイ ミング と初職の内容 との関連 を見てお こう。 表4-1 3 結婚前の就業別 、初職 の 内容 表 4・ 1 3か ら明 らかな ように、結婚前 に就職 した人の多 くは正規の 初婚前 の就業 中小 農林 自営 臨時 初職の内容 ( 問392) 合計 漁業 55 42 7 5 11 1 20 大企業 コ-ホ出生 ト あり. 従業員であ り、対 して、 企集 192 0 12 9 3 0 年 一 一 9 1 0 6 45 . 8 % 1 6% 1 35 . 0 2 5 5. 8% 2% 9 4. 4 2 1 3 6% 3 9. 2% 00 . 0 1 9 4 0 年 一 一 3 9 2 1 8 29 . 2 % 3 5 0 44 . 4 % 1 2 6. 9 % 5% 1 8. 0 3 4 1 6 6% 5 11 . 6% 00 . 0 19 5 0 年 ∼4 9 2 4 6 32 . 8% 3 3 3 52 . 6 % 2 1 . 8% 2 3 7. 7 % 3 6 1 6 4% 0 5. 1 % 00 . 0 19 6 0 年 ∼5 9 ∼69年 19 2 0 2 1 1 38 . 4 % 35. 9 % 5 3 1 4 52 . 0 % 53. 5% 1 5 1 0. 3% 0. 2% 7 1 3 3. 6 % 2. 2% 4 4 8 1 5 8 7 5. 6 % 00 . 0 % 8. 2% 1 00. 0% 1 9 5 0 19 3 0 年 ∼2 9 8 1 0. 0% 3% 9 30. 0 1 1 1 4. 0 % 1 4 8. 0 % 5 7 1 1 2 9 38. 0 % 00 . 0 % 1 9 4 0 年 一 一 3 9 6. 24 % 2 3 30. % 5 8. 5% 6 1 0. 9% 7 8 1 1 1 6 44. 2 % 00 . 0 % 社員の増加 と高学歴化 1 9 5 0 年 一 一 4 9 3. 44 % 5 1 9. 8% 1 4. 3% 4 5. 2% 4 4 5% 8 67. 2 % 1 00. 0 とい う二つの変化 との 19 6 0 年 一 一 5 9 1 6. 9 % 8. 64 %、 1 . 7 % 1 6. 9% 1 2 1 1 8 75. 9 % 00. 0 % 結婚後 に初就職 した人 の仕事内容は、その多 くが臨時雇いである。 以上みて きたように、 結婚前の就業の高 ま り なし は、初就職の ところで も述べたように、雇用 職業 とりわけ、大企業 連動によって もた らさ p( 0. 01 れていると言える。 - 56- 4-3 結婚後の離職 と再就業 本節では、前節 に引き続 き、M 字曲線の谷 の くぼみ と、その後の立ち上が りの二局面の 形成 を、 ミクロデータか ら明 らかに してい く。まず、結婚/ 出産期の離職の生存曲線を提 示 し、結婚前の属性変数による、単変量比較 を試みる。用いる変数は、前段のものに準ず る。最後 に、有配偶で前職経験のある離職者 を対象に、彼女たちが再就業化する生存確率 曲線 を提示 し、い くつかの要因による単変量比較をお こな う。 (1)結婚時の就業 とその後の離職 ( Phas e2) ここでは、結婚後の就業率の落ち込み と、それをもた らす要因について探 ってい きたい NFRJ・ SOlデータで得 られている職歴データを用いて、このことを調べ るためには、結婚 時に仕事についていたサ ンプルを確定する必要がある。そこで、 まずその手続 きと結果を 述べ る。 NFRSOlデータでは、初就職以降、すべての就職 について、開始時機 と終 了時機 を 8回 までたずねてある。表 表 4-1 4 結婚時の就業回数 41 4 は結婚時 に何回 目の仕事についていた かを表 している。なお、 出生コー ホート 1 920-29年 「・ 1」は、その回の仕 1 930-39年 事 をやめた翌年に結婚 1 9 40-49年 したケースである. こ のようなケースは、あ る種の誤差の範囲 とし 1 950-59年 1 960-69年 て、結婚 と同時の離職 合計 に含めて もよいだろう p(0 . 01 なし 21 17. 6 % 41 ll. 2 % 8 3 1 2. 4% 57 8. 9 % 35 5. 9 % 237 9. 9 % 1職 1 職 -1 2職 結婚時の就 業 72 60. 5% 251 68. 4% 387 58. 0% 376 58. 8% 331 56. 2% 1 417 59. 5% 8 6. 7 % 43 11 . 7 % 7 0 1 0. 5 % 78 1 2. 2% 46 7. 8% 245 1 0. 3% 1 4 11 . 8% 1 9 5. 2% 77 11 . 5% 80 1 2. 5% 96 1 6. 3% 286 1 2. 0% 2職 -1 3職 以 降 4 3. 3% 4 9 1 . 1 % 2. 4% 1 3 37 1 . 9% 5. 5% 9 40 1 . 4% 6. 3% 1 6 65 2. 7 % 11 _ 1 % 42 1 55 1 . 8% 6. 6% 合計 11 9 1 00. 0% 367 1 00. 0% 667 1 00. 0% 6 40 1 00. 0% 589 1 00. 0% 2 382 1 00. 0% 結婚 業 なし時の就 あり 21 98 17. 6% 82. 4% 41 326 ll . 2% 88. 8% 83 584 1 2. 4% 87. 6% 57 583 8. 9% 91 ー 1 % 35 554 5. 9% 94. 1 % 237 21 45 9. 9% 90. 1 % 合計 11 9 1 00. 0% 367 1 00. 0% 667 1 00. 0% 640 1 00. 0% 589 1 00. 0% 2382 1 00. 0% と考えたためである。 さて、表 41 4 か ら分かるように、 どのコーホー ト も、結婚 までについた仕事が 1回であるケースが半数 以上 を占めている ( いいかえれば、結婚前に仕事を何 度 も変わる人は少ない) 0 出生コー ホー ト 1 920-29年 そ して、 これをまとめて、結婚時の就業有無をコー 1 930-39年 1 5 である。ここか ら、 ホー ト別 に表 したのが、表 4・ 1 940-49年 結婚時に仕事を していなかった人の比率は全体 に少な 1 950-59年 く、 しかもコーホー トが若 くなるにつれて、それはま すます減 って きたことが明 らかである。 参考 までに、表 4・ 1 6 に、結婚時の職業 ( 前職)の 1 3でみた、結婚前に 内容を掲げてお く。さきの表 4・ 1 96p-69年 合計 p(0. 01 初就職 を経験 した人の初職の傾向ときわめて似通 っていることが確認で きる。 -5 7- 上で見たように、コーホー ト間で若干違いは あるとはいえ、われわれの対象者の場合、結婚 時に仕事についていた人が大多数であった。そ 自営 臨時 合計 出生コ ホート ー 被雇用 前職 1 9 2 0∼2 9 7 5 1 6 5 9 6 こで、 M字の谷間の形成 を調べるために、 ここ 1 9 3 0∼3 9 では、結婚後の離職イベ ン トの生存曲線を比較 1 9 4 0∼4 9 検討 してみる。以下で提示する生存曲線は、各 歳における離職イベ ン トの未経験者の率を表 し 7 8 . 1 % 2 3 4 7 3. 6 % 47 9 8 4 . 5 % 5 08 9 0. 4 % 1 9 5 0-59 1 9 6 0∼6 9 ている。 2は、表 さて、いよいよ本題であるが、図 441 3で明 らかに したように、結婚時 に就業 し ていた人 (1年前の離職者 も含む)21 45人につ いて、その仕事 をやめた年齢の生存曲線をコー 466 9 2. 1 % 1 7 62 8 6. 0% 合計 1 6 . 7 % 51 1 6 . 0 % 61 1 0. 8 % 31 5 . 5 % 1 5 3. 0 % 1 7 4 8. 5 % 5. 2 % 1 0 0 . 0 % 3 3 % 1 0. 4 2 7 4 . 8 % 2 3 4 . 1 % 2 5 4. 9 % 1 1 3 31 8 1 0 0. 0 % 5 67 1 0 0. 0 % 5 6 2 1 0 0 . 0 % 5 06 1 0 0. 0 % 2 0 4 9 5. 5 % 1 0 0 . 0 % p( 0. 01 注:「 臨時」 はパート アルJく イト・ 派遣. 内職を 含む。 ホー ト別に描いたものである。この図から分か るように、結婚後の離職 カーブは、コーホー トが若 くなるほ ど急 になっていて、 しかも、 960年代では、約 40歳 までに、 結婚当時の仕事 を結局はやめる人の比率が多い。一番若い 1 9割の人が、結婚時についていた仕事か ら離れている。もっとも、 ここでの離職者には、 その後す ぐに次の仕事についた人 も含 まれているので、 これ らの結果がすべて結婚や出産 による離職ではないが、それでもM字の谷間が深 くなって きたことと連動 していることは 間違いないだろう。 図4-2 結婚後の離職生存率 や や や 品 や 昏 つ ぎに、これ らの離職カーブは どのような要因によって規定 され るかを、 ここでは、本 人の学歴、結婚時についていた仕事 (ここでは、前職 とよぶ)、結婚時の夫の職業の三つ か ら検討 したが、 このうち明確な差異が見 られたのは、学歴 と前職であった。。なお、以 下、 これ らの要因によるコーホー ト内のバ リエーションは、コーホー トによってほ とん ど -5 8- 差異が見 られなかったため、 5つのコーホー トをあわせたサ ンプル全体の結果 について提 示 してお く。 図 4・ 3は、学歴別の離職生存曲線を表 している。高等教育者のカー ブが高い年齢 にずれ 0歳以降の推移では、 ているのは、高い結婚年齢 と初就職年齢を反映 したもの と思われる。3 中等教育者の離職 がほかよ りも多いが、顕著な違いではない。 図4-3 学歴別、結婚後の離職生存率 や や 中 豊齢 や 昏 結婚後の離職生存曲線が、前職 によって異なることが、図 44に示されている。すなわ ち、結婚時に自営業であった人は、正規被雇用や臨時雇いに比べて離職する人が少ない。 正規被雇用が臨時 よ りも離職者が多いのは、前者がフルタイムで仕事 と家庭 との時間調整 図44 結婚時の仕事別、結婚後の離職生存率 年齢 -5 9- を しに くいことを反映 していると思われる。 (2)離職者の再就業 ( P h as e3) 最後 に、結婚後離職 した人が、その後再就業 してい くかどうかを、やは り生存分析 によ って調べていこう。つま り、M 字の第 2のピークの検討である。ここでは、結婚後、当時 の仕事 ( 前職)をやめた人を母数 とし、その次の仕事の開始イベ ン トを年齢別に追跡 した。 ただ し、前職終 了か ら 2年未満で次職 を開始 した人は、一応、職業 キャ リアが継続 してい るもの と見な し、分析か ら除外 した。以下で提示する生存曲線は、各歳における次職イベ ン トの未経験者の率を表 している。 図 4・ 5は次職イベ ン トの生存曲線 をコーホー ト別に表 している。ここか ら分かるように、 コーホー トが若 くなるにつれて、再就業する人の率は顕著に増えている。 とくに、一番若 い1 960年代 コーホー トでは、40歳時点で、半数以上が仕事に復帰 している。 図4-5 再就業の生存率 や や や 年齢 や 昏 つ ぎに、 これ らの再就業 カーブの規定要因を検討 したが、やは りここで も、 さきの離職 の場合 と同様、コーホー ト間の推移のほうが、コーホー ト内のバ リエーションを上回って いると判断されるため、サ ンプル全体の結果について提示 してお く。なお、学歴による差 異は認め られなかったため、図は割愛 した。 6は、結婚時についていた仕事 ( 前職)の内容別に、再就業 カーブを表 している。 図 4ここで、被雇用職が再就業する確率が、 自営、臨時を上回っている。興味深いのは、 自営 業者の低い再就業率である。すなわち、自営業者は結婚後の離職で も経験率が低かったが、 一方、結婚後離職 した人についてみれば、彼女たちが再就業する確率 も、ほかの仕事に比 べて高 くないのである。まとめれば、 自営業の場合は、被雇用に比べて、キャ リア上の変 化が小さい と言えるだろう。 -6 0- 図4-6 前職別、再就 業の生存率 年齢 図47 夫職別、再就 業の生存率 や や や 年齢 や ゆ では、夫の職業 によって、再就業イベ ン トは影響を受けるだろうか。図 47をみると、 夫が 自営業の場合、再就業イベ ン トの経験率は、被雇用 に比べて低いことが分かる。上で 見た本人の前職 と同様のことが言える。一方、小さな違いであるが、大企業 と中小企業の さも興味深い。推察するに、夫が中小企業の従業員である場合、大企業の場合 と比べて、 妻が仕事に復帰する必要性が高いのかもしれない (もっ とも夫の所得 に関する変数がない ので、推測の域 を出ないが)0 - 61- では、再就業 した妻たちは、 どのような仕事についているのであろうか。最後に、表 4 ・ 1 7でこのことを見ておこう。ここか ら明 らかなように、再就業後の仕事は、大多数が臨 時雇いであ り、 しかも、コーホー トが若 くなるにつれて、その傾向が強まっている。 表41 7再就業後の唯美( 次職) 自営 臨時 合計 出生コ ホート ー 被雇用 次職 1 9 2 0-2 9 年 6 1 1 0 1 7 3 5 . 3 % 5 . 9 % 5 8 . 8 % 1 0 0 . 0 % 1 930∼39 41 1 3 5 6 1 1 0 37 . 3 % 1 1 . 8 % 5 0 . 9 % 1 0 0 . 0 % 1 940-49年 41 2 6 1 5 3 220 1 950∼59 1 960-69* 合計 1 8 . 6 % 3 2 1 5 . 1 % 1 7 ll . 7 % 1 37 1 9. 5 % 1 1 . 8 % 1 6 7. 5% 6 4. 1 % 62 8. 8% 69. 5 % 1 6 4 77. 4% 1 22 8 4. 1 % 5 05 71 . 7 % 1 00. 0% 21 2 1 00. 0% 1 45 1 00. 0% 7 04 1 00. 0% p( 0. 01 注:「 臨時 」はパート アル′くイト 派遣 . 内職を 含む。 次職の内容は、学歴、前職、夫職 によって違いが見 られるだろうか。学歴 との関連では、 5%水準を 学歴が高いほ ど、臨時職の比率が増えるが、その違いは顕著なものではない ( ク リア しない)( 表 41 8) 0 表4-1 9前職 別 、再就業後 の職 業 (次牡 ) 表 4-1 8 学 歴 別 、再 就 業 後 の 職 業 ( 次職 ) p( 0. 01 p( 0. 1 0 前職 との関連では、前職が自営、臨時職である場合、次職 も同 じである傾向が強いこと は、ある意味予測できるが、前職が正規の被雇用職でも、その 7割が臨時職での復帰であ る。これが、再就業者の大多数を占めてお り、既婚女性の就業の仕方を特徴づけていると 言える ( 表 4・ 1 9)0 夫職では、大企業の夫の場合、臨時職で復 表 4・ 20)0 帰する割合が 8割 と顕著である ( 以上見てきたような、既婚女性の離職 と再 就業のコーホー ト間変化の傾向は、女性の高 表 42 0 失敬 別 、再 就 業 後 の耽 美 (次職 ) 次職 合計 被雇用 自 臨時 大企業 48 1 1 2 2 5 284 I 営 16. 9% 中小企 業 学歴化 と、サラリーマンの夫をもつ女性が増 えて きたことと関連 していると言えよう。女 性 にとっての職業の重要性は、コーホー トを 自営 合計 01 通 じて増 してきている。いわゆる、女性の「 職 p(0. - 62- 9 % 3. 71 34 21. 1% 10.1% 16 23. 5% 22 . 1 % 135 6 0 1 5 . %00 2 3 1 6 8 . 8 %00 3 700 5 4 . 4 % 7 92 1 . 0% 336 1 . 9 _ % _ 4 9 3 68 1 . 0% 688 場進出」ははっき りと表れている。けれ ども、全体的に見れば、2 0歳代後半か ら 30歳代 前半にかけての仕事か らの一時的離脱は、生殖家族か らの要請に強 く規定 されている。そ して、その後の仕事への復帰のあ り方は、男性 にとっての職業役割 と同 じ方向に向かって いるか というと、現時点では必ず しもそうは言えない。そこには、大多数が臨時職で復帰 している現状があるか らである。 4-4 まとめ 本章の分析か ら明 らかになった知見をまとめてお く。 ①1 920年代か ら 60年代出生コーホー トにかけて、仕事 をもつことが一般化 した。 ②初職の内容では、被雇用正規従業員が増加 し、逆に、農林漁業 も含めた 自営業従業者が コーホー ト間で減少 した。 ③就業率のカーブは、われわれのデータセッ トにおいて も、 よ く知 られているような、コ ーホー トを通 じてのM字型の一般化を示 している。 ④M 字の最初のピークにあたる、結婚 ( 初婚)よ り前の就業経験率は、コーホー トが若 く なるにつれて、著 しい上昇を見せている。 ⑤ どのコーホー トも、結婚 までについた仕事が 1回であるケースが半数以上を占めている ( いいかえれば、結婚前に仕事を何度も変わる人は少ない)0 ⑥ しか し、結婚当時の仕事を結局はやめる人の比率が多 く、その傾向は、コーホー トが若 くなるにつれて強 まっている。 ⑦結婚後の離職生存率は、前職 によって異なる。すなわち、結婚時に自営業であった人は、 正規被雇用や臨時雇いに比べて離職する人が少ない。 ⑧ コーホー トが若 くなるにつれて、再就業する人の率は顕著 に増 えている。 とくに、一番 960年代 コーホー トでは、40歳時点で、半数以上が仕事に復帰 している。 若い 1 ⑨ 自営業者は、被雇用者に比べて、結婚後の離職 も少な く、また離職者の再就業 も少ない。 つま り、キャ リア上の変化が小さい。夫が自営業の場合 も、再就業イベ ン トの経験率は、 被雇用者 に比べて低い。 ⑬再就業後の仕事は、大多数が臨時雇いであ り、しかも、コーホー トが若 くなるにつれて、 その傾向が強 まっている。 ⑪再就業後の仕事は、前職が正規の被雇用職でも、その 7割が臨時職での復帰である。 今後の課題 についてであるが、 まず、職業キャ リアについて、仕事の移動や離職など、 まだ今回扱えなかったことが らを今後分析 してい きたい。 また、家族 キャ リア上のイベ ン トとの関連は、今回、結婚 ( 初婚)を扱 うにとどまったが、これに加えて、親な り ( 出産) 、 親の介護などを考慮に入れる必要がある。最後に、地域差や階層差 も未着手であるので、 これも含めた分析 を行 っていきたい。 -6 3- 5 地域差にみ る既婚女性 の就業状況の多様性 - 親な り前後 に焦点をあてて - 本稿では、出産 ・子育て期初期の女性 における就業状況の時代的変遷パター ンの多様性 について、地域差 に焦点 をあてて考察する。 従来、わが国における女性の 「 専業主婦化 」 は、高度経済成長期か ら 1 9 7 0年代 にかけ て雇用労働者世帯の増加 とともに進展 してきた とされる。近代化 を早い時期 に達成 した欧 米諸国においては、産業化過程のある段階で 自営業 に従事する既婚女性 の減少 とパ ラレル に被雇用者 を夫にもつ既婚女性の専業主婦化が進行 し、それにつ く既婚女性の被雇用者化 谷間」が こ までの間に労働力率の 「 谷間」 が存在するといわれている。 日本では、 この 「 れ ら近代化の先発地域 に比べて遅い時期 にあ らわれ、ボ トムが相対的に高い と考え られる。 しか し、農業 を中心 とする自営業労働力⇒専業主婦化->雇用労働力化 という労働力化の変 遷パター ンがわが国のあ らゆる地域で女性の雇用労働力化の道筋 に現れ るとは限 らない。 近代化の周縁部には、都市部 との単なる 「タイムラグ」 としては とらえ られないパター ン のバ ラエテ ィが存在する可能性がある。 こう した問題意識にそって、本稿では戦後 50 年間の既婚女性の専業主婦化/労働力化 の様態 について、 とりわけ出産 ・子育て期初期 に焦点 をあてつつ個人のライフコース ・デ ータの側面か ら探 り、コーホー ト間推移 をたどることを通 して明 らかにする。 さらに、そ の様態のバ ラエテ ィを、主 として地域性の観点か ら確認する。出産 ・子育て期 の離職 とそ の後の再就職 とい うリカ レン ト型就業がわが国の女性労働の特徴 とされて きた。 しか し、 出産 ・子育て期 における 「 専業主婦化」のあ り様は、大都市地域 と地方 とで異なることが 予想される。戦後 50 年間を通 じ、果た して地方に生 きた女性 たちの どの位 の割合が、 ラ イ フコース上 「 専業主婦」の時期 を実現 し得たのだろうか。 以下、 まず結婚後の就業経験お よび、第 1子 1歳時における就業状況 を観察 し、地域差 を中心にそのバ ラエテ ィを確認する。さらに、第 1子 1歳時 における対象者の就業率 と夫 常雇率お よび核家族率 との関係 に着 冒し、居住地域 ブロック間差異の様態 についてコーホ ー ト間の変遷 をみてい く。また、い くつかの特徴ある地域 ブロックについて、第 1子 1歳 時の対象者の就業率 と夫常雇率お よび核家族率 との関連パター ンの時代的変遷 をコーホー ト間比較 を通 して観察 し、ブロック間の違いを明 らかにする。 なお、本分析では、比較に十分なサ ンプル数 を確保するため 1 0年間間隔の出生 コーホ ー トを用いる。 また、1 0年間隔の 「親な り ( 第 1子取得 )コーホー ト」 を設定 し、適宜 用いることとする。 5-1 既婚女性 の就業状況 と関連要因 (1)結婚後の就業経験 まず、対象者の結婚後 の就業経験の有無について観察する(1)。 ( a) 就業経験の有無 -6 5- 表 51よ り、結婚後就業経験がある者の割合は、既婚女性全体の 7割 を超 えることがわ 9 2 0 29年出生コーホー トか ら順 に 56 %、6 9 %、7 4 かる。出生コーホー ト別 にみると、 1 %、77%、8 2% と、コーホー トが若 くなるほどその割合が高 くなっている ( pく . 01) 0 ( b) 就業経験の有無の地域差 ・階層差 表5 2は、就業経験 の地域差 ・階層差の一端 を把握するために若干の変数 - 第 1子 1 歳時の居住地域、世帯構成、お よび結婚時の配偶者の職業 - を取 り上げ、就業経験の有 無 とクロスさせた結果である。以下に知見を述べ る。 親な り 1年 目)の居住地域の特性 ( 「 農村 ・山村 ・漁 第 1子 1歳時 ( 居住地域特性 村」「 地方小都市」 「 大都市あるいは地方の中心的都市」) と結婚後の就業経験 の有無 との 関係 をみたが、全体 として地域特性 による目立った差異は認め られなかった。 居住地域 ブロック 4 7都道府県を 1 0 のブロックに分け( 2 ) 、結婚後の就業経験 の有無 を第 1子 1歳時の居住地地域 ブロック別にみ ると、就業経験 あ りの者の割合 は北陸が 81 % ともっとも高 く、他は 7割台前半であった。 さらに、女性の就業率 ととくに関連すると思われる変数 として配偶者の職業お よび世帯 構成 という要因を とりあげ、就業経験の有無 との関連をみる。 配偶者の職業 配偶者の職業 (3) との関連 をみると、就業経験あ りの者の割合 は、「大 中小企業 ・団体の正社員、役員」 「 臨時雇い」が 7割台、「 農 企業 ・団体の正社員、役員」 「 農林漁業以外の 自営業」が 6割台であ り、概 して夫が被雇 林漁業の 自営業」が 5割台、「 用の者の方が 自営業の者 よ りも就業経験あ りの割合が高いことがわかる ( pく. 01)。 世帯構成 第 1子 1歳時の世帯構成 ( 核家族世帯か拡大家族世帯か)による違いは認 め られなかった。 (2)第 1 子 1歳時 における就業状況 出産 ・子育て期初期の就業 について、第 1子 1歳時における状況 に焦点 をあてて観察す る。以下、就業の有無 とその関連要因について、コーホー ト差 に留意 しつつみてい くこと とする。 ( a) 就業の有無 就業あ り」 とする者は各コーホー トとも 第 1子 1歳時に 「 2 5%内外であ り、コーホー 3) 0 ト差は認め られない ( 表 5表 51 出生 コーホー ト別結婚後就業経験の有無 n 全 体 就業あ り 就業な し 33 01 73. 4 26. 6 1 9 2029年 出生* * 29 8 55. 7 44. 3 1 9 3039年 出生 6 5 7 68. 6 31 . 4 1 9 4 049年 出生 91 8 7 3. 5 26. 5 1 9 5059年 出生 77 3 76. 6 23. 4 1 96 069年 出生 6 5 5 8 2. 4 1 7. 6 * *pく・ 01 -6 6- ( %) ( %) 表5 2 結婚後就業経験 の有無の クロス集計 n 就業 あ り. 就業 な し 居住地域特性 農村 .山村 .漁村 地方小都市 ・ 大都市/ 地方 中心都市 外国- 7 5 4 1 2 2 3 1 0 7 0 1 0 7 2. 1 7 4. 7 7 4. 2 7 0. 0 2 7. 9 2 5. 3 2 5. 8 3 0. 0 1 5 2 2 7 0 8 6 0 1 6 0 3 8 7 5 5 5 1 8 3 1 0 4 3 4 6 3 2 1 0 7 2. 4 7 4. 4 7 4. 7 8 0. 6 7 4. 9 7 2. 4 7 0. 5 7 4. 0 7 4. 0 7 5. 0 7 0. 0 2 7. 6 2 5. 6 2 5 . 3 1 9 . 4 2 5. 1 2 7. 6 2 9 . 5 2 6 」 0 2 6 . 0 2 5. 0 3 0. 0 1 1 7 4 1 3 7 3 2 3 3 3 7 9 7 0 4 0 7 5. 6 7 7. 0 5 6 . 7 6 6 . 5 71 . 4 6 7. 5 2 4. 4 2 3. 0 4 3. 3 3 3. 5 2 8 . 6 3 2. 5 1 9 7 8 7 3. 3 2 6 . 7 居住地域 ブロ ック 北海道 東北 関東 北陸 中部 近畿 中国 四国 九州 沖縄 外国 配偶 者 の職業 ** 大企業 . 団体 正社員、 役員 中小企業 . 団体正社 員、 役員 農林漁業 の 自営業 農林漁業 以外 の 自営業 臨時雇 い 無職 世帯構成 核 家族 世帯 注 1:不 明は省略。 注 2:「配偶 者の職業 」は結婚時の もの。 * *pく・ 01 表5 3 出生 コーホー ト別第 1子 1歳時 の就業 の有無 全 体 1 9 2 0 2 9年 出生 1 9 3 0 3 9年 出生 1 9 4 0 4 9年 出生 1 9 5 0 5 9年 出生 1 9 6 06 9年 出生 n 就業 あ り 就業 な し 31 7 4 2 9 0 6 4 0 8 8 6 7 3 8 6 2 0 2 6 . 1 2 4. 1 2 5. 3 2 6 . 0 2 8 . 3 2 5. 2 7 3. 2 7 4. 1 7 4. 4 7 3. 4 7 0. 9 7 4. 0 -6 7- ( %) 不明 . 8 1 . 7 . 3 . 7 . 8 . 8 ( b) 就業の有無の地域差 ・階層差 以下、地域差 ・階層差 に関する若干の変数 とのクロス集計結果 を述べ る。 居住地域特性 4 よ り、第 1子 1歳時 に就業がある者の割合 は、「農村 ・山村 ・ 表 5 漁村」で 3割強、「地方小都市」で 3割弱、「大都市あるいは地方の中心的都 市」で 2割 pく . 01) 。コーホー ト別にみると、1 9 2 0 2 9年 出生 コーホー トでは 「農 強であることがわかる ( 5%、「大都市/地方中心都市」 で 1割弱が 「就業あ り」なのに対 し、 村 ・山村漁村」で 2 1 9 6 0 6 9年出生 コーホー トではそれぞれ 4割強お よび 2割強であ り、おおむね若いコ-ホ ( %) 4 第 1子 1歳時の就業の有無のクロス表 表 5 n 就業あ り 7 6 9 1 2 3 0 1 0 8 1 1 0 3 2. 6 2 6 . 7 21 . 0 1 0. 0 6 6 . 4 7 2 . 8 7 8 . 2 9 0 . 0 1 51 2 7 4 8 71 1 6 1 3 9 1 5 6 2 1 8 7 1 0 3 3 5 3 3 3 1 0 1 5 . 2 3 5. 8 2 4. 2 41 . 6 2 4. 8 2 0 . 5 2 4. 1 3 5. 0 3 0. 0 3 6 . 4 1 0. 0 8 4 . 1 6 3 . 5 7 5 . 2 5 8 . 4 7 3 . 9 7 8 . 6 7 4 . 9 6 4 . 1 6 9 . 7 6 3 . 6 9 0 . 0 1 1 1 7 1 3 2 0 2 3 0 3 6 6 6 9 41 2 5. 2 2 5. 5 2 5. 7 2 8 . 4 3 3. 3 3 6 . 6 7 4 . 4 7 3 . 9 7 2 . 6 6 9 . 9 6 6 . 7 6 3 . 4 . 4 . 7 1 . 7 1 . 6 2 0 0 2 21 . 5 7 7 . 7 . 7 就業 な し 不明 居住地域特性 ** 農村 .山村 .漁村 地方小都市 大都市/ 地方中心都市 外国 . 9 . 5 . 8 - 居住地域 ブロック 北海道 東北 関東 北陸 中部 近畿 中国 四国 九州 沖縄 外国 . 7 . 7 . 6 - 1 . 3 . 9 1 . 1 1 . 0 . 3 - 配偶者の職業 大企業 . 団体正社 員、 役員 中小企業 . 団体正社員、 役員 農林漁業の 自営業 農林漁業以外の 自営業 臨時雇 い 無職 - 世帯構成 核 家族世帯 * *pく . 01 注 1:不明は省略。 注 2 :「 配偶者の職業」は結婚時のもの。 -6 8- - トで地域特性 による差異が大 きい ( 表 5 5、 1 9 4 049年 出生 コーホー ト、 1 96 069年出生 コーホー トで pく . 01) 0 地域 ブロック別 にみ ると、第 1子 1歳時 「就業 あ り」の者の割合 居住地域 ブ ロック は、全体 と して北陸 ブロックの 4割強が もっとも高 く、沖縄、東北、四国、九州の 3割台、 中部、関東、 中国、近畿の 2割台、北海道の 1割台 と続 く (コーホー ト差 については、次 節以降で言及 する)。 結婚時の配偶 者の職業別 にみ る と、 当然 なが ら 「臨時雇 い」「 無職」 配偶者の職業 で 「就業 あ り」のパーセ ンテージが 3割台 と比較的高いが、他 のカテゴ リーはいずれも 2 割台で差異 はほ とん ど兄いだせなかった。コーホー ト別 にみて も、 目立 った傾 向の違いは 指摘で きない ( 表省略)0 世帯構成 第 1子 1歳時の世帯構成 についてみ ると、全体 に核 家族世帯 よ り拡大家族 世帯の方が 「就業あ り」の割合 が高い (2割強 と 3割強)。 この傾 向は とりわけ若年コー ホー トで顕著である ( 表 56) 。すなわち、 1 9 2029年 出生 コーホー トでは核 家族世帯の 2 割弱、拡大家族世帯の 3割弱が 「就業 あ り」であるのに対 し、 1 96 06 9 年 出生 コーホー ト で は それ ぞれ 2割強 お よび 4割 弱 とな って い る ( 1 9 3 039 年 出生 コー ホー トで pく. 05、 1 9 4049年、 1 9 5059年、 1 9 6 069年出生 コーホー トで pく . 01) 0 表 55 コーホー ト別 ・居住地域特性別 にみ た第 1子 1歳時有職者 の割合 (%) 農村 漁村 . 山村 . 地方小都市 大都 中心的都市 市/ 地方 外国 1 9 2029年出生 24. 5( 1 4 3) 29. 2(7 2) 1 6. 9(59) 25. 0( 4) 1 9 3039年出生 30. 4( 204) 2 5. 8( 21 7) 2 0. 0( 1 9 0) - 1 9 4049年出生** 36. 1( 1 9 4) 28 . 2( 3 41) 1 8. 4( 331) -( 2) 1 9 5059年出生 38. 0( 1 6 3) 2 6. 4( 3 03) 24. 0( 26 3) -( 2) ( -) **pく ・ 01 注 :( )内は母数。 表 56 コーホー ト別 ・世帯構成別 にみた第 1子 1歳時 ( %) 有職者の割合 核家族世帯 拡大家族世帯 1 9 2 01 9 29年出生 1 8. 4( 1 25) 28. 5( 1 6 5) 1 9 301 9 39年出生* 22. 3( 355) 29. 1( 28 5) 1 9 4 01 9 49年出生** 21 . 5( 56 4) 33. 9( 322) 1 9 501 9 59年出生** 22. 2( 49 2) 4 0. 7( 246) 1 9 6 01 969年出生** 21 . 2( 466) 37. 0( 1 54) 05 ** pく . 01 * pく. 注 :( )内は母数。 -6 9- ( C)第 1子 1歳時 にお ける有職者 について さ らに、第 1子 1歳 時 に 「就業 あ り」の者 について、就業 上の地位 お よび居住 地域 と の関連 をみ た。 第 1子 1歳時の有職者 について、その就業上の地位 を表 5 7 よ りみ 就業上の地位 る と、「正社 員 ・正職 員、役員」が全体の 6割強 を占め、「自営業主 ・家族従業員」が 2 割強、「パー ト ・アルバ イ ト、派遣、内職」が 1 5%である。コーホー ト別 にみ ると、「正 社員 ・正職 員、役員」が 1 9 2 0 2 9年 出生 コーホー トか ら順 に 4 7%、5 4%、6 0%、7 40 / .、6 7 % となってお り、 1 9 5 0 5 9年出生 コーホー トまではコーホー トが若いほ どその割合が高い ことがわか る ( 1 9 2 0 2 9年 出生 コーホー トで pく . 01 ) 。逆 に、「自営業 主 ・家族従業員」が 1 9 2 0 2 9年 出生 コーホー トでは 3割台だったものが 1 9 6 0 6 9年 出生 コーホー トでは 1割台 とコーホー トが若いほ ど割合 が低 くなっている。「 パー ト ・アルバ イ ト、派遣、内職」は 各 コーホー トとも 1割台である。 居住地域特性 との関連 第 1子 1歳時の居住地域 とさらにクロスさせてみ た ところ、 1 9 2 0 2 9年 出生 コーホー トでは、「農村 ・山村 ・漁村」で も 4割が 「正社 員 ・正職 員、役 員」である ことがわ か った ( 表 8) 0「 正社 員 ・正職 員、役員」は 「地 方 小都 市」で 5割 強、「大都市あるいは地方の中心的都市」で 6割である。 また、「自営業主 ・家族従業員」 は 「 農村 ・山村 ・漁村」で 4 6%、「地方小都市」で 2 4%、「大都市/地方 中心都市」で 2 0 % となっている。「パー ト ・アルバイ ト、派遣、内職」は順 に 1 4%、2 4%、2 0%である。 9 6 0 6 9年 出生 コーホー トでは 「正社員 ・正職員、役 員」が 「農村 ・山村 ・漁村」 一万、 1 で も 7割近 くに達 す る。 また、「地方小都市」では 7割強、 「大都市/ 地方 中心都市 」 で 農村 ・山村 ・漁 は 6割が 「正社員 ・正職 員、役 員」である。「自営主 ・家族従業員」は 「 村」で 2 3%、「地方小都市」で 9%、「大都市/地方 中心都市」で 1 8%であ り、「パー ト ・アルバイ ト、派遣、 内職」は順 に 9%、 1 8%、2 0%であ る。第 1子 1歳時有職者の働 き方 としては、各 コーホー トを通 じて 「 正社員 ・正職員、役員」 が農 山漁村部 において も 少な くない。当然、若年 コーホー トは どこの割合 は高 くなっている。 表 5-7 コーホー ト別 にみた第 1子 1歳時における有職者の就業上の地位 n 役員 正社員 正職員、 .家 員 自営業主 族 従 業.) イ 内職 1 0 ト 、 ト 派 . Y 遣 J 川や 、 不明 8 2 7 1 9 2 0 2 9年 出生** 7 0 1 9 3 0 3 9年 出生 1 6 2 1 9 4 0 4 9年 出生 2 3 0 2 0 9 1 9 5 0 5 9年 出生 1 9 6 0 6 9年 出生 1 5 6 全 体 6 2 . 5 4 7 . 1 5 3 . 7 6 0 . 0 7 3 . 7 6 7 . 3 21 . 3 3 5. 7 2 9 . 6 2 3. 0 1 2. 9 1 4. 7 1 5. 4 1 7. 1 1 6 . 0 1 5. 2 1 2. 9 1 7 . 3 * * pく ・ 01 -7 0- . 8 - . 6 1 . 7 . 5 . 6 ( %) 表 58 コー ホー ト別 ・地域特性 別 にみ た第 1子 1歳 時 にお け る有職 者 の ( %) 就業上 の地位 n 役 正社員 正職 員 員、 .員 家 自営業 族 従主業.) イ 内職 1 0 ト 、 ト 派 、刑ハ 遣+ 、 不明 1 92029年 出掌 農 村 .山村 .漁村 35 4 0. 0 45. 7 1 4. 3 - 地 方 小都 市 21 5 2. 4 23. 8 23. 8 - 大 都 市/ 地 方 中心都市 1 0 6 0. 0 20. 0 20. 0 - 農 村 .山村 .漁村 6 2 3 8. 7 50. 0 ll . 3 - 地 方 小都 市 56 6 7. 9 1 2. 5 1 9. 6 - 大 都 市/ 地 方 中心都市 38 6 0. 5 1 8. 4 1 8. 4 2. 6 農 村 .山村 .漁村 70 5 2. 9 25. 7 20. 0 1. 4 地 方 小都 市 96 61. 5 27. 1 9. 4 2. 1 大 都 市/ 地 方 中心都市 61 6 5. 6 1 4. 8 1 8. 0 1. 6 農 村 .山村 .漁村 6 2 7 7. 4 ll . 3 9. 7 1 6 地 方 小都市 8 0 6 8. 8 1 5. 0 1 6. 3 大 都 市/ 地 方 中心都市 6 3 7 4. 6 1 2. 7 1 2. 7 - 農 村 .山村 .漁村 22 6 8. 2 22. 7 9. 1 - 地 方 小都市 75 7 2. 0 9. 3 1 8. 7 大 都 市/ 地 方 中心都市 55 6 0. 0 1 8. 2 20. 0 1 93039年 出生 ** 1 94049年 出生 1 95059年 出生 - 1 96069年 出生 - 1 . 8 ** pく ・ 01 注 :外国、不明は省略。 5-2 既婚女性の<専業主婦化一 労働力化 >の変遷 と地域性 (1): 夫常雇率 との関連 を軸 と して (1)分析 枠 組 と分析 のね らい ( a)考 察 に先 立 つ仮 説 本 節 で は、 地 域性 の観点 か ら既 婚 女性 の <専業 主婦化 一 労働 力化 >過 程 のバ ラエテ ィを 観 察 す る。 本節 の分析 の土台 とな る仮 説 は、 以下 の ような もので あ る0 仮 説 1 近代化 のあ る時期 まで被雇 用者 世帯 の増 加 とともに妻 の専業 主婦化 が進行 す る。 仮説 2 しか る後 に被雇 用者世帯 の妻 の雇用労働 力化 が進展 す る。 仮 説 3 専業 主婦化 の ピー クには地域差 があ る。 -7 1- 仮説 4 おおむね大都市地域か ら周辺地域へ仮説 1・2の図式が一定 の タイム ラグをもっ て出現 す る。 仮説 5 しか し、過去半世紀 を通 じ、わが国のあ らゆる地域で仮 説 1・2の ような図式が 現れた とは限 らない。 ( b)妻の <主婦化一 労働力化 >の 4パ ター ン 既婚 女性 の <専業 主婦化一 労働 力化 >の様態 を考察するにあたって、妻 の就労率 を縦軸 に夫の常雇被雇用者率 を横軸 に とることによって、以下の ような 4象限 を設定 することが で きる。 妻 有 職率 ■ 一 向 夫 常 雇 率 Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅰ :夫常雇率が高 く、妻有職率が高い 高 Ⅰ Ⅰ:夫常雇率が低 く、妻有職 率が高い Ⅰ Ⅰ Ⅰ:夫常雇率が低 く、妻有職 率が低 い Ⅳ: 夫常雇率が高 く、妻有職 率が低 い 低 近代化 の進展 に ともなって、少な くとも都市部では - わが国の大都 市地域では高度経 済成長期 を通 じて - Ⅳの状況が進展 し、その後 Ⅰにシフ トする と考 え られて きた。そ し て こう した現象は、大都市地域か ら地方小都市にわたって時間差 をもって 出現 する と推測 され る。一方、農村部ではい うまで もな く、農家 にみ られ るような 自営業従事者 としての 妻 - その一部は、後 のコーホー トでは現金の稼 ぎ手 と して被雇用化 す る - の存在 のた Ⅰ が一般 的なパ ター ンであった。そ こで、時系列的に Tl か らT3に至 る以下の よ う めに Ⅰ な図式 を指定 することがで きる。 TI T2 T3 Ⅰ Ⅰ 大都市地域 Ⅳ Ⅰ 地方小都市 Ⅰ/ Ⅰ Ⅰ Ⅳ ( C) 分析 のね らい 具体的には、以下の点 を明 らか にする。 ①夫常雇率 と妻有職率 との関係 の地域間差異の様態 ②差異の様態のコーホー ト間推移 ③夫常雇率 と妻有職 率 との関連パ ター ンの コーホー ト間推移 ( 妻 の <専業 主婦化一 労働 力 化 >の時機確認 ) ④ 関連パ ター ンの推移 の地域別特徴 -7 2- ( d) 分析指標 とコーホー ト設定 妻有職率」 とい う 2指標 をと りあげ、それ らを軸 に分析 を進 本節では、「夫常雇率 」「 める。 2つの数値 の算出方法は以下の通 りである。 「夫常雇率」 ・-結婚時の配偶者の職業 )について、「大企業 ・団体 の正社員 ・正職員、 (3 役員」 「 中小企業 ・団体の正社員 ・正職員、役員 」 を 「常雇被雇用」 と とらえ、無職を含む夫全体 に対する割合 を算出 したもの。本稿では、 こ れを 「 被雇用者世帯率」 とも読み替えている。 「妻有職率」 ・-親 な り経験のある対象者の第 1子 1歳時の就業 の有無 について、就業あ りの者の親な り経験対象者全体 に対する割合 を算出 した (4)0 また、時代 の推移 をよ り明確に把握するために、分析 にあたっては 1 0 年間隔みの出生 9 50年代か ら 1 9 9 0年代 まで を 1 0年 ごとに区切 った 5つの 「 親な コーホー トに加 えて、 1 りコーホー ト」 (5)を用いることとする。 (2)被雇用者世帯の増加 と妻の就業状況の変化 ( a) 居住地域 ブロックによる多様性 0地域 ブロックのうち、「関東」を首都である 「 東京」 とそれ以外 の 「関東」に 前述の 1 分け、 11のブロックについて夫常雇率 と妻有職率の関連の分布 をみ ることとする。 ( ∋出生コーホー ト別の観察 図 51a∼eは、妻有職率 を縦軸に、夫常雇率 を横軸にとって各地域 ブロックの数値の 交点 をプロ ッ トしたものである。 まず、 1 9 2029年出生コーホー トについてみる と、各ブ ロックは夫常雇率 に して 5割台か ら 9割弱 までの間、妻有職率に して 0か ら4割 までの間 にち らぼった姿でプロッ トされている ( 図 51 a )。北陸ブロックで夫常雇率 ・妻有職率 と も高いこと、東京 ・近畿 ブロックで夫常雇率が高 く妻有職率が低いこと、北海道ブロック で夫常雇率が低 く妻有職率が高いことなどが 目につ く。 1 9 3039年 出生 コーホー トでは、全体 に夫常雇率が上昇する ( 図 51 b)。沖縄 ブロック で夫常雇率 ・妻有職率 ともに高いのに対 し、四国 ブロックでは妻有職率は比較的高いが夫 常雇率は低 くなっている。また、北海道 ブロックでは夫常雇率が相対的に高 く妻有職率が 9 4 049年出生コーホー トでは、夫常雇率がさ らに上昇 し、夫常雇率が低 きわめて低 い。 1 く妻有職率が比較的高い九州ブロックと、夫常雇率が高 く妻有職率が低 い北海道 ブロック l c)。 さ らに、 1 9 5059年出生 を結ぶ軸の周 囲にい くらか右肩下が りの分布 を示す ( 図 5- コーホー トでは、右肩下が りの姿が維持 されるが、沖縄 ブロックの低夫常雇率 ・高妻有職 1 d)01 96 069 年 出生コーホ 率 と近畿 ブロックの高夫常雇率 ・低妻有職率が際だつ ( 図 5- ー トでは、全体 に妻有職率が低下するが、低夫常雇率 ・高妻有職率の沖純 ・北陸ブロック とその逆である北海道 ブロックを極 に右肩下が りの分布の姿が維持 され る ( 図 51 e ) 0 ②親な りコーホー ト別の観察 2aか ら、 1 9 5 059年親な りコーホー トでは、夫常雇率 5割前後、妻有職率 3割前後 図 5- の地点に多 くのブロックが集中 していることがわかる。 また沖縄 ブロックでは夫常雇率は -7 3- 低いが妻有職率は高 く、一方近畿 ・中国ブロックでは夫常雇率が高 く妻有職率が低 くなっ ている01 9 6 069年親な りコーホー トでは、夫常雇率が全体 に上昇 し、低夫常雇率 ・高妻 有職率の四国 ・東北 ・沖縄 ブロックと、高夫常雇率 ・低妻有職率の北海道 ブロックを極 と した右肩下が りの軸の周囲にプロッ トが分布する ( 図 52 b) 01 9 70 79年親 な りコーホー トでは、右肩下が りの姿が維持 されつつ夫常雇率がさらに上昇 し、東北 ・北陸 ・九州 ブロ ックの夫常雇率の低 さ ・妻有職率の高 さとその道である沖純 ・北海道 ブロックの特徴が際 だつ ( 図 52 C)01 98 08 9年親 な りコーホー トでは、右肩下が りの姿が崩れ、低夫常雇率 ・高妻有職率の沖純 ブロックとその道の近畿 ・関東ブロック、高夫常雇率 ・高妻有職率の 北陸ブロック、低夫常雇率 ・高妻有職率の北海道 ブロックといった具合 にプロッ トが分散 する ( 図 52d)。分散傾 向は、1 99 099年親な りコーホー トでさらに強 まっている ( 図 52 e) 0 ( b) <専業主婦化一 労働力化 >パター ンのコーホー ト間推移 と地域性 以下では、首都である東京 ブロックと特徴ある動きをみせ る北陸ブロック、およびその 中間地域 としての中部ブロックを取 り上げ、全国 との比較お よび地域間比較 を試みる。 ① 出生コーホー トにみる変遷 全国 まず、全国についてみ ると、夫常雇率はコーホー トを通 じて 6割弱か ら 9割弱 まで上昇する ( 図 53a ) 。一方、妻有職率は 2割台で推移 し、1 9 5059年 出生 コーホー ト から 1 96 06 9年出生コーホー トにかけて若干低下するものの大 きな変化は認め られない。 東京 ブロック しか し東京ブロックに限定 して観察すると、グラフは全 く異なる様相 を 呈する ( 図 53 b)。夫常雇率は 1 9 3 039年出生コーホー トで 1 0ポイ ン ト程度減少 した後、 1 9 4 049年出生コーホー トで約 2 0ポイ ン ト増加、さらに 1 9 5 059年 出生コーホー トで約 5 ポイ ン ト減少 し、1 9 6 06 9年出生コーホー トでは約 1 5ポイ ン ト増加 して 9割弱に達 して いる。その間、妻有職率は 1 9 2029年 出生コーホー トか ら 1 9 3 039年 出生コーホー トにか 96 069出生 コーホー トでは けて 2割弱か ら 3割弱に上昇するが、以降低下傾向に転 じ、1 1 9 2 029年コーホー ト並の 2割弱 となっている。さ らに詳 しくみ る と、1 9 2 029年出生コ ーホー トか ら 1 9 3 039年出生コーホー トにかけて夫常雇率が低下 し妻有職率が上昇する一 方で、1 9 4 049年 出生コーホー トにかけては夫常雇率が大 き く上昇 し、妻有職率が若干低 下する。さ らに 1 9 5 059年出生 コーホー トか ら 1 9 6 06 9年出生コーホー トにかけて夫常雇 率が 1 5ポイン ト近 く急上昇 し、妻有職率はわずかに低下するのである。 中部ブロック 図 53C )。 夫常雇率はコーホー トを通 じて 5割か ら 9割弱 まで上昇する ( 1 9 2 029年出生コーホー トか ら 1 9 4049年出生コーホー トまで妻有職率は約 1 0ポイ ン ト低 下 して 2割 となるが、1 9 5 059年出生コーホー トでは、約 1 0ポイ ン ト回復する。 しか し、 1 9 6 069年出生コーホー トでは若干であるが再び妻有職率が低下傾 向を示す。 北陸ブ ロック 北陸ブロックでは、 さらに様相が異なる ( 図 53d)。全体 に妻有職率が 高いのが北陸ブロックの特徴である。夫常雇率は、1 9 2 029年出生コーホー トか ら 1 9 3 039 年出生コーホー トにかけて 2 0ポイン ト以上低下するが、以降のコーホー トを通 じて 6割 9 2 029年出生コーホー トか ら 1 9 30 39年出生コー 強か ら8割 に数値の上昇がみ られ る。1 ホー トにかけて夫常雇率の劇的な低下 ともに、妻有職率にも若干の低下傾 向がみ られる。 そ して、妻有職率は 1 9 5 0 59年出生コーホー トで 3 0ポイン ト以上跳ね上がって 6割 を超 え、1 96 06 9年出生 コーホー トでは再び 3割台に低下する。 -7 4- I I 5 0 6 0 7 0 夫常 雇 率 8 0 9 0 1 0 0 40 5 0 6 0 7 0 d.1 95._ !艶 a.1 920-29年出生コーホート 180 -1 8 0 9 0 1 0 0 コーホヰ 「 九州 沖縄 北● 陸 中国 ● ●四 囲 東北 ◆ 中部 ..近雀 ●関東 ●㊨ 東京 5 0 6 0 7 0 夫常雇率 8 0 9 0 b.1 930-39年 出生コーホート 1 0 0 4 0 ・ l L_ 5 0 6 0 7 0 80 9 0 夫常雇率 e.1960-69年 出 生 コー ホ ー ト 図5 -1 第 1子 1歳時妻有職率 ・結婿時夫常雇率の地域 ブ ロック差 ( 出生 コーホー ト別 ) -7 5- 1 00 ㊨ @ 中瓜 @ ●真北 四 : ;. 詣 九州ぐ 諒 \ \\\二王 少 4 0 5 0 6 0 7 0 8 0 9 0 1 0 0 夫常雇 率 d.1 9 8 0 -8 9年親なりコーホート 80 「-._ 60 40 有 職率 F\ 、 20 \謝 .wT .北峻 … 中E EL ● ● 部 ●中 近畿 50 6 0 70 80 9 0 1 0 0 夫常雇率 l \J 5 0 60 7 0 8 0 夫 常 雇率 9 9年親な り コ ホー e.1990- ー b.1 9 6 0 -6 9年親なりコーホート E 40 90 ト ● ● ● 近 畿 ● ● 中 部開 景 四日l 九州 ● 真東 - ● n 40 l l l 5 0 6 0 7 0 北斗遭 r L沖縄 ● E L 8 0 90 1 00 夫常雇率 C.1 9 7 0 -7 9 年親なりコーホート 図 5 2 第 1子 1歳時妻有職 率 ・賠婿時夫常雇率の地域ブ ロック善 く 親 な りコーホー ト別) -7 6- 1 00 = - P ii i 1 9 5 0 ' S 1 9 2 0 ' S 1 9 3 0 . S 虹 7 9 3 0 ' S セ ミ I こ こ , 9- 串 . . 9 甜{. ' ー =さ \ ー 940● S_ l l 1 92 0' S ヽ ● l l 50 6 0 7 0 80 夫常雇率 b.東京 二 二 プ1 9 」 4 0 ' S/ Is 1 960' 一一 一 ナ● 90 1 00 40 50 60 70 80 夫常雇 率 d.北 陸 図 3 地 域 フ●pブタ別 に み た 第 1 子 1歳 時 妻 有 職 率 ・結 婚 時 夫 常 雇 率 の 出 生 コーホート間 推 移 90 1 00 ②親な りコーホー トにみ る変遷 全国 夫常雇率がコーホー トを通 じて 6割弱か ら 9割弱 まで上昇する一方、妻有職率 9 8 08 9年親 な りコーホー トで若干上昇傾 向がみ られ るものの大 き は、 2割台で推移 し、 1 な変化は認め られない。 ( 図 54a )0 東京 ブロック 東京 ブロックについてみると、グラフには全国 と異なる動 きが認め ら 4 b)。コーホー トを通 じて夫常雇率は 5割か ら 9割弱 まで一貫 して上昇する。 れる ( 図 59 5 059年親な りコーホー トか ら 1 9 6 0 69年親 な りコーホー ト 注 目すべ きは、妻有職率 が 1 にかけて、夫常雇率の 25ポイ ン トという著 しい上昇の一方で 20ポイ ン ト近 く低下 し、 1 割 強程 度 に落 ち込 む点 で あ る。 しか し、 1 9 7 07 9年親 な りコー ホー トで は妻有職 率 が 1 9 5059年親 な りコー ホー ト並 に回復 す る。 さ らに 1 9 8 089年 親 な りコー ホー トか ら 1 9 9 09 9年親な りコーホー トにかけて再び妻有職率が低下する (6) 0 中部 ブロック 4C )0 中部 ブロ ックのグラフも姿は全国のそれ とよ く似 てい る ( 図 5- 9 7 079年親な りコー 夫常雇率は 5割強か ら 9割強 まで一貫 して上昇するが、妻有職率は 1 98 08 9年親 な りコーホー トで 1 0 ポイ ン ト弱上昇 し、 ホー トでわずか に低下 した後 、 1 1 9 9 099年親な りコーホー トでは再び低下 している。 北陸 ブ ロック 北陸 ブロ ックの状況はやは り全国のパ ター ンと大 き く異な ってい る ( 図 54d)。妻有職率は、コーホー トを通 じて 3割強か ら 6割 まで一貫 して上昇する。 9 7 0 79年額 な りコーホー トで若干低下するものの、コーホー トを通 じて 方、夫常雇率は 1 6割弱か ら 9割弱 まで上昇す る。 と りわけ 1 98 08 9年親 な りコーホー トにかけて、 1 5ポ 9 9 09 9年親な りコーホー トまで維持 され る。 イ ン ト以上の急上昇がみ られ、上昇傾向は 1 ③親な りコーホー トにみ る地域特性別変遷 さ らに、居住地域特性別 に親 な りコーホー ト間の推移 を観察 して、 この節 を終 える。 農村 ・山村 ・漁村 9 8 08 9年親な りコーホー トまで 4割弱か ら 8割へ と 夫常雇率は 1 99 099年親 な りコーホー トでは若干の低下がみ られ る ( 図 55a )0 一貫 して上昇するが、 1 9 6 069年親な りコーホー ト以降 3割強か ら 4割強へ一貫 して上昇 して 一方、妻有職率は 1 いる。 地方小都市 コーホー トを通 じて夫常雇率は 7割強か ら 9割 まで一貫 して上昇 してい る ( 図 55 b) 。一方、妻有職率は 1 9 505 9年親な りコーホー トか ら 1 9 6 069年親な りコー ホー トにかけて 2割強か ら 3割 に上昇するが、以降は低下傾 向をみせている。 大都市あるいは地方の中心的都市 夫常雇率は 7割強か ら 9割 まで一貫 して上昇 して いるが、妻有職率は 1 9 707 9年親 な りコーホー トまで 2割弱で推移 し、 さほ どの変化はみ 98 08 9 年親 な りコーホー トでは若干の上昇がみ られ る ( 図 55C) 0 られない。 しか し、 1 これ らの観察か ら- 断言はで きないが - 大都市地域では 1 9 7 0 年代位 まで継続 した 9 8 0年代 にはいって変化の兆 しをみせている一方、 親 な り前後 の 「専業主婦化」傾 向が、1 地方小都市においては 「専業主婦化」が大都市地域の状況か らやや遅れた 1 9 7 0 年代以降 に進行 した、 とい う状況 を読み とることがで きるかも しれない。 しか し、 これが<専業 主 婦化一 労働力化 >の図式の 中央か ら地方への浸透であ り、「タイムラグ」の問題であるか否 かは、地域の雇用機会等 といった要因を勘案することな しに判断することはで きない。 -7 8- ‥_ __ __ ___ _ _ _ __ _ _ __ _ _ _ i L __ 40 _ _ _ _ _ ____ ∴ ⊥ _ 50 60 7 0 80 l l 90 1 00 夫常雇率 1F i 弼 1 a.全 国 T 990' S /// 一 ㌢ , 970. ド 1 9 5 0' S 40 50 6 0 7 0 夫常雇率 b.東京 80 90 1 00 40 50 6 0 , - - -S -<- ′ I- 1 96 0' S 7 0 80 夫常雇率 d.北陸 図 4 地 域 フ〇g・ }ク別 に み た 第 1 子 1 歳 時 妻 軒確 率 ・結 婚 時 夫 常 雇 率 の 親 な りコーホート間 推 移 90 1 00 表 5 9 地域 ブ ロック別第 1子 1卓時有職率 表5 1 0地域ブロック別第 1子 1歳時有職率 ・核家族串、兼好時夫常雇串 ・核家族串、接辞時夫常雇串 ( 出生 コーホー ト別) 革 . 1 92か29年出生コーホー ト % 有職率 子 1義時 ( 第)1 ∩ 積 家族 尊く 繁 1子 1&時) 全改 北濃遭 東北 蘭丈 文責 北瞳 中継 近畿 E.ら _ j . i ,号 1 九州 23. 1 33. 3 31 . 7 2 0. 8 1 9. 0 40. 0 32. 4 ー1 . 4 ー 8. 5 33. 3 1 2. 1 26 1 5 41 24 21 1 5 37 44 27 9 33 42. 9 66. 7 31 . 7 3 3. 3 57 . 1 26. 7 37. 8 59. 1 37 . 0 2 2. 2 45. 5 ∩ 夫常緒覆車 縮 晴)( 268 ー 5 4ー 2 4 21 1 5 37 44 27 9 33 義 有子 徽1 畢( 時 第) 1 全雷 北海道 東北 輔景 東京 北瞳 中部 近鶴 中Z Z) 四 盟 九 州 25. 8 9 J 27 . 5 28. 2 29 . 2 33. 3 23. 4 1 7. 9 3 0, 3 35. 3 29. 0 ∩ 81 33 69 1 03 72 33 $ 4 1ー 2 33 1 7 89 % 1子 1∴ 畢時 く 第 ) ∩ 夫常姥景畢 鋒 )( 纏 ∩ 56. 4 〇一 4 8 5. 5 81 4 7 0. 6 3 4 7 0、 〇 3 4 4 4. 9 69 52. 2 69 5 3. 4 1 03 68. 9 1 03 7 3. 6 7 2 61 . 1 7 2 38. 4 33 6 3. 8 33 51 . 6 6 4 68. 8 糾 81 . 4 1 1 4 88. 4 1 1 4 52. 9. 糾 7 0. 8 3 4 47. I 1 7 47. 1 l 7 5 8. 5 8 9 ○9. ○ 89 C. 1 94019年 出生コーホー ト 有子 職率 1J L( 時) 第1 全E 北海道 真北 純真 東京 北艶 中部 近畿 中国 t L .! i 九州 26. 5 6. 5 47, 6 23 . 0 23. 2 32. ¢ 2 0. 6 27. 8 1 7. 8 39. 3 31 . 1 63 . 4 9 3. 5 46. 9 6 5. 9 81 ー 7 5 0. 0 52. 8 73. 5 5一 . 1 $5 、 5 5 3. 8 ∩ 兼帯糖雇畢 時)( 精 866 31 糾 1 79 8 2 48 1 2 7 1 51 45 2○ ー 08 % d. 1 950-59年 出生コーホー ト 全国 北海 遭 貴北 関東 東京 北睦 中細 近畿 中国 四碇 九州 汁 有職 率 第) 1 子1 J L( 時 28. 4 2 0. 0 41 . 8 26 . 0 23. 3 63. 4 29. 8 1 6. 2 26 . 1 32. 1 29. 4 5 0. 0 ∩ 枚 家族J 亭 く 第 1子1 L時 ) 7 3 45 55 ー 5 0 43 41 9 4 1 36 46 28 85 1 0 88. 4 8 4. 4 42. 9 69. 3 86. 0 31 . 7 57_ 4 72. 1 67. 4 6 7. 令 89. 4 o. 0 一 o ∩ 夫常糟蜂 霊畢)( 編 737 45 5 6 1 53 43 41 9 4 1 38 45 28 85 1 0 全館 jヒ海遭 東北 視東 文京 1 ヒ瞳 中称 近 ヽ畿 中 四国 九州 有数 串 兼1 子1 義く 時 ) 2 5. 4 1 4. 8 28, 3 2 2. 6 1 8. 6 3 4. 6 22. 9 皇1 ′ 8 27. 8 33. 3 4 0. 0 ∩ 核 零鞍 串時) ( 辛 1子 1義 61 75. 3 27 77_ 8 48 5 4. 3 1 55 83. 2 43 9 0. 7 26 61 . 5 7 0 61 . 1 11 9 83. 2 36 86. 7 21 7 6. 2 6 0 71 , 7 注: r 南東 」 は東京を除く各県。 ∩ 夫青緒果時畢)く 轄 九州 25. 9 2 5 糾 23 . 8 29^ 32. 1 25 1 8. 3 2一 、 4 28. 8 2 4, 5 37 2 0 S O 42 3 4 28 5 2 8 0 28 1 4 49 全 北 遭 薫北 閣 薫 早 近 中【 L 1 L 四 九 Z Z l 第1 有職率 子 lJ L( 締 ) ∩ 5¢. 5 379 5 0 2 0 5 0 5 0 5 9. 5 4皇 5 0 9 4 8 0. 7 28 53. 8 5 2 7 0 8 0 糾. 3 28 5 0 ー 4 49 49 28. 7 9 . 7 3 5. 4 29. 1 ll . 5 ∩ 繊 零簾辛 () ∩ 夫常婚時) 鷺畢 ( 鶴 ∩ 1子 1義 時第 88 ○1 . 1 663 73 . 2 663 31 8 0. 6 3ー 8 3. 9 3ー 85 52. 3 85 S S. 2 85 一一 7 59 11 7 7 2. 8 11 7 75 81 . 3 75 7 4. 7 75 2 4. 4 21 . 1 23. 7 47 . 8 28. 9 8 3 4 ¢ 11 4 38 21 7○ ホ 有職率 子 1義時 ( 第1 ) ー ∩ 近畿 I L ,F プ 九州 2 3 0 2 . 0 5 25 28. 令 91 ヒ集遭 真北 前景 ] 真意 北縫 中薗 38 5 . 0 2 7 0. 2 52. 3 67 . 9 56. 8 3 8 4 8 11 4 3 8 278 78. 5 7 7 3. 7 7一 . ー 61 . 9 72 . 4 ト 25. 5 6. 1 5 0. 0 21 . 5 26. 2 38. 5 21 . 9 23. 4 全 7 9 33 58 1 81 85 39 1 05 1 45 全B) 北 濃遭 真北 朗薫 真束 北陸 中節 近畿 中皿 四亙 九州 28. 7 22. 9 35. 8 28 . 8 25. 0 53. 7 3 0. 1 1 7. 8 31 . 1 31 . 0 3 0. 1 65 3 5 53 ー 2 4 3○ 41 83 1 2 9 45 29 73 r ー 夫常糟農事 時)( 緒 792 33 58 1 81 85 39 1 05 1 45 6 91 一 . 4 0 4 2 4 5 5 7. 1 91 79 . 7 87. 9 7 0. 7 糾 、 5 76 . 9 69_ 2 78一 1 82. 8 l J L 有職率 f ( *) 第1 真東 北瞳 中書 近畿 中笛 四亙 九州 28. 4 1 8. 7 26. 9 22, 1 1 2 . 8 餌. 0 23 . 5 25 . 8 1 8. 8 3 0. 8 46. 5 % 1子 1義時 ) ∩ 朱鷺農 糟 時事)( 鶴 87. 1 $59 8 5. 3 77. 1 95 7 7. 1 45. 3 5 3 9 0. 6 7一 . 8 ー 2 4 87. 9 8 0. 8 38 8 0. ○ 38. 8 41 85. 4 57. 8 83 81 . 9 76. 0 1 29 9 0. 7 71 . 1 45 82 . 2 72^ 29 79. 3 68. 5 7 3 8 3. 3 鍾: r 職責 」は東京を稔く各県。 -8 0- ∩ 85 8 3 5 5 3 1 2 4 細 4ー 83 1 2 9 45 29 7 2 % 1子1 ∩ 故 零叢義 畢時(育) 45 2 4 28 1 31 39 1 5 51 9 0 1 6 1 3 43 一 一 79 2 33 58 1 81 65 3 9 1 05 1 45 8 4 8. 0 6 4 2 4 5 7 0. 3 91 )コーホー ト a . 1 9別ト99年最なL 全皿 北濃遭 真北 闇景 3 8 4 6 1 1 4 38 2ー 7 8 % 1手 lJ L時) 6 4. 5 87. 9 39. 7 ○5. 7 8 9. 2 53. 8 55. 2 72. 4 a . 1 98 0-89年象と 苫りコ-. . ∫- ト ∩ 87. 3 $1 4 96_ 3 27 97_ 0 48 9 4. 5 I SS 88. 4 43 8 0. 8 28 8 8. 9 72 89. 9 日9 88. 8 35 9 0. 5 2ー 86. 7 6 0 ∩ ・ 大鞘精砕) 零尊 く 鞘 43. 33 79 8 5 2 0 3 ○ 5 0 38. ー 42 一7. 1 糾 25 2 8 40. 4 5 2 51 . 7 8 0 46. 4 28 28. 6 1 4 49. 49 一 ■ ■ b . 1令60-694線 なリコー ′ヽ 有職 子1 畢 ∴( 時 第1 ) ∩ % 61 5 27 46 1 5 5 43 28 72 11 9 38 21 -8 0 打与 . 1 , i .F 1 ∩ 糾. 4 7 37 8 0 . 0 45 82. 1 56 86. 9 1 53 7 4. 4 43 約. 5 41 83. 0 9 4 91. 9 1 36 82. 8 46 82. 1 2 8 83. 5 8 5 7 0, 0 1 0 e. 1 960-69年 出生コ-ホ-ト 北A B 中盤 近畿 r l 77. 88 65 93. 5 31 75. 0 糾 82 . 7 1 79 79. 3 82 71 . 7 48 7 4」 0 1 27 8 2. 11 51 8 0. 0 45 79. 3 29 ○4. 8 1 05 % 有職率 子 1義時 ( 第) 1 ∩ 機雷 1子鷺 1義 響時く幕) 全面 北濃遭 真北 鶏糞 真意 6.197か79年瀧なりコー % ∩ 横1子 幕簾率 lJ L晴) (第 88 31 6 3 1 78 82 4¢ 1 28 ー 51 45 28 1 08 ∩ 58. 82 ○7 46. 7 1 5 58. 5 41 5一. 2 2 4 71 . 4 21 88. 7 1 5 51 . 4 37 8 8. 2 44 48. i 27 5 5. 8 9 53. 1 32 b . 1930-394 出生コーホー ト ( 親 な りコーホー ト別) a. 1 950-5 9年瀧なリコー' 蘇- ト 8 0. 0 87. 5 65. 4 85 . 5 92. 3 8 0. 0 8 4. 7 8 4. 4 62. 5 84. 6 76. 7 ∩ 夫常婚時 雇畢 )く 轄 455 2 4 26 ー 31 3 9 ー 5 51 9 0 1 6 1 3 43 ∩ 88 _ 1 455 10_ 0 2 4 8 4. 6 28 8 3. 2 1 31 8 7. 2 39 8 8. 7 1 5 92. 2 51 93. 3 9 0 81 . 3 1 6 1 0 0. 0 1 3 86. 0 43 0 0 0 20 40 6 0 80 夫常雇率 a.農村 ・ 山村 ・ 漁村 = 招i I- 表 1960' S / し / 一 汁、 J 9 8 0 S \ S ヽ. 9 9 0 一 , 1970' 5 1 1地 域 特 性 別 に み た 第 1 子 1歳 時 妻 有 横 車 ・ 結 婚 時 夫 常 雇 率 (親 な り コ ー ホ ー ト 別 ) a農 村 ・ 山村 ・ 漁村 ー950. S■ 有子性1 率 歳く 時 第) 1 ∩ 」 1 9 5 0 -5 9年親なり 0 -6 9 年親なり 1 9 6 0 -7 9 年親なり 1 9 7 0 8 9年親なり 1 9 8 一 一 ・ . _ - 堅 有 牢4 5 3 2 1 0 0 0 0 0 図 20 5 5地 域 4 0 *常雇*60 80 C .大都市あるい は地方の中心的都市 % 3 0 . 8 31 . 2 3 6 . 1 3 7 . 8 夫 ( 結常婚雇時率) 1 9 8 1 7 3 1 5 8 1 2 7 3 8 . 4 5 6 . 6 6 5 , 8 8 0 . 3 b. 地方小都市 r ー 1 9 8 1 7 3 1 5 8 1 2 7 % 1 特 性 別 に み た 第 1 子 1歳 時 妻 有 蒋 率 暮 結 婚 時 夫 常 雇 率 の 親 な り コ-ホ-日嗣推 移 有子職1 率 歳( 時 第) 1 ∩ 1 9 5 0 -5 9 年親なり 1 9 6 0 6 9年親なり 1 9 7 0 -7 9 年親なり 年額なり 1 9 8 0 8 9 年親なり 1 9 9 0 -9 9 2 2 . 2 2 9 . 6 2 7 . 0 2 8 . 0 2 4 . 5 夫 ( 結常婚雇時率) 9 9 2 6 0 3 37 2 8 6 2 0 4 7 3 . 7 7 9 . 6 81 . 0 86 . 7 9 0 . 2 ∩ 9 9 2 6 0 3 37 2 8 6 2 0 4 有職 子1 率( 歳時) 第1 ∩ 夫 ( 結常婚置時畢) ∩ 1 7 . 2 8 7 7 2 . 4 87 1 9 5 0 -5 9 *親なり 1 9 6 06 9*#なL J 1 9 7 0 -7 9 年親なり 1 9 8 0 8 9 年親なり 1 9 9 0 -9 9 年親なり 1 9 . 0 1 8 . 5 2 4 . 8 2 3 . 7 2 31 2 9 7 2 3 8 1 9 4 7 8 . 4 2 3 1 8 5 . 2 2 9 7 8 6 . 9 2 3 7 8 9 . 7 194 5-3 既婚女性の<専業主婦化一 労働力化>の変遷 と地域性 (2): 核家族率 との関連 を軸 と して (1)問題提起 と分析のね らい 以下では、 さ らに近代化 のひ とつの特徴 としての核家族化 と<専業 主婦化一 労働 力化 > との関連 をみてい く。既 に述べて きた第 1子 1歳時の妻の就業 の有無 と世帯構成 とのクロ ス集計の結果か らも、全体 として核 家族世帯 よ り拡大家族世帯の方が妻 の有職者割合 が高 い ことが読 み とれ る。就業 中の育児 について家族のサポー トを期待で きるか どうか とい う 実際上の問題がその背景 のひ とつ として考え られ る ( 無論、 この場合 の有職者 の数値 には 拡大家族率 の もともと高い 自営業 の妻が含 まれるので、別の説明方式 も考 え られる点、核 家族率 と妻有職率 との間 には双方向的な規定関係 が存在 する可能性 があ る点 に留意 しなけ ればな らない)。いずれ にせ よ、一般 的にいって拡大家族は既婚女性 の就労 に対 し事実上 促進的な効果 をもって きた と考え られ る。世帯構成 と就業 の有無 とい う変数間のこう した 関連性 にはコーホー ト差 ・地域差 が存在するだろうか。存在 する とすれば どの ような様態 を示 してい るのだろうか。本節では、以下の点について明 らかにする0 ①核 家族率 と妻有職率 との関係の地域間差異の様態 ②差異の様態のコーホー ト間推移 ③核 家族率 と妻有職率 との関連パ ター ンのコーホー ト間推移 ④ 関連パ ター ンの推移 の地域別特徴 (2)核家族世帯の増加 と妻の就業状況の変化 ( a) 居住地域 ブロックによる多様性 ① 出生 コーホー ト別の観察 図 56a∼ eは、妻有職率 を縦軸 に、核家族率を横軸にお き、居住地域 ブロックごとの 数値 の交点 をプロ ッ トしたものである。 6aか ら 1 9 2029年出生 コーホー トにおける地域 ブロ ックの分布の特徴 を概観 する 図 5 と、核 家族率が低 く妻有職率が高 い北陸 ・四国ブロック と核家族率が高 く妻有職率が低 い 近畿 ・東京 ブロックの 2極 を結ぶ右肩下が りの軸の周囲に概ね プロッ トが分布 しているこ とがみて とれ る。 1 9 3039年 出生 コーホー トでは、全体 に核 家族率が上昇 し、右肩下 が り の特徴 が よ り明確 になっている ( 図 5 6 b)。 このコーホー ト以降、北海道 ブロックの高核 家族率 ・低妻有職率が際だ って くる。 1 9 4 049年出生コーホー トでは、核 家族率は 4割台 か ら 9割台 まで分散 し、低核家族率 ・低妻有職率の東北 ・北陸 ・九州 ブロックか ら高核 家 族率 ・低妻有職率の北海道 ・沖縄 ・東京 ブロックに至 る右肩下が りの姿が さ らに顕著 にな る (図 56 C)。ただ し、 中部 ・中国ブロックで相対的にやや低核 家族率 ・低妻有職率の傾 向がみ とめ られる。 さ らに 1 9 5059年 出生コーホー トでは、全体 に妻有職率 がい くらか上 昇 するが、北陸 ・東北 ブロックと北海道 ・東京 ・近畿 ブロックを両極 に右肩下が りの姿が 維持 され る。とりわけ、北陸の低核 家族率 ・高就労率が 目につ く ( 図5 6d) 。そ して 1 96 069 年 出生 コーホー トでは、右肩下が りの姿が崩れは じめ、核家族率 と妻有職率の関連性 に多 様化 の兆 しが認め られるようにな る ( 図 56 e) 0 -8 2- 60 40 有職率 / /軍 ー 20 包/; ] A ヒ. 附 ; 圏 ・ 九 州 ヾ 尋 " 0 2 0 了蒜ヽ∈ 空 車 40 8 0 6 0 0 1 0 0 40 6 0 8 0 1 00 核 家族 率 核家族率 a.1 92 0 -2 9年出生コーホート 1 20 _」 d.1 9 5 0 -59年出生コーホート ー し _ 一 一 00 0 6 叩 職率 J 1→- 1 -I有-■1--_ ∃1 0 4 2 0 4 0 6 0 核家族率 8 0 1 00 0 20 40 6 0 4 0 6 0 核 家族率 b.1 9 3 0 -39年出生コーホート 0 20 8 0 e.1 9 6 0 -6 9年出生コーホート 8 0 核家 族 率 C.1 9 4 0 -49年出生コーホート 図5 6第 1子 1歳時妻有職 率 ・核家族率の地域 ブ ロック差 (出生 コーホー ト別) -8 3- 1 00 ②親な りコーホー ト別の観察 図 57aか ら 1 9 5 059年親 な りコーホー トにおけるグラフの特徴 をみると、核家族率は 2割台か ら 6割台 まで広 く分布 しているが、有職率は沖縄を除いて 2割前後か ら 3割台の 9 6 069年親な りコーホ 間にプロッ トされてお り、概ね水平に広がった姿を呈 している。 1 ー トでは、核家族率が低 く妻有職率の高い北陸ブロックと、核家族率が高 く妻有職率の低 7 b)O右肩 い北海道 ・東京 ・近畿 ブロ ックを極 に右肩下が りにプロッ トが分布する ( 図 5- 9 7 079年親 な りコーホー トにおいて一層顕著である ( 図 57C )。 ここで 下が りの傾 向は 1 は東北ブロックの低核家族率 ・高妻有職率、北海道 ・沖純ブロックの高核家族率 ・低妻有 9 8 08 9年親 な りコーホー トでは、全体に妻有職率が上昇する ( 図 57d) 0 職率が際だつ。1 低核家族率 ・高妻有職率の北陸 ・東北 ブロックと、その道の北海道 ・東京 ・近畿ブロック 9 9 09 9年親な りコーホー ト を両極 としてやは り右肩下が りの姿が維持 される。 しか し、 1 になると、全体 に核家族率が上昇するとともに、右肩下が りの姿 に崩れが認め られる。沖 縄 ブロックの相対的な高核家族率 ・高妻有職率、中国 ・東北 ・中部 ブロックの低核家族率 ・低妻有職率が 目につ く ( 図 57 e) ( b)核家族化 と妻有職率 との関連性のコーホー ト間推移 と地域性 ① 出生コーホー トにみる変遷 全国 核家族率はコーホー トを通 じて 4割強か ら 8割弱へ と一貫 して上昇 している ( 図 58 a) 。一方、妻有職率はコーホー トを通 じて 2割台で推移 し、 1 9 5 059年出生コー ホー トにかけて若干の上昇がみ られるものの、さほど大 きな変化 は認め られない。 東京 ブロック 地域 ブロック別 に観察すると、全国データ とは異なる動 きが観察され る。東京ブロックでは、 コーホー トを通 じて核家族率が 6割弱か ら 9割へ と一貫 して上昇 9 2 029年 出生 コーホー トか ら 1 9 3 039年 出生コーホー トにかけて している。妻有職率は 1 2割弱か ら 3割弱へ と上昇するが、以降低下傾向が続 き 1 9 6 069年出生コーホー トでは 1 割 を割 りこんでいる ( 図 58 b) 0 このブロックにおいて も核家族率は一貫 して上昇するが、 1 9 2 029年 中部 ブロック 9 669年出生コーホー トでも 6割強 までの上昇 にとどま り 出生コーホー トの 4割弱か ら 1 0 9 2 029年 出生コーホ 上昇率は東京ブロックのそれ よ りも低 い。東京ブロックと異な り、 1 9 4 049年出生 コーホー トにかけて核家族率の上昇の一方で、妻有職率 には 1 0 ー トか ら 1 ポイン ト以上の低下がみ られる ( 図 58 C) .そ して 1 9 5 0 59年 出生 コーホー トにかけて妻 0ポイン ト弱回復 し、 さ らに 1 9 6 0 6 9年出生コーホー トにかけて妻有職率がい 有職率は 1 くらか再下降する。 北陸ブロック 図 58 d) 。 このブロックでは、前 2者 とは大 きく異なる動 きがみ られる ( 核 家族率は一貫上昇でな く、 1 9 5059年出生コーホー トでいったん低下する。 1 9 4 049年 9 5059年出生コーホー トにかけての核家族率の 1 0ポイン ト近い低 出生コーホー トか ら 1 0 ポイ ン トを超 える著 しい上昇は特徴的である。 1 9 6 06 9年出生 コー 下 と、妻有職率の 3 9 4 049年出生 コーホー ト並にもどる。 ホー トでは、核家族率が再び上昇 し、妻有職率は 1 -8 4- II -1 -ト- I ll -- - ・ ー 0 0 0 20 40 60 80 核家族率 a.1 95 0-59年親なりコーホー ト 1 00 _ 」 4 0 60 80 核家族 d.1 980-89 年親なりコーホー ト 2 0 率 I 職 率 有 0 0 40 60 80 核 家族率 b.1 96 0 -1 969年親なりコーホート 0 〔 0 0 20 = 20 40 60 8 0 核 家族率 e.1 99 0 -1 999年親なりコーホート 4 0 6 0 80 核家族率 C.1 97 0-79年親なりコーホート 20 図5 1 7 第 1子 1歳時妻有職率 ・核家族率の地域プ ロッタ差 ( 親 な りコーホー ト別) -8 5- 0 0 20 40 6 0 核家族率 C.中部 ト - 票 1 930■ 8 へ. 1 9 一- 12 Ts / 戸 40' S_ .--.㍗ . S ヽ 図5 8 地 域 7.叩 ク別 に み た 第 1子 1歳 時 妻 有 職 率 ・核 家 族 率 の 出 生 コート も開 推 移 80 ② 親 な りコーホー トにみ る変遷 最後 に、親な りコーホー ト別の推移 を観察す る。 全国 核家族率 はコーホー トを通 じて 4割強か ら 8割 に上昇 する ( 図 59a)。一方、 妻有職率は 2割台後半でほぼ変化 な く推移 してい る。 東京 ブロック 1 9 7 079年親 な りコーホー トか ら 1 98 089年親 な りコーホー トにかけ て核 家族率 がいったん 1 0ポイ ン ト近 く低下するが、全体 と してコーホー トを通 じ 5 0ポイ ン ト以上の上昇がみ られ る ( 図 59 b) 。1 9 5059年親 な りコー ホー トか ら 1 9 6 069年親 な り コーホー トにかけて核 家族率の 5割弱か ら 8割強への著 しい上昇 と、妻有職率の 3割か ら 1割強へ の低下が生 じている点は注 目に値 する。 1 9 7079 年親 な りコーホー トでは、核 家 族率 の上昇率が鈍化 する一方で、妻有職率が 2割 台夫常雇 率後 半 まで回復 する。 さ らに 1 98 089年親 な りコーホー トか ら 1 9 9 09 9年親 な りコーホー トにかけて妻有職率は 1割強 まで低下す る。 中部 ブ ロック このブロックのグラフの姿は、全国のそれ に近似 している。核家族率 はコーホー トを通 じて 4割か ら 6割台半ばへ と一貫 して上昇 する (図 59 C)。一方、妻有 職率はほぼ 2割台で推移 する。 1 9 7 079年親 な りコーホー トか ら 1 98 089年親な りコーホ 99 099年親 な りコーホー トでは再び ー トにかけて妻有職率 が 3割へ と若干上昇するが、 1 低下傾 向を示す。 北陸 ブロック このブロックでは、妻有職率はコーホー トを通 じて 3割強か ら 6割へ と一貫 して上昇 してい る。 1 98 089年親な りコーホー トで核 家族率の 2 0 ポイ ン ト近い低 下 と妻有職率の 1 5ポイ ン トの上昇がみ られ るのが特徴 的であ る ( 図 59d) 0 5-4 要約 と結論 主な知見 を以下 に列挙する。 ( 9第 1子 1歳時の妻の有職率は、コーホー トを通 じ全体 と して 250 / .内外 で推移 している. ②第 1子 1歳時の妻の有職率は、大都市/地方 中心都市地域 よ り地方小都市地域で、 また 地方小都市地域 よ り農 山漁村地域でよ り高 くな ってい る。 ③第 1子 1歳時の妻の有職率は、北陸 ・沖縄 ・東北 ・四国 ・九州 ブロックで よ り高 く、 中 部 ・東京 ・中国 ・近畿 ・北海道 ブロックで よ り低 くな ってお り、北海道 を除いていわば 周辺地域 の妻有職率が概 して高い傾向が示唆 された。 ④第 1子 1歳時の妻の有職率は核 家族世帯よ り拡大家族世帯の方で よ り高い。 ⑤夫常雇率 と妻有職率 との居住地域 ブロック間差異の様 態 について出生 コーホー ト間で推 移 をみ る と、 1 9 4 049年出生 コーホー ト以降、夫常雇 率が低 く妻有職率が高い ブロック と夫常雇率が高 く妻有職率が低 いブロックを極 として、 2点 をつな く軸の周 囲に各地域 ブロックがプロ ッ トされる、いわば 「右肩下が り」の分布パ ター ンが維持 されているこ とがわか った。 ⑥夫常雇率 と妻有職率 との居住地域 ブロック間差異の様態 について親 な りコーホー ト間で 推移 をみ ると、1 9 5059年 コーホー ト以来維持 された 「右肩下 が り」の分布パター ンが、 1 98 08 9年親な りコーホー トか ら崩れは じめ、多様化 の兆候 が示唆 された0 -8 7- ⑦夫常雇率 と妻有職率 との関連パ ター ンの出生コーホー ト間推移 をみる と、東京 ・中部 ・ 北陸の 3ブロック間でその動 きが大 きく異なっていることがわかった。すなわち、東京 ブロックでは 1 9 3039年 出生コーホー ト以降 - 1 9 5 059年 出生 コーホー トでい くらか 揺 り戻 しがあるものの - 夫常雇率が上昇する一方で妻有職率が低下する。 中部ブロッ 9 4049 年 出生 コーホー トまで夫常雇率が上昇する一方で妻有職率の低下がみ クでは、 1 9 5059 年 出生コーホー トでは妻有職率が上昇 に転 じ、 1 9 6 06 9 年出生 コー られるが、 1 9 3 039年 出生 コーホー トか ホー トでは再び低下する。北陸ブロックでは、夫常雇率が 1 9 5059年出生コーホー トにかけて上昇する一方、妻有職率は 1 9 5 059年 出生 コーホ ら1 ー トにおける突出を除いて 3割台前半で高めに推移する。 1 9 5059年出生 コーホー トで 妻有職率が 30ポイ ン ト上昇 し、 6割以上に達 している点が特徴的である。 ⑧夫常雇率 と妻有職率 との関連パ ター ンの親な りコーホー ト間推移 をみ ると、東京ブロッ 96 069年親 な りコーホー トまで夫常雇率の急上昇の一方で低下 した妻有職率 クでは、 1 9 7079年親 な りコーホー トでは反騰 し、 1 9 8 08 9年親 な りコーホー トまで維持 さ が、 1 9 7079年親な りコーホー トまで夫常雇率の上昇 にかかわ ら れる. 中部 ブロックでは、 1 9 8 08 9年親な りコーホー トで若干上昇する。北陸ブ ずほぼ横這いだった妻有職率が、 1 ロックでは夫常雇率の上昇 ・下降にかかわ らず妻有職率はコーホー トを通 じて上昇 して いる。 ⑨ さらに、居住地域特性 間で比較すると、大都市/地方中心都市地域では夫常雇率が上昇 98 08 9年親な りコーホー トでは若干上昇傾向 するなかで横這いであった妻有職率が、 1 9 6 06 9年親な りコーホー トまで夫常雇率 とともに上昇 を示す。地方小都市地域では、 1 した妻有職率が、以降横這いない し若干の下降傾向を示す。農 山漁村地域では、夫常雇 9 8 089年親な りコーホー トまで上昇するなか、妻有職率は 1 96 069年親な りコー 率が 1 ホー ト以降に一貫 して上昇する。 ⑬核家族率 と妻有職率 との居住地域ブロック間差異の様態について出生 コーホー ト間で推 移 をみると、 1 9 5 059年 出生コーホー トまで核家族率が低 く妻有職率が高い東北 ・北陸 を中心 とするブロック と核家族率が高 く妻有職率が低い北海道 ・東京 ・近畿 を中心 とす るブロックを極 に維持 されて きた 「 右肩下が り」の分布パター ンが、 1 9 6 069年親 な り コーホー トで崩れ、分散が大 き くなっている。 ⑪核家族率 と妻有職率 との地域 ブロック間差異の様態について親 な りコーホー ト間で推移 をみると、東北 ・北陸 を中心 とするブロックと北海道 ・東京 ・近畿を中心 とするブロッ 96 069年親な りコーホー ト以降維持されてきた 「 右肩下が り」の分布パター クを極 に 1 ンが、 1 99 099年親な りコーホー トでは崩れをみせている。 ⑫核家族率 と妻有職率 との関連パ ター ンの出生コーホー ト間推移 をみる と、東京ブロック 9 3 039年出生コーホー トにかけて上昇 した妻 では核 家族率が一貫 して上昇するなか、 1 9 4 049 有職率は、以降下降傾 向に転 じる。中部ブロックでは、核 家族率が上昇す るなか 1 年出生コーホー トまで低下 した妻有職率は、1 9 5 059年出生コーホー トで反騰 し、1 66 069 年出生コーホー トで再び下降傾 向を示す。北陸ブロックでは、 1 9 5059 年 出生コーホー トを除いて全体 に核家族率が上昇するなか、妻有職率はほぼ 3割台で推移する。1 9 5 059 年出生コーホー トにおける核家族率の 20ポイン ト近い低下 と妻有職率の 30ポイ ン トの 96 069 年出生コーホー トでは再び核 家族率が上昇 し、妻有職 上昇が特徴的であるが、 1 -8 8- 40 20 6 0 80 核 家族 率 C. 中部 - 89- l t -。 転 職率 1 95 0' S 1 980. S 1 97 0' S 00 職 率 育8 6 2 4 J I 1 9 6 0. S l 2 0 4 0 6 0 80 核 家族 率 b.東 京 てこ/ 1 9W s / ,r \ \ 0 1 95 . S( - -l 9 6 0 ■ S- -) 1 9 7 0 . s - て こフ l ー 9 9 0 ● S 1 99 0' S 10 20 60 40 核 族 d.北陸 家 率 7 j鹿 な り コーホート間 推 移 図5 9 地 域 フ◆り ク別 に み た 第 1子 1歳 暗 室 有 収 率 ・核 家 族 率 ( 80 10 0 率が低下 す る。 ⑬核 家族率 と妻有職 率 との関連パ ター ンの親 な りコーホー ト間推移 をみ る と、東京 ブロ ッ 96069 年親 な りコーホー トにかけて核 家族 率 が上昇 す る一方 で低下 した妻有 クでは、 1 9 7079年親 な りコー ホー トでは上昇 し、 さ らに 1 98 089年親 な りコー ホー ト 職率 が、 1 99 099年親 な りコー ホー トにかけて核 家族率の低下 とともに再低 下 す る. 中部 ブ から 1 9 7079年親 な りコー ホー トまで横這 ロ ックで は、核 家族 率 が一貫 して増加 す るなかで 1 98 089年親 な りコー ホー トでい くらか上昇 し、 いない し低下含 み だ った妻有職 率が 1 1 99 099年親 な りコー ホー トでは再 び低 下 す る。北陸 ブロ ックでは、核 家族率 が上昇 と 98 089 年 出生 コー ホー トで核 家 低 下 をみせ るなかで、妻有職率 は一貫 して上昇す る。 1 5ポイ ン ト上昇 してい る点 が特徴 的で あ る。 族率 が 20ポ イ ン ト弱低下 し、妻有職率が 1 全体 と して、夫常雇率 と妻有職 率 の地域別 プロ ッ トは、 あ る時点 まで 「右肩 下 が り」 の 姿 を呈 す るが、若 い コー ホー トでは分散が拡 大 し、「右肩 下 が り」 の形 が崩 れて い くとい 98 08 9年 コー ホー ト以 降 に生 え る。そ う した多様化傾 向は、親 な りコーホー トでいえば 1 じてい る。核 家族 率 と妻有職率 に関 して も同様 の動 きがみ られ るが、多様化 が認 め られ る 9909 9年 コー ホー トであ る。こう した推移 を、前節 ( 52 のは、親 な りコー ホー トで いえば 1 ( 1日b) ) で あげた図 を用 いて示す と以下の ようになろう。 妻有職 率 J 一 向 妻有職 率 ■ 一 局 ; 一 -_ ---I 一 ㌧ Ⅳ : ----ⅠⅠ -■ ー - ⅠⅠⅠ - Ⅰ 、 - - Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅳ -- - - - 低 低 また、 夫常雇率 と妻有職率の居住地域別 にみ た変遷パ ター ンを親 な りコーホー ト間でみ 96 069年親 な り た場合、概 ね次 の よ うな こ とがい えるだろ う。首都地域 ( 東京 )で は、 1 「専業 主婦化 」の進行 )0 コーホー トまで夫常雇 率 の上昇 に ともな って妻有職率が低下 す る ( 97 079年親 な りコー ホー ト以降夫常雇率 ・妻有職 率 が ともに上 昇 に転 じる。一 そ して、 1 96 069 年親 な りコー ホー 方、地方 ブ ロ ックの一つ と して取 り上 げた中部 ブロ ックで は、 1 9 7079 トまで夫常雇率 の上昇 にかかわ らず妻有職 率がほ とん ど変化 しなか った。そ して、1 年親 な りコーホー トでわずか に夫常雇率の上昇 と妻有職率 の低 下 をみて 以 降、 1 98 089 年 9 9099年親 な りコー 親 な りコー ホー トで は夫常雇率 ・妻有職率 が ともに上昇 し、 さ らに 1 ホー トにか けて - 大都 市地域 を追 いかける形 でか - 夫常雇率 の上昇 と妻有職率 の若 干 の低 下傾 向がみ られ る (7) 。農 山漁村 地域 の場合 、 少 な くとも今 回の分析 の限 りでは - 自営業 主流 か被雇 用主流 かの特定 はなされていないが - 一般 に第 1子 1歳時 の妻 の有職 率 は コー ホー トを通 じて上昇 し、「専業主婦化 」 が進行 す る時期 を確 認 す る こ とはで きな -9 0- い。 こう した流れ を図示すると、以下のようになる。東京 ブロ ックの趨勢 は 52( 1日b日 で想定 され た図式の 「 大都市 地域」のそれに、 また中部 ブロックは 「 地方小都市」のそれ に概ね対応 する。 1 9 5059* 親な りコ ーホ ート 1 96 06 9* 1 9 7079* 1 98 089* 1 9 9 09 9* 東京 ブロ ック Ⅰ Ⅰ Ⅳ Ⅰ Ⅰ ? 中部 ブロ ック Ⅰ Ⅰ Ⅰ ( Ⅳ) Ⅰ ? 最後 に、核家族率 と妻有職率の居住地域別 にみた変遷パ ター ンについて まとめると、首 9 6 06 9年親な りコーホー トまで核家族化 の進展 とともに妻有職率が 都地域 ( 東京)では 1 9 7 079年親 な りコーホー トで有職率は上昇に転 じる。一方 中部 ブロックで妻有 低下 し、 1 98 08 9年親な りコーホー トにおいてである。北陸 ブロックは特 職率が上昇 に転 じるのは 1 異なパター ンを示 してお り、核家族率の上昇/下降にかかわ らず妻有職率は一貫 して上昇 9 8 08 9年親な りコーホー トで核家族率の大幅な低下 と妻有職率の する。 とりわけ、 1 急激な上昇が認め られる点が特徴的である。 以上、 <専業主婦化一 労働力化 >の様態には地域 による多様性 が存在 し、地域性 とい う 側面か らみ た場合わが国の近代化が一元的な図式で進展 して きてはいない可能性が示唆 さ れた。 この点の十全な解明のためにはさ らに撤密な分析 が必要であることは言 うまでもな い。地域性の背後 にあって - あるいは 「 地域性」によって表象 され る - <専業主婦化一 労働力化 >パ ター ンのバ リエーシ ョンを形成 する社会 ・経済的ない し文化的要 因 とその形 成 メカニズムを解明することも今後の課題である。 注 ( 1 )結婚 と同年 に仕事 を辞め、その後就業経験 のない者は 「就業経験 な し」 としてカウン トした。 ( 2)地域 ブロックの分類は以下の通 り。 北海道、東北 ( 青森、岩手、宮城、秋 田、 山形、福 島) 、関東 ( 茨城、栃木、群馬、埼 玉、 千葉 、東京、神奈川)、北陸 ( 新潟、富 山、石川、福 井 )、 中部 (山梨、長野、岐 阜、静岡、愛知)、近畿 ( 三重、滋賀、京都、大阪、兵庫 、奈良、和 歌 山)、 中国 ( 鳥 取、島根、岡山、広 島、山口) 、四国 ( 徳 島、香川、愛媛、高知) 、九州 ( 福岡、佐賀、 長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島) 、沖縄、外 国 ( 3) 配偶 者の職業 について、第 1子 1歳時のデータは収集 されていないので、結婚時のデ ータを代替 させ た。 ( 4) 言 うまで もな く、ここでい う 「有職率」には、 自営業や臨時雇 いの者の数値が 「 有職」 として含 まれている点 に重ねて留意 されたい。ただ し、 自営業 の家族従業者がその労働 を 「 就労」 として認知/ 申告 していない場合があ り得 るために、実態 よ り有職率が低 く 見積 もられている可能性は否定で きない。 ( 5) なお、親な り時期は 1 9 30年代か ら 20 0 0年代 まで分布 しているが、 1 9 49年以前および -9 1- 2 000年以降はサ ンプル数が十分でないため分析か ら除外 した。 ( 6) 1 99 09 9 年親 な りコーホー トの動向については、解釈は保留 とせ ざるを得 ない。それ が構造的 ・趨勢性的な変化 を意味するのか、不況 とい う経済状況 による一時的な現象な のか とい う点 を現時点では判断 し難いか らである。 ( 7) 注 6を参照の こ と。 ちなみ に、 1 9恥 99年親 な りコーホー トに関 しては、東京 ブロッ ク ・中部 ブロックともに妻有職率の若干の低下がみ られる。 参考文献 落合恵美子、 1 997、 『21世紀家族へ 一家族 の戦後体制の見方 ・超 えかた -[ 新版 ] 』、有斐 閣 01 、「家族の地域特性 と親の介護 ・看護」、石原邦雄 ・大久保孝治編 『現代家 吉良伸一、20 族 におけるサポー ト関係 と高齢者介護 ( 家族生活 についての全国調査 ( NFR98)報告書 No. 26) 』 、107-118 熊谷文枝編、 1 997、『日本 の家族 と地域性 一西 日本の家族 を中心 と して - ( 上 )( 下 )』、 ミネルヴァ書房 、「夫婦の就業構造の地域特性」 、嶋崎尚子編 『家族 と職業 ( 家族生活 につ 嶋崎尚子、2001 いての全国調査 ( NFR98)報告 書 No. 27) 』、 1 23 瀬地 山角、 1 9 96、『東 アジアの家父長制-ジェンダーの比較社会学 -』、勤草書房 -9 2- 6 結婚後の世帯 と居住形態の変化 6-1 は じめに 日本の家族 ( 世帯)と居住形態は、戦後の社会状況の変化 に伴って大 きな変動を遂げ今 日に至っているといわれている。その論拠 として、世帯規模は縮小化 し、小規模家族が多 数派になって きたこと、家族構成は核家族化 し、夫婦 と未婚の子 どもか らなる単純な続柄 構成の家族が中心になってきたこと、家族構造は直系家族制か ら夫婦家族制へ と構造的に 変化 し、親子中心の同居形態か ら夫婦中心の別居形態へ と居住形態が変化 して きたことを 挙げている。さ らに、家族変動は、民法の改正、高度経済成長、人口変動によって生 じた としている。 このような家族変動の状況 と研究動向を踏 まえて、ここでは、家族変動要因の一つであ る人口変動を指標 に して記述 ・分析を試みることにした。 というのは、 この調査は、出生 コーホー トによる変化に着 目して家族変動の過程 を析出することを一つの 目的に している か らである。 なお、 ここでは、戦前か ら戦後の出生コーホー トを、次の三つの世代 に区分 して考察す 1 9 3 4年以前出生コーホー ト) 、「 多 ることに した。その三世代区分 とは、「 多産多子世代」 ( 1 9 3 5 -1 9 5 4年出生コーホー ト)、「少産少死世代 」 ( 1 9 5 5年代以降出生コー 産少子世代 」 ( ホー ト) とである。 6-2 世帯構成の変化 世帯構成 とは、世帯の規模 と世帯の親族的構成か らなるとされている。そこで、世帯規 模 と続柄構成お よび世帯構成についての動向を検討することに した。ここでの調査結果は、 結婚直後 ( 最初の子 どもが 1歳のころ状況) と現在 ( 調査時点の状況) とが表章されてい るので、二つの側面か ら考察することに したい。 (1)子 どもが 1歳の ころの状況 世帯規模は、「少産少死世代」 、「多産少子世代」 、「 多産多死世代」の順 に縮小化が進展 し ている。というのは、「平均世帯規模」は 「 多産多死世代」が 4. 6 4人、「多産少子世代」が 4. 0 1人、「少産少死世代」が 3. 6 2人 となっているか らである。三つの世代 とも最 も高い割 合を示 している 「 3人規模世帯」でみると、「多産多死世代」が 4 5. 4%、「多産少死世代」 が6 1. 3 %、「少産少死世代」 が 7 2. 6 %になっている。この 「 3人規模世帯」への集中化傾 -1 ) 0 向か らも世帯規模 の縮小化現象が進展 しているといえよう ( 表6 続柄構成は、嫁入 り婚を前提にして配偶者 ( 夫) の直系尊属 ( 夫の父 と亘)と傍系親族 ( 夫 の兄弟姉妹)の動向をみると、「 多産多死世代」では直系尊属 と傍系親族が比較的多 く同居 しているが、「多産少子世代」 、「少産少死世代」へ と移行するにしたがって、彼 らの占める 割合が低下 して くる。これは、世帯構成が複雑な構成か ら単純な構成へ と変化 して きてい ることを意味 している ( 表6 2 ) 0 -9 3- 表 61 世帯規模 ( 最初の子どもが 1歳のころ) 1人 2人 出 ト生 コ ー ホ ー 総数 総 数 1 9 2 0 -1 9 2 4年 1 9 2 5 -1 9 2 9年 1 9 3 0 -1 9 3 4年 1 9 3 5 -1 9 3 9年 1 9 4 0 -1 9 4 4年 1 9 4 5 -1 9 4 9年 1 9 5 0 -1 9 5 4年 1 9 5 5 -1 9 5 9年 1 9 6 0 -1 9 6 4年 3, 1 9 2 1 0 8 1 8 5 3 21 3 2 4 4 3 5 4 6 5 3 8 4 3 5 8 3 3 7 3人 4人 5人 上 6人以 無 答 回 平均世帯規模 0. 2 61. 9 8. 8 1 3. 3 1 5. 2 0. 4 0. 9 4 7. 2 0. 5 3 7. 3 0. 3 51. 7 5 7. 7 5 9. 8 0. 2 6 4. 0 0. 5 6 3. 5 6 7. 0 7 3. 0 1 4. 8 1 4. 1 1 4. 3 1 2. 7 1 4. 0 1 2. 7 1 4. 3 1 4. 5 1 2. 8 1 0. 2 1 7. 8 9. 0 8. 6 l l. 7 9. 0 7. 0 8. 1 5. 9 2 3. 3 2 8. 6 2 3. 7 2 0. 7 1 4. 4 1 4. 1 1 4. 6 1 0. 4 8. 1 3. 7 1. 6 0. 9 0. 3 0. 3 4. 0 0 -4. 4 3 4. 9 6 4. 5 4 4. 2 9 4. 0 3 3. 8 4 3. 8 6 3. 7 5 3. 6 0 表6 2 続柄構成 (最初 の子 どもが 1歳の ころ) 続 柄 あなた 配偶者 千 子 孫の配偶者 孫の子 の孫 父配 偶 者 母 兄弟姉妹 祖 父母 夫の父 夫の母 総数 ∼ ∼ ∼ ∼ ∼ 1 9 2 0 1 9 2 5 1 9 3 0 1 9 3 5 1 9 4 0 ∼1 9 4 5∼ 1 9 5 0 1 9 5 5 ∼1 9 6 0 ∼1 9 6 5 19 2 41 9 2 9 1 9 3 4 1 9 3 9 1 9 4 9 1 9 4 9 1 9 5 4 1 9 5 9 1 9 6 4 1 9 6 9 ∼ 3, 1 8 0 1 05 1 8 2 3 1 8 3 2 3 4 3 5 4 5 5 3 8 4 3 5 8 3 3 6 2 8 4 9 8 8. 49 61. 99 7 2. 59 8 4. 39 9 3. 89 9 3. 19 91. 29 9 4. 89 8 8. 89 8 8. 19 8 5. 9 9 6 5. 19 4 2. 99 61. 59 4 0. 39 5 6. 79 5 8. 69 7 8. 09 71. 49 7 4. 99 7 3. 29 71. 8 9. 3 3 3. 0 1 9. 0 8. 8 5 3. 56 5. 0 2 3. 0 5 0. 5 3 3. 9 5 0. 3 3 2. 74 61. 94 7. 61 0 4. 4 8 8. 16 6. 74 8. 35 9. 3 4 6. 9 61. 5 4 4. 64 9. 3 2 0. 8 1 9. 0 5 4. 9 31 . 43 7. 2 1 6. 11 5. 4 1 0. 4 l l. 2 l l. 9 21. 1 l l. 6 - l l. 0・ 1 2. 52 4. 8 6. 9 8. 8 1 0. 4 2 2. 3 6. 0 7. 0 2 2 2. 63 5 2. 43 0 7. 72 8 9. 321 6. 72 3 2. 22 0 8. 82 5 0. 01 8 9. 91 7 2. 21 2 3. 2 2 7 3. 34 0 9. 54 0 9. 53 3 6. 52 81 . 72 8 7. 42 7 6. 92 8 3. 92 3 4. 62 0 5. 41 4 7. 9 夫の兄弟姉妹 1 2 4. 82 2 8. 62 4 7. 32 3 5. 81 7 9. 61 2 6. 41 0 9. 91 0 4. 2 5 8. 7 ? 0. 64 2. 3 夫の祖 父母 4 9. 4 8 5. 75 4. 9 5 6. 64 9. 53 6. 84 4. 0 5 2. 14 7. 4 5 9. 5 3 8. 7 その他 の親族 親族 以外 1 4. 8 3 8. 16 0. 4 1 2. 6 1 5. 52 3. 0 6. 6 1 0. 4 8. 4 3. 0 7. 0 9. 1 9. 54 4. 0 1 2. 6 6. 22 3. 0 4. 4 2. 6 2. 8 ■ ■ l l l ■ 世帯構成 につ いてみ る と、核 家族世帯化 が 「多産多死世代」 か ら 「少産 少死世代 」へ 8%、 の変化 に伴 って進展 してい る。 とい うのは、「 核 家族世帯」は 「多産多死 世代 」 46. -9 4- 「多産少子世代 」が 62. 7%、「少産少死世代」が 73. 0% にな ってい るか らであ る( 表 63) 0 -3 世帯構成 ( 最初の子どもが 1歳のころ) 表6 出生コーホート 総 総 数 数 単独世帯 3,192 - 核家族 世帯 拡大家族 世帯 63.0 37.0 1 9 2 5-1 9 2 9年 185 40.0 60.0 1 9 3 0-1 9 3 4 年 321 52.3 47.7 1 9 3 5-1 9 3 9 年 1 9 4 0-1 9 4 4年 324 58.3 41.7 435 63.0 37.0 1 9 4 5-1 9 4 9 年 1 9 5 0-1 9 5 4年 455 64.2 35.8 384 65.4 34.6 1 9 5 5-1 9 5 9 年 358 67.9 32.1 1 9 6 0-1 9 6 4年 1 9 2 0 -1 9 2 4 年 1 9 6 5-1 9 6 9 年 337 10 2 88 5 73.3 4 8. .5 1 77 26.7 52 1. .9 2 5 l ■ -■ 一 ■ ■ ■ ■ ■ ■ - 非親族 世帯 ■ l 一 ■ l ■ ■ I ■ l l l ■ -■ ■ ■ ■ ■ ■ (2)現在の状況 つ ぎに、調査時点 における世帯規模、続柄構成、世帯構成 をみてお こう。 世帯規模 は、 「多産多死世代Jか ら 「 多産少死世代」 に移行するに したが って、拡大化 の方向にある。 とい うのは、 「多産多死世代」が 3 . 1 0 人、 「多産少子世代 」が 3 . 3 6 人、 「 少 産少死世代」が 4. 3 0 人 となっているか らであ る ( 表6 4 )。 続柄構成 をみ る と、 「多産多死世代」は直系卑属 ( 子 )が比較的多 く、配偶 者のいる子 も比較的多 くな ってい る。 「 多産少子世代」 については、 1 9 4 5 年 出生 コーホー トを分岐点 に して大 きな差異 が生 じている。 1 9 4 5 年以前 出生 コーホー トは直系卑属 が比較的多いが、 以降では直系尊属 が比較的多い構成 を示 して くる とともに、直系尊属 ( 夫の父母)が若干 増加 して くる。 この傾 向は、 「少産少死世代」 になる と、一層強 まって くる。 この ように 「少産少死世代 」では、 「多産少子世代」にみ られた傾 向が さ らに強 ま り、配偶者 のいる 子の割合 は著 しく低下 し、直系尊属 の占める割合 が増加 している。 さ らに、 「自分 の父母」 が 占め る割合 が増加 して くることも特徴の一つ になってい る。 この出生 コーホー トを仔細 に検討す る と、 「自分 の兄弟姉妹」 と自分の祖父母 も存在 して くる。 これは、 この期 に娘 -5 )0 との同居世帯が顕在化 して きたのか も しれない ( 表6 世帯構成 をみ る と、 「 核 家族世帯」は、 「多産少死世代 」が 「 多産多死世代」 よ り高い 割合 を示 してい るが、 「少産少死世代」は 「多産少死世代」 よ り 「 核 家族世帯」割合 が低 くなっている。 「 多産少死世代」の 「 核 家族世帯」割合 の増加理 由 と して、 この期 の出生 コーホー トは兄弟姉妹数が多 く、 しかも結婚可能 な年齢 まで生 きることがで きるように なって きた。その結果、親の世帯 を継承 しない兄弟姉妹数 が増加 し、彼 らが新 しい 「 核家 拡大家族世帯」についてみ る と 「多 族世帯」を形成 す るようになったため とされてい る。 「 産多死世代」が最 も多 く、つ ぎが 「少産少死世代 」、 「多産少子世代 」の順 にな っている。 この 「 拡大家族 世帯」 と続柄構成 との動向を繋 ぎあわせ る と、 「多産多死世代 」の 「 拡大 -9 5- 表6 4 世帯規模 ( 現在) 1 人 2 人 出生 コーホ ー ト 総数 総 数 1 9 2 0 -1 9 2 4 年 1 9 2 5 -1 9 2 9 年 1 9 3 0 -1 9 3 4 年 年 1 9 3 5 -1 9 3 9 年 1 9 4 0 -1 9 4 4 年 1 9 4 5 -1 9 4 9 年 1 9 5 0 -1 9 5 4 1 9 5 5 -1 9 5 9 年 1 9 6 0 -1 9 6 4 年 表6 5 続 柄 あなた 配偶 者 千 子 の配偶 者 孫 孫 の配偶 者 孫 の子 父 4 人 5 人 上 6 人以 答 無回 平均世帯 規模 3, 4 7 5 4. 1 2 4. 3 2 2. 2 2 2. 7 1 3. 4 1 3. 2 0. 2 1 1 5 1 9 7 3 3 9 3 4 2 4 5 6 4 8 3 4 21 3 9 4 3 7 5 2 3. 5 1 3. 2 8. 0 7. 0 2. 9 1. 9 1. 7 0. 5 1. 1 3 0. 4 3 7. 1 5 0. 1 4 2. 1 3 6. 6 2 2. 8 1 3. 1 7. 1 6. 1 1 5. 7 1 0. 2 1 4. 2 2 3. 7 3 3. 1 3 3. 7 2 4. 2 1 8. 3 1 3. 1 7. 0 8. 1 4. 1 8. 8 1 3. 4 2 4. 4 3 4. 0 3 5. 5 3 5. 5 1 3. 9 1 4. 2 7. 1 5. 8 5. 0 9. 9 1 7. 6 2 3. 4 21. 9 9. 6 1 6. 8 1 6. 5 l l. 7 8. 6 7. 0 9. 5 1 4. 9 2 2. 4 0. 5 0. 9 0. 4 0. 2 3. 6 3 2. 9 0 3. 2 9 3. 1 2 3. 0 7 3. l l 3. 41 3. 8 6 4. 2 4 4. 4 8 続柄構成 ( 現在 ) 総数 ∼ 1 9 2 0∼ 1 9 2 5∼ 1 9 3 0 1 9 3 5 ∼1 9 4 0∼ 1 9 4 5∼ 1 9 5 0 ∼ 1 9 5 5∼ 1 9 6 0 ∼ 1 9 6 5 1 9 2 4 1 9 2 9 1 9 3 4 1 9 3 9 1 9 4 5 1 9 4 9 1 9 5 4 1 9 5 9 1 9 6 4 1 9 6 9 ∼ 3, 4 7 5 1 1 5 1 9 7 3 3 9 3 4 2 4 5 6 4 8 3 4 21 3 9 4 3 7 5 3 5 3 8 3 3. 13 91. 36 3 4. 57 6 7. 07 9 5. 38 9 2. 59 0 6. 88 71. 78 8 5. 88 9 0. 78 4 4. 2 6 7 9. 151 3. 051 7. 84 2 4. 84 9 7. 15 61 . 47 01. 97 7 2. 08 8 0. 78 9 3. 38 01. 7 91 . 83 21. 73 0 9. 62 3 6. 01 6 6. 71 0 5. 34 7. 6 2 3. 8 2. 5 5. 3 9 7. 02 9 5. 73 4 5. 22 5 0. 71 、 9 0. 01 0 5. 34 7. 6 2 3. 8 5. 1 5. 3 2. 0 2 6. 1 5. 1 2. 9 2. 9 2. 2 1. 4 2 6. 1 5. 1 2. 9 4 2. 0 - 2. 9 l l . 0 1 8. 6 61. 8 6 6. 0 8 2. 71 3 6. 0 6 8. 2 兄 弟姉妹 1 8. 4 祖 父母 4. 0 夫 の父 6 5. 0 夫 の母 1 2 3. 7 夫 の兄弟 姉妹 6. 3 夫 の祖 父母 3. 4 母 3 人 5. 93 8. 0 1 5. 2 1 4. 7 5. 8 5. 0 8. 8 5. 8 3 2. 44 0. 9 1 0. 2 2. 9 8. 7 - - - -9 6- 3 2. 95 8. 0 8 7. 91 1 9. 3 9 8. 71 6 4. 3 6. 6 8. 3 1 9. 0 2 0. 3 21 . 3 6 5. 2 7. 6 2. 7 2 5. 5 3 2. 94 9. 71 0 4. 51 1 6. 81 3 8. 71 1 3. 3 8 7. 71 6 5. 62 0 6. 71 8 2. 721 0. 71 3 3. 1 2. 2 2. 1 2. 4 1 0. 2 1 0. 7 1 4. 2 - 2. 1 2. 4 - 1 6. 0 l l. 3 家族」は夫の直系卑属 中心の形態であるが、 「 少産少死世代」の 「 拡大家族世帯」は夫の 直系尊属、 自分の直系尊属 と傍系親族か らなる形態であ り、 同 じ 「 拡大家族世帯」であっ ても、その構成 に差異が存在 していることが考え られる ( 表 6)0 表6-6 世帯構成 ( 現在) 出生コーホート 総 数 単独世帯 核家族 世帯 拡大家族 世帯 非親族 世帯 0.1 3,475 4.2 63.6 32.1 1 920-1 924年 115 23.5 41.7 34.8 ■ ■ 1 925- 1 929年 197 13.7 46.7 39.1 0.5 1 930- 1 934年 339 8.0 59.6 32.2 0.3 1 940-1 944年 456 3.1 72.8 24.1 1 945- 1 949年 483 2.1 67.9 30.0 1 950-1 954年 1 9 3 5 -1 93 年 1 955-1 9 59 9年 421 3 2 34 94 1.7 7 0. .6 5 62.4 63 5. .7 5 6 35.9 26 9 3 5. .8 ■ -一 ■ 一 ■ l l ■ ■ ■ l ■ 一 ■ ■ ■ 1 960-1 964年 375 1.1 64.0 34.7 0.3 総 数 以上、世帯規模、続柄構成、世帯構成から世帯の変化 をみて きたが、つぎに、居住形態 ( 同居 ・別居 ・近居)の変化を検討することにしたい。 6-3 居住形態の諸相 ここでは、同居、近居、単身赴任 ( 一時的別居)の三つの側面か ら居住形態 について検 討することに したい。 (1)同居形態 配偶者の親 と同居経験 をみると、結婚後に同居 した経験はないとする者は 「多産多死世 代」か ら 「 少産少死世代」に移行するとともに増加 して くる。その割合を示す と、 「 多産 多死世代」が5 1. 1 %、 「多産少椎世代」が5 8. 2 %、 「少産少死世代」が6 8. 9 %となってい る ( 表6 7 )0 自分の親 との同居経験 をみると、 「同居経験のない」者の割合がどの世代で も高 くなっ 0 %前後 に達 している ( 表6 8 )0 ている。各世代の割合 を示すと、 「同居経験のない」者は9 これは、 「 少産少死世代」に至るほど同居経験者が減少傾向にあることを示 してお り、 この傾向は前述 した続柄構成中における配偶者のいる子の割合の減少 と軌 を一に している といえよう。 -9 7- 表6 -7 配偶者の親 との 同居 出生コーホート 総 数 総 同居経験 あり 同居経験 なし 無回答 3,351 39.5 60.2 0.3 114 193 332 338 453 474 405 378 355 309 50.0 52.3 44.0 38.5 41.2 43.6 43.5 35.4 32.4 24.9 49.1 47.2 56.9 60.9 58.5 57.2 56.3 64.6 67.3 74.8 0.9 0.5 年 1 9 2 0-1 9 2 4 1 9 2 5-1 9 2 9 年 1 9 3 0-1 9 3 4 年 1 9 3 5-1 9 3 9 年 年 1 9 4 0-1 9 4 4 年 1 9 4 5-1 9 4 9 年 1 9 5 0-1 9 5 4 1 9 5 5-1 9 5 9 年 1 9 6 0-1 9 6 4 年 年 1 9 6 5-1 9 6 9 表6 -8 数 0.6 0.2 0.2 0.2 0.3 0.3 自分 の親 との 同居 出生コーホート 総 数 同居経験 あり 同居経験 なし 無回答 3,351 12.3 87.4 0.3 1 9 2 0-1 9 2 4 年 1 ● 9 2 5-1 9 2 9 年 年 1 9 3 0-1 9 3 4 1 9 3 5-1 9 3 9 年 1 9 4 0-1 9 4 4 年 1 9 4 5-1 9 4 9 年 1 9 5 0-1 9 5 4 年 年 1 9 5 5-1 9 5 9 114 193 332 338 453 474 405 378 9.6 14.5 12.7 13.9 ll.7 ll.0 12.3 14.8 89.5 84.5 87.3 85.5 88.3 88.8 87.2 84.7 0.9 1.0 1 9 6 0-1 9 6 4 年 355 ll.0 89.0 総 数 0.6 0.2 0.5 0.5 ■ ■ ■ ( 2) 近居 形態 配偶 者 の親 との近居 につ いてみ る と、「近居 の経験 あ り」とす るの者 は 「少産 少死 世代 」 7か ら 20%の範 囲 内で に至 るほ ど、 その割合 が高 くな って い る。 しか し、 その数値 は 1 9) 0 ある ( 表6 近居 の開始年齢 をみ る と、「結婚 と同時 に近居 」とす る者 の割合 が最 も高 くな って い る。 3. 4%、 「多産 多 そ こで、 この動 向 につ いて検 討 した結果 を示す と、 「多産多死 世代 」 が 5 -9 8- 表6 -9 配偶者の親 との近居 出生コーホート 総 数 近居経験 あり 近居経験 なし 無回答 3,351 18.1 81.2 0.7 1 920-1 924年 114 16.7 81.5 1.8 1 925-1 929年 193 19.2 79.3 1.6 1 930-1 934年 332 15.7 83.4 0.9 1 935-1 939年 338 16.0 83一4 0.6 1 940-1 944年 453 17.0 82.3 0.7 1 945-1 9 49年 473 16.7 82.1 1.3 1 950-1 954年 405 19.8 79.8 0.5 1 955-1 959年 378 19.0 81.0 1 96 0-1 964年 355 19.2 80.3 0.6 1 965-1 969年 309 22.0 77.3 0.6 総 数 ■ ー ■ ■ ■ ■ 表6 -1 0 近居の開始年齢 ( 配偶者の親) 出生コーホート 総 数 総 数 3 未満 0歳 3 歳未 0一 一4 満0 40 以上 歳 606 23.3 14.5 5.0 1 920-1 9 24年 19 36.8 10.5 1 925-1 929年 37 35.1 1 930-1 934年 52 25.0 7.7 1 935-1 939年 54 18.5 12.9 1 940-1 944年 77 26.0 9,1 1 950-1 954年 1 9 4 9 4 1 9 55 5-1 -1 9 59 9年 年 80 7 79 2 28.8 2 2. 26 .8 4 17.5 10 5. 2 .2 8 1 96 0-1 96 4年 68 22.1 結婚と同 時に近居 5.3 8.1 2.7 l l.1 9.7 7.5 6.3 4.2 17.6 1.5 56.1 47.4 51.4 61.5 55.5 54.5 , 58.8 55.7 48. 6 57.4 無回答 1,2 ■ ■ -■ ■ 2.7 5.8 1.9 1.3 ■ ■ ■ ■ l ー l ■ ■ l ■ ■ ■ ■ 1.5 多死世代」が 5 6. 1 %、 「少産少死世代」が5 6. 4 %となってい る。 この 「少産少死世代」 に おける 「近居」割合の増加 と 「同居経験 な し」 (これは別居 が多 い ことを意味 している) の割合 の高 さは、何 を意味 しているのであろ うか。 これ は、今 日に至 るほ ど 「別居」傾 向 が高 まってい るが、その 「 別居」は親世代 と子世代が比較 的近い距離で別居 する 「近居」 形態 が顕在化 しつつあ ることを物語 いるように思われ る ( 表6 -1 0 )0 -9 9- 表6-11 近居の終了年齢 ( 配偶者の親) 出生コーホート 3 畿未 0一 一 満4 0 4 以上 0歳 夫の親が亡く なるまで 現在も 近居 無回答 8.3 21.5 40.3 2.1 10.5 10.5 47.4 10.5 5.3 5.4 18.9 10.8 40.5 18.9 5.4 52 ll.5 9.6 13.5 61.5 3.8 1 935-1 939年 54 9.3 14.8 16.7 35.2 20.4 3.7 1 940-1 944年 77 13.0 18.2 10.4 26.0 29.9 2.6 1 945-1 949年 79 17.7 5.1 12.7 24.1 38.0 2.5 1 950-1 954年 80. 18.8 ll.3 7.5 12.5 48.8 1.3 1 955-1 959年 72 18.1 12.5 5.6 5.6 56.9 1.4 1 960-1 964年 68 16.2 23.5 I - 1.5 57.4 1.5 数 30畿未満 606 14.4 13.5 1 920-1 925年 19 15.8 1 925-1 929年 37 1 930-1 934年 総 数 総 I - 配偶者の親 との近居の終 了年齢をみると、 「 多産多死世代」 と 「多産少死世代」でも 「 夫の親が亡 くなるまで」が多い。 しか し、これを仔細に検討すると、 「多産少死世代」 でも1 9 4 0 年代出生コーホー ト以降では 「 現在 も近居」が増加傾向にあるし、 「 少産少死世 代」では、 「 現在 も近居」が 「夫の親が亡 くなるまで」 を大幅に上回っている。これは、 終生近居」 ( いかなる条件下でも 「 条件付 き近居」 (「夫の親が亡 くなるまで」 )から 「 近居)へ と移行 しつつあるといえるのかもしれない ( 表6 l l )0 自分の親 との近居をみると、 「 近居の経験あ り」 は今 日に至るほど減少傾向にあるが、 配偶者の親 との近居よ り若干高い割合を示 している ( 表6 1 2 )0 近居の開始年齢は、 「 結婚 と同時に近居」が最も多 く、これは配偶者の親 との近居 と同 じような傾向を示 していることになる。 しか し、配偶者の親 との近居では、 「少産少死世 代」で最も高い割合を示 したが、 自分の親については、この出生コーホー トが最も低い割 3 0 歳未満」と 「 3 0 -4 0 歳未満」が比較的多 くなっている。 合を示 しているお り、む しろ 「 この結果をみると、育児期 における 「 子育て支援者」 としての機能 と共働 き夫婦における 1 3 )0 「家事支援者」 としての役割を演ずるための近居 ということも考え られる ( 表6 近居の終了年齢 をみると、 「 多産多死世代」 と 「 多産少子世代」では 「 親が亡 くなるま で」が多いが、 これを仔細に検討すると、 「 多産少死世代」でも1940年出生コーホー ト以 現在 も近居」が 「 親が亡 く 降 「 現在 も近居」が増加傾向を示 し、 1945年コーホー ト以降 「 なるまで」を上回って くる。この傾向は 「少産少死世代」においてもみ られる。 「 少産少 親が亡 くなるまで」を大幅に上回っている。これは、1945 死世代」は、 「 現在 も近居」が 「 年出生コーホー ト移行の世代では、育児期および共働 き期に自分の親か ら得た支援を彼 ら の親世代が高齢期を迎 えたときに 「 高齢者への介護支援者」 となることを当然の行為 とし て受け止めているか らではなかろうか。このような、いわば 「 互酬性の原理」が働いて と も考えられる ( 表61 4) 0 -1 0 0- 表6 -1 2 自分の親との近居 出 生 コーホー ト 総 数 近居経験 あり 近居経験 なし 無 回答 3,351 21.0 78.5 0.4 1 9 2 0-1 9 2 4 年 114 24.5 73.6 1.7 1 9 2 5-1 9 2 9 年 1 9 3 0-1 9 3 4 年 193 23.8 75.6 0.5 332 23.4 75.9 0.6 1 9 3 5-1 9 3 9 年 1 9 4 0-1 9 4 4年 1 9 4 5-1 9 4 9年 338 23.0 76.3 0.5 452 20.3 79.4 0.2 474 17.9 81.6 0.4 1 9 5 0-1 9 5 4年 1 9 5 5-1 9 5 9 年 405 20.7 78.7 0.4 378 17.7 81.7 0.5 1 9 6 0-1 9 6 4年 355 22.2 77.4 0.2 総 数 表6 -1 3 近居の開始年齢 (自分の親) 数 3 未 0歳 満 3 0 未 -4 満0 歳 数 705 21.9 17.1 4.2 56.3 0.2 1 9 2 0 -1 9 2 4 年 1 9 2 5-1 9 2 9 年 26 8 4 2 1. .0 4 13 1 4. .1 2 2 3. .3 5 4 60 0. .4 7 8 ■ - 1 9 3 0-1 9 3 4 年 78 20.5 7.6 2.5 67.9 1.2 1 9 3 5-1 9 3 9 年 78 15.3 15.3 7.6 60.2 1.2 1 9 4 5-1 9 4 9 年 1 9 5 0-1 9 5 4 年 85 23.5 16.4 9.4 50.5 84 21.4 15.4 8.3 54.7 1 9 5 5-1 9 5 9 年 67 29.8 28.3 1.4 40.2 1 9 6 0-1 9 6 4 年 4 4 7 99 2 31 19.6 5 2 17 3.8 0 3.2 44 0.5 6 1 出 生 コーホー ト 総 総 4 以上 0歳 結婚と同 時に近居 無 回答 -■ - この ような結果 をみる と、従来、居住形態は同居 と別居 とい う二分法で考察する傾 向が 強か ったが、少子高齢社会の到来 との関連 を考えると、別居 については近居の問題 につい 食事 ・住居 ・家計が一 ての検討 することが必要である し、 同居 については 「完全 同居 」 ( 緒)か 「準 同居 」 ( 食事 ・住居 ・家計の一部分が別) とい う視点か らの考察が重要な課題 にな って くるように思われ る。 -. 1 01- 表6 -1 4 近居の終 了年齢 (自分の親 ) 出生コーホート 総 数 3 0 歳未満 3 歳未満 0一 一4 0 4 以上 0 歳 総 数 現在 近居も 無回答 14.4 16.3 7.3 25.5 35.7 0.5 28 10.7 3.5 7.1 71.4 3.5 3.5 46 17.3 15.2 8.6 56.5 2.1 78 10.2 19.2 3.8 60.2 5.1 1.2 78 12.8 21.7 3.8 46.1 14.1 1.2 705 1 9 2 0-1 9 2 4 年 1 9 2 5-1 9 2 9 年 1 9 3 0-1 9 3 4 年 1 9 3 5-1 9 3 9 年 親が亡く るまでな 1 9 4 5-1 9 4 9 年 1 9 5 0-1 9 5 4 年 1 9 4 0 -1 9 4 4 年 1 9 5 5 -1 9 5 9 年 85 21.1 4.7 17.6 16.4 40.0 84 97 2 6 ll.9 19 5. .5 9 19.0 13 7. .4 3 1 13.0 97 . 7 . 4 8.3 24 8. . 2 4 47.6 28 5. 0 6 .6 1 9 6 0-1 9 6 4 年 79 16.4 18.9 1.2 62.0 ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ● l ■ l l l ■ 1.2 ( 3)単身赴任 ( 一時的別居) -1 5 )、単身赴任 は 「多産少死世代」 一時的別居形態 である単 身赴任 の動 向をみ る と ( 表6 「 多産 9 4 0 -1 9 4 9 年 出生コーホー トで比較 的多 くな って いる。 「 少 少死世代 」 についてみ る と、 1 が最 も多 く、つ ぎが 「多産多死世代 」 で、 さ らに 「少産少死世代 」 と続 いてい る。 産少死世代」では 「 単 身赴任 あ り」の割合 は減少 して くる。 これは、 日本経済 の成長期 と 関わ って現 出 した一時的な現象形態であった といえよ う。 -1 5 配偶者の単 身赴任 表6 出生コーホート 総 数 1 9 2 0-1 9 2 4 年 1 9 2 5-1 9 2 9 年 1 9 3 0-1 9 3 4 年 1 9 3 5-1 9 3 9 年 1 9 4 0-1 9 4 4 年 1 9 4 5 -1 9 4 9 年 1 9 5 0-1 9 5 4 年 1 9 5 5-1 9 5 9 年 1 9 6 0-1 9 6 4 年 単身赴任 あり 単身赴任 なし 3,351 15.8 83.7 0.5 114 14.9 84.2 0.9 193 15.0 84.5 0.5 332 17.5- 81.9 0.6 338 16.9 82.2 0.9 453 17.7 .82.1 0.2 474 18.8 81.0 0.2 405 19.0 80.2 0.7 378 17.2 82.3 0.5 355 10.1 89.0 0.8 総 数 -1 0 2- 無回答 6-4 居住形態の変化 ここでは、 「同居か ら別居へ」、 「 近居か ら遠居 ・同居へ」の二つの側面か ら居住形態 の変化の様相 を検討することに したい。 配偶者の親の 「同居か ら別居へ」の変化をみると、 「同居経験な し」は 「少産少死世代」 になると増加傾向を示 している し、 「同居継続」は 「多産多死世代」か ら 「少産少死世代」 に移行するのに伴 って減少傾向にある。 「 同居か ら別居へ」 と 「途中同居か ら別居へ」は 「 少産少死世代」になるとともに減少傾向にある。 しか し、 「 途中同居継続」は若干の増 1 6 )。これは、別居が一般的動向となっているが、 「一時的同居」 (結 加 している ( 表6 婚当初は同居 し、やがて別居に移行する形態)は増加傾向を示 していないが、 「 途中同居」 ( 結婚当初は別居で、やがて同居に移行する形態)は若干増加 しているとことになる。 表6 -1 6 居住形態 ( 同居から別居へ) の変化 ( 配偶者の親) 出生コーホート 総 数 同居継続 同居から 途中同居 途中同居 同居経鹸 非該 別居へ 総 数 1 9 2 0-1 9 2 4 年 年 1 9 2 5-1 9 2 9 1 9 3 0-1 9 3 4 年 1 9 3 5-1 9 3 9 年 年 1 9 4 0-1 9 4 4 年 1 9 4 5-1 9 4 9 年 1 9 5 0-1 9 5 4 年 1 9 5 5-1 9 5 9 年 1 9 6 0-1 9 6 4 継続 から別居 なし 当 無回 盤 rコ 3 . 4 7 5 1 9 . 2 6 . 6 7 . 2 4 . 3 5 8 . 0 3 . 6 1 . 0 1 1 5 1 9 7 3 3 9 3 4 2 4 5 6 4 8 3 4 21 3 9 4 3 7 5 3 3 . 0 2 9 . 0 2 5 . 4 1 8 . 1 2 2 . 8 1 9 . 3 1 8 . 8 1 6 . 5 1 3 . 6 7 . 0 8 . 6 7 . 1 8 . 2 4 . 4 7 . 0 9 . 7 5 . 1 5. 6 3. 5 4. 6 5 . 0 5 . 8 8 . 3 9. 9 8 . 1 8 . 4 7 . 5 3. 5 6 . 1 4 . 7 4. 4 4 . 8 5. 0 4. 5 3 . 6 3. 7 4 8 . 7 4 6 . 2 5 4. 9 6 0 . 2 5 8 . 1 5 6. 1 5 4 . 2 61 . 9 6 3. 7 0. 9 3 . 5 2 . 0 2 . 5 2. 1 0 . 9 0. 7 2 . 0 1 . 9 0 . 9 3. 8 0. 9 4 . 1 1 . 0 5 . 3 0 . 5 1 2. 50 . 5 配偶者の親の 「 近居か ら遠居 ・同居へ」の変化をみると、 「 近居経験な し」は 「 多産多 死世代」が最 も多 く、つぎが 「 多産少死世代 」 とな り、 さらに 「少産少死世代」 と続いて 近居継続」、 「 途中近居継続」は 「 多産多死世代」か ら 「少産少死世代」への移 いる. 「 行 とともに増加傾向を示 している ( 表6 1 7 )。これは、配偶者の親 に関 しては、 「近居」 が増加 しつつあるといえるのではなかろうか。 これ らの結果をみると、 「 別居」は結婚当初か らが多 くなっているが、その 「 別居」形態 親子が生涯別居を貫き通す形態)だけではな く、 「 途中同居」、 「 近居」 は 「 終生別居 」 ( 形態 も存在する多様な形態が顕在化 しつつあるように思われる。 -1 0 3- 表6 -1 7 居住形態 ( 近居から遠居・ 同居へ)の変化 ( 配偶者の親) 出生コーホート 総 数 近居継続 近居から 途中近居 途中近居 近居経験 非該 遠居. 居 同 継続 居 から . 同居 遠 なし 当 無回 ロ ∵ 3 . 4 7 5 5 . 8 3 . 8 4 . 8 2 . 5 7 8 . 3 3 . 6 1 . 2 1 9 2 0-1 9 2 4 年 年 1 9 2 5-1 9 2 9 年 1 9 3 0-1 9 3 4 年 1 9 3 5-1 9 3 9 1 9 4 0-1 9 4 4 年 1 9 4 5-1 9 4 9 年 年 1 9 5 0-1 9 5 4 年 1 9 5 5-1 9 5 9 1 1 5 1 9 7 3 3 9 3 4 2 4 5 6 4 8 3 4 21 3 9 4 5 . 2 6 . 6 6 . 8 4 . 4 5 . 3 5 . 8 5 . 7 5 . 3 2 . 6 2 . 5 2 . 7 4 . 4 3 . 7 2 . 9 5 . 2 3 . 6 4 . 3 4 . 6 2 . 4 4 . 4 4 . 2 4 . 3 5 . 9 6 . 1 3 . 5 4 . 1 2 . 7 2 . 0 3 . 3 2 . 9 1 . 9 3 . 0 8 0 . 9 7 7 . 7 81 . 7 8 2 . 5 81 . 8 8 0 . 5 7 6 . 7 7 7 . 7 0 . 9 2 . 0 2 . 1 1 . 2 0 . 7 1 . 9 3 . 8 4 . 1 年 1 9 6 5-1 9 6 9 3 5 3 8 . 5 3 . 7 5 . 9 0 . 8 6 7 . 7 1 2 . 50 . 8 総 数 2 . 6 2 . 5 1 . 8 1 . 2 11 1 . 7 0 . 7 0 . 3 . 自分の親 との 「同居か ら別居へ」の変化 をみると ( 表6 1 8 )、 「同居経験な し」は 「多 産多死世代」 ・ 「多産少死世代」か ら 「 少産少死世代」への移行 とともに減少 して くる。 8 . 6%、 「多産少死世代」が8 5. 8%、 「少産少死世 その割合 を示す と、 「 多産多死世代」が8 代」が8 1 . 0%となっている。 「 途中同居継続 」 は、 「多産多死世代」か ら 「少子少産世代」 への移行するともに増加傾 向を示 している。これは、新 しい出生コーホー トになるほ ど自 娘 分の親 との 「同居」 と 「 途中同居継続 」 が若干増加 していることになる。 とすれば、 「 との同居」も増加 して きているということができよう。 8 居住形態 ( 同居から別居へ)の変化 ( 自分の親) 表1 出生コ一 一ホ-ト 総 数 同居継続 同居から 途中 同居 途中同居 同居経験 非該 別居へ 継続 から別居 なし 当 無回 汰 ロ 3 , 4 7 5 3 . 3 1 . 2 4 . 5 2 . 6 8 4 . 3 3 . 6 0 . 6 年 1 9 2 0一 一1 9 2 4 1 9 2 5-1 9 2 9 年 1 , 9 3 0-1 9 3 4 4 年 1 9 3 5-1 9 3 9 1 1 5 1 9 7 3 3 9 3 4 2 1 . 7 8 . 1 4 . 7 5 . 0 2 . 6 1 . 5 2 . 1 2 . 3 1 . 7 3 . 0 2 . 9 2 . 9 2 . 6 1 . 0 2 . 1 2 . 9 8 8 . 7 0 . 9 8 2 . 7 2 . 0 8 5 . 5 2 . 1 8 4 . 5/ 1 . 2 1 . 7 1 . 5 0 . 6 1 . 2 1 9 4 0-1 9 4 4 年 年 1 9 4 5-1 9 4 9 4 5 6 4 8 3 2 . 9 3 . 1 1 . 5 0 . 4 3 . 5 5 . 4 3 . 3 1 . 7 8 7 . 7 6 . 7 8 7 . 2 1 . 9 9 . 4 d . 4 年 1 9 5 5-1 9 5 9 3 9 4 3 . 6 1 . 8 6 . 3 2 . 0 81 . 2 4 . 1 1 . 0 年 1 9 6 0-1 9 6 4 3 7 5 0 . 8 - 6 . 1 3 . 5 8 4 . 3 5 . 3 -- 総 数 -1 0 4- ■ ■ ■ l 一 ■ 自分の親 との 「 近居か ら遠居 ・同居へ」をみると ( 表6 1 9 )、 「近居経験な し」は 「多 産少死世代」が最 も高 く、つぎが 「 少産少死世代」、さらに 「 多産多死世代」 と続いてい る. 「 近居継続」は新 しい出生コーホー トに移行するとともに増加 している。これは、 「 近 居」形態 も若干ではあるが増加の傾向にあるといえよう。 これ らの結果 をみると、娘 との 「同居」ない し 「 途中同居」も存在 していることが明 ら かになった。 表6 -1 9 居住形態 ( 近居から遠居・ 同居へ) の変化 ( 自分の親) 出生コーホート 総 数 近居継続 近居から 途中近居 途中近居 近居経験 非 該 遠居. 居 同 継続 居 から . 同居 遠 なし 当 無回 T - ロ 3 , 4 7 5 7 . 1 4. 3 5 . 2 3 . 5 7 5. 7 3 . 6 0 . 6 年 1 9 2 0-1 9 2 4 年 1 9 2 5-1 9 2 9 年 1 9 3 0-1 9 3 4 1 1 5 1 9 7 3 3 9 1 2 . 2 l l . 7 l l . 5 2. 6 7 . 1 4. 1 6 . 1 2 . 0 3 . 2 2 . 6 2 . 5 3. 5 7 3. 0 7 4. 1 7 4. 3 0 . 9 2 . 6 2. 0 0. 5 2. 1 1 . 2 1 9 3 5-1 9 3 9 年 年 1 9 4 0-1 9 4 4 1 9 4 5-1 9 4 9 年 年 1 9 5 0-1 9 5 4 1 9 5 5-1 9 5 9 年 1 9 6 0-1 9 6 4 年 年 1 9 6 5-1 9 6 9 3 4 2 4 5 6 4 8 3 4 21 3 9 4 3 7 5 3 5 3 7 . 9 8 . 1 4 . 8 4 . 8 6 . 4 4 . 8 5 . 9 5. 8 4. 8 4. 1 4. 5 2. 0 3 . 5 4. 2 5 . 6 2 . 6 5 . 2 4 . 8 7 . 6 8 . 5 6 . 2 2. 9 4 . 6 3 . 5 4 . 3 2 . 5 4 , 0 2 . 8 7 5. 4 1 . 2 7 8 . 9 0 . 7 8 0. 1 1 . 9 7 5. 8 3 . 8 7 8 . 4 4 . 1 7 3 . 3 5 . 3 6 8 . 3 1 2. 5 総 数 1 . 2 0 . 2 0 . 4 0 . 5 0 . 5 0 . 5 ■ 6-5 おわ りに 以上、世帯 と居住形態の変化を三つの出生コーホー トを指標 にして検討 して きた。その 結果を要約 してお きたい。 世帯構成 についてみると、世帯規模は 「 少産少死世代」が最 も大 き く、続柄構成は 「 多 産多死世代」と 「多産少死世代」では調査対象者 ( 女性)とその配偶者お よび直系卑属 ( 子 とその配偶者ない しは孫)中心の構成であるが、「 少産少死世代」では調査対象者 とその配 偶者お よび配偶者の直系尊属 ( 夫の父母)と調査対象者の直系尊属 ( 父母)中心の構成に なっている。世帯構成は三つの世代 とも 「 核家族世帯」が最 も高い割合 を示 しているが、 0%を超えている。 「 拡大家族世帯」 の割合 も 3 居住形態についてみると、三つの世代 とも 「同居経験な し」の割合が高い。 しか し、三 7-20%ある。 しかも、三つの世代 とも 「近居」 つの世代 とも 「 近居経験あ り」の割合が 1 は 「 結婚 と同時に近居」が比較的多 く、「少産少死世代」では 「 現在 も近居」が 5 6%に達 している。 単身赴任 ( 一時的別居)は、三つの世代 とも 「 単身赴任の経験な し」が 80%を超えてい る。とすれば、単身赴任は、経済の成長期に生 じた一時的な現象形態であると考えられる。 0-64%を占めているが、 居住形態の変化 をみると、三つの世代 とも「同居経験な し」が 5 -1 0 5- 「 途中同居継続」も 「 多産少死世代」 と 「少産少死世代」で 4-8%程度み られる。「 近居 経験な し」は 「多産多死世代」と 「多産少死世代」では 7 4-80%程度存在 しているが、「少 産少死世代」では 7 4%程度になっている。 このような結果をみると、世帯は 「 核家族世帯化」の方向をとりなが らも、「 拡大家族世 0%程度維持 ・存続 しているOこれは、居住形態に 帯」も完全に消滅するのではな く、約 3 おいてみ られることであ り、「 別居」形態が多数派になってきているが、その 「 別居」形態 も「 近居」形態の存在 も見逃 してはな らない状況にある。 しかも、その 「 近居」は夫方 ・ 父方親族だけでな く、妻方 ・母方親族 もみ られる。さらに、「同居」形態 も 「 娘同居」 、「 途 中同居」も存在 しているように思われる。 これは、 日本の家族が 「 核家族世帯化」・「 別居化」の方向を辿 りなが らも、多様な形態 の共存 も許容 し得 る構造を有 しているのではなかろうか。とすれば、 日本社会 には、この ような家族の多様性を許容する文化が内在 しているといえよう。 【 付記 :居住形態の変化に関する膨大な集計作業は加藤彰彦氏が行ったものである】 -1 0 6- 7 結婚後の親 子 同居 ・近居 7-1 は じめに 戦後、 日本の家族は 「 核家族化」 したといわれて きた。 しか し 「 核家族化」には二つの 意味- 「 核家族世帯」が増加することと、家族 システムが親 と同居 しない夫婦家族制へ と変化すること- があ り、これ らは しば しば混同されて論 じられて きたので注意が必要 である。た しかに国勢調査によれば 「 核家族世帯」数は増加 したが、核家族世帯の増加は、 家族 システムが変化 しな くても起 こりうる。たとえば、高度成長期のように、 きょうだい 数の多いコーホー トが結婚 してい く時期には、核家族世帯が増加する。親 と同居で きるの は一子に限 られるか らである。また、寿命の伸長にともなって、結婚 と同時に親 と同居せ ずに、結婚後数年経 ってか ら親 と同居するスタイルが普及すれば、核家族世帯は増 えるだ ろうし、居住のスタイルが完全分離型の二世帯住宅へ と変化 しても、核家族世帯は増加す るだろう。それゆえ、家族システムの変化をみるためには、結婚後の親 との同居歴 と近居 歴を くわ しく調査する必要がある。 NFRJ-SO l調査では、結婚以後の夫方親な らびに妻方親 との同居について、開始時点 と終了時点の情報を得た。調査票の回答欄はそれぞれ 3回まで用意 したが、同居経験者の 9割以上が 1回のみの経験であった ( 表 71) 。本調査では、対象者が 「同居」 として認知 している事態を 「同居」 と定義 している。これは国勢調査の 「 世帯」 よりも広い定義であ る。た とえば、完全分離型の二世帯住宅に居住 している場合、国勢調査では別世帯 とみな されるだろうが、本調査では、回答者が同居 と考えている場合には、「同居」として回答さ れることになる。 以下では、親 との同居歴 ・近居歴データとともに、結婚 した子 どもとの同居 ・近居経験 のデータも用いて、戦後の親子同居の変化を観察する。 表7 1 結婚以後の親 との同居経験 ・回数 夫方親との 同居 妻 方親 との同居 1 00. 0) , 322 ( 39. 6) ( 同居経験あり( 総数) 1 411 ( 1 2. 3 ) ( 1 00. 0) 1, 234 ( 37. 0 ) 84 (2. 5) ( 93. 3) (6. 4) 393 13 ( ll. 8) (0. 4) ( 95. 6) 4 (0. 1 ) (0. 3) 5 (0. 1 ) ( 1. 2) 2, 01 7 ( 60. 4) 2, 929 ( 87. 7) 3, 339 1 00. 0 3, 340 ( 1 00. 0 ) 1回 2回 3回以上 同居経験なし 計 注) 無 回答を除く。無回答は夫方親との同居で 1 2ケース。 1ケース。 妻 方親 との同居で 1 -1 0 7- ( 3. 2) 7-2 結婚後の親 との同居 (1)双方親 との同居 1は、親 との同居率のグラフを出生コーホー ト別、結婚 コーホー ト別 に描いたもの 図 7・ である。横軸は結婚 ( 初婚)か らの経過年数を表 し、縦軸は夫方 または妻方の親 と同居 し ている者の比率を示 している。コーホー トの階級設定は、グラフのわか りやすさを考慮 し 0年幅 とした1。 て1 一見 して明 らかなのが、結婚時の核家族化である。妻の出生コーホー ト別のグラフをみ ると結婚当初 に親 と同居 した者は、 1 920年代生 まれでは 5割いたが、 1 960年代生 まれで は 2割 にすぎないo しか し、結婚後 1 0年 目ぐらいでみると、 5本のグラフは 3割台半ば に集 まってお り、結婚時に核家族 をつ くる傾向の強い若い世代で も、結婚後 には依然 とし て親 と同居 して拡大家族 を形成する傾向が持続 していることがわかる。結婚コーホー ト別 960年代 に結婚 した者たちの同居率の低 さが 目を引 く。結婚 1 5年あ のグラフをみると、 1 た りで、他のコーホー トは約 35%に収束するのに対 して、 1 960年代結婚コーホー トの同 居率だけ 6- 7%低 くなっている。高度成長期の人口移動の影響が表れていると考え られ る。 (2)同居率 と同居実現率 1のグラフは、結婚後 1 5年 を超えると、全体 として右下が りになってい くが、 こ 図 7れは親が死亡 してい くか らである。そこで各年の分母か ら親が全員死亡 したケースを除 き、 同居可能な者 に占める同居者の比率 を求めてみた。この比率は、結婚 を継続 しかつ少な く とも一人の親が生存 しているとい う条件のもとで、拡大家族 を形成する確率を表 し、「同居 実現率」 とよばれる2。 その結果が図 7・ 2である。結婚 1 5年以降もグラフは右下が りにな らず、横軸 と平行 に 0年以降において拡大家 推移 してい く。戦後の劇的な社会変動にもかかわ らず、結婚後 1 0%以上存在するのである。 族 をつ くる確率は依然 として 3 以下では、本報告書 としての性格 に鑑み、同居率のグラフを中心に観察 してい くが、そ れ らのグラフも同居実現率 を求めると、図 2と同様グラフは右下が りにな らず、横軸 とは ぼ平行 に推移することに留意されたい。 990年代コーホー トのグラフを提示 していない。 また、結婚コーホー ト別の観察では、1 970 これは、このコーホー トのほ とん どの成員が結婚後数年以内にあること、本調査では 1 年代生 まれが対象者に含 まれていないことによる。若いコーホー トの趨勢 を捉えるには、 960年代生まれの動向に注 目されたい。 出生コーホー ト別のグラフで 1 1本報告書では、5年階級の出生コーホー トによって分布を比較することを基本 としているが、 同居率のグラフでは、5年階級だとグラフの本数が増えるとともに標本誤差も大 きくなって、 読みとりに くくなるので、1 0年階級 とした。また、適宜結婚コ-ホ⊥ ト別のグラフも提示する。 2 同居実現率の概念は、虞嶋清志の議論を参考にした。本章が使ったのは、虞嶋の定義する同 居実現率のうち、最も単純なものである。虞嶋清志 「 戦後日本における親 と子の同居率の形式 人口学的分析モデル」 ( 『人口問題研究』 1 6 7 、pp. 1 831 、1 983年)を参照。 -1 0 8- (3)夫方親 との同居 ・妻方親 との同居 3の 夫方親 との同居 に限定 して、同居率のグラフを妻の出生コーホー ト別に描 くと図 7- 3は、図 71の出生コーホー ト別のグラフとよ く似ている。両者の違い ようになる。図 73の方が全体的に数パーセン ト図 71よ りも水準が低いことである。 この差はそ は、図 7のまま妻方同居の比率 に対応する ( 図 74) 。夫方同居 と妻方同居では依然 として圧倒的に 美方の同居が多い。 (4)夫の続柄別の同居率 直系家族制のもとでは、長男 ( 長子)が親 と同居するのが一般的である。そこで、夫が 長男の場合 に限定 して、夫方親 との同居率のグラフを、妻の出生コーホー ト別 に描いたの が図 75である。図 75は図 73に比べ、1 0-20%程度全体の水準が高い。 1 960年代の 出生コーホー トでは、長男であっても自分の親 との同居率は 40%に達 していないので、同 居 に対する続柄の影響が弱 くなったような印象を受けるが、夫が次三男の場合の妻方同居 率のグラフを描 くと、1 950年代および 1 960年代出生コーホー トの同居率が年長コーホー 0年以降で高 くなる ( 図 76) 。次三男が妻方同居するパ ターンも トに比べ、 とくに結婚 1 直系家族制に整合的な ことか ら、 これ らの図か ら続柄の規範的な効果が低下 したか どうか は判断で きない。結婚後の親 との同居に働 く要因については、夫婦の続柄だけでな く、土 地 と家屋の相続、老親の扶養、近代家族的なイデオロギーな どの要因を含めた多変量解析 を行って明 らかにする必要がある。 7-3 結婚後の親 との近居 (1)双方親 との近居 NFRJSOlでは、結婚後の親 との同居歴だけでな く、近居歴 についても調査 した。ここ にいう 「 近居」 とは 「歩いていける」範囲の居住 を指す。同居歴は開始時点 と終了時点に ついて、調査票に 3回分の回答欄を設けたが、近居歴では紙幅の都合 と近居回数を数える ことのむずか しさか ら回答欄は 1回分のみとした。 しか し同居経験者の 9割以上が経験 回 数 1回だったことか ら、近居の場合 も 1回分の回答欄で大勢 を捕捉で きていると仮定 して よいだろう。 7のようになる。出生 このデータを使 って、双方の親 との近居率のグラフを描 くと図 7・ コーホー ト別 にみると最年長の 1 920年代生まれ と最年少の 1 960年代生 まれのコーホー ト 930年代および 1 940年代生 まれの近居率が低い傾向が表れてお り、高 の近居率が高 く、1 960年代結婚 コーホー ト 度成長期の人 口移動を反映 した結果 となっている。このことは 1 の近居率の低 さか らも確認できる。 (2)夫方親 との近居 ・妻方親 との近居 8と図 79はそれぞれ、夫方親 と妻方親 との近居率 を別々に算出 したものである。 図 77 同居率の場合 と異な り、近居率のグラフは夫方 と妻方で似ている。いずれの図でも、図 7と同様、1 930年代ない し 1 940年代コーホー トの近居率が他のコーホー トに比べて若干低 い傾向がみ られる。 -1 0 9- 妻の出生 コーホー ト別 結婚後の親 との同居率 ー 1 9 2 0-2 9年 -0-1 9 3 0-3 9年 & -1 9 4 0-4 9年 + 1950-59* + 1 9 6 0-6 9* 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 0l l1 21 31 41 51 61 71 81 92 0 212 22 3 24 25 26 2728 29 3 0 初婚か らの軽過年数 結婚 コーホー ト別 結婚後の親 との同居率 ー 1 9 4 0-4 9年 一口-1 9 5 0-5 9年 一 心.1960-69年 一 一1 9 7 0-7 9年 + 01 2 3 4 5 6 7 8 9 1 0l l1 21 31 41 51 61 71 81 92 0 212 2 23 24 25 26 2728 29 3 0 初婚か らの軽遇年数 図7 -1 夫方または妻方親 との同居率 -1 1 0- 1 9 8 0-8 9* 妻の出生 コーホー ト別 結婚後の親 との同居実現率 ー 1 9 20-2 9 年 -D-1 9 3 0-3 9 年 一轟-1 9 40-4 9年 一 〇・ 一1 9 5 0-5 9 年 」 01 ト1 9 60-6 9年 2 3 4 5 6 7 8 9 1 0l l1 21 31 41 51 61 71 81 92 0 21 2 2 23 24 25 26 27 28 29 30 初婚からの軽過 年数 結婚 コーホー ト別 結婚後の親 との同居実現率 + 1 9 4 0-49* -ロー1 9 5 0-59 年 一ムー1 9 6 0-6 9年 一} -1 97 0-7 9年 + 01 2 3 4 5 6 7 8 9 1 0l l1 21 31 41 51 61 71 81 92 0 21 2 2 23 24 25 26 27 28 29 30 初婚からの軽過年数 図7 2 夫方または妻方親 との同居実現率 注)同居実現率=同居者数÷同居可能者数。 同居可能者 とは、結婚を継続 しかつ、少な くとも一人の親が生存 している者。 - 111- 1 9 8 0-89年 妻の出生 コーホー ト別 結婚後の夫方親 との同居率 + 1920-29* I + 1 9 3 0-39 * - 1 9 6 0-6 9 * + 1940-494 0 -1 9 5 0-5 9 年 01 2 3 4 5 6 7 8 9 1 0l l1 21 31 41 51 61 71 81 92 0 212 2 23 2 42 52 6 272 8 293 0 初婚か らの軽 遇年数 図 ト3 夫方親 との同居率 妻の出生 コーホー ト別 結婚後の妻方親 との同居率 ー 1 9 2 0-2 9 年 一口-1 9 3 0-39 年 ・ + 1 9 4 0-49 4 -0-1 9 5 0-5 9 年 + 1 9 6 0-6 9 * 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 0l l1 21 31 41 51 61 71 81 92 0 212 22 3 24 25 26 272 82 93 0 初婚か らの#遇 年数 図7 4 妻方親 との同居率 -1 1 2- 妻の出生 コーホー ト別 結婚後の夫方親 との同居率 【夫が長男の場合 】 ー 0 + + ・ + 1 9 2 0-29 年 1 9 3 0-39 * 1 9 4 0-49 年 1 9 5 0-59 * 1 9 6 0-6 9 4 0 1 2 3 4 5 6 7 8 91 0l l1 21 31 41 51 61 71 81 92 0 212 2 23 2 4 25 26 27 28 29 3 0 初婚か らの軽過 年数 図7 5 夫方親 との同居率 (夫が長男の場合 ) 妻の出生 コーホー ト別 結婚後の妻方親 との同居率 【 夫が次三男の場合】 + 4 + ・ + + 0 1 2 3 4 5 6 7 8 91 0l l1 21 31 41 51 61 71 81 92 0 21 2 22 32 42 52 62 72 82 93 0 初婚からの軽遇年数 図7 6 妻方親 との同居率 (夫が次三男の場合 ) -1 1 3- 1 9 2 0-29 * 1 9 3 0-39 * 1 9 4 0-49 * 1 9 5 0-59 4 1 9 6 0-6 9 * 妻の出生 コーホー ト別 結婚後の親 との近居率 ー 1 9 2 0-29 年 + 1 9 3 0-39 * 一 血・ ・1 9 4 0-49 年 ・ + 1950-59* ー 1 9 6 0-69 年 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 0l l1 21 31 41 51 61 71 81 92 0 212 22 32 42 52 62 7 28 2 9 30 初婚か らの軽過年数 結婚 コーホー ト別 結婚後の親 との近居率 ◆-1940-49年 -D-1 9 5 0-59 年 + 1 9 6 0-6 9 4 〇・ ・ ・ 1 9 7 0-7 9 年 ・ - 0 1 2 3 4 5 6 7 8 91 0l l1 21 31 41 51 61 71 B1 92 0 212 22 3 24 2 5 26 2 72 82 93 0 初婚 か らの経 過年数 図7 7 夫方または妻方親 との近居率 -1 1 4- 1 9 8 0-89 年 妻の出生 コーホー ト別 結婚後の夫方親 との近居率 ◆-1920・-29年 D -1 9 3 0-39 年 + + ・ , + 1 9 4 0-49 * 1 9 5 0-5 9 * 1 9 6 0-6 9 * 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 0l l1 21 31 41 51 61 71 81 92 0 212 22 3 24 25 26 27 28 29 3 0 初婚からの軽過 年数 図7 8 夫方親 との近居率 妻の出生 コーホー ト別 結婚後の妻方親 との近居率 ー {ト + ・ + + 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 0l l1 21 31 41 51 61 71 81 92 0 212 2 23 24 25 26 27 28 29 3 0 初婚からの軽過年数 図 ト9 妻方親 との近居率 -1 1 5- 1 9 2 0-29 年 1 9 3 0-39 年 1 9 4 0-49 * 1 9 5 0-5 9 * 1 9 6 0-69 * 7-4 結婚 した子 どもとの同居 ・近居 前述のように、図 7 ・ 1のグラフは結婚後 20年を過 ぎると全体 として右下が りになって い く。これは親が死亡 してい くためであるが、家族のライフコース上のこの時期 になると、 同時に子 どもが結婚するようになって、子 ども夫婦 と同居する者がでて くる。 今回の調査では結婚 した子 どもとの同居 ・近居経験に関する質問も設けた。 しか し調査 項 目全体の分量 と調査票の紙幅の問題か ら、経験時点については禁欲 し、経験の有無 と同 居子 ・近居子の続柄のみたずねた。 ここでは、時点をコン トロール していない限定的な情 報であることに留意 しつつ、基本的な集計結果を確認 してお こう。 ・ 2の同居経験 についてみると、全体 として約 3 0%の者が調査時点で既婚子 との まず表 7 同居を経験 してお り、 また若いコーホー トほど、その比率が低 くなっている。 この裏の結 婚コーホー トの子世代は、図 71の出生コーホー トにおおよそ対応 している とみなせ るこ 1にみた結婚初期の核家族化 を反映 した結果であると考え られる。 とか ら、 これは図 7・ 3%が長男 との 同居 した既婚子の続柄 をみると、全体 として、既婚子 との同居経験者の 6 4) 01 945-49年生 まれでも 5 9%が長男 との同居 を経験 している (ただ 同居である ( 表 7しケース数が少ないことに注意) 0 ・ 3で既婚子 との近居経験をみる と、全体 として約 3 0%の者が調査時点で既婚子 との 表7 近居を経験 している。同居の場合 と比べてコーホー ト間の差が小さい。近居 した子 どもの 7%、長男以外が 63%であるが、戦後生 まれにおいて長男 との近 続柄 をみると、長男が 3 居する確率がやや高 くなってお り、少子化の影響がうかがえる。 表 ト2 既婚子 との同居経験 (出生 コーホー ト別 ・結婚コーホー ト別 ) 同居経験 あ り 同居経験 N 5 4. 4 49. 1 1 9 4 0-4 4年 1 9 45-49年 43 1 41 55. 8 53. 9 44. 2 46. 1 34. 2 6 5. 8 1 9 50-54年 1 6 3 42. 9 57. 1 28 7 26. 1 7 3. 9 1 9 5 5-59年 26 0 31 . 5 68. 5 1 9 40-44年 332 22. 3 7 7. 7 1 . 9 6 0-6 4年 31 8 25. 8 74. 2 1 9 45-49年 229 _1 7. 0. 8 3. 0 1 96 5⊥6 9年 311 1 9. 9 8 0. 1 1 9 5 0-54年 9 2 1 8. 5 81 . 5 1 9 7 0-7 4年 223 1 6. 6 8 3. 4 N 1 9 2 0-24年 1 9 25-29年 1 03 1 73 45. 6 50. 9 1 9 30-34年 301 1 9 3 5-39年 し 注)Nは子どもの結婚を経験 した者。 -1 1 6- あ り 同居経験 結婚コーホー ト 出生コーホー ト な 同居経験 な し 表 7 3 既婚子 との近居経験 (出生 コーホ ー ト別 ・結婚 コーホー ト別 ) 近居経験 近居経験 近居経験 近居経験 出生コーホー ト N 1 9 20-24年 1 03 38. 8 61 . 2 1 9 40-44年 43 48. 8 51 . 2 1 9 25-29年 1 68 31 . 5 68. 5 1 9 4 5-49年 1 39 34. 5 6 5. 5 1 9 30-34年 29 4 31 . 0 69. 0 1 9 50-54年 1 59 25. 8 7 4. 2 1 9 35-39年 28 5 3 0. 5 6 9. 5 1 9 5 5-59年 255 31 . 0 69. 0 1 9 40-44年 328 2 7. 1 72. 9 1 96 0-6 4年 31 4 34. 4 6 5. 6 1 9 45-49年 227 26. 0 7 4. 0 1 96 5-69年 309 25. 2 7 4. 8 1 9 50-54年 91 1 7. 6 8 2. 4 1 9 7 0-74年 22 0 24. 1 75. 9 り あ し な 結婚コーホー ト N あ り な 注)Nは子 どもの結婚を経験 した者。 表 ト4 同居 した子 どもの続柄 (出生 コーホー ト別 .結婚 コーホー ト別 ) 同居 した子 どもの続柄 出生コーホー ト N 長 男 同居 した子 どもの続柄 長男以外 結婚コーホー ト N 長 男 長 男以外 1 9 20-24年 47 59. 6 40. 4 1 9 40-44年 24 6 2. 5 37. 5 1 9 25-29年 88 6 7. 0 33. 0 1 9 45-49年 76 67. 1 32. 9 1 9 30-34年 1 01 6 7. 3 32. 7 1 9 50-54年 69 66. 7 33. 3 1 9 35-39年 75 6 2. 7 37. 3 1 9 55-59年 81 61 . 7 38. 3 1 9 40-44年 74 58. 1 41 . 9 1 96 0-6 4年 8 2 68. 3 31 . 7 1 9 45-49年 39 59. 0 41 . 0 1 96 5-69年 6 2 56. 5 43. 5 1 9 50-54年 1 7 52. 9 47. 1 1 9 70-74年 37 51. 4 48. 6 荏)Nは既婚子 との同居を経験 した者。 表7 5 近居 した子 どもの続柄 (出生 コーホ ー ト別 ・結婚 コーホ ー ト別 ) 近居 した子 どもの続柄 出生コーホー ト N 長 男 近居 した子 どもの続柄 長男以外 結婚コーホー ト N 長 男 長 男以外 1 9 20-24年 40 35. 0 6 5. 0 1 9 40-44年 21 42. 9 57. 1 1 92 5-29年 53 3 4. 0 66. 0 1 9 45-49年 48 20. 8 79. 2 1 9 30-34年 89 33. 7 66. 3 1 9 50-54年 40 40. 0 6 0. 0 1 9 35-39年 8 7 39. 1 6 0. 9 1 9 55-59年 78 35. 9 6 4. 1 1 9 40-44年 89 33. 7 66. 3 1 96 0-6 4年 1 08 38. 9 61 . 1 1 9 45-49年 59 44. 1 55. 9 1 96 5-69年 78 34. 6 6 5. 4 1 9 50-54年 1 6 5 0. 0 50. 0 1 9 70-7 4年 53 47. 2 52. 8 荏)Nは既婚子 との近居を経験 した者。 -1 1 7- し 7-5 むすび 今回の調査 において結婚後の親 との同居歴 ・近居歴のデータを収集 したことによって、 戦後の核家族化の実像がみえて きた。それは一つには、人口規模の大 きな 1 930年代 ・1 940 年代出生コーホー ト ( 「 人口学的移行期世代 」 )が結婚 したことによって生 じた核家族世帯 数の増加である。 このコーホー トは高度成長期に都市へ と大規模な人口移動を行ったため に、他のコーホー トに比べて親 との近居率 も低い傾向がみ られた。 もう一つは家族 システムに関する変化である。それは 「 結婚初期の核家族化、結婚 中期 以降の拡大家族形成」 と表現することがで きるだろう。 1、図 7・ 2 に表れているように、結婚初期に注 目すれば、核家族 を形成する確率は 図 7・ 低下 をつづけて きた。 しか し、1 960年代生 まれの若いコーホー トにおいて も結婚後 1 0年 が経過 すると、3割強の者が拡大家族 を形成するようになる。このような同居パター ンは、 かつて原 田尚が国勢調査データの入念な検討にもとづいて提案 した 「 修正直系家族の一形 態 としての一時別居型の仮説」 と整合する3。 われわれが ともすれば想定 しがちな核家族化のイメージは、結婚初期の同居率のコーホ ー ト差がそのまま結婚中期以降も継続するというものであろう。 しか し本調査か ら得 られ た結果はそれ とは異なる実像を与えて くれる。 戦後の人口移動はすでに終鳶を迎えた。経済成長の時代に 「 人 口学的移行期世代」が獲 得 した大量の持ち家は、今後 20年間につぎつ ぎと相続されてい くことになる。戦前 と異 な り、子世代の結婚時に相続人が決 まるということは少な くな り、 また法的には均分相続 が原則 になった現在、相続人は、 さまざまな条件 ( 子 ども夫婦の続柄や職業、家屋の大 き さ、老親の扶養、孫の存在など)によって方向づけられた家族戦略のもとで徐 々に決め ら れてい くことになるだろう。たとえば、子世代のうち結婚初期 に近居 し、孫 を含めて親密 な関係 を結んだ者が、資金的な準備が整ったタイ ミングで、親の住宅を二世帯住宅に改装 して同居 した り、あるいは集合住宅な らば、親の一人が死去 したタイ ミングで同居すると いった具合である。 このような相続の大量発生を考えると、結婚後 に拡大家族 を形成する傾 向は、今後 ます ます強 まってい くと予想で きる。以上のような仮説を念頭に、説明変数 として土地 ・家屋 の相続、夫婦の続柄、子 ども ( 孫世代)の養育、老親の扶養などを、社会経済的変数 とと もに投入 した拡大家族形成要因の多変量解析 を行 うことが、次の課題である。 3原田尚 「家族形態の変動 と老人同居扶養」 ( 『 社会学評論』2 9( 1 ) 、pp5 0・ 66、 1 97 8年)を参 照。 -1 1 8- 8 親 における介護 ・看護の変化 高齢社会 を迎えたわが国の介護 ・看護 について考えてみると、元気で 自立 した生活が営 める高齢者が増 えれば介護 ・看護ニーズは生 じないであろう。 しか しなが ら、加齢 に伴い 寝たきりや痴呆の発生率が高まることは、厚生労働省の寝たきりや痴呆性高齢者の将来推 0 2 0年には寝たきり高齢者、痴呆性高齢者 ともに 2 0 0万人を超え 計等で予測されてお り、2 るもの とされている。 このようにわが国の介護問題は、今後 ますます深刻化 して行 く可能 性が考え られる。 こうしたなかでわが国では、2 0 0 0年 4月か ら介護保険制度が導入され、高齢者や要介護 高齢者、さらには彼 らを取 り巻 く家族の介護 ・看護ニーズに対する国及び各 自治体の施策 が計画的に進め られている。 しか しなが ら、すでに様々な調査研究でも指摘 されているよ 子の配偶者」と介護 ・看護の うに、男性の場合は 「 配偶者」 、女性の場合は 「 子 ども」 か 「 ほ とんどを女性が担 ってお り、このような女性たちを中心に介護 ・看護ス トレス等の問題 が出現 してきていることも事実である。また、戦後の少子化、核家族化の影響 に伴い子 ど もの数が減少 し親 と別居する割合 も高 くなっている現状のなかで、今後 4人の親の介護 ・ 看護をどこで誰が担 ってい くのであろうか。上述 した女性たちにさらなる負担 とはな らな いのであろうか。 そこで、こうした高齢者介護 ・看護 と家族に着 目しなが ら、ここでは、親 ( 回答者の父 親 ・母親、配偶者の父親 ・母親)の介護 ・看護及び回答者 ( 女性)の介護 ・看護経験の状 況 を分析 ・考察することに した。また、調査対象者の出生コーホー トを中心に検討を加え なが ら、戦後家族の介護 ・看護の変化 とその特徴 を明 らかにすることに したい。 8-1 回答者の父親 ・母親 における介護 ・看護の変化 ここでは、回答者の父親 ・母親の介護 ・看護の状況 を明 らかにするために、間 4 0 -問 4 1 を中心に分析 ・考察を試みることに した。また、 ここでは、出生コーホー トに基づ き父親 -1 と母親 を比較 しなが ら、戦後家族の介護 ・ 看護の変化 を明 らかにすることに したい 【図 8 8参照】。 -図 8 (1)回答者の父親 ・母親の生死 0か ら回答者の父親 ・母親の生死についてみると、父親の場合は 「死亡」 ( 6 5. 2 %) 、 問4 「 健在 」 ( 3 4. 5 %) 、母親の場合は 「 健在」 ( 5 4. 1 %) 、「 死亡」 ( 4 5. 1 %)となってお り、父 親の方が母親 よ り 「 死亡」の割合が高い傾向を示 している。 さらに、それぞれの親の生死についてコーホー ト別の分析 を加えてみると、父親の場合 1 9 2 0 - 2 4年」か ら 「 1 9 4 0 - 4 4年」までの 5コーホー ト間で約 9割の父親が 「死亡」し は「 てお り、一方 「 1 9 6 0 -6 4年」以降の 2コーホー トでは約 7- 8割の父親が 「健在」である 【 図8 -1参照】。 また、母親の場合は 「 1 9 2 0 - 2 4年」か ら 「1 9 3 5 -3 9年」 までの 4コーホ ー ト間で約 8- 9割の母親が 「 死亡」 してお り、一方 「 1 9 45 -4 9年」か ら 「1 9 5 0 - 5 4年」 1 9 5 5 -5 9年」 以降の 3コーホー トでは約 9割 と までの 2コーホー ト間では約 6- 7割、「 「 健在」である母親の割合が徐々に高 くなっている 【図 8 -2参照】 。 -1 1 9- 図8 -1 回答者の父親の生死 「 100 - - ■ ー 健在 死亡 無回答 ーI , 4 6 2 80 ノ. ● 1 9 20 -1 925 -1 930 -1 935 -1 940 -1 9 45 -1 9 5 0 -1 95 5 -1 960-1 965 1 924 1 929 1 934 1 939 1 944 1 9 49 1 9 5 4 1 959 1 964 1 969 l▲ l- t l l ▲ l l l 1 9 ■ 2 0 -1 9 25 -1 9 30 -1 9 35 -1 9 40-1 9 45 -1 9 5 0 -1 9 5 5 -1 9 60- 1 9 I 65 1 924 1 929 1 934 1 939 1 944 1 949 1 9 5 4 1 9 59 1 964 1 969 以上のことか ら、全体的な傾向をみると父親 よりも母親の方が 「 健在」である割合が高 い といえる。そ してそれ らは、父親の場合 「 1 9 5 0 -5 4年」 コーホー ト、母親の場合 「 1 9 4 5 -4 9年」コーホー ト以降か ら徐 々に 「健在」の割合が増加 して行 く傾 向にある といえる。 (2)回答者の父親 ・母親の要介護 ・看護経験 間4 1か ら回答者の父親 ・母親が 3か月以上の介護 ・看護 を必要 としたのかについてみる 6 3. 6 %) 、「あった」 ( 3 2. 7 %) 、母親の場合は 「なかった」 と、父親の場合は 「なかった」 ( ( 6 4. 5 %) 、「あった」( 2 8. 6 %)となっている。このように、本調査の結果か らは、両親 と もに要介護 ・看護経験の 「なかった」親の割合が約 6割 と高い傾 向にある。 さ らに、それぞれの親についてコーホー ト別の分析 を加えてみると、父親の場合は 「 1 9 2 0 -2 4年」か ら 「 1 9 5 0 -5 4年」までの 7コーホー ト間で約 5-6割、「1 9 5 5 -1 9 5 9年」以降 図8 3 の 3コーホー トで約 7- 8割の父親 に要介護 ・看護経験が 「なかった」としている 【 参照】 .一方、母親の場合は 「 1 9 2 0 -2 4年」か ら 「 1 9 5 0 -5 4年」までの 7コーホー ト間で 約 5-6割、「 1 9 5 5 -1 9 5 9年」 以降の 3コーホー トで約 8-9割の母親 に要介護 ・看護経 -1 2 0- 験が 「なかった」 としている 【 図8 4参照】。 -3 要介護経鼓 ( 回答者の父親) 図8 一 一ー ■ 『 ▲ ▲ 」 ▲」 ▲ ▲ = = = = = = = = = = = 」 . 一 = = = = = = こ こ = = = = = = = = = = = = ニ ー . , 1 一 ' ■ l ■ ■ ■ こ ■ ' ■ 」 ■ ■ 一 ' ■ 一 ■ ' ■ ' ' ■ 1 ■ ' ■ ' ー ' 【 T 一 一 ' ■ ' ■ ■ - _ ー 18 0 5 6 9 70 一 なかっ 無回答 あったた ■ 一■ i ∼ ー、 ∼ 一 I 、 、 、 、 、. 、 4 3 2 1 、 0 . ■ ー_、、 、 、、 .. 、 、. 一 . I .. 、 、、 .. 黛. 、 、 、. . 図8 -4 要介護経鹸 ( 回答者の母親) I ち ■ 』 ■ 』 {ー ■■ . 一 一 - 『』 }『『一 - 4 3 0 9 6 5 2 8 7 10 一『■二 ■■ ■一̀ 一 『 『 ■ ー 「 r - _ _ 」 ■ ー 1 9 2 0 -1 9 2 5 -1 9 3 0 -1 9 3 5 -1 9 4 0 -1 9 4 5 -1 9 5 0 -1 9 5 5 -1 9 6 0 -1 9 6 5 - なかっ あっ 無回答 たた 以上の結果をまとめてみると、両親 ともに要介護 ・看護経験の 「なかった」という割合 1 9 3 5 が約 6割 と高い といえる。また、コーホー ト比較の結果か らは、第 1に両親 ともに 「 -3 9年」コーホー トを起点に要介護 ・看護経験の 「あった」割合が徐 々に減少 しているこ 1 9 2 5 -2 9年」 と 「 1 9 3 0 - 3 4年」コーホー トで と、第 2に両親 を比較すると、母親の場合 「 要介護 ・看護経験の 「あった」割合が高い傾向にあることが明 らかになった といえる。 (3)回答者の父親 ・母親の中心的な介護 ・看護者 問4 1の付間 1か ら要介護 ・看護経験があったそれぞれの親の中心的な介護 ・看護者を概 観 してみると、両親 ともに 「 非該当」の割合が約 7割 と最 も高い といえるが、父親の場合 では 「 配偶者 〔 = あなたの母 〕 」( 1 9. 0 %) 、「 長男 ( 夫婦 ) 」( 5. 6 %)等、母親の場合では 「長 」( 9. 2 %) 、「 長女 ( 夫婦 ) 」( 5. 7 %) 、「 配偶者 〔=あなたの父〕 」( 3. 6 %)等の順 男 ( 夫婦 ) -1 21- となっている。 さらに、親か らみた続柄 に注 目したコーホー ト別の分析 を加えてみると、父親の場合は 「1 9 2 0 -2 4年」か ら 「1 9 5 0 -5 4年」 までの 7コーホー ト間で 「配偶者 〔=あなたの母 〕」、 「長男 ( 夫婦 ) 」等の順 に中心的な介護 ・看護者の割合が高 くなってお り、「 1 9 5 5 -1 9 5 9年」 以降の 3コーホー トでは 「 配偶者 〔-あなたの母〕 」 、「 長女 ( 夫婦 ) 」等の順 に中心的な介 5参照】 。一方、母親の場合は 「 1 9 2 0 -2 4年」 護 ・看護者の割合が高 くなっている 【 図8 のコーホー トで 「 長男 ( 夫婦 ) 」、「 長男以外の息子」等、「 1 9 2 5 -2 9年」か ら 「1 9 5 0 -5 4 年」 までの 6コーホー ト間で 「 長男 ( 夫婦) 」 、「 長女 ( 夫婦 ) 」等の順 に、「 1 9 5 5 -5 9年」 のコーホー トでは 「 長女 ( 夫婦 ) 」 、「 配偶者 〔=あなたの父〕 」等、 「 1 9 6 0 -6 4年」以降の 2コーホー トでは 「 配偶者 〔-あなたの父・ ] J 、「 長女 ( 夫婦 ) 」等の順 に中心的な介護 ・看 護者の割合が高 くなっている 【図 8 6参照】。 ヽ 5 4 8 3 6 7 90 20 ー - 、1 、 0、 ■ー ヽ - ー一「 ■ ■ l ー -_ 図8 -5 中心的な介護 .看護 ( 回口者の父親) 一 丁 ー T _ 1 _ 一 ー ・. - 千 親族 非核 長女以外の息 その他の家族 上妃以外の方 長男以外の息 配偶者 長男 長女 ( 夫婦) 当 ( 夫婦) . ・ . .. -. .. _ .二 - . . : . :>3:J .. .. .. - 無回答 図8 6 中心的な介護 ・ 看護者 ( 回答者の母親 ) 00000000000 098 7654321 ー 配偶者 ー 長男 ( 夫婦) ー 長女 ( 夫婦) ー 長男以外の 息子 ( 夫婦) 長女以外の ー ー ー i ;寸i Mi +6L -0 6C6L ISC6L i 蒜 2 -OC6L E j Nのロ ーSN6L i ;Bj の] -ON6L - 皇 ▼ ●軍 摘 ▼ - -1 2 2- 録 ▼ ■ - 重 虫 ▼ -要 ▼ ■ ■室 ■ その他の家 族・ 親族 上記以外の 方 非核当 .一・ 一 ・ 無回答 以上のことか ら、それぞれの親の中心的な介護 ・看護者の特徴をまとめてみると、父親 の場合は 「 配偶者 〔 あなたの母〕 」 、「 長男 ( 夫婦) 」か ら 「 配偶者 〔 あなたの母〕 」 、「 長 女 ( 夫婦) 」 、母親の場合は 「 長男 ( 夫婦) 」 、「 長女 ( 夫婦) 」か ら 「 長女 ( 夫婦) 」 、「 配偶者 〔 あなたの父〕 」 、さらには 「 配偶者 〔 あなたの父 〕 」中心の介護 ・看護へ と徐々に続柄 が変化 しているといえる。これ らの結果から、回答者の父親の場合は配偶者中心、母親の 場合は子 ども中心の介護 ・看護の特徴が浮き彫 りになった といえる。 (4)回答者の父親 ・母親の主な介護 .看護場所 図8 -7 主な介護 . 看護場所 ( 回答者 の父親 ) ▲ ▲ 」. . ■■』』■』一■- ー ▲ ー i = = 亨 ■ ヽ ■ 亡 亡 = = ' 「 一 ■ ■ ■ 一 _ ー 」 L_I - 、 8 5 4 3 2 7 9 6 1 、 0 .室 . 忘 . . I.. . 、 、、 、 . I .、、垂、 、 . I.勇治 .I . I .. t ' ー 一 在宅 病院 無回答 非該 当 . 施設 図8 -8 主な介護. 看護場所( 回答者の母親) 一 ■ - . 」 ー 一 ◆一一 r 10 3 6 8 9 2 5 4 7 10 一 - ー 一 在宅 病院. 非該当 無回答 施設 1 9 20 -1 9 25 -1 930 -1 935 -1 94 0 -1 9 45 -1 950 -1 955 -1 960 -1 965 - 間4 1の付間 2か ら主な介護 ・看護場所について分析 を加 えてみると、「非該当」の割合 が約 7割 と全体的に高い傾向にあるが、父親の場合では 「主に病院 ・施設」 ( 1 7. 2 %) 、「主 に在宅」 ( 1 3. 0 %) 、母親の場合では 「 主に病院 ・施設」 ( 1 4. 2 %) 、「主に在宅」 ( 1 2. 1 %) となっている。 -1 2 3- これ らの特徴ついてコーホー ト別の分析を加えてみると、父親の場合 「 1 9 2 0 - 2 4年」か ら「 1 9 3 5 -3 9年」までの 4コーホー ト間で約 2割が 「主に在宅」であ り、一方 「 1 9 4 0 -4 4 年」以降の 6コーホー トでは約 2割の父親が 「 主に病院 ・施設」で介護 ・看護 を受けてい る 【図 8 7参照】 。また、母親の場合は 「 1 9 2 0 - 2 4年」か ら 「1 9 3 0 -3 4年」までの 3コー ホー ト間で約 3割が 「主に在宅」であ り、一方 「 1 9 3 5 -3 9年」以降の 7コーホー トでは約 2割の母親が 「主に病院 ・施設」で介護 ・看護を受けている 【図 8 8参照】 。 以上の結果か ら、全体的な傾向をまとめてみると両親 ともに要介護 ・看護経験の 「 非該 1 9 3 5 当」の割合が高い といえる。さらに、コーホー ト比較の結果か らは、両親 ともに 「 在宅」か ら 「 病院 ・施設」へ と変化 し 3 9年」コーホー トを起点に主な介護 ・看護場所が 「 ていることが明 らかになったといえる。 8-2 配偶者 (夫 )の父親 ・母親における介護 ・看護 の変化 次に、ここでは、配偶者 ( 夫)の父親 ・母親の介護 ・看護の状況を明 らかにするために、 間4 2 -間 4 3を中心に分析 ・考察を試みることにした。また、 ここでは、出生コーホー ト に基づき父親 と母親を比較 しなが ら、戦後家族の介護 ・看護の変化を明 らかにすることに -9 -図 8 -1 6参照】 。 したい 【 図8 (1)配偶者 (夫)の父親 ・母親の生死 問4 2か ら配偶者 ( 夫)の父親 ・母親の生死についてみると、父親の場合は 「自分たちの 結婚後に死亡」 ( 4 3. 9 %) 、「 健在 」 ( 2 7. 3 %) 、「自分たちの結婚前に死亡」( 2 1. 8 %)等、母 4 4. 5 %) 、「自分たちの結婚後に死亡」 ( 4 0. 4%) 、「自分たちの結婚前 親の場合は 「 健在 」 ( 8. 7 %)等 となってお り、父親よりも母親の方が 「 健在」である割合が高い傾向 に死亡」 ( を示 している。 さらに、それぞれの親の生死 についてコーホー ト別の分析 を加えてみると、父親の場合 は「 1 9 2 0 -2 4年」か ら 「1 9 5 0 - 5 4年」までの 7コーホー ト間で約 5- 6割が 「自分たちの 結婚後に死亡」 してお り、一方 「 1 9 5 5 -5 9年」以降の 3コーホー トでは約 5- 7割の父親 9参照】 。また、母親の場合は 「 1 9 2 0 - 2 4年」か ら 「1 9 4 0 が「 健在」であるとしている 【 図8 t t ■ ■ ▲ ■ ■ L ゝ ■ ■ 一 ▲ー 」L ー ー_ _ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■J h ■ + 一 + ー 、 12 4 0 8 6 、 0 ■ ■ ■ ■ ■ ■ 一 一 ■ 一 " : q ∼ b , S " lb Q 一, S :; S b 一, e b t 9 q S ■ ■ S" i q S, S : 9 q b b 一 , S " Ih 5 一 , 0 S ls Q, S : h q S# 1 ■ ∩ ■ 1 ■ -1 2 4- 健在 無回答 わから 非該当 前に死亡 後に死亡 日分たちの頼婚 日分たちの鯖婚 ない ∼4 4年」までの 5コーホー ト間で約 6-7割、「 1 9 4 5 -4 9年」のコーホー トで約 4割が 「自 分たちの結婚後 に死亡」 してお り、一方 「 1 9 5 0 -5 4年」以降の 4コーホー トでは約 6- 8 割の母親が 「 健在」であるといえる 【 図8 1 0参照】。 以上のことか ら、全体的な傾向をみると父親 よりも母親の方が 「 健在」である割合が高 い といえる。そ してそれ らは、父親の場合 「 1 9 5 0 -5 4年」コーホー ト、母親の場合 「 1 9 4 5 -4 9年」コーホー ト以降か ら徐 々に 「健在」である割合が増加 して行 く傾 向にあるといえ る。 (2)配偶者 (夫 )の父親 ・母親の要介護 ・看護経験 問4 3か ら配偶者の父親 ・母親が 3か月以上の介護 ・看護 を必要 としたのかについてみ る 4 9. 9 %) 、「あった」 ( 3 1 . 3 %) 、母親 の場合は 「なかった」 と、父親 の場合は 「なかった」 ( ( 5 5 . 2 %) 、「あった」 ( 2 9. 4 %)となっている。このように、本調査の結果か らは、両親 と もに要介護 ・看護経験 の 「なかった」 という親の割合が約 5割以上 を占めている。 さ らに、それぞれの親 についてコーホー ト別の分析 を加 えてみる と、父親の場合は 「 1 9 2 0 図8 -11要介護経験 ( 配偶者の父親) r t E I- . I . I - 一一 一 一 一 一 一■ー 』 ■ ヽ、 ■ _ ヽ ■■ ■ 一 、. . 一、 . I . .. 、. 、 、、 . 、. '、 ' 一、 、 、 、 、 4 3 2 5 6 7 10ヽ 、 . 鷲 垂 喜 室、 . ∼ 章. -1 2 5- ー +■ト なかった わから 非該当 あった 無回答ない ∼2 4年」か ら 「 1 9 5 0 -5 4年」までの 7コーホー ト間で約 4-5割、「 1 9 5 5 -1 9 5 9年」以降 の 3コーホー トで約 6- 7割 と父親について要介護 ・看護経験が 「なかった」 という割合 が高 くなっている 【 図 8 1 1参照】。一方、母親の場合は 「 1 9 2 0 -2 4年」か ら 「 1 9 4 0 -4 4 年」までの 5コーホー ト間の約 4-5割で要介護 ・ 看護経験が 「あった」としてお り、「 1 9 4 5 -4 9年」のコーホー トで約 5割、「 1 9 5 0 -5 4年」以降の 4コーホー トの約 7-8割で要介 1 2参照】。 護 ・看護経験が 「なかった」 としている 【 図8 図8 -1 2 要介護経験( 配偶者の母親) ■ ■ー 『l l 一一 - i■■■l 一一二 ■ _ _ _ 一一 一一g ■ ヽ \ ▲ L 暮J ■ - F ■■ V 5l ー 9 8 6 5 70 3 4 2 10 I . 、 .I . 、 、 .tt ..ー.I .、 i、 i、 I i、 忘 ■ ー + ■ l 一 . なかっ わから 非該当 無回答 あったた ない ' . 三、 . 以上の結果をまとめてみると、両親 ともに要介護 ・看護経験の 「なかった」という割合 1 9 5 0 -5 4年」 が約 5割 と高い といえる。また、コーホー ト比較の結果か らは、父親の場合 「 1 9 4 5 -4 9年」コーホー トを起点に介護 ・看護経験の 「あった」 コーホー ト、母親の場合 「 割合が徐々に減少 してい く傾向にあることが明 らかになったといえる0 (3)配偶者 (夫)の父親 ・母親の中心的な介護 ・看護者 問4 3の付間 1か ら要介護経験があったそれぞれの親の中心的な介護 ・ 看護者を概観 して みると、両親 ともに 「 非該当」の割合が約 7割 と最も高いといえるが、父親の場合は 「 配 1 4. 2 %) 、「 長男 ( 夫婦) 」( 9. 5 %)等の順、母親の場合 「長男 (夫婦)」 偶者 〔=夫の母〕 」( ( 1 5 . 1 %) 、「 長男以外の息子 ( 夫婦) 」等 ( 3 . 8 %)の順 となっている。 さらに、 親の中心的な介護 ・ 看護者の続柄についてコーホー ト別の分析を加えてみると、 1 9 2 0 -2 4年」から 「 1 9 3 5 -3 9年」までの 4コーホー ト間で 「長男 (夫婦)」、 父親の場合は 「 「 配偶者 〔 夫の母〕 」等の順に、「 1 9 4 04 4年」以降の 6コーホー トでは 「配偶者 〔 夫 - の母〕 」 、「 長男 ( 夫婦) 」等の順に割合が高 くなっている 【 図8 1 3参照】。一方、母親の場 1 9 2 0 -2 4年」か ら 「 1 9 5 0 -5 4年」までの 7コーホー ト間で 「長男 (夫婦)」、「長男 合は 「 1 9 5 5 -5 9年」のコーホー トでは 「長男 (夫婦)」、「配偶者 以外の息子」等の順に、「 〔 夫 の父〕 」等の順 に、「 1 9 6 0 -6 4年」以降の 2コーホー トでは 「配偶者 〔-夫の父〕」、「長男 1 4参照】。 ( 夫婦) 」等の順に割合が高 くなっている 【 図8 以上のことか ら、それぞれの親の中心的な介護 ・看護者の特徴をまとめてみると、父親 の場合は 「 1 9 4 0 -4 4年」コーホー トを起点 として 「長男 (夫婦)」か ら 「配偶者 〔=夫の 母〕 」 、母親の場合は 「 長男 ( 夫婦) 」中心であるが徐々に 「 配偶者 〔 夫の父〕 」へ と変化 しているといえる。これ らの結果か ら、配偶者 ( 夫)の父親 ・母親の中心的な介護 ・看護 -1 2 6- 図8 -1 3 中心的な介護 ・看護者 ( 配偶者の父親 ) 00 00 000 00 00 09 87 654 32 1 1 ◆ 配偶者 1 ■ 一長男( 夫婦) ー 長女( 夫婦) う ー 長男以外の息 子( 夫婦) ー 長女以外の息 子( 夫婦) -. ・ ・ その他の家族 696T S96L 寸967 096L 696T SS6L fS6T OS6L 6寸6L-S寸6L 寸寸6丁 0寸6L 6C6T SC6L 寸C6T Oe6L 6N6T SZ6L 寸Z6T 0叫6L 親族 ー 上育 己 以外の方 ・ -・ . わからない 一・ 一 ・ ・ 非該当 図8 -1 4 中心的な介護 .看謀者 ( 配偶者の母親 ) ー ■ ト長 千 配女 長 偶 男 ( 夫 者 以 ( 婦 夫 外 婦 ) の ) 息 L J , 」■ ■一一 ] _■ A 1 0 4 2 6 8 0 0 ー ー I 1 92 0 -1 925 -1 9 3 0 -1 9 35 -1 9 40 -1 9 45 -1 95 0- 1 955 -1 96 0- 1 965 - 看護者は、コーホー トの変化 に伴い 「 長男 ( 夫婦 ) 」か ら 「配偶者 ー + . 一 ・一 . 一 一 親族 千 上 長 そ わ 非の 女 言 該 か ( 己 夫 他 ら 以 当 婦 な の 外 ) い 家 の族 息 方. 〔 夫の父〕 」へ と徐々 に変化 していることが浮 き彫 りになったといえる。 (4)配偶者 ( 夫)の父親 ・母親の主な介護 ・看護場所 3の付間 2か ら主な介護 ・看護場所について分析 を加 えてみると、「非該当」の割合 間4 主に病院 ・ 施設」( 1 4. 5 %) 、「主に在宅」 が約 7割 と最 も高い といえるが、父親の場合では 「 ( l l. 9 %) 、母親の場合では 「 主に病院 ・施設 」 ( 1 3. 8 %) 、「主に在宅」 ( 1 2. 1 %)となって いる。 1 9 2 0 -2 4年」 これ らの特徴 についてコーホー ト別の分析 を加えてみると、父親の場合は 「 1 9 3 5 -3 9年」までの 4コーホー ト間の約 2割が 「主に在宅」であ り、一方 「 1 9 4 0 から 「 - 4 4年」か ら 「 1 9 5 0 -5 4年」の 3コーホー ト間では約 2割の父親が 「主に病院 ・施設」で介 1 5参照】。また、母親の場合は 「1 9 2 0 -2 4年」か ら 「 1 9 3 0 護 ・看護 を受けている 【 図8 3 4年」までの 3コーホー ト間の約 2- 3割が 「主に在宅」であ り、一方 「 1 9 3 5 -3 9年」か ら「 1 9 4 5 -4 9年」の 3コーホー ト間では約 2割の母親が 「主に病院 ・施設」で介護 ・看護 1 6参照】 。 を受けている 【 図8 - 以上の結果か ら、全体的な傾向をまとめてみると両親 ともに要介護 ・ 看護経験の 「 非該当」 935-39 の割合が高い といえる。さ らに、コーホー ト比較の結果か らは、両親 ともに 「1 年」コーホー トを起点 に主な介護 ・看護場所が 「 在宅」か ら 「 病院 ・施設」へ と変化 して いることが明 らかになったといえる。 -1 2 7- 図8 -1 5 主な介護. 看護場所( 配偶者の父親) ■ ■ l l ■ ■ 14 3 2 0 8 6 5 9 70 ● ■. ー 1 ■ ■ 「 」 L _ ■ ■ ー _ A 一 - ー 一一一 在宅 病 わから 非該当 無院 回答 . 施 ない 設 -. . ■ ■ -■ ■ ■ ← ■ I. 一 一 l . I l I - ■ -■ ■ ■ ■ ■」 ■ ■ ■ ■ 一 一 ■ . ■ ■ . ▼. - 10 0 -1 9 3 5 -1 9 4 0 -1 9 45 -1 9 5 0 -1 9 5 5 -1 9 6 0 -1 9 65 1 9 2 0 -1 9 25 -1 93 図8 -1 6 主な介謙. 看護場所 ( 配偶者の母親) t l l l ■ t l 一 一 - ↓+ I 一 ■ -・ 一 一 ■ - ■ - 14 6 0 2 80 一 ■ ー - 非該当 無回答 ー 一 + 在 病院 わから 宅. 施設 ない 1 9 2 0- 1 9 2 5 - 1 9 3 0- 1 9 3 5 - 1 9 4 0 - 1 9 45 - 1 9 5 0 - 1 9 5 5 - 1 9 6 0- 1 9 65 - 8-3 回答者の介護 ・看護経験 の変化 / ここでは、回答者 が直接 関わ った介護 ・看護 の状況 を明 らかにするため に、問 4 4に基づ き分析 ・考察 を試み るこ とに した。 また、 ここでは、 出生 コーホー ト間の比較分析 を試み なが ら、戦後 家族 にお ける回答者 ( 女性)の介護 ・看護 の変化 について明 らか にするこ と に したい 【 図 8 1 7 -図 8 2 1参照 】。 (1)回答者の介護 ・看護経験 間4 4か ら回答者 にお ける家族や親族の介護 ・看護経験 についてみ る と、「ない 」 ( 6 5 . 9 %) 、 「ある」( 3 3. 5 %)となってお り、回答者の約 6割で介護 ・看護経験 が 「ない」と してい る。 さ らに、 これ らの結果 か らコーホー ト別の分析 を加 えてみ る と、 「 1 9 2 5 -2 9年」のコー ホー トの約 5割で介護 ・看護経験 が 「ある」 としている他 は、 「 1 9 2 0 -2 4年」 と 「 1 9 3 0 3 4年 」か ら 「 1 9 4 5 -4 9年」 までのそれぞれのコーホー トで約 5-6割、「 1 9 5 0 -5 4年」以 割で介護 ・看護経験 が 「ない」 とい う割合 が高 い傾 向を示 し 降の 4コーホー トの約 7-9 ている 【図 8 1 7参照 】。 以上の結果か ら、全体 的な傾 向をま とめてみる と 「 1 9 2 5 -2 9年 」と 「 1 9 4 5 -4 9年」コ- -1 2 8- ホ- トでやや介護 ・看護経験が 「ある」割合が高い他は、介護 ・看護経験の 「ない」割合 が高い傾向にあることが明 らかになったといえる。 -1 7 回答者の介護. 看護経鹸 図8 一 ■ - I - 190 00 40 60 80 20 30 50 70 10 ー -■ー無回答 なかっ あったた 0 1 920 -1 925-1 930 -1 935 -1 940 -1 9 45 -1 950 -1 955 -1 960-1 965- (2)回答者が初めて介護 ・看護を した相手 問4 4の付間 1か ら介護 ・看護経験が 「ある」回答者を中心に初めて介護 ・看護 した相手 9. 1 %) 、「自分の母親 」 ( 7. 4 %) 、「夫の父親」 について分析 を加えてみると、「夫の母親」 ( ( 6. 0 %)等の順 となっている。 1 9 2 0 -2 4 さらに、初めて介護 ・看護 した相手についてコーホー ト別に比較 してみると、「 年」のコーホー トの場合では 「 夫」 、「 夫の父親」等の順に、「 1 9 2 5 -2 9年」のコーホー ト の場合では 「夫の母親」 、「 夫」等の順に、「 1 9 3 0 -3 4年」のコーホー トの場合では 「夫の 1 8参照】。 母親」 、「自分の母親」 等の順に介護 ・ 看護 した相手の割合が高 くなっている【図 8 以上のことか ら、初めて介護 ・看護 をした相手のコーホー ト比較の結果をまとめてみる と、若年コーホー トへ と移行するほど 「 夫」 、「夫の父親」か ら 「夫の母親」 、「自分の母親」 へ と変化する傾向にあるといえる。 1 図8 -1 8 初めての介護者 一 子ども 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 9 8 7 6 5 4 3 2 1 一夫 一 日分の父親 一一 一自分の母親 一 夫の父親 一 夫の母親 ー その他 - ・ 非該当 - . ・ 無回答 1 9 4 5 -1 9 5 0 -1 9 5 5 -1 9 6 0 -1 9 6 5 1 9 49 1 9 5 4 1 9 5 9 1 9 6 4 1 9 6 9 -1 2 9- (3)回答者の最初の介護 ・看護の継続状況 とその終了理由 間4 4の付間 3か ら最初の介護 ・看護の継続状況をみると、「その介護 ・看護は終わった」 ( 2 9. 9 %) 、「 現在 も行っている」 ( 3. 5 %)となっている。そ して、最初の介護 ・看護の終 2 5. 8 %) 、「 相手が回復 したため」( 2. 7 %)等の 了理由をみると 「 相手が亡 くなったため」( 順 となっている。 さらに、 これ らの結果についてコーホー ト別の分析を加えてみると、若年コーホー トに 1 9 2 0 -2 4年」から 「 1 9 4 5 近づ くほど 「 非該当」の割合が徐々に高 くなっている。また、「 -4 9年」までの 6コーホー ト間の約 4-3割が 「相手が亡 くなったため」に介護 ・看護が -1 9・2 0参照】 。 終了 したとしている 【図 8 図8 -1 9 介護 . 看護の継続状況 . T - 40 30 6 9 8 5 2 7 10 _ ーJL ∫ ′ ′ \ ′ Y . _ ■ ト ー. 一 一 . I . 量 士. ▲ ■ - 丁. - -. 一 - 11 92 0- 1 925 -1 9 30 -1 9 35 -1 9 40- 1 9 4 5 -1 95 0- 1 9 5 5 -1 96 0- 1 965 - ー 無回答 現在も行って その介護. 護 非該当 いる は終った育 _ _ 」 ▲ 【 ー 0 9 8 7 6 50 - ド 4 3 2 10 I 1 9 2 0 -1 9 2 5 -1 9 3 0 -1 9 3 5 -1 9 4 0 -1 9 45 -1 9 5 0 -1 9 5 5 -1 9 6 0 -1 9 6 5 図8 -2 0 介護 . 看護の終 了理由 ー +X - 相手が回復し 相手が亡く 他の人と たため なったため その他の理 介護. 非該当 無回答 し 由たため 看練を 交替 このように、最初の介護 ・看護は要介護 ・看護者の死亡により介護 ・看護が終了してい るという傾向にあるといえる。 (4)回答者のその後の介護 ・看護経験 4の付 間 5か らその後の家族 や親族の介護 ・看護経験 についてみ る と、「ない」 問 4 ( 2 1. 2 %) 、「ある」 ( 8. 6 %)となってお り、「非該当」を含めると大部分がその後の介護 ・ 看護経験が 「ない」 としている。さらに、その後の介護 ・看護経験についてコーホー ト別 の分析を加えてみると、「 1 9 2 0 -2 4年」のコーホー トの約 2割でその後の介護 ・看護経験 -1 3 0- が 「ある」 としている 【図 8 2 1参照】。 以上の結果か ら全体的な特徴を捉えてみると、若年コーホー トに近づ くほ どその後の介 護 ・看護経験 が 「ない」 という割合が高 くなる傾 向にある。 図8 -21その後の介護 . 看護状況 - _ ・ . l . 10 90 _. / 2 3 8 6 5 4 7 10 0 I 」 一 - _ _ ▲ ー⇒ト ない 無回答 非該当 ある ー 一 ・ ・ . ■ ■ヽ L 」L L lヽ 】 ■ lU lヽ 一 lL J lヽ 一 lt コ ■ 1 920 -1 925 -1 930 -1 9 3 5 -1 9 40 -1 9 45 -1 950 -1 955 -1 960 -1 965 - 8-4 おわ りに ここでは、親の介護 ・看護及び回答者の介護 ・看護の状況 について出生 コーホー ト別に 検討 を加 えて きた。そ こで以下では、戦後家族の介護 ・看護 における変化 とその特徴 につ いて まとめることに したい。 まず親の介護 ・看護 については、第 1に回答者及び配偶者の親いずれについて も、父親 よ り母親の方が 「 健在」である割合が高いことが明 らかになった。 これは、平均寿命の男 女差か らも予測で きるように父親 よ り母親の方が健在である割合が高 くなることが窺える。 1 9 3 5 -3 9年」コーホー ト 第 2に親の要介護 ・看護経験 については、回答者の両親の場合 「 1 9 5 0 -5 4年」コーホー ト、母親の場合 「 1 9 4 5 -4 9年」コ を起点 に、配偶者の父親の場合 「 ーホー トを起点 に要介護 ・看護経験がある割合が徐 々に減少 してい く傾向にあることが明 らかになった。 これ らの結果については、親の介護 ・看護年齢 との関連性 を検討 してみる 必要があるといえるが、配偶者の父親、母親、回答者の父親、母親の順 に変化 しているこ とが予測で きる。第 3に親の介護 ・看護者の特徴 をあげると、回答者の父親 の場合は配偶 者中心、母親 の場合は子 ども中心であ り、配偶者 ( 夫)の父親の場合は子 ども ( 長男夫婦) か ら配偶者中心へ、母親の場合は子 ども ( 長男夫婦)中心であるが徐 々に配偶者中心の介 護 ・看護へ と変化 している。このような子 ども中心か ら配偶者中心の介護 ・看護への変化 は、戦後の少子化や核家族化が影響 して きている と考察で きる。第 4に主な介護 ・看護場 所 をみると、回答者及び配偶者の親いずれについて も 「 1 9 3 5 -3 9年」コーホー トを起点に 「 在宅」か ら 「病院 ・施設」へ と変化 している。 これは、 1 9 8 0年頃か ら徐 々に 7 0歳以上 の死亡場所が 自宅か ら病院へ変化 していることと関連性があると考え られ る。 次 に回答者の介護 ・看護経験については、第 1に全体的にみて 「 1 9 2 5 -2 9年」 と 「 1 9 4 5 -4 9年」コーホー トでやや介護 ・看護経験が 「ある」割合が高い傾 向にあるものの、介護 ・ -1 31- 看護経験の 「ない」 という割合が約 6割 と高いことが明 らか となった。これは、若年コー トへ移行するほど顕著な特徴であると考える。第 2に初めて介護 ・看護 を した相手は若年 コーホー トへ移行するほど 「 夫」 、「夫の父親」か ら 「 夫の母親」 、「自分の母親」へ と変化 」が、母親の場 して きていることである。これ らの結果からは、父親の場合 「 配偶者 ( 妻) 合 「 子 ども ( 嫁 ・娘 ) 」がその中心的な担い手であることが窺える。第 3に最初の介護 ・看 護は要介護 ・看護者の死亡によ り介護 ・看護が終了していること、第 4に若年コーホー ト に近づ くほどその後の介護 ・看護経験が 「ない」割合 と 「 非該当」の割合が圧倒的に高 く なる傾向にあるといえる。 このように、本調査の結果か ら戦後家族における介護 ・看護の変化 とその特徴が明 らか になった。今後は、少子高齢化や核家族化の進行する現代の家族 において、 ますます親の 介護 ・看護の問題が深刻化 して行 くであろう。そ して、介護保険制度等を中心 としたそれ ぞれのニーズに応 じた高齢者福祉の施策の検討が重要な課題 となるであろう。 -1 3 2- 9 女性 の介護経歴 9-1 本章の 目的 近年、介護保険の成立 と期を同 じくして、産業化 ・少子高齢化 ・世帯の小規模化 にとも なう家族の介護負担の問題が随所で取 り上げ られている。性別役割分業規範のもとでは、 家族の介護を期待 され、 また実際にこれを担 うのは多 くの場合女性であることか ら考える と、家族の介護負担の問題 とは、多 くの場合は女性の介護負担の問題であ り、 この意味に おいて、近年の議論は女性の介護負担が増 していることを示唆 している。 しか し、女性の 介護負担 について、主観的側面 ( ス トレス)か らとらえた調査研究については比較的多 く の蓄積がみ られる一方、客観的側面 ( 経験そのものの回数 ・期間な ど)か らとらえた調査 研究はまだまだ少ない。そもそも、客観的意味での介護負担の増加は、本当に生 じている のだろうか。 また、も し介護負担が増加 しているとすれば、具体的に人生の どの くらいの 割合、 どのようなタイ ミングで、 これを経験することになったのだろうか。そこに一定の 歴史的変化のパター ンはうかがえるだろうか。 本章は、 調査の問 44で質問 した介護経歴についてのデータを用いてコーホー ト比較を行 うことを通 じて、 こうした女性の介護経歴の変化の様相 をとらえるとともに、介護経歴デ ータについて検討 を加えることを目的としている。ここで経歴 ( c a r e e r ) とは、ある社会的 役割へのコ ミッ トメン トの軌跡 を指す。たとえば、介護者役割は、身体的介護 を他 に依存 する者に対 してケアを提供する社会的役割であるが、 この役割の獲得 と喪失の軌跡は、介 護経歴 として とらえ られ記述される。結婚 ・出産な ど他の家族経歴 に比 して、介護経歴は、 生涯 にわたっての不特定多数の相手 との関わ りの中で、 また同 じ相手 に対 して役割の獲得 と喪失を繰 り返す中で形成 される可能性 を多分に秘めている。また、介護役割 を獲得 ・喪 失する リスクは、多 くの場合、病などの本人の制御で きない原因によ り生 じるとい う特徴 をもつ。 この介護経歴 をとらえるために、この調査 においては、対象を親 ・夫な どに限定するこ 」かかわった とな く、女性がこれ まで 「中心 となって ( あるいは中心でないもののかな り) 3 ケ月以上の中長期 にわたる介護のすべてについて、介護の相手、開始年、修 了年 につい ての回答を求めた。同 じ対象者について、時期を異に して複数回介護 を行 った場合は、 こ のすべての経験 について回答を求めた。 9-2 回答率 と回答傾向 一般的に時系列データは、回顧法によ り調査する場合、記憶力の確かさや回答者の負担 の問題が生 じる とされ、個人を長期にわたってフォローする追跡調査 によって収集するこ とがのぞま しい といわれている。 しか し、本調査の統一テーマ 「 戦後の家族変動」のよう に、すでに生 じた変化 をとらえる上では、戸籍な ど客観的資料によるほかは、回顧 による 以外の方法で、時系列データを収集することは困難である。 このような場合、特に記憶に U98ではこ 印象的な時点 を選び、その周辺で情報を収集することも可能で、た とえば NFT -1 3 3- の方法が用い られているo しか し、今回の調査は、介護 に関 しては、NFTu98 と同様の看 介護経歴)につい 取 りの介護に関する項 目 ( 問 40-43)に加え、生涯にわたる介護経験 ( て項 目 ( 間 44) を設けて調査 をおこなった。これは、介護経歴 をとらえた調査はこれまで 日本 にほ とんどないことか ら意義深いことであるとともに、他国に比 して、分析に用いる ことので きる既存の時系列データが極めて限 られている日本の状況や、戦後 を生 きた高齢 者たちの経験 を彼 らの存命 中に残すことの重要性 という点において、調査 を試みることが 無駄ではない と判断されたためであるが、調査の性質上、設計 ・実施 にあたって問題 を最 小限に押 さえる努力をすることと、分析 にあたってそれでも生 じる限界 について留意する ことは極 めて重要であると思われる。 調査の設計については、他章 に詳 しいので、介護 ・就業経歴項 目について記憶力の確か さの問題 を極力少な くするためなされた工夫のみ簡単にまとめると、 経歴項 目に至る前に、 結婚 ・出産な ど印象的なライフイベ ン トについての項 目を設け、その時期 を問い、後の経 歴項 目を回答する上で参照で きるように構成 した点、各経歴 に関 しては じめての経験か ら 徐 々に記憶をたどるよう構成 した点などが挙げられる。特に前者の作業は、主なイベ ン ト の発生時期を軸に して記憶 をたどり、よ り確かな記憶 を導 くことがで きるといわれている1。 本来は、面接調査 によ りこの作業 を確認することが望 ましいが、他の項 目の事情や、面接 した場合の回答者の負担、留め置けば時間をかけて資料などを頼 りに回想 して もらうこと が可能であること等を勘案 し、留め置 き法で行った上で、回収時に調査員が空欄部分 を確 認 し回答を促す という方法が とられた。 まず、 このように して得 られた介護経歴項 目への回答率や回答内容 を確認するために、 u98は、 時点 を絞 って介護経験 を問うた NFN 98の調査結果 と回答傾向の比較 を行 う.NFT 全国サ ンプルを対象に介護経験 について行われた数少ない調査の一つであるoNFT U98 で は、58歳以上 77歳の高齢男女で、かつ実の父母 と義理の父母各々について亡 くなった方 を対象 に、「 亡 くなるまでの間に、介護や看病を必要 とした期間があ りましたか。 」と問い、 これに 「はい」 と答えた者に対 して、詳細に介護経験を問うている。 また、夫の介護 につ いては亡 くなった方については同様 に聞 くとともに、健在の方については現在の介護の有 SOlの形式に比べ ると、回答 無 について問 うている.全ての介護経験 について問う NFTu- 者 の負担 も少な く、各時点 については、 よ り正確 な情報が得 られてい る と思われ る。 NFT uSOlの調査対象者は女性であるため、以下、比較にあたっては、NFTU98についても 女性 回答者に限定 して分析 を行 った。 (1)回答率 まず、表 91 の示すように、NFRJ SOl における介護項 目についての無回答は、全体で 39ケース ( 無回答率 1. 1 3%) 、58歳以上でも 24ケース ( 無回答率 1. 76%) と少なかった。 NFT u98に比べても無回答数は多 くない。 次に、無回答は記憶力の低下によ り年齢が高いほど多 くな り、 また表の読解の煩雑 さな 1 た とえば、L e Aus , E . a ndW. Ma r bur ge r .1 98 3. "Si n c et h ee up r t i onofMt .St . He l e ns ,hasanyone ● be a t e nyouu p?I mpr o vl n gt hea c c ur a c yofr e t r os pe c t i ver e por t swi t hl a ndma r ke ve n t s ・ Me mor ya nd Cogm it i onI I ,1141 20. -1 3 4- どのため教育年数が低いほ ど多い との仮説によ り、無回答傾 向についてロジステ ィック回 帰分析 を行 った. しか し、表 9 1 2が示すように、NFT uSOlの介護経歴 については、無回答 傾向に特徴的なパ ター ンはみ られなかった2。 表9 -1介護経歴項 目への無回答 NFRJsOI NFRJ98 問44 問32 -37 全体 58歳以上 58歳以上 1 340 11 96 回答 2 4 4 3 無回答 1 3 6 4 1 2 3 9 合計 1 . 1 3 1 . 76 3. 47 無回答率( %) 注: NFRJ9 8介護項 目は高齢者 ( 58歳 以上)のみ 回答 。 表. 9 2介護経歴項 目への無回答についての ロジスティック回帰係数 NFRJs OI NFRJ98 問44 問32 -37 全体 58歳 以上 58歳以上 0. 03 0. 01 -0. 07 * 年齢 ( 実数 ) ( 0. 03 ) ( 0. 01 ) ( 0. 03) 教育 ( 年) 0. 01 ( 0. 09 ) 0. 07 ( 0. ll ) -0. 26 * ( 0. 1 0) 定数項 -6. 1 6 *** ( 1 . 6 5) -5. 76 * ( 2. 84 ) 3. 77 ( 2. 45) N 1 357 3463 -11 6. 36 -207. 11 Lo㌻I i k el i hood 2 2 De g r eeso f什eedom Ch卜S〕a r e 4. 3* 0. 46 *pく0. 05**pく0. 01***pく0. 001 注: NFRJ98介護項 目は高齢者 ( 58歳以上 )のみ 回答 。 1 239 -1 71 . 6 3 2 1 0. 09** (2)回答傾 向 残念なが ら、介護の経験 自体 については、二つの調査 間では介護の定義が異なるため正 確な数値の比較はで きないoNFN SOlでは介護の対象 を親 ・夫に限定せず、家族や親族全 般、 よ り詳 しくは 「 子 ども ( 長期の病気 ・障害)・実の父母 ・義理の父母 ・夫 ・その他 ( 親 族な ど) 」 とする とともに、 これ らの者に対 して 3ケ月以上の比較的長期間、「中心 となっ て( あるいは中心でないもののかな り)かかわった介護のみを介護 と定義 している.一方、 2 就業経歴 については、学歴が高いほ ど無回答が少な くなる傾向がみ られることか ら、同 じ経歴項 目で も、無回答の発生の しかたが異なる点は興味深い。詳 しくは安藤 の章 を参照 のこと。 -1 3 5- NFT u98 では介護の対象は夫 と亡 くなった父母 ( 実 ・義理)に限定 した上で、期間やかか わ りについては限定 を設けず、 1 ケ月未満のごく短い期間の介護や少 しだけかかわった介 護 ( た とえば費用の負担や話 し相手 ・見舞いのような形でかかわ った介護)を含めて、介 SOlにで き 護 と定義 している. しか し、Nn u98の調査項 目を利用 して、介護定義 を NFTuUSOl に特異な回答パ るだけ近づけた状態で数値 を比較することにより、少な くとも NFT ター ンがあるか どうかをみ ることはで きる。 表 9 3現年齢階層別介護既経験率( %) 34543636 ( 全体) NF RJ s O 卜 介護( 親) NF RJs O卜 介護 ( 夫) NF RJs O卜 NFRJs OINFRJ9 8 NF RJ 9 8 NFRJS 01NFRJ9 8 NF RJ9 8 NFRJS 01NFRJ9 8 NF RJ9 8 43 3454 36 3 454 361 9 N 現年齢階層a 1 9. 9 28. 1 3 5. 8 45. 7 45. 9 43. 9 45. 9 47. 5 42. 2 一 l 1 8. 8 53. 9 59. 7 58. 2 55. 4 9■0■8■2■9■ 68527 2 l1 1 一 一l 30 -34 35-39 40-44 45-49 50-54 55-59 60-64 65-69 7 0-7 4 75-79 80-84 4. 3 9. 9 1 5. 4 2 4. 8 31 . 0 40. 1 39. 1 3 6. 4 36. 1 31 . 6 26. 7 1 7. 1 49. 6 5 2. 2 5 0. 8 40. 7 23. 0 -1 0. 5 -1 5. 8 -1 4. 8 -9. 1 0. 0 0. 3 0. 0 0. 5 2. 4 2. 2 6. 3 9. 1 1 2. 0 23. 4 36. 4 二 一 」 + + 2. 5 11 . 6 1 3. 8 22. 2 31 . 7 -0. 3 -5 . 4 -4. 6 -1 0. 2 -8. 3 LL _ 二 一 8. 6 1 6. 5 -7 . 9 49. 3 -1 2. 7 45. 2 56. 5 -11 . 3 3 6. 6 58-77( 共通部分) 注.NFRJs Olは、3ケ月以上の介護・ 看護、NFRJ98は、1ケ月以上の介護 ・ 看護をカウントしている。 Olはこれに該当するすべての介護をカウントするのに対し、NFRJ98は、親について ただし、NFRJs 看取りの介護、夫については、看取りの介護と調査時点での介護のみをカウントしている。 a・ 調査対象年齢は、NFRJs Olは32歳から81 歳、NFRJ98は58歳から77歳である。したがって、NFRJ98の 55-59のセルは58-59 歳の者についての結果である。 u98 で介護経験あ りと答 そこで、 まず、で きるだけ数値 を比較可能にするために、NFT えた者の中か ら、関わ りの程度 について、「中心 となって介護 ・看護 にあたった」者 と 「中 心ではないがかな りかかわ っている」者、関わ りの内容について 「費用負担」や 「 見舞い」 でな く自ら介護 ・看護 を行 った者 を介護経験者 とし、 さらに、その中で、期間について 1 ケ月未満の介護の者は介護経験な しとした。ただ し、それで も、NFRJ98 は 1 ケ月以上 6 ケ月未満の短期間の介護 を行った者 を余分にカウン トしているため、NFRJSOlよ り若干大 きい値 を示すことが予想 される3。 この点を念頭においた上で、回答者が過去 に介護 を経験 2である。予想通 り、5559歳のセル以外は4、 した割合 を、両調査間で比較 したものが表 9- 介護既経験率 ( 介護 を過去 に一回で も行ったことのある人の割合 )であるので、NFT USol が介護の対象 を広 くとり、 また同 じ人に対する複数回の介護 を含む ことが数値 に与える影 響は、特に高齢者についてはあま り大 きくないと予想 される。 4 NF T U98において、このセルの数値が低いのは、この年代層では、まだ親が死亡 してお ら ず「 看取 りの介護」については未経験 の者が多いことを反映 している0NFI USOlで も親が 少な くとも一人亡 くなった人の介護のみを介護経験あ りとして介護経験率 を計算すると、 3 -1 3 6- 60歳以上の前年齢 において NFT u98における数値が 0- 1 6%大 きい.この表の NnU98で 48%存在 し、 介護有 りと答えている者のうち、 介護期間が 1ケ月以上 6ケ月未満の者は 27- このうち半数が介護期間 1ケ月以上 3ケ月未満の者 とすると、この数値の差はおお よそ、 介護の定義の差を反映 していると理解でき、 この点において介護経歴データはまずまず妥 当な数値 を示 している。 次に、対象者別に回答パター ンをみると、夫の介護既経験率は高年齢ほ ど高 く、親の介 護については 7579、8084歳の最高齢層において若干低 くなるというパター ンが、両調査 結果共通にみ られる。老親介護についても、高齢 になるほ ど経験率が高ま り最高齢層で若 干低 くなるというパター ンがみ られるが、この折 り返 し地点が NFT uSOlでは NFN 98の 7074 歳 よ り若干早 く 6 06 4 歳であるoこの違いは、介護 の定義 による違い、すなわち NnUSOlが問うている看取 りを含む全ての 3 ケ月以上の中長期介護経験のピークが前期 高齢期 に くることによるものなのか、調査の影響によるものなのか不明であるが、60歳以 上の介護経験が何 らかの理 由で低 く報告されている可能性 については留意すべ きである。 図9 -1 年齢 ・最終学歴 と介護既経験率 (NFRJ-S Oつ ) 9● 8. 7. 6. 5. 4. 3. 2● 介 護 既経 験 率 ( %) 最 終学歴 1 中学校 二二 二二 二 二 二 二 2 高校 ■ ■ --- 3 短大 ・ 高専 以上 ㌔ ㌔ ㌔ ㌔ ㌔ ㌔ ㌔ ㌔ ㌔ ㌔ ㌔ 現在の年齢 最後 に、年齢 ・最終学歴別に、介護を過去に経験 した割合 を現在の年齢階層別 ( 5年間 1が示すように、現在の高齢者については、学歴が高い 隔)に比較 した。 この結果、図 9- 者ほ ど過去に介護 を経験 したことがあると報告 している。 この結果は、現実に、現在の高 この数値は介護全体で 1 7%、親の介護で 1 4%程度 と同程度 まで低 くなる。 -1 3 7- 齢者 について、学歴の高い者ほど介護 を経験 していることの反映 ともとれるbS5、一方、学 001 歴 との関連で介護 をみる場合 に留意 をうながす結果 ともとれる。た とえば、本調査は 2 年現在生存 している人々に対する調査であ り、すでに死んで しまっている人のデータは含 まない。 したがって、学歴 の高いものほど、介護ス トレスを経験 して も長寿 を全 う してお り、学歴が低いもので介護 ス トレスを経験 したものは早期 に死亡 しているとすれば、 この 結果はこの学歴 による生存率差の反映 ともとれる。また、低い学歴の者ほ ど調査の理解が 困難な どの理 由で介護経験 を有 りと報告 しなかった可能性 もな くはない。 これ らの点 につ いては、今後 さらなる検討が必要である。 9-3 介護経歴の推移 (1)介護率の推移 まず、データか ら介護 に関する項 目について回答のなかったサ ンプルを除いた上で、全 ての介護経験 についての開始年 ・修 了年および出生年についての項 目か ら、各人の生涯全 0年刻みの ての年 について介護の有無 を示 した人 ・年データを作成 した。そ して、これを 1 -5)に分け、コーホー トごと、各年齢 において、介護 を 出生コーホー ト ( コーホー ト1 行 っていた者の割合 ( 介護率)を計算 しグラフ化 した ( 図9 -2 )60 最 も若いコーホー トは まだ 30代であ り、生涯を通 じての介護率 を比較することはで きな いが、図 2か らは、最近のコーホー トほ ど、介護 を多 く経験 しつつある様子が うかがえる。 9 3039年コーホー トのうち 4 5歳当時に介護 した と報告 しているのは 5%程度 た とえば、 1 9 5059年コーホー トでは 1 0%近い者が介護 を したと報告 している。 であるのに対 して、 1 これは、回顧データ特有の記憶の問題、つま り、高齢のコーホー トほ ど若い頃の介護経験 70代、 8 0 を忘れて報告 していない ことを反映 している可能性 もある.ただ、現在高齢 ( 代)のコーホー ト 1と 2を除 き、比較的若い 3 0-6 0代 までのコーホー ト ( 3、4、5) に限 って比較 して も、同様の傾 向がみて とれることか ら、記憶 によるエ ラーを排除 して も、 こ れが実際に生 じている可能性は高い。今後 さらなる検討が必要である0 次 に、コーホー ト間で、介護経験が どのように推移 して きているのかを、 よ り詳 しくみ るために、52歳以上の 3つのコーホー トに限定 して、比較を行 った。コーホー トをこの 3 つに限定することによ り、 1 8歳か ら 52歳 までの介護経験 について、 よ り厳密なコーホー 4に示 した。 ト比較が可能 となる。 この結果 を表 9- このことは、高学歴の者ほ ど、その親や家族 も病気を負いなが らも長生 きする可能性が 高いことか ら生 じているかも しれない。また、高学歴な者ほ どきょうだい数が少な く、介 護 を経験する確率が高いため生 じているのかもしれない。 6 5年刻みのコーホー トも試みたが、各年齢 における介護経験率 を計算 した ところ、サ ン 0年刻みのコーホー トを用いる プルの少ない年齢層 において数値が不安定になったため、1 ことに した。 5 -1 3 8- 図9 2 女性の介護率 一年齢 ・出生コーホー ト別 出生コーホート 1bor n1 920-29 2bom 1 930 -39 3bom 1 940 -49 二 二 二 二 二 二 二 二 千 4bor n1 950 -59 5bor n1 960 -69 1 8 28 38 4 8 58 78 年齢 (2)介護経験の有無 8歳か ら 52歳 までに介護経験のある者は、 1 92029年のコーホー トでは 27%、 まず、 1 1 93039年コーホー トでは 25%、 1 9 4049年コーホー トでは 35. 30% と、最近のコーホー ト で増加する傾向がみ られる。 (3)介護期間 (一回当た り) 次に、介護 を経験 した者のなかで、一回当た りの介護期間を計算 し、そのメディアンを 比較すると、 1 92029年 ・1 9 3039年コーホー トで 2年、 1 94049年で 2. 25年 と、やは り最 近のコーホー トで長 くなる傾向がみ られる。 (4)介護期間 (1 8 -52歳中の%) 1 8歳か ら52歳 までの 35年間に、介護を経験 した年数の平均は、先述の経験率の差を反 92 029年コーホー トでは 3. 39年、1 9 3039年コーホー トでは 2. 9 7年 と大 きな変 映 して、 1 94049年コーホー トで 4. 99年 と長 くなる傾向がみ られる。 化がみ られないが、 1 -1 3 9- 塑 虐真壁 聖堕 ' 1 18歳 ∼52雪 コーホート 害 1-L J T 1 T 主竺 責 苦 芸 諾 1 920-29年生 1 930 -39年生 1 940 -49年生 311 675 935 0020 3■0■0●0● 0240 3 4 %%% % 0000 7■5■8■0● 9450 62 0 1 r L % 0 7 1 % %%%% 0 0000 8●」●3●8■8● 1 7632 12 ** ** ** %% % % 0000 Q UO■1■0 ● 2943 12 %%% % 0000 7■7■6●0● 40 U6 0 62 0 訂 r L % % % %% 0 0000 6●9■1●4■7■ 1 7532 12 親( 夫) その他 *p く. 05* *p く. 01* * * p く. 001 (5)介護開始年齢 % %% % 0000 1■3●6■0● 5040 72 0 1 親( 妻) * * * % %%%% 0 0000 6●3●9■」 6■ 2 8042 112 対象別介護経験率 子ども 夫 24. 90 2. 00 2. 97 39. 00 %%%% 0000 0■9■」 0● 3060 72 0 1 ■l L 介護 回数 0回 1回 2回以上 合計 平均値 ( 回) 27. 0 0 2. 0 0 3. 3 9 38. 0 0 0590 3 2 9 0■ ● ● ● 5241 3 4 介護経験のある青 く %) 介護期間 ( 1回 当暮 メディアン) 介護期間の % ( 18歳 ∼52最 中) 介護 開始年齢 ( メディアン) 全体 介護 開始年齢 のメデ ィア ンは、 1 8歳か ら 52歳の間に観察期 間 を区切 った場合 は7、最近 のコーホー トほ どよ り高 く報告 されている。ただ し、図 9 2が示す ように、今後、生涯 の 介護率 をみるこ とで 52歳以上の介護経験 を含めて比較する機会 があれば、異 な るパ ター ン がみ られ るか も しれない。 (6)介護回数 次 に、介護経験が 1 9 4049年 コーホー トに多 くみ られ るこ との原 因を、介護 回数 と介護 の相手 に探 った。 まず、介護 回数 については、やは り 1 9 4049年 コーホー トの 中に複数 回 を報告する者が多 くな っている。 ただ し、回数別 にみ る と、介護 を 2回以上経験 した者の 割合 に大 きな変化 はみ られない。意外 にも、介護 を 2回以上経験 した者 は、世代 を通 じて 一定割合存在 す る。大 きな変化 は、 1回経験 した者の割合 の増加 にみ られ る。介護 を 1回 経験 した者の割合 は、 1 92029年 コーホー トと 1 93039年 コーホー トでは約 20%で変わ ら ないのに対 して、 1 9 4049年 コーホー トでは約 29% と、 1割近 い増加 がみ られ る。 (7)介護の相手 介護 の対象別 に介護経験率 をコーホー ト比較すると、若い コーホー トほ ど 1 8 52歳の間 これは、計算上、介護 を 1 8歳未満か ら経験 していて も、 1 8歳以前の経験 は計算 に含 ま 3歳以上の経験 も含 まない とい う意味である。 ず、 同様 に 5 7 -1 4 0- に夫の介護 を経験する割合が少な くな り、その一方で、妻方の親 を介護する割合が多 くな るとい う一貫 したパター ンがみ うけ られる。詳細は他章にゆずるが、妻方の親の中でも、 T u9 8についても報告 さ 妻方の父親の介護経験が顕著に増えている.これ と同 じ傾 向が NF れている8。なお、どのコーホー トでも、他の調査では とりあげることが少なかった、障害 -3%の者が報告 していることは留意 をもつ子 どもや兄弟その他の親族への介護経験を、2 すべ きである。特に、最近のコーホー トでは、1 8歳∼5 2歳 までの間に兄弟その他の親族 に 対する介護 を経験する割合は、親 を介護する経験の次に高い割合 を示 している。今後、少 子高齢化が進むにあた り、 この介護率がどのように推移するのか、注意を要する。 9-4 まとめ 本章では、 まずこの調査の介護経歴項 目の回答率 ・回答傾 向について考察 を加えること によ り、 この項 目を使用する場合の留意点を考察 した。この中で、 この項 目への無回答は 少ないものの、高齢者、特に、学歴の低い高齢者について、介護経験が低 く報告されてい る可能性があ り、たとえば学歴 との関連で分析する際な ど注意を要することが示された。 次 に、女性の介護経歴 についてコーホー ト比較を行った結果、近年のコーホー トの女性 8 5 2歳に限定 した比較 ほ ど、介護 を経験する可能性が高 くなっていることを、グラフと 1 9 2 0 2 9年生 まれの女性の 5人に一人は 1 8 5 2歳の間に夫 の中で明 らかに した。もっとも、1 の介護 を経験 していることに比べれば、近年のコーホー トはこのような介護はほ とんど経 8 5 2歳のうちに、 験 しな くなった。それにも関わ らず介護経験率が増加 しているのは、 1 親の介護、特 に妻方の父親の介護 を経験する確率が高 まっていることによると思われる。 9 3 0 3 9年コーホー トの女性は 1 8 5 2歳の間 また、介護経験 を期間 という側面か らみると、1 に、実 にその期間の 5 %を介護に費や している。これは、回数の増加 によるというよりも、 一回当た りの介護期間の長期化 によ り生 じていることが考察 される。 ただ し、 これ らの結果がそのままの事実を反映 しているか どうかについては、今後 さら に吟味する必要がある。回顧法による場合、記憶 に薄い介護経験は報告されていない場合 があるためである。 しか し、このことは、裏を返せば、後 になって も記憶 に残 っている介 護経験 というのは、 よ り深 くかかわった介護 ということである。つ ま り、 この調査は、あ ま りかかわ らなかった介護経験は反映 していないかもしれないが、回答者が深 くかかわっ た介護経験 については比較的正確 に反映 している可能性が高い。さらに、本章では十分 と りあげることがで きなかったが、各介護のタイ ミング ( 開始年 ・終 了年)についての報告 は、実際のタイ ミングか ら多少ずれている可能性 もあ り、吟味が必要である。この項 目を 利用 した分析は、 こういった認識の上に行われる必要があると思われる。 8 大久保孝治 2 0 01「 彼女たちはどの親 を介護 したか」石原邦雄 ・大久保孝治編 『現代家族 p . 1 5 3 1 6 8 . におけるサポー ト関係 と高齢者介護』p -1 4 1- 1 0 キ ョウダイ間の関係 か らみ た家族 の変化 1 0- 1 キ ョウダイ関係 と家族 変動 戦後 日本 の家族変動 をめ くる議論は、今 日の段 階に至れば、理論的なスキーム として直 系家族 の変容 と核 家族化の相互関連性 をどうみ るのか、とい う問題 に収赦 してい くだろう。 つ ま り直系家族 か ら核家族への転換 という単純な図式では説明で きない戦後 の 日本の家族 変動 を問題 にすることとなる。新 たな家族 の登場 を捉 えようと、 これ まで、任意的直系家 族や修正直系家族 ( 那須宗一 ・野々山久也)あるいは修正イエ的家族 ( 光吉利之) といっ たアイデアが示 されて きた歴史がある。すなわち、文化 と しての直系家族 は相続制度 と家 族制度の変更に ともない、新 たな家族である核 家族 に向か っていかな るメカニズムによっ て変化 して きたのか とい う問い と、 もう一方 における核 家族化の定着過程 に関する問題 と して核 家族規範への変化 をともな う規範の転換 が どの ように把 え られたのか という本質的 な問いが存在 する。 この問いに関 しては、清水報告 にみ られ るようにコーホー ト別の世帯 構成 の変化 を追跡 した り、世代間関係の複数 の要因を分析 することをは じめ、今後の分析 過程 において間接 的 に明 らかにされ ることになると予想 され る。 本稿では、 キ ョウダイ間の関係 について注 目するが、その理 由は、直系家族か ら核家族 への変化 を説明する際の基本は、相続制度 における単独相続 か ら均分相続への変化 をお さ えるこ とであ り、イエ制度の下における長男優先の家族文化 がキ ョウダイ間の平等原則 に 立つ核 家族制度のなかで、相続 にみ る配分の公平さ とどう結びつ くのか とい う問題 に注 目 するか らである。以上の問題意識の もと、最初 のステ ップ と して、 コーホー ト変化 を中心 に基礎デー タを整理 し、本質的な家族変動へのインプ リケー ションを考える段 階のもの と して考察 をお こな う。 まず、家族 のあ り方が変化する とい う場合、親 の子 どもに対する関 わ り方な どが きょうだい間の位置関係 ( 一人 っ子、長男女、次男女以下)によ り異なる と 思われ る。本人の世代 を捉 えてデータを整理 することが親子間、 きょうだい間のかかわ り に説明 を可能 にする と考え られる。今回の研究テーマは、本人の世代 コーホー トか ら見 る きょうだい についての変化 を捉える。 1 0- 2 出生 コーホ ー ト別 にみ るキ ョウダ イの位置 と関係 ここでは、設問の 45付間 2か ら設問 46まで を取 り上 げて コーホー ト別 にみ る特徴 を整 理するこ ととす る。具体的には、 1 92 0-2 4年、 1 9 25 -1 929年、 1 93 0-34年、 1 935 -39年 までの戦前世代、 1 940-44年の戦中世代、そ して戦後世代 にあたる 1 945-49年、 1 95 05 4年、 1 955-59年、 1 96 0-6 4年、 1 965-69年の出生 コーホー ト変数 を用いた。 このコー ホー トの扱 いに関 しては、結婚コーホー トな どとあわせて分析す る必要があるが、今回は 準備的作業 として、 出生コーホー トを用いた。かつ区分 を 5年単位 に してあるが、実際上 は、1 0年単位 の変数 に して扱 うことが多変量解析な どの分析 においては必要 になる。けれ ども基礎 的デー タを最初の段階でお さえて特徴 を把握するこ とが、今 回の報告課題である ことか ら、 あえて 5年単位のコーホー トによる比較 をお こな った こ とをお断 りしてお く。 -1 43- (1)回答者 にみ る長女割合のコーホー ト変化 まず、最初 に、 回答者本人が長女か否かについて ( 間 4 5付 間 2)たずねた ところ、全 体の結果 としては、「長女」( 5 0. 6 %) 、「長女以外 」( 4 9. 4 %)とほぼ二分 され る結果 となった。 出生コーホー ト別では、「 1 9 2 0 -1 9 2 4年」か ら 「1 9 4 0 -1 9 4 4年」 までの戦前 5コーホー ト においては、「長女」の割合が 4 0 %程度であったものの、「1 9 5 5 -1 9 5 9年」以降の 3コーホ 0 %を上回っている。なかでも 「1 9 6 5 -1 9 6 9年」では 「長女」の割合が約 7 0 % ー トでは 6 となってお り、「長女以外」を大 き く引き離 している。この背景は子 どもの数が減少するに つれて女子の総数が少な くなるので長女確率 というべ き長女 となる割合がかつて よ りも上 昇 しているためである。ただ し、長女かどうかが出生順位の統計上の変化 だけでな く、キ ヨウダイの順位 による役割意識な どにも関係がない とはいえないため、以前 と同 じか以前 と異なる長女であることの規範意識の ようなものが どう変化 しているのか も関心事 となる。 とりあえず、明確 な傾向 としては、1 9 5 5年以降の特徴 として、長女である割合 が高い こと、 そ して本調査の回答者は、 コーホー トが新 しいものほ ど 「長女」である割合 が高い ことを 0 -1参照】。 おさえてお く 【図 1 図1 0 -1 長女か否か % 4 2 7 5 3 6 1 へ 0♂ P 「 - - - ♂ ♂ p Q' p b' P Q' 〆 ー I 1 一 一 ♂ ♂ p Q' 〆 \ _ - ヽ ♂ ♂ ♂ ♂ ♂ A ー長 女 以 外 P o' P b' P Q' ♂ (2)コーホー ト別 にみた成人 した男のキ ョウダイの有無 5付問 3)たずねた ところ、「いる」 と回 成人 した男の きょうだいの有無について ( 間4 答 したものは 8 0. 4 %、「いない」 と回答 したものは 1 9. 6 % であ り、成人 した男の きょうだい がいる割合 は高い。出生 コーホー ト別 にみ る と、「 1 9 2 0 -1 9 2 4年」か ら 「1 9 4 0 -1 9 4 4年」 までの高年齢である 5つのコーホー トにおいては 「いる」の割合 が約 9 0%を占めてお り、 きょうだい数が多い ことと相 まって、特に高い結果 となっているこ とがわか る。戦後 の出 生コーホー トについて傾 向をみる と、1 9 45 -4 9年のいわゆる団塊世代 においては、人 口規 模 も大 きいが、戦後 の海外植民地か らの帰国者および戦争 に出かけた人 口の帰国が一挙 に 進んで、出生率 に大 きな影響 を与えたことがその後の戦後 コーホー トとの決定的相違が認 9 5 0 -5 4年コーホー ト以降は、徐 々に男キ ョウダイが少な くな り、1 9 6 4 め られる。その後 の 1 年以降は下げ止 ま り傾 向がみ られ る。【図 1 0 -2参照】。 -1 4 4- 図1 0 2 成人 した男の きようだいの有無 T T ■- -_ 8 7 90 ーい な い ■ - i ■ E: コi■ ■ 『 -■ - ー 一 」一 -_ ー - A ー J-l % B q * d p op 4 6 5 3 2 1 . 0 P∼ 笠 等 S l l 等 l S 笠 A S J 等 いる L 一♂ 一 (3)回答者 が 1 5歳の ときの両親の接 し方 回答者 が 1 5歳の時点 <社会学では、 1 5歳の時期 を価値形成や社会 生活上 の軌範を内面 5付 問 4)質問 した。これは、キ 化 す る時期 として扱 う>での両親 の接 し方 について ( 間4 ヨウダイ間の序列 とい うべ き親か らどのように扱われた記憶 をもってい るか を 1 5歳時点 に設定 す る とコーホー ト間比較 も可能 とな るか らである。い うまで もない こ とであるが、 公平 とい う概念 は、単純ではない。 しか し公平 とい う観念は多 くの人 々に共有 されている ものであ り、 どう受 け止めていたのかを聞けば、その内容 は ともか く感情 的経験はク リア にされ る。 図1 0 -3 回答者が 1 5歳のときの両親の接し方 90 80 70 60 50 ー 長男を特別にあつ かっていた + 長女を特別にあつ かっていた ー 長男・ 長女両方を 特別に扱っていた 40 30 20 -■ト 長男・ 長女以外を 特別に扱っていた 10 p Q,笠 等 笠 等 笠 等 笠 出生コーホート -1 4 5- 等 笠 ♂ + 子どもを公平にあ つかっていた ー 当時、他にきょうだ いはいなかった + わからない 回答結果は、「子 どもを公平にあつかっていた」 ( 7 6. 7 %) 、つづいて 「長男を特別にあつ かっていた」 ( 9. 9 %) 、「わか らない」( 8. 1 %)となっている。子 どもに とって、よほ ど不幸 な経験 が内面化 されている場合は、おそ らくネガテ ィブな印象が強化 され るであろうが、 過去は美 しい といわれるように、いつの間にか嫌なことや忌 まわ しい過去は、記憶か ら消 されてい くものである。出生コーホー ト別でみてみると、いずれのコーホー トにおいて も、 「子 どもを公平にあつかっていた」が圧倒的に多 くの回答 を得 られてお り、各コーホー ト 間において結果 に差異はほ とん ど認め られなかった。 この ことか ら、 回答者の大半は、 自 0 -3参照 】そこ 身の子 どもの時代は、両親 に 「公平」に扱われていた と考 えている。【図 1 で、つ きに用意 され る質問が、相続 に関するものである。 (4)両親 からの遺産相続の有無 実際 に、相続 を厳密に とらえることは難 しい。なに しろ生前 に贈与 する場合 も、本人 ( 親) が子 どもに説明つ きでお こな うとは限 らない し、( 子 ども側 に して も)誰が何 をも らったの かを聞 く機会 もあるとは限 らない。 したがって、生前は当然のことと して死後相続 に関 し て も、はた して何 をどう受け と他 のかは分か らないケースが多いであ ろう。 もちろん葬儀 のあ との相続放棄の手続 きな どをもとめ られるケースの中には、その説明が疑問に感 じら れたもの もあるだろうし、 うやむや になることも多いのである。 図1 0 4 両親からの遺産相続の有無 0% 1 0% 20, i 30% 40% ( 鶴) 5 0% 6 0, i 7 0% 8 0% 90, i 1 00, i 1920-1924* 1925-1929* 1930-1934* 出 生 コ ー ホー ト 1935-1939年 1940-19445 ロ相続があった 1945-1949* 1950-19548 1955-19595 1960-1964年 1965-1969* 両親 か らの遺産相続の有無 について( 問4 5付間 5-1) たずねた ところ、 「あった」が 2 8. 7 %、 「なかった」が 7 1. 3 %となってお り、「なかった」の割合が過半数 を大 き く超 えている。出 1 9 2 0 -1 9 2 4年」か ら 「1 9 45 -1 9 4 9年」 までの 6つのコー 生コーホー ト別でみてみると、「 ホー トで、遺産相続の 「あった」回答者が約 4割 と他のコーホー トよ り相対的には高 くな っているものの、「 1 9 5 0 -1 9 5 4年」以降では 「あった」割合が減少 している。「1 9 6 5 -1 9 6 9 年」コーホー トで 「相続があった」 ものはわずかに 3. 1 %であった。【図 1 0 4参照 】。 -1 4 6- (5)キ ョウダイのなかでの相続 5付 間 5-2)たずねた ところ、全体の傾 向 きょうだいのなかでの相続 について ( 問 4 としては、「長 男」 ( 5 9. 2 %)が最 も多 く、つづいて 「ほぼ均等 」 ( 1 9. 3 %) とい う結果 となっ 1 9 2 0 1 9 2 4年 」 か ら 「1 9 4 0 -1 9 4 4年」 までの戦前 ・戦中の た。出生 コーホー ト別では、「 - 5コ-ホ∵ トで、「長男」の割合が 6 0 %を上回っている。一方、戦後 「1 9 45 -1 9 4 9年」以 0 %を下回っている。特 に、「1 9 5 0 -1 9 5 4年」以降 降のコーホー トでは、「長男」の割合 が 6 は 「長男」の割合 が急激 に低下 してお り、 同時 に 「ほぼ均等」の割合 が高 くなっている。 「1 9 6 0 -1 9 6 4年」では同数 ( 4 3. 2 %)であった ( 「1 9 6 5 -1 9 6 9年」は有効 回答が 1 0 ) 。こ の ことか ら、相続形態は 「長男」 を中心 と した構造 になってお り、特 に回答者が戦前生 ま れである家族 に強 くみ られるものの、回答者が戦後生 まれの家族 においては均分相続へ移 行 しつつあることが確認 された。【図 1 0 -5参照 】ここで留意 しな くてはな らないのは、親 の子 どもに対す る公平さの記憶 との関係である。おそ らく長男が多 く相続 を受けていたこ とは、予想 され ることである し、それは戦前であれば、単独相続 を制度的 に保 障 していた ので、何 の疑問 ももたれなかったであろう。そ して特権 と しての長男の単独相続 には、長 男への役割期待 も明確であった し、長男が もつべ き軌範 もまた共有 されていた といえる。 それは、家督の継承が、長男の個人財産 とい うよ りもイ工の財産 を管理す る権限 と責任の 問題 として提示 されていたのである。 図1 0-5 きようだいのなかでの相続 I/ J % 4 6 5 3 2 7 1 0 0 ir L - ー ニ - _ L ー こ ■ ■ - I- ヽ ご ■ ■ = i 一一 - \ ー \ _ ノて 」 ー トーきよ + 長男がいちば 長男 た ん 相続し 長女がいちば 外が一手 ほぼ均等に 多く う. だいが 長女以 相続 た 多く し ∼ 0 q 『 ■ 『 h♂ ■ ■ . . , 一 ■ ♂ ♂■ ♂W丁 pQ '〆 P Q' 〆 p -♂ ♂ Q ' 〆 P i 一 { 『 『 ■ ー ■ 『 『 l 『 ■ 『 『 『 『 『 ■ ■ 『 ■ 一 ¶ 『 ■ 『 『 『 『 『l l 『 ♂ ♂ ♂ ♂ Q ' 〆 P o '〆 + 相続 きよ 当時、 う し だいは 他に た 一〇 . -わから いなかった ない 出生コーホート 親 もまた長男が他 の家族成員を守 り、家名 を汚 さない ようにマネジメ ン トす ることを期 待 し、他 の子 どもへのサポー ト ( 例 えば分家時の支援や学業継続への支援 によってイエの 繁栄 を図 る とい う役割の強調である。戦後 は均分相続制度 となったため、 この全体 として 子 どもには平等 に とい う意識は強 くなって きた といえる。む しろ寄与分 に関する議論が顕 在化 してお り、親 の介護や世話を続 けてきた嫁 の立場 を考慮 して、単純な均分相続 を主張 する声 をお さえる議論が登場 している。今後 は、親 の介護問題 も一層、重労働化 した り、 長期化 する傾 向にあるため、生前 に遺言書 を作成 して、貢献 している家族員 に正当な評価 を下す ように手続 きする傾 向もみ られ る。少な くとも、長男への相続 の傾斜 は、公平であ るとみな してい る事実があることは、やむ を得 ない もの として他 の家族員が認める何かを -1 4 7- 長 男に期待 し、 それ を評価 してい るために 「公平に扱われ た」 とい う意識 も 自然な もの と な ってい る と考 え られる。 (6)結婚後の転居 につ いて さて、結婚後 どの くらい転居 してい るのかは、女性 の地域移動 を考 える上で、一般 的 に は高学歴化 し、結婚する と配偶者の職業 との関連で移動が想定 され ることとな る。 図1 0 ( 鶴) 6 結婚後の転居 0% 20% 40% tヾヾヾ ヾヾ○… 60% … rPL t 8 0, i 1 00% ■ m I I L I 州刷川 L仙 凧潮 目 附■ ■ ■ I I J ■ I I ■ ■ ■ L l l l l I I L I l J I J T hr tt tt+ tlitt+tTP L +i+tttt++i+ + 1 M} 珊I 帖 m= M_ _ _ _仙 畑仙刷川畑州佃= 川 榊帖冊川B PL +++++ Xt tt tttttt ttttヾ ヽ ヽ ト ) ∼ ○ヾ ヾ ヾヾ ヾ〇〇〇ヾ ヾ ヾM i t j kt+ttttTh+ 帖冊帖刷. 帖侶欄 t ttt+tt tttlt +tttktt t ttt tttlt tl 対○冊刷 - 刷冊刷= 刷‖ 帖侶i 刷冊J Lttt+tttttttt +i+thl + it+ ++ t t lT tttlJ NtN" - 刷 帖= 冊 帖仙 刷 貼附f l ロー 1 +++i+i+tttttttt+lit l + t l i P L t t t t t t t t l t t t t t t L t l帖刷刷…端 " . q M M r T R f l l X M h u 棚 WL : … : 享 >ttttttlT++++++tt+Th 生 ホ 出 コ ト I1 1 l96 3 5 4 25 0-1 ∼1 -l93 6 2 5 49 4年 * I ∼ー 1 ++++tt++++tl i L + i + t t + i + T t + t t + i + + t i t + t t t T L + t lX r m I Mr wl r M L M I W I MmT l I I . : . : . : l l PL tt++i++t t t t + i + t t t + + + t l i t t + + t P L + + t i t + + t Nm M r M l Mu N l f l m M m T I M . M W l l m . . M m M l l m ー ■ : : : : : : : : : : : : : : : : ロ鯖婚し Pない E )ある たことはない 6 )みてみ る と、「ある」 と回答 した ものは 6 5 . 2 % 、「ない」 結婚後 の転居 について ( 問4 1. 2 % で、「あ る」割合が 「ない」の 2倍 を超 える値 を示 してお り、回答 と回答 したものは 3 者 の 3人 に 2人は結婚後 に転居 を経験 していることになる. 出生 コーホー ト別 にみてみ る 1 9 2 0 -1 9 2 4年」、「 1 9 2 5 -1 9 2 9年」、「 1 9 6 5 -1 9 6 9年」の 3つのコーホー トで 「ある」 と、 「 とい う回答者が 6割 を下 回ってい るものの、ほ とん どのコーホー トについて も 6割 を上 回 ってい る。子 ども と別居 している高齢者の割合 についての調査結果 ( 国民生活基礎調査 よ 9 9 6年時期 には、子 どもと別居 している高齢者の割合 は、2 7 %に とどまっ り)による と、1 ていたが、1 9 9 8年調査では 3 7 %と 1 0ポイ ン ト上昇 してい る。その実態 は、同一敷地や 同一 6 %か ら 2 3 %へ と大 き く増加 して 家屋お よび近隣地域 そ して 同一市区町村 に住む割合 は、1 い るのである。別居はするが近 くに住む とい うライ フスタイルの選好 は拡大 してい るので 5 あ る。 これ に関 して 同居率は徐 々に下がっていることを合せて考 えな くてはな らない。 6 -6 9歳のコーホー トは 1 9 8 6年 には同居率 5 7 %であったものが、2 0 0 0年 には、4 1. 6 %と 1 5 % 以上の減少 を記録 してい るのであ る。 この ことか らする と転居のひ とつの選択動機 に親 の 近 くに移動する、あ るいは親 が近 くに転居 して くることによる転居 とい うファクター を考 える必要がある。 ところで、転居の有無 にかかわ らずそ もそも 「結婚 した こ とはない」割合 もコーホー ト が最近 の ものに近づ くにつれて増 えてお り、「 1 9 6 5 -1 9 6 9年」 コーホー ト ( 3 5歳程度 )で は1 2. 5 %にも達 していることは晩婚化 を示すもの とみ られ る。【図 1 0 6参照 】。 -1 4 8- 1 0-3 まとめ と今後の課題 (1)長女である割合の変化 戦前世代の長女割合 は4 割、長女以外は6 割 となっている。 1 9 4 0 -1 9 6 0 年の戦後第一世代 割、 1 9 6 0 -1 9 6 9 年コーホー トは三分の二が長女 とな っている。 これ ( 仮 に設定 する)は約5 が、 ( 配偶者の)長男比率 とどう関連するのか、長男 と長男以外 との組み合わせ のなかで、 相続や介護行動 に どう関連するのかをみてい くことがポイ ン トとなる。かつ娘 との同居率 が上昇 しつつあ る今 日、長女割合が高 くな っているこ とは、一段 とそのス ピー ドも上が る 可能性 を含 んでい る。とい うのは、娘の中の選択肢が相対的にす くな くなってい ることと、 長男 と結婚する女性 において、女性の意向や発言力はかつて よ りも強 くなっているため、 夫が長男であって も自分の親 と同居 を希望す るのは、女性 の側の選択動機 か らすれば合理 的であるか らであ る。 (2)キ ョウダイ数 の変化 人 までの割合 をみると、 1 9 2 0-1 9 4 0年代 コーホー トは、 7%∼1 3 %と1 キ ョウダイ数が2 割前後であ り、 1 9 5 0年代は3 5 % 、1 9 6 0 年代は5 7% と大幅 に2人までの割合 が増加 している。 戦前 と戦後 における変化 しては、 1 9 6 0 年代 以降のキ ョウダイ数の縮 小が著 しい。 これは、イ ンフォーマルな介護資源 としての減少が介護 負担 と介護サー ビスの利用 にどう 連動するのか どうか とい う問題 と、被相続 人の減少 に ともない相続 の再分配範 囲が限定 さ れ ることと老親 との接触が妻方のウエイ トが高 くなるこ とに ともな うキ ョウダイ間の相互 作用 に どの ような関係がみ られるのか、コーホー トによる歴史的変化 をとらえることにな る。 (3)親の子 どもに対する接 し方<イエ意識の強 さ> 1 5歳時の ころの親 か ら子 どもへの接 し方は、親 の態度 を観察する能力が形成 されている 5歳時期 ( 態度決定 時期で もあ り、対人関係 に自覚的なスタンスが形成 され る時期である 1 期 )の親 の態度評価 に特徴が見出される。結果は、 75% が公平 に扱 っていた と回答 してお り、 キ ョウダイ間 に差別的対応がお こなわれた とする単独相続時代 <イエ制度下 >の親子 関係 は、階層差 と職業の差が反映 している といえ、 それす らさほ ど大 きなキ ョウダイ間の 差別 をみない。ただ し傾 向 として、1割程度が長男を特別 に扱 っていた としてい るが、1 95 0 年代 コーホー トを境 に大 き く変化 した とみ られ る。 ここで設問が子 どもを公平 に扱 ってい た とい うワーデ ィングに注 目しな くてはな らない。つ ま り、制度化 された関係性のなかで は、差別的待遇 その ものの公平性が保障され るのであ って、 同等 に扱われてい るか どうか とい う問題意識 をワーデ ィングすることは、意外 と難 しいのである。 この問題 を整理する には、実際 に相続 したものの差異やその他 の生活上の出来事 を追跡 しな くてはな らない。 (4)キ ョウダイ間の相続の差異 ここでは、 どの コーホー トを とって も長 男がい ちばん多 く相続 した と回答 してい る。 1 920年代 コーホー トが 68%であ り、 1 950年代 コーホー トまで 59%の減少 を続 けている がそれで も 5 0%を占めてお り、長男 ・長女をあわせ る と 6割 を超 えている。 1 960年代 コ -1 4 9- -ホ- トになって長男が 43%、長 男長女をあわせて 50% とな っている。 これ を均等 に相 続 した とい う回答 と比較 す る と同様 の傾向が逆 になって示 されてお り、 ここで も 1 960年 代 コーホー トは、戦後世代 の価値意識 を内面化 しつつある親 に育て られてい るターニ ング ポイ ン トとなる とみ られ る。 もっ とも・ 1 960年代のコーホー トの婚姻率は さほ ど高 くない ので、データ分析上は注意が必要である。規範意識 を問題 にすることは、直接 は困難であ るが間接 的に評価可能 にす るために、相続 に関 して長男が多 く受け取 っている と回答 した グルー プに占める公平に分配 された とする回答者の割合 と公平 に分配 された と回答 した も のに占める長男長女の受け取 り大 とするものの割合 を出す こ とがポイ ン トとなる。 長男長女 に関するデータについて、本人あるいは配偶者が長 男長女であるか どうか を点 検 する必要がある。長男か どうか ( 長女)は、回答者の肯定 的態度の有無 に関 して傾 向が 与 え られ る とみなせ る。 (5)介護役割の引 き受 け これは菊池報告 に関するものであるが、家族規範か らす る と直系家族 の文化 は嫁の介護 役割は当然のものである。特徴的な ことは、 自分の父親 と配偶者 の父親の介護役割がほぼ 同様 の割合 とな っているこ とである。誰がだれの介護 をにな うのか、 コーホー トによる差 異は どの ように捉え られ るのか ?夫方 と妻方の介護従事割合 の相違が どう表 出 しているの かが問題 となる。それは、①世代 が若 くなるにつれて、双系的になるのはいつか らか ?② 介護経験の比率が変化するのは どのコーホー トか らか ?③介護 の引 き受け方が、相続 と連 動 しているか どうかをどの指標で判断するか ?④ よ り多 く相続 した と回答 した ものほ ど介 護 に積極 的なのか ?⑤親 の態度評価 は、親 の介護 によ り積極 的 にむすびつ くとみ なせ る か ?といった問題 がキ ョウダイ間の平等 ・ 不平等の問題 に連動 している。 -1 5 0- 平成 1 3・ 1 4年度科学研究費補助金 (基盤研究 A)研究成果報告書 研究課題 :コーホー ト比較 による戦後 日本の家族変動の研究 課題番号 :1 3 3 01 01 0 全国調査 「 戦後 日本の家族の歩み」 ( NF R J-SOつ) 研 究代表者 松田 ( 熊谷 )苑子 ( 淑徳大学社会学部教授 ) 2003年 3月 日本家族社会学会 全国家族調査 ( NF R J)委員会 執筆分担者一覧 まえが き 松田 ( 熊谷)苑子 第 1部 1 加藤 彰彦 2 渡辺 吉利 第 2部 1 松田 ( 熊谷 )苑子 2 加藤 彰 彦 3 4 5 6 7 8 大 久保 孝 治 安藤 由美 佐藤友光子 清水 浩昭 加藤 彰 彦 菊池真 弓 9 菊淳佐笹子 1 0 杉岡直人 ・佐藤友香