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機能性分子化学

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機能性分子化学
機能性分子化学
Chemistry of Biofunctional Natural Molecules(2単位)
薬 学 科3~6年次 T4-5
選択
3年次 T4-5
選択
薬科学科
【担当教官】
教授 高山 廣光
准教授 北島
満里子
助教 小暮 紀行
【授業概要及び目標】
(一般目標)医薬品は生体に対して特異的な機能を発揮する分子(生体機能性分子)と見なすことがで
きる。特に、天然由来の生体機能性分子について化学的、生物有機化学的、医薬化学的に理解する。
(授業概要)本講義では重要な医薬品の中から、特に天然由来の化合物を選び、それぞれを主題として
その分子構造の特性や作用発現の分子機構を化学的な面から解説する。また、天然有機化合物は医薬品
としてあるいは医薬品開発のリード化合物として重要な位置を占めていることを踏まえ、上記主題とし
て取り上げた天然分子の生合成経路や化学合成にも触れ、分子構造構築機構や構造活性相関等を生物有
機化学、医薬化学の観点からも講述する。
(到達目標)代表的な天然由来の生体機能性分子(医薬品)について理解し、説明できる。
【授業計画及び授業内容】
回
三年次後期
項
目
授
業
内
容
<授業方法>
生体機能性天然分子と 医薬品あるいは生体機能探索素子として重要な役割を
医薬品
果たしている化合物には天然物由来のものが数多く存
<講義>
在する。薬学領域における天然物化学研究の意義、将来
展望などを解説し、あわせて天然分子が持つ構造の特性
(分子のかたち)と作用発現機構(例えば毒性発現)を
有機化学的観点で講述する。また、天然由来の医薬品、
例えば抗生物質のマイトマイシンCは強力な抗悪性腫瘍
剤として用いられている。本医薬品が、制がん作用を発揮
する機序を、有機化学的に分子レベルで解説する。その他
の関連医薬品に関しても講述する。
C5-(2)-④-1~3
月日
担当者
1 10. 3
高 山
2 10.17
〃
トロパンアルカロイド 数多くのアルカロイド類が重要な医薬品として局方に
系医薬品
収載されている。この中から、まず、脂肪族アミノ酸由
<講義>
来のアルカロイド類、特にトロパン系アルカロイドに関
してその生合成過程と化学合成、特異な反応性について
解説する。
C5-(2)-①-5
3 10.24
〃
ベンジルイソキノリン 標記医薬品の代表として鎮痛薬のモルヒネや苦味健胃
アルカロイド系医薬品 薬のベルベリンが挙げられる。歴史的にも重要な本化合
<講義>
物とその関連天然物に関して生合成過程(芳香族アミノ
酸由来)と化学合成さらに医薬化学を解説する。
<大学独自>
4 10.31
〃
フェネチルイソキノリ
ンアルカロイド系医薬
品
<講義>
5 11. 7
〃
ノルベラジン型アルカ 認知症改善薬としてヒガンバナ科アルカロイドのガラ
ロイド系医薬品
ンタミンが知られている。その生合成過程を有機化学観
<講義>
点から解説すると共に、フェノール酸化的カップリング
や関連アルカロイドの不斉全合成に関しても学ぶ。
<大学独自>
痛風薬として知られる植物塩基のコルヒチンを素材に
トロポロン分子や軸不斉の基礎、さらに生合成経路とバ
イオミメティック(生合成模擬的)合成について解説す
る。
<大学独自>
122
6 11.14
高 山
インドールアルカロイ 抗がん剤として使用されているビンブラスチン・ビンク
ド系医薬品(1)
リスチンは植物由来のインドールアルカロイドである。
<講義>
分子レベルでの作用機序および本アルカロイドの生合
成と化学合成の接点を解説する。
C3-(2)-③-4,5
7 11.21
〃
インドールアルカロイ 前回に引き続き、標記医薬品に属する抗マラリア薬のキニ
ド系医薬品(2)
ーネおよび麦角アルカロイド類の生合成と化学的特徴
<講義>
に関して学ぶ。キニーネに関しては最新の不斉全合成法
を解説する。 <大学独自>
8 11.28
〃
小括・試験
<講義・演習>
9 12. 5
北 島
脂肪酸・ポリケチド系 プロスタグランジン類やマクロライド系抗生物質は脂
医薬品(1)
肪酸由来の化合物群であり、これらは酢酸–マロン酸経
<講義>
路を経て生合成される。一次代謝系に見られる高級飽和
脂肪酸構築過程の生物有機化学を学習する。
C5-(2)-①-2
10 12.12
〃
脂肪酸・ポリケチド系 天然フェノール類、フラボノイド類などに広く見られる
医薬品(2)
ポリケチド経路について反応機構面から考察する。ま
<講義>
た、標記医薬品の代表例としてエリスロマイシン、スタ
チン類をとりあげ、その化学合成を解説する。
<大学独自>
11 12.19
〃
テルペノイド系医薬品 抗腫瘍薬タキソールやステロイド類などはメバロン酸
(1)
を経由して生合成される。まず、メバロン酸からモノテ
<講義>
ルペン、トリテルペノイドの分子構造構築過程を生物有
機化学の観点に立って解説する。
C5-(2)-①-4
12 12.26
〃
テルペノイド系医薬品 前回に引き続いてセスキテルペノイド,ジテルペノイ
(2)
ド,セスタテルペノイド,トリテルペノイドの生成機構
<講義>
を解説する。また、天然ステロールのジオスゲニンを用
いたステロイド性抗炎症薬、デキサメタゾンの化学的半
合成による供給法を紹介する。 C5-(2)-①-4
13
1.16
〃
フェニルプロパノイド エトポシドはフェニルプロパノイド系天然物を基に作
系医薬品
られた抗がん剤である。C6-C3 ユニットを持つフェニル
<講義>
プロパノイド類はシキミ酸からフェニルアラニン、ケイ
皮酸へと続くシキミ酸経路で生合成される。これを有機
化学的観点から解説し、さらにエトポシドの化学合成法
も紹介する。 C5-(2)-①-3
14
1.23
小 暮
ペプチド系医薬品(1)
<講義>
ペプチドを生合成の観点からリボソーム依存型ペプチ
ドと非リボソーム依存型ペプチドに大別し、それぞれの
代表的化合物の化学構造、生理作用について学ぶ。また、
ペニシリンの開発経緯について紹介する。
C4-(3)-④-5
15
1.30
〃
ペプチド系医薬品(2)
<講義>
ペプチドの合成法として、液相合成法、固相合成法につ
いて詳しく学ぶ。ペプチドの合成に必要不可欠である保
護基、縮合剤、活性化剤について紹介する。<大学独自>
16
2. 6
北 島
小 暮
総括・試験
<講義・演習>
第9~15 回の講義についてのまとめ及び質疑応答を含
めた知識の確認。
第1~7回の講義についてのまとめ及び質疑応答を含
めた知識の確認。
123
三年次後期
【授業外学習】各授業後にプリント並びに参考書を用いて授業内容を復習する。
【キーワード】生体機能性分子、天然物、天然由来医薬品、アルカロイド、脂肪酸、ポリケチド、テ
ルペノイド、フェニルプロパノイド、ペプチド、生合成、化学合成、全合成、生物有
機化学、天然物創薬、化学構造
【教科書・参考書】参考書:「パートナー天然物化学」、海老塚豊ほか著(南江堂)
「医薬品天然物化学」原書第2版、海老塚豊監訳(南江堂)
【評価方法・基準】授業態度(30%)、第1〜7回講義の試験(35%)、第9〜15 回講義の試験(35%)
で総合的に評価する。原則として授業時数の3分の2以上出席が必要。
履修開始時に配布する評価基準に基づき各評価を実施する。
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