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うさぎたちと日本の近現代

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うさぎたちと日本の近現代
169 うさぎたちと日本の近現代
うさぎたちと日本の近現代
― 日本十二支考〈卯〉生活文化篇 ―
イ
ヒャンス
濱田 陽・李 淑
1 四つのメタファー ―月うさぎ・野うさぎ・穴うさぎ・飼いうさぎ―
現代日本人のうさぎ像のなかでは、月うさぎ、野うさぎ、穴うさぎ、飼いうさぎの四種のイメージが絡
みあっている。しかし、古来、日本ではうさぎといえば野うさぎのことを示し、月にいるうさぎもこれが
もとになっていた。
ウサギ科は、野ウサギ属と穴ウサギ属に分かれる。そして、野ウサギ属はアジア、ヨーロッパ、アフリ
カ、北米と広範囲に分布するが、穴ウサギ属はもともとヨーロッパと北アフリカにしか棲息していなかっ
た
(川道 一九九四 三一―四〇頁)。古代ローマ時代、毛皮や食用に穴うさぎの本格的な家畜化が始まる。
その後、この飼いうさぎが中世ヨーロッパに広まり、大航海時代になって、航海中と植民地先の食糧とし
て世界各地に運ばれることになった。
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日本では飼いうさぎは一六世紀にオランダ人が初めてもたらしたといわれる。江戸時代の絵画や文献に
も登場し(内山 二〇〇八 三六―三七頁)
(図1)
、近世史の緩やかな流れのなかで都市文化に溶け込ん
だ。そして、文明開化の明治初期に東京や大阪を中心に一大飼育ブームが巻き起こった(赤田 一九九七 二六七―二九四頁)
。
さらに、明治期にニュージーランド・ホワイト種を改良して白い体毛・赤い目をもつ日本白色種がつく
られ、日清戦争、日露戦争を経て太平洋戦争まで軍事用のコートや帽子、缶詰などをつくるために大量に
用いられた。小学校や農家で飼育が奨励され、一九四〇年代には一二〇万羽が飼育されて、うさぎ飼育頭
数が世界一になったともいわれる(図2)。
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図 1 江戸時代に描かれた飼いうさぎ
出典:円山応挙 木賊に兎図 1786
年 静岡県立美術館蔵
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近世から日本の歴史に姿を見せる飼いうさぎは日本の在来種ではなく、外来種の穴うさぎを家畜化し、
改良を重ねて産み出された。いわば、野うさぎの文化に本来の自然環境から切り離された飼いうさぎが迷
い込んだものである。
2 穴うさぎのメタファー ― 地下世界へのガイド ―
そ こ で、 野 う さ ぎ と 穴 う さ ぎ の 違 い を 理 解 し よ う( 川 道 一 九 九 四 三 一 ― 一 一 三 頁 )( 河 合 一九九六 四四九頁)。両者は染色体数が異なり交配させることもできない別の種である。野ウサギは野
山に棲み、巣をつくらず木陰などに身をよせ、単独で行動する。頭より長い耳と長い前肢をもち時速八〇
キロメートルで疾駆し、逃げる術に長け、毛が生えた状態で生まれてくる。これに対し、穴うさぎは穴を
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図 2 日本白色種と戦時下の飼
育奨励ポスター
出典:特別企画展「戦中・戦後
をともにした動物たち」(2008)
東京・昭和館 HP より転載
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掘って巣をつくり、集団で生活する。耳と前肢は比較的短く、走るスピードも野ウサギより遅く、穴に隠
れ、誕生時に毛は生えていない。両者は対照的で、これらの性質から導かれる象徴性も異なってくる。
大切なことは、
日本の伝統文化は、
野うさぎをもとにしてきたという事実である。月で餅をついているのも(月
わに
い な ば しろうさぎ
とおうほんじょうたん
、火に我が身を投じるのも(兎王本生譚)
、タヌ
うさぎ)
、鰐たちの背を跳び越えて海を渡るのも(因幡の素兎)
キを追い詰めるのも(かちかち山)
、すべて、野山を跳躍し、スラリとした身体で、単独行動し、逃げ足速く、
生まれたときからむき出しの野山に適応する野うさぎなのである。国宝の絵巻・鳥獣戯画においても、一つと
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して同じに描かれていない個性豊かな単独のうさぎたちが自由気ままにふるまっている。
橋 二〇〇四 二二、三七―四〇頁)、それらの物語が誕生したのは穴うさぎが自生しているイギリスとオ
他方、穴うさぎは不思議の国のアリス、ピーターラビット、うさこちゃん(ミッフィー)のうさぎで(今
図 3 穴うさぎを追いかけて地下世
界を冒険するアリス
出典:ルイス・キャロル『不思議の
国 の ア リ ス 』 ジ ョ ン・ テ ニ エ ル 画
1865 年
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ランダである。アリスが不思議の国を訪れるきっかけは、うさぎを追いかけて穴に飛び込んだからだ(図
3)
。ピーターラビットはお母さんと四匹の兄弟姉妹と巣の中の家に暮らしている。うさこちゃんは、巣
ではないが可愛い一軒家に父母と住んでいる。アリスが追いかける、時計をもって走っていくうさぎには
家族は登場しないが、不思議の国には破天荒な仲間たちが次々に現れる。欧米のキャラクターが人気を集
めるまでは、うさぎは月と野山にいる存在だったが、穴のなかのうさぎのイメージがもたらされ、日本の
うさぎは天上と地上のみならず地下世界にも広がった。
伝統的な野うさぎに加え、新しい穴うさぎのキャラクターが増えるのは楽しいことである。だが、都市
生活のなかで、穴うさぎのイメージだけが強くなり、野うさぎのイメージが忘れられてしまえば伝統文化
の喪失である。アリスの穴うさぎのような西洋のキャラクターも自然と結びついたイギリスの文化から産
まれてきたことを知り、私たちが自然と文化の固有な関わりに目を向ければ、両キャラクターは互いに現
代文化を潤すことができるはずである。
日本には穴うさぎの在来種がいないため、そのイメージはキャラクターを通じてのみ形成されている。穴
うさぎは別世界、ただし、天上ではなく地下世界へのガイドであり、また、家族愛の対象でもあるといえよう。
3 飼いうさぎのメタファー ― 心の鏡 ―
穴うさぎは野生のうさぎであり、人間の支配も世話も受けない。ところが、穴うさぎを家畜化した飼い
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うさぎには同様の自由はなく、ケージに入れられている(図4)。室内で飼われる飼いうさぎには掘るこ
とのできる地面がないため、穴のなかに隠れることもできず、飼い主の視線に常にさらされている。また、
一匹で飼われることが多く、集団をつくれない。
飼い主は、穴を掘る本能で脚を動かす飼いうさぎを眺めつつ、うさぎに代わって自分の心のなかを掘り
進むのかもしれない。どのようにしてこのうさぎに出会ったのか、飼い始めたときはどんな気持ちだった
か、どんな思い出をつくってきたか……共に過ごした記憶が蓄積されていく。そして、自ら仲間のいない
飼いうさぎの家族になる。鳴き声を出さないうさぎはマンションで飼うにはもってこいの動物だ。
しかし、飼いうさぎを通して感じ取る自然は、目前のうさぎの生命に集中しており、それ以上の風土や
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図 4 ケージの中の飼いうさぎ
出典:初心者のうさぎ飼育入門 HP より
転載
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環境を感知することは難しい。飼いうさぎは数え切れないほどの品種改良を重ねており、もとの自然環境
に遡ることができない。したがって、飼いうさぎを見つめる飼い主の視線は内省的、自己目的的なものに
なる。そこでは、月うさぎや野うさぎを見るときのような、外界に広がる自然との交感はない。喜怒哀楽
の感情は飼いうさぎに集中し、うさぎは飼い主の心を映し出す。
飼い主にとって飼いうさぎは自分のさまざまな想いを受けとめてくれる同居者であり、ぬくもりをもっ
た生命、目前の自然であり、同時に人間の都合と欲望の連鎖が産み出した存在でもある。
飼いうさぎは命をもった心の鏡である。いくら品種改良されようと、人間がゼロからつくりだすことのできな
い生命でもある。ただ、その生命は目前の自然であり、向こう側の自然とのつながりは失われて久しいのである。
4 現代版「兎王本生譚」― うさぎの犠牲 ―
環 境 省 の 統 計 に よ る と、 日 本 で は 一 九 八 二 年 に 有 害 鳥 獣 と し て 一 〇 万 七 七 二 九 羽、 ま た 狩 猟 に よ っ
て 四 〇 万 一 九 六 三 羽 の 野 う さ ぎ が 捕 獲 さ れ た。 他 の 獣 類 の 捕 獲 数 は、 そ れ ぞ れ シ カ 二 九 〇 四 頭 と
一万八四五一頭、イノシシ八九一三頭と四万八五五三頭、サル二三六一匹と〇匹、
カモシカ八三〇頭と〇頭、
タヌキ一九一〇匹と七万一八〇七匹であった。一九九八年には、野うさぎ一万五二二八羽と八万一八〇羽
にまで減少したが、一九九七年までの一五年間、最大捕獲獣類は野うさぎでありつづけた。
さらに、社団法人日本実験動物協会の「実験動物の総販売数調査」によると二〇〇七年の日本における
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実験動物総販売数はマウス四二九万六〇七五匹、ラット一九三万六四三七匹、モルモット二四万二二五一
匹、うさぎ一〇万一七〇五羽、ハムスター類二万三九六四匹、鳥類二万五七〇〇羽、イヌ一万二三七六匹、
その他齧歯類六一二二匹、サル類三四六二匹、ブタ一三〇一匹、ネコ五八八匹となっている。小型動物の
次に多いのがうさぎで、その数は一〇万羽を超えている。これは実験用に繁殖された飼いうさぎである。
うさぎが実験で重んじられるのは、目の涙腺が発達していないため試験液が流されにくく、声をあげて鳴
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かないなどの理由からである。批判も根強いが、医学研究と薬品・化粧品開発において動物実験代替法が
確立していない分野で使用され続けている。
図 5 実験動物、飼育動物の供養塔の例
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このように、野うさぎも飼いうさぎも現代社会では大きな受難を背負っている。玄奘三蔵が『大唐西域記』
のなかに書き留めた「兎王本生譚」の野うさぎは自ら身を火中に投じたが、現代の野うさぎと飼いうさぎは、
他ならぬ人間の手によっていつの時代にも増して犠牲になっている。帝釈天が古代インドの物語から抜け出
して現代に現れたとしたら、これら無数のうさぎたちを真っ先に月中に上げるにちがいない。うさぎの犠牲
は古代の物語にとどまらず、かたちを変え、現代文明のただなかに存在しているのである(図5)
。
5 月うさぎと野うさぎのメタファーへの回帰
他方、伝統的な月うさぎと野うさぎのメタファーがアニメーションの世界に装いを変えて再登場してい
る。セーラームーンとNOVAうさぎはその代表である。
『美少女戦士セーラームーン』(テレビ朝日系列、全二〇〇話、一九九二―一九九七年)は、一九九〇年
代の日本アニメ界を席巻し、韓国・中国・アメリカ・カナダ・フランス・スペイン・イタリアなど世界中
で放映されて大ブームを巻き起こしてきた(図6)(図7)。セーラームーンの名はセーラー服と月=mo
onにちなみ、悪の組織から地球を守るヒロインである。
セーラームーンに変身する中学二年生の少女は二つに束ねた長い髪がうさぎの長い耳のようにひらひら
と揺れ、いつも元気よく走り、朝起きが苦手でよく学校に遅刻し、惚れっぽく、おっちょこちょい。うさ
ぎのイメージにぴったりなキャラクターである。テストが不得手で勉強ができないところだけが、頭の良
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い存在として描かれることの多い伝統的なうさぎの性質から逸脱している。ただ、
これは意図的な転倒で、
優等生でないことを強調することによって、より親しみやすさを演出しているのだ。
ち山を思わせる。一四歳の少女としての名前は月野兎(月のうさぎ)で、兎王本生譚や良寛の「月の兎」
泣くところは因幡の素兎、「月に代わってお仕置きよ!」の決め台詞で悪者をやっつけるところはかちか
い手脚を動かして自由で活発なアクションを展開するところは、野うさぎタイプのヒロインである。よく
しかも、セーラームーンは日本の伝統文化のうさぎイメージを数多く受け継いでいる。すらりとした長
図 7 上海万博でセーラームーンに扮して踊る
中国のファンたち
出典:毎日新聞 HP(2010 年 6 月 13 日付記事)よ
り転載
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図 6 美少女戦士セーラームーン
出典:広東語版ビデオ CD 表紙
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じょうが
のように友達思いで情け深く、最後は身を犠牲にすることも厭わない。しかも、輪廻転生がストーリーの
重要なファクターをなす。原作者の武内直子が薬剤師でもあることなど、不老不死の薬が登場する嫦娥伝
説さえ想起させる。さらに、セーラームーンは月の世界のプリンセスでもあることから、かぐや姫(竹取
物語のプリンセス)と月うさぎが融合したキャラクターともいえる。
セーラームーンは、友達と過ごし恋をする普通の生活を守るために、自分の生きる世界を信じて悪の組
織と戦う。
「この世界を信じる」
「みんなが信じた世界を守る」が彼女のテーマである。日常生活に密着し、
自立したヒロインであるところも野うさぎ的であるといえる。
作品成功の理由として、アニメ界にヒーローに依存しない等身大のヒロイン(セーラー服美少女戦士)
を初めて登場させたことが指摘されてきたが、伝統的なうさぎのメタファーが多用されていることに注目
すべきだろう。
セーラームーンにあえてセクシャルな特徴を探すとすれば、ミニスカートの下にすらりと伸びた美脚だ
が、その脚はバニーガールのような網タイツにしばられることなく、新体操やフィギュアスケートの選手
のように健康的で躍動している。セクシャルな印象は作中で肥大化されず、他のさまざまなメッセージと
ともにキャラクターの魅力をひきたてている。
さらに、二〇〇二年九月に英会話スクールNOVAのテレビコマーシャルで初めて登場し、日本中の人
気者になったNOVAうさぎは、うさぎの耳と鳥のくちばしを持つ不思議なキャラクターである。NOV
Aで学べば英語を聞きたいだけ聞けて、話したいだけ話せるとアピールしている。けたたましいNOVA
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うさぎの個性は、実際のうさぎがほとんど鳴き声を出さない分、きわめて強烈である。
しかし、実はこれも日本の伝統文化の現代風アレンジである。日本では高い跳躍力をもつ野うさぎは鳥
にもっとも近い動物とされてきた。肉食禁忌の例外とされ肉も淡白で鳥に似ており、鳥のように一羽二羽
と数えられた(赤田 一九九七 七二頁)
。うさぎと鳥の連想は日本の伝統から少しも異質なことではない。
むしろNOVAうさぎがユニークなのは、うさぎと鳥を一つに合体してしまったことである。
NOVAうさぎもセーラームーンと同じ野うさぎ的キャラクターであって、部屋に閉じ込もることなく
自由を謳歌し、車道を闊歩する。DJになり、サーフィンを楽しむなど、好きなことをしながらNOVA
をユーモラスに宣伝し続けた。日本の英会話学校最大手だったこの会社が、無理な事業展開がもとで倒産
してしまってからも、NOVAうさぎは忘れられることなく、キャラクターとして生き延びてきた。飼い
うさぎのような、もの静かで丸まった可愛いうさぎのイメージをことごとく打ち破り、NOVAうさぎは、
逆説的な可愛さをつくり出したのだ。
6 飼いうさぎ的内省を跳び越えて セーラームーンやNOVAうさぎにも足りないものがある。それはリアルな自然である
(図8)。
しかし、
人間が人間のためにつくりだすアニメーションの世界で、リアルな自然にふれることは不可能に近い。そ
の意味で、セーラームーンもNOVAうさぎも、人間の心に重点が置かれたストーリーである。外なる自
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然との接点が見出せない点で、現代の飼いうさぎ文化と同じ課題を有している。セーラームーンに感情移
入して高揚した少女たちの気持ちは、豊穣な自然へと接木されることなく、心の中で無限循環を繰り広げ
ながらフェードアウトしていったのではないだろうか。
月うさぎや野うさぎのメタファーの魅力を兼ね備えたセーラームーンやNOVAうさぎのようなキャラ
クターでさえ、内省のジレンマから抜け出すことは難しい。しかも、現代では、つい、飼いうさぎのイメー
ジで月うさぎや野うさぎを考えてしまうなど、私たちの意識は混乱している。
飼いうさぎ的内省を跳び越えて、まずは、月うさぎ、野うさぎ、穴うさぎ、飼いうさぎの四つのうさぎを、
イメージのもつれから解きほぐしてみよう。そして、それぞれのメタファーの本質に迫っていこう。そう
すれば、私たちは、自らの人生や自然、そして自分の心にいかに向きあってゆけばよいのか、うさぎとい
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う稀有の生命体を通して、さまざまなヒントを得ることができるのである。
図 8 野うさぎの跳躍
出典:川道武男『ウサギがはねて
きた道』紀伊國屋書店、1994
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主要文献
赤田光男 一九九七 『ウサギの日本文化史』世界思想社
家永三郎監修 一九九三 『折本 日本古典絵巻館 鳥獣戯画(甲巻)高山寺蔵〈国宝〉』、貴重本刊行会
池上洵一訳注 一九八〇 『今昔物語集8 天竺部』東洋文庫、平凡社
池上洵一 一九八三 「天竺から来た説話―月の兎―」『『今昔物語集』の世界 中世のあけぼの』筑摩書房
石破洋 二〇〇〇 『イナバノシロウサギの総合研究』牧野出版
今橋理子 二〇〇四 『江戸の動物画 近世美術と文化の考古学』東京大学出版会
内山淳一 二〇〇八 『動物奇想天外―江戸の動物百態』青幻舍
河合雅雄 一九七一 「飼ウサギ」『日本動物記1』今西錦司編、思索社
―――― 一九九六 『河合雅雄著作集1 動物社会学への旅立ち』小学館
ウサギの足跡学』今泉吉晴監訳、紀伊國屋書店
川道武男 一九九四 『ウサギがはねてきた道』紀伊國屋書店
キャロル、ルイス 一九九四 『新注 不思議の国のアリス』ガードナー、マーティン注、高山宏訳、東京図書
志賀直哉 一九九九 『志賀直哉全集』第七巻、岩波書店
シートン、アーネスト・T 一九九八 『シートン動物誌
スタジオ・ニッポニカ編 一九九九 『百分の一科事典・ウサギ』小学館
ストッフル、ステファニー・ラヴェット 一九九八 『不思議の国のアリスの誕生 ルイス・キャロルとその生涯』笠井勝子
監修・高橋宏訳、創元社
関敬吾編 一九五六 『こぶとり爺さん・かちかち山』岩波文庫
手塚治虫 一九七四 『ブッダ1』潮出版社
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―――― 一九九六 『アバンチュール 』秋田書店
朝永振一郎 一九八一 『朝永振一郎著作集一 鳥獣戯画』みすず書房
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益田朋幸 一九九七 『ピーターラビットの謎 キリスト教図像学への招待』東京書籍
水谷真成訳注 一九九九 『大唐西域記2』東洋文庫、平凡社
南方熊楠 一九九四 『十二支考』上、岩波文庫
山口佳紀・神野志隆光校注・訳 一九九七 『新編 日本古典文学全集1 古事記』小学館
吉田新一・塩野米松 一九九〇 『ピーターラビットからの手紙』求龍堂
吉野裕子 一九九四 『十二支 易・五行と日本の民俗』人文書院
柳宗玄 一九九五 『十二支のかたち』岩波書店(同時代ライブラリー)
事典類
荒俣宏 一九八八 『世界大博物図鑑』第五巻[哺乳類]、平凡社
石上堅 一九八三 『日本民俗語大辞典』桜楓社
石川弘義他編 一九九一 『大衆文化事典』弘文堂
一九七九 『日本風俗史事典』弘文堂
井筒雅風他編
伊藤亜人監訳 二〇〇六 『韓国文化シンボル事典』川上新二編訳、平凡社
相賀徹夫編 一九六八 『大日本百科事典』第二巻、小学館
――――編 一九七四 『万有百科大事典』 、動物、小学館
ギブニー、フランク・B編 一九七二 『ブリタニカ国際大百科事典』2、TBSブリタニカ
下中邦彦編 一九八四 『平凡社 大百科事典』第二巻、平凡社
千鹿野茂 一九九三 『日本家紋総鑑』角川書店
日本国語大辞典第二版編集委員会 二〇〇一 『日本国語大辞典 第二版』第二巻、小学館
丹羽基二 一九七一 『家紋大図鑑』秋田書店
福田アジオ他編 一九九九 『日本民俗大辞典』上、吉川弘文館
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付記
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本稿は、財団法人・韓中日比較文化研究所(ソウル)の依頼により執筆した原稿を元にしており、韓国語版(翻訳 李 淑)
が『十二支神 卯』(李御寧編 センガゲナム出版、二〇一〇年一〇月、原題『십이지신 토끼 이어령 편 생각의나무』)に、
「近現代の日本とうさぎたち」(原題「근
현대의 일본과 토기들」)として掲載されている。
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