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第3章 自然と共生したうるおいのある社会の構築

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第3章 自然と共生したうるおいのある社会の構築
第3章 自然と共生したうるおいのある社会の構築
第1節 優れた自然環境の保全
1 自然環境の現況
本県の自然は、秀麗な山岳連峰と、それらを源として県土を縦貫する最上川を核とする、豊かな
緑と清らかな水によって代表される。
また、地形、地質、動植物も多様性を示し、景観と四季の変化に富む自然は、県民にうるおいと
やすらぎを与えており、これらのすぐれた自然環境を保全し、将来の世代に引き継ぐことは重要な
責務である。
東北のアルプスとも称される朝日、飯豊連峰は、急峻な山岳景観とブナの原生林を有しており、
鳥海、月山、蔵王、吾妻の山々は、スケールの大きい火山景観に恵まれ、豊富な万年雪、高層湿原、
樹氷等それぞれ特色を有している。
また、海岸付近にブナの天然林が存する気比神社の社叢や、ブナとキタゴヨウの極相林が広がっ
ているヌルマタ沢・野川流域などは、景観上はもとより学術的にも希少性を有している。
最上川は、県土の流域面積の 75%を占めており、置賜、村山、最上の各内陸盆地と庄内平野をう
るおし、本県の文化と風土を築いている。
このように、本県のめぐまれた自然は、野生鳥獣の生息に適しており、県内全域で多種多様な鳥
獣が見られる。
また、本県は県内各地に特色のある数多くの温泉を有し、県民の保養、休養、観光面などで広く
親しまれている。平成 16 年度末現在における温泉地は 224 か所となっており、浴用以外にも養魚の
用水や園芸ハウスの保温、床暖房などの熱エネルギーに利用されている。
2
自然環境の保全対策
(1)自然環境保全地域
ア 自然環境保全地域の指定
良好な自然環境は、人間の健康で文化的な生活に欠くことのできないものであることから、社会
的要請として確保しておくべき重要な自然地については、山形県自然環境保全地域に指定し、長期
的視点に立ってその保全を図っており、これまで、5 地域 5,105.96ha の指定を行っている(表 2-93)
。
表 2-93
自然環境保全地域(平成 17 年度末現在)
市町村
指定面積
(ha)
左のうち
特別地区
(ha)
左のうち
野生動植物
保護地区
(ha)
50.3.10
鶴岡市
10.7
8.2
0
ヌルマタ沢・
野川
50.3.10
朝日町
長井市
2,537.38
1,478.83
計
4,016.21
1,719.4
0
今神山
50.3.10
戸沢村
721.5
102.4
26.99
大沢川源流部
57.3.17
真室川町
350.39
350.4
0
沼ノ口湿原
58.5.4
飯豊町
7.16
1.4
1.41
5,105.96
2,181.8
28.40
域
指 定
年月日
気比神社社叢
地
計
0
0
地
域 の 特
質
本県日本海沿岸の原植生を模
式的に示す貴重な地域
ブナを主体とする原生林地帯
としては、朝日山地の中でも朝
日俣流域とともに、最も貴重な
原始的自然地域
丘陵低山地帯としては、奇跡的
に保存されてきた原始的自然
地域
低海抜地域にもかかわらず人
為の介入がほとんどなく、原生
状態の植生を維持している地
域
湿原性の植物、昆虫の種類・量
とも豊富にみられ、中間湿原特
有の生態系を維持している地
域
資料:県文化環境部みどり自然課
97
イ 自然環境保全地域の保全対策
(ア)開発行為の規制
自然環境保全地域の自然環境に影響を及ぼすおそれのある建築物の新増改築、宅地の造成、土地
の開墾、鉱物の採掘、水面の埋立等の開発行為が規制されている。
(イ)管理保全
自然環境保全地域における自然環境を適正に保全するため、巡視歩道の刈払を行い、自然環境保
全地域管理員を配置して、地域内の巡視、指導、保全施設等の管理を行っている。
(2)自然公園
自然公園は、「自然公園法」、「山形県立自然公園条例」に基づいて指定された国立公園、国定
公園及び県立自然公園の総称であり、すぐれた自然の風景地を保護するとともに、その利用の増進
を図り、もって国民の保健、休養及び教化に資するために、地域を定めて指定されたものである。
国立公園は、わが国を代表するすぐれた自然の風景地を環境大臣が指定するもので、本県では出
羽三山・朝日、飯豊、磐梯吾妻・猪苗代地域から構成される磐梯朝日国立公園が指定されている。
国定公園は、国立公園に準ずるすぐれた自然の風景地を環境大臣が指定するもので、本県では鳥
海、蔵王及び栗駒国定公園の 3 か所となっている。
県立自然公園は、県内にあるすぐれた風景地を知事が指定するもので、庄内海浜県立自然公園等
6 か所となっている。
ア 県内の自然公園
自然公園は、表 2-94 のとおりで、総面積は 15 万 4,796ha(海域は除く。)に達し、県土面積の
約 17%を占めている。
なお、磐梯朝日国立公園の飯豊地域及び出羽三山・朝日地域については、平成 10 年度に公園計画
の再検討と点検が、蔵王国定公園及び栗駒国定公園については平成 4 年度に再検討が行われた。
98
表 2-94
公園別
指 定
年月日
面積
(ha)
自然公園の指定状況(平成 17 年度末現在)
特別
保護
地区
(ha)
特別
地域
(ha)
普通
地域
(ha)
市町村
名
米沢市
小国町
飯豊町
大江町
朝日町
西川町
酒田市
鶴岡市
庄内町
大蔵村
国立公園
(磐梯朝日)
25.9.5
71,115
4,249
64,712
2,154
41,241
(3,042)
2,007
37,993
1,241
(3,042)
38.7.24
12,539
(3,042)
850
11,527
162
(3,042)
38.8.8
18,878
1,157
16,642
1,079
43.7.22
9824
9824
42,440
21,121
国定公園
鳥海
蔵王
栗駒
県立自然
公園
庄内海浜
23.8.5
6568
26.3.20
13,515
酒田市
遊佐町
山形市
上山市
新庄市
最上町
金山町
6,568
9392
4123
酒田市
鶴岡市
東根市
最上町
尾花沢市
加無山
天童高原
最上川
計
徴
コニーデ型火山(月山、湯殿山)、山
岳信仰の歴史に係る文化景観(羽
黒山、月山、湯殿山)、偏東積雪と大
雪田(月山)、花崗岩の隆起山塊(飯
豊、朝日)、偏東積雪による雪蝕非
対象地形(飯豊、朝日)、大雪田と豊
富な高山植物(飯豊、朝日)、ブナの
原生林と大動物(飯豊、朝日)、アオ
モリトドマツ等寒性針葉樹林(吾
妻)、豊かな温泉源(吾妻)
美しいコニーデ型の複合火山、大
雪田と豊富な高山植物、海岸部の
暖地性植物(タブなど)
新旧多数の火山地形(お釜)、アオ
モリトドマツの原生林、樹氷群
花崗岩の隆起山塊、ブナ林、寒地系
植物
21,319
御所山
県南
特
36.9.1
10,124
8975
1149
38.12.6
8502
541
7961
42.8.30
1883
1386
497
46.6.2
1848
827
1021
154,796
(3,042)
6,256 123,826
24,714
(3,042)
南陽市
高畠町
真室川町
金山町
天童市
庄内町
戸沢村
酒田市
(注)1 国立・国定公園については、山形県側の面積である。
2 面積は陸域の部分であり、( )内に海域の部分を示した。
白砂青松(北部)、奇岩怪石(南部)、
名勝金峰山
丹生川渓谷の奇岩怪石、奇勝とブ
ナの原生林、銀山廃鉱、黒伏山の大
断崖
史蹟、遺跡の文化景観、竜ケ岳の原
生林
集塊岩地形による南画的風景
牧草風景、風穴地帯
最上渓谷、土湯杉
資料:県文化環境部みどり自然課
イ
自然公園の利用状況
自然公園の利用者数は、平成 16 年は 1,498 万人となっている。蔵王国定公園が 542 万人と最も多
く、次いで庄内海浜県立自然公園が 285 万人、磐梯朝日国立公園が 205 万人となっており、この 3
つの自然公園で利用者数の約 70%を占めている。
ウ
自然公園における行為規制
自然公園は、その風景を保護する程度に応じ、特別保護地区、特別地域及び普通地域に分けられ、
各種行為について許可または届出制による規制がなされている。
99
平成 17 年度の許可件数は、工作物の新・増・改築が 71 件で最も多く、次いで公告物の設置が 11
件で続いており、全体では 105 件となっている。
また、届出件数は 16 件となっている。
エ 自然公園の施設整備
優れた自然の風景地を保護するとともに、自然の中で県民の健全なレクリエーション活動を推進
し、更に、利用者の安全を図るため、公園計画に基づき避難小屋、歩道等の整備を進めている。平
成 17 年度の整備状況は表 2-95 のとおりである。
表 2-95
自然公園施設整備実施状況(平成 17 年度)
単位:千円
区
分
施設整備(交付金事業)
施設整備等(単独事業)
公園名
鳥海
蔵王
鳥海
磐梯朝日
鳥
海
蔵
王
事業主体
県
県
遊佐町
事
業
名
鉾立二の滝線歩道整備
蔵王温泉熊野岳循環線歩道整備
鳳来山大倉滝線公衆トイレ再整備
登山道補修、トイレ補修、
災害復旧、施設管理等
県
事 業 費
40,000
30,000
39,000
40,781
資料:県文化環境部みどり自然課
オ
自然公園の監視及び利用指導
自然公園の保護と利用の適正を期するため、たえず各地域の現状を把握し、自然保護に反する行
為のないよう監視するとともに、自然公園の利用者に対し利用道徳の普及と安全利用について指導
する必要がある。このため、県では 21 名の自然公園管理員を配置し、また、環境省では主として利
用者指導の見地から 54 名の自然公園指導員を委嘱している。
カ
自然公園の美化清掃
自然公園は、美観を損なうことなく利用することが望まれるが、近年、利用者の増加に伴い、地
域によってはごみ投棄による汚れが目立ってきている。このため、自然公園内の清掃活動を国・県・
市町村及び関係団体が協力して実施している。これに加え、自然公園の利用拠点において、通常の
清掃活動では処理しきれない粗大ゴミ等の処理をするため、重点清掃を実施している(海岸 10 か所、
その他 1 か所)。
(3)東北自然歩道(新・奥の細道)
東北自然歩道は、自分の足で手軽に楽しく歩きながら、森や川、野鳥や虫など豊かな自然にふれ、
また、その地域の特色ある文化や歴史と親しむための道であり、路線は、福島県白河を起点として、
宮城、岩手、青森、秋田、山形の順で各県をめぐり、福島県郡山を終点とするルートで全 229 のコ
ースで構成されている。
県内には、東北一周ルートの他に、景観の優れた地域や名勝地等に向かう月山、鼠ヶ関、山形西
及び米沢北の 4 ルートがあり、そのコース数及び総延長は、それぞれ 45 コース、469km となってい
る。
3
海岸地域における海岸線の保全と創造
山形沿岸は、本州東北地方に位置し、西に日本海を望む全長約 135.4km の海岸である。県では、
『庄内砂丘と松林に支えられた暮らしを守り、鳥海山を望む美しい景観を生かした、賑わいのある
海岸の創出に向けて』を目標として、山形沿岸を保全、再生、創出し、次世代へと継承していくこ
とを今後の海岸保全の基本的な理念としている。そして、この理念の下、各種の海岸災害からそこ
に暮らす人々の生活を守るとともに、古くからの歴史的資産の維持、観光資源として価値の高い空
間の確保、多様な動植物の生息・生育環境の保全等を目指し、災害からの海岸の防護に加え、海岸
100
環境の整備と保全及び公衆の海岸の適正な利用の確保を図り、これらが調和するよう総合的な海岸
の保全を推進している。
平成 17 年度においては、目標の有効施設延長 41mの整備が完成し、整備済みの海岸有効施設延
長が 19,500mとなり、整備率は 39.6%となった。今後の課題としては、整備に伴う効果の検証を行
った上で、整備の必要な海岸線の保全を実施していく必要がある。
第2節 里山等における自然環境の維持・形成
1 里山の自然環境保全
自然度の高い原生的な自然については、各種法令に基づき保全が図られてきた。一方、里山に代
表される身近な自然地域については自然の改変が進行し、里山地域等をその生息・生育基盤として
いた身近な動植物の存続が危ぶまれるなどの状況にあり、里山地域等にある保全すべき貴重な自然
環境の保全対策が課題となっている。
このため、平成 12 年 1 月、里山において特に保全すべき貴重な自然環境を有する区域を「里山環
境保全地域」として指定し、自然環境と地域住民とが従来からの適正な関わりを継続できるように
誘導するとともに、他の農林業施策と相まって、総合的に里山等の自然環境を保全する制度を県独
自に創設しており、これまで 4 地域、256.46ha の指定を行っている(表 2-96)。
表 2-96
地
域
指定年月日
市 町 村
里山環境保全地域(平成 17 年度末現在)
指定面積
(ha)
胴腹滝
14. 3.29
遊佐町
2.49
下小松
15. 3.28
川西町
156.00
河島山
17,3,25
村山市
74.05
沼の台
18.3.24
大蔵村
23.92
計
地
域
の
特
質
滝周辺は、一部ミズナラの二次林が分布しているが、杉
の植林地が主体である。滝から出る湧水は名水として評判
が高く、人を含む生き物の生息(生活)環境の源として大
きな役割を担っている。
シラハタアカマツの群棲が見られるほか、植物も多岐に
わたっている。また、古墳群や湿原が見られ、植物や昆虫
の生育・生息にとって良好な状態が保たれている。
アカマツの二次林を主体としつつも、山頂にはブナが見
られ、日本海側性植物と暖地性植物の双方が確認できる。
山麓の湿地に希少種も確認され良好な状態が保たれてい
る。
地すべり地帯特有の地形とともに、多雪、豊富な地下水に
支えられたブナ二次林、湖沼群、棚田景観を有し、高山性
の植生、希少な鳥類や昆虫類が容易に確認できる。
256.46
資料:県文化環境部みどり自然課
2
環境緑化対策
近年、森林や公園等に代表される“みどり”の意義や資源としての重要性、それに環境緑化の果
たす役割について、人々の関心と理解が年々深まってきている。
本県ではこうした社会の要請に応じる形で、「山形県新緑化基本計画」に基づき、未来につなぐ
みどりの文化の創造をテーマに、森林の整備、農村環境の整備、都市公園・緑地の整備等をそれぞ
れの関係分野で計画的に推進しているほか、緑化の推進に広く県民が参加するため、緑化活動の総
合的推進機関である財団法人山形県みどり推進機構や、県内の緑の少年団の連合組織である山形県
緑の少年団連盟の育成強化に努めている。
また、森林の整備等の意義に対する県民の理解を深め、森林整備などの取組みを推進するために
行われてきた「緑の羽根募金」は、平成 7 年度に法整備が行われ、平成 8 年度からは「緑の募金」
として活動を展開している。
101
(1)森林の保全
森林計画制度の適切な運用により、適正な森林施業を推進する一方、保安林の整備、松くい虫な
どの森林病害虫防除対策、森林災害の防止対策の強化及び林地開発許可制度の適切な施行等により、
森林の保全に努めている。
ア 保安林の整備及び治山事業の推進
森林の持つ県土保全、水源かん養等の公益的機能の維持向上を図るため、山地災害の防止、良質
な水資源の確保、身近な緑の保全等に重点を置いて、地域森林計画により保安林の計画的な配備を
行っている。
また、「森林法」及び「地すべり等防止法」に基づき、崩壊地の復旧、山地災害の未然防止、森
林の保健休養機能の高度発揮及び地すべりの防止等を目的として、治山事業を推進している。
イ
造林事業の計画的推進
造林事業による計画的な植林とその後の適切な保育管理等を通じて森林資源の充実を図るととも
に、森林の持つ公益的機能の維持向上に努めている。
ウ
森林病害虫の防除
平成 17 年度における民有林の松くい虫の被害は、山形市ほか内陸 23 市町村と庄内の 4 市町に及
び、被害区域は 8,072ha、被害材積は、27,430m3 となっている。
県は、「森林病害虫等防除法」に基づく防除計画を策定し、薬剤散布、被害木の伐倒処理等の防
除対策を推進している。
エ
森林災害の防止
平成 17 年度における林野火災及び水害等の気象災による被害面積は 9.76ha、被害金額は 2,694
千円となっている。
これらの森林の災害に対しては、損害のてん補によって速やかな復旧が図られるよう、森林保険
への加入を勧奨している。また、山火事の防止については、市町村、関係団体と連携をとりながら、
山火事防止強調月間を設定するなど広報活動を積極的に行っている。
オ
林地開発の調整
森林の乱開発を防止するため、1ha を超える開発については、林地開発許可制度により開発が適
正に行われるよう努めている。
(2)未来につなぐ緑の文化の創造
平成 7 年度に策定された「山形県新緑化基本計画」は、平成 8 年度から平成 17 年度までを計画期
間とし、これまで実施されてきた「山形県緑化基本計画」(計画期間:昭和 60 年∼平成 7 年)を引
き継ぐ形で、表 2-97 の体系区分により各種施策を展開している。
また、前計画・過年度からの継続事業を含めた平成 17 年度の主な施策は下記のとおりである。
ア 街の緑
・緑のプレゼント(各県民の森イベントでの苗木の無料配布、緑のプレゼント会の実施)
イ 田園の緑、里山、森林の緑
・各県民の森の維持管理の実施
・遊学の森(関沢ゾーン)の整備
ウ 県民参加の緑づくり
・やまがた森の感謝祭等各種植樹行事の開催
・やまがたの少年団の育成
(3)緑化事業の推進
平成 16 年に、6 月の第一土曜日を「やまがた森の日」と定め、平成 17 年度は 6 月 4 日に眺海の
森において「第 2 回やまがた森の感謝祭」を開催した。更に、平成 17 年 9 月には、遊学の森で「青
少年による森づくり大会」を開催し、あわせて緑の少年団の活動発表会を実施した。
102
また、小・中学校の児童・生徒を対象に森林・林業や環境緑化についての理解を深めるため、「山
形県緑の少年団連盟」を中心として、平成 17 年度までに緑の少年団が県内 30 市町村で結成され、
60 団体 3,133 名の団員が各地域でそれぞれの地域特性に即した活動を展開している。
県民総参加による緑化活動と、「山の緑」「里の緑」「街の緑」の調和のある総合的な整備の推
進を目的として昭和 61 年に設立された財団法人山形県緑基金は、平成 12 年度から社団法人山形県
緑化センターと統合し、名称も「財団法人山形県みどり推進機構」と改め、ハード部門とソフト部
門を一体的に実施できる体制で各種緑化事業を実施している。
平成 17 年度末までに 6 億 9,216 万円の緑基金を積み立てており、緑の募金事業と合わせて平成
17 年度に次のような事業を行った。
・森林の公益的機能増進事業(ボランティアによる森林整備等への助成)
・都市農山村緑化事業(地域の緑化活動団体への助成)
・緑化普及啓発事業(緑のプレゼント、植樹・育樹行事の開催、緑化キャンペーン等)
・森林環境教育事業(緑の少年団の育成、森林教室の開催等)
・緑の募金を財源とした森林整備、緑化推進及び国際協力事業
更に、緑に関する知識の普及啓蒙、地域の環境緑化促進を図るため、「緑の相談室」を常設して
相談に応じているほか、樹木の診断の実施、緑に関する情報の収集と提供など、各種のサービス活
動を行った。
(4)森林公園の造成
県内の森林公園は、県政 100 年記念事業として造成された「県民の森」、庄内地域の森林レクリ
ェーション活動の拠点である「眺海の森」、置賜地域には森林を活用した体験学習活動が可能な「源
流の森」、最上地域には第 53 回全国植樹祭の会場ともなった「遊学の森」が整備されている。
平成 17 年度の利用者数については、「県民の森」が約 17 万人、「眺海の森」、「源流の森」が
それぞれ約 10 万人、「遊学の森」は約 4 万人で、オープン以来の延べ利用者数はそれぞれ約 381 万
人、約 199 万人、約 96 万人、約 11 万人に達した。
(5)県民参加の森林づくり
森林に対する県民の理解を深めるとともに、森づくり活動への参加を促進するために次のような
「県民参加の森林づくり事業」を実施した。
森林ボランティア活動を支援するため、森林ボランティアリーダーの養成と森づくりを実施して
いる団体に対して助成を行った。
また、県民参加による森林整備を促進するため、企業の森づくり事業の実施や森林オーナーを募
集するとともに、各種植樹行事等による森林整備活動を行った。
一方、県内 4 つの森林公園(県民の森等)の利用拡大と森林・林業に対する県民の理解を深める
ため、利用者の案内指導を行う「森の案内人」の技術向上研修を行った。
103
表 2-97
山形県新緑化基本計画
体 系 区 分
1.街の緑
施
策
施策体系区分
区
分
ア 都市公園等の緑の保全と都市公園等の緑とのふれあいの場の整備及び活用
イ 公共の緑づくり (1)道路の緑化 (2)河川の緑化 (3)海岸、湾岸の緑化
(4)空港、鉄道の緑化 (5)学校の緑化・学校林の整備
(6)その他公共施設の緑化
ウ 民間等の緑づくり (1)住宅地の緑化 (2)新しい街づくりと緑化
(3)工場、事業所の緑化
ア 農山漁村の緑の保全と農山漁村の緑とふれあう場の整備及び活用
2.田園の緑、里山・イ 森林の緑の保存・保全と森林の緑とふれあう場の整備及び活用
森林(もり)
ウ 母なる川「最上川」源流の緑の保存・保全
の緑
エ 野生鳥獣の保護
3.自然の緑
ア
自然環境保全地域の緑の保全
イ
自然公園等の緑の保護・保全と自然公園等の緑とふれあう場の整備及び活用
4.緑とのふれあいの場のネットワークの形成
5.県民参加の緑
づくり
ア
緑化思想の普及・啓発及び緑化教育・学習
イ
緑化の組織づくりと緑化情報の提供など
ウ
緑の国際交流
資料:県農林水産部森林課
3
農地の維持・活用と耕作放棄地発生の防止
農地は昭和 45 年以来耕地のかい廃が進み、その面積は年々減少の傾向にある。
このような中、耕作放棄地の状況についてみると、本県の耕作放棄地率は全国平均や東北平均と
比較して低い状況にあるものの、その面積、率ともに増加の傾向にあり、2005 年農林業センサスで
は、面積で 6,796ha、率で 5.4%となっている。
耕作の放棄は、農地が持つ洪水防止機能や水源のかん養機能など公益的機能が十分に発揮されな
いなど環境に与える影響も大きく、また、農業・農村の持つ多面的機能を維持・発揮していく観点
から、本県においては中山間地域等直接支払制度など耕作放棄地発生防止や農地の有効活用のため
の施策を展開してきたところである。
第3節 都市部における自然の創出
1 都市環境の保全
(1)都市公園の整備
都市公園は、都市に緑とオープンスペースを確保することにより、良好な都市環境の形成、国民
の健康の維持増進、広域的レクリエーション、文化活動等の場を提供するばかりでなく、大気汚染、
騒音等の都市公害を緩和し、災害時の避難場所としての都市の安全性を確保するために活用される
など、多様な役割を果たす基幹的な公共施設である。
平成 17 年度における県施行の都市公園は、東北横断自動車道寒河江サービスエリアと一体となっ
たハイウェイ・オアシスとしての最上川ふるさと総合公園の 1 か所である。
また、市町施行の都市公園は山形市霞城公園等 3 か所を整備している。
なお、平成 17 年度末現在の都市公園面積は約 1,607ha で、
都市計画区域内人口 1 人当たり約 16.8m2
となっている(表 2-98)。
104
表 2-98
種
類
街区公園
近隣公園
地区公園
総合公園
運動公園
か所数
544
58
13
24
9
都市公園一覧表(平成 17 年度末現在)
都市公園面積
(ha)
128.27
98.56
77.61
445.10
110.17
種
類
大規模公園
特殊公園
緑地等
合
3
8
68
都市公園面積
(ha)
241.50
129.83
376.94
727
1607.98
か所数
計
資料:県土木部都市計画課
(2)風致地区
自然景観を保全し、その風致を維持するために、風致地区を決定しており、地区内では樹木の伐
採や土地形質の変更あるいは建築、増改築、更に屋根の色等について、昭和 45 年に制定された「風
致地区内における建築等の規制に関する条例」に基づいて規制している。
なお、平成 17 年度末現在、山形広域の 2 か所 505ha が都市計画決定されている(表 2-99)。
表 2-99
風致地区一覧表(平成 17 年度末現在)
区 域 名
名
称
山 形 広 域
(山 形 市)
第1号馬見ケ崎風致地区
167.0
第2号千歳山風致地区
338.0
505.0
計
面積(ha)
資料:県土木部都市計画課
(3)都市緑化対策
都市緑化の推進のためには、一人ひとりが身の回りの緑化を進めていくことも重要であるが、地
域住民同士が緑地協定等を結ぶことにより、より効果的に緑の街並みをつくりだすことができる。
このような目的から山形市、鶴岡市、酒田市等において、都市緑化に係る条例、要綱等を制定し、
優れた緑を保全し創成するように努めている。
2
水辺環境の保全と創造
水辺環境は、生物の多様性を保つ上で極めて重要な役割を果たしており、人間の生存の基盤とな
っている生態系を長期的に安定させ、生物資源を持続的に利用するため、河川において地域固有の
生物の多様な生息・生育環境を確保しつつ、河川のもたらす様々な恵みを活かしていくことが必要
である。
水辺環境の保全と創造は、「河川法」の目的の1つである「河川環境の整備と保全」とに関連し、
以下の視点により、今後の河川の整備及び管理において関係機関と連携を図りながら積極的に取り
組んでいる。
(1)空間的連続性の確保
河川における生物の多様な生息・生育環境に必要な広がりを確保し、地域の様々な生物が安定的
に生存できるようにするため、河川横断工作物への魚道設置や流水の連続性の確保等、生物が上下
流へ容易に移動ができるような川づくりを目指す。また、河川状況に応じて、水路などを介して流
域の湿地や池などと河川を結ぶことにより流域にエコロジカルネットワークを形成し、生物の生
息・生育環境の空間的連続性を確保する。
平成17年度においては多自然型川づくりの整備について、全河川100%を目標とした。実施状況と
しては、目標通りの整備を行った。ただし、多自然型川づくりは、現在まだ確立されてはいないた
105
め、これまで様々な工夫を重ねながら治水機能と環境機能を両立させた取組みを実施してきたとこ
ろである。今後、これまでのモデル事業から、より質の高い「多自然型川づくり」を展開していく。
(2)多様な形状を持つ河道の形成
河川の整備にあたって、できるだけ多くの自然の要素を採り入れるため、治水上必要な構造を検
討の上、自然の持つ復元力を活かせる方策を選択し、そこに生息する生物に配慮した河道の形成を
図る。具体的には、瀬と淵が混在したり、河畔林の保全等多様な形態を持つ河道を基本とし、多自
然型川づくりを推進する。
平成17年度においては多自然型川づくりの整備について、全河川100%を目標とした。実施状況と
しては、目標通りの整備となった。平成17年度における多自然型川づくりの整備延長は、2.9kmの
整備を実施し、整備済みの延長は54.3kmとなった。
なお、多自然型川づくりは、これまで様々な工夫を重ねながら治水機能と環境機能を両立させた
取組みを実施してきたところである。今後、これまでのモデル事業から、より質の高い「多自然型
川づくり」を展開していく。
(3)良好な河川景観と水辺空間の形成
河川管理施設等の新設及び改築にあたっては、河川管理施設等構造令を遵守するとともに、周辺
の景観とできるだけ調和が図れるように配慮しながら、河川を身近な自然教育の場としてとらえる
とともに、河川におけるオープンスペースやウェルネス効果等を活かし、心身の健康の増進に寄与
する運動施設・河川公園等の整備を図る。また、高齢者等でも安心して水辺に親しめるよう堤防の
緩傾斜化や堤防坂路のスロープ化等バリアフリー化を推進するとともに、休憩施設等の整備を図る。
平成17年度は、やすらぎの川整備事業(4箇所)及び地方特定河川整備事業(1箇所)について、
目標通りの整備を行い、良好な河川景観と水辺空間の形成を図るための整備を実施した。課題とし
ては、両事業の終了に伴い、今後、新たな整備手法の確立が不可欠となっている。
第4節 野生動植物の保護等への配慮
1 鳥獣保護
野生鳥獣は、自然環境を構成する最も重要な構成要素の一つであり、豊かな生活環境を維持して
いくために不可欠なものである。
本県における鳥獣の生息状況は、豊かな自然環境に恵まれて多様な鳥獣相を保っており、これま
でに鳥類 374 種、獣類 44 種が確認されている。
これら野生鳥獣の保護に対する関心が高まってきており、野鳥愛護団体や小・中・高校の児童生
徒を中心とした愛鳥活動も活発になってきている。
(1)鳥獣保護区の指定
県は、野生鳥獣の保護を図るため、「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律」に基づき、「第
9 次鳥獣保護事業計画」(平成 14 年度から 18 年度)を策定し、希少鳥類の保護や鳥獣の生息環境
の保護等を目的として鳥獣保護区、特別保護地区の指定などを行っている(表 2-100)。こうした
鳥獣保護対策の実施と保護思想の普及には、県内各地に配置された 50 名の鳥獣保護員が大きな役割
を果たしている。
表 2-100
区
国
県
分
指
指
計
定
定
鳥獣保護区と特別保護地区の状況(平成 17 年度末現在)
鳥 獣
か 所 数
保
護
面
2
52
54
区
積(ha)
30,214
84,563
114,777
特 別 保 護 地 区
か 所 数
面
積(ha)
1
4,561
9
5,568
10
10,129
資料:県文化環境部みどり自然課
106
(2)狩猟免許等
狩猟を行うためには、「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律」に基づき、狩猟免許を取得
し、さらに狩猟者登録を受けることが必要である。
昭和 53 年以降、狩猟者の数(図 2-23)は減少傾向にあり、また、狩猟による鳥獣の捕獲数(図
2-24)も減少傾向にある。
図 2-23
狩猟者登録者数の推移
9000
8000
7000
︵
6000
人
数 5000
H17:2,514人
︶
人 4000
3000
2000
1000
0
51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17
年度
資料:県文化環境部みどり自然課
図 2-24
狩猟による鳥獣捕獲数の推移
120
110
100
︵
捕 90
獲
数 80
70
、
千
頭 60
H16:24,169 羽・頭
50
︶
千
40
羽
30
20
10
0
50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16
年度
資料:県文化環境部みどり自然課
107
(3)有害鳥獣の捕獲等
有害鳥獣捕獲は、鳥獣による農作物被害等が生じている場合に、被害防除対策によっても被害等
が防止できないと認められるときに行うものであり、それに係る許可基準を定めている。平成 16 年
度の捕獲状況は、表 2-101 のとおりである。
表 2-101
鳥獣捕獲状況(平成 16 年度)
鳥
類(羽)
ヒヨドリ
2,176
−
13,766
41
286
958
1,077
181
231
7
21,655
43
−
−
−
679
−
−
4,883
839
2,408
138
200
9,190
計
カ モ 類
そ の 他
ムクドリ
スズメ類
カラス類
2,928
シ ギ 類
4
ジ
キジバト
ウ ズ ラ
ヤマドリ
キ
ゴイサギ
種類
捕獲の
区分
狩
猟
有害鳥獣
捕 獲
獣
類(頭)
ノ ウ サ ギ
ハクビシン
そ
ル
68
−
3
13
2,211
−
40
2
2,514
218
−
−
1
−
−
−
−
−
1,202
572
9
3
2,005
ヌ
計
オスイタチ
サ
類
13
の
ム サ サ ビ
リ
ン
119
ス
ア ナ グ マ
テ
キ
18
タ
ネ
−
ツ
イ ノ シ シ
キ
マ
27
ク
種類
他
捕獲の
区分
狩
猟
有害鳥獣
捕 獲
資料:県文化環境部みどり自然課
(4)鳥獣保護対策
鳥獣保護対策の積極的かつ円滑な推進と野鳥愛護思想の高揚を図るため、平成 17 年度は次の事業
を実施した。
(ア)休猟区野生鳥獣生息状況調査
(イ)ガンカモ類の全国一斉調査
(ウ)鳥獣保護区等管理調査
(エ)鳥類生息状況調査
(オ)愛鳥週間用ポスターの募集、表彰、巡回展示
(カ)傷病野生鳥獣救護事業
(キ)野鳥の森管理事業
(ク)野生鳥獣との共存推進事業
(ケ)希少野生生物保全対策推進事業
第5節 調査・研究の推進
1 自然環境現況の把握
野生鳥獣との共存方策を検討するため、クマやサルの行動特性、ツキノワグマの生息状況やイヌ
ワシの生息環境などを調査した。
また、人とのあつれきが大きいクマの里山への出没予測及び希少淡水魚(イバラトミヨ特殊型)
の保全技術に関する研究を実施した。
108
第6節 自然との触れ合いの確保
1 温泉の保全と適正利用
(1)温泉の概況
本県は、県内全市町村に温泉が湧出しており、県民が身近に恩恵に浴している全国有数の温泉県
となっている(表 2-102)。温泉の数は、平成 16 年度末現在で 224 か所の温泉地に 400 本の源泉が
ある。
これら温泉の利用状況は、そのほとんどが温泉旅館等の浴用であり、この他は養魚、園芸などで
の熱エネルギーとしての利用となっている(表 2-103)。
表 2-102
山形県内の温泉地一覧(宿泊施設又は公衆浴場がある温泉地)
市町村
温泉地名
平成 17 年 3 月現在
温泉地名
市町村
蔵王、山形、飯田、黒沢、中
桜田、大野目、臥竜、八百坊、
山形市
村
山
地
区
57
15
上山市
4
天童市
4
山辺町
中山町
1
1
寒河江市
4
小野川、白布、新高湯、五色、
滑川、姥湯、湯の沢、大平、赤
芝、愛宕、おいたま、米沢金池、
漆山、鈴川、大曽根、かすみ
が、成安、山形うわの、馬見
ヶ崎
米沢市
上山、葉山、龍王、中山
南陽市
4
高畠町
3
湯沼、高畠、まほろば
川西町
長井市
3
2
小国町
5
白川、玉庭、川西
はぎ乃湯、長井あやめ
飯豊、泡の湯、大滝、新飯豊、
白鷹町
2
飯豊町
4
養老、平安の湯米沢
置
天童、荒谷、 ラ ・フォーレ恵 賜
の湯、天童最上川
地
山辺
区
ひまわり
寒河江、新寒河江、高嶋、白
岩
海老鶴、河北
月山志津、海味、水沢、大井
14
37
赤湯、宮内、桃源、ハイジア赤
湯
おぐに横川
河北町
2
西川町
4
朝日町
4
朝日、杉山、五百川、りんご
鶴岡市
8
大江町
4
藤島町
3
村山市
8
古寺、左沢、柳川、舟唄
湯舟沢、湯野沢、村山ゆざ、
碁点、金谷、 東沢、湯の入、
黒鴨、鷹野湯
がまの湯、白川ダム、いいで添
川、広河原
湯野浜、庄内いこいの村、湯田
川、由良、火打崎、鶴岡駅前、
波渡崎、長寿
長沼、湯の澤、筍沢
羽黒町
3
羽黒、羽黒山、羽黒町
櫛引町
三川町
朝日村
1
1
2
櫛引
温海町
酒田市
3
3
なの花
湯殿山、かたくり
温海、湯の瀬、立岩
宮海、飯森山、酒田湊
立川町
1
月の沢
余目町
1
余目
遊佐町
2
湯野田、鳥海
八幡町
松山町
平田町
2
2
1
44
147
湯の台、八森
辰ヶ湯、松山
小林
沢
山の内
東根市
大石田町
1
3
2
新庄市
金山町
2
1
最上町
6
舟形町
1
真室川町
4
大蔵村
鮭川村
戸沢村
2
1
3
尾花沢市
最
上
地
区
20
東根
銀山、鶴子、徳良湖
おもだか、大石田
新庄、奥羽金沢
神室
瀬見、赤倉、大堀、琵琶の沢、
庄
内
地
区
最上ヘルス、前森
舟形若あゆ
及位、真室川新、まむろ川、
鏡沢
肘折、黄金
羽根沢
今神、草薙、戸沢
33
合計
(注)太字(斜字)は宿泊施設のある温泉地
市町村
温泉地(内宿泊施設有は 100)
資料:県文化環境部みどり自然課
109
108
101
102
105
102
107
116
118
118
118
124
470
471
462
463
465
462
441
446
444
442
436
4,288
4,210
4,135
4,083
3,880
3,834
3,662
3,538
3.469
3,367
3,375
(
宿泊施設無
97
97
99
101
105
102
99
99
100
102
100
延宿利用 単位:千人
宿泊施設有
205
198
201
206
207
209
215
217
218
220
224
温泉利用宿泊施設数
温泉地数
)
24
17
18
16
14
14
17
16
16
20
20
数
274
273
282
292
298
294
295
296
299
296
294
総
187
178
186
188
194
197
200
209
205
208
212
その他の利用
119
117
122
121
116
118
124
113
116
118
116
浴用又は飲用
82
68
69
68
67
66
68
70
72
71
72
42℃以上
90
73
77
69
65
73
80
80
78
81
86
25℃以上
42℃未満
298
290
300
308
312
308
312
312
315
316
314
温度別
源泉数
泉
147
146
150
157
166
163
167
170
171
167
171
計
力
泉
151
144
150
151
146
145
145
142
144
149
143
25℃未満
動
噴
388
363
377
377
377
381
392
392
393
397
400
未利用源泉
利用源泉
自
度
源泉総数
年
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
温泉の利用状況等
利用目的別
源泉数
表 2-103
資料:県文化環境部みどり自然課
(2)温泉の保全対策
温泉は極めて利用価値の高い地下資源であるが、乱開発によって温泉資源の枯渇化を招くおそれ
がある。
このため、温泉の乱開発を予防し、適正な温泉採取を確保するために「温泉法」が制定されてお
り、温泉開発行為は知事の許可制となっている。
なお、知事が温泉の開発許可を行うには、山形県環境審議会の意見を聴いてから決定することと
なる。
平成 17 年度の温泉開発許可件数は、掘削が 10 件、増掘 1 件及び動力装置が 4 件の計 15 件であっ
た。
また、県では温泉のより効率的な利用の施策を進めており、特に大規模温泉地においては、温泉
採取と配湯を統合するとともに、源泉を効果的に利用する温泉集中管理方式を推進している。平成
17 年度末現在で県内の 11 温泉地で集中管理方式が実施されている。
(3)温泉の適正利用対策
温泉を公共の浴用又は飲用に利用する場合は、公衆衛生の確保を図るため、「温泉法」に基づき、
知事の温泉利用許可が必要となる。
平成 17 年度の温泉利用許可件数は、78 件であった。
(4)国民保養温泉地
平成 17 年度末現在の県内の国民保養温泉地は、蔵王温泉、銀山温泉、碁点温泉、肘折温泉郷、湯
田川温泉の 5 か所である。
110
2
自然保護思想の普及
県民共有の財産である自然を守り育んでいくには、自然保護思想を広く普及させることが重要で
あることから、次の事業を実施しているほか、各種機会を利用して広報活動を積極的に行っている。
(1)山形県立自然博物園の管理運営
県立自然博物園は、県民が、すぐれた自然に親しみながら、「自然の仕組み」や「自然と人間と
のかかわりあい」等を考える学習の場として、また、自然に関する情報提供及び資料収集の役割を
果たす自然保護教育の中核的施設として、磐梯朝日国立公園内の西川町志津に平成 3 年 6 月に開園
した。
この施設には、ネイチャーセンターをはじめとして、野外遊歩道沿いに自然観察のための各種広
場、体験ゾーン、展望台、野鳥観察小屋などが整備されており、自然解説指導員による案内指導や
自然観察会を実施している。
(2)鳥獣保護思想の普及
野生鳥獣保護思想を広く県民に普及するため、野鳥の森を設置し、管理している。愛鳥週間ポス
ターコンクールを実施し、平成 17 年度は県内の小・中・高校の 98 校の児童生徒から 474 点の応募
があった。
第7節 良好な景観・歴史的環境の保全
1 やまがたの美しい景観づくり
本県は、月山や鳥海山等の山々と母なる最上川とによってその特徴ある輪郭が形づくられている。
都市と農村との融和的な関係が、シンボルとなる山々の景観を引き立て、県土の景観を印象深く親
しみのあるものとしている。
また、県民の意識も量的・物質的豊かさより質的・精神的豊かさを求める方向に変化してきてお
り、生活環境の向上という観点からも景観に対する関心が高まっている。
国では、「良好な景観は国民共通の資産であり、国民がその恵沢を享受できるようその整備及び
保全を図る」ことを基本理念に「景観法」(平成 16 年 6 月 18 日、法律第 110 号)を制定した。
県では、平成 7 年「山形県県土景観ガイドプラン」を策定し、景観形成の目標像や景観形成方針
を定めた。
県土の良好な景観を保全・継承・創出するため、景観法の理念やガイドプランの方針を踏まえ「や
まがたの美しい景観づくり」の取組みを展開していく。
今後は、景観条例及び景観計画を策定し、県民、事業者、県・市町村等行政それぞれの役割を明
確にし、良好な景観形成を図るために総合的な取組みを行う。
2
環境美化の推進
各地で地域住民等が主体となった環境美化活動が実施されるなど、美しく住みよい生活環境の実
現に大きな関心が寄せられている。
市町村においては、ゴミの回収、河川・海岸・公園等の清掃、側溝の土砂あげ、花壇整備、不法
投棄物の回収など、地域住民による環境美化運動が地区単位や学校単位等で活発に行われている。
また、事業者においては、ボランティアによる地域環境美化運動への参加も広く行われるように
なっている。
近年、こうした環境美化活動に、アダプト・プログラムや団体間のネットワークづくりなど、新
しい手法を導入する取組みが進められている。
3
「きれいな川で住みよいふるさと」運動
「きれいな川で住みよいふるさと」運動は、河川愛護団体等の協賛を得て山形県と市町村が主催
する本県独自の県民河川海岸愛護運動であり、昭和 52 年から実施している。
111
この運動は、県民一丸となって、河川海岸愛護意識の向上を図り、真に健康で住み良い郷土にし
ていこうとするもので、平成 5 年度からは 7 月のほか 9 月にも各 1 か月間の重点運動期間を設けて
いる。この期間中に河川海岸の美化及び愛護のための啓発活動を展開するとともに、特に 7 月第 1
日曜日、9 月第 2 日曜日を「県民河川・海岸愛護デー」とし、地域住民の自主的な参加を得て、河
川敷や海浜地の清掃作業等の愛護活動を実施している。
平成 17 年度の第 1 回の愛護デーには、延べ 505 河川、河川延長 1,298km の河川敷及び海水浴場の
ある 13 海浜地について、県民 13 万 9 千人が参加、第 2 回の愛護デーには、延べ 168 河川、河川延
長 344km の河川敷及び海水浴場のある 4 海浜地について、県民 4 万 9 千人が参加し、年合計で県民
18 万 8 千人の参加を得て清掃活動が行われた。
4
道路美化
県民の共有する財産であり生活空間である道路の環境美化は、地域で活発に行なわれており、県
では、長年道路美化活動や情報提供を行ってきた方を対象に「みんなの県土サポーター賞」で顕彰
を行っている。平成 17 年度は 11 月 18 日の土木の日に贈呈式が行われ、道路美化に関しては 5 個人
3 団体を表彰した。
また、平成 14 年 3 月からは、
県道の美化活動や維持管理におけるボランティア活動を育成支援し、
道路に対する愛着を深め、道路利用者のマナー向上を啓発することを目的にして、「やまがた道路
美化ボランティア」を立ち上げた。
この制度は、ボランティアが身近な道路の里親となり、除草や清掃、草花の植栽、歩道の除排雪、
破損状況の情報提供などを行いながら、道路を維持管理し、美しく住みよい環境を作っていくもの
で、平成 17 年度は、約 78 団体 4,000 名が活動に参加している。
また、平成 18 年度からは「やまがた道路美化ボランティア」と「メイクアップロード 21 推進事
業」を一括りにし、「マイロードサポート事業」として事業展開している。
【メイクアップロード 21 推進事業】
市町村総合交付金制度の中の 1 事業。県道美化団体を支援する市町村に対し、県が交付金の
交付を行うもの。
市町村は県道美化団体に対し主に花苗や肥料の支給を行う。
【マイロードサポート事業】
地域団体と道路管理者が協働して道路管理の一部を地域に担ってもらうことを目的としたも
の。団体と道路管理者が対等な立場で協定を締結し、道路管理者は団体への支援を、団体は活
動区間を定期的・継続的に清掃美化活動を行う。
112
Fly UP