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新時代の - 全国上下水道コンサルタント協会
新時代の ■上下水道事業の新たな役割 また上下水道事業では、従来の業務以外にも 新たな役割が期待されています。 上下水道事業は多くのエネルギーを消費す る事業です。地球温暖化の進行や化石燃料の枯 佐賀市長 秀島敏行 渇が心配される中、浄水場や下水処理場では再 S E M 生可能エネルギーである太陽光発電の利用、省 電力・高効率機器の導入などの方策が望まれま 一般社団法人全国上下水道コンサルタント す。 協会の設立 30 周年、誠におめでとうございま さらに下水道事業では、①下水や下水汚泥の す。これまでの貴協会会員の皆様の上下水道事 ほかに、地域に存在する食品系廃棄物等のバイ 業へのご尽力に感謝いたしますとともに、日頃 オマスを下水処理場に集約すること②集約し からの上下水道事業の専門家としての研鑽に たバイオマスを使って発電をしたり、水素や固 は心より敬意を表します。 形燃料等を生産したりして、下水処理場でのエ ネルギー自立化や供給拠点化を進めること③ ■普及から改築・更新、強靭化の時代へ 用藻類の培養等に活用して、新しい価値と地域 これまでの上下水道事業は、普及を進めるこ 産業を創出し、地域に貢献することなどが求め とが最も大事な業務でした。しかし、上下水道 られています。 の人口普及率は、上水道は 97.5%(平成 22 年度 末現在)、下水道は 76%(平成 24 年度末現在) と高い水準まで到達し、普及の時代は終わった 2 下水やバイオマス中の栄養分を農水産業や有 ■佐賀市下水浄化センターでの取組み といえます。そのかわりに今後の課題として、 当市下水浄化センターの放流先である有明 ①施設の老朽化を解消するための施設の改 海は、日本一のノリの生産地です。当センター 築・更新を進めること②大型地震やゲリラ豪雨 では平成 19 年からノリの養殖に少しでも役立 等の自然災害にも耐えうるように、施設の強靭 つように、ノリの養殖が行われる冬季だけは、 化を進めることが必要となっています。 窒素成分を多く含んだ処理水を放流していま コンサルティング G A S S E す。おかげさまで周辺海域のノリの養殖は好調 験⑤藻類を利用した新たな産業の創出といっ で、漁業者の皆さんに大変喜ばれています。 た構想を持っており、ますますバイオマスを活 続いて平成 21 年 10 月からは、場内で脱水汚 用する取組みを活発に行っていく予定です。 泥の全量を肥料化して販売する事業を開始し 当センターの事例は、色々と考えられる取組 ました。平成 26 年度には 8333 tの脱水汚泥を みのほんの一例に過ぎません。今後は全国津々 原料に1463tの肥料を生産、販売しました。お 浦々に、それぞれの地域の実情に合わせたバイ かげさまで肥料は好評で、多くの農業者や家庭 オマス活用の取組みが進んでいくことになる 菜園愛好者の皆様に利用していただいていま でしょう。 す。以前は脱水汚泥の全量を市外の産廃処分場 で処分してもらっていましたが、現在では下水 由来の肥料を市内の農地に還元し、地域循環の ■今後のコンサルティングに求めるもの 輪を形成しています。 上下水道事業は、人口減少の時代を迎えつつ そして平成 23 年2月からは、消化ガスを利 ある中で、経営を維持していくうえで、財政的 用した発電事業を開始しました。現在は400kW に厳しい状況となっています。 の発電能力があり、場内で使用する電力のうち その一方で先述したように、上下水道事業に 約 40% を賄っています。発電を始めるまでは、 求められる役割はますます多様性や重要性を 場内で発生する消化ガスはほんの一部を利用 増しており、先を見越した効果的な投資が必要 するだけで、ほとんどは燃焼させて処理してい となっています。 たのですが、発電によって消化ガスの有効利用 その局面にあって、上下水道事業者のコンサ と共に、電力費削減等の効果もあげることがで ルティングに対するニーズは大きく変わって きました。 いくものと思われますが、会員の皆様におかれ さらに今後は、昨年度に認定を受けました ましては、「以前はこうだった。」「よそではこ 「佐賀市バイオマス産業都市構想」に沿って① うだった。」という既成概念にとらわれずに、 市内の食品工場からの食品系廃棄物や汚水処 それぞれの事業者の実情に合わせた「オーダー 理施設の汚泥の受入れ(集約化)、②受入れた メイドのコンサルティング」を提供していただ バイオマスを利用した電力や肥料の増産、③消 きますようお願い申し上げます。 化ガスからの二酸化炭素の取出し、④二酸化炭 最後になりましたが、今後の貴協会のますま 素と下水中の栄養分を利用した藻類の培養試 すのご発展をお祈り申し上げます。 3