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平成23年を振り返って - 川口市立医療センター
川口市立医療センター 医療連携だより 総合相談室院外広報誌 平成24年1月27日 第11号 「平成23年を振り返って」 副院長兼外科部長 大塚 正彦 平成23年という年は3月11日の東日本大震災によりほとんどの日本人に とって忘れられない年となったことと思います。犠牲になられた方には心より ご冥福をお祈りするとともに、被災された方々にはお見舞いを申し上げます。 1日も早い復興を祈っております。 当院は埼玉県の基幹災害拠点病院であり災害直後にDMATを派遣するとともに、その後志願した 若手医師を被災地に派遣してきました。しかし病院としては電力の問題、流通障害による診療材 料の不足等様々な危機に対忚を迫られてきました。災害拠点病院として定期的に避難訓練や多数 傷病者受け入れ訓練等を施行していますが、昨年ほど危機管理の重要性を感じたことはありませ ん。この危機管理という事に関してとても参考になったことがありましたので書かせていただき ます。 昨年5月にテレビで震災時の東京ディズニーリゾートを特集していました。 あの大地震の時、東京ディズニーリゾートには7万人がいたそうです。皆が不安のなか、9割 がアルバイトであるディズニーリゾートのキャストと呼ばれる従業員が、お客さん(ゲスト)を 守るために信じられないほどの冷静さで的確に動いていた姿は感動的でした。キャストは自分た ちがまずパニックを起こさないこと、そしてゲストの安全を守ることが一番重要と教育されてい ます。実際冷静にゲストに指示を与え、頭の保護や防寒のため商品であるぬいぐるみ等を惜しげ もなく配り、笑顔でゲストに接し、地震の恐怖に怯える子供たちにもやさしく話しかけ笑顔で対 忚していました。なぜこのような行動がとれたのか? ディズニーリゾートは10万人のゲストがいるときに震度6強の地震が起こったらどうするか を決めて、それに対する訓練をしてきたため約30分後には地震対策統括本部が設置され社長を トップとするピラミッド型の対忚体制が整い、1万人のスタッフを束ねたとのことです。常に最 悪を想定した対策をたて、年間180回ほどの防災訓練を全キャストが繰り返し受けていて、二 日に1度はパークのどこかで訓練が行われており、キャスト全員に徹底的に危機管理を行ってい ました。これによりほとんどがアルバイトであるキャストもプロ意識をもった行動がとれたのだ と思います。 われわれは医療のプロですので個々にはしっかりした対忚が出来ると信じていますが、組織と してこのような行動をとるためには常に最悪を想定し、幹部職員のみならず全職員が今まで以上 に訓練を通じて危機管理意識を持つ必要があると思います。 常時の診療のみならず災害のような非常時にも市民の皆さまから頼りになると思っ てもらえるように努力してまいりますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。 ~院内部門紹介~ 産婦人科 部長 深井 博 「産婦人科の現状について」 日頃より、患者さんのご紹介、ご支援等、有難うございます。 産婦人科は、「子宮癌、卵巣癌等の婦人科診療」と「合併症妊娠の母体、胎児の妊婦 健診、分娩に係わる周産期診療」を2大柱として診療しております。 ―婦人科治療― 婦人科治療では、地域がん拠点病院として、子宮頸癌、子宮体癌、卵巣癌等のがん治 療を主に子宮筋腫、子宮脱、更年期、不妊症等も含めて全般に対忚してまいりました が、当科の都合により、1年来、婦人科の受診は、紹介患者さんを原則とし、患者数を 若干制限する体制で診療して参りました。 しかし、本年4月よりは紹介状なしでの婦人科受診も可能として、以前通りすべての 患者さんに開かれた、地域医療の中核病院となるよう準備中です。とはいえ、患者さん の待ち時間を少なくするには、事前の紹介状、予約等は、非常に有用ですので、今後と も活用よろしくお願いします。 更に、重症患者さんについては、従来どおり、近隣の医療機関の先生と綿密な連携の もと、紹介状等を活用し遅滞なく治療できるように、ご協力お願いします。 ―周産期治療― 周産期医療においては、昨年11月より埼玉県内にて、母体・新生児搬送システムが 稼動しております。埼玉県内を7つの地域に分割し、7つの地域をそれぞれ1つの地域 周産期センターが受け持ち、母体・新生児搬送を受けるシステムです。 当院も、地域周産期センターとして、川口市、蕨市、戸田市、草加市、三郷市、八潮 市、吉川市を担当地域として母体・新生児搬送を受けております。 周産期医療においては、重症の母体搬送、新生児搬送が最重要課題ですが、そのほか にも、妊娠初期、中期に多胎妊娠、妊娠高血圧症候群、胎児異常等の合併症妊娠で当科 紹介になった妊婦さんを厳重に管理、治療しております。 今までは、待ち時間が長く、患者さんに多大の迷惑をお掛けしておりましたが、診療 予約時間の厳守、待ち時間の短縮を図るため、産婦人科の改修を含めて病院スタッフと 協議中であり、4月を目標に調整しております。 これまで以上に、患者さんの目線に合わせ、外来診療、入院診療の改善に向けて、医 師、看護スタッフ等ともに努力してまいりますので、よろしくご支援お願い申し上げま す。 臨床栄養科 主任 芳野 多香子 医療センター臨床栄養科では、「患者本位に考え、食を通し、治療 の一環を担います」、「栄養管理による疾病の回復の支援及び、栄養に関する啓蒙活 動を通し、健康維持・増進に貢献します」の二つを当科の理念に掲げ、日々の業務に あたっています。 当科の主たる業務は、栄養管理(栄養状態改善・維持の支援、栄養相談)、給食管 理(入院患者様への食事提供、提供する食品・食器等の安全確認、衛生管理、給食業 務委託会社との業務見直し)です。 また、チーム医療への参画は、糖尿病教育チーム、腎臓病教育チーム、褥瘡対策 チーム、NST(栄養サポートチーム)、緩和ケアチーム、ICT(感染対策チー ム)、医療安全チームの7チームに及び、その他委員会、部会で活動しています。 これらを現在、副院長を兼務する臨床栄養科長医師1名、管理栄養士7名(パート 管理栄養士1名を含む)で行い、給食業務を給食受託会社へ委託しています。 院内はもとより地域医療の支援に貢献できる管理栄養士業務の一つは、栄養相談で す。栄養相談は、医師が診療のうえ具体的な食事療法の指示のもと実施し、その指導記 録が診療録に記載されていることが保険診療上必要です。 最近、直接当科へ栄養相談依頼のご連絡をいただくケースがございますが、当院医師 からの指示が必要です。お手数ですが一度当院の医師へ、栄養相談が必要と認めた患者 様をご紹介ください。 私たち管理栄養士は自分が受け持つ患者様の未来を左右してしまうかもしれない大切 な役割を担っていることを心し、栄養相談を行います。 管理栄養士の仕事の対象は、「モノ(食品)」から、 専門的な知識を生か し、「人」へと変わってきています。また、ますます進歩する臨床治療や、臨床 栄養の進歩に呼応しつつ、よりよい医療サービスを提供できるよう自己研鑽し、栄養士業務に励 んで参ります。 ~地域の先生から~ 田中医院 院長 田中 正彦 当院は朝日町に開業して60年近くになり ます。その間近隣の皆様のお役に立つよう 努めてまいりました。私が引き継いで、主な 診療を行うようになって10数年になりま す。やはり、地域住民の皆様に信頼される、 かかりつけ医を目標に日々努めているつもり であります。 私の出身は長野県の阿智村という無医村 で、いつも医師のいない部落を回る医師の父 を見て育ちました。当然将来の目標は医師の いない部落で医療の提供ができる医師になる ことでした。しかし、縁あって川口市での医療に提わることになりました。 その中で、私が目標とした医療としての一端が川口市では今のところ在宅医療ではな いかと思い、通常の外来診療に加え、積極的に在宅医療を考慮するようになってきまし た。この在宅医療に関しては、病診連携として基幹病院である川口市立医療センターは 必要不可欠な存在です。医療センターの各科の先生方にはいつもお世話になっており大 変感謝しております。 特に最近は、病診予約で診療をお願いした場合必ず確認の連絡を頂くことができて安 心して患者様に受診して頂いております。 今回このような機会を頂いて医療センターの皆様にお願いすることは、お忙しい職務 の中で大変とは思いますが、可能な限り紹介させて頂いた患者様の定期的な病状報告を 頂けると幸いです。紹介させて頂いた患者様が受診された連絡も大切です。そして、そ の後の経過については、特に長期になる患者様の場合は定期的に状況を教えて頂ける と、自身の勉強にもなりますし、もしその患者様の家族が受診した場合などの対忚にも 役立ちますので、地域のかかりつけ医としてそれは大切な情報と思い是非お願いしたい と思います。 今後ますます高齢化が進み、在宅 医療を含めた双方向の医療連携が重 要になると思われます。いろいろと お手数をおかけすると思いますが、 これからも宜しくお願いいたしま す。 ~地域の施設から~ 訪問看護ステーションひだまりの郷 所長 山田 由美子 訪問看護ステーションひだまりの郷は、平成12年介護保険ス タートと同時に名称変更し、それ以前は病院の在宅看護として、 平成2年から訪問看護をしています。 母体の上靑木中央醫院は3割、7割は外部で42ヶ所の病院や 診療所から指示書を頂いております。 利用者数は現在127名で、神経難病や末期癌、人工呼吸器等 の医療保険での訪問看護は2~3割です。 スタッフは常勤・非常勤合わせて11人で事務員が1人おりま す。 母体の上靑木中央醫院は、訪問診療と介護療養型老人保健施設があります。有限会社 ティー・ケイ・オーとして、介護支援センター・ホームヘルプサービス・ディサービス センター・上青木地域包括支援センター・訪問看護の事業を行っております。 今年は、介護保険制度改正、介護報酬、診療報酬改定があります。当グループでも、 出遅れないよう話し合いをしているところです。 今後も医療センターが中心的な役割を果たし、私共も地域の皆様に少しでもお役に立 てるような活動をしていきたいと思っております。 ~医療センターから~ ☆地域連携推進懇話会の開催について 昨年11/10に開催いたしました第2回地域連携推進懇話会には多数の方々にご 参加いただき、誠にありがとうございました。 平成24年度につきましては下記のとおり、春と秋の2回の開催を予定しておりま す。ご多忙とは存じますが、奮ってご参加下さいますようお願い申し上げます。 ◎第3回地域連携推進懇話会 開催日時 平成24年 6月28日(木) 午後7時~ 内 容 「緩和医療関係について(仮)」 場 所 当センター 3階 講堂 ◎第4回地域連携推進懇話会 開催日時 平成24年11月29日(木) 内 容 未 定 場 所 当センター 3階 講堂 午後7時~(予定) ※なお詳細につきましては、後日改めてご通知させて頂きます。 ☆ クリスマスコンサートを開催しました! 去年12月19日(月)、午後5時より、当センター 1階 正面ホールにて、恒例の「クリスマスコンサート」を開催しま した。 ボランティアの方や職員による合唱や演奏が披露され、入院 患者さんやご来院された方を含め、総勢200人を超える方々 に、楽しいひと時をお過ごし頂きました。 編集後記 新年明けましておめでとうございます。 先日、今年の初冠雪を記録し、首都圏でも積雪が観測されました。 普段から雪に慣れていない私たちはあの位の積雪でも大パニックとなってし まい、日頃からの心がけと備えの大切さを痛感しました。 きびしい寒さはもうしばらくは続きそうです。健康管理にはご注意下さい。 本年もよろしくお願いいたします。(総合相談室一同) 川口市立医療センター 発行:総合相談室 発行責任者 山南 貞夫 〒333-0833 川口市西新井宿180番地 電 話 048-287-2525(代) 内線 2125・2126・2127 内線 2138 (病診連携) 048-280-1565(病診予約直通) FAX 048-280-2525 E-mail [email protected]