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第2章 我が国の光レク ジェーションに関わる森林管理施策の向
第2章 第2章 我 が 国 の 観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン に 関 わ る 森 林 管 理 施 策 の 動 向 で は 、 わ が 国 で 、 ① 森 林 計 画 制 度 に お け る利 用 を 直 接 的 に 意 識 し 、 ② 現 場 の 森 林 計 画 担 当 者 の 裁 量 の 自 由 度 が 高 い 方 法 で 、 ③ 既 存 観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン情 報 デ ー タ ベ ー ス の 利 用 が 可 能 で 新 規 の 情 報 収 集 が 必 要 な い な ど簡 便 さ を 強 く意 識 した 観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン に 関 わ る施 策 が 、 これ ま で ほ と ん ど 見 られ な か っ た こ と を 示 す た め の 近 代 林 野 施 策 の歴 史 的 時 系 列 分 析(明 治 ∼20世 紀 の 終 わ り ま で)を 行 う。 構 成 と して は 、 ま ず は じめ に森 林 管 理 施 策 の 動 向 を 考 察 す る た め の 前 提 知 識 を整 理 す る 意 味 合 い か ら、 国 土 利 用 の 観 点 か ら我 が 国 の 森 林 の 観 光 レ ク リエ ー シ ョン 管 理 の 体 系 を概 括 的 に 整 理 す る 。 つ ま り、 我 が 国 の 土 地 利 用 計 画 制 度 につ い て 概 括 し、 そ の 土 地 利 用 体 系 に お け る 森 林 計 画 の 特 性 を 整 理 し、 さ らに 森 林 計 画 に お け る機 能 評 価 の 特 徴 を 取 りま と め る。そ し て 、森 林 の機 能 評 価 に お け る 観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン の 位 置 づ け に つ い て 考 察 す る。 続 い て 、 明 治 期 以 降 の 我 が 国 に お け る観 光 レ ク リエ ー シ ョン の た め の 森 林 管 理 の 行 政 施 策 の 動 向 を と りま と め 、 我 が 国 の 森 林 管 理 に お け る観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン の 位 置 づ け の 歴 史 的 変 遷 に つ い て 考 察 を 行 う。 そ して そ の 結 果 を受 け て 、 わ が 国 の 林 野 行 政 に お い て は 、 観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン の た め の 森 林 整 備 を 森 林 計 画 制 度 の 中 で 体 系 立 て て 推 進 して い く観 点 が 強 く な か っ た こ とを 指 摘 す る。 2-1土 (1)我 地 利 用 計 画 制 度 と観 光 レ ク リ エ ー シ ョ ン 管 理 の た め の 森 林 計 画 が 国 の 土 地 利 用 計 画 制度 の概 要 観 光 レク リエ ー シ ョン 活 動 と森 林 との 関 わ り合 い を 考 慮 した 森 林 管 理 を 行 うに あ た っ て は 、 森 林 計 画 制 度 が1つ の重 要 な 役 割 を担 っ て い る。 森 林 計 画 制 度 とは 、 一 言 で い え ば 、 森 林 法 に 基 づ き 、 国 や 都 道 府 県 、 市 町 村 、 森 林 所 有 者 な ど が 、計 画 的 に 森 林 整 備 を 行 うた め の 一 連 の 体 系 で あ る。も う少 し詳 し く定 義 す る と 、 森 林 計画 制度 とは 「 長 期 的 視 点 に 立 っ て 、 森 林 資 源 の 保 続 培 養 と森 林 生 産 力 の 増 大 を 図 り な が ら森 林 の 多 面 的 機 能 が 十 分 に 発 揮 され る よ うに 森 林 の 施 業 を 計 画 的 か つ 合 理 的 に 行 う た め の 制 度 」 で あ る(森 林 ・林 業 ・木 材 辞 典 編 集 委 員 会1993)。 そ して 、 「 適 正 な森 林施 業 を確 保 す る た め 、 森 林 法 な ど関係 法 令 に基 づ い て 全 国 の 森 林 に つ い て 『全 国 森 林 計 画 』 が 樹 立 され る。 国 有 林 で は 『経 営 基 本 計 画 』、 『地 域 別 の 森 林 計 画 』 が 樹 立 され 、 民 有 林 に つ い て は 『地 域 森 林 計 画 』 が た て られ る ほ か 、 市 町 村 が た て る 『森 林 整 備 計 画 』、 個 々 の 森 林 に 対 す る 計 画 と して 『森 林 施 業 計 画 』 の 制 度 」 が 設 け られ て い る(森 林 ・林 業 ・木 材 辞 典 編 集 委 員 会1993)(図2-1)。 こ の よ うに 定 義 され る森 林 計 画 で あ る が 、 森 林 計 画 制 度 自体 は 、 国 土 利 用 計 画 法 に お け る 土 地 利 用 基 本 計 画 に 基 づ い て い る。 我 が 国 に お け る 土 地 利 用 に 関 す る 法 令 の 中 で も核 に な る 法 律 が 、1974(昭 和49)年 に 制 定 され た 国 土 利 用 計 画 法 で あ る。 国 土 利 用 計 画 法 は 、 ① 国土利 用 計 画及 び 土地 利 用基 本計 画 の策 定 、② 土 地取 引 の規制 、③ 遊休 土地 に 関す る措 置 な どを 規 定 し 、 投 機 的 土 地 取 引及 び 地 価 高 騰 が 国 民 生 活 に 及 ぼ す 弊 害 を 除 去 す る と と も に 、 乱 開 発 の 未 然 防 止 と遊 休 土 地 の 有 効 利 用 の 促 進 を 通 じて 、 総 合 的 か つ 計 画 的 な 国 土 の 利 用 を 図 る こ と を 目的 と した 法 律 で あ る。 森 林 法 に 基 づ く森 林 計 画 区 域 は 、 こ の 国 土 利 用 図2-1森 計 画 法 第9条 林計 画制 度 の体 系図 の 土 地 利 用 基 本 計 画 に位 置 づ け られ る 。 よ り詳 し く述 べ る と、 土 地 利 用 基 本 計 画 に よ っ て 、 我 が 国 の 土 地 は 、 都 市 地 域 、 農 業 地 域 、 森 林 地 域 、 自然 公 園 地 域 、 自然 保 全 地 域 の5種 類 に 分 類 され 、地 域 別 の 土 地 利 用 基 本 法 が 図2-2の よ う に定 め られ て お り、 各 々 都 市 計 画 法 、 農 業 振 興 地 域 の整 備 に 関 す る 法 律 、 森 林 法 、 自 然 公 園 法 、 自然 環 境 保 全 法 と い う個 別 法 規 に則 っ て 管 理 が 行 わ れ て い る ま た 、 各 地 域 に 対 応 す る各 々 の 個 別 法 に は 、 そ れ ぞ れ 「 都 市 計 画 」、 「 農 振 地 域 計 画 」、 「 森 林 計 画 」、 「自然 公 園 計 画 」、 「 保 全 地 域 の 保 全 計 画 」 とい う計 画 制 度 が 付 随 し て い る 。 図2-2国 土 利 用計 画 の 体 系 そ して そ れ らの 計 画 制 度 は 、 法 律 の 主 旨 な どが 違 う こ と に よ り、 計 画 対 象 地 域 の 設 定 方 法 に 相 違 を 見 る こ とが 出 来 る。 そ れ ら5種 類 の 土 地 利 用 計 画 地 域 の 特 徴 を 比 較 す る と、 以 下 の よ う に類 型 化 が 可 能 で あ る。 は じめ に 対 象 地 域 内 の 土 地 利 用 の 均 質 性 に つ い て み る と、都 市 計 画 区 域 、自然 公 園 区 域 、 自然 保 全 地 域 の グ ル ー プ と 、 農 振 地 域 、 森 林 計 画 区域 の グル ー プ に 分 け る こ と が で き る 。 前 者 で は 、 住 宅 地 、 森 林 、 草 地 、 河 川 な ど地 域 内 に ヘ テ ロ な 土 地 利 用 の 状 況 が 見 られ る こ とが 原 則 で あ る 一 方 、後 者 で は 、原 則 と して 農 振 地 域 で は 農 地 、森 林 計 画 区 域 で は 森 林 と、 均 質 で あ る 土 地 利 用 をそ も そ も 対 象 と し て い る とい う点 に 特 徴 が あ る。 上 記 と 関 連 し て 、 ヘ テ ロ な 土 地 利 用 を 包 含 可 能 で あ る た め 、 都 市 計 画 区 域 、 自然 公 園 区 域 、 自然 保 全 地 域 で は 、 原 則 と して 地 理 的 に 連 続 した 区 域 を 一 体 的 に 計 画 地 域 と し て 指 定 可 能 な 一 方 で 、 農 振 地 域 お よ び 森 林 計 画 区 域 で は 、 指 定 地 域 内 に農 地 あ る い は 林 地 で は な い 他 の 地 目 の 土 地 を原 則 と して含 ま な い た め 、 地 理 的 に 連 続 せ ず に 、 虫食 い 状 も し くは 飛 び 飛 び の 土 地 を 一 つ の 区 域 とす る こ と が 少 な く な い 。 ま た 、 別 な観 点 か ら見 る と、 農 振 地 域 で は 、 指 定 地 域 内 で 農 業 と い う産 業 が 営 ま れ る た め 、 産 業 に 直 結 して い る こ と が 前 提 で あ る が 、 他 の 指 定 地 域 で は必 ず し も産 業 と指 定 地 域 と の 明 確 な 対 応 関 係 が あ る わ け で は な い 。 森 林 地 域 も基 本 的 に は 林 業 の た め の 計 画 区域 と い う意 味 合 い が 強 い も の の 、 水 源 の 酒 養 や 生 物 多 様 性 の 保 全 な ど、 生 業 と離 れ た 森 林 管 理 が 行 わ れ て い る 場 所 が 少 な くな い 。 ま た 観 光 レク リエ ー シ ョン 面 か ら、 各 区 域 の 土 地 利 用 を 考 え る と、 自然 保 護 な どの た め に 人 の 立 ち 入 りが 制 限 され て い る 自 然 保 全 区 域 内 の 一 部 な ど を例 外 と して 、 す べ て の 区 域 内 で 観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン活 動 が 行 わ れ る 可 能 性 が 想 定 で き る。 (2)我 が 国 の 土 地 利 用 体 系 に お け る森 林 計 画 の特 性 以 上 の 様 な 特 性 を踏 ま え て 各 々 の 土 地 利 用 を 図 式 化 す る と図2-3の 様 に整 理 が 可 能 で あ る。 そ の 中 で も 、 森 林 計 画 区 域 の 特 性 と し て は 、 ① 対 象 が原 則 と し て 森 林 に 限 定 され て い る た め 、 ② 計 画 対 象 区 域 が飛 び 地 状 に 分 散 す る 場 合 が 少 な く な い が 、 こ の よ うな 状 況 に あ っ て も 、 ③ 農 振 地 域 な ど の様 に 、 そ こで 必 ず 第 一 次 産 業 が行 わ れ る か とい う とそ う と も い えず 、 区域 内 に は 自然 保 全 や 水 土 防 災 、 観 光 レ ク リエ ー シ ョン 、 伝 統 文 化 機 能 の 保 全 な ど多 面 的 な 管 理 目的 が 混 在 して い る。 ま た 、 ④ 観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン とい う側 面 か ら考 え た場 合 に は 、 森 林 計 画 区 域 内 は も と よ り、 隣 接 す る他 の 計 画 区 域 で も観 光 レク リエ ー シ ョ ン活 動 が 行 わ れ る こ とが 想 定 され る た め 、 森 林 計 画 対 象 区 域 内 は も と よ り区 域 外 で あ っ た と し て も背 景 と して の観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン の た め の森 林 管 理 が 重 要 で あ る 場 合 が 少 な く な い こ と が 挙 げ られ る。 こ の 様 な 森 林 地 域 の 特 徴 は 、 森 林 計 画 に お い て 観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン を 考 え る 際 に 重 要 な 要 件 と な る 。 つ ま り、 地 理 的 に分 断 され て い る森 林 と い う土 地 利 用 を 、 観 光 レ ク リエ ー シ ョン を含 め た 多 面 的 機 能 も考 慮 に 入 れ て 、 か つ 周 囲 の 観 光 レ ク リエ ー シ ョン 状 況 も考 慮 す る 必 要 が あ る。 こ の こ とは 、 序 章 か ら指 摘 して い る とお り、 直 接 森 林 に 関 わ りが 深 く な 図2-3我 が国の 土地利用 区域の特徴 に関する比較 マトリクス い観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン活 動 で あ っ て も 、 森 林 管 理 を行 う に 当 た っ て は 考 慮 に 値 す る と い う内 容 を裏 付 け て い る。 (3)森 林 計 画 に お け る機 能 評 価 の 特 徴 お よ び 森 林 の 機 能 評 価 に お け る 観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン の 位 置 づ け 森 林 計 画 は 、上 記 の よ うな 特 性 を持 つ 訳 で あ る が 、現 行 の 森 林 計 画 に お け る機 能 評 価 は 、 図2-4の 上 半 分 に 例 示 した とお り、 あ る 特 定 の 森 林(数 十 あ る い は 数 百ha林 班 あ る い は 森 林 団 地)の 内 部 を 評 価 す る こ と が 一 般 的 で あ っ た 。 そ して 、 水 源 酒 養 機 能 、 水 土 保 全 機 能 、 木 材 生 産 機 能 な ど と比 較 して 保 健 休 養 機 能 の 重 要 性 が 高 けれ ば 、 そ の 森 林 は 保 健 休 養 機 能 が 高 い 森 林 と位 置 づ け る と して い た 。 そ の 場 合 、 た と え あ る 森 林 の 保 健 休 養 機 能 が 、 比 較 的 高 い と判 定 され た 場 合 で も、 そ れ 以 上 に 他 の 機 能 が 重 要 だ と判 定 され た 場 合 に は 、 該 当森 林 は 保 健 休 養 機 能 が 重 要 な 森 林 と見 な され な い 仕 組 み に な っ て い る の で あ る( 興梠2003)。 つ ま り、 現 行 の機 能 評 価 法 は 、 森 林 は 多 面 的 機 能 を 持 つ と認 識 しな が ら、 そ の 一 方 で 、 森 林 計 画 制 度 に お け る機 能 評 価 の 結 果 、 行 政 上 は 一 つ の 森 林 に 単 一 の 機 能 を 割 り 当 て る と い う手 法 を と っ て い る訳 で あ る 。 そ の よ う な 単 一 化 の 理 由 と し て 、 「 整 備 対象 とな る森林 が1つ で あ る 限 り、 複 数 の 機 能 を前 提 とす る 森 林 の 整 備 目標 は 、 極 端 な 場 合 、 中 間 色 的 な も の とな りや す く、 森 林 の整 備 目標 が 本 質 を 見 失 っ た も の に な る 危 険 が あ る こ と 、 又 機 能 別 森 林 施 業 に 類 似 性 を有 す る もの が あ る こ と等 を考 慮 し 、 複 数 の 機 能 の うち 最 も重 要 な 機 能 に 絞 っ て(機 能 的 総 合 評 価)対 応 を す る の が 望 ま しい と考 え られ る か らで あ る。(林 野 庁1 998)」 とい う見 解 が 述 べ られ て い る。 しか し、 先 に 述 べ た我 が 国 の 土 地 利 用 計 画 体 制 、 そ して そ の 中 の 森 林 地 域 の 土 地 利 用 特 性 を 考 え た 場 合 に は 、 図2-4の 下 半 分 に 示 した とお り、 ラ ン ドス ケ ー プ レベ ル で 、 周 囲 の 土 地 利 用 状 況 も考 慮 し な が ら、地 域 の 中 で 対 象 とな る森 林 が ど の よ うな位 置 づ け に あ り、 持 続 可 能 な 森 林 管 理 を行 うた め に は どの よ う な森 林 管 理 を行 うか を 考 え る べ き で あ る。 そ して 観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン の た め の 森 林 管 理 に つ い て も 、 そ の よ うな 一 連 の 流 れ の 中 で 、 そ の 役 割 を 考 え て い く必 要 が あ る と考 え られ る。 2-2我 が 国 の 観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン に 係 わ る 森 林 管 理 施 策 の 歴 史 的 推 移 上 述 の とお り、 我 が 国 に お い て 将 来 的 に 森 林 を 計 画 的 に 管 理 す る た め に は 、 森 林 団 地 な ど特 定 の 森 林 の み を み た 森 林 の 機 能 評 価 か ら、 ラ ン ドス ケ ー プ 管 理 を 取 り入 れ て 、 周 囲 の 土 地 利 用 の 状 況 な ど を 考 慮 した 評 価 を 行 っ た 上 で の 管 理 に 移 行 す る こ とが 重 要 で あ る 。 そ して 観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン機 能 に そ の 話 題 を絞 っ た 場 合 に も 、 同 様 の こ とが 指 摘 可 能 で あ る。 つ ま り、 周 囲 の 観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン構 造 や 、 ラ ン ドス ケ ー プ あ る い は 土 地 利 用 状 況 を 考 慮 に 入 れ た 森 林 管 理 が 必 要 に な る と考 え られ る 。 こ の 点 の 検 討 に つ い て は 第5章 で改 め て 行 うが 、 そ の 前 に 我 が 国 の 観 光 レ ク リエ ー シ ョン に 関 わ る 森 林 管 理 施 策 の歴 史 的 推 移 を本 章 で検 討 して お き た い 。 そ の 理 由 は 、 我 が 国 で 観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン に 関 わ る 森 林 管 理 施 策 が 歴 史 的 に ど の よ うに 展 開 され て き た の で あ ろ うか と言 う疑 問 に 対 し、 総 括 的 に 考 察 を 行 っ た 研 究 事 例 が 我 が 国 で は 不 足 して い る 。 しか し な が ら、 過 去 との 整 合 性 を と も な 図2-4特 定 の 森林 のみ を見 た 森 林 の 機 能 評価 か らランドスケ ープ 管 理 を取 り入 れ た評 価 へ っ た 観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン の た め の 森 林 管 理 計 画 を考 え る た め に は 、 こ の 点 の 検 討 が 不 可 欠 で あ る と考 え られ る か らで あ る。 そ の た め 、 以 下 で は 、 特 に 明 治 以 降 の 近 代 化 の 中 に お け る19世 紀 後 半 か ら20世 紀 の観 光 レ ク リエ ー シ ョ ンの た め の 森 林 管 理 施 策 を 時 系 列 的 に 取 り纏 め 、 考 察 を行 う こ と に し た。 我 が 国 の 一 般 的 な 余 暇 意 識 を 歴 史 的 に 見 る と 、 「我 が 国 で は 古 来 よ り生 活 倫 理 と して の 非 常 に厳 し い 労 働 優 先 の 思 想 の も とで 、 余 暇 は 全 面 的 に こ の 労 働 を 支 え る も の と して と ら え られ て き た 」 とい わ れ て い る(ラ ッ ク 計 画 研 究 所1975)。 そ こ に は 「 遊 び の 本 質 と して の 個 人的 自由や 主 体 的意 識 は た とえ存 在 して い た と して も きわ め て希 薄 な も ので しか な く、 伊 勢 参 りな どの 信 仰 的 な 結 び つ き や 、 湯 治 な ど 労 働 に 供 さ れ た 身 体 を癒 す な ど の 大 義 名 分 の 上 で 初 め て 正 当 化 され る 風 潮 が 長 く続 き 」(ラ ッ ク 計 画 研 究 所1975)、 そ の 考 え方 は 現 代 に な っ て も 日本 人 の 余 暇 意 識 に 大 き く影 響 して い る と考 え られ る。 しか し一 方 で 、 我 が 国 に は 、 中 世 の 時 代 か ら 「国 飾 り林 」 と 呼 ば れ 、 外 国 へ 威 信 を 示 す た め に 風 致 林 が 整 え られ て い っ た と い う事 実 も あ る とお り(仰 木1978)、 観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン的 な 観 点 か ら森 林 を管 理 す る とい う発 想 が 、 か な り昔 か ら 見 られ て い た こ と も 事 実 で ある。 我 が 国 に お い て 大 衆 の 野 外 レク リエ 散 シ ョン 活 動 が 活 発 に な っ て き た の は 、 江 戸 幕 府 の も と で 社 会 が 安 定 し 、 商 品 経 済 の 浸 透 に よ り城 下 町 の 人 口 が 稠 密 化 して き た17世 紀 後 半 以 降 で あ る と い わ れ て い る。 こ の 時 期 を 境 に 町 人 層 に 、 漫 遊 や 物 見 遊 山 と呼 ば れ る観 光 活 動 や 、 季 節 ご との 行 楽 ・気 延 を楽 しむ 経 済 的 ・時 間 的 余 裕 が 生 ま れ 、 神 社 境 内 ・名 所 ・旧跡 ・景 勝 地 な どが 野 外 レ ク リエ ー シ ョ ン の 場 所 と して 使 わ れ る よ うに な っ た(高 木1983) 。 例 え ば 、1716年 に 品 川 御 殿 山 、 中 野 桃 園 、 飛 鳥 山 、 墨 田堤 が 、 徳 川 吉 宗 の 命 に よ り、 江 戸 幕 府 に よ っ て 開 放 され て い る(高 木1983,小 野1988)。 た だ し、 我 が 国 に お い て 、 国 土 ス ケ ー ル で シ ス テ マ テ ィ ッ ク に 森 林 管 理 が 行 わ れ る よ う に な っ た の は 、 近 代 、 つ ま りは 明 治 時 代 に 入 っ て か らの こ とで あ る。 本 項 で は 、 そ の 明 治 の 幕 開 け 以 降 、20世 紀 の 終 わ り ま で の 森 林 管 理 施 策 の 推 移 につ い て 、 香 田(2000)が 取 りま と め た 「日本 近 代 林 政 年 表 」 を 基 本 と して 、 森 林 の観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン施 策 に 関 わ る既 存 の 歴 史 的 研 究(村 瀬1990-2、 宮 林1992、 日本 興 業 銀 行1992、 宮 林1993-2、 金 ・永 田1996、 大 浦1998、 八 巻1999、 西 田 ・市 原1999、 山 下1981、 林 野 庁 治 山 課1989)を 参 考 に 、時 系列 的 に と り と め 、 我 が 国 の観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン に 対 す る森 林 施 策 の 展 開 に 関 す る 考 察 を行 っ た。 な お 、 調 査 を と りま と め た 結 果 、1960年 代 と1970年 代 を境 に 、 わ が 国 に お け る観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン に 関 す る林 野 施 策 の 内 容 が 著 し く増 加 した こ とが 明 らか に な っ た 。そ の た め 、 編 集 上 の 都 合 か ら、1960年 代 ま で の 観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン施 策 の 展 開 期 以 前 の 時 代 と、19 70年 代 以 降 の 観 光 レ ク リエ ー シ ョン 施 策 の 展 開 期 以 降 の 時 代 とで 、 若 干 項 目立 て を か え て 記 述 を行 う こ と と した 。 (1)明 a明 治 期 以 降 の 観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン に 係 わ る森 林 管 理 施 策 の 歴 史 的 推 移 治 期 か ら1960年 代 に か け て の 森 林 管 理 施 策 の動 向 (観 光 レ ク リ エ ー シ ョ ン 施 策 の 展 開 期 以 前) 1)明 治 期 の動 向 ∼近 代 的 森 林 管 理 の幕 開 け ∼ 1868(明 治 元)年 に 明 治 維 新 政 府 が 成 立 し、 同 年 に 太 政 官 布 達 「 明治 御 法度 書 」 とい う 44箇 条 か らな る 維 新 後 の 山 林 に 関 す る最 初 の 規 定 が 設 け られ た こ とに よ り、 我 が 国 の 近 代 的 森 林 管 理 が 幕 開 け した 。 そ して 、1869(明 治2)年 に は 、 版 籍 奉 還 に も とづ き 江 戸 時 代 に幕 藩 有 林 と され て い た 森 林 が 、 明 治 政 府 所 有 の 「官 林 」 と な る と と も に 、 翌1870(明 治3)年 に は 、 「社 寺 上 地 の布 告 」 に よ り藩 政 時 代 の 社 寺 領 が 官 有 とな っ た。 この 版 籍 奉 還 と社 寺 上 地 に よ り、 我 が 国における 「 官 林 」 の 骨 格 が 形 成 され た 。 さ ら に 、 世 界 最 初 の 国 立 公 園 で あ る イ エ ロー ス トー ン 国 立 公 園 が ア メ リカ で 設 定 さ れ た の と 同 じ1872(明 治4)年 、我 が 国 では 太政 官布 告に より 「 神 社 仏 閣 女 人 結 界 ノ場 所 ヲ廃 シ 登 山 参 詣 随 意 トス 」 と され 、 登 山 参 詣 に お け る 女 人 禁 制 が 解 か れ た 。 こ の よ うに して 、 我 が 国 で は 、 明 治 の 初 期 の段 階 に お い て 森 林 管 理 の 近 代 的 シ ス テ ム が 整 え られ る と と も に 、 森 林 の余 暇 的 利 用 に 関 わ る 条 件 が 徐 々 に 整 え ら れ て い った。 こ の 時 期 は 森 林 管 理 に 限 らず 、 我 が 国 に近 代 的 な 欧 米 の 制 度 や シ ス テ ム が 、 多 く取 り入 れ られ た 時 期 で あ り、我 が 国 の 余 暇 に 関 わ る部 分 で も大 き な 変 革 が 行 わ れ て い る 。例 え ば 、 1873(明 治6)年 、太 政官 布 告 「 年 中 祭 日祝 日 ノ休 暇 日 ヲ定 ム 」 が 公 布 さ れ 、 祝 祭 日が 休 日 と な り、 時 間 的 余 暇 が 法 律 に 基 づ き 担 保 され る一 方 で 、 同 年 に は 太 政 官 布 告 第16号 「 公 園 設 置 ニ 関 ス ル 件 」 に よ り 「官 有 地 公 園 」 が 制 度 化 され 、 余 暇 空 間 が 公 的 に 整 え られ る よ うに な っ た 。 当 時 の 官 有 地 公 園 に は 、 都 市 域 の 社 寺 地 や 行 楽 地 の ほ か 、 松 島 ・養 老 ・嵐 山 ・箕 面 ・天 橋 立 ・吉 野 ・奈 良 ・舞 子 ・厳 島 な ど、 現 在 の 都 市 公 園 制 度 と は 若 干 異 な る 優 れ た 天 然 林 が 、 自 然 タ イ プ の 景 勝 地 と し て公 園 に指 定 され て い る こ と に 特 徴 が あ っ た 。 ま た 明 治 期 は 、 外 国 人 に よ り、 我 が 国 の 観 光 レ ク リエ ー・ シ ョ ン の 概 念 ・価 値 が 拡 大 され た と と も に 、彼 らが 日本 国 内 で 新 た な観 光 レ ク リエ ー シ ョン を発 見 した 時 期 で も あ る。 例 え ば 、1878(明 治11)年 、 英 国 人 ガ ー ラ ン トが 、 外 国 人 と して初 め て 槍 ヶ 岳 を 登 山 し、 飛 騨 山 脈 をJapanese Alpsと 命 名 した 。 ま た 、1887(明 治20)年 に は 、 帝 国 医 科 大 学 雇 教 師 ベ ル ツ博 士 「皇 国 の 規 範 とな る べ き 一 大 温 泉 場 設 立 意 見 書 」 を提 出 し、 こ れ を き っ か け に 帝 室 に て 公 衆 用 の 規 範 温 泉 場 の 設 置 が 決 議 され る に 至 っ た 。 さ ら に 、1889(明 治22)年 に は 、 英 国 人 宣 教 師 ・登 山 家 の ウ ォ ル タ ー ・ウエ ス トン が 初 来 日 し 、 布 教 の 傍 ら 白馬 ・立 山 等 を 踏 破 した 。 ウエ ス トン は 、1896(明 治29)年 に 「日本 ア ル プ ス の 登 山 と探 検 」 を刊 行 し 、 そ の 著 作 は 、 登 山 を は じ め とす る 後 の 我 が 国 の観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン 活 動 に 多 大 な 影 響 を 与 え た 。 例 え ば 、1902(明 治35)年 、 「日本 山 水 論 」 の 著 者 で あ る小 島 烏 水 や 岡 野 金 次 郎 が 槍 ヶ 岳 に 登 頂 す る な ど、 我 が 国 に ア ル ピ ニ ズ ム が 起 こ り、1905(明 治38)年 紹 介 した と お り、1897(明 に烏 水 らに よ り 「 山 岳 会 」 が 結 成 され て い る 。 そ して 、 序 章 で も 治30)年 に 山 林 局 長 とな っ た 志 賀 重 昂 に よ り、 自然 科 学 的 観 点 か ら我 が 国 の 風 景 を 語 っ た 「日本 風 景 論 」 が 、1894(明 ま た 、1890年 代 は 、 欧 米 で は1891(明 指 定 され た り、1895(明 治28)年 治24)年 治27)年 に 刊 行 され て い る。 に 米 国 最 初 の 国 有 林(Forest Reserve)が に イ ギ リス で ナ シ ョナ ル トラ ス トが 発 足 す る な ど、 世 界 的 に 見 て も森 林 や 自然 地 域 を保 全 す る た め の 仕 組 み が 整 え られ て い っ た 時 期 で あ る が 、 我 が 国 に お い て も そ れ は例 外 で は な か っ た。 例 え ば 、 我 が 国 で は 、1895(明 猟 法 」、1897(明 治30)年 治28)年 に 「 狩 には 「 古 社 寺 保 存 法 」 が 公 布 され る な ど 、 林 内 の 鳥 獣 の 扱 い や 文 化 財 と し て の 屋 外 空 間 の保 全 に か か わ る法 律 が 制 定 され て い る。 し か し、 林 野 行 政 とい う側 面 か ら考 え た 場 合 、1897(明 治30)年 に 「 森 林 法 」 が制 定 さ れ た こ と が も っ と も 大 き な 出 来 事 で あ っ た 。 同 法 は 、 営 林 の 監 督 を 行 う と と も に 、保 安 林 制 度 、 警 察 制 度 、 山林 犯 罪 の 罰 則 に 重 点 を 置 い た 法 律 で あ っ た 。 そ して 、 同 法 の 制 定 に 伴 い 創 設 され た保 安 林 制 度 に よ り、 風 致 保 安 林 ・公 衆 衛 生 林(後 の 保 健 保 安 林)が 制 定 され た 。 風 致 保 安 林 は 旧藩 時 代 か らの 風 致 林 を 禁 伐 に よ り保 護 す る こ と を 目的 と して 設 け られ た 保 安 林 で 、 現 在 の 風 致 保 安 林 と さ ほ ど設 立 趣 旨 が 大 き く異 な る とは い え な い 一 方 で 、 当 時 の 公 衆 衛 生 林 は 、 保 健 休 養 機 能 の 保 全 とい う趣 旨 は 、 現 在 ほ ど強 く な く、 森 林 に よ る気 象 条 件 の 緩 和 、 塵 埃 ・煤 煙 等 の 濾 過 に よ る公 衆 衛 生 を 維 持 す る こ とが 目的 で 制 定 され た 。 ま た 、 こ の 時 期 、1889(明 治22)年 に は 御 料 林 制 度 が 誕 生 した 。 そ し て 、1899(明 治32) 年 に は 、 「国 有 林 野 法 」 が 公 布 され 、 国 有 林 の 森 林 管 理 体 系 が 法 的 に整 え られ て い る 。 「 森 林 法 」 は 、 制 定 後 し ば ら く た っ た1907(明 治40)年 に 、 全 改 公 布 され る こ と とな っ た 。 そ し て 、 林 業 の 産 業 上 の 重 要 性 に 鑑 み て 、 監 督 取 締 に か か わ る用 件 を 強 め た こ と に加 え て 、 森 林 組 合 制 度(造 林 組 合 ・施 業 組 合 ・保 護 組 合 ・土 工 組 合)を 明 文 化 す る な ど、 産 業 助 長 法 規 と して の 性 格 を 付 加 し た。 つ ま り、 森 林 法 は 木 材 生 産 の た め に 森 林 を 開 発 し、 林業 に よ る国益 の増 進 を 図 るた めの法 律 に な った とい える。加 えて 、公 有 林 につ い て も、 1889(明 治22)年 の 町 村 合 併 を 経 て 、1910(明 治43年)に は公 有 林 野整 理 統一 事 業 が開始 され る と と もに 公 有 林 や 造 林 奨 励 規 則 が 定 め られ て い る。 そ の 結 果 、 森 林 に 対 す る観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン機 能 は 、 森 林 管 理 と い う林 野 行 政 面 か ら は 、 木 材 生 産 よ りは 格 下 の 、 付 加 的 な 位 置 づ け と な っ た 。 そ して 、 こ の位 置 づ け は 、 後 に 徐 々 に 向 上 す る と い う傾 向 を た ど る の で は あ る が 、 総 論 的 に言 え ば 、 林 野 行 政 の 中 で 主 体 的 な 目的 と し て観 光 レ ク リエ ー シ ョン 施 策 が 展 開 され た 米 国 な ど と異 な り、 我 が 国 の 森 林 観 光 レ ク リエ ー シ ョン施 策 の 展 開 は 、 ご く最 近 ま で 非 主 体 的 な 道 を歩 む よ うに な っ た と考 え られ る。 な お 、1907(明 治40)年 に は、農 商務 省 は訓令 「 森 林 法 施 行 手 続 」 を発 布 し、 保 安 林 を 土砂 拝止 林 、飛 砂 防止 林 、水 害 防備 林 、防 風林 、潮 害防備 林 、頽 雪防 止林 、墜石 防止林 、 水 源 酒 養 林 、 魚 附 林 、 目標 林 、 衛 生 林 、 風 致 林 の12種 に 区 分 し直 し て い る 。 そ の うち の 風 致 林 が 風 致 保 安 林 に 、 ま た 衛 生 林 が 後 の 保 健 保 安 林 に 相 当 す る。 以 上 の 通 り、 明 治 時 代 に は 、 近 代 的 森 林 管 理 が 幕 開 け し た の で は あ る が 、 森 林 観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン に 関 し て 言 え ば 、 明 治 期 後 半 に 、 林 野 施 策 の 中 で は 、 木 材 生 産 の 副 次 的 位 置 づ け に 定 め られ た 感 が あ っ た 。 た だ 皮 肉 に も 同 じ時 期 に は 、我 が 国 に お け る 山 岳 レ ク リエ ー シ ョン 等 の 気 運 の 高 ま りに伴 い 、 一 般 の 人 か ら見 る と森 林 地 域 は 以 前 に も増 して 観 光 レ ク リエ ー シ ョン の 対 象 と し て の 重 要 性 を増 し て い っ た 。 そ の重 要 性 に つ い て は 、 上 述 の 事 例 に 加 え 、 例 え ば 、1908(明 建 設 され 、1910(明 1911(明 治44)年 治43)年 治41)年 に は 、 平 野 長 蔵 に よ り尾 瀬 の 尻 沼 に 「 長 蔵 小屋 」 が に は 、小 島 烏 水 に よ る 「日本 ア ル プ ス 」 が 刊 行 され た 。 ま た 、 に 開 催 され た 「第27回 帝 国 会 議 」 に お い て は 「 国設 大 公 園設 置 に 関す る 建 議 」 が 採 択 さ れ 、 我 が 国 の 国 立 公 園 制 定 へ 向 け て の 一 歩 が 踏 み 出 され る こ と とな っ た 。 さ ら に 、1911(明 治44)年 に は 、 新 潟 県 高 田 市 の 第13師 団 歩 兵 第58隊 営 庭 に て 、 日本 最 初 の ス キ ー が 行 わ れ た とい う記 録 が 残 っ て い る 。 2)大 正期 の動 向 ∼ 保 護 林 の 誕 生 な ど観 光 レ ク リ エ ー シ ョ ン 施 策 の 安 定 期 ∼ 大 正 時 代 に入 っ た1915(大 正4)年 、 林 野 行 政 に お い て 、 山林 局 長 か ら大 林 区 署 長 宛 に 「 保 護 林 設 定 ニ 関 ス ル 件 」 が 公 布 され た 。 こ れ は 法 律 に 根 拠 を お い た も の で は な く、 国 有 林 の 内部 規 定 で は あ るが 、 「 保 護 林 設 定 ニ 関 ス ル 件 」 に よ り、 国 有 林 の 経 営 に あ た っ て 保 護 す べ き 森 林 を 明 らか に す る 目的 か ら 「 保 護 林 制 度 」 が創 設 され た 点 が 、 我 が 国 の観 光 レ ク リエ ー シ ョン の た め の 森 林 管 理 施 策 の 点 か ら は 大 き な 出 来 事 で あ っ た 。 保 護 林 制 度 に よ り、 国 有 林 内 で 、 原 生 林 等 学 術 参 考 、 風 致 維 持 、 名 所 旧蹟 ・公 衆 享 楽 地 ・高 山 植 物 ・名 木 保 存 な ど の た め 、 施 業 案 編 成 時 に 保 護 林 に 設 定 す る こ と と な り、 保 護 林 を 準 施 業 制 限 地 に 編 入 し 、 伐 採 を 禁 止 し、 道 標 な ど を 設 け る こ と に した 。 こ の 制 度 に よ り 「 風 致保 護林 」 の 指 定 が 制 度 化 され 、 国 有 林 内 に お け る風 致 上 重 要 な 森 林 を 保 護 す る こ と が 可 能 と な り、名 所 旧跡 や 享 楽 地 な ど の 森 林 の保 護 が 可 能 とな っ た。 具 体 的 に は 、 ① 汽 車 汽 船 其 ノ 他 主 要 ナ ル 道 路 又 ハ 地 点 ヨ リ望 見 シ 得 ル 林 分 ニ テ 著 名 ナ ル 景 勝 地 ノ風 致 ヲ 保 持助 長 スル カ為 必要 ナル モ ノ、 ② 名 勝 旧 跡 ノ保 持 助 長 ス ル カ 為 必 要 ナ ル モ ノ 、 ③ 公 衆 ノ 享 楽 地 又 ハ 将 来 公 衆 ノ享 楽 地 トナ ル ヘ キ 見 込 ミ十 分 ナ ル 箇 所 ノ風 致 ヲ保 持 助 長 ス ル カ為 必 要 ナル モ ノ、 の3種 類 の 森 林 観 光 レ ク リエ ー シ ョン に 該 当す る項 目が 風 致 保 護 林 の 対 象 と され た 。 ま た 、 こ の 時 期 の 森 林 管 理 に 関 連 す る他 省 庁 の 法 律 と し て は 、1919(大 正8)年 の 「 都 市 計画 法 」 の公布 や 、 同年 の 「 史 蹟 名 勝 天 然 記 念 物 法 」 の 公 布 な どに よ り、 現 在 の 風 致 地 区 や 天 然 記 念 物 な ど の 基 礎 が 整 え られ た。 施 策 以 外 の 森 林 観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン に 関 わ る動 向 に 着 目す る と 、1918(大 新 島 善 直 ・村 山醸 造 の 「 森 林 美 学 」 が 、1918(大 正7)年 正7)年 に に田村 剛 の 「 造 園概 論 」 が刊行 され る な ど 、 森 林 や 緑 地 の持 つ 保 健 休 養 機 能 を 学 術 的 に 解 明 し よ う とす る機 運 は 依 然 高 い 水 準 を 示 して い た 。 ま た 、1913(大 正2)年 に 林 学 会 が 、1925(大 正14)年 に(社)日 本 造 園 学 会 が 設 立 され て お り、 森 林 の 観 光 レ ク リエ ー シ ョン機 能 を 学 術 的 に 考 察 す る場 が 整 え られ た の も こ の 時 期 で あ る 。 実 際 の 観 光 レ ク リエ ー シ ョン活 動 に お い て も 、1921(大 正10)年 に 、槇 有 恒 らが ア ル プ ス の アイ ガー東 山稜 初登 頂 した こ とを きっ か けに 、 本 場 の ロ ッ ク ク ラ イ ミ ン グ が 紹 介 され 、 国 内 の 岩 登 りが 盛 ん に な り、1924(大 正13)年 に ロ ッ ク ク ラ イ ミ ン グ ク ラ ブ(RCC)が 設 立 す る な ど 、 西 欧 型 の 山 岳 地 域 の観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン活 動 が ま す ま す 活 発 に な る機 運 を 見 せ て い る。 ス キ ー に つ い て も、1923(大 催 され 、1925(大 正14)年 正12)年 に 第1回 の 全 日本 ス キ ー 選 手 権 大 会 が 開 に 全 日本 ス キ ー 連 盟 が 発 会 した 。 以 上 、 大 正 期 に お い て は 、保 護 林 の 誕 生 な ど が あ り、観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン の た め の 森 林 管 理 に つ い て は 比 較 的 追 い 風 の 時 期 に あ っ た と考 え られ る。 そ して そ の 動 向 は そ の ま ま 昭 和 初 期 へ と引 き 継 が れ て い っ た 。 3)昭 和戦前期 の動 向 ∼ 戦 前 の 観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン の 絶 頂 期 か ら戦 争 に よ る 中 断 へ ∼ 昭 和 時 代 の 初 期 に行 わ れ た施 策 と して 最 も 大 き な も の は 、直 接 的 な 林 野 施 策 で は な い が 、 国 立 公 園 制 度 制 定 へ 向 け て の 一 連 の 動 き が あ げ られ る 。 こ の 動 き 自体 は 、 上 述 の 通 り、19 11(明 治44)年 に 開 催 され た 「 第27回 帝 国 会 議 」 に お い て 、 「国 設 大 公 園 設 置 に 関 す る 建 議 」 が 採 択 され た こ と に よ っ て 第 一 歩 が 踏 み 出 され る こ と とな っ た 訳 で あ る が 、 昭 和 に入 り、 そ の 動 き が 具 体 化 して き た 。 ま ず 、1929(昭 和4)年 に は 、 国 立 公 園 協 会 が設 立 され 、 翌1930(昭 務 省 に 国 立 公 園 調 査 会 が 設 立 され た 。 そ して1931(昭 和6)年 和5)年 には、 内 に、 内務省 衛 生局保 健 課 に よ り、 「国 立 公 園 法 」 が 公 布 され た 。 この 制 度 に よ り、 国 立 公 園 と し て 相 当 面 積 の 森 林 が 指 定 され 、 風 致 維 持 の た め の 土 地 利 用 に 関 す る 制 限 や 、 制 限 に 対 す る保 証 制 度 が 組 み 込 ま れ た 。 ま た 、 森 林 を 国 立 公 園 に 指 定 す る と き は 、 事 前 に 農 林 相 へ 協 議 す る こ とが 約 定 され た。 そ して 、1934(昭 和9)年 に 、 我 が 国 最 初 の 国 立 公 園(瀬 戸 内 海 ・雲 仙 ・霧 島)が 指 定 され る こ と で 、 我 が 国 の 国 立 公 園 制 度 が 名 実 と も に 開 始 され る に 至 っ た 。 さ らに は 、19 35(昭 和10)年 に 、 千 葉 県 が 全 国 に先 駆 け て 、 地 域 性 の 自然 公 園 の 条 例 を 制 定 す る な ど、 後 の 都 道 府 県 立 自然 公 園 設 立 に 向 け て の 動 き が 起 こ っ た もの の 、1944(昭 和19)年 に は第 二 次 世 界 大 戦 の 影 響 で 、 国 立 公 園 行 政 は 一 時 停 止 に 追 い や られ た 。 国 立 公 園 に 関 わ る 運 動 以 外 に も 、1929(昭 和4)年 に 「 古 社 寺 保 存 法 」 が 廃 止 され 「国 宝 保 存 法 」 が 制 定 され た り、 同 年 に 日本 温 泉 協 会 が 設 立 され た 。 ま た 、 翌1930(昭 和5) 年 に は 国 際 観 光 局 が 設 立 さ れ る な ど 、 我 が 国 に お け る観 光 レク リエ ー シ ョ ン施 策 は 徐 々 に 整 え られ て い っ た 。 林 野 施 策 に 関 し て も 、1934(昭 和9)年 り、 同 年 に 森 林 法 施 行 規 則 第1条 に 大 日本 山林 会 の 提 唱 で 「 愛 林 日運 動 」 が 始 ま に よ る公 園 指 定 、 つ ま り森 林 法 適 用 の 公 園 と し て 新 潟 県 佐 渡 郡 小 木 町 立 白 山公 園 が 指 定 され る な ど 、観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン的 な森 林 管 理 に 前 向 き な 姿 勢 が 見 られ て い た 。 ま た 、1928(昭 ニ 関 ス ル 件(拓 林 第3299号)」 和3)年 に は 、 北 海 道 拓 殖 部 「高 山植 物 採 取 許 可 に よ り、 近 年 登 山 者 が 増 加 し高 山 植 物 の 採 取 な どが 自然 の 許 容 量 を 脅 か し た た め に 、 業 務 上 必 要 と認 め た 者 、 高 等 専 門 学 校 以 上 の 植 物 専 攻 者 、 中 等 学 校 教 諭 以 外 は 採 取 を 許 可 しな い こ と と し た こ とが 注 目 に値 す る。 こ の こ とは 、 明 治 ・大 正 期 に 盛 ん に な り始 め た 登 山 が 、 昭 和 初 期 に は 十 分 定 着 し て き て 、 一 般 利 用 者 の マ ナ ー を 規 制 し な くて は い け な い ほ どに な っ て き た こ と を 示 し て い る。 な お 、 こ の 時 期 に は 、1927(昭 29(昭 和4)年 和2)年 に 「 水 源 か ん 養 造 林 補 助 規 則 」 が 制 定 され(19 に 「 造 林 奨 励 規 則 」 に 改 定)、 従 来 公 有 林 を対 象 と して き た 造 林 補 助 金 が 私 有 林 に も 交 付 可 能 とな り、 今 日の 公 益 的 機 能 の た め の 民 有 林 に 対 す る 助 成 制 度 の 基 盤 が 形 成 され て い る。 しか しな が ら第 二 次 世 界 大 戦 の た め に 、 これ ら一 連 の 施 策 も一 時 的 に休 止 され る こ と と な っ た 。 例 え ば 、1944(昭 和19)年 に は 、 不 急 旅 行 が 禁 止 され 、 特 急 ・寝 台 ・食 堂 車 は 全 廃 され た 。 そ して 、 自然 地 を 対 象 と し た観 光 レ ク リエ ー シ ョン 活 動 に 限 らず 、 例 え ば 歌 舞 伎 座 ・帝 劇 ・日劇 な ど都 市 部 の 主 要 な 施 設 に つ い て も 、こ の 時 期 に は 閉 鎖 され る に 至 っ た 。 林 野 法 制 も、 戦 時 体 制 へ の 移 行 に 伴 い 、1939(昭 有 者 に施 業 案 を 作 成 させ る 制 度(施 和14)年 に 森 林 法 が 改 変 され 、 森 林 所 業 案 監 督 制 度)が 発 足 した り、 よ り包 括 的 な 事 業 運 営 の た め に 森 林 組 合 を施 業 直 営 組 合 と施 業 調 整 組 合 に 改 変 す る な ど の 措 置 が 執 られ 、1941(昭 和16)年 に は軍需 木材 の確保 のた め に 「 木 材 統 制 法 」 が 施 行 され て い る。 た だ し 、 これ ら の う ち森 林 法 改 正 に伴 う施 業 案 の 作 成 は 、 戦 後 の 我 が 国 に お け る森 林 計 画 制 度 の 先 駆 け と し て も位 置 づ け られ る点 で 注 目 に値 す る。 以 上 、 昭 和 初 期 に は 、 国 立 公 園 制 度 を 中 心 に 、 森 林 地 域 に お け る 観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン が 、 利 用 的 側 面 か ら も 施 策 面 か ら も 充 実 を 見 せ 始 め た 時 期 で あ っ た に も か か わ らず 、 そ の よ うな 展 開 が 第 二 次 世 界 大 戦 の 激 化 と と も に 元 の 木 阿 弥 に 戻 っ て しま う とい う展 開 を 見 せ た とい え る。 4)昭 和 戦 後 期 の動 向 そ の1(1940年 ∼ 戦 後 林 政 の復 興 期 ∼ 代 半 ば ∼1950年 代 後 半) 1945(昭 林(宮 和20)年8月 に 終 戦 を迎 え 、 翌 年1946(昭 内 省 帝 室 林 野 局)、 北 海 道 国 有 林(内 三 者 に よ る 合 同 会 議 が 開 始 され 、 翌1947(昭 和21)年 には林 政 統 一 のた め に御料 務 省 北 海 道 庁)、 内 地 国 有 林(農 和22)年 林 省 山 林 局) に御 料 林 と 北 海 道 国 有 林 を 農 林 省 に 移 管 す る こ と が 決 定 し、 林 政 統 一 が 実 現 した 。 さ らに1949(昭 和24)年 に は、林 野 庁 が発 足 し、 我 が 国 の 戦 後 林 野 行 政 の 体 系 が で き あ が っ た 。 林 野 行 政 に 関 係 す る法 規 に つ い て も 、1951(昭 和26)年 に 「森 林 法 」 が 改 正 され 、 「 森 林 計 画 制 度 」、 「 伐 採 許 可 制 度 」 な どが 導 入 さ れ 、 森 林 審 議 会 が 設 置 さ れ た 。 森 林 計 画 制 度 は 、1939(昭 和14)年 の 施 業 案 監 督 制 度 を廃 止 して 新 た に 作 られ た 制 度 で 、 我 が 国 の 森 林 を 国 有 林 と民 有 林 に 区 分 して 、 農 林 大 臣 が5年 ご と に5か 年 計 画 で 策 定 す る森 林 基 本 計 画 の も と、 施 業 計 画 ・経 営 計 画 を 立 て る とい う内 容 で構 成 され て い た 。 関 連 し て 、 同 年 に は 「国 有 林 野 法 」 が 制 定 され 、 国 の 所 有 す る森 林 原 野 、 つ ま り国 有 林 が 国 有 財 産 法 に お け る 特 例 的 な 財 産 と し て 位 置 づ け られ た 。 ま た 、 こ の 時 に 保 安 林 制 度 の 改 変 も行 わ れ 、 「 公 衆 の 衛 生 」 とい う記 述 が 「 公 衆 の保 健 」 と書 き 改 め られ た こ と を 受 け て 、 保 安 林 の 「 衛生 林」が 「 保 健 林 」 と改 名 され た 。 さ ら に 、1954(昭 和29)年 に 「 保 安 林 整 備 臨 時 措 置 法 」 が 制 定 され た 。 同 法 は 、 災 害 の 多 発 と こ れ に よ る 国 土 の 荒 廃 に 対 処 して 、 緊 急 に 保 安 林 を整 備 す る 目的 で 、 保 安 林 整備 計 画 の 樹 立 、 保 安 林 の 買 入 れ ・交 換 ・強 制 買 収 制 度 等 を規 定 した 法 律 で 、 国 土 保 全 的 要 素 の 強 い10年 の 時 限 立 法 で あ っ た 。 しか し、 そ の 後 法 律 は 延 長 され 、1974(昭 和49)年 の第三 期 保 安 林 整 備 計 画 以 降 、 こ の 法 律 に よ り保 健 保 安 林 の 整 備 が 急 速 に 進 む こ と に な っ た(香 川 ・田 中1995)。 ま た 、国 立 公 園 行 政 も1946(昭 和21)年 1948(昭 和23)年 に 厚 生 省 公 衆 衛 生 局 保 健 課 の 所 管 の も と復 活 し、 に は 国 立 公 園 選 定標 準 が 策 定 され 、1949(昭 和24)年 に 「 国 立公 園 法」 が 改 正 公 布 され た。 この 改 正 の 結 果 、 特 別 保 護 地 区 や 国 定 公 園 制 度 な ど が 導 入 され た 。 ま た 、 国 立 公 園 内 の森 林 の 取 扱 に つ い て も基 準 が 定 め られ る よ うに な り、 例 え ば1950(昭 25)年 和 に は 「国 立 公 園 区 域 内 に お け る 森 林 施 業 制 限 細 目(林 野3228)」 が 、 林 野 庁 長 官 よ り厚 生 省 国 立 公 園 部 長 宛 に 通 達 され た 。 そ して 、1951(昭 う国 立 公 園 区 域 内 の 森 林 の 取 扱 に つ い て(26林 和26)年 には 「 森林 法 施 行 に伴 野)」 が 林 野 庁 長 官 ・厚 生 省 国 立 公 園 部 長 か ら 知 事 宛 に 出 され 、 森 林 法 の 改 正 に 伴 い 国 立 公 園 特 別 地 域 ・特 別 保 護 地 区 を 制 限 林 と し て 取 り扱 う こ とが 通 知 され た 。 ま た 、 厚 生 省 に 関 連 す る観 光 レク リエ ー シ ョン 施 策 と して は 、1954(昭 和29)年 に 国 民 保 養 温 泉 地 制 度 が 開 始 され て い る。 そ の 他 の 省 庁 の 観 光 レク リエ ー シ ョン に 関 係 す る主 要 な 動 き と して は 、1946(昭 和21) 年 に 運 輸 省 に 観 光 課 が 設 け られ 、 そ れ を 契 機 に 、 全 日本 観 光 連 盟 や 都 道 府 県 単 位 に 観 光 機 関 が 設 け られ 、 さ ら に1948(昭 1947(昭 和22)年 和23)年 に は 、観 光 事 業 審 議 会 が 設 け られ て い る。 ま た 、 、 労 働 基 準 法 が 制 定 され 、 労 働 時 間 に 枠 が 与 え られ た こ と に よ っ て 余 暇 時 間 が 法 的 に認 め られ た 存 在 とな り、 さ ら に1948(昭 和23)年 には 、 「 国 民 の祝 日に関す る法 律 」 が 公 布 され 、 観 光 レク リエ ー シ ョ ン へ 向 け て の 時 間 的 担 保 に つ い て 法 的 に も 整 え られ た 。 そ して 、 この 時 期 に1950(昭 和25)年 に 「 国 土 総 合 開発 法 」 が 公 布 され 、 国 土 ス ケ ー ル の 土 地 利 用 の 方 針 が 定 め られ る と と も に 、 同 年 「 国 宝 保 存 法 」 に代 わ り 「 文 化財 保 護 法」 が 公 布 され て い る 。 以 上 、 こ の 時 期 に お け る観 光 レ ク リエ ー シ ョン に 関 わ る林 野 施 策 は 、 戦 前 の 水 準 に 戻 る た め の 復 興 の 時 期 と して 位 置 づ け られ よ う。 つ ま り、 よ り豊 か な 森 林 環 境 を 享 受 す る た め の観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン空 間 の 創 造 を推 進 す る とい うよ りは 、 む し ろ 戦 前 の 水 準 に 各 種 の 林 野 制 度 を 戻 す こ と に 重 点 が 置 か れ た 時 代 で あ る と い え る。 5)昭 和 戦 後 期 の動 向 そ の2 (1950年 代 後 半 ∼1960年 代 半 ば) ∼ 戦 後 森 林 観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン 行 政 の 胎 動 期 ∼ こ の 時 期 は 、1960(昭 和35)年 に 閣 議 決 定 され た 「所 得 倍 増 計 画 」 に 代 表 され る よ うに 、 我 が 国 の 戦 後 処 理 が 一 段 落 し、 高 度 経 済 成 長 時 代 に 突 入 す る 時 期 に 当 た る 。 そ れ に と も な い 我 が 国 で も 、 観 光 レク リエ ー シ ョン の 大 衆 化 が 進 み 、 い わ ゆ る マ ス ツ ー リズ ム が 盛 ん に 行 わ れ る よ う に な っ た 時 期 で あ る と い え る。 高 度 経 済 成 長 が 始 ま り、 マ ス ツ ー リズ ム が 進 展 す る に伴 い 、 そ の 影 響 が 山 岳 地 帯 に も及 ん で い っ た 。 こ の 様 な 状 況 の影 響 を 受 け て 、 秩 序 あ る観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン利 用 の た め の 森 林 管 理 が 必 要 と な り、1950年 代 後 半 か ら1960 年 代 半 ば に か け て 、 林 野 庁 に お い て も 、 国 有 林 を 中 心 に 観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン 施 策 が 開 始 され た。 た だ し 、 こ の 時 期 に お い て も 、 林 野 行 政 で は 、1957(昭 計 画 」 が 、1961(昭 和33)年 和36)年 和32)年 に 「 国有 林 生産 力 増強 には 「 国 有 林 木 材 増 産 計 画 」 な どが 策 定 され 、 ま た1958(昭 に は 、 後 の 公 社 公 団 造 林 の 先 駆 け とな る 分 収 造 林 特 別 措 置 法 が 制 定 され る と と も に 、 国 有 林 野 経 営 規 定 が 改 正 され て 「 林 業 の 立 場 か ら 国 民 の 福 祉 の 増 進 に 寄 与 す る 」 とい う認 識 が 示 され て い る とお り、 依 然 施 策 の 根 幹 は 木 材 生 産 に あ る とい う事 実 に は 変 わ りな か った。 しか し な が ら一 方 で 、 こ の 時 期 、 国 民 の観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン の 大 衆 化 は 、 登 山 を は じ め と し て 森 林 地 域 に 無 視 で き な い 影 響 を 与 え る よ うに な っ た。 そ して 、1956(昭 和31)年 に は 増 加 しつ つ あ る 登 山 に 対 し、 国 有 林 山 岳 地 帯 に 林 野 施 策 と し て 初 の 「 避 難 小 屋 」 が設 置 され た 。 ま た 、 そ の 後 の1961(昭 和36)年 に 「 避 難 小屋 の管理 及 び運 営 につ いて 」 が通 達 され 、単 発 的 で は な く国 有 林 内 に 避 難 小 屋 を建 設 す る こ とが 、制 度 的 に位 置 づ け られ た 。 ま た 、1959(昭 和34)年 に は 「国 有 林 野 内 に お け る ス キ ー 場 の 取 扱 要 領(34林 野 政5311)」 が 出 され 、 国 有 林 に お け る 「国 設 ス キ ー 場 制 度 」 が 開 始 され た 。 国 設 ス キ ー 場 は 、 レ ジ ャ ー ブ ー ム に よ る 野 外 レ ク リエ ー シ ョン の 大 衆 化 に よ りス キ ー 人 口 が 増 加 した こ とに 対 応 す る 目的 で 策 定 さ れ た も の で あ る 。 ス キ ー 人 口 の増 加 に よ り、 ス キ ー ヤ ー の 国 有 林 内 へ の 進 入 に よ る幼 齢 林 分 の 被 害 が 見 られ る よ うに な っ た こ と、 な らび に観 光 企 業 か ら の貸 付 申請 に何 らか の 対 応 を と る必 要 が 生 じた こ とか ら、 こ の 制 度 が 創 設 され た とい え る。 以 上 の よ うに 林 野 施 策 に お い て 、 対 処 療 法 的 で あ る点 は 否 め な い が 、 観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン施 策 が 正 式 に 開 始 され た とい え る。 ま た 、 世 界 的 な 動 向 を 見 る と、1960(昭 和35)年 に シ ア トル に お い て 開 催 され た 第5回 世 界 森 林 会 議 で 、森 林 の 多 様 な 公 益 的 機 能 に 着 目 し、森 林 多 目的 利 用 経 営 を 打 ち 出 した 「 森 林 の 多 目的 利 用 に 関 す る決 議 」 が 採 択 され て い る。 こ の シ ア トル 決 議 で は 、 森 林 の 公 益 的 機 能 と して レ ク リエ ー シ ョ ン的 機 能 を 採 りあ げ 、 地 域 森 林 経 営 の 中 に 観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン利 用 を含 め るべ き だ と され て い る(小 谷1982)。 そ の 他 、 こ の 時 期 に 観 光 レク リエ ー シ ョン 管 理 に 関 わ る 林 野 施 策 と し て は 、1962(昭 37)年 和 に 「 森 林 法 」 が 改 正 され 、 全 国 森 林 計 画 、 地 域 森 林 計 画 が 策 定 され た こ とや 、 同 年 に 「 保 安 林 及 び 保 安 施 設 地 区 に 関 す る 事 務 処 理 規 程 」 が 制 定 され 、 保 安 林 の 「 保健 林 」 が 「 保 健 保 安 林 」 と呼 ば れ る よ うに な っ た こ とな ど が あ げ られ る。 ま た 、 自然 公 園 に 関 わ る施 策 と し て は 、1957(昭 和32)年 に 「国 立 公 園 法 」 を 改 正 す る 形 で 「自然 公 園 法 」 が 制 定 され 、 国 定 公 園 、 都 道 府 県 立 自 然 公 園 の 新 設 や 、 指 定 植 物 採 取 規 制 が 開 始 され て い る。 そ し て 、1959(昭 和34)年 に 、 「自然 公 園 区 域 内 に お け る森 林 施 業 に つ い て(34林 野 指6417)」 が 林 野 庁 長 官 か ら 営 林 局 長 宛 に 通 達 され 、 国 立 公 園 等 の 地 域 区 分 別 の 施 業 制 限 の 細 目に つ い て 厚 生 省 国 立 公 園 部 局 長 と取 り決 め て い る。 さ ら に 、1961 (昭 和36)年 に は、 「 国 民 休 暇 村(現:休 暇 村)制 そ の ほ か に も、 こ の 時 期 に は 、1956(昭 され 、1958(昭 和33)年 和31年 度 」 が 開 始 され て い る 。 に 、建 設 省 か ら 「 都 市公 園 法」 が公 布 に は 文 部 省 が 「青 年 の 家 制 度 」 を 開 始 し、1962(昭 国 総 合 開 発 計 画(第1次)」 和37)年 に 「 全 が 閣 議 決 定 され 、 同 年 に 「 都 市 の美 観 風 致 を維 持す るた めの 樹 木 の 保 存 に 関 す る法 律(樹 木 保 存 法)」 が 公 布 され た 。 観 光 施 策 と して は 、1959(昭 和34)年 に 「日本 観 光 協 会 法 」 が 公 布 され 、1961(昭 年 に我 が 国初 の 「 観 光 の は な し(観 光 白書)」 が創 刊 され る と と も に 、1963(昭 和36) 和38)年 に 「 観 光 基 本 法 」 が 公 布 され た 。 以 上 、 こ の 時 期 は 対 処 療 法 的 で あ る とは い え 、 我 が 国 が 林 野 施 策 と して 、 戦 後 初 め て観 光 レ ク リエ ー シ ョン に 対 峙 した とい う点 か ら 、 我 が 国 の 観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン の た め の森 林 管 理 施 策 の 胎 動 期 に あ っ た と位 置 づ け る こ と が 可 能 で あ る。 6)昭 和 戦 後 期 の動 向 そ の3(1960年 代 半 ば ∼ 後 半) ∼ 森 林 観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン施 策 の 基 盤 整 備 期 ∼ 1960年 代 半 ば に お け る我 が 国 の 林 野 行 政 に お い て 、 最 も重 要 な 出 来 事 とい え ば1964(昭 和39)年 の 「 林 業 基 本 法 」 の 制 定 で あ る。 林 業 基 本 法 は 、 林 業 の 発 展 と林 業 従 事 者 の 地 位 の 向 上 を 図 り、 森 林 資 源 の確 保 と国 土 の保 全 の た め に 、 林 業 に 関 わ る政 策 や 基 本 施 策 を定 め る法 律 で あ る。 上 述 の 通 り、1907(明 治40)年 に 全 改 公 布 され た 「 森 林 法 」 に よ り、 我 が 国 の 林 野 施 策 は 、 木 材 生 産 を 軸 と した 産 業 助 長 施 策 とい う側 面 が 戦 前 か ら既 に強 か っ た が 、 林 業 の 憲 法 と も い え る林 業 基 本 法 の 成 立 に よ り、 我 が 国 の 林 野 施 策 で は 木 材 生 産 が 主 で あ り、 観 光 レク リエ ー シ ョン へ の 対 応 が 従 で あ る とい う考 え 方 が さ ら に確 固 た る様 相 を 示 した と い え る。 しか しそ の反 面 で 、 一 見 こ の よ うな 林 野 施 策 の 木 材 生 産 産 業 へ の 明 確 な シ フ トの 中 で 、 我 が 国 で は 国 レベ ル で 客 観 的 に 森 林 観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン を と ら え て い こ う とす る 動 き 、 つ ま り森 林 観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン施 策 の 基 盤 整 備 を行 お う とす る動 き が 、 こ の 時 期 に 現 れ て い た こ とが 注 目 に値 す る。 例 え ば 、1963(昭 和38)年 に は 、 「国 有 林 野 観 光 保 健 休 養 機 能 資 源 調 査(38林 野 計665)」 が 行 わ れ 、 我 が 国 の 国 有 林 の 観 光 レ ク リエ ー シ ョン 資 源 や そ の機 能 が どの 程 度 で あ る か を 調 査 す る た め の 基 礎 資 料 の 整 備 を 目的 と し て 、 複 数 の 観 光 地 域 で 資 源 調 査 が 実 施 され た 。 ま た 、1964(昭 和39)年 れ た 。 さ らに 、1965(昭 に は、林 政 審 議会 の答 申で、初 めて公 益 的機 能 の重 要性 が強調 さ 和40)年3月 に 、 中 央 森 林 審 議 会 が 「国 有 林 の 役 割 と そ の 経 営 の 在 り方 」 を 答 申 し、 「 国有 林 野事 業 の対 応策 」 の部 で、 「 国 有 林 野 事 業 は保 健 休 養 の確 保 、 自然 保 護 の た め 、 よ り積 極 的 な 検 討 をす べ き で あ る」 と明 言 して い る 。 こ の よ うな 流 れ の 中 で 、1966(昭 和41)年8月 に 、林 野庁 自 らで はな いが 、科 学技 術 庁 資 源 開 発 調 査 会 が 「自然 休 養 地 と して の 森 林 の 保 全 開発 に 関 す る勧 告 」 を 発 表 した 。 こ の 勧 告 で は 、 「国 家 的 見 地 か ら 、 自 然 休 養 地 と して 保 存 す べ き 森 林 地 域 を早 急 に 区 分 ・確 保 して 、レ ク リエ ー シ ョン 需 要 に対 す る適 正 な 受 け 入 れ 態 勢 を 整 備 強 化 す べ き で あ る 」と し、 特に 「 国 が 所 有 す る 森 林 は 、 質 的 に も 、 量 的 に も 、 自然 休 養 地 の 大 き な 部 分 を 占 め 、 レク リエ ー シ ョン 資 源 の 骨 格 を 形 成 して い る の で 、 こ の 際 、 国 が 所 有 す る森 林 に つ い て 、 自然 休 養 地 の 保 護 と開 発 を 計 画 的 、 調 和 的 に 推 進 す る こ と と し、 所 要 の 体 制 を 緊 急 か つ 積 極 的 に推 進 す る必 要 が あ る」 と記 述 され た 。 具 体 的 な 勧 告 事 項 は 、 以 下 の6項 目 に わ た る。 ① 国 家 的 見 地 か ら、 自然 休 養 地 と し て 保 存 及 び 開 発 す べ き森 林 地 域 を 区 分 、確 保 し、 レ ク リエ ー シ ョ ン 需 要 に 対 す る適 正 な 受 け 入 れ 態 勢 を整 備 ・強 化 す べ き で あ る。 国 が 所 有 す る 森 林 に つ い て は 、 自 然 休 養 地 の保 護 と開 発 を 計 画 調 和 的 に 推 進 す る こ と と し、 所 要 の 体 制 を緊 急 か つ 積 極 的 に推 進 す る必 要 が あ る。 そ の他 の森 林 に つ い て は 、 そ の 保 護 管 理 の 行 政 指 導 を 強 化 す る と と も に 、 必 要 な 保 証 及 び 買 い 上 げ の 措 置 を 講 ず る 必 要 が あ る。 ② 風 致 保 安 林 に つ い て は 、 そ の 意 義 内 容 を 明;確に した 上 で 、 そ の 指 定 基 準 を策 定 し、 実 施 の 適 正 化 を 図 る べ き で あ る。 ③ 自然 公 園 、 史 跡 名 勝 天 然 記 念 物 そ の 他 自然 休 養 地 に お け る 現 地 の 保 護 取 り締 ま りを 強 化 す る必 要が あ る。 ④ 公 衆 道 徳 、 自然 保 護 な ど の 教 育 指 導 を 推 進 す る 必 要 が あ る。 ⑤ 森 林 の 風 致 的 取 り扱 い 技 術 の 確 立 と風 致 的 取 り扱 い に 関 す る教 育 体 系 の 充 実 を 図 る 必 要 が あ る。 ⑥ 自然 休 養 地 関連 行 政 の 大 き な 部 分 を 直 接 管 理 して い る省 庁 の 行 政 を対 象 とす る 総 合 調 整 の た め の 、 特 別 の 考 慮 を払 う必 要 が あ る 。 こ の 勧 告 が 出 され た 結 果 、1964(昭 和39)年 に林 業 基 本 法 が 制 定 され る こ とで 、 木 材 生 産 中 心 の 施 策 体 系 が 我 が 国 の 林 野 行 政 で 確 固 た る もの に な っ た 一 方 で 、 本 来 な ら ば そ の 結 果 と して 施 策 の 隅 に 追 い や られ か ね な か っ た 観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン機 能 発 揮 の た め の林 野 施 策 が 軌 道 に乗 っ た と考 え られ る。 ち な み に 、 こ の勧 告 と 同 年 の1966(昭 和41)年 には、 明 治 百 年 記 念 事 業 の 開 始 と と も に 全 国16カ 所 に 県 民 の 森 が 設 置 され 、 「 国 有林 野 内 に設 置 す る 野 営 場 の 取 扱 に つ い て 」 に も とづ き 、 国 有 林 で 「国設 野 営 場 」 の 設 置 が推 進 され る な ど の 動 き が 見 られ た 。 しか しな が ら 、 こ の 勧 告 の 影 響 を 受 け て 起 こ っ た 施 策 と して 最 も重 要 な もの は 国 有 林 の 「自然 休 養 林 制 度 」 で あ る。 科 学 技 術 庁 資 源 調 査 委 員 会 の 勧 告 の 翌 年 、1967(昭 和42)年 に 、 国 有 林 の 「自然 休 養 林 制 度 」 が 制 定 され た 。 「自然 休 養 林 制 度 」 は 国 有 林 施 策 と して は 、 初 め て 総 合 的 な観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン施 策 と し て 打 ち 出 され た も の で あ る 。 自然 休 養 林 と は 、 ① 風 景 の 優 れ た 地 域 で あ っ て 自然 休 養 と し て の 利 用 が 現 に 行 わ れ て い る 森 林 、 ま た は ② そ の よ うな 利 用 が 将 来 確 実 に 予 想 され る森 林 に対 し、 自然 休 養 的 利 用 と木 材 生 産 と の 調 整 を は か りな が ら風 致 的 施 業 を行 い 、 自然 休 養 的 利 用 を進 め る観 光 レ ク リエ ー シ ョン 林 で あ る 。 実 質 的 に は1968(昭 和43)年 に 、 「自然 休 養 林 の 取 扱 要 領(42林 野 管154)」 が 出 され た こ とで 自然 休 養淋 制 度 が 事 実 上 発 足 した と も い え る。 営 林 局 長 は 、 林 野 庁 長 官 の 承 認 を うけ 、自 然 休 養 林 の 指 定 ・公 表 を 行 っ た 上 で 、林 内 を 風 致 保 護 地 区 、風 致 整 備 地 区 、 施 業 調 整 地 区 、 施 業 地 区 の4区 分 に して 管 理 す る とい う 「自然 休 養 林 保 護 管 理 協 議 会 設 置 標 準 」 を 定 め た 。 さ ら に 、1969(昭 和44)年 に は 、国 有 林 野 経 営 規 定 の 全 面 改 正 が 行 わ れ 、 国有 林野 経 営 の方針 に 「 国 民 の 保 健 及 び 休 養 の た め の 必 要 な 施 策 を 実 施 す る こ と」 が 挙 げ られ 、1969(昭 和44)年 、 我 が 国 初 め て の 自 然 休 養 林(10カ こ の 時 期 、 そ の 他 の 林 野 施 策 と し て は1964(昭 和39)年 所)が 指 定 され た 。 に、 「 林 業 構 造 改善 事 業 」 が開 始 され て い る。 「 林 業 構 造 改 善 事 業 」 と は 、 我 が 国 の 国 有 林 ・民 有 林 が お か れ て い る林 地 保 有 の 零 細 性 、 分 散 性 、 基 盤 整 備 の 未 整 備 お よび 資 本 装 備 の 劣 弱 性 を 改 善 す る こ とで 、 林 業 総 生 産 の 増 大 、林 業 生 産 性 の 向 上 、林 業 従 事 者 の 所 得 向 上 な ど を 目指 す 総 合 施 策 で あ る。 1964(昭 和39)年 時 点 の 第 一 次 事 業 で は観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン に 関 わ る事 業 が 対 象 と され る こ と は 皆 無 で あ っ た も の の 、1972(昭 和47)年 の 第 二 次 事 業(森 総 事 業)か らは 対 象 と され る よ うに な り、 そ の 後 我 が 国 の観 光 レ ク リエ ー シ ョン に 関 わ る林 野 施 策 と して 無 視 で き な い も の へ と発 展 して い っ た 。 そ の 他 、 観 光 レク リエ ー シ ョン に 関 わ る林 野 施 策 と して は 、1967(昭 ス ー パ ー 林 道 の 着 工 が 始 ま り、1968(昭 に つ い て(42林 和43)年 和42)年 に各 地 で に は 、 「国 有 林 野 内 に お け る温 泉 の 取 扱 野 管302)」 の 通 達 が 出 され て い る。 ま た 、 同 じ く1968(昭 和43)年 には 、 森 林 法 が 改 正 され 、 森 林 施 業 計 画 制 度 が 創 設 され て い る。 そ して 、 森 林 観 光 レク リエ ー シ ョン に 関 連 す る他 省 庁 の 法 令 と して は 、1965(昭 年 に 「山 村 振 興 法 」 が 、1966(昭 和41)年 に 「古 都 に お け る歴 史 的 風 土 の 保 存 に 関 す る 特 別 措 置 法(古 都 保 存 法)」 お よび 「 首 都 圏 近 郊 緑 地 保 全 法 」 が 、1967(昭 畿 圏 の 保 全 区域 の 整 備 に 関 す る 法 律 」 が 、1968(昭 1969(昭 68(昭 和44)年 和43)年 和40) に 「 新 全 国 総 合 開 発 計 画(新 和43)年 和42)年 に 「 近 、「 都 市 計 画 法 」 が 公 布 され 、 全 総)」 が 閣 議 決 定 さ れ て い る 。 ま た 、19 に 「 狩 猟 法 」 が 改 正 され て 「 鳥 獣 保 護 及 び 狩 猟 に 関 す る 法 律 」 と改 題 され て い る。 そ して 、都 市 計 画 法 に 基 づ い て 、1969(昭 制 の 基 準 を 定 め る 政 令(政 令317)」 和44)年 に 「 風 致 地 区 内の建 築 等 の規 が 公 布 され 、 木 竹 の 伐 採 な ど 、 知 事 が 条 例 で 定 め る 行 為 を 許 可 制 と し 、 そ の 許 可 の 基 準 を 定 め て い る。 ま た 、 こ の 時 期 、1964(昭 和39)年 に深 田 久 弥 「日本 百 名 山 」 が 刊 行 され る な ど、 登 山 の 人 気 は 依 然 高 く、1966(昭 和41)年 に富 山県 が初 の 「 登 山届 出 条 例 」 を制 定 して い る。 ま た 、 昭 和40年 代 半 ば か ら後 半 に か け て は 、1964(昭 和39)年 の レ イ チ ェル ・カ ー ソ ン 「 沈 黙 の 春 」訳 刊 や 、我 が 国 の ナ シ ョナ ル トラ ス ト運 動 の 先 駆 け と な る 「 鎌 倉風 致保 存 会 」 の設 立 に 象 徴 され る とお り、 野 外 環 境 に 対 す る 施 策 は 自然 保 護 に 傾Kいて き た 。 そ の 影 響 も あ り、 例 え ば 自然 公 園 施 策 は 、1967(昭 和42)年 、明 治 百年 記念 事 業 の一 環 で東京 都 立 自 然 公 園 高 尾 山 と 大 阪 府 立 箕 面 公 園 が 国 定 公 園 に 編 入 され た と い う出 来 事 な ど も 見 られ る が 、 全 般 的 に は 自 然 保 護 の 面 に お い て は 多 く の 調 査 ・研 究 ・施 策 が 進 め られ 画 期 的 な 成 果 が 見 られ る反 面 、 観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン 等 の 利 用 の 面 に お け る対 応 は 、 国 民 的 需 要 の 増 大 に も か か わ らず 、 む し ろ き わ め て 消 極 的 で あ る と言 わ ざ る を 得 な い 状 況 が 続 い た。 そ の 点 につ い て は、 「 戦 前 期 に は あ っ た は ず の 公 園 利 用 の 理 念 を 、 そ の ま ま 踏 襲 し、 新 し い 時 代 の 要 求 に 応 え る 答 え る 現 実 的 な 施 策 が 、 こ の 時 期 に は 講 じ られ な い ま ま の 状 態 に あ っ た 」 と い う指 摘 が な され て い る(池 ノ 上1983)。 以 上 、1960年 代 の 半 ば か ら後 半 に か け て の 林 野 施 策 は 、 「 林 業 基 本 法 」 の 制 定 に 見 られ る とお り、 木 材 生 産 を 中 心 と した 林 野 施 策 シ ス テ ム が 完 成 し、 制 度 的 に は 木 材 生 産 型 の 林 野 行 政 の ピー ク を 迎 え た 時 期 で あ る 。 し か しな が ら一 方 で 、 国 民 ニ ー ズ か ら、 施 策 的 に も 森 林 の 観 光 レ ク リエ ー シ ョン 的 利 用 が 無 視 で き な い 状 態 に な り、 自然 休 養 林 を は じ め とす る総 合 的 な 森 林 観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン施 策 の 基 盤 が 、 国 有 林 を 中 心 に 具 体 的 な 形 で 整 備 さ れ た こ とが 特 徴 的 で あ る と い え る 。 b1970年 代 以 降 の 森林 管 理 施 策 の 動 向 (観 光 レ ク リ エ ー シ ョ ン 施 策 の 展 開 期 以 降) 1)昭 和戦後期 の動向 そ の4(1970年 代 ∼1980年 代 半 ば) ∼ 森 林 観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン施 策 の 展 開 期 ∼ 1960年 代 に 森 林 観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン施 策 の 基 盤 整 備 が 整 え られ た こ と を う け て 、1970 年 代 は 国 レベ ル で の 森 林 観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン 事 業 が 地 域 振 興 策 と し て 活 発 に 打 ち 出 され 始 め た(宮 林1992)。 ま た 、 こ の 時 期 は 、 「日本 列 島 改 造 構 想 」 が1972(昭 和47)年 に打 ち 出 され た こ とで 第 一 次 土 地 ブ ー ム が 起 こ り、 全 国 規 模 で 土 地 の 買 い 占 め が 進 行 し 、 約15 0万haの 森 林 が 、 ゴル フ 場 や 別 荘 地 と し て 転 用 され る状 況 下 か ら始 ま っ た とい え る 。 1)一1林 野行 政 全般 の動 向 こ の 時 期 、1973(昭 和48)年2.月 に 「 森 林 資 源 に 関 す る基 本 計 画 」が 初 改 定 され て い る 。 こ の 改 定 で は 、 旧 来 の 木 材 生 産 、 人 工 林 一 辺 倒 の 森 林 資 源 計 画 か ら 「総 合 的 な 資 源 」 と し て の 森 林 資 源 整 備 計 画 へ 転 換 され た(野 口1993)。 当初 、 森 林 の 基 本 的 機 能 は 、 ① 木 材 生 産 、 ② 国 土 保 全 、 ③ 水 源 か ん養 の3機 能 が 中 心 と され 、観 光 レ ク リエ ー シ ョン が 直 接 あ て は ま る カ テ ゴ リー は な か っ た も の の 、 保 健 保 安 林 の指 定 の 推 進 は 当 初 か ら計 画 に 盛 り込 ま れ て い た(山 下1981。 そ し て 、1980(昭 和55)年 に 「 森 林 資源 基本 計 画 」 の改訂 が再 び 行 わ れ 、 森 林 の 機 能 が 、 ① 木 材 生 産 、 ② 国 土 保 全 、 ③ 水 源 か ん 養 、 ④ 保 健 保 全 の4機 能 と され 、 森 林 観 光 レ ク リエ ー シ ョン が 従 前 の3機 能 と 同 格 に 扱 わ れ る よ うに な っ た 。 ち な み に、保 健 保 全 機 能 とは、 「 人 間 の 精 神 的 ・肉 体 的 健 康 の 維 持 増 進 に 寄 与 す る機 能 及 び 自然 環 境 を 保 全 ・形 成 す る 等 の機 能 を言 い 、 目標 とす る森 林 構 成 は レ ク リエ ー シ ョ ン活 動 に適 した 森 林 そ の 他 に よ り構 成 され 、 い こ い の 場 及 び 行 動 の 場 と して の 保 健 休 養 機 能 、 自然 環 境 保 全 機 能 、 生 活 環 境 保 全 機 能 の3機 こ の 時 期 に は 、1984(昭 れ 、1982(昭 和57)年 和59)年 能 を 含 む(八 木1992-2)」 と定 義 さ れ た 。 さ らに 、 に 「 森 林 法 」 が 改 正 され て 、 森 林 整 備 計 画 制 度 が 創 設 さ に は林 野 庁 が 「 森 林 浴 構 想 」 を発 表 して い る。 ま た 、 自然 保 護 と観 光 レ ク リエ ー シ ョン 開 発 と の 軋 礫 が 、 こ の 時 期 に各 地 で 顕 在 化 し始 め た 時 期 で も あ っ た 。 例 え ば 、 国 会 の 場 で も 、1974(昭 和49)年 に 衆 議 院 で 「ス ー パ ー 林 道 の 建 設 中 止 を 求 め る請 願 」 が 採 択 され て い る。 1)-2国 有 林 の 観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン施 策 の 動 向 こ の 時 期 の 、 観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン に 関 わ る 国 有 林 施 策 に つ い て は 、1970(昭 和45)年 に 「国 有 林 野 内 に設 置 され る駐 車 場 の 取 扱 に つ い て 」 が 定 め られ 、 翌1971(昭 和46)年 に は 、 「国 有 林 野 内 に 林 間 学 校 等 を 設 け る 場 合 の 取 扱 に つ い て(46林 野 管380)」 に よ り、 国 有林 野 内 に 「 林 間 学 校 」の 設 置 が 認 め られ る よ うに な る な ど、1960年 代 初 頭 か ら引 き 続 き 、 観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン に 関 わ る 国 有 林 の 活 用 に 対 す る ル ー ル が 定 め られ て い く状 況 が 続 い て い た。 ま た 、1971(昭 和46)年 律 は 、 林 業 基 本 法 第4条 に は 、 「国 有 林 野 の 活 用 に 関 す る法 律 」 が 制 定 さ れ た 。 こ の 法 の 規 定 の 趣 旨 に 即 し、 国 有 林 野 の 所 在 す る地 域 に お け る農 林 業 の 構 造 改 善や 、 そ の他 の産 業 の振 興 、 また は住 民 の福 祉 の向 上 のた めの 国有 林 野 の活 用 につ き 、 国 の 方 針 を 明 らか に す る こ と等 に よ り、 そ の 適 正 か つ 円 滑 な 実 施 の 確 保 を 図 る こ と を 目的とした法律であった。この法律の制定当初は、観光レクリエーション的活用について の 明 記 は され な か っ た が 、 お お よそ 四 半 世 紀 の 年 月 を経 た1998(平 成10)年 に 、 公 衆 の 保 健 に 関 す る森 林 の 活 用 が 同 法 に 明 記 され る こ とに な っ た 。 そ して 、1972(昭 和47)年 に は 、 「レ ク リエ ー シ ョ ン の 森 の 管 理 運 営 に つ い て 」 が 通 達 され 、自然 休 養 林 な ど、そ れ ま で に行 わ れ た 国 有 林 の レ ク リエ ー シ ョン 施 策 を 統 合 し て 「レ ク リエ ー シ ョ ン の森 制 度 」 が 設 け られ た こ と が 注 目 に 値 す る。 同 時 に 、 「 国 有林 野経 営 規 定 」 が 一 部 改 訂 され 、 レク リエ ー シ ョン の 森 の 選 定 を 、 地 域 施 業 計 画 樹 立 の 中 で 行 うこ と と され 、計 画 事 項 に 「国 民 の 保 健 及 び 休 養 の 用 に 供 す る 国 有 林 野 」が 追 加 され た 。つ ま り、 こ の こ とに よ り、 国 有 林 の 管 理 計 画 の 中 に 観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン の た め の 森 林 管 理 が 明 文 化 され て 位 置 づ け られ た とい え る。 この 流 れ を うけ て 、 翌1973(昭 和48)年 には 、 国有林 野 経 営 規 定 が 改 定 され 「 公 益的 機能 の維持 増 大 」 と 「 林 産 物 の 持 続 的 供 給 」 とが 国 有 林 の 経 営 上 同 格 の 目的 と して 位 置 づ け られ た 。 こ の 公 益 的 機 能 の 中 に は 、観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン に 相 当 す る保 健 休 養 機 能 が 含 ま れ て い る 。 ま た 、 同 年 に は 、 「レ ク リエ ー シ ョ ン 事 業 用 地 使 用 料 取 扱 要 領(48林 野326)」 や 、 「レ ク リエ ー シ ョ ン 森 の 管 理 経 営 方 針 書 作 成 要 領(4 8林 野 管173)」 が 定 め られ 、同 事 業 の た め 国 有 林 野 を使 用 許 可 す る 場 合 の 取 扱 い に つ い て 、 営 林 局 長 宛 に 通 達 が 出 され て い る。 ま た 、1974(昭 和49)年 には 、地域 施 業 計画 で施設 敷 き を 選 定 す る場 合 の 留 意 点 を 挙 げ る 「レ ク リエ ー シ ョ ン の 森 施 設 敷 き の 選 定 に つ い て 」が 、 林 野 庁 指 導 部 長 か ら営 林 局 長 宛 に 通 達 され て い る 。 な お 、1979(昭 和54)年 に は 、 「国 有 林 野 事 業 改 善 実 施 方 針 」 に お い て 、 既 に92カ 所 指 定 し た 既 存 の 自然 休 養 林 は そ の ま ま 存 続 させ る こ とに し て 、 さ らな る 自然 休 養 林 の 新 規 指 定 を 行 わ な い と した 。 ち な み に 、 こ の 時 期 に は 、1973(昭 和48)年 に国有 林 の施 業 方針 「 新 た な 森 林 施 業 」 が 打 ち 出 され 、 人 工 林 の 拡 大 造 林 主 体 の 施 業 の み な らず 、 公 益 的 機 能 を 重 視 した 天 然 林 施 業 へ と管 理 目的 が 徐 々 に移 行 を 始 め た 時 期 で も あ り、 観 光 レ ク リエ ー シ ョン に 限 らず 、 公 益 的 機 能 を 重 視 した 森 林 施 業 が 徐 々 に 市 民 権 を 得 た 時 期 で あ る と考 え られ る。 ま た 、 国 有 林 の 管 理 運 営 の 形 態 に つ い て も、 こ の 時 期 に は い くつ か の 動 き を 見 る こ と が で き る。1975(昭 和50)年 に は、 「 総 合 森 林 レ ク リエ ー シ ョ ン ・エ リア 整 備 事 業 実 施 要 領 (49林 野 管338)」 が 、 林 野 庁 か ら営 林 局 長 宛 に 通 達 され て い る。 こ れ は 、 森 林 レ ク リエ ー シ ョ ン事 業 の 一 環 と し て 営 林(支)局 長 が3,000ha以 上 の 区 域 を 総 合 レ ク リエ ー シ ョ ン エ リア に 指 定 し、 営 林 局 ・第 三 セ ク タ ー 等 が 共 同 して 施 設 の 総 合 的 な 配 備 ・運 営 を行 う事 業 で あ った。 1978(昭 和53)年 に は 、 「国 有 林 野 事 業 改 善 特 別 措 置 法 」 に よ り、 森 林 観 光 レ ク リエ ー シ ョン 施 策 に お い て も 国 民 に 対 す る サ ー ビ ス や 、 農 山村 地 域 の 振 興 等 を 考 慮 して 、 地 方 自 治 体 や 民 間 事 業 体 、第 三 セ ク タ ー な ど を活 用 した 施 設 整 備 、事 業 運 営 が 行 え る よ うに な り、 同 年 の 「国 有 林 野 事 業 の 改 善 に 関 す る 計 画 」 に よ り、 自主 財 源 の余 力 を 背 景 に 行 わ れ て い た 森 林 観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン事 業 が 「国 有 林 野 の 果 た す べ き 重 要 な 使 命 」の 一 部 門 と し て 、 主 体 的 な 位 置 づ け と して 採 りあ げ られ た 。 ま た 同 年 に 、 「 貸 付 ・部 分 林 ・共 用 林 野 等 の 取 扱 に つ い て(54林 野 管96)」 に も とづ き 、 「レ ク リエ ー シ ョ ン 事 業 用 地 使 用 料 取 扱 要 領 」 を 定 め、 用地 使 用料 を 「 地 価 方式 」 か ら 「 収 益 方 式 」 に 改 め は じ め た 。1982(昭 和57)年 に は 「 第 三 セ ク タ ー 等 の活 用 に よ る 多 目 的 森 林 レ ク リエ ー シ ョ ン 事 業 の 推 進 に つ い て(57林 野 管187)」 の 通 達 に よ り、 多 目的 森 林 レ ク リエ ー シ ョン 事 業 が 開 始 され 、 第 三 セ ク タ ー を 活 用 した 国 有 林 の 事 業 が 展 開 され る よ うに な っ た 。ま た 引 き 続 き 、1983(昭 和58)年 林 野 庁 長 官 か ら営 林(支)局 に は、 長 宛 に「 部 分 林 の 積 極 的 推 進 に つ い て(58林 野 管103)」 が 通 達 さ れ 、 国 有 林 の 活 用 に よ る 「ふ れ あ い の 森 林 づ く り」 運 動 を推 進 す る た め 、 単 に相 手 か ら の 申込 み を待 た ず に 、国 が 相 手 方 を積 極 的 に 募 集 す る よ う に な っ た 。そ して 、営 林(支) 局 長 は 対 象 地 の 選 定 、 公 示 を 行 っ た 。 さ ら に 、1983(昭 和58)年 に は 、 「ふ れ あ い の 森 林 づ く り推 進 要 領(58林 野 業52)」 に よ り、 山 村 と都 市 の 市 町 村 等 が 共 同 して 、 国 有 林 内 に ① 部 分 林 造 林 、 ② 記 念 造 林 ・体 験 林 業 、 ③ レ ク リエ ー シ ョ ン の 森 な ど の 施 設 の 造 成 を 行 う こ とに な っ た 。1984(昭 和59)年 の 「国 有 林 野 事 業 の 改 善 に 関 す る 計 画 」 の 中 で は 、 第 三 セ ク タ ー 方 式 を 積 極 的 に活 用 した 森 林 レ ク リエ ー シ ョ ン事 業 を 収 入 の 確 保 対 策 と して 行 う と同 時 に 、 レ ク リエ ー シ ョ ン 用 地 使 用 料 に っ い て 全 面 的 に 収 益 分 収 方 式 を 導 入 す る な ど森 林 レ ク リエ ー シ ョ ン事 業 の 相 対 的 位 置 づ け が 上 昇 した。ま た 同 年 に は 「 貸 し付 け 、部 分 林 、 共 用 林 野 等 の 取 扱 に つ い て 等 の 一 部 改 正 に つ い て(59林 野 管333)」 に よ り、 レ ク リエ ー シ ョ ン事 業 用 地 使 用 料 の適 用 業 種 に 、 索 道 業 の ほ か 、 新 た に 販 売 業 、 飲 食 業 、 旅 館 業 が 加 え られ た 。 さ ら に 、1984(昭 和59)年 に は、 「 全 国 国 有 林 レ ク リエ ー シ ョ ン 利 用 協 会 」 が 発 足 し て い る(林 野 庁 業 務 第 二 課1985)。 国 有 林 の 利 用 者 に 対 す る 対 応 に つ い て は 、1978(昭 和53)年 に、 国有 林 野管 理 問題研 究 会 が 発 足 し、 山 菜 ブ ー ム に よ る一 般 人 の 国 有 林 野 へ の 入 山 激 増 に 対 処 を 行 うこ と が 話 し合 わ れ て い る 。 ま た 、1980(昭 の 点 検 に つ い て(55林 1)-3民 和55)年 に は、 「 国 有林 野 内 にお け るス キー 場 の 国土 保 全等 野 管292)」 に よ り点 検 要 領 が 定 め られ た。 有 林 の観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン施 策 の 動 向 民 有 林 に 対 す る施 策 に つ い て は 、1970年 代 の 初 め は 、観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン に 関 わ る 森 林 の 各 種 調 査 が 行 わ れ 、 事 業 化 され た 時 期 で あ っ た と位 置 づ け られ る 。 例 え ば 、1970(昭 和45)年 に 「 保 健 保 安 林 配 備 基 本 調 査 」 が 、1971(昭 和46)年 に は 「大 規 模 森 林 レ ク リエ ー シ ョ ン 開 発 調 査 」 が 実 施 され て い る 。 さ らに 、1972(昭 和47)年 に は 、 「 保 健休 養 機 能 調 査 実 施 要 領(47林 野 計326)」 が林 野 庁 長 官 か ら営林 局 長 宛 に通 達 され 、 そ こで は観 光 レク リエ ー シ ョ ン な ど の 多 面 的 利 用 を積 極 的 に 推 進 す る た め に森 林 を 調 査 し、 地 域 施 業 計 画 樹 立 の 指 針 とす る 旨 が 明 記 され て い る。 加 え て 、1972(昭 和47)年 には 、林 野庁 「 森林 の 公 益 的 機 能 計 量 化 調 査 」が 実 施 され 、そ の 中 で 保 健 休 養 機 能 の 評 価 額 が 算 出 され て い る。 さ ら に 、1980(昭 和55)年 に は、総 理府 「 森 林 ・林 業 に 関 す る 世 論 調 査 」 の 結 果 が 発 表 さ れ てい る。 上 記 の 調 査 の う ち 、 大 規 模 森 林 レ ク リエ ー シ ョ ン 開 発 調 査 は 、1972(昭 和48)年 に 総 合 森 林 レ ク リエ ー シ ョン エ リア整 備 と名 称 を 変 更 し、 同 エ リア の 適 地 選 定 と基 本 計 画 調 査 に 着 手 した 。 そ して 、1973(昭 和49)年 に 群 馬 県 武 尊 地 域 、 岩 手 県 八 幡 平 地 域 で 整 備 事 業 が 開 始 され た 。 しか し な が ら 、 同 事 業 は この2箇 所 の 整 備 に と どま り、 そ の 後 の 発 展 を 見 る こ とは な か っ た 。 一方 、1971(昭 和46)年 に 、 国 ・民 有 の 保 安 林 を 対 象 に 治 山 事 業 の 一 環 と して 開 始 され た 「 生 活 環 境 保 全 林 整 備 事 業 」 は 、 後 の観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン の た め の 森 林 整 備 に お い て 大 き な 役 割 を 果 た す こ と に な っ た 。 生 活 環 境 保 全 林 整 備 事 業 は 、 都 市 の健 全 な 生 活 環 境 を 守 っ た り、 保 健 休 養 の 場 を 提 供 して くれ る森 林 の 中 で 、 と くに 重 要 な も の に 対 して 行 わ れ た 。 ま た 、 保 安 林 に つ い て は 、1972(昭 和47)年 、 保 安 林 制 度 問 題 検 討 会 に よ り、 ブ ロ ー ニ ュ の 森 や ウイ ー ン の森 、 フ ラ ン ク フ ル トの 都 市 林 な ど の よ うに 、 良 好 な 自然 環 境 を 有 す る 相 当 面 積 の健 全 な 森 林 の 保 全 形 成 を 図 る た め 、 保 健 保 安 林 の 配 備 を 積 極 的 に 推 進 す べ き で あ る とい う報 告 が な され 、 保 健 保 安 林 の 整 備 が 保 安 林 全 体 の 整 備 の 中 で 中 心 的 役 割 を担 う き っ か け とな っ た 。 そ れ を うけ て 、1973(昭 和48)年2,月 に 「経 済 社 会 基 本 計 画 」 が 策 定 され る際 、 保 健 保 安 林 の 積 極 的 整 備 が 盛 り込 ま れ 、 さ ら に 「 保 健 保 安 林 指 定 要 領(48林 野 治2222)」 が 定 め られ 、 保 健 保 安 林 を 全 国 で47万3千ha予 定 し、 そ れ を推 進 す る た め に 要 領 が 設 け られ た 。 ま た 同 年 に は 、 「ゴ ル フ場 造 成 に 係 る 保 安 林 解 除 の 当 面 の 取 扱 に つ い て(48林 野 治326)」 と い う通 達 が 出 され て い る。 そ して1974(昭 和49)年 に は 、 保 安 林 整 備 臨 時 措 置 法 が 再 度10カ 年 延 長 され た 。 こ の 延 長 に 際 して は 、 保 健 保 安 林 を計 画 的 か つ 緊 急 に 整 備 す る こ と を 主 目的 と し て い る。 ま た 、 同 年 に は 「第 三 次 保 健 保 安 林 整 備 計 画 」 が 策 定 さ れ 、1977(昭 和52)年 度 に か け て 全 国218 流 域 を 対 象 に保 安 林 の 拡 充 ・整 備 が 推 進 され る よ うに な っ た 。1974(昭 和49)年 には 「 生 活 環 境 保 全 林 買 い 入 れ 事 業 」 が 実 施 され 、 都 市 近 郊 等 に あ っ て 、 適 正 に管 理 す る必 要 が あ る重 要 な 民 有 の 保 健 保 安 林 に つ い て は 国 の 補 助(補 助 率 三 分 の 一)で 、計 画 的 に買 い入 れ 可 能 とな っ た 。 1972(昭 和47)年 利 用 促 進 事 業(森 に は 、 第 二 次 林 業 構 造 改 善 事 業 が 発 足 し、 そ の 一 環 と して 「 森林 総 合 総 事 業)」 が 進 め られ た 。 こ の 結 果 、 森 林 を 憩 い の 場 と し て 活 用 す る た めに、林 間 歩道 、林 間広 場等 の基盤 整備 、修 景 施 業等 の風 致 施 業 の実施 に対す る助成 が可 能 に な っ た。 第 二 次 林 構 事 業 に よ っ て 、 森 林 レ ク リエ ー シ ョ ンや 宿 泊 施 設 を伴 う協 業 施 設 が 補 助 の 対 象 に され る よ うに な り、 第 一 号 の 計 画 と して 岡 山 県 奥 津 町 な どが 採 り あ げ られ た(山 下1986)。 そ の 趣 旨 は 、 「民 有 林 に お い て 、 森 林 の 林 産 物 機 能 の 調 和 を は か りつ つ 、 森 林 の 有 す る保 健 休 養 機 能 を 十 分 に発 揮 す るた め 、 第 二 次 林 業 構 造 改 善 事 業 を 行 う こ と と し、 林 間 歩 道 、 林 間 広 場 、 林 間 キ ャ ン プ 場 等 の 施 設 を整 備 す る と と も に 、 花 木 植 栽 、 修 景 施業等の風致施業を行い、国民の保健休養 のた めの森林の整備 を推進す る」 とある。 しか し、当初の森総事業 は、 「 国民経済 の発展 と都 市生活環境 の悪化等 を背景 とした森林の保 健休養機能発揮に対する国民的要請及 び山村におけるの伸び悩み を背景 として、林産物の 生産機能 との調整 を図 りつつ保健休養機能 の発揮 を図 り、森林 の総合利用 を推進す ること によって多面的な林業経 営を行い、林業者 の所得 の向上と就業 機会の増大 に期する(注: ア ン ダ ー ラ イ ン は 筆 者)」 と され て い て 、 単 な る 市 町 村 民 の た め の 森 林 公 園 で は 補 助 の 対 象 に な ら な い と い う見 解 で あ っ た(林 野 庁 森 林 組 合 課1989)。 ま た 、 第 二 次 林 構 で は 、 事 業 主 体 が ほ とん ど市 町 村 等 の 自 治 体 に 限 られ て い た た め 、 協 業 体 が 事 業 主 体 に な る こ と が 困難 で あ っ た 。 そ の た め 、 シ イ タケ 組 合 な どの 地 場 産 業 を活 か した 観 光 開 発 な ど に は 必 ず し も効 果 的 で あ る とは 言 え ず 、 「 森 林 総 合 利 用 促 進 事 業 」 はや や も て あ ま し気 味 で あ る と い う不 満 が 当 時 の 文 献 で 表 明 され て い る(山 岸1979)。 しか し、 後 の1980(昭 和55)年 に 見 直 され た 林 業 構 造 改 善 事 業 で 、 テ ニ ス コ ー ト、 宿 泊 施 設 、 食 堂 な ど様 々 な 施 設 を 同 事 業 で 整 備 で き る よ うに す る な ど体 制 が 整 え られ て い っ て 、 観 光 レ ク リエ ー シ ョン の 施 設 整 備 事 業 と して の 性 格 を よ り強 め て い っ た 。 そ の ほ か に も、 森 林 観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン に 関 わ る 事 業 が 、 こ の 時 期 に は い くつ か 行 わ れ て い る。 例 え ば 、1975(昭 和53)年 和50)年 に は、 「 青 少 年 の 森 整 備 事 業 」 が 開 始 され 、1978(昭 に 「 二 十 一 世 紀 の 森 整 備 事 業 」 に 引 き 継 が れ 、 さ らに1986(昭 和61年 に 「 体験 の 森 整 備 事 業 」 に 引 き継 が れ て い る 。 都 市 林 に つ い て も 、1978(昭 和53)年 に 「 都 市 周 辺 林 整 備 計 画 作 成 事 業 」 が 実 施 され 、 都 市 環 境 の 保 全 と保 健 休 養 の 場 の 確 保 が 行 わ れ て い る。 ま た 、1984(昭 通達 和59)年 に林 野庁 「 第 三 セ ク タ ー 等 の 活 用 に よ る多 目的 森 林 レク リエ ー シ ョン 事 業 の 推 進 に つ い て 」 に も とづ き 「 都 市 近 郊 林 緑 化 推 進 モ デ ル 事 業 」 が 開 始 され 、 都 市 環 境 の 保 全 と保 健 休 養 の 場 の 確 保 が 行 わ れ て い る。 1)-4他 省 庁 や 民 間 な どの 動 向 国 際 的 ・学 術 的 な 動 向 と して は 、1980(昭 和55)年 にWTO(世 界 観 光 機 関)主 催 の 「 世 界 観 光 会 議 」 が フ ィ リ ピ ン ・マ ニ ラ で 開 催 され て い る 。 こ の 会 議 で は 、 「国 家 及 び 国 際 レ ベ ル で の 観 光 開 発 は 、 供 給 が 慎 重 に 計 画 され 、 高 水 準 で あ り、 文 化 遺 産 、 観 光 の 価 値 並 び に 自然 、 社 会 及 び 人 間 の環 境 を保 護 し尊 重 す る な らば 、 国 民 生 活 に 積 極 的 に貢 献 す る こ と が で き る 。そ の た め に は 、観 光 資 源 の 過 剰 利 用 を さ け 、諸 国 の 芸 術 と文 化 の 遺 産 を保 護 し、 観 光 の 教 育 的 価 値 を増 進 し 、 及 び 動 植 物 の 種 を 将 来 の 世 代 の た め に 保 護 す る努 力 を 強 化 す べ し」と い う観 光 開 発 の 理 念 及 び 行 動 を示 した マ ニ ラ 宣 言 が 採 択 され て い る。ま た1981(昭 和55)年 に は 、 第17回 ユ フ ロ(IUFRO)世 界 大 会 が 我 が 国 に 誘 致 され 、 京 都 で 開 催 され た 。 そ して 、 ユ フ ロ の 第6部 会 に お い て 森 林 レ ク リエ ー シ ョン つ い て 討 議 が 行 わ れ た 。 この 部 会 に お い てROSな ど の 森 林 管 理 手 法 が 我 が 国 に 紹 介 され た こ と は 序 章 で 述 べ た と お りで あ る。 な お 、 こ の 時 期 の 他 省 庁 の 動 向 と し て は 、1970(昭 和45)年 に労働 省 が 「 勤 労者 い こい の村 」 を、環 境 庁 が 「 国民 休養 地制 度 」 を、運 輸省 が 「 観 光 レ ク リエ ー シ ョン 地 区 事 業 」 を 、 自治 省 が 「レ ク リエ ー シ ョン都 市 」 を 、 文 部 省 が 「 少 年 自然 の家 」 を 開 始 して い る。 ま た 、環 境 庁 が 設 立 され た1971(昭 和46)年 に は 、農 林 水 産 省 に よ る 「自然 休 養 村 事 業 」 や運輸省の 「 青 少 年 旅 行 村 事 業 」 が 開 始 され 、 「自然 環 境 保 全 法 」 が 公 布 され た1972(昭 和47)年 には 「 大 規 模 年 金 保 養 基 地 構 想 」 や 、 国 土 庁 の 「新 山 村 モ デ ル 事 業 」 が 開 始 され た 。 そ して 、 「 都 市 緑 地 保 全 法 」 が 公 布(翌 年 施 行)さ れ 、 自然 公 園 法 が 改 正 され て 普 通 地 域 の 規 制 が 強 化 され た り公 園 事 業 か ら ゴル フ 場 が 削 除 さ れ た1973(昭 和48)年 には 、通 商 産 業 省 が 初 の 余 暇 白書 を 発 表 し 、 労 働 省 が 「野 外 趣 味 活 動 整 備 事 業 」 を 、 自 治 省 が 「レ ク リエ ー シ ョ ンエ リア 整 備 事 業 」 を 開 始 し て い る。 本 章 の 前 半 で 採 りあ げ た 「 国 土 利 用 計 画 法 」 は1974(昭 和49)年 に公 布 され 、 同 年 に は 同法 に基 づ き 「 森 林 法 」 が 改 正 され て 林 地 開 発 許 可 制 度 な どが 付 与 さ れ 、 ま た 「山 村 と都 市 共 同 の 山 村 振 興 モ デ ル 事 業 」 が 開 始 され て い る 。 さ ら に 、1977(昭 和52)年 には 、 「 第 三 次 全 国総 合 開 発計 画 」 の策 定 や 、 「 緑 のマスタ ー プ ラ ン 」 制 度 の 開 始 が 見 られ 、 翌1978(昭 和53)年 に は 、 第1回 自 然 観 察 指 導 員 講 習 会 が 開 催 さ れ て い る 。 そ して 、1980(昭 和55)年 に は 、 「明 日香 村 に お け る歴 史 的 風 土 の 保 存 及 び 生 活 環 境 の整 備 に 関 す る 特 別 措 置 法 」 や 「 特 に水 鳥 の生 息地 と して国際 的 に重要 な 湿 地 に 関 す る 条 約(ラ ム サ ー ル 条 約)」 が 公 布 され て い る。 以 上 、 こ の 時 期 は 高 度 経 済 成 長 に よ る 経 済 発 展 に伴 い 国 民 の 所 得 が 向 上 して い く中 で 、 観 光 レ ク リエ ー シ ョン活 動 が 一 般 化 した た め 、 観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン に 関 わ る森 林 管 理 施 策 が 総 合 的 な 観 点 か ら行 わ れ る よ うに な っ た 。 そ して 、1960年 代 ま で は ど ち ら か とい う と 国 有 林 施 策 に 大 き な 重 点 が 置 か れ て い た き らい が あ っ た観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン の た め の 森 林 管 理 施 策 で あ っ た が 、 こ の 時 期 に は 民 有 林 に 対 す る施 策 も 併 行 して 行 わ れ る よ うに な っ た 。 しか しな が ら、 この 時 期 の ほ とん ど の 施 策 は 、 ま だ 地 域 全 体 を 考 慮 した 観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン 事 業 、 あ る い は ラ ン ドス ケ ー プ構 造 を 考 慮 した 事 業 の 展 開 に な っ て い る とは 言 い 難 く 、 計 画 性 を 高 く意 識 して 内 発 的 に 施 策 が 行 われ て い る と言 う よ りは 、 む し ろ 外 圧 に 基 づ く対 応 型 の 施 策 ス タ イ ル が 多 い と い う状 況 に あ っ た と考 え られ る。 2)昭 和 戦 後 期 の動 向 そ の5(1980年 代 後 半 ∼) ∼ バ ブ ル 期 ・不 況 期 に お け る 森 林 観 光 レ ク リ エ ー シ ョ ン 施 策 の 多 様 化 ∼ 1980年 代 の 後 半 か ら1990年 代 に か け て の 間 は 、1987(昭 発 計 画(四 87(昭 全 総)」、1988(昭 和62)年 和62)年 の 「 第 四次 全 国総 合 開 和63)年 の 「 多 極 分 散 型 国 土 形 成 促 進 法 」 の 制 定 、 そ して19 の 「 総 合 保 養 地 域 整 備 法(リ ゾ ー ト法)」 に 象 徴 され る よ うに 、 い わ ゆ る バ ブ ル 経 済 と い う未 曾 有 の 好 景 気 の 影 響 を受 け て 、 我 が 国 の 国 土 が 大 き く改 変 され た 時 期 か ら始 ま っ た 。 こ の 時 期 は 、 民 間 な ど の 金 融 資 本 が 活 用 され た 結 果 、1970年 代 前 半 に 続 き 「第 二 の 土 地 ブ ー ム 」 を よ ん だ 。 そ し て 、 森 林 観 光 レ ク リエ ー シ ョン は 、 リ ゾ ー ト法 で 提 唱 され た 民 間 活 力 の利 用(民 活)な ど を 具 体 的 な 手 法 と して 、 国 の 政 策 と連 動 した 総 花 的 な 観 光 レ ク リエ ー シ ョン 開 発 の 一 環 と して 推 進 され た と位 置 づ け られ る。 そ れ に な らい 、 森 林 観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン に 関 わ る林 野 事 業 も 、 この 時 期 に は 目 白押 しで 展 開 され る よ う に な っ た と い え る。 詳 細 は 以 下 に述 べ る が 、 こ の 時 期 は 、 単 年 度 中 に 複 数 の観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン に 関 わ る林 野 施 策 が 展 開 され る こ とが 、 当 た り前 に な っ た 時 期 で あ る 。 し か しな が ら 、1990(平 成2)年 末 のバ ブル 経済 の崩 壊 に ともない 、我 が国 で は長 い経 済 的 低 迷 期 を 迎 え る こ と に な っ た 。 そ して20世 紀 が 終 わ る ま で 、 つ ま り1990年 代 の 間 は ず っ と、 と う と うそ の 低 迷 期 か らは 抜 け 出 せ な い ま ま の 状 況 が 続 い た 。 バ ブ ル 経 済 の 崩 壊 に よ る 経 済 状 態 の 変 化 を う け て 、1993(平 成5)年 には、 「 総 合 保 養 地 域 整 備 研 究 会 」が 「 今 後 の リ ゾー ト整備 の あ り方 」を 発 表 し、 リゾ ー ト法 自体 の 見 直 し こそ 行 わ な か っ た も の の 、 巨 大 な 資 本 を投 下 す る 開発 主 体 型 の リ ゾー ト開 発 か ら脱 却 し、 ① 国 民 の た め の リゾ ー ト、 ② 地 域 の た め の リ ゾ ー ト、 ③ 新 た な 国 土 形 成 に お け る リ ゾー トと い う理 念 を 明 確 に し、 そ の た め の 体 制 強 化 が 必 要 で あ る と提 言 し た 。 そ の よ うな 開 発 型 の 観 光 レ ク リエ ー シ ョン 施 策 を 改 め る 考 え 方 は 、5全 総 に あ た る1998(平 成10)年 の 「21世紀 国 土 の グ ラ ン ドデ ザ イ ン 」 に も引 き継 が れ て い る 。 ま た 、1990年 代 後 半 は 、地 方 分 権 に 対 す る国 民 の 世 論 が 高 ま っ た 時 代 で も あ り、1999(平 成11)年 2)-1林 に 「中 央 省 庁 改 革 関 連 法 」 や 「 地 方 分 権 一 括 法 」 が 制 定 され て い る。 野行 政 全般 の動 向 こ の 時 期 は 、 林 野 行 政 全 般 の 動 き の 中 で 、 観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン に 関 わ る 施 策 が 林 野 行 政 の 前 面 に 比 較 的 現 れ る よ うに な っ た と考 え られ る 。 例 え ば 、1987(昭 和62)年 に 「 森林 資 源 に 関 す る 基 本 計 画 」 が 改 訂 され 、 森 林 の 機 能 分 類 で 一 括 され て い た保 健 保 全 機 能 が 、 ① 生 活 環 境 保 全 機 能 と 、 ② 保 健 文 化 機 能 に 分 け られ 、 観 光 レ ク リエ ー シ ョン 機 能 の 施 策 的 独 立 性 が 一 段 と 高 ま っ た 。 つ ま り、 従 来 か らの 観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン の 場 と して の 利 用 に 加 え 、 森 林 浴 の 場 と し て の 利 用 、 ラ イ フ ス タ イ ル の 変 化 に 伴 うア ウ ト ドア ラ イ フ の 舞 台 と し て の 利 用 、 教 育 の 場 と し て の 利 用 な ど の 、 保 健 ・文 化 ・教 育 的 な 面 も合 わ せ た 森 林 空 間 の 総 合 的 な利 用 が 林 野 施 策 で 一 層 重 視 され る よ うに な っ た 。 そ し て 、 こ の 年 に は 、 「(社) 全 国 森 林 レ ク リエ ー シ ョ ン協 会 」 が発 足 して い る。 さ らに 、 こ の 流 れ を う け て 、1989(平 成 元)年 に 、 第116回 臨 時 国 会 で 「 森 林 の保 健 休 養 機 能 の 増 進 に 関 す る 特 別 措 置 法 」 が 可 決 され た 。 本 法 の ね ら い は 、 ① 保 健 休 養 の 場 と し て適 して い る森 林 の利 用 を 森 林 法 に 定 め る 森 林 計 画 制 度 の 中 に 位 置 づ け 、 森 林 計 画 制 度 に 基 づ き 森 林 所 有 者 が森 林 施 業 計 画 の 中 に森 林 の 施 業 に 加 え て 施 設 の 整 備 に つ い て 盛 り込 む こ と が で き る よ うに して 、 両 者 を 一 体 的 に 進 め る よ うに す る こ と。 ② 施 設 の整 備 は 施 設 面 積 を 総 量 規 制 に よ り規 制 し、 さ ら に個 々 の 施 設 に つ い て も公 益 的 機 能 を 損 な う こ と が な い よ う技 術 的 基 準 を 定 め て 規 制 す る こ と。 に あ っ た(林 野 庁 企 画 課1989)。 立 つ こ と2年 、1987(昭 和62)年 国 策 の 流 れ 全 体 を 見 る と、 上 述 の 通 り、 同 法 の 成 立 に 先 には 「 総 合 保 養 地 域 整 備 法(リ ゾ ー ト法)」 が 公 布 され て い る。 リ ゾ ー ト法 で は 、 同 法 で 定 め る 「 重 点 整 備 地 区 」 内 の 森 林 の うち 、 特 定 施 設 の 設 置 、 利 用 等 に 関 連 して 保 健 休 養 機 能 の 発 揮 が 必 要 と され る森 林 に つ い て は 、 保 健 保 安 林 の 指 定 及 び 整 備 を 積 極 的 に進 め る こ とが 明 記 され て い た 。 ま た1987(昭 信 電 話 株 式 会 社(NTT)の 措 置 法(社 和62)年 の 「日本 電 株 式 の 売 却 収 入 の 活 用 に よ る 社 会 資 本 の 整 備 の 促 進 に 関 す る特 別 会 政 策 特 別 措 置 法)」 の 制 定 に よ り、NTT株 式 の 売 却 益 を 民 活 事 業 に 融 資 す る 根 拠 が 整 い 、 多 額 の 資 金 が リ ゾー ト開 発 に 振 り向 け られ る 基 盤 が 整 っ た。 そ の よ うな 流 れ を うけ て 、 「 森林 の保健 休養 機 能 の増 進 に 関す る特別措 置 法」 で は、 ① 農 林 水 産 大 臣 が 、 森 林 の 保 健 休 養 機 能 に 関 す る基 本 方 針 を 定 め 、 これ に も とづ き 全 国 森 林 計 画 ・地 域 森 林 計 画 の 手 直 し を行 い 、 ② 森 林 所 有 者 は 森 林 施 業 計 画 の 一 環 と して 、 森 林 の 保 健 休 養 機 能 の 増 進 を 図 る た め の 計 画 を 当該 森 林 施 業 計 画 の 全 部 ま た は 一 部 と して 定 め て 、 都 道 府 県 知 事 の認 定 を 求 め る こ とが で きる。 と され た 。 つ ま り、 同 法 に よ り、 森 林 の 観 光 レ ク リエ ー シ ョン 施 策 が 、 民 有 林 施 策 に お い て も 手 続 き 上 明 確 に 森 林 計 画 の 計 画 事 項 の遡 上 に載 せ られ る こ と に な っ た 。 実 際 に は 、 対 象 と な る 森 林 は 、 増 進 法 に よ り指 定 され た 森 林 に 限 られ 、 国 内 の 計 画 対 象 森 林 全 体 と比 較 す る と、 ご く狭 い 範 囲 と い わ ざ る を 得 な い が 、 保 健 機 能 森 林 と し て 森 林 計 画 に 明 記 され る こ と事 実 が 重 要 で あ る と考 え られ る 。 な お 、 こ の 計 画 は 、 森 林 施 業 と小 規 模 な 施 設 の 整 備 と を 有 機 的 に 組 み 合 わ せ て レク リエ ー シ ョ ン利 用 の 効 果 を 高 め よ う とす る 内 容 な の で 、 観 光 レ ク リエ ー シ ョン 的 利 用 の 前 提 と して 、 森 林 保 全 の 見 地 か ら、 林 地 開 発 や 立 木 伐 採 に 関 す る 技 術 的 基 準 が 定 め られ て い て 、 そ れ に 従 うこ と が 知 事 の 認 定 用 件 と な っ て い た 。 そ の た め 、 こ の 制 度 で 認 定 を 受 け て い れ ば 、 こ の 計 画 に従 っ て 実 施 され る 林 地 開 発 や 立 木 伐 採 に つ い て は 、 森 林 法 に 定 め る一 般 的 な 開 発 許 可 の 対 象 か ら免 除 され る こ と に な っ た(半 推 進 す る た め に 、1989(平 成 元)年 研 究 会 」 を発 足 させ 、1990(平 施 行 令(政 令113)」 設(公 田1990)。 ま た 、 こ の 増 進 法 を 円 滑 に に 林 野 庁 で は 「森 林 の 保 健 機 能 増 進 に 関 す る 技 術 基 準 成2)年 には 「 森 林 の保 健機 能 の増進 に関す る特別 措 置 法 を 公 布 し た 。 そ して 、 増 進 法 施 行 令 の2条2項2号 「 政 令 で 定 め る施 衆 用 の 森 林 保 健 施 設)」 で は 、 保 健 施 設 を ① 休 養 施 設 、 ② 教 養 文 化 施 設 、 ③ ス ポ ー ツ ま た は レ ク リエ ー シ ョ ン施 設 、 ④ 宿 泊 施 設 、 ⑤ そ れ らの 利 用 上 必 要 な 施 設 の5施 設であ る と規 定 した 。 ま た 同 年 に は 、 「 森 林 の保 健 機 能 の 増 進 に 関 す る 特 別 措 置 法 」3条1項 に も とづ く基 本 方 針 が 策 定 され 、 保 健 機 能 森 林 の 設 置 指 針 、 施 業 の 指 針 、 施 設 整 備 の 指 針 な ど が 定 め られ た 。 な お 、 同 法 に も 関 連 し て 、1990(平 成2)年6月 には 、 「 保安 林 及 び 保 安施 設 地 区 の指 定 ・解 除 等 の 取 扱 い に つ い て の 一 部 改 正 並 び に 保 安 林 転 用 に 係 わ る解 除 の 取 扱 要 領 の 制 定 及 び 開 発 行 為 の 許 可 基 準 の 運 営 細 則 に つ い て の 一 部 改 正 に つ い て(2林 治1868)」 が だ され 、 保 安 林 転 用 許 可 、 林 地 開 発 許 可 制 度 の 基 準 等 が 改 訂 され た 。 特 に 転 用 解 除 に係 わ る ゴル フ 場 や ス キ ー 場 な どの 開 発 で は 、 残 す べ き 森 林 の 割 合 が5割 か ら7割 に 引 き 上 げ られ る な ど の土 工量 の 改正 が あ った。 こ の よ うに 、 華 々 しい 展 開 が 期 待 され た リゾ ー ト法 お よび 増 進 法 で は あ っ た もの の 、19 90(平 成2)年12月 に バ ブ ル 経 済 の 崩 壊 が 訪 れ 、 そ れ 以 降 は 資 金 難 な ど に よ る リ ゾー ト開 発 の 縮 小 ・撤 退 が 相 次 ぐ結 果 と な っ た 。 ま た 、 分 権 化 の 推 進 に と も な い1998(平 成10)年 には 、 「 森 林 法 等 の 一 部 を改 正 す る 法 律 」 が 公 布 され 、 そ れ に と も な い 「 森 林 の保 健 機能 の 増 進 に 関 す る 法 律 」 も改 正 され た 。 そ して 、 市 町 村 が 市 町 村 森 林 整 備 計 画 を 変 更 ・作 成 す る と き 、 保 健 機 能 森 林 の 区域 、 森 林 保 健 施 設 の 整 備 に 関 す る事 項 を 追 加 して 定 め る と さ れ た 。 つ ま り、 森 林 計 画 に お け る 観 光 レ ク リエ ー シ ョン に 関 わ る 事 項 を 定 め る 主 体 が 都 道 府 県 か ら市 町 村 へ 移 され た わ け で あ る 。 た だ し、 森 林 保 健機 能 増 進 計 画 を 市 町 村 長 が 認 定 す る と き に は 、 知 事 の 同 意 が 必 要 で あ る と さ れ た た め 、 市 町 村 が 主 体 とは い え都 道 府 県 の 関 与 が 完 全 に な くな っ た わ け で は な い 。 な お 、 こ の 時 期 は 、 バ ブ ル 経 済 の衰 勢 の 一 方 で 、 森 林 の 多 面 的 機 能 を重 視 した 森 林 管 理 シ ス テ ム の 見 直 しや 、 国 有 林 の 赤 字 、 あ る い は 国 内 林 業 そ の も の の 不 振 に 対 処 す る た め 、 1991(平 成3)年 に 森 林 法 が 改 正 され 、 「 森 林 の 流 域 管 理 シ ス テ ム 」 の確 立 と森 林 立 地 の 管 理 保 全 の 強 化 を 行 い 、 「国 有 林 の 地 域 別 の 森 林 計 画 」 や 「特 定 森 林 施 業 計 画 」 制 度 を創 設 し た り、1996(平 成9)年 成8)年 に いわ ゆ る 「 林 野 三 法 」 が 施 行 され て い る。 ま た 、1997(平 に は 、 林 政 審 議 会 の答 申 「 林 政 の 基 本 方 向 と国 有 林 野 事 業 の 抜 本 的 改 革 」 に よ り 国 有 林 野 組 織 の 簡 素 化 ・合 理 化 が 行 わ れ た 時 期 で 、1998(平 成10)年 に 「 国有 林 野事 業 改 革 特 別 措 置 法 」 や 「国 有 林 野 事 業 の 改 革 の た め の 関 係 法 律 の 整 備 に 関 す る 法 律 」 が 制 定 さ れ て い る。 さ ら に 、1999(平 成11年 に は 、 森 林 の 多 面 的 機 能 を発 揮 させ る た め の 森 林 の 管 理 経 営 を重 視 した 政 策 に 転 換 を 念 頭 に 、 林 野 庁 が 「 森 林 ・林 業 ・木 材 産 業 基 本 政 策 検 討 会 」 を設 置 し、2001(平 2)-2国 成13)年 の 「 森 林 ・林 業 基 本 法 」 の 制 定 へ とつ な が っ て い る。 有 林 の観 光 レ ク リエ ー シ ョン 施 策 の 動 向 国 有 林 の 林 野 施 策 と して も、 こ の 時 期 観 光 レ ク リエ ー シ ョン に 関 わ る 多 数 の 事 業 が 展 開 され て い る 。 ま ず 始 め に 、1985(昭 い て(60林 野 業-102)」 この 事 業 は 、 営 林(支)局 和60)年 に 「 ふ れ あ い の 郷 整 備 モ デ ル 事 業 の 実 施 につ に も とづ き 、 国 有 林 で 「 ふ れ あ い の 郷 整 備 事 業 」 が 開 始 され た 。 長 が 公 募 を行 い 、 契 約 に よ り分 収 造 林 や 分 収 育 林 に よ る 森 林 づ く りに 参 加 して も ら う と同 時 に 、 国 有 林 野 内 に滞 在 用 地 施 設 の 貸 し付 け を 行 う制 度 で あ っ た(林 野 庁 業 務 第 一 課1989)。 つ ま り、 ① 分 収 造 林 ま た は 分 収 育 林 、 ② 滞 在 用 施 設 「 森林 の 家 」 建 築 用 の 用 地 貸 し付 け 、 ③ 森 林 の 家 の 建 築 部 材 の 販 売 か ら な る 事 業 で 、 都 市 山 村 交 流 が 目的 と され て い る が 、 国 有 林 野 事 業 に お け る 木 材 価 格 の 低 迷 、 伐 採 量 の低 下 に よ り、 国 有 林 野 改 善 計 画 が 推 し進 め られ る 中 で 、 森 林 観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン 事 業 が 収 益 確 保 の 一 環 と し て 射 程 に 入 れ られ る よ うに な っ た こ と が 、こ の 事 業 が 開 始 され た き っ か け で も あ る。 翌 年 の1986(昭 和61年 に は、林 政 審 議 会 が 「 林 政 の 基 本 方 向 」 を 報 告 し、 「文 化 ・教 育 的 利 用 、 レ ク リエ ー シ ョ ン的 利 用 、 森 林 の 農 林 一 体 的 利 用 」 等 へ の 取 り組 み が 示 され 、 森 林 の 総 合 利 用 の た め の 森 林 整 備 の 重 要 性 が 採 りあ げ られ た。 そ して 、 同 年 の 「 国有 林 野 事 業 の 改 善 に 関 す る 計 画 の 改 定 ・強 化 に つ い て(中 間 報 告)」 で 、 国 有 林 野 の 機 能 別 分 類 案 が 提 示 され て い る 。 こ の 案 に お け る 国 有 林 の 分 類 内 容 は8種 類 で 、 木 材 生 産 林 、 国 土 保 全 林 、 自然 保 護 林 、 里 山 林 、 都 市 近 郊 林 、 レ ク リエ ー シ ョ ン林 、 自然 教 育 林 で あ り、 観 光 レク リエ ー シ ョ ン に 関 わ る 森 林 が独 立 した カ テ ゴ リー と し て計 上 され て い た 。 ま た 、 さ らに1986(昭 和61)年 に は 、 国 有 林 を対 象 に 「レク リエ ー シ ョ ンの 森 整 備 モ デ ル 事 業(61林 業 二130)」 が 開 始 さ れ て い る。 こ れ は 自然 休 養 林 等 の 「レ ク リエ ー シ ョ ン の 森 」 の 利 用 者 に 協 力 を 求 め 、 森 林 ・利 用 施 設 の 整 備 ・環 境 美 化 を行 う事 業 で あ っ た。 こ こ で言 う 「 協 力 」 と は 、利 用 者 か ら 自 主 的 に 拠 出 され る 資 金 、つ ま り 「 森林 環 境整 備 協 力金 」 を 指 し、 観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン施 設 や 環 境 の 整 備 の た め の 経 費 の 一 部 を 、 利 用 者 に負 担 し て も ら う制 度 が 開 始 され た 訳 で あ る 。 な お 、 こ の 制 度 は1992(平 整 備 協 力 金 制 度 」 に 引 き継 が れ 、 さ ら に1996(平 成8)年 成4)年 に 、 「森 林 環 境 に は 「レ ク リエ ー シ ョ ン の 森 に お け る 森 林 環 境 整 備 事 業(森 林 環 境 整 備 推 進 協 力 金)」 に 発 展 し た(業 野 総 合 利 用 推 進 室1996)。 ま た 、1986(昭 和61年 務 第 二 課 ・国 有 林 に レ ク リエ ー シ ョ ン の 森 な ど に 、 個 人 が 記 念 植 樹 を行 う な どの 「 森 林 空 間 総 合 利 用 事 業 」 が 開 始 され た 。 こ の 事 業 は 翌 年 、 「 森 林 との ふ れ あ い 環 境 整 備 対 策 事 業 」 と して 再 出発 し、1991(平 1987(昭 和62)年 成3)年 ま で行 われ た。 に は 、 「森 林 空 間 総 合 利 用 整 備 事 業 の 実 施 に つ い て(62林 業 二27)」 に 基 づ き、 「 森 林 空 間 総 合 利 用 整 備 事 業 」 い わ ゆ る ヒ ュー マ ン ・グ リー ン ・プ ラ ン が 開 始 さ れ た 。 ヒ ュ ー マ ン ・グ リー ン ・プ ラ ン で は 、 「国 有 林 野 の 中 の 自然 景 観 が 優 れ 、 野 外 ス ポ ー ツ に 適 した 森 林 空 間 お よび 温 泉 資 源 等 を 積 極 的 に 国 民 の 利 用 に 供 す る こ と と し 、 民 間 事 業 体 の 能 力 を活 用 しつ つ 、野 外 ス ポ ー ツ の 場 、 自然 との ふ れ あ い の場 、青 少 年 の 教 育 の 場 、 保 養 の 場 、 森 林 づ く りや 体 験 林 業 の 場 等 の 総 合 的 な整 備 と森 林 の 整 備 を一 体 的 に 行 う(林 野 庁1987,林 野 庁 業 務 第 二 課1989)」 と され て い る。 ま た 、 これ に 関 連 して 、1988(昭 和6 3)年 に は 、 「 森 林 空 間 総 合 利 用 整 備 事 業 に お け る レ ク リエ ー シ ョ ン 車 道 の 整 備 に つ い て(6 3林 野 業 二179)」 が 、 林 野 庁 長 官 か ら各 営 林(支)局 長 宛 に 通 達 され た 。 こ の 通 達 で は 、 ヒ ュ ー マ ン ・グ リー ン ・プ ラ ン に お い て 整 備 す る ア クセ ス 道 路 の 構 造 、 管 理 、 費 用 負 担 な どを定 め てい る。 1988(昭 和63)年 に は 、 林 野 庁 の 私 的 諮 問 機 関 「 林 業 と 自然 保 護 に 関 す る 検 討 委 員 会 」 が 報 告 書 を ま と め 、 林 野 庁 長 官 に 提 出 し て い る。 こ の 報 告 書 で は 、 当 時 知 床 の 森 林 伐 採 問 題 な ど で 世 論 と して 高 ま っ て い た 自 然 保 護 の 重 視 を打 ち 出 し、 原 生 的 自然 環 境 保 全 の た め 「 森 林 生 態 系 保 護 地 域 」 を 設 け る な ど 、 国 有 林 の保 護 林 制 度 を大 き く改 革 す る き っ か け と な っ た こ とに 特 徴 が あ る。 こ の 保 護 林 制 度 の 改 定 に よ っ て 、保 護 林 の 種 類 は 、 ① 森 林 生 態 系保 護 地 域 、② 森林 生 物遺伝 資源保 存 林 、③ 林 木遺 伝 資源 保存 林 、④ 植 物群 落 保護 林 、⑤ 特 定 動 物 生 息 地 保 護 林 、 ⑥ 特 定 地 理 等 保 護 林 、 ⑦ 郷 土 の 森 の7種 類 と な っ た 。 観 光 レ ク リ エ ー シ ョ ン の 観 点 か らは 、 保 護 林 に 森 林 生 態 系 保 護 地 域 が 設 定 され 原 生 的 な 森 林 に お け る エ コ ツ ー リ ズ ム が 注 目 を浴 び る と と も に 、 「郷 土 の 森 」 の 概 念 が 導 入 され た こ と が 注 目に 値 す る。 「 郷 土 の 森 」 と は 、 国 有 林 に お い て 、 地 域 に お け る 象 徴 と して の 意 義 を 有 す る 等 に よ り、 森 林 の 現 状 の 維 持 に つ い て 地 元 市 町 村 の 強 い 要 請 が あ る森 林 を保 護 し、 併 せ て 地 域 の 振 興 に 資 す る こ とを 目的 と して 、 地 元 市 町 村 と 「 郷 土 の森保 存 協 定 」 を結 ん で設 定す る保 護 林 で あ る。 つ ま り、 保 護 林 の 対 象 に 観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン な どに よ る 地 域 振 興 と い う施 策 目的 が位 置 づ け られ た とい え る 。 ま た 、1989(平 成 元)年 に は、 「 森 林 ふ れ あ い 推 進 事 業(元 林 野 業 二147)」 が 実 施 され た 。 こ の 事 業 で は 、 森 林 と の ふ れ あ い を希 望 す る者 を募 集 し、加 入 費 ・参 加 費 を 取 っ て 各 種 イ ベ ン トが 実 施 され た。 そ の 一 環 と して 、 「 森 林 倶 楽 部 」 が 発 足 し た 。森 林 倶 楽 部 とは 、 森 林 との ふ れ あ い を 通 じて 自然 と親 しみ ・遊 び ・学 ぶ 喜 び を味 わ っ て も ら う こ と を 目的 に 始 め られ た 制 度 で 、 現 在 で も全 国 各 地 で 活 動 を展 開 して い る。 1990(平 成2)年 に は 、5月 に 国 有 林 の 「レ ク リエ ー シ ョン の 森 」 の 地 種 区 分 が 変 更 さ れ 、 ① 自然 観 察 教 育 林 、 ② 森 林 ス ポ ー ツ林 、 ③ 野 外 ス ポ ー ツ 地 域 、 ④ 風 景 林 、 ⑤ 風 致 探 勝 林 、⑥ 自 然 休 養 林 、⑦ レク リエ ー シ ョン の 森 施 設 敷 の7種 類 の 区 分 体 系 と な っ た 。そ して 、 8月 に は 、 「 今 後 の 林 政 の 展 開 方 向 と国 有 林 野 の 経 営 改 善 」 が 公 表 され 、 国 有 林 の 機 能 分 類 に つ い て 言 及 され 、1992(平 成4)年 に 、上 記7項 目 で あ っ た レ ク リエ ー シ ョン の 森 が 、 ① 自然 休 養 林 、 ② 自然 観 察 教 育 林 、 ③ 森 林 ス ポ ー ツ 林 、 ④ 野 外 ス ポ ー ツ 地 域 、 ⑤ 風 景 林 、 ⑥ 風 致 探 勝 林 の6種 類 に 再 編 され て い る。 ま た 、 この 年 か ら 「 森 林 利 用 ガ イ ド事 業 」 が 行 わ れ 、 高 尾 森 林 セ ン タ ー な ど全 国 の 森 林 セ ン タ ー 等 で の ガ イ ド事 業 が 実 施 され た 。 1991(平 成3)年 に は 、 上 述 の 森 林 法 改 正 に 伴 い 、 国 有 林 野 経 営 規 定 が 改 定 され 、 森 林 が 重 点 的 に 発 揮 す べ き 機 能 に も と づ い て 区 分 を行 う とい う国 有 林 野 の 機 能 類 型 が 行 わ れ た 。 こ こ で 定 め られ た 機 能 類 型 は4種 類 で 、① 国土保 全 林 、② 自然維 持林 、③森 林 空 間利 用 林 、 ④ 木 材 生 産 林 で あ る。 こ の 類 型 で は 、 「 森 林 レ ク リエ ー シ ョ ン 等 国 民 の 保 健 ・文 化 的 利 用 を 第 一 とす べ き 国 有 林 野 」 は 森 林 空 間利 用 林 と して 位 置 づ け られ る こ と に な っ た 。 ま た 、1999(平 成11)年 に は、 国有 林 の 「 緑 の オ ー ナ ー 」 の 一 般 公 募 を 今 年 度 は 取 りや め る こ と が 発 表 され て い る。 2)-3民 有 林 の 観 光 レ ク リエ ー シ ョン 施 策 の 動 向 民 有 林 の 施 策 と して は 、1987(昭 和62)年 か ら1991(平 成3)年 に か け て 、 「体 験 の 森 整 備 事 業 」 が実 施 され た。 「 体 験 の 森 整 備 事 業 」 と は 、 保 水 機 能 や 温 暖 化 現 象 の 原 因 とな る 二 酸 化 炭 素 の 固 定 機 能 な ど、 森 林 の 役 割 を 、 人 の 暮 ら し との か か わ りを 通 じて 学 び 、 体 験 す る た め の 施 設 整 備 な ど を 行 う事 業 で あ る。ま た 、こ の 事 業 は 、比 較 的 交 通 の 便 が よ く 、 人 工 林 を は じ め さ ま ざま な 森 林 が あ る地 域 に幼 児 か ら高 年 齢 層 の 人 た ち ま で 気 軽 に 出 か け て学習 で き る 「 体 験 の 森 」 を整 備 し、 視 聴 覚 教 材 な どを 用 い て 、 施 設 で 森 林 ・林 業 ・林 産 物 の 役 割 を 体 系 的 に 学 習 す る と と も に 、 野 外 で も 実 際 に 体 験 す る こ と な ど に よ っ て これ ら に対 す る理 解 を深 め 、 国 民 の 意 識 の 高 揚 を 図 る こ と に よ り、 森 林 ・林 業 及 び 林 産 業 の 活 性 化 に 資 す る も の で あ っ た(林 1988(昭 野 庁 研 究 普 及 課1989)。 和63)年 に は 、 「 広 域 森 林 総 合 利 用 基 盤 整 備 プ ロ ジ ェ ク ト実 施 要 領(63林 野 計2 43)」 が 開 始 され た 。 こ の 事 業 は 、NTT関 連 事 業 の 一 つ で 、 総 合 保 養 地 域 整 備 法 の 特 定 地 域 、 森 林 空 間 総 合 利 用 地 域 等 の 周 辺 で 林 業 地 域 総 合 整 備 、 予 防 治 山 、 造 林 の3事 と され て い た 。 さ ら に 、1988(昭 業 を行 う 和63)年 に は 、 地 域 活 性 化 緊 急 プ ロ ジ ェ ク トの 一 環 と し て環 境 林整 備 事業 が行 われ 、 市街 地や 集 落 の周 辺林 で整備 が遅 れ て い る もの を対象 に、修 景 植 栽 や 林 道 ・歩 道 の 開 設 を行 い 、 生 活 環 境 の 保 全 、 保 健 文 化 的 利 用 並 び に 木 材 生 産 を促 進 す る と い う事 業 が 行 わ れ て い る 。 そ し て 、1989(平 成 元)年 に は、 「 全 国 緑 の少 年 団連 盟 」 が 設 立 され 、 「 森 林 と湖 に 親 し む 週 間 」 で 、 全 国 の ダ ム 湖 周 辺 の 森 林 等330カ 所 で コ ンサ ー トな どが 実 施 され て い る 。 1990(平 成2)年 に は、 「 森 林 イ ン ス トラ ク タ ー の 知 識 お よ び 技 能 の 審 査 ・証 明 事 業 の 認 定 に 関 す る 規 定(農 林 水 産 省 告 示 第1563号)」 が 制 定 され 、 「森 林 イ ン ス トラ ク タ ー 資 格 認 定 制 度 」 が 創 設 され た 。 全 文11条 か ら な る こ の 規 定 で は 、 「 森 林 イ ン ス トラ ク タ ー と は 森 林 を 利 用 す る 一 般 の 者 に 対 して 、 森 林 及 び 林 業 に 関 す る 知 識 の 付 与 や 森 林 の 案 内 な ら び に森 林 内 で の 野 外 活 動 の 指 導 を 行 う者 」 と定 義 し、認 定 審 査 や 証 明 事 業 を行 う公 益 法 人 を 農 林 水 産 大 臣 が 認 定 す る と され た 。 そ して 、1991(平 成3)年 タ ー の 知 識 及 び 技 能 の 審 査 ・証 明 事 業 を認 定 す る 件(農 林 水 産 省 告 示1157)」 事 業 に つ い て(社)全 の、 「 森 林 イ ン ス トラ ク に よ り、 同 国 森 林 レ ク リエ ー シ ョ ン協 会 が認 定 機 関 と され 、 認 定 審 査 の 結 果 、 我 が 国初 の 「 森 林 イ ン ス トラ ク ター 」 資 格 試 験 合 格 者49人 が 誕 生 した 。 1991(平 成3)年 に は 、 「林 業 山 村 活 性 化 林 業 構 造 改 善 事 業(活 性 化 林 構)」 が 始 ま り、 その一 環 と して 「 緑 の ア メ ニ テ ィ整 備 事 業 」 が 実 施 され た 。 ま た 、 林 野 庁 の 「 森林 都 市 に 関 す る検 討 委 員 会 」 が 報 告 書 を ま と め 、 「 森 林 都 市 構 想 」 が 提 唱 され 「(社)森 林 都 市 づ く り研 究 会 」 が 発 足 した 。 さ らに 、 「健 康 と ゆ と りの 森 整 備 事 業 計 画 の 作 成 に つ い て(3林 野 造410)」 に基 づ き 同 事 業 が 開 始 され た 。 1992(平 成4)年 8)年)ま に は 、 「森 林(も り)の 学 校 総 合 整 備 事 業 」 が 開 始 され 、1996(平 成 で 継 続 した 。 ま た 、 林 野 庁 に よ り 「全 国 の 湧 き 水 調 査 」 が 実 施 され 、1995(平 成7)年 に は 、 林 野 庁 に よ り 「水 源 の 森100選 」 が 選 定 ・公 表 され て い る 。 そ して 、1992(平 成4)年 06)」 に 基 づ き 、1994(平 の農 林 水 産 省 「 美 しい む らづ く り特 別 対 策 推 進 要 綱(4構 改C4 成6)年 に 「新 ・美 しい 森 林 む らづ く り特 別 対 策 実 施 要 領 」 が 策 定 され 、 林 野 庁 長 官 か ら知 事 宛 に 通 達 され た 。 ま た 、1995(平 成7)年 には 、 「 緑 の基 金 に よ る 森 林 整 備 等 の 推 進 に 関 す る 法 律 」 が 制 定 され て い る 。 さ ら に1996(平 成8)年 に は 、 「フ ァ ミ リー の 森 林 づ く りモ デ ル 事 業 実 施 要 領(8林 野 計 93)」 に 基 づ き 同 事 業 が 開 始 され て 、 都 市 住 民 が 契 約 に よ り山 村 に 保 有 す る 森 林(フ リー の 森 林)の ァミ 計 画 策 定 や 、 そ の 計 画 に も とづ く造 林 、 林 道 事 業 を 実 施 で き る よ う に な っ た。 1999(平 成11年 には 、林 野庁 に よ り 「 森 林 総 合利 用施 設 にお け るユ ニバ ー サル デ ザイ ン 手 法 検 討 会 」 が 設 置 され 、 ガ イ ドラ イ ン を ま と め 、 林 野 庁 長 官 に 提 出 して い る 。 2)-4他 省 庁 や 民 間 な どの動 向 こ の 時 期 の 、 他 省 庁 で 林 野 施 策 に 関 連 す る 動 向 と して は 、 ま ず 総 理 府 に よ り各 種 の 世 論 調 査 が 行 わ れ て い る 。 総 理 府 は 、1987(昭 を 、1991(平 成3)年 和62)年 に 「 緑 と木 に 関 す る 世 論 調 査 」 の 結 果 に 「自然 の 保 護 と利 用 に 関 す る世 論 調 査 」 の 結 果 を 、1992(平 年に 「 森 林 と生 活 に 関 す る 世 論 調 査 」 の 結 果 を 、1999(平 成11)年 成4) に 「 森 林 と生 活 に 関 す る 世 論 調 査 」 の 結 果 を公 表 して い る 。 こ の 時 期 は 、 農 林 水 産 省 本 省 で も観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン に対 す る動 き が 活 発 と な っ た 時 期 で 、1992(平 成4)年 を発 表 し、1993(平 1995(平 成7)年 に農林 水 産省 が 「 新 しい 食 料 ・農 業 ・農 村 政 策 の 方 向(新 農 政)」 成5)年 に は 「山 村 で 休 暇 を 」 特 別 対 策 が 開 始 され て い る。 そ して 、 に は、 「 農産 漁 村 滞 在 型 余 暇 活 動 の た め の 基 盤 整 備 の 促 進 に 関 す る 法 律 (農 山 漁 村 余 暇 促 進 法)」 が 公 布 され 、 同 年 に 「 緑 とのふ れ あい の里 特 別対 策 事業 」や 「 農 林 漁 業 体 験 民 宿 制 度 」 が 開 始 され た 。 ま た 農 政 そ の も の に つ い て も抜 本 的 見 直 しが あ り、 1999(平 成11)年 に 「 食 料 ・農 業 ・農 村 基 本 法 」 が 公 布 ・施 行 さ れ て い る 。 ま た 、 環 境 庁 に つ い て は 、1989(平 成 元)年 に 「自然 環 境 保 全 審 議 会 自然 公 園 部 会 利 用 の あ り方 検 討 小 委 員 会 」 が 、 「自然 公 園 の 利 用 と あ り方 に つ い て 」 を環 境 庁 長 官 に 提 出 し、 自然 公 園 の 地 域 を 、 そ の 利 用 区 分 か ら 野 生 体 験 型 、 自然 探 勝 型 、 風 景 鑑 賞 型 、 自然 地 保 養 型 に4類 型 に 区 分 した 。 ま た 、 同 じ年 に は 、 「第4回 査 の 結 果(速 報)」 を 公 表 し て い る。1990(平 成2)年 自 然 環 境 保 全 基 礎 調 査 ・巨 樹 巨 木 調 に は 、 ゴル フ 場 の 乱 立 を うけ て 、 「 国 立 公 園 普 通 地 域 に お け る ゴル フ場 造 成 計 画 に対 す る指 導 方 針(環 自保343)」 が 自然 保 護 局 長 か ら知 事 へ 通 達 され 、 残 存 す べ き 自然 樹 林 地 の 面 積 比 率 な どの 基 準 を示 して い る 。 さ ら に1993(平 成5)年 自然 環 境 保 全 審 議 会 に は 、 「環 境 基 本 法 」 が 公 布 ・施 行 され 、1995(平 成7)年 には 、 「自然 との ふ れ あ い の あ り方 」 を 答 申 して い る。 建 設 省 関 係 で は 、1997(平 成9)年 に 「 河 川 法 」 が 改 正 され 、 河 川 管 理 者 が 堤 防 ま た は ダ ム 貯 水 池 に 沿 っ て 設 置 され た 建 設 省 令 で 定 め る 帯 状 の 森 林 で あ る 「 樹 林 帯制 度 」 を制 定 した こ と が 注 目 に 値 す る 。 ま た 、 省 庁 横 断 的 な も の と し て 、1992(平 成4)年 に、 「 世界 文 化 遺 産 お よ び 自然 遺 産 の 保 護 に 関 す る 条 約 」 が よ うや く我 が 国 で も批 准 ・公 布 され た。 そ れ に と も な い 、 林 野 庁 ・文 化 庁 ・環 境庁 は 、 こ の 世 界 遺 産 条 約 に基 づ く 世 界 遺 産 の 推 薦 物 件 と し て 、 自 然 遺 産 に 「屋 久 島(鹿 児 島 県)」 と 「白神 山 地(青 化 遺 産 に 「法 隆 寺 地 域 の 仏 教 建 造 物(奈 して 、1994(平 成6)年 良 県)」 と 「 姫 路 城(兵 に は 、 「白川 郷(岐 阜 県)」 及 び 集 落 が 、 世 界 遺 産 登 録 の 推 薦 候 補 地 と され 、1995(平 森 ・秋 田 県)」 を 、 文 庫 県)」 を 決 定 した 。 そ 「 五 箇 山(富 成7)年 山 県)」 の 合 掌 造 り に 正 式 決 定 され る な ど、 世 界 遺 産 指 定 の 動 き は 現 在 も活 発 で あ る。 これ らの 世 界 遺 産 は 、 そ の 後 エ コ ツ ー リズ ム や カ ル チ ュ ラル ・ツ ー リズ ム の 対 象 と して 観 光 的 価 値 が 高 ま り、 そ れ に 対 応 し た 森 林 管 理 が 求 め られ る こ と と な っ た 。 国 際 的 な 観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン の 動 向 と して は 、1990(平 バ ー でGlobe'90が 成2)年 に カ ナ ダ ・バ ン ク ー 開 催 され 、 持 続 可 能 な 観 光 開 発 の 定 義 を 、 「文 化 の 高 潔 さ 、 本 質 的 な 生 態 系 の プ ロ セ ス 、 生 物 多 様 性 、 生 命 維 持 シ ス テ ム を保 護 しな が ら 、 私 た ち が 経 済 的 ・社 会 的 ・美 的 必 要 性 を 満 た す こ とが で き る よ う な 方 法 で す べ て の 資 源 管 理 を導 く も の 」と し た。 そ して 、1994(平 成6)年 、 大 阪 で 世 界 観 光 大 臣 会 議 が 開 催 され 、 持 続 可 能 な 観 光 を 実 現 させ る こ とが21世 紀 の 観 光 の基 本 的 方 向 と宣 言 した 「OSAKA観 光 宣 言 」が 採 択 され て い る。 ま た 、1992(平 成4)年 に は 、 ブ ラ ジ ル の リオ デ ジ ャ ネ イ ロ で 、 地 球 サ ミ ッ トが 開 催 さ れ、 「 持 続 可 能 な 発 展 」 が 全 世 界 的 な キ ー ワ ー ド と し て 採 りあ げ られ 、 そ れ に と も な い 我 が 国 で も1995(平 成7)年 国 際 作 業 グル ー プ(モ に 、 「温 帯 林 等 の 保 全 と持 続 可 能 な 経 営 の 基 準 ・指 標 に 関 す る ン ト リオ ー ル プ ロセ ス)」 に参 加 して 、 多 面 的 見 地 か ら見 た 持 続 可 能 な 森 林 管 理 に つ い て本 格 的 な 対 策 を 始 め る よ うに な っ た 。ま た 、1993(平 成5)年 中 国 北 京 で 第1回 に は、 東 ア ジ ア 国 立 公 園 保 護 地 域 会 議 が 開 催 され 、 エ コ ツ ー リズ ム に つ い て の 検 討 を 行 っ て い る。 そ して エ コ ツ ー リ ズ ム を 「 環 境 に 配 慮 した 旅 行 の 推 進 、 又 は旅 行 者 が 生 態 系 や 地 方 文 化 に 対 す る 著 しい 悪 影 響 を及 ぼ す こ とな く 自然 及 び 文 化 地 域 を 訪 れ 、 理 解 し、 鑑 賞 し、 楽 しむ こ と が で き る よ う施 設 及 び 環 境 教 育 を 提 供 す る こ と」 と 定 義 す る こ と に した。 ま た 、 国 内 の 民 間 の 動 き と して は 、1986(昭 和61年 森 百 選 」 を 発 表 した こ とや 、 乱 開 発 に 対 抗 して1988(昭 絡 協 議 会 」 が 発 足 した こ と、1994(平 成6)年 に 「 緑 の 文明 学 会 」 が 「 森 林浴 の 和63)年 に 「ゴル フ 場 問 題 全 国 連 に 日本 自然 保 護 協 会(NACS-J)がrNACS-Jエ コ ツ ー リズ ム ガ イ ドライ ン」 を ま とめ る た こ と、 同 年 超 党 派 の 国 会 議 員80余 名 に よ り 「 森 と 巨 木 を た た え る議 員 の 会 」 が 設 立 さ れ た こ とな どが 挙 げ られ る。 以 上 ま と め る と、 こ の 時 期 に行 わ れ た 観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン の た め の 森 林 管 理 施 策 は 非 常 に 多 様 化 し、 一 言 で は ま と め る こ と が 困 難 な ほ ど観 光 レク リエ ー シ ョン に 関 わ る 各 種 事 業 が 展 開 され る よ うに な っ た 時 期 で あ る と考 え られ る。 そ して そ れ ら事 業 の 内 容 は 、 この 時 期 の 前 半 は 、 リゾー ト法 や 増 進 法 に 象 徴 され る よ うな 、 民 間 活 力 や 民 間 資 本 を 活 用 した 開 発 型 の 観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン事 業 が い わ ゆ るバ ブ ル 経 済 の影 響 下 で 展 開 され た 。 一 方 で そ の 後1990年 代 の 景 気 低 迷 に と も な っ て 、 開 発 型 の 事 業 か ら持 続 可 能 な 観 光 、 あ る い は 持 続 可 能 な 森 林 管 理 を念 頭 に お い た観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン施 策 へ と質 的 な 変 化 を 遂 げ て い っ た 。ま た 、こ の 時 期 に は 、1980年 代 後 半 か ら 国 民 的 話 題 と な っ た 林 業 と 自然 保 護 との 論 議 、 林 業 の 低 迷 や 国 有 林 の 赤 字 経 営 の 問 題 、 地 方 分 権 化 に 向 け た 動 き な ど が 顕 在 化 した た め 、 観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン的 な 森 林 管 理 に つ い て も、 持 続 可 能 な 森 林 経 営 を 念 頭 に お い て 、 計 画 的 な森 林 管 理 を 地 方 分 権 化 の も と で 行 う体 制 が 整 え られ 始 め る よ うに な っ て い っ た 。 (2)総 括 以 上 、18世 紀 後 半 か ら20世 紀 に か け て 、 つ ま り明 治 時 代 の 幕 開 け か ら平 成 バ ブ ル 後 の 不 況 時 代 に か け て の 、 我 が 国 の 観 光 レ ク リエ ー シ ョン の た め の 森 林 管 理 施 策 の 動 向 に つ い て と りま とめて き た。 改 め て こ こ で 明 治 以 降20世 紀 終 わ りま で の 、 近 代 観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン の た め の 森 林 管 理 の 施 策 の 動 向 を 総 括 す る と、大 き く8期 に ま と め られ る こ とが 明 らか に な っ た 。つ ま り、 1.明 治 維 新 に よ り我 が 国 で は 近 代 的 森 林 管 理 が 幕 を 開 け 、2.大 正 期 に は 保 護 林 制 度 が 誕 生 す る な ど観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン に 関 わ る森 林 管 理 施 策 が 安 定 を 見 せ 、3.昭 和 初 期 に は観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン施 策 の 絶 頂 期 を 迎 え た も の の 第 二 次 世 界 大 戦 に よ る 中 断 を 余 儀 な く され た こ と 、 そ し て 戦 後 に入 り、4.1950年 代 後 半 頃 ま で は 林 政 そ の も の の 復 興 に あ て られ た た め 、5.森 林 観 光 レク リエ ー シ ョン 行 政 の 胎 動 が 見 られ た の は1950年 代 の 終 わ りか ら1960年 代 半 ば に か け て で あ っ た こ と、 さ ら に 、6.1960年 代 半 ば か ら後 半 に か け て 、 国 有 林 を 中 心 に 、 総 合 的 な 観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン施 策 の 基 盤 が整 備 され て い き 、7.1970年 代 か ら1980年 代 半 ば に か け て 、 国 有 林 ・民 有 林 を 問 わ ず に森 林 観 光 レ ク リエ ー シ ョン 施 策 の 展 開 が 見 ら れ る よ うに な り、8.1980年 代 後 半 か ら は 、 バ ブ ル 期 に お け る 民 間 主 導 の 開 発 型 施 策 、 不 況 期 に お け る非 開 発 型 の 施 策 と様 相 を 変 化 させ な が ら も 、 森 林 観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン施 策 の 著 しい 多 様 化 が 進 ん で き た と要 約 で き る。 ま た 、 林 野 施 策 と し て観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン の た め の 森 林 管 理 施 策 が 主 体 的 に 行 わ れ る よ うに な っ た の は 、 上 記8期 の うち 、 第7期 、 つ ま り1970年 代 頃 か らで あ る こ と が 指 摘 で き た 。 そ して 、 各 年 代 ご と に 行 わ れ た 施 策 が ど の よ うな 特 徴 を 持 っ て い る か を 「 観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン の た め の 森 林 計 画 」 とい う観 点 か らマ トリ ク ス に ま と め た も の を 、 図2-5に 示 す。 図2-5を 参 考 に 、 明 治 期 以 降 の 施 策 的 歴 史 の 流 れ を 辿 る と、 林 野 施 策 全 般 に お け る観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン施 策 は 、 明 治 期 に 開 始 され た 近 代 的 森 林 管 理 の 中 で も 位 置 づ け られ て は い る。 特 に 、 保 安 林 制 度 に よ り風 致 保 安 林 や 衛 生 林 が 位 置 づ け られ た こ と を鑑 み る と、 近 代 的 森 林 管 理 施 策 を 開 始 した 当 初 か ら 、観 光 レ ク リエ ー シ ョン の 目的 で 森 林 を 管 理 す る とい う考 え が 明 治 政 府 に あ っ た こ とは 間 違 い な い 。 しか しな が ら 、 明 治 期 後 半(40年)の 森 林 法 改 正 に よ る木 材 産 業 中 心 化 に よ り、 林 野 施 策 と して は 、 そ の 後 す ぐに 、 観 光 レ ク リ エ ー シ ョ ン施 策 は 、木 材 生 産 の 副 次 的 位 置 づ け に 定 め られ た と考 え て 間 違 い な い で あ ろ う。 こ の 状 況 は 、 戦 後 に な っ て 、1964(昭 和39)年 の 「 林 業基 本法 」 の制 定 に引 き継 がれ 、木 材 生 産 を 中 心 と した 林 野 施 策 シ ス テ ム が 完 成 し た。 つ ま り、 制 度 的 に は 木 材 生 産 型 を 中 心 に据 え た 林 野 行 政 が 明 治 以 降 長 い 間 行 わ れ た 現 実 は 否 定 で き な い 。 た だ し、 そ の 間 一 貫 して 、 一 般 国 民 の森 林 を 活 用 した 観 光 レ ク リエ ー シ ョン の 気 運 は 高 く、 明 治 期 か ら 始 ま っ た ア ル ピ ニ ズ ム や ス キ ー 、 植 物 採 集 な ど が 広 く浸 透 した た め 、 林 野 庁 と して は 、外 圧 的 な 要 因 か ら観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン に 配 慮 した 施 策 を 行 わ な くて は な ら な い 状 況 が 生 じた と考 え られ る 。 林 野 の 内 発 的 な 動 向 と して は 、 上 述 の保 安 林 制 定(明 治 期)や 保 護 林 の 制 定(大 正 期) な ど、 独 自 に観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン の た め に 森 林 管 理 施 策 を展 開 した 場 合 も あ る が 、 昭 和 初 期 の 国 立 公 園 制 度 の 制 定 、1966(昭 和41)年 の 科 学 技 術 庁 に よ る勧 告 、1987(昭 和62) 年 の リ ゾー ト法 な ど、 他 省 庁 に 端 を 発 す る観 光 レ ク リエ ー シ ョン の 動 向 に 対 す る施 策 的 対 応 が 比 較 的 多 か っ た 。 そ の た め 、 我 が 国 の 戦 後 の 観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン の た め の 森 林 管 理 施 策 は 、 登 山 の た め の 避 難 小 屋 の 設 置 や 国 設 ス キ ー 場 の 開 設 な ど、 観 光 レ ク リエ ー シ ョン を 総 合 的 な 見 地 か ら見 据 え て 計 画 的 に 行 う事 業 とい うよ りは 、 個 別 具 体 的 な 観 光 レ ク リエ ー シ ョン 活 動 に 対 して 対 処 療 法 的 な 施 策 を 行 う とい う も の か ら始 ま っ た 感 は 否 め な い 。 ま た 、 そ の 後 の 施 策 内 容 に つ い て も 、 森 林 イ ンス トラ ク ター や ユ ニ バ ー サ ル デ ザ イ ン な ど ソ フ ト面 で の 森 林 観 光 レク リエ ー シ ョン 施 策 の 充 実 が 見 られ る よ うに な っ た 点 は 特 筆 す べ き も の が あ る が 、 観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン地 域 に お け る 森 林 とい う土 地 ・空 間 の 管 理 計 画 図2-5観 光レクリエーションの 観点か ら見た嚢林管 理の 施策史 と い う面 に 限 っ て 考 え る と、 国 有 林 の 自然 休 養 林 や レ ク リエ ー シ ョン の 森 制 度 、 あ る い は 民 有 林 の 生 活 環 境 保 全 林 制 度 や 第 二 次 林 構 な ど 、 地 域 を 限 定 し、 さ らに 周 囲 の 他 の 土 地 利 用 とは 独 立 す る 形 で 、 観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン 的 森 林 管 理 を行 う と い う方 式 が 、 依 然 主 体 的 な 位 置 を 占 め て き た 。 そ の た め 、 図2-4で 指 摘 した よ うな 、 地 域 全 体 を 考 慮 し た観 光 レ ク リエ ー シ ョン 事 業 、 あ る い は ラ ン ドス ケ ー プ 構 造 を 考 慮 した 事 業 の 展 開 に未 だ 至 っ て い な い 点 が 指 摘 で き る。 つ ま り、 計 画 性 を 高 く意 識 して 内 発 的 に観 光 レ ク リエ ー シ ョン の た め の 森 林 管 理 施 策 が 行 わ た とい う事 実 は 現 在 に 至 る ま で 明 確 に は 見 られ ず 、 む しろ 外 圧 に 基 づ く対 処 療 法 型 の 施 策 ス タ イ ル が 多 い とい う状 況 が 、20世 紀 い っ ぱ い 続 い た と結 論 づ け た ほ うが 自然 で あ る と考 え られ た 。 さ ら に は 、 本 章 の 冒 頭 で 述 べ 、 本 論 文 を 通 じて 明 ら か に し よ う と して い る 、 ① 森 林 計 画 制 度 に お け る 利 用 を 直 接 的 に 意 識 し、 ② 現 場 の 森 林 計 画 担 当 者 の 裁 量 の 自 由度 が 高 い 方 法 で 、 ③ 既 存 観 光 レ ク リエ ー シ ョン 情 報 デ ー タベ ー ス の 利 用 が 可 能 で 新 規 の 情 報 収 集 が 必 要 な い な ど簡 便 さ を 強 く意 識 した 観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン に 関 わ る施 策 は 、 わ が 国 で は 見 る こ とは で き な か っ た と結 論 づ け られ る。 本 章 の レ ビ ュ ー は 、 近 代 日本 の林 野 施 策 全 般 を 取 り扱 っ た 通 史 を参 考 に 、 観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン に 関 わ る施 策 を 抽 出 す る と い う手 法 を とっ て る た め 、 林 野 施 策 に 関 して ほ ぼ 悉 皆 調 査 に 近 い 形 で歴 史 を 追 っ て い る と考 え られ る 。 そ の 中 で 、 上 記 の 条 件 を満 た す 施 策 が 見 られ な か っ た こ と を 鑑 み 、こ れ ま で 行 っ た 分 析 の 結 果 を ま と め る と、図2-4で 示 した 「 我 が 国 に お け る観 光 レ ク リエ ー シ ョ ン の た め の 森 林 管 理 を 、 計 画 的 に行 うた め の 施 策 」 を行 う こ とが 、 今 後 ま す ま す 重 要 に な っ て く る と い う可 能 性 が 高 い こ と が 、施 策 史 の レ ビ ュ ー の 結 果 か ら も裏 付 け られ た と考 え られ る。 そ の た め 、 今 後 の 林 野 施 策 で は 、 分 権 化 の 方 向 に あ る森 林 計 画 制 度 の 中 で 、 い か に 観 光 レ ク リエ ー シ ョン の た め の 森 林 管 理 手 法 を 取 り込 ん で い く か に につ い て 考 察 を 深 め 、 そ れ に 資 す る た め の 手 法 の 開 発 が 必 要 に な る と結 論 づ け られ よ う。 な お 、 本 章 で 考 察 した 内 容 に つ い て は 、 時 系 列 的 に と りま と め 、 年 表 と して 表2-1に 示 した 。 表2-1我 が国の観光レクリエーションに かかわる森林管理施策の動向