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312 第Ⅲ部 中国の国民経済
11 − E.貧富格差指数(ジニ係数)の推移
貧富の格差を表す指標としてジニ係数が、グラフとしてローレンツ曲線がよく知ら
れている。ローレンツ曲線は、横軸に所得者の累積比を、縦軸に所得の累積比を、そ
れぞれ(0 から 1 まで)所得の低い順番に並べて、所得分布を表示したものである。
すべての人の所得が同額で完全に平等な社会ならローレンツ曲線は 45 度の直線とな
るが、現実には格差が存在し、ローレンツ曲線は 45 度線の下方に膨らむ曲線になる。
そして、この垂れ下がった曲線の膨らみが大きければ大きいほど、不平等度が増大し
ていることを表す。右の都市家庭のローレンツ曲線において、1987 年と 2006 年とを
比べると 2006 年は不平等度がより大きくなったことを意味する。一方、下の農村家
庭のローレンツ曲線は 2000 年と 2006 年との違いが少なく不平等度はあまり進行して
いないことを意味する。
ジニ係数はローレンツ曲線によって図示される所得格差を数字化したものである。
45 度線と下方に膨らむ曲線によって囲まれた部分の面積が大きければ大きいほど不
平等度が大きい。そこで、この部分を、45 度線下の直角三角形の面積で割って2倍
して指標化する。これがジニ係数であり、0 であれば完全に平等であることを表し、
1 であれば一人の者がすべての所得を独占する完全不平等な状態を表す。一般にジニ
係数が大きいほど格差が大きいことを意味する。
①農村家庭所得のローレンツ曲線
1.0
2006 年
2000 年
0.8
低
中低
中等
中高
最高
0.6
0.4
2000 年
0.066
0.184
0.348
0.575
1.000
2006 年
0.061
0.175
0.336
0.565
1.000
0.2
0
階層
低
中低
中等
中高
最高
注:ジニ係数を算出するに当たり、
『中国統計摘要』では、1999 年データより 5 分位階級別でデー
タが掲載されているが、『中国統計年鑑』では、低収入と高収入は 10 分位となっている。
ここでの計算は、中国統計年鑑の 10 分位の低、高収入は、平均を取り、低収入と高収入とした。
(資料)
『中国統計年鑑』各年版、
『中国統計摘要』各年年版
11. 国民生活 313
②農村家庭所得のジニ係数の推移(2000 ∼ 2006 年)
0.40
0.35
0.331
0.338
0.343
0.351
2000 年
2001 年
2002 年
2003 年
0.30
0.341
0.347
0.345
2004 年
2005 年
2006 年
0.25
0.20
0.15
0.10
③都市家庭所得のローレンツ曲線
1.0
2006 年
2000 年
0.8
1987 年
0.126
0.289
0.479
0.702
1.000
低
中低
中等
中高
最高
0.6
0.4
2006 年
0.074
0.196
0.362
0.589
1.000
0.2
0
低
階層
中低
中等
中高
最高
④都市家庭所得のジニ係数の推移(1987 ∼ 2006 年)
0.40
0.35
0.25
0.209
0.20
0.15
0.10
0.170
0.179
0.172
0.209
0.198
0.161
87
0.162
0.154
88
89
0.248
0.227
0.212
0.316
0.304
0.238
0.220
0.202
0.312
0.310
0.295
0.30
90
91
92
93
94
95
96
97
98
99
00
01
02
03
04
05
2006 年
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