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0.9MB - 地学団体研究会
編集・発行 地学団体研究会北海道支部 〒002 札幌市北区あいの里5条3丁目1 北海道教育大学札幌分校地学教室内 ℡ 011-778-8811(内線 386) 第149号 1995年7月15日 発行 目 次 「最終間氷期勉強会」発足について・・・・・・・・・・・・・・・2 近藤 務 地質屋必須?!三角ダイアグラム作成プログラム・・・・・・・・・6 川村信人 5月22日の支部地質巡検に参加して・・・・・・・・・・・・・・10 近藤 務 第2回「最終間氷期勉強会」のお知らせ・・・・・・・・・・・・10 編集後記・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12 1 「最終間氷期勉強会」発足について 近藤 務 上記勉強会の第1回が,去る6月24日(土) 10∼17時,北大理学部地球惑星物質科学教室の S306室にて,20名の参加のもとに行われ,同勉 強会が発足した.この会は,近藤・安井・外崎 会員ほか5氏の呼び掛けにはじまり、その趣旨 を了解して地学団体研究会北海道支部の活動の 一環としても進められようとするものである. 発会当日の様子ならびに、そこでの確認事項な どを以下に述べたい. なお,発会に至る経緯は別項資料の呼び掛け 文(第1回勉強会・準備会案内)を参照された い. 2.呼びかけの趣旨に代えて(近藤 務) お忙しい中をご参加くださり感謝いたします. この前の地質見学会は私にとって感動的な1日 で,おおくを学ぶことができました.さて私は 第四紀いや地質学の勉強も不十分な状態で今日 に至っておりますが,馬追団体研究会での 1982∼ 1987年,その後樺戸団体研究会に加えて頂き, そこで名実ともに「地質学」の勉強をさせてい ただいたものと思っております.それはフィ− ルドに根差し,自然・事実に則して,歴史的に 物事を考えて,取りまとめてゆくということか と思います. この間,私は約15年,第四紀に関わる仕事や 研究のごく一部に携わってまいりましたが,そ の中で多くの方々との協同の大切さを身にしみ て感じました.そうしてはじめて総合的な判断 ができるということを実感いたしました. これまで,大変お世話になりました,地学団 体研究会に,今度は恩返しをする番だというの が,私の率直な気持ちです. 馬追団研の初期に,厚真地域のたしか 50∼ 70 名規模の巡検があり,その時の情景がいま でも瞼に浮かんできます.そのような見学会が もう1度出来たらという1つの夢があります. ところで,今回の「最終間氷期勉強会」という ことですが,その趣旨は呼びかけ文章に示した そのものです. 人類,第四紀,それに役立つ地質学と人々の 輪.人類はいまどういう位置にあるか,それを 共に学びたいと願って,呼びかけをいたしまし た. およそ12万年前の最終間氷期前後のことを学 ぶことにより,現在の地球史での人類をとりま く環境解明に役立つのではないかというのが私 の着想です. 現在と,最終間氷期とを相対的にかんがえつ つ,思考を深めるという方法は有効なものでは ないか,と考えています.それに私自身の研究 はごく限られたものですので,問題を大きく拡 げる力がないことも,今回のような限定的な提 起となった理由の1つです. この勉強会は,学問を進める立場で続けたい と願っております.「学問とは,問うことを学 ぶことである」と哲学者の真下信一氏が言われ ていますが,「なぜか?」と問い,それに答え てゆく過程が学問であると私は考えております. これらの勉強会を通して,協同研究や団体研 究が育まれるならば,またその他の勉強会が, 例えば分科会ができるようになるならば幸いで す. 1.地学団体研究会北海道支部長 新井田清信 氏の挨拶(抄録) 去る5月21日,地団研の取組である樺戸地域 の地質巡検が,多くの参加の下に成功し,地団 研の役割が示された思いがします.これは樺戸 団体研究会の成果に大きく依存しています. この度の第四紀の,最終間氷期の勉強会の進 展を心から期待したいと思います.ここでは第 四紀の,何かをやるのではないかと思われます が,小さく閉じないでやることが大切ではない でしょうか.とりわけ地球環境に関する,たと えば火山灰,古気候などなどは今後ますます大 切になるとおもわれます.応用地質関係の発展 はもとより,この勉強会が発展することを願い, 大いに激励をしたいです…… また,会では方法論などをやるのもいいので はないでしょうか……馬追団研の歩みからも学 べるように,なにかテ−マをもってやることも 大切と思います…… 岩石の分野でもそうですが,この間,観察の 精度が高くなっており,また,それの精度を高 めることが求められております.そういうなか で参加の皆さんが,新しい質のデ−タをもった, 新しい仕事へと発展していけばいいのではない でしょうか…… そのようなことからも大学でやっている方々 との協力・協同もたいせつであると思います. 大学はまさに教育と研究をする場ですが,特 に教育では『観察力を身につける』,また研究 については『解析力をつける』こと,言い換え ると『結果の出るデ−タ,デ−タを掘り出して くる』ことが大切である,と考えています. ところで,そのような『解析力』は,勉強, このような勉強会で得られるもので,それはや がて成果の決定的なもの,すなわち質の高い成 果につながるものと思われるのです. 2 この勉強会,関心ある方々に呼びかけていた だき,参加された方々が「ほんとうに楽しい」 というものにして行きたいと思っています. 暖かい励ましを頂きました地学団体研究会北 海道支部役員の皆さんに,また顧問を引き受け てくださった加藤 誠先生に厚くお礼を申し上 げます. 3)年1∼2回ていど第四紀地学巡検(見学 会)を地学団体研究会北海道支部と連携 してもつ. 4)時々は専門の方の話を聞く. ・運営 1)参加者が主役で,自発的意思・相互尊重・ 協同−大きい目標−という団体研究の精 神を尊重する. 2)関連ある方々や学会とは常に協力関係を 育むように努める. 3)会費は連絡通信費:1000円/年,資料代 などはその都度. ・組織 連絡責任者 :近藤 務 副責任者 :安井 賢 :外崎徳二 協力 :松田義章 :能登正明 :前田寿嗣 :永田 勝(会計) :高橋輝明 :米道 博(会計監査) 3.「最終間氷期勉強会」についての確認点 ・会の趣旨 人類紀といわれる第四紀の最終間氷期に軸足 を置いて,色々と勉強する.「人間らしく,楽 しく」をモット−に,多くの方々と語り合い, 学び合う. ・名称は「最終間氷期勉強会」とする. ・取組の内容 1)テキストにそって勉強する. 2)参加者の興味・関心のあることを率直に 出し合い,討論する. (資料 −−) 最終間氷期勉強会のご案内 近藤 務 わたしたち(近藤・安井・外崎)は,下記のような取組みを考え,地学団体研究会札幌支部の役員の皆さんの助言 を頂きながら,準備を進めております.皆さんの,ご参加・ご協力をいただければ幸いです. なお,地団研の有志の方々で,「地質・技術」勉強会:とくに応用地質関連の技術者を中心として,技術・方法論 などをゆっくりしたペ−スで研究・交流をしたいと考えております.ご賛同のかた,ご連絡いただければ幸です.将 来的には,札幌支部でも「理論学習会」的な催し,さらには普及講演など持てると良いと考えています. …………………………………………………………………………………………………… 「最終間氷期勉強会」のご案内 人類紀といわれる第四紀.それのおよそ 14.5 ∼ 11.5万年前の最終間氷期に軸足を置いて,色々と勉強してみま せんか.[人間らしく,楽しく」をモットーに,多くの分野の方々と語り合い,学び合いたいと考えております. 会は,地学団体研究会(札幌支部)の取組みの一環として進めたいと考えております.しかし,会員でない方のご 参加も,もちろん歓迎いたします. 記(案) @取組みの内容 1.テキストにそって勉強する. 2.参加各位の興味・関心のあることを率直に出し合い,討論する. 3.時々は専門の方の話しを聞く. 4.年1∼2回ていど第四紀地学巡検を(支部と連携して)もつ場合もある. @運営 1.参加者が主役で1人1芸(1つの技術・発案・行動)にて協同する(自発意思・相互尊重・協同−大きい目 標−という団体研究の精神を尊重する). 2.関連ある方々や学会とは常に協力関係を育むように努める. 3.会費は連絡通信費:1000円/年程度.資料代などはその都度. @連絡・世話人・協力 責任者 近藤 務(職場;TEL 873-9895, FAX 874-1910) 副責任者 安井 賢(職場;TEL 863-6711, FAX 864-5162) 外崎徳二(職場;TEL 717-7471, FAX 709-6275) 協力 松田義章(職場;TEL 631-4406, FAX 631-9475) 能登正明(職場;TEL 717-7471, FAX 709-6275) 前田寿嗣(職場;TEL 631-4406, FAX 631-9475) 永田 勝(職場;TEL 785-1511, FAX 785-1501) 協力・助言 新井田清信氏・川村信人氏・岡村 聰氏・八幡正弘氏. @当面の予定 1.テキスト;海津正倫著(1994),沖積低地の古環境学.古今書院,270 p.を中心に色々討論する.(月1 回∼2か月に1回程度) 1.6月24日(土)[準備会を兼ねて],7月29日(土)を予定してます.時間帯は10時∼16時を考えています. 1.テキスト章を分担し話題提供および各自の関心事をOHP活用し発表. 1.場所は未定です.(可能ならば北大で行えたらと思っています). 以上の素案についてのご意見をお寄せ下さい. 連絡責任者 近藤 務(〒003 札幌市白石区北郷1条8丁目3-1 北海道土質試験協同組合気付 ℡ 873-9895) 3 :小板橋重一 :吉田孝紀 協力・助言 :新井田清信 :岡村 聰 顧問 :加藤 誠先生 強資料代は1人100円程度 交通(車など)は各自確保されたい. 同乗希望のかた事前ご連絡乞う 反省会 :見学のあと大学にて反省会・勉強会 を予定(15時30分∼17時頃) 意気込み:少々の雨でも行います. 追記: この見学会の詳細は,今後 地学団体 研究会北海道支部,「最終間氷期勉強会」でよ く討議し,別途ご案内を致す予定です.会員各 位のご希望・ご意見をお寄せください. :内山幸二 :川村信人 :八幡正弘 ・当面の活動 1)テキスト:海津正倫著(1994),沖積低 地の古環境学.古今書院を中心に色々討論する. 月1回∼2月に1回程度(第四∼五土曜日の午 後の可能性). (第2回勉強会の予定は本号末尾の案内 参照) 2)第四紀見学会を開催する.地学団体研究 会北海道支部・「最終間氷期勉強会」共催. 日時 :1995年10月1日(日)10時集合∼17 時頃まで 集合場所:北海道教育大学札幌校(002 札幌市 北区あいの里5-3-1) 地学教室 岡村 聰氏(TEL 011-778-8811) 見学対象:石狩丘陵とその周辺の第四系,とく に最終間氷期堆積物と火山灰 備考 :当日はお家族で−こどもさんの参加 歓迎.大学の理科展示など見学可能 弁当と調査用具は各位ご用意を,勉 4.研究発表・講演 以下の2発表・講演があった.特に高橋氏の 発表は,「最終間氷期勉強会」第1回の締め括 りとなるもので,氏が阪神大震災直後から,今 日までの6か月間,集中的に調査・解析された 「地震と活断層」にかんする貴重な研究成果ご 発表であった.紙面の都合上,約1時間にわた る講演の,内容目次と要約部分のみを別項要旨 に抄録させて頂き,心から感謝申し上げる. ・『馬追団体研究会の成果を引き継いで』: 近藤 務 会員 ・『地震と活断層−阪神大震災から学ぶ』: 高橋輝明 氏 −講演要旨1− 「地震と活断層−阪神大震災から学ぶ」 高橋輝明 内容目次 1.震源断層の諸元 1)震源断層の諸元 2)地表で確認される断層 3)地下で確認される断層の規模 2.地盤震動 1)震度分布 2)詳細震度分布;震度7の強震地域 3)加速度分布 4)その他地表面震度を示す特徴的現象 (1)電柱の倒壊現象 (2)地上物被害の偏在現象 3.地盤震動に係わる条件 1)表層地質の特性 2)地質構造 大阪層群・堆積盆形状・断層 3)地形(特に地下の構造地形) 内容要約 @活断層は,現在の定義では“200万年前以降に活動し た新しい断層”である. @断層が新しいということは,断層地形として認定しう る“新しい(断層)地形”を形成することである.即ち, 活断層の認定には地形判読の手法が用いられる所以である. @“古い断層”は,断層を挟む両側の地盤が固結した地 盤であることが多い.しかし,“新しい断層”の両側の地 盤は,固結−固結,固結−未固結,未固結−未固結の様々 な場合がある. @この内でも,固結−未固結の組み合わせの例は多く, いわゆる“構造平野”,“構造盆地”と言われる山地と平 地の隣り合った地形を形成する.この場合の断層の位置は, 山地と平地の境界に位置する. @平地は,人間の居住空間(都市域)として利用される ため,この断層沿いに発生する地震は直下型地震となる. @即ち,活断層を伴う地震の地盤モデルは,固結−未固 結地盤の接するモデルとなることが多く,この場合,地震 波の反射・屈折を起こしやすい地盤条件となる.この事に より,地震波の集中現象が生じ,局所的な強震地域を生じ ることがある. @活断層が発達する地域における地震動の特性 ノ−スリッジ地震の特徴 (1)被害形態(橋梁・建築物等の破壊形態)は, 阪神大震災に類似する. (2)起震断層は地表に現れていない. (3)即ち,被害は起震断層の動きそれ自体とは 関係がなく,地震動そのものが, 被害を大きくしている. (4)地震動の分布は活断層の分布,構造に 規制される傾向がみられる. @以上から,活断層発達地域における地震動の特性とし て,活断層の動き(変位)それ自体は被害の発生に勿論関 係するが,重大な被害をもたらす原因は地震動で,地質・ 地盤構造に規制された局所的強震域の発生・波動特性(指 向性・継続時間・周波数特性)等に特徴が現れる.従って, 地表面の地震動特性を第一義的に決定する要因となる地質・ 地盤構造の詳細な把握が被害予測に極めて重要である. 4 −講演要旨2− 馬追団体研究会の成果を引き継いで −石狩低地帯南東の最終間氷期の 地史研究の方法− Shackleton and Opdyke (1976) の西部赤道太平洋深海 底コア V28-239 (3゚15'N,159゚11'E,水深 3940 m)から 得られた第四紀全期間にわたるδ18O変化とステ−ジ区分 は多くの示唆を与えてくれる.これら一連の研究から学ぶ ものである.ところで Shackleton (1987) には著者自身 の独創的アイディアが溌剌と展開されていると思われた. 私自身,この間,地球の形態的(造陸的・造山的・プレ− ト的・プリュ−ムテクトニクス的)変化から相対的に独立 した要素は,何かないものだろうか模索していたが,δ18 Oの変化こそは,その物ではないかと,この論文に着目し た.連続性が卓越する深海底コア中の浮遊生有孔虫(P), 底生有孔虫(B)の各δ18Oの変化と両者の差異(δ18OB −δ18OP )−まさに相対性−に着目した観点に共感し, それらの結果について考察を深めた. パプア・ニュ−ギニアのヒュオン半島のサンゴ礁海成段 丘系列(terrace sequence) に見られる絶対的関係から帰 納された海水準変化曲線を1つの尺度として,それと相対 的な関係を重視しながら補正を施したδ18OBによる変化曲 線から推定される14万年前以降の海水準変化曲線は相当の 説得力をもっている.私は Shackleton (1987) のこの方 法論はその後のこれらの分野の研究の先駆けとなっている ものと認識している.またそこに示される年代論も氷河氷 コアの年代論に引き継がれているものと,私は考える(安 成・柏谷編(1992)を参照). 3)静川台地の最終間氷期の層序関係(sequence)および 堆積環境変化 私は,ここで帰納された相対的海水準変化曲線と Shackleton (1987) の海水準変化曲線に見られる,共通した変化傾向 に着目し,地層累重の法則・海水準変動の汎世界的傾向・ 層序関係(sequence)に見られる絶対的関係に論拠を置いて, Shackleton (1987)の時間尺度を編年に利用した. 近藤 務 1.序 ライマンによる「北海道地質測量 日本蝦夷地質要畧之 圖」完成(1876年)から100年後の1977年,地学団体研究 会 札幌31回総会がもたれたが,この総会シンポジウムが 1つの契機となって,馬追団体研究会は発足した. 「その時提起されたテ−マの1つは,『馬追丘陵という 石狩低地帯の東縁に存在するきわめて特異で,変動しつつ ある地帯の地史的運動を追跡すること』であった」(馬追 団体研究会,1983). 「馬追丘陵は第四紀をとおして一貫して上昇地塊であっ た.日高前縁帯の夕張山地と一貫して沈降地域である石狩 低地帯の境界に存在し,いわば上昇と沈降の対立点に位置 している.この対立的な構造運動は時代をさらに遡り,馬 追丘陵を境として両側の第三系の層相・層序にも差異を認 めさせる」(三谷,1987). この間の研究への息吹は1978年地団研専報21「北日本中 世代以降の造山運動の諸問題」から読み取る事ができる. 2.馬追団研の成果の概要を紹介 1)厚真−早来地域の地表踏査に基づく中∼上部更新統 の層序確立・地質図作成.画期的成果を得る−2つの海進 の存在確認,従来の層序論を再検討−.最終間氷期堆積物 層−厚真層の認定,最終氷期初頭の本郷層との関係を論及. すべての露頭での詳細柱状図作成(層相記載).テフラの 分析・検討(重鉱物・熱磁気特性など)−Key tephra 着 目.花粉層序は別の協同研究にて.珪藻化石・軟体動物化 石から堆積環境の検討.水準測量−相対的海水準変化につ いての基本的な問題提起と論及.層序断面図作成−地質断 面図−地質図作成.既存地質層序の批判的検討−地質対比・ 編年−地史考察−運動論の予察.夏の団研数会,補足調査, 巡検数会.組織(論文時点):和田・吉田・外崎・赤松・ 嵯峨山・会田・竹之下ほか11氏.計画・調査・解析・執筆・ 論文化まで約5年間. 2)由仁−安平低地の地表踏査(一部ボ−リング)に基 づく上部更新統の層序確立・地質図作成.海成の最終間氷 期堆積物層−安平層Iの認定.堆積盆の継続.層序確立, 編年,古地理変遷,最終間氷期以降の構造運動の存在につ いて重要な予察を与えた.静川台地の第四系層序(近藤ほ か,1984)を含め,石狩低地帯南東域の層序対比・編年総 合図を定め,この地域一帯の1つの指標をあたえた.夏の 団研数会,補足調査,巡検数会.お盆合宿,子どもたちへ の普及勉強会.組織(論文時点):和田・吉田・外崎・近 藤ほか6氏.計画・調査・分析・デ−タ検討・執筆を経て 論文化まで約5年. 3.静川台地での協同研究の成果を紹介 1)近藤ほか(1984).静川寒冷期の存在.2つの海進 (SZ-II,SZ-IV):馬追団体研究会(1983)に対比.最終 間氷期堆積物層の発達. 2)近藤ほか(1988).最終間氷期中の中間寒冷期の存 在.特に最終間氷期中の相対的海水準変化の考察(3つの ピ−クの存在示唆). 4.静川台地周辺域の最終間氷期の相対的海水準変化およ び最終間氷期以降昇降運動の予察的検討(個人研究) 1)土木地質・地質工学で体得した研究方法−正四面体 法(近藤,1989) 四面体の中心に設定した研究対象を,それの4つの側面 から総合的にとらえ研究を深める手法−思考過程では必ず 時間軸を組み込むように心掛け,事物の相対的関係を視点 をかえて考究しながら,総体(マス・系)としての運動を イメ−ジする.……これらを別名「相対性地質学」とよぶ ことにしている. 2)Shackleton(1987)から学ぶ 引用・参考文献 Shackleton,N.J. and Opdyke,N.D.,1976, Oxygen-isotope and paleomagnetic Stratigraphy of Pacific core V28-239, late Pliocene to latest Pleistocene. Geol.Soc.Amer.Mem.,145,449464. 地学団体研究会,1978,北日本中生代以降の造山運動の諸 問題−地団研31回総会討論会特集号−.地団研専 報,No.21,221p.(とくに口絵および序文) 三谷勝利,1978,北海道中軸帯西翼における第三系堆積盆 地の変遷−砂川低地帯∼馬追丘陵地帯が示す意味 −.地団研専報,No.21,127-137. 馬追団体研究会,1983,北海道中央部馬追丘陵南東の中・ 上部更新統−2つの海進について−.地球科学, 37,8-21. 近藤 務・五十嵐八枝子・吉田充夫・赤松守雄,1984,北 海道苫小牧市静川ボ−リング・コアにみられる第 四系.第四紀研究,22,213-325. 馬追団体研究会,1987,石狩低地帯東縁部の更新統層序と 古地理変遷.地球科学,41,303-319. Shackleton,N.J.,1987,Oxygen isotopes,ice volume and sea level.Quat.Sci.Rev.6, 183-195. 近藤 務・五十嵐八枝子・嵯峨山 積,1988,北海道静川 台地の中∼上部更新統−特に最終間氷期中の寒冷 期および相対的海水準変化の検討−.地質学雑誌, 94,343-359. 近藤 務,1989,第四紀学の1方法「正四面体法」−北海 道の後期更新世降下火砕堆積物の研究を通して−. 北海道応用地学関連学協会論文集,No.1,1-8. 安成哲三・柏谷健二(編),1992,地球環境変動とミラン コヴィッチ・サイクル.古今書院,174p.,東京. 近藤 務,1994,石狩低地帯南東・静川台地の第四系−最 終間氷期の相対的海水準変動および古地理の変遷 −.日本地質学会101大会講演要旨,75. 5 地質屋必須?! 三角ダイアグラム作成プログラム 川村信人 北海道大学理学部地球惑星物質科学教室 (北海道支部) 1.はじめに 『三角ダイアグラム(Ternary Diagram)』は, 地球科学分野の研究者がしばしば使用する,3 成分データの相対量比を視覚的に表現するグラ フ形式である.しかし,三角グラフ用紙等を用 いたハンドプロットは繁雑であり,その手法上, データ数が多くなると単純ミスが避けられない. 誰でもが経験あるのは,三角ダイアグラムの底 辺の2成分を逆にプロットしてしまうというも のであろう. 2成分散布図やヒストグラムなどは,EXCEL のような市販の表計算ソフトやグラフソフトを 用いてパーソナルコンピュータ(PC)上で簡 単にしかも正確に(かつ modifiable に)描け るようになっている.しかし,三角ダイアグラ ム形式のグラフをサポートしている市販ソフト は非常に少ない.筆者の把握している限りでは, DeltaGraph と Systat がある.いずれも WINDOWS 版とMac版の両方がある. 前者は,価格もそれ程ではなくポピュラーな グラフソフトであるが,筆者が購入して試して みた限りでは,3成分の扱いなどに,我々の使 用法とは違和感があった(端成分ではなく軸ラ ベルとなる等).後者はもともと高機能な統計 解析パッケージであり,非常に高価なものであ る.そのわりには三角図機能は極めて貧弱なも ので,とても使い物にはならないと感じた.ま た,日本語版はリリースされていない. その他に,海外のシェアウェアとして,TriPlot というものがある.筆者が試用したのは WINDOWS 版Ver.2.1のみであるが,Mac版もある(らしい). WINDOWS 版は CICA CD-ROM などに収録さ れているので,そのへんで簡単に get できる. 添付の readme を読む限りでは,Ver.3 からは 市販ソフトになるようである.添付のサンプル を見るとすぐに分かるが,驚いたことに,この ソフトは地質屋(and/or 土木屋)をターゲット (の一つ)としたものである.あるいは開発者 自身がそういう立場なのかもしれない(筆者と 同じように).この TriPlot は非常に高機能な もので,シンボルのサイズ可変やメタファイル への出力,オーバレイ表示などもサポートされ ている.しかし,データのグルーピングが不可 能で,日本国内と感覚が異なるのかもしれない が,かなり疑問が残った. 筆者は,これらのソフトが入手・使用できる 環境がそもそも無かった暗黒の時代(=『N88BASIC - 98DOS時代』)に生きてきたので,三角ダイ アグラムを作成するPC上のプログラムを N88BASIC言語を用いて作成し使用してきた. 図1 三角ダイアグラムの原理 A 図2 三角ダイアグラムのハンドプロット A A:B:C:=a:b:c h b c c' A:B:C=16:36:48 C ★ b' B b' = c' 50 50 a B a A = h A+B+C c C = A+B+C h 16 C B 6 50 36 C その後時代はめぐり,閉じた DOS から開かれ た WINDOWS にPC環境が完全に移行したの に対応し,筆者も WINDOWS 上の市販ソフト 等で三角図を作成する道を探求してきたが,上 記のような状況で結局,大昔の自作プログラム を WINDOWS 環境に移植せざるをえなくなっ た. その結果,DOS-BASIC では 640*400ドット に事実上(理不尽に?)制限されていた描画領 域をはるかに越える精度でのプロットが可能に なった.ものはついでなので,さらに WINDOWS 環境の特色を利用して,このプログラムからド ロー系グラフィックソフトへのベクトルデータ 出力を可能にした.以下に,簡単に紹介したい. を用いることは不可能なので,二つの成分につ いて底辺からその距離だけ離れた平行線を引き, その交点をプロット点とする方法を用いている (図2). しかし,これらの原理・手法をコンピュータ 上のプログラミングによる座標プロットにその まま用いるのはいずれも困難・煩雑である.そ こで,以下のような簡便なアルゴリスムを用い た.つまり,底辺から成分Aの比だけ離れた平 行線の位置が描画領域(ディスプレイ)上のY 座標,その線上で B:C=c':b' となる場所がX座 標である(図1). 3.プログラム仕様 本プログラム(WinTernary:図4)は WINDOWS上の開発言語統合環境であるVisualBasic Ver.2J で開発された(図3).VisualBasic は, エンドユーザレベルでの WINDOWS アプリケー ションの作成を可能にする MicroSoft 社製の開 発言語であり,WINDOWS システムレベルでの プログラム記述をまったく必要としないという 特徴がある.またその言語仕様は,従来国内で も広く使用されてきた簡易プログラム言語であ る BASIC 言語と多くの共通性・互換性を持っ ているので,移植がきわめて容易である. 2.三角ダイアグラムのプロット原理 三角ダイアグラムのプロット原理は,(おそ らく)図1のようなものである.すなわち,各 端成分の比が,プロット点から底辺に降ろした 各垂線の長さの比に等しい.そのため,あるデー タプロット点の底辺からの高さと三角形の高さ の比は,そのデータの三成分全体に対する比に 等しくなる(A/(A+B+C) = a/h).また伝統的 なハンドプロットにおいては一般に,この原理 図3 VisualBasic でのプログラム開発画面 プロパティリスト フォーム設計 コントロール ツールボックス コードエディタ 7 プロジェクト ファイルリスト 図4 WinTernary™ ・ 作 操 編 集 面 画 WinTernary™ の の ・ 作 操 編 集 面 画 メイン表示ウィンドウ 凡例 データ編集ウィンドウ グループ編集ウィンドウ WinTernaryの現バージョンでの機能および 仕様は以下の通りである. ・任意部分の拡大表示. 4.市販ドローソフトへのデータ出力 三角ダイアグラムをOHP・スライド等のプ レゼンテーションに使用したり,投稿論文原稿 の図として使用するには,WinTernaryから の出力では,その体裁・品質は十分なものでは ない.ダイアグラムにキャプション・矢印・領 域・背景などを自由に追加(・変更)して描画 する機能が必須となる.また,拡大しても品質 の高い印刷をするためには,ビットマップとし てではなく,拡大(縮小)可能なベクトル形式 のデータとしてダイアグラムを描画出力する必 要がある.これらを本プログラム上ですべて実 現するには,WINDOWS プログラミングの高度 な技術が必要であり,とうてい筆者のようなエ ンドユーザプログラマの領域ではない. そこで,データ交換性に優れた WINDOWS 環境を最大限に活用し,プリンタドライバを利 用してグラフィックスをベクトルデータとして ドローソフトへエクスポートし,各種自由描画 はドローソフトの高度な機能を利用する,とい う“できそうもないことはできるやつにまかせ る”賢明な方針を取り,以下のような方法を考 ・表形式のデータ入力と修正機能: データの 最大量は50データ*10グループ=500個/ ファイル. ・自由に設定できるデータグループごとのプロッ トシンボル: 12種類(白丸・黒丸・二 重丸・白四角・黒四角・白三角・黒三角・ 白逆三角・黒逆三角・十字・×印・点). ・三角ダイアグラムの印刷とクリップボードへ の転送: ただし,ビットマップ形式の み. ・三角ダイアグラムの4分割部分拡大表示. ・グループごとに各データプロットに連番を表 示する機能. 現在,WinTernaryにインプリメントを考 えている機能は以下のようなものであるが... 後2者は,開発者の力量不足により,実現可能 かどうかは不明である. ・グループごとの平均値プロット. ・シンボルの可変サイズ. ・頻度コンター. 8 図5 出力された三角ダイアグラムの編集例 Qm Gazzhi-Dickinson 法による 日本の標準砂岩のモード組成 標準砂岩A 標準砂岩B 標準砂岩C 標準砂岩D 標準砂岩E 標準砂岩F 標準砂岩G * 国内の代表的な 研究者による測定結果 石英 量に おけ る 測 者 定 間 の較差 Lt F えた. ① WINDOWS標準添付の PostScriptドライバ をインストールし,出力先をファイル形式に設 定しておく. ②WinTernaryプログラムから Printer オブ ジェクトに対して三角ダイアグラムの描画を行 うと,それがベクトルデータ(PostScript コマ ンド)として PostScript ファイルに出力され る. ③ PostScript ファイルを,そのインポートをサ ポートしたドローソフト(例えば CorelDraw 5.0J) にインポートする. ④ドローソフト上で,ドロー形式のグラフィッ クデータとして編集可能となるので,あとはグ ラデーションでもなんでもお好きなように(図 5). ようだと,開発コストを回収するために,その うち大幅な値上げも考えられる.入手を希望さ れる方は問い合わせていただきたい.必要シス テム環境は以下の通りである. WINDOWS 3.1(以上)が動作している PC(推奨 i486DX/33 以上)で,実装 メモリ8 MB以上(推奨16 MB),ディ スプレイの最大表示ドット数が 1024*768 dots 以上,のもの. 蛇足であるが,ベクトルデータでの出力は, PostScript 形式をサポートしたドローソフトが, もちろん別途必要である. 問い合わせ先: 〒060 札幌市北区北10条西8丁目 北海道大学理学部地球惑星物質科学教室 川村 信人 ℡ 011-706-2724 5.最後に WinTernaryは登録料 ¥1(1円!) のシェアウェアである.ただし,あまり売れる (付記: この内容は,1995/4の日本地質学会北海道支部例会で講演予定だったものに加筆修正し たものです.) 9 5月22日の支部地質巡検に参加して 近藤 務 (北海道支部) 1995年5月22日,樺戸地域の地質見学会に参加させていただき,多くを学び,楽しく充実した日 を過ごさせて頂きました.地学団体研究会札幌支部役員の皆さん,当日の準備をされ,詳しく親切 な説明をしてくださった樺戸団体研究会の方々に厚くお礼を申し上げます. 激しい雨の中,色とりどりの服装の若い方々はじめ40名の参加者での研究交流に,私は新たな感 動を覚えました.周到な準備資料に基づく熱心な説明と,それから学ぼうとする参加者一同の熱意 の前に,雨足も退散し空も次第に晴れてきました.見学会を通して,Sequence Stratigraphy の勉 強を今後深めたいと思いました.同時に変動帯での適応やそれの新たな展開への小さな夢がかすか に浮かんできました. ところで,Sequence Stratigraphy の訳語として「束層層序学」(確か岡田博有氏)があります が,私は,『系集合層序学』ないし『集合系層序学(シーケンスと語韻が似ている?)』がいいの ではと考えているところです. 望来層基底部の海緑石濃集層(コンデンスセクション)の 露頭前で案内者の説明を聞く巡検参加者(当別町一番川にて) 第2回 「最終間氷期勉強会」のお知らせ 日時:1995年7月29日(土) 13時∼17時 場所:北海道大学理学部 地球惑星物質科学教室 S306教室 内容:テキスト『海津正倫著(1994)沖積低地の古環境学.古今書院』の勉強を中心にした取組. (時間帯を以下におおまかに示します,多少の変更をお許しください) @自己紹介・連絡事項(13:00∼13:10) @テキストによる勉強と討論など(13:10∼15:00) 1章のおさらい 前回のチュ−タ−:安井 賢氏 2章 沖積低地研究の歩み チュ−タ−:外崎徳二氏 3章 沖積低地研究の方法と手段 チュ−タ−:内山幸二氏 @地学見学会(1995年10月1日(日)石狩地域の第四紀)の準備討論(15:10∼15:40) @参加各位の「夢を語る」,自由討論(15:40∼16:40) @話題提供: 石狩低地帯南部の最終間氷河期以降の古地理変遷と昇降運動(近藤 務)(16:40∼17:00) @懇談会:終了後コ−ヒ−などのみながらの懇談を予定しています. 連絡責任者 近藤 務(TEL 873-9895) 10 支部報係の独り言... 現在ボレアロは,パソコン上でいわゆる“電子出版(DTP)”に近い形で編集・印刷されています.具体的に言うと, WINDOWS 上のレイアウトソフト PageMaker 5.0J を使い本文等をレイアウト.図表は可能な限りパソコン上のデータ (ベクトル図形・ビットマップ・表計算形式,等)に変換し,それを PageMaker 上で直接レイアウトします.それ を 600 DPI のレーザプリンタで印刷し,複製・製本等だけ(必要であれば)印刷屋さんへ外注します.この方法の 利点はなんと言っても『レイアウトの自由度』に尽きます.少しページからはみ出る場合には行間を微調整して納め る,図等がサイズが合わなければ適当に拡大縮小する,B5でイマイチだったら,A4にしてしまう... で,皆さんからいただく原稿は,少なくともその文章部分は,フロッピーディスク上にあるわけですが,いろいろ と予期せぬ問題があり,編集作業が大幅に手間取ることもしばしばです.以下に書くのは,あくまでも係の“独り言” (だからほら,こんなに文字が小さい (^^;).要求・勧告・非難,等ではありません.これを目にしていただいて 『じゃ次からはこうしよう』と思っていただければ望外ということで... ① フロッピーのフォーマット: 係のパソコンは“世界標準の”AT互換機です.なにしろ速くて安い.で,この 世界標準機の 3.5 inch フロッピードライブは,『1.44MB / 720KB』です.日本国内でだけ通用している98のフ ロッピー(1.25MB)は読めませんので,隣の98を借りてコンバートしています.ここまでは良いのですが,困るの は『640 KB 2DD』と『ワープロ専用機のフロッピー』.後者はそもそも論外ですが,前者は“NEC純正ドライブ”で ないと読めないのですね.正確に言うと,それだけが 640KB を読めるような特殊な仕掛をしてあるということです けど.最近の98では 1.44MB FD をサポートしている機種も増えていると聞いていますので,できればそのフォー マットがありがたい... なお,Mac の 3.5 inch はAT互換機のドライブでコンバータがあればそのまま読み書き可能ですので問題はあり ませんが...ファイル名に漢字(2バイト文字)を使われるといろいろと(コンバータがタコなんですけど)問題 が. ② データのアプリ依存性: ボレアロの最終ページに書いてある以外のワープロの文書ファイルそのままでは,た とえ①をクリアしてもこちらでは読めません.暗号のようなものですから.今回は,『バイナリで開いて文章部分を 抜き出す』という力技を使ったものもありました.こういう手がいつも可能とは限りません.ぜひ,『テキストファ イル形式』でお願いしたい.どんなワープロソフトでも,この形式でのデータ書き出しをサポートしていないものは ないと思いますが... ③ 書式依存性のないテキスト: 次に...②をクリアしても,そのテキストが『書式に依存している』場合には, こちらでレイアウトした時点で問題が起きます.具体的には...『スペース挿入で行のマージンや“改行”合わせ をしてあるもの』です.これは,DOS 上のワープロ等で,“画面表示フォントと印刷フォントが1:1で対応してい てしかも1種類しかなかった”時にはよく使われた(私も使った)手ですが,現在のマルチフォント・マルチサイズ のパソコン環境では,まったく意味がありません.また,著者側でスペースを挿入して合わせたマージン(や用紙サ イズ)がボレアロでも採用されているとはまったく限りませんよね(下例参照).あと,特殊な例かもしれませんが, 元のワープロで段組みをしていたのか,テキストファイルが“段組み形式のまま出力されている!”例もありました. これをこちらでレイアウト可能な形式に修正するのは,(誇張ではなく)地獄のような手間が必要でした. スペースで揃えた元文書 フォントサイズ変更 北海道の地質構造の特徴は,その中 央部における南北に伸びた帯状構造に ある.この構造は基本的には以下の二 つのことに関連している. ①中生代後期(ジュラ∼白亜紀)の 島弧−海溝系の伸張方向 ②新第三紀に入ってからの千島弧の 西進(東西圧縮応力)による地殻 の短縮変形 したがって,この帯状構造の起源を 中生代のテクトニクスに一義的に帰す ることは誤りであると言える. 『北海道中軸部以東の中生代堆積盆 の復元や砕屑供給の考察には,こ の点を確実に踏まえておく必要が ある.』 北海道の地質構造の特徴は, その中央部における南北に伸 びた帯状構造にある.この構 造は基本的には以下の二つの ことに関連している. ①中生代後期(ジュラ∼白 亜紀)の 島弧−海溝系の 伸張方向 ②新第三紀に入ってからの 千島弧の 西進(東西圧縮 応力)による地殻 の短縮 変形 マージン変更 北海道の地質構造の特徴は,その中央部における南 北に伸びた帯状構造にある.この構造は基本的には以 下の二つのことに関連している. ①中生代後期(ジュラ∼白亜紀)の 島弧−海溝 系の伸張方向 ②新第三紀に入ってからの千島弧の 西進(東西 圧縮応力)による地殻 の短縮変形 したがって,この帯状構造の起源を中生代のテクト ニクスに一義的に帰することは誤りであると言える. 『北海道中軸部以東の中生代堆積盆 の復元や砕 屑供給の考察には,こ の点を確実に踏まえておく 必要が ある.』 ④ 印刷物を提出しないで: 原稿をせっかくワープロ等で作成していながら,そのプリンタからの印刷物をこちら に提出される場合がけっこうありますね.これを,こちらの用紙レイアウトに会わせるには,『コピー機による拡大 縮小』するしか手がありません.こういったものは,できれば,本文と同じようにテキストファイル形式でいただき たいです.印刷見本さえあれば,こちらで適当に再構成が簡単ですので. ⑤ 図表データ: 図表もパソコン上で描いてそれをファイルでいただければ...といつも思います.そうなると 図表レイアウトが飛躍的に楽になります.これは,まだ状況が熟してないと言えばそれまでですが...数年前に『講 演要旨等の提出がいっせいにすべてワープロ出力になってしまった』状況を皆さんは御存じかと思いますが,それに 類似した状況が既に見えています.つまり『図表もすべてパソコン上で描かざるを得なくなる』状況です.今年の地 質学会の個人講演・ポスターセッションを見て痛感しました.おそらくこの2・3年でしょう.覚悟するなら今のう ちですよ...(^^; とりあえず“勇気のある方”は,係まで図表を WMF, PICT, TIFF, BMP, EPS, DS4, CDR 形式等で送ってみません か? ちなみに今回もそうですが,送られてきた図表(の印刷物)をこちらでドローソフト等でシコシコ書き直して るものがたくさんあるんよ.:-p (支部報係 M.K.) 11 −原稿をお寄せ下さい!− 支部会員の皆さんからの原稿を募集しています.支部の現況・運営に関する意見・ 感想・提言はもちろんのことですが, *各専門分野のレビューや研究紹介 *トピックス *近況報告 *書評 ...など,何でも結構です.支部報は,皆さんの投稿が生命の源です.事務 局支部報係宛お寄せ下さい.誌上匿名もありです. なお,なにせ支部報係は一人でコツコツやっていますので,原稿(の文章部分) は,以下のどれかの形式でフロッピーディスク(3.5インチ 1.44MB/1.25MB/720KB, 5インチ 1.25MB/1.21MB)にて送付いただければ,係の負担が著しく軽減します. ① MSDOS テキストファイル ② Mac テキストファイル ③ MS-WORD for WINDOWS 文書ファイル ④ DOS/WINDOWS版一太郎バージョン5/4の文書ファイル 付記 今回の支部報送付には,北海道鉱業振興協会より依頼を受けた宣伝物が同封 されています.これは,地団研会員に有益な情報が盛り込まれていることから,本 支部報とともに同封することとしたものです.なお,郵送料の一部を上記協会より 負担していただきました. (支部事務局) 編集後記 ・今回は,長い支部報係生活でも初体験,異例中の異例「ボレアロ2号分同時発行」です.地 震教育特集号が,予定外の内容充実でA4版独立号になってしまったための結果ですが... ああ,しんど. ・某大学では,あいかわらず地団研学生・院生会員のポア状態が続いています.主催巡検等に は人が集まるんだから,入会勧誘はまったく不可能ではないんでしょうけど...自縄金 縛り状態みたいですね.そういえば,他大学から赴任した新任スタッフのうち,お二人が 実は地団研会員らしいとか...? ・同じく某大学では,“機構改革”にともなって廊下や実験室に積み上げているサンプル等に 対する呵責ない整理が続いていますが...先日,段ボール箱に入った“北大班 or 札幌 支部の足跡化石( coprolite とはここでは書けないので (^^;)”が発見された.会員名 簿や他支部から送付された支部報などの資料に混じって,イタリアンレストランの刻印の ある印章ケースに納められた某(元?)会員の立派なハンコが...筒井康隆の『鍵』(だっ たかな?)を思い出してしまった. ・札幌市内でも浅部直下型地震が観測されたとか...中国での“予知情報”は眉唾としか思 えないけど,なにか気になる.とりあえず,箪笥固定具と缶詰購入でお茶を濁す. (-- by M.K.@P5/100+PW9100+PM5J+DS41J+LJ4V) 12