...

知の知の知の知 - 社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会

by user

on
Category: Documents
9

views

Report

Comments

Transcript

知の知の知の知 - 社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会
い~な
あまみ
中 央
さくら
しらさぎ
大阪+知的障害+地域+おもろい=創造
知の知の知の知
社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会 社会政策研究所情報誌通算 1742 号 2014.1.22 発行
==============================================================================
運営移管を県に要望
虐待事件でNPOなど
袖ケ浦福祉センター
千葉日報
2014 年 01 月 21 日
袖ケ浦の県立施設虐待事件について会見する県児童福祉施設協
議会の友田直人会長(左)と千葉こどもサポートネットの池口紀
夫理事長=20日午後、県庁
知的障害がある児童らが入所する袖ケ浦市蔵波の県
立福祉施設「養育園」で昨年11月、入所者男性(19)
が職員から暴行を受けてその後死亡した事件で、県内の
児童福祉施設で組織する団体「県児童福祉施設協議会」
と、子どもの人権擁護に取り組むNPO法人「千葉こど
もサポートネット」は20日、養育園を含む県袖ケ浦福
祉センターの運営を別の社会福祉法人へ移管すること
などを求める森田健作知事宛ての申し入れ書を提出した。
指定管理者での同センターの運営方式をめぐっては、16日に開かれた県議会健康福祉
常任委員会で一部の委員から批判や疑問が出されており、県の第三者検証委員会も運営の
あり方自体やチェック体制などを調査するとしている。
両団体の申し入れ書によると、同センターを運営する社会福祉法人「千葉県社会福祉事
業団」の指定管理を取り消し、別の社会福祉法人への運営移管を要望。指定管理者制度の
選考基準や、運用そのものを見直すことなども求めた。県障害福祉課の山田勝土課長は「真
摯(し)に受け止めたい」と答えたという。
会見した同協議会の友田直人会長は「指定管理者制度はコスト削減の意識が先行し優秀
な人材の流出を招いた。現在の運営法人に改善の見込みはない」と指摘。同NPOの池口
紀夫理事長は「養育園などは民間では支援が困難な人たちが入る施設。県が責任を持って
直接運営していくべき」と訴えた。
県は2006年、同センターの運営効率化のため、委託から指定管理者方式に運営方法
を移行。以前から同センターを運営していた同事業団は移行を前に職員を正規から非正規
へ入れ替えを進めた。関係者によると、04年4月は213人のうち22人だった非正規
職員が、翌年4月には194人中85人に急増したという。
児童相談所の嘱託職員が児童買春容疑(福岡県)
福岡放送 2014 年 1 月 20 日
当時17歳の男子高校生に現金を渡し、わいせつな行為
をしたとして、北九州市の児童相談所嘱託職員吉村直哲
容疑者(36)が逮捕されました。警察によりますと吉
村容疑者は去年5月、佐賀県内のホテルで、福岡県筑紫
野市の男子高校生に対し、18歳未満と知りながら現金
5000円を渡して、わいせつな行為をした疑いです。
吉村容疑者は容疑を認めていて、男子高校生とはインターネットの掲示板で知り合ったと
いうことです。吉村容疑者は、親が世話できない子どもや虐待を受けた疑いがある子ども
などを預かる施設で指導を担当していました。
障害者と社会つなぐ舞台 公演50回超え
大阪日日新聞 2014 年 1 月 21 日
「星の王子様」の練習に取り組む参加者と西村施設長(左から2
人目)=大阪市中央区のNPO法人まんぼう 障害者の生活介
護事業所を運営するNPO法人まんぼう(大阪市中央区)
は、利用者と公募で集まった一般参加者による公演活動
を 15 年以上にわたって続け、障害者と社会のつながりを
育んでいる。舞台でのショーは、障害者にとって自信や
喜びを得られる生きがいとなり、一般参加者らにとって
は障害者への偏見を取り除く場として機能している。
■星の王子様
まんぼうは、1998年から知的障害者らが出演する公演活動に着手。歌や踊りに笑い
の要素を加えた「楽笑(らくしょう)・まんぼうショー」と銘打ち、米国公演も経ながら20
13年には公演回数が 50 回を超えた。現在、NHK大阪ホール(大阪市中央区)という大
舞台で上演する「星の王子様」を成功させようと練習に力を入れている。
指導するのは西村マコト施設長。NHK大阪児童劇団に 10 年間所属していた経験を生か
し、きめ細かい指示を出す。障害者が舞台活動に取り組む意義について「観客からの拍手
が本人の自信につながり、それが自立への道を切り開いていく」と説く。
公演を励みに日々の作業に取り組む利用者も多いといい、約5年間通う女性(37)は「せ
りふをいっぱい言って歌を歌うのが楽しい」と笑顔を見せた。
■特別な力
舞台の出演者や裏方の仕事について公募で参加者を募るのもまんぼうショーの特徴。障
害者と障害のない人の相互理解につなげたい考えだ。
04 年の公演から参加する会社員の石黒修さん(64)=大阪市中央区=は「最初は障害者
とどう接していいか分からなかったが、一緒に取り組んでいくうちに障害がない人と同じ
ように接するのが大事と気付いた」と話す。
想像力豊かな絵画や、同じ作業を集中して取り組む力など、障害のない人にはない力を
持っていることにも驚いたという。
■意識変革
一方、西村施設長はショーを通して「障害者が社会意識の変革の一端を担っていければ」
と意欲を示す。
第1回公演から衣装や小道具には、ペットボトルや空き缶のプルトップなど「捨てれば
ごみになるものを資源として生かし、
『地球に優しいミュージカル』を行ってきた」という。
また、今回の「星の王子様」は、サン=テグジュペリの原作を題材にしつつ「緑化」が
テーマ。王子と鬼が力を合わせて種から木を育てようとする内容だ。
「一人でも多くの観客が地球温暖化の問題に思いを寄せてほしい」と西村施設長。「さら
には率先して社会的責任を果たしている障害者の姿を見て、彼ら彼女らが持つ可能性を感
じてみて」と呼び掛ける。
【メモ】
「星の王子様」は大阪市中央区のNHK大阪ホールで2月 15 日午後2時開演。
入場無料。問い合わせは電話06(6943)6943へ。
【社説】医療費の増大
患者が納得する節減を
中日新聞 2014 年 1 月 21 日
国民の医療費が増え続けている。低額で治療を受けられる医療保険制度は大切な社会保
障だが、どう維持していくかが大きな課題だ。知恵を生かして費用の節減や病の予防に努
めたい。
医療機関に支払われた治療費や薬代などの費用総額が国民医療費だ。全体の約五割を医
療保険の保険料、約四割を税金、約一割を患者の負担で賄っている。
公表された二〇一一年度の額は約三十八兆六千億円、国民一人当たり初めて三十万円を
突破した。
ここ数年は毎年、一兆円ずつ増えている。本年度は四十兆円を超しそうだ。理由は高齢
化と、技術の進歩で高度な治療・検査が普及した医療の高度化である。医療の質向上はメ
リットだが、コストも高くなっている。
必要な医療は確保しながら医療費を抑える努力が要る。それには保険運営者の役割が重
要になる。
国民健康保険を運営する市町村は厳しい保険財政に頭を抱えている。広島県呉市(人口
約二十三万人)も同様だが、独自の節減策が実績を上げている。
先発薬より低価格の後発薬(ジェネリック医薬品)の普及策に、呉市は使用中の薬を後
発薬に替えた場合の差額を市民に通知する対策を〇八年度から始めた。
昨年三月時点で、累計約二万六千人に通知して八割が後発薬に切り替えた。節減額は五
年間で五億円を超えた。有効な対策だ。
高齢者には複数の医療機関で重複して薬をもらったり、種類が多くて服用をやめる人が
少なくない。こうした残薬は全国で年間約五百億円との推計もある。薬剤師による在宅患
者への服薬指導も広げるべきだ。指導で重複処方を避けられ薬代の節減につながる。患者
には薬剤師が日々の煩雑な服薬を支えてくれる存在になる。
疾病予防も呉市が参考になる。糖尿病による腎症の重症化予防に、看護師による生活指
導事業を三年前から行う。腎症が悪化し透析を続けると治療費は一人年間約六百万円だ。
指導を受けた人から透析患者はでていない。
医療機関から保険運営者に送られてくる治療費の請求書は電子化が進みさまざまな分析
が可能になった。それを活用すれば不必要な医療費を抑えられる。
患者は自己負担が減ったり、病が予防できるなど具体的なメリットが分かれば、節減に
協力してくれるのではないか。患者も納得する賢い節減策に取り組むべきだ。
医療功労賞に宇野さん…長島愛生園で31年間看護
読売新聞 2014 年 1 月 21 日
「長島愛生園で人とのかかわり方を学んだ」と話す宇野さん(倉敷市の創心
会訪問看護ステーションで)
長年にわたって地域医療に貢献した人をたたえる「第42回医
療功労賞」
(読売新聞社主催、厚生労働省、日本テレビ放送網後援、
エーザイ協賛)に、県内から創心会訪問看護ステーション(倉敷
市)管理者で、看護師の宇野百合子さん(62)が選ばれた。国
立ハンセン病療養所「長島愛生園」
(瀬戸内市邑久町虫明)で通算
31年間を入所者に尽くし、現在も講演活動で人権の尊さを訴え
る。宇野さんは「入所者の皆さんや家族の支えがあって仕事を続
けられた」と、受賞の喜びを語る。(冨浪俊一)
鹿児島県大根占町(現・錦江町)出身の宇野さんは、中学生の頃、母親が患った病気を
きっかけに看護の職業を志した。当時、ハンセン病についての知識は皆無だった。中学校
の先生の導きで、卒業後に長島愛生園付属准看護学院(現・看護学校)に入った。
同園での生活が始まると、顔や手足が変形した入所者を目の前に、最初は「怖い」と感
じた。それでも、入所者の体をぬぐい、排せつを手伝った。「差別を受けている入所者を助
けたい」という一心が、自身を突き動かした。
准看護師として駆けだして3年がたった頃、理想の看護を目指して岡山市の旭川荘厚生
専門学院の看護科に入った。その後に勤めた早島町の国立療養所南岡山病院(現・国立病
院機構南岡山医療センター)では、重度心身障害児を受け持った。その間にも、看護の基
礎を教わった長島愛生園の入所者たちが頭から離れなかった。
「愛生園は第二の古里。戻っ
てやらなければならないことがあるのではという思いだった」
1985年に看護師長として同園に再び着任した。隔離政策を続けた国は、96年に「ら
い予防法」を廃止した。それからは、ハンセン病患者に対する偏見や差別をなくし、病気
への理解を深める啓発が、仕事の大きなテーマになった。県内はもとより兵庫、京都など
にも出向いて経験を語った。
長島愛生園を定年退職後は、倉敷市の同ステーションで、利用者が家族と地域で暮らせ
るよう訪問看護に励む。その傍らで長島に赴き、各地の療養所の看護師長らを対象にした
年1回の研修会などで講演や講義を担当する。
元患者らによる訴訟で、熊本地裁は2001年、国に賠償を命じ、らい予防法の違憲性
を指摘した。その頃から、ハンセン病への見方が変わったように感じる。長島と本土を結
ぶ邑久長島大橋の完成で、往来もしやすくなった。
「ハンセン病はライフワーク。今後もかかわり続けます」。入所者らにこまやかな心を寄
せる看護師が、静かに決意を語った。
表彰式は22日、岡山市北区下石井のピュアリティまきびで行われる。
「3児の母」の善意に感謝
熊本市の障害者施設
熊本日日新聞 2014 年 01 月 20 日
送られてきたお菓子やインスタントラーメンなどを前に喜ぶNPO法人
あゆみの松村馨理事長=熊本市
熊本市のNPO法人あゆみが運営する障害者通所施設「生活
介護支援センターあゆみ」
(同市西区)に、「東区の3児の母」
を名乗る人物から次々と贈り物が届いている。手紙を添えた現
金を皮切りにインスタントラーメンや野菜、お菓子などが届き、
職員は温かな心遣いに感激している。
同センターは昨年4月、脳性まひの子どもたちがいる親たち
15人が、
「親が亡くなった後の子どもの居場所を作りたい」
と、費用を出し合って設立した。
最初に手紙が届いたのは10月中旬。差出人は「熊本市東区の3児の母」で、本名や連
絡先は記されていなかったという。熊日の記事で設立までの苦労を知り、
「同じ子どもを持
つ親として胸が熱くなった」ことや、
「できる範囲で寄付をさせて」など寄付の動機がつづ
られ、現金も同封してあった。
その後も、テレビやラジオの視聴者プレゼントに当選した食品などが、たびたび送られ
てくるという。
NPO法人の松村馨理事長(73)は「私たちのことを気遣ってくださる優しさに感激
した。お礼の気持ちを伝えたい」と話している。(小野由起子)
母の生活が与える子の健康への影響調査
NHK ニュース 2014 年 1 月 21 日
母親の生活環境や栄養状態が子どもの健康にどのような影響を及ぼすのかを調べる研究
が、千葉大学で本格的に始まることになりました。
千葉大学は、病気の予防と早期発見をテーマに、「予防医学」を研究する大学院を再来年
に開設する予定です。
これを前に、千葉大学予防医学センターの研究チームは、母親の環境が子どもの健康に
どのような影響を及ぼすのか、今月から詳しい調査を始めることになりました。
調査では、妊娠している女性の生活環境や栄養状態、それに日常的に感じているストレ
スを調べます。
そして、子どもが5歳になるまで、アレルギーのほか、糖尿病や高脂血症などの生活習
慣病、それに自閉症や学習障害など発達障害についてのデータを集めます。
このほか、へその緒や親子の唾液や血液なども採取し、ホルモンや遺伝子の働き方も調
べるということです。
研究チームでは、関東地方の医療機関で再来年3月までに1500組の親子の協力を得
たいとしていて、森千里センター長は、「子どもの健康に変化が起きるタイミングとその症
状に、母親の環境がどう関連しているかを詳しく調べ、予防と早期発見につなげたい」と
話しています。
「家庭に深く関わること課題」
相次ぐ児童虐待で栃木県知事
下野新聞 2014 年 1 月 21 日
宇都宮市など県内で乳児への虐待事件が相次いだことを受け、
福田富一知事は 20 日の定例記者会見で「児童相談所(児相)が各
家庭に深く関わることが同様の事件を起こさないことにつなが
る」と課題を挙げた。事件では県の児相が関与しながら、乳児の
被害を防ぐことができなかった。
福田知事は「家庭の中で起こっていることと、児相の思ってい
ることに相違があるから、このような事態になったと思う」と指
摘。ただ「
(家庭への関与には)プライバシーや親権の問題がある」
とし、有識者らで構成する県子ども・子育て審議会児童処遇部会
での検証を踏まえる意向を示した。
休みなしの子育てホットライン開設8年 悩み相談年々増加/横須賀
神奈川新聞 2014 年 1 月 21 日
子育てに関するさまざまな相談を受ける「子育てホットライン」
=横須賀市小川町のはぐくみ館
県内で唯一、24時間365日、子育てに特化した電
話の悩み相談を受け付けている横須賀市の「子育てホッ
トライン」
。2006年1月から始まり、相談件数は増加
傾向で、内容も変化してきている。顔の見えない電話だ
からこそ本音を打ち明けられる様子が、垣間見える。
「子育てホットラインとはいっても、親御さんたちの
人生相談的な役割もある」
。市こども青少年支援課の高場利勝課長は言う。同課では保健師
と社会福祉士の資格を持つ職員5人が平日を、夜間と土日祝祭日を主に非常勤職員で対応
している。
相談は多岐にわたる。子どもの学校生活や教育方針にとどまらず、「ママ友」同士の不仲
や、夫婦関係など枚挙にいとまがない。電話から対面の行政窓口を案内することもあり、
子どもへの虐待などが疑われる場合は児童相談所とも連携する。
ホットライン開設以降、相談件数は増加傾向。06年度は1188件だったが、11年
度に年間2千件を超え、12年度は2425件となった。同年度では0歳児を持つ親の相
談258件に比べて、小学生421件、中学生271件で、しつけから手が離れかけた年
代の子どもを育てる親からの相談の多さも最近の特徴だ。
さらに担当職員は「子どもというより(人付き合いなど)母親自身の相談も多い」と指
摘。高場課長は「地域の中で人間関係が希薄になっていると言われて久しいが、如実に表
れている。近所や、親戚縁者にも相談できず孤立しているのかもしれない」と推測する。
一方で、無言やいたずら電話が全体の約2割を占める。市民を対象としているが、市外
からも「近くに電話相談できる場所がない」と相談がある。さらに、年末年始も開設する
ため人繰りも難しい。相談員自身が問題を一人で抱え込まないよう、月1回の研修会を通
じ、情報の共有や対処法などについても話し合っている。
相談の末に「もやもやが解けた」
「参考になった」と納得して電話を置く親もいるという。
担当職員は「互いに顔が見えず、全く知らない同士だからこそ言えることや、誰かの声を
聞きたいという人もいると思う」と効果に期待している。ホットラインは電話046(8
22)8511。
出会い系サイトが11億円所得隠し 全国で最大規模
朝日新聞 2014 年 1 月 21 日
出会い系サイト運営グループと弁護士が同居していたフロ
アの見取り図
全国最大規模といわれる出会い系サイト運営会
社140社のグループが国税当局の一斉調査を受
け、2012年までの6年間で約11億円の所得
隠しを指摘されたことがわかった。140社はい
ずれも、東京・神田の塗料会社の社長(65)が
実質的に経営。その活動拠点に弁護士事務所を開
業させるなどして、
「隠れみの」にしていたという。
東京、仙台、関東信越、名古屋、高松、広島、
福岡の各国税局の税務調査を受けたのは、ラポー
アンジェリック(東京都千代田区)▽クイックフ
ロー(さいたま市南区)▽リンクシステムズ(浜
松市中区)▽ベイライフ(岡山県津山市)など1
40社。うち約40社が所得隠しを指摘されたと
みられる。
関係者によると、塗料会社社長は07年ごろか
ら、息子ら数人と出会い系サイト運営会社を次々
と立ち上げた。一時は100人を超える男性アルバイトが女性を装って利用者を募り、料
金を振り込ませるなどして30億円超を売り上げていたという。
「異性と会えない」などの
苦情が相次ぐと、1~2年でサイトを閉鎖。会社の所在地を全国各地に移転させては、新
たな会社を都内に設立した。
社説:消費税転嫁 中小事業者に尽きぬ不安
西日本新聞 2014 年 01 月 21 日
4月に消費税率が5%から8%に引き上げられる。その際、自社の製品やサービスの価
格に増税分を円滑に上乗せできるか。取引先に対して弱い立場にある中小企業や下請け業
者の不安は根強い。
実際、増税分を上乗せしても支払わないとか、上乗せ分を値引きせよなどと求める企業
がある。
経済産業省中小企業庁と公正取引委員会が先週、消費税の転嫁拒否に関する調査結果を
公表した。
15万事業者を対象に昨年11月に実施し、約1万社が回答した。
結果、7・3%の750社が転嫁拒否を受けている、または今後受ける懸念がある、と
答えた。
問題ありとされた取引先は268社で、業種別では建設業が最も多く、次いで製造業、
卸売業・小売業となり、全体の7割を占めた。
そこで、中小企業庁と公取委は建設業と製造業、卸売業・小売業の計575の業界団体
に対し、あらためて消費税の円滑で適正な転嫁の徹底を求める文書を出した。
さらに、具体名が出た268社については、昨年10月に施行された消費税転嫁対策特
別措置法に基づいて立ち入り検査を始めた。
仮に取引先が転嫁拒否をしなくても増税分を価格に転嫁するとどうなるか。売れ行きが
下がり、注文が減るのではとの懸念は残る。
ほぼ同時期に実施された福岡商工会議所の調査では、39%の「全て転嫁できる」に次
いで多いのが「分からない」の25%だった。
円安ドル高で原材料費も上がっている。消費税増税に併せて人件費や原材料費の増加分
も価格に上乗せすると消費者に「便乗値上げ」と受け止められる心配がある。
内閣府に開設された消費税価格転嫁等総合相談センターにも、そうした相談が寄せられ
ている。
事業者の値上げが正当であると消費者に納得してもらうにはどうするか。まずは国の責
任が重い。
不正を許さない監視や指導の徹底が不可欠だ。今回の調査で出てきた問題は氷山の一角
とみて取り組むべきだ。企業側にも指摘したい。公取委から何度も注意を受けるようでは
到底信用されないと。
認知症、検査でどこまで分かる 脳ドック活用法
日本経済新聞
アルツハイマー病などの認知症を心配して脳ドックを受
診する人が増えている。主に脳梗塞の兆候をつかむ目的で使
われてきたが、用途が拡大しつつある。ただ、認知症の発症
メカニズムは解明しきれておらず、予防・治療法も研究途上
だ。脳ドックに期待しすぎないで、検査内容や、分かること
と分からないことを理解したうえで上手に利用したい。
2014 年 1 月 19 日
MRIで脳を検査する(慶大病院予防医療センター提供)
慶応義塾大学病院が 2012 年に開設した予防医療センター。脳ドックを受ける人は午前中
にまず先端装置を使った画像検査をする。磁気共鳴画
像装置(MRI)で脳のしわなどの細かい構造を見た
り、血管の様子を調べたりする。頸(けい)動脈の血
流や血管壁を超音波で調べる頸動脈エコーの検査もあ
る。
■面談で兆候つかむ
脳画像などの第一の目的は脳の血の巡りが悪くなり、
脳梗塞をもたらす懸念もある「大脳白質病変」などの
異常や血管障害をつかむことだ。「物忘れがひどいけど、
大丈夫か診てほしい」と検査を受けに来る人も多いが、
画像からは認知症の兆候が直接読み取れるわけではな
い。むしろ偶然、脳梗塞などの危険がわかるケースが
多いという。
認知症の診断につながるのは、午後の医師との面談
だ。1人あたり1時間ほどかけ、気になっていること
を医師に話す。「ある程度心が通じ、気持ちよく検査を
受けてもらわないと本当の状態がわからない」と担当
医は打ち明ける。
「打ち解けるための時間を大切にしている」という。
緊張がほぐれたところで、一般的な知能テストや記憶テストを受ける。
「今日は何月何日
ですか」
「これから言う言葉を繰り返してください」など、正常なら決して難しくない問い
に答える。物語を読んで 30 分後にどれだけ覚えているかを説明するテストもある。いずれ
も、認知症を専門に扱う同病院の「メモリークリニック」で実施している検査を参考にし
たものだ。
脳ドックは通常の人間ドックの追加メニューとして用意している。「人間ドックでは生活
習慣病を把握するための問診などをしており、その情報も脳の病気を判断するのに役立て
る」
(予防医療センター)
。総合的な健診がよいという。
検査で異常が見つかりメモリークリニックの受診や治療などが必要と思われる場合は医
師から詳しい説明がある。問題があると言われショックで落ち込む人もいるが、あまりス
トレスにならないよう前向きに考える姿勢も大切だ。
MRIの画像を専用ソフトウエアで処理し、認知症との関係が深いとされる脳の萎縮の
有無を判定する医療機関も出てきた。南東北グループの新百合ケ丘総合病院(川崎市)は
脳ドックのメニューに、同ソフトを使う「脳萎縮解析検査」を設けている。記憶をつかさ
どる海馬という部位の萎縮がないかなどを調べる。
■50 歳以上がお薦め
PET―CTの画像も診断に役立つ(窓の向こう側が装置。新百
合ケ丘総合病院)
ソフトは「VSRAD」と呼ばれ、海外でも使われて
いる。標準的な脳のデータと検査を受けた人のデータを
比べ、萎縮の程度を0~3の数値で表示する。1以上だ
と萎縮が疑われ、数値が大きいほど問題があるとされる。
ただし「脳の形には個人差があるので、最後は医師が
画像を見て判断する必要がある」と同病院の笹沼仁一院
長(脳神経外科)は指摘する。ソフトは 50 歳以上向け。30 代~40 代でも脳の萎縮を心配
して検査を希望する人が多いというが、正しい判定が出ないかもしれないと知っておきた
い。
50 歳以上でも「脳に萎縮が見つかれば必ず認知症というわけでもない」(笹沼院長)。例
えば飲酒量が多い人は前頭葉に萎縮がみられる場合があるが、認知症には直結しない。
主にがんの早期発見のために使う、陽電子放射断層撮影装置(PET)とコンピュータ
ー断層撮影装置(CT)を組み合わせた「PET―CT」の画像が役立つこともある。が
ん検査よりも少し長く時間をかけ、頭部の画像をとる。脳をスライスした画像で、働きが
悪い部分などが見える。アルツハイマー病に至っていない軽度認知障害を把握できる可能
性がある。
脳ドックは最先端の診断機器やシステムが次々に導入されている。大切なのは画像をき
ちんと読み取れる「読影」の専門家や、検査結果から病気との関連を判定できる医師がい
るかどうかだ。日本脳ドック学会の認定施設は参考になる。新設の病院などはリストに入
っていない場合があるが、医療機関のホームページなどで脳や神経の専門医がそろってい
るかをあらかじめ調べるとよいだろう。
(編集委員 安藤淳)
月刊情報誌「太陽の子」、隔月本人新聞「青空新聞」、社内誌「つなぐちゃんベクトル」、ネット情報「たまにブログ」も
大阪市天王寺区生玉前町 5-33 社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会 社会政策研究所発行
Fly UP