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プレスリリース - ARATANIURANO

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プレスリリース - ARATANIURANO
潘 逸 舟 「As far as I know」
2016年 3月5日(土) - 4月2日(土)
陽春の候、皆様におかれましては益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。
ARATANIURANO では、3 月 5 日から 4 月 2 日まで、潘 逸舟 個展 「As far as I know」
を開催いたします。
潘 逸舟は 1987 年上海生まれ。 青森に移住した後、 高校生の頃から作品制作を始め、 2012
年に東京藝術大学先端芸術表現科大学院を修了しました。 等身大の個人の視点から、 社会と個
〒108-0072
東京都港区白金3-1-15-2F
3-1-15-2F Shirokane Minato-ku
Tokyo 108-0072 Japan
Tel +81-(0)3-5422-8320
[email protected]
www.arataniurano.com
の関係の中で生じる疑問や戸惑いを、自らの身体を用いたパフォーマンス性の高い映像作品、 イ
ンスタレーション、写真、絵画など様々なメディアを駆使しながら、 真摯に、時にユーモアも交え
ながら表現する注目の若手作家です。
本展では、 關渡美術館(台北)、ロンドン RCA、ボストン美術館での展示、ニューヨークでのレジ
デンスを経て、益々の飛躍が期待される潘の初期作品および最新作を展示いたします。
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“as far as I know” ( 僕の知っていることからすると )
金澤 韻 ( キュレーター )
1987 年に上海郊外で生まれた潘 逸舟は、9歳の時、両親の仕事の都合で青森県に移り住むこ
とになった。 その青森で、2003年、熊本市現代美術館における日本初個展を開催したばかりのマ
リーナ・アブラモヴィッチが、国際芸術センターの招きにより講演した。 当時高校生だった潘は
1.
強い衝撃を受け、一気に現代美術の世界へと引き込まれていくことになった。 ほどなく制作され
潘 逸舟
たパフォーマンス・ヴィデオ<My Star>(2005) に、早くも彼の作家としてのシンプルで強い
「Musical Chairs」
メッセージを見ることができる。 身につけているものを一つずつ、 大地に星を描き置いて行き、
その中心に裸で横たわる。 意識の極限に自らの身体を用いて挑んだアブラモヴィッチの火の結
界<Rhythm 5>(1974) をなぞるようなこの初期作品は、共産主義のシンボルの中で、ただそこ
に在って呼吸する生身の人間を表現する。 また、21 歳で制作されたパフォーマンス・ヴィデオ
2015年
ビデオインスタレーション
撮影:山本糾
潘 逸 舟 「As far as I know」
<White on White>(2008) は、故郷上海郊外でアヒルを飼う親族から取り寄せた真っ白い羽
毛を、青森の雪原に蒔いていくというものだ。 上海と青森が白い風景でつながる、と同時に、雪深
い野を前進し種を蒔く身振りのうちに、人が生計を立てる行為の切ないようなひたむきさが表れ
てくる。 いくつもの意味のレイヤーが、平明で幻想的なイメージの中に豊かに包含された、若き
天才の出現を確かに知らしめる傑作である。
その後、潘のテーマは中国と日本、二つの祖国を持つ身としてナショナル・アイデンティティ
の探求へと進展していく。 東京藝術大学大学院修了制作として発表された3つの映像はいずれ
も海を主題としたもので、その一つは尖閣諸島と思しき海上の山が現れ、また海の中に沈む様子
を映し出していた。 領土のメタファーが消えるときの感興は、国という概念のありようを素朴に
率直に私たちに問いかけてくる。 本展の<Musical Chairs ( 海 )>(2015) は、その延長上にあ
る作品だ。 干潮時に姿を表す小島で、5人の人々が椅子取りゲームをしている。 一人、また一人
と敗者が消えていき、最後の一人もまた座るための石を海に投げ捨てて画面から姿を消す。 その
背面のスクリーンでは小島自体が潮の流れの中に消失する。 人間の考えだした概念として、ゲー
ムの勝敗も、その土俵すらも、きわめて儚い夢のように表される。
大学院卒業後はレジデンスプログラムなど海外での 経験が、 日本/中国といった対比を超え、
広く一般的なイデオロギーへの疑問を投げかける作品へとつながっている。 例えば<Reclining
Statues>(2015) はロンドン RCA でのコミッションワークで、西洋の伝統的精神を示す5つの
スタチューが、 ブッダの涅槃像のポーズをとるコミカルなヴィデオ作品だ。 そして<13 本の横
縞>(2015) はニューヨーク、アジアン・カルチュラル・カウンシルでのレジデンスで構想され
たもので、事故現場など一時的な立ち入り禁止区域に使われる紅白縞のテープを素材に、アメリ
カ国旗を想像させるイメージを描き出している。 いずれも特定の価値観を示すシンボルの形や
素材を変えてみることで、私たちの既成概念にゆさぶりをかける。
<無名の山>(2016)、<ふたつのまる>(2012) は、オーストラリアでの滞在時にスタートした
シリーズの最新のものとなる。 このシリーズでは、ある社会に象徴的な風景を描き出すために、
当地で使われている硬貨のうち、もっとも安価なもの ( 例えば日本なら一円玉 ) を使用する。 原
寸大の硬貨の濃淡によって全体が描かれるとき、それは社会を構成する私たち一人一人のアレゴ
リーとなる。
思えば、潘が用いるものはいつでも身近な、ありふれた物だった。 幽玄な東洋の山はいつも財
布に入っている一円玉で描かれ、強国の旗は一般的な安全テープで描かれ、領土問題は私たちが
幼児期に親しんだ椅子取りゲームでたとえられた。 星を描くのに、火のように魔術的なものを用
いず、学校に持って行くカバンや教科書やノート、そして普段着を用いた。 二つの国のイメージ
をつないだのはアヒルの羽毛と雪だった。 言うまでもなく、彼は自身の境遇を出発点とし、国家、
社会、価値基準を問い直し続けている。 ただ、そんなに大きなものを相手にしているのに、彼のや
り方はいつも等身大で、武器にしても身の回りの日用品ばかりなのだ。 たぶんそれは、彼がどこ
かで、気づいているからなのだと思う。 人間が自らの手で作り出し、そしてまた自ら囚われる巨
大なシステムに挑むなら、自らの感知できることから考え、その末に得られるものを以てでしか
し
ない、ということを。 中国・日本/社会/国家と、掌の中にある日常の結びつきを 識ろうとする
潘の試みは、私たち一人一人に向けられている。
本年は、アラタニウラノでの個展の他、ニューヨークのジャパン・ソサエティ、ジューイッシュ・
ミュージアムでの展覧会への参加が既に決定しています。 注目の若手作家の待望の個展に是非
ご期待ください。
つきましては、本展の広報にご協力賜りたく、ここにご案内申し上げます。
〒108-0072
東京都港区白金3-1-15-2F
3-1-15-2F Shirokane Minato-ku
Tokyo 108-0072 Japan
Tel +81-(0)3-5422-8320
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www.arataniurano.com
潘 逸 舟 「As far as I know」
〒108-0072
東京都港区白金3-1-15-2F
3-1-15-2F Shirokane Minato-ku
Tokyo 108-0072 Japan
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www.arataniurano.com
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○展覧会概要
展覧会タイトル 潘 逸舟「As far as I know」
会期 2016年 3月5日(土) - 4月2日(土)
時間
11:00 - 19:00 / 日曜・月曜・祝日休み
会場
ARATANIURANO
東京都港区白金3-1-15-2F
Tel 03-5422-8320
e-mail [email protected]
URL www.arataniurano.com
入場料
無料
< トークイベント & クロージングパーティー >
4月2日(土)
19:00- トークイベント:金澤 韻 (キュレーター) × 潘 逸舟
20:30- クロージングパーティー
< 今後の展示情報 >
3 月 11 日 - 6 月 12 日
In the Wake Japanese Photographers Respond to 3/11
ジャパン・ソサエティ、ニューヨーク、USA
http://www.japansociety.org/page/programs/gallery/coming-soon-in-the-wake
2.
潘 逸舟
「リクライニング・スタチューズ」
2 月 5 日 - 6 月 30 日
Sights and Sounds: Global Film and Video
ジューイッシュ・ミュージアム、ニューヨーク、USA
http://thejewishmuseum.org/exhibitions/sights-and-sounds-global-film-and-video
2015年
9min. 38sec.
ビデオ
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