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ヨーロッパ近現代におけるギリシャ悲劇の女性像の変容
東洋大学人間科学総合研究所 2012 年度活動報告 23 ■研究チーム④ ヨーロッパ近現代におけるギリシャ悲劇の女性像の変容 研究チームの研究課題名 ヨーロッパ近現代におけるギリシャ悲劇の女性像の変容 研究代表者およびチームリーダー 近藤 裕子(経済学部経済学科・教授) 研究分担者名 客員研究員 永井 典克 大崎 さやの 研究計画の概要 ヨーロッパの近現代の作品において、ギリシャ悲劇の女性登場人物が、どのような形で表象さ れているのかを探り、これらの作品において再現された女性像とオリジナルの女性像がどのよう に異なるのかを解明したい。イギリス、フランス、イタリア各国の文学者が共同研究でこのテー マと向き合って、ヨーロッパの女性像のプロトタイプといえるギリシャ悲劇の女性像に投影され た、近現代の女性観を明らかにしていくことが、本研究の目的である。 これまで 3 名はそれぞれイギリス、フランス、イタリア文学などの専門分野において、各人が 研究を行い、学会発表などの活動を行ってきた。18 世紀の終わり、いわゆるナポレオン戦争の 頃になって、国境線、国籍という現代につながる概念が意識、確立されるようになるが、それま でのヨーロッパ研究はそもそも国境線には縛られない、汎ヨーロッパ的な立場からの研究である。 ヨーロッパ文化の共通項である、ギリシャ神話の女性像の問題から、家族、犠牲、国家という大 きな概念の変化をも射程に入れて、歴史的、社会的に研究を拡げていく。 24 年度(初年度)の共同チームはその第一歩として、ヨーロッパ文学における共通のモチー フといえる、イピゲネイア(メディア、アンティゴネ、アンドロマケ等にも、モチーフを拡げて いく)の女性像をオリジナルのギリシャ悲劇と近現代の作品において比較することを行う。主と して 17-18 世紀(フランスの場合は 16-19 世紀)の作品に共通するギリシャ悲劇の女性登場 人物を比較することで、個々の作家の女性観を検討することとした。 女性像の変容をめぐるテーマは文学のみならず、社会的・歴史的な視点、またフェミニズム研 究などと研究領域が重なっている。オリジナルのギリシャ悲劇の女性像が、時代、社会、国の違 いなどによってどのように変容したのかを探ることは、人間の生きざまという今日的なテーマの 24 東洋大学人間科学総合研究所 2012 年度活動報告 基礎ともなっている。24 年度は今後の幅広い研究の基礎固めの一歩としてとらえている。 当該年度の研究活動 第1回 7月18日(水)各人の研究の進捗状況について報告 場所 2号館8階 近藤(裕)研究室 第2回 9月25日(火)夏休みの各人の研究について報告、今後の展開 及び科研申請についても検討 場所 2号館8階 近藤(裕)研究室 (この後、科研の書類準備を含めてメールで連絡を取り合った。春休みは予定が合わず、25年度に継 続して研究を行うこととなった)