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沖野変電所に係る供給支障事故について(概要)

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沖野変電所に係る供給支障事故について(概要)
別
紙
沖野変電所に係る供給支障事故について(概要)
2006年8月11日
東北電力株式会社
1.はじめに
平成18年5月26日南仙台変電所における母線停止操作時に,沖野変電所への送電
を誤って停止し,仙台市若林区の一部地域で供給支障事故を発生させましたことを重く
受け止め,今後このような事態を起こさぬよう,第3者機関からのアドバイス等を受け
ながら,これまでの事実関係確認と要因分析を行い再発防止対策を取りまとめましたの
で,その概要を報告いたします。
2.供給支障事故の状況
(1)事故発生日時
平成18年5月26日(金)
9時48分
(2)事故発生場所
沖野変電所(宮城県仙台市若林区内)
(3)供給支障の概要
供給支障電力 12,000kW 最大停電戸数21,505戸
供給支障時間
9時48分から10時4分(16分)
(4)事故発生前の状況
沖野変電所は,通常時は仙台東部線を通じて東若林変電所と接続し,仙台市内へ電力
を供給していますが,東若林変電所での作業があり,供給信頼度維持のため,5月2
2日より南仙台変電所X母線に接続していました。
(5)事故発生の経緯
事故発生当日,南仙台変電所内の作業によりX母線を停止するため,X母線に接続し
ている送電線をY母線へ切替え後,両母線を接続する母線連絡用遮断器の開放操作を
行ったところ,沖野変電所が停電となり供給支障事故が発生しました。
南仙台変電所において,X母線に沖野変電所が接続されていたことに気付かずに母線
切替え作業を継続したため,供給支障事故を発生させてしまったものです。
(事故発生時の電力系統図)
南仙台変電所
母 線
Y
②接続されていること
に気付かなかった
X
O41
仙台東部線1号
O42
仙台東部線2号
東若林変電所
母 線
Y
X
運転中
停止中
母線連絡
用遮断器
沖野変電所
①他送電線は
Y母線に切替済
③開放により
X母線停止
事故発生
④停電(12,000kW)
1
3.原因調査の方法
事故に至った要因を調査するにあたり,事故当日前までの作業停止計画や給電操作指
令票作成・承認段階および当日操作段階における実施内容を調査し,第3者機関のア
ドバイスを受けながら,心理面などの「人間要因」,制御システム面などの「技術・
環境要因」,などの直接的要因,さらにライン管理面などの「背景的要因(組織的
要因)」面から要因を分析しました。
4.原因調査の結果
(1)直接的要因
南仙台変電所X母線停止のための給電操作指令票(手順表)が誤って作成され,
当日,それに基づき操作を進めて供給支障に至ったことが直接的な原因であり,こ
れらについて,人間要因,技術・環境要因,組織(業務運行)要因面から分析を行っ
た結果,次のような課題が明らかとなりました。
給電操作指令票作成段階においては,作成者が複数の給電操作指令票を関連付け
てチェックを容易にするルール(手法)の不備や,送電系統の変更情報などの当直
チーム間での情報共有化不足などの課題がありました。また,当日操作段階では,
操作前の送電系統の状態と給電操作指令票に示された送電系統の照合確認方法に
ついてのルール不備,安全性チェックシステムなどから出力される相違点(エラー
表示)が軽易なものと重要なものが同じ表示様式(フォーマット)であったため重
要度が分かりにくくなっていたこと,報告・連絡・相談などの面でコミュニケーシ
ョン不足などがありました。また,誤操作防止を目的とした母線連絡用遮断器のイ
ンターロック機能は使用が基本のところ,本事例では技術センターの判断で不使用
としていました。
なお,他事業所においても実態調査をした結果,母線連絡用遮断器インターロッ
ク機能の不使用個所がありましたが,本店電力システム部や支店電力流通本部も承
認している事例があったことから,仕様変更に関するルールの取決めの不明瞭・不
徹底が明らかとなりました。
(2)背景となる要因
分析結果から,上記のとおりルール不備,システム仕様の不備,母線連絡用遮断
器インターロック機能除外など直接的要因が明らかになりました。その背景として,
本店電力システム部および支店電力流通本部における現場での給電操作指令票(手
順表)作成,当日操作における仕事の進め方の細部までの把握不十分であったこと
が判明しました。
これに対して要因分析の深堀りを行った結果,本支店ラインによるマネジメント
や現場業務の細部まで踏み込んだPDCAサイクルの運行が不十分であり,さらに
現場に対する本支店部門監査が書面などの記録によるチェックが中心であり,当該
事象により明らかとなった問題や課題の摘出が十分でなかったことが判明しまし
た。
2
5.再発防止対策
再発防止対策の立案にあたっては,安全・安定供給を基本に第一線事業所が安全・
確実な業務に取り組めるような仕組み作りを基本に検討を行いました。
具体的な内容は次のとおりです。
(1)主な直接的対策
直接的対策については,以下に記載のとおり,ルールの改善,制御システム改修,
安全意識向上など教育面での強化,組織・体制の強化を実施いたします。
項目
対策目途
給電操作指令票作成
① 作業停止予定,送電系統切替予定を一元管理で 7月中指示
ルール化:
きる資料の追加。
② 作業計画・送電系統切替内容を確認するための 9月末目途
所内系統運用打合せ会の開催。
③ 作業停止内容変更時の取扱いをマニュアルへ追
記。
当日操作
ルール
の改善
再発防止対策
④ 制御システム仕様変更,不具合改修時の業務フ ルール化:
9月末目途
ローのマニュアルへの追記。
⑤ 操作時における確認項目,当直責任者に判断を
仰ぐべき項目のルールへの追記。
制 御 シ ス テ ① 母線連絡用遮断器インターロック機能の使用。
② エラー確認画面の表示色変更,アラーム鳴動追 仙台技術センター:
ム改修
H19.2 月目途
加。
その他:
③ 当直責任者と操作者の確認二重化。
H19.5 月目途
教 育 面 で の ① 操作実行時の指差呼称や報告・連絡の重要性を 7月中指示
周知。
強化
19年3月∼
② 異動時の導入教育の実施。
③ ヒューマンエラー防止を目的とした事故事例の 7月中指示
紹介などルールの背景に係る教育の実施。
組織・体制の ① 技術センター制御所における業務量調査結果に 18年度末目途
基づく応援体制と人員強化の検討。
強化
② 関連基準・マニュアルの輪読による安全意識の 7月中指示
高揚を図る。
③ コミュニケーションに係る社外講師によるセミ
ナーの開催。
また,母線連絡用遮断器インターロック機能を使用していなかったことや仕様変更
等の承認に不適切な事例があったことへの対策としては,インターロック機能を確
実に使用していくとともに,次のような対策を実施していきます。
【直接的な対策】
〇母線連絡用遮断器インターロック条件の適用
〇制御システム標準仕様変更時の業務フローのルールへの明記
3
【予防保全的な対策】
〇本店電力システム部は標準仕様変更をする場合のルールの明確化をする。
〇本店電力システム部の業務の総点検(ルール不明確個所の洗出し等)
(2)背景となる要因への主な対策
自主的保安活動の向上を目指し,予防保全的な観点を取り入れた本店電力システ
ム部および支店電力流通本部による部門活動の展開や,保安活動全般に対する経営
層によるマネジメントを強化し,PDCAサイクルを機能させていきます。
予防保全的な活動の展開
項目
再発防止策
経 営 層 に よ る 新たに「設備保安推進会議」を設置し,部門横
マ ネ ジ メ ン ト 断的に経営的な観点から課題や事故の対策検
討,その後のレビューを実施する。
(原子力設備
の強化
については既存の「原子力安全推進会議」にて
審議)
保安に係 当該事象により明らかとなった要因以外に対す
る業務の る予防保全的な対策として,部門全体の保安に
総点検運 係る業務運営全般について不備や改善を要する
事項がないか確認していく。
動
部門監査 保安向上提案の情報等を活用し,各職場の課題
面の充実 の掘り起こしや課題への対応をフォローしてい
く。また,ピアレビュー活動や再発防止対策の
定着状況も確認していく。
現場の課 【組織変更時の要因に対する対策】
題を吸い
①組織整備時のサポート体制の強化
上げる仕 【通常ライン管理の要因に対する対策】
組み作り
①本店主催の常設会議体による課題についての
情報提供と共有化
②技術センター制御所間ピアレビュー,給電指
令所間ピアレビューの導入
③保安向上提案活動の導入
④経営層および部門の現場パトロールと少人数
対話
対策目途
8月∼
9月∼平成19
年8月
下期∼
下期∼
7月∼
下期∼
6.今後の取組み
このたび策定した対策を実効あるものにするために,経営層や電力システム部によ
る現場との対話によって相互に意識の高揚を図り,部門全体としてPDCAサイクル
を確実に展開します。また対策の定着状況を制御所長会議などの会議や部門監査等で
確認・改善等を行っていくとともに,引続き第3者機関からのアドバイスも得ながら,
広く安全意識の高揚と安定供給に努めていく所存であります。今後各対策を実行に移
した段階で関東東北産業保安監督部に再度報告いたします。
以
4
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