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運動方程式
内 容 • • • • • • • 振動工学 第3回 運動方程式 演習2の解答 運動・座標・自由度 Newtonの運動法則 運動方程式 慣性力、D’Alambertの原理 剛体の転倒 墓石の転倒 1 演習2の解答 問題: 地震と地震動の違いは何か。 それぞれどのような値を用いて大小強弱を表すか。 場所ごとに異なるのはどちらか、また、その理由 はなぜか。 解答: 断層面で岩盤がせん断破壊することにより発生し た衝撃波が地中を伝播して地表に到達し、地面 のゆれとなって現れたものが地震動、この現象全 体を地震という。 地震の規模はマグニチュードにより、地震動は震 度階、加速度などにより表す。 地表のゆれである地震動は、震源からの距離や 岩盤・地盤の性質・形状により伝播性状・震動性 状が異なる。 3 2 運動(1) 運動 ある一点が、時間の経過に従ってその位置を移動 する現象。これを示すには基準となる座標が必要と なる。 変位 Displacement (m) 運動している点の移動量 速度 Velocity (m/s) 変位の時間に対する変化の割合 加速度 Acceleration (m/s2) 速度の時間に対する変化の割合 4 運動(2) 座標 座標系 点が直線に沿って運動している時、時間をt,変位をu とすると • 速度 • 加速度 単位は、 • 変位 • 速度 • 加速度 点の空間的な位置を示す →通常、右手直角座標系を用いる du u dt dv d du d 2 u u a dt dt dt dt 2 v m m/s m/s2 座標 座標軸に沿う長さ:x, y, z 回転角: など→”右ねじ”が正、単位は rad 5 自由度 系 1つ以上の部材から構成され、力学的解析の対象と するモデルを構造系または系(System)という。 自由度 系に n 個の動き方が可能な時、系は n 個の自由度 (Degree of freedom, dof)を持つという。 一般化座標 n個の自由度を有する系の運動中の各点の位置は、 n個の互いに独立な変数によって表すことができる。 これらの独立な変数を一種の座標と考え「一般化座 標」と呼ぶ。(長さ、角度) 7 6 Newtonの運動の法則 運動と力の一般的な関係: Newtonの運動の法則 第1法則 静止もしくは等速度直線運動をする物体は、これに 力が作用しない限り、その状態を持続する。 第2法則 速度の変化すなわち加速度は、作用した力に比例 し、その力の方向に起こる。 第3法則 作用は常に反作用と逆向きで、それらの大きさは等 しい。 8 運動方程式 (1) 運動方程式 (2) 第2法則より 重力単位系(古い単位系) 質量 1kg に働く重力→重量キログラム:kgf これを力の基本単位とする単位系を「重力単位系」 と言う aP a:加速度, P:力 比例定数(係数)を1/m とすると a 1 P m m:質量(質量の定義), 単位は kg g (重力の加速度)は地球上で一定ではない。また、地 球以外ではその大きさは異なる。 国際標準: g = 9.80665 m/s2 したがって、1 kgf = 9.80665 N SI単位系 1kg の物体を 1m/s2 で加速する力 =1kg・m/s2 = 1 N 重量: mg g:重力の加速度 9 運動方程式 (3) 10 慣性力とD’Alembertの原理 下式を運動方程式(Equation of motion)と言い、 運動現象を表す全ての方程式の出発点となる。 P ma 運動方程式を変形すると ma P 0 2つの力が釣り合っている(足すとゼロ)。 – ma:慣性力(Inertia force)または慣性抵抗 物体が加速度をもって運動している時でも、慣性力を 含めて力の釣り合いを考えることができる。 つまり、動的な現象(運動)を、静的な(運動していな い)釣り合いの問題に還元できる。 これをD’Alembert(ダランベール)の原理と言う。 11 12 剛体の転倒 (1) 剛体の転倒 (2) 地盤上に質量 m (重量 W = mg )の剛体がある。今、 地盤が加速度 a で下図の左方向へ水平に動く(→剛 体も滑らずにいっしょに動く)ものとする。 剛体に作用する力は 慣性力: – ma (剛体が地盤に対して及ぼす力) (剛体と地盤との間に働く摩擦力) 摩擦力: F これらが釣り合う – ma + F = 0 加速度が大きくなると剛体は転倒する。 転倒のような運動を考えるにはモーメントを考える必 要がある。 モーメントとは 偶力(同じ大きさで向きが反対の一対の力) 距離 2l(回転中心までの距離が b)のとき M = P・l をモーメントという –P -ma P F a 剛体の転倒 (3) 今は強い地震動の揺れを計る強震計があるが昔はな かった。昔の地震動の強さ(加速度の大きさ)は墓石の 転倒から計算した。 高さ2h, 幅2bの墓石が倒れるか倒れないかの境目は mah – Wb = mah – mgb 符号は時計回りが+ この値が >0 ならば右へ回る→倒れる <0 ならば左へ回る→元に戻る 倒れる条件は a b (Westの公式) g h mah – mgb > 0 a b g h 14 墓石の転倒 (1) A点回りのモーメント: → 2l 13 2h 墓石を数えて“倒れた/倒れなかった”を計算することに より加速度 a が分かる。 -ma W A 2b 15 16 墓石の転倒 (2) 福岡県西方沖地震 地震計がない時代、地震動の最大加速度値を推定す るのに用いられた。 たとえば • 濃尾地震 (1891.10.28) • 関東地震 (1923. 9. 1) • 福井地震 (1948. 6.28) 2005年3月20日 玄界島で大きな被害 小牧 430 cm/s2 小田原 550 cm/s2 福井 640 cm/s2 17 墓石の転倒 (3) 墓石の転倒 (4) Westの公式より,墓石が転倒する境目の加速度は a b 25 0.3125 g h 80 従って,当地の加速度は, a = 0.3125×9.8 = 3.06 m/s2 以上と考えられる。 80cmx25cm 20 剛体と構造物(弾性体) 1質点系(1自由度系)モデル 剛体 質点 変位しても形が変わらない(変形しない) 物体の重心に全質量が集まっているとし,重心の位 置・運動によって物体の位置・運動を代表させる。 ここでは,水平方向の運動 u (m) のみ考える。 質点はばね k (N/m) を介して固定端に結ばれてい る。このばねは,物体の変形しやすさを表し,Hook の法則に従う。 構造物 変位すると形が変わる(変形する) 力と変形の関係が比例する(Hookの法則が成り立 つ)時、これを弾性体と呼ぶ 剛体 構造物 21 22 運動方程式の解 (1) 運動方程式 D’Lembertの原理: (– ma) + P = 0 ここに, – ma は慣性力,P は外力 これより mu ku 0 mu ku 0 23 両辺をmで割って u 2 u 0 ここに k N m kg m/s 2 /m 1 m kg kg s 上の方程式は, 2階の同次線形常微分方程式と呼ばれる。 同次:右辺(定数項)がない 線形:変数が2次以上でない • 2つの「1次独立」な解を持つ • 一般解はその1次結合で表される 24 運動方程式の解 (2) 1次独立な解は u1 cos t , u 2 sin t 一般解は u A cos t B sin t 上式を微分すると,速度・加速度は u A sin t B cos t u A 2 cos t B 2 sin t ここに,A, Bは積分定数(未定係数)と言う。 ˙˙t 0 )により この値は t = 0 における初期条件( ut 0 , u 定まる。 25