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実 習 報 告 樹木の挿し木等増殖の方法 と植物が教えてくれる驚きの数々

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実 習 報 告 樹木の挿し木等増殖の方法 と植物が教えてくれる驚きの数々
実
習
報
告
平成 23 年 5 月 31 日
樹木の挿し木等増殖の方法
と植物が教えてくれる驚きの数々
報
告
者
小
中
長
昭
今回は、挿し木について川﨑先生より講義を受けました。
まず、午前中は、川﨑先生が樹木に関わる仕事 50 年、樹木医 10 年の経験された時に県樹木センターで「樹に教わった驚きの数々」
と題して講演された時のスライドを見ながらの受講です。それは、樹木の現状調査に基づく事例から感じられた「七つの驚き」です。
その午前中の内容をまず紹介します。
第一の驚き
○天然林の古木樹齢は、人工林の感覚で推定すると 100 年位若く判定する誤りをおかす
天然林は上層木に被圧されて生育するため、上層木に達するまでは成長量が極端に少ないためと思われ、最初の 100 年間は、直
径 10 ㎝程度しか成長してないため判断を見誤るらしいです。
第二の驚き
○幹・根の腐朽部分は不定根を養い、地上に達した不定根は樹勢を回復させるとともに、幹・根の強度を補完し表皮を作ってゆく
彦根市井伊神社のしだれ桜の事例から
第三の驚き
○下草を刈らないとクズが樹木に巻きつき、その蔓を伝って、コウモリガの幼虫が登り幹に穿孔・加害する
甲良町金屋の犬上川の桜の事例 桜の基幹腐朽の原因(穿孔被害)
第四の驚き
○なぜか、松くい虫防除薬剤の樹幹注入を行った幹には縦列の腐朽傷のある樹が多かった。
彦根城の松並木、多賀大社の事例
第五の驚き
○エノキ等の古木にヤドリギが寄生し、ヒヨドリ等の野鳥を通じて爆発的に増殖している
ヤドリギは、エノキやサクラ等の大木に寄生し、寄生根を宿主の幹にくい込ませて養分を吸い取ります。落葉する冬季に冬期に黄
色い実を多くつけ、ヒヨドリ等野鳥の餌となり、種が鳥の糞により移動して増殖しています。
彦根市の「芹川のけやき並木」の事例
第六の驚き
○桜のテングス病が蔓延し、奇麗な花の咲かない桜並木がふえている
甲良町金屋の、宇曽川下流堤防、県下各地の桜並木に見られる。広域的な取り組みが望まれる。
第七の驚き
○桜の植栽は進が、その後の手入れがされていないため、桜の樹形が大きく変わってきている。
幹が 1 本立ちの良い樹形には枝が垂れ下がり美しい花をさかせます。桜の管理を行う櫻守のような人が望まれる。その櫻守の任
務を担っていただけるボランティアの方いませんか。
湖西の湖岸道路沿いの桜並木は、良い事例です。
挿
し
木
の
育
て
方
樹木などの増殖には、大きく分けて種子をまく方法と枝・根などの再生力を利用して増殖させる
二通りがあります。その後者には、接ぎ木・挿し木・取り木が一般的な方法です。その挿し木に
ついての講義を受けました。
Ⅰ.こんな時に挿し木をする
1.親と同じ性質の株を作りたい
挿し木では親の栄養体の一部を独立させるため、親の形質がそのまま受け継がれる
2.一時に多量の苗を育てる
効率的に株がふやせる
3.根ばりのよい苗を育てる
種子から育てたものは直根が発達し、横に広がる根が出にくい傾向がある。
4.草丈を調節する
キクや背丈の大きくなる山野草など小型に造りたい場合、挿し木の時期によって
草丈が好みにできる。
Ⅱ.挿し木に成功する条件
挿し木は作業的に見れば枝や葉を切り取って土に挿すという簡単なことですが、
発根の良否は挿し穂とさされた環境の状況によって決まります。
1.挿し木に向く環境
・地温は 20 度前後
・適度の気温
・適当な日差し
・日が長い
梅雨の前後の時期が最も良い条件
・温度が高い
・強い風にさらされない
天ざし
2.良いさし穂を作る
官ざし
・長さは 10 センチ前後
・節のすぐ下で切る
・葉量を調節する(2 分の 1 程度)
・切り口を上手に処理する(斜めに大きく切る)
・品種の特性を伝えている枝を選ぶ
さし穂
天ざし・・・つばき、さつき、きく、いちじくなど
官ざし・・・いちじく、バラ、つげ、カ-ネ-ションなど
ヒールざし(枝を幹からかき取りそのまま挿し木する方法)・・つげ
葉ざしの方法もある
葉ざし
3.挿し木の適期はいつか
・春の挿し木…前年枝を使う
早春、植物が活動を開始する直前、この時期は植物が最も充実しており、
休眠状態でさし穂の衰弱も少ない。ただし、発根は遅い
切る
切る
・梅雨時の挿し木・・・今年出た新梢
植物が盛んに活動しており萎れやすいが、発根しやすい。
・梅雨明け後の挿し木
枝が充実しており発根しやすいが、管理が難しい
・秋の挿し木
春から秋にかけてよく充実した枝を挿す、冬の管理がポイント
4.挿し木後の管理
・置き場所
直射日光の当たらない明るい日陰
・水やり
1 日に 2 回が目安、過度の水やりは挿し穂の衰弱を引き起こす
・肥料
特に必要ない
・活着の目安
1 週間ぐらいで根が活着するか決まる。
・鉢上げ
1 か月で発根、新芽が伸び始めたら鉢上げ、新芽が遅ければ秋まで待つ
Ⅲ.挿し木に向く鉢と用土
・鉢・・・
排水性と保水性にすぐれた素焼きの中深鉢
・用土・・・ 鹿沼土、赤玉土、パ-ミキュライトなどの
感
想
我々受講生は、家庭にあるいろんな樹木・果樹・花木などを数本または、手にだかまえてと持ち寄りました。アジサイ、キク、
キョウチクトウ、キウィフル-ツ、サツキ、ジンチョウゲ、椿、ドウザンツツジ、バラなどの多くのさし穂が寄りました。時期的
には、少し早いようで新梢も伸びていなかった。花木樹の挿し木を始めて経験する方もいたと思い、グル-プ別に種類を分け挿し
木の実技ができなかったのが残念です。先生の講義後それぞれ思い思いの、さし穂を持って帰ったので 1~2 か月すれば結果がで
てきます。その時にクラスの中で、わいわいと話も持ち上がることを期待いたします。
教材の挿し木で増やす花木樹種・時期・方法の一覧表を添付しましたので参考にしてください。
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