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技術報告: クランベリー挿し枝からの発根に及ぼす挿し床の種類の影響

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技術報告: クランベリー挿し枝からの発根に及ぼす挿し床の種類の影響
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技術報告 : クランベリー挿し枝からの発根に及ぼす挿し
床の種類の影響
中野, 英樹
北海道大学北方生物圏フィールド科学センター生物生産
研究農場技術業務報告, 7: 76-81
2007-03
DOI
Doc URL
http://hdl.handle.net/2115/34515
Right
Type
bulletin
Additional
Information
File
Information
7_p76-77.pdf
Instructions for use
Hokkaido University Collection of Scholarly and Academic Papers : HUSCAP
妓術報告
クランペリー指し枝からの発根に及ぼす指し床の種類の影響
中野英樹
北海道大学北方生物圏フィールド科学センヲ一生物生産研究農場
a
c
ci
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.)は、北米原産のツツジ科スノキ属の小低木で、ほふ
クランペリ ー (V
く性があり高山や寒冷地の湿地に自生する。米国およびカナダの一部で栽培され、現地では七面
鳥料理に欠かせない食材となっている。 和名をオオ ミノツノレコケモモといい、日本に自生す るツ
ノレコケモモの近縁種である。日本では最近、機能性食品として、クランベリ ーが注目 されており、
ジュ ースの輸入量が増加している。しかし、国内では営利栽培は行われておらず、品種の保存も
代表的なものは北海道大学農場に 4品種(交換教授として来学した、
7
サチュ ーセッ ツ大学クラ
ンベリー研究所教授クロス博士により 1
9
6
7年に導入されたもの)など、わずかに過ぎない。本報
告では、日本国内でのクランベリーの栽培化を目指し、効率的な栄養繁殖法を確立するため、挿
し木繁殖の条件について検討した結果を報告する。
[
材料および方法] 北海道大学農場に栽植しであるクランベリ -aHowes'(移植後 1
0年目の
株)から、 2000年 g月 4日に発音枝(ランナー状の二年生校肢芽から上方に伸長した当年枝)を
採取し、長さ 1
0
c
mに切り揃え、基部 3cmの菜を取り除き材料とした(図1)。切り口は直角とし
た。挿し床として、バー ミキュライト、鹿沼土およびピート モスを単独あるいは 2種類ずつ等量
混合した用土(計 6種類)を用い、 B号の素焼き鉢(口径 2
4
c
m
) に詰めた後充分にかん水した。
挿し木に先立ち、材料の半数に I
B
A処理を行った。 I
B
A処理は、材料基部を IBA100ppm溶液に 3
0
分間浸演する方法により行い、未処理の材料を対照区とした。挿し木は 、材料基部を 30~45 度 の
角度で用土に斜めに挿し込む方法により行い、間隔を 4.5cm以上に保ち、 l区 1
2本で 2反復 (
2
鉢) とした(図 2
)。挿し木後の鉢は露地に並べて置き、かん水は週 3回行った。挿し木 4
5日後
9日に、材料の根を傷めないようにして鉢から取り出し、水中で用土を洗い落とした後、
の1
0月 1
湿らせたろ紙に挟んでシャーレ中に一時的に保管した。調査は、判定の客観性を保つため、発根
状況を各処理区ごとに写真撮影しておき、後 日並べて比較する比較する方法により行った。
[
結果および考察] 挿し枝からの発根程度は処理区ごとに異なり、発根率および発根量のい
)。はじめに、発根がわずかでも認められた個体を発根個体として
ずれにも差が認められた(図 3
調査したところ、用土の種類および I
B
A処理の有無にかかわらず、全処理区で 7
0
話以上の高い発
)。
根率が得られた(図 4
従って、クランペリーの当年枝は非常に発根しやすいことが明らかに
なった。しかし、用 土の種類および IBA処理の影響を発根率だけで判定する ことは困難だったた
め、各材料の発根状態を無 (
0
)、わずか(1)、普通 (
2
)、旺盛 (
3
) および非常に旺盛 (
4
)の 5
段階に指数化し(図 5
)、その平均値で各処理区の発根程度を比較した。その結果、鹿沼土とピー
トモスを混用した区の発根指数が 2.7以上と、他の処理区に比べ優れていることがわかった。ま
た
、 I
B
A処理区の発根指数は、パー ミキ ュライトとビー トモスを混用した区を除き対照区のそれ
より高く、挿し木前の I
B
A処理がクランベリー挿し木繁殖における発根の促進に効果的であるこ
とを示していた(図 6
)。なお、発根指数について 2元配置の分散分析を行ったところ、用土の種
類間および IBA処理の有無に各々 0.5
覧および 2.5%
水準で有意差が認められ、 上記の結果を裏付け
た。従って、クランベリ ーの挿し木繁殖では、待し床に鹿沼土とピートモスを等量混合した用土
を用い、挿し木前の枝の基部を高濃度 I
B
A溶液に浸演することが効果的であると考えられる。
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筏術報告(平成 1
8年度北海道・東北地域大学附属協議会
農場教育研究集会発表要旨)
下部の葉を
取り除く
図 l 材料調製の手)11買
30-45度
8号鉢
図2 挿し木の手順
発根率(%)
ゆ DOOO)
K8642(
ロ対照区
図 IBA
処理区
ミ
/
'
I
鹿
パ+鹿パ+ピ箆+ピ
図 3 クランペリー挿し枝からの発根状
用土の種類
図 4 発 根 率 に 及 ぼ す 用 土 の 種 類 お よ び 況の一例 A,鹿沼土(対照区) ;B,
IBA
処理の影響.パ,バーミキュライト; ビートモス(対照区) ;C,鹿沼土とビー
トモスの混用(I
BA
処理区)
鹿,鹿沼土;ピ,ビートモス.
4
η
。
η
J
U
発根指数
ロ対照区
図 I
BA
処理区
l
O
パ 箆
一
一 ~
ピパ+麗パ+ピ鹿+ピ
用土の種類
図 5 発根程度の指数化に用いた標準個体. 図 6 発根指数に及ぼす用土の種類および
発根指数
0,無
1,わずか 2,普通; IBA
処理の影響.パ,バーミキュライト;
3,旺盛 4,非常に H
王盛.
鹿,鹿沼土,ピ,ビートモス.
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