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Forward 48号(PDF) - 大阪障害者雇用支援ネットワーク

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Forward 48号(PDF) - 大阪障害者雇用支援ネットワーク
第48号
2013 年 8 月
ネットワークレポート
第48号
TEL:06-6949-0350 http://www.workwith.or.jp/
特定非営利活動法人大阪障害者雇用支援ネットワーク
E-mail:[email protected] 発行人/江口 敬一
〒540-0031 大阪市中央区北浜東 3-14
(エルおおさか4F) FAX:06-6949-1256
今号のごあいさつ
「2013障がい者雇用フォーラムin大阪」開催に向けて
代表理事 江口 敬一
がい者雇用のみな
らず高齢者雇用に
も貢献されていま
す。公開シンポジ
ウムには、教育分
野から大阪府立た
まがわ高等支援学
校の開校に携わ
り、知的障がいの
ある生徒の就労に多大な実績を挙げられた大阪
府立泉北高等支援学校進路指導部出口哲史氏、
支援機関からは20年以上に亘り身体、知的、精
神、発達障がいのある人等の就労領域全般に豊
富な経験をお持ちの大阪市職業リハビリテー
ションセンター所長乾伊津子氏と、厚生労働省
就労支援専門官のご経験があり、国レベルの視
点を就労移行支援の現場に反映し活動されてい
る大阪市障がい者就業・生活支援センター中央
連携マネージャー前野哲哉氏、そして企業側か
らはダイキンサンライズ摂津の後藤工場長の皆
さんにご登壇いただきます。
僭越ではございますが、小職も含めて全員長
年に亘り、当ネットワークやダイキンサンライ
ズとの関わりがあり、「障がいのある人が働く
のは当たり前」という考え方を基本に、立場を
超えて活動してきた仲間同士です。当日、シン
ポジストの皆さんには障がいのある人の一層の
就労推進についてのご発言に加えて、應武さん
との思い出のエピソード等もご披露いただき、
会場の皆さんと共に應武さんのお人柄に相応し
くリラックスした楽しい内容になればと考えて
おります。多くの方々のご参加をお願いしたい
と存じます。
今年の「障がい者雇用フォーラムin大阪」は、
9月25日(水)に昨年と同じ追手門学院大阪城
スクエアで開催する運びとなりました。
恒例の大阪府ハートフル企業顕彰表彰式に続
いて、創立20周年を迎えられたダイキン工業㈱
の特例子会社㈱ダイキンサンライズ摂津顧問
(前代表取締役社長)應武善郎氏に「ダイキン
サンライズ摂津の20年を振り返って」と題して
基調講演をお願いいたしました。また、講演を
受けて「障がいのある人の就労を促進するため
に」をテーマに教育、支援機関、企業の立場か
ら、ダイキンサンライズや当ネットワークとも
関わりの深い方々との公開シンポジウムを企画
しております。
思い起こせば、3年前の本フォーラムには母
体企業であるダイキン工業㈱井上札之会長に経
営理念「人を基軸に置いた経営」についてご講
演いただく幸運に恵まれました。本年は、その
経営理念を取締役工場長後藤金丸氏と共に障が
い者雇用の場で実践され、社員数100名を超え
るわが国を代表する特例子会社の一つに育て上
げられましたお二人にご登壇いただくことにな
り、誠に感慨深いものがございます。世界的な
空調メーカーの経営トップがダイバーシティ・
マネージメント導入の一環として障がい者雇用
の促進を捉えられ、国内のみならず海外におい
ても展開されている例はまれであり、母体企業
と特例子会社が価値観を共有し事業運営に挑戦
されている姿勢に、大きな安心感と企業に対す
る信頼感を感じております。去る6月に開催さ
れた盛大な記念式典は、多方面からの参加者や
社員中心の進行がそれを具現化し感動的でし
た。お二人とも古希を過ぎてもお元気で、障
1
2013 年 8 月
第48号
第13回通常総会開催
『次世代に繋ぐ準備の年』
事務局 森 悟子
5月25日(土)、㈱ダイキンサンライズ摂津
にて第13回通常総会を開催した。
江口代表理事からは「1996年の団体発足当時
に比べると障がい者雇用に関するサービスや制
度が増え、さらなる拡充を目指すのか、個々の
制度の充実を目指すのかが課題となってきてい
る。当法人もないものを作り出すスタンスで活
動してきたが、このような時代の流れの中で、
どのような方向性で進めるのか、また、財政基
盤が厳しい中、他の法人ではできないこと等、
どうアイデアをひねり出すのかを考えていく必
要があり、次世代を担う人に向けてつなげてい
きたい。」との挨拶があった。
来賓として、大阪労働局、大阪府商工労働部、
連合大阪、大阪障害者職業センター、大阪市福
祉局よりご臨席いただき、下記の方々から挨拶
を頂戴した。
ず、新たな方策が必要な状況となってきている。
そのような企業に向けた支援として、雇用支援
施策の実施や活用を労働局としても進めるが、
企業の立場からのアドバイス等貴法人との連携
を進めていきたい。日本が障がい者雇用の先進
国となれるよう、障がい者雇用対策の質の向上
や量の拡大を図っていきたいと考えている。
大阪府 商工労働部 雇用推進室 就業促進課
課長 吉野 隆之 氏(松井知事祝辞代読)
「大阪を障がい者雇用日本一のまちに」のも
と、日頃より障がい者の就労支援および雇用拡
大に向けた活動の実施やハートフル事業所ネッ
トワーク事業等、大阪府との協働事業へ積極的
な協力を賜り感謝している。
大阪府としてもハートフル条例やハートフル
税制、知的障がい者の職業教育の推進、福祉施
設から一般就労に向けた支援を実施しており、
さらには就職困難層を対象とした支援拠点をエ
ルおおさかに設置する予定をしている。雇用率
の上昇に伴い、障がい者雇用を考える事業所へ
の支援や精神障がい、
発達障がいについてのニー
ズ調査など、働きたい障がい者の社会参加や自
己実現に向けた施策を実施していくが、貴法人
には企業・支援機関・学校等との橋渡し役や企
業の市場ニーズと大阪府の施策とのつなぎ役と
して協力をお願いしていきたいと考えている。
大阪労働局 職業安定部 職業対策課
課長 若野 秀之 氏(森岡労働局長祝辞代読)
5月の月例経済報告では、景気が緩やかに持
ち直しており、平成24年度の職業紹介件数や就
業率も前年に比べ上昇している。精神障がいや
知的障がいなど、特性に配慮が必要な人たちが
増え多様化しているにもかかわらず、このよう
な実績を上げることができたのも皆様のお力添
えの賜物である。
平成25年4月より15年ぶりに雇用率も上昇
し、就職希望者には門戸が拡大するものの、雇
用する事業所にとっては採用が思うように進ま
連合大阪 事務局長 多賀 雅彦 氏
ともに運動する仲間として挨拶をさせていた
だく。1996年発足当時、間近でこのような活動
ができる熱を感じていたが、それが連綿とつな
がり活動を継続していることについて敬意を表
したい。
連合大阪は「働くことを軸とする安心社会」
として、年齢・性別・障がいのあるなしにかか
わらず、働くことを重点に公正な労働条件で
様々な働き方を通じて社会に参画することを目
的に、働き続けられる仕組みやネットワークづ
くりを推進している。「障害者差別解消法」等
▲総会の様子
2
第48号
2013 年 8 月
の成立に向け、連合本部も合理的配慮の担保に
向けて審議会で意見を述べ、連合大阪としても
春闘において賃金のみならず、障がいがある人
の働く場の創設や、働く環境の整備に向けた提
言も行っている。全ての人が人間的に誇りを
持った働き方をどう作るのか、貴法人とさらな
る連携を深めて活動を行っていきたい。
「ジョブメイト/ジョブコンダクター」とし
て、第1号および第2号職場適応援助者の養成
を大阪2回、兵庫1回実施。
(2)アドバンスト研修
職場適応援助者養成研修修了者を中心とした
研修および情報交換会を年1回実施。
(3)職場適応援助者養成研修機関連絡会への参画
他の職場適応援助者養成研修実施機関との情
報交換や合同でのセミナーの企画・運営。
平成25年度事業計画
<事務局・会務関係>
(1)定例会開催
会員拡大や会員相互の意見交換等を深めるこ
とを目的に「企業・福祉・当事者等の対談形式」
での講演会の企画や情報交換を、主に第3土曜
日を中心に行う。
(2)今後のネットワークの方向性に向けた検討
会(次世代会議)
定例会の企画運営および若手理事を中心に今
後のネットワークの方向性に向けた検討会を実施。
<広報事業部>
1)障がい者雇用フォーラムin大阪
連合大阪・大阪府・関西経済連合会と連携
し、障がいのある人の雇用と就労の促進に向け
たフォーラムの開催。
2)機関誌「FORWARD」の発行
会員や関係団体等を対象とした情報誌を年4
回発行。
3)ホームページ発信
事業内容の公開や会員拡大に向けたホーム
ページの運営・管理。
<インターンシップ事業部>
(1)障害者インターンシップ
大阪府からの委託により、障がい者の態様に
応じた多様な委託訓練事業〔実践能力習得コー
ス〕のひとつとして、障がいのある方を対象にし
た1ヶ月または2ヶ月の就業体験の訓練を実施。
その他、特定非営利活動促進法の改正に伴う
定款の一部変更、役員の変更について討議した。
役員については應武氏が理事を退任、奥脇氏、
金塚氏が副代表理事に就任した。
<地域ネット事業部>
(1)障害者雇用企業情報交換会(一部ハートフ
ル事業所ネットワーク事業と共催)
障がい者雇用事例の報告や地域で障がい者雇
用を支える社会資源等の情報交換会として、主
に「OSK企業ネットフォーラム」を開催。地
域4ブロックごとに3回、全体で1回開催。
(2)OSK企業ネット会員・企業ネット事業部
拡大運営会議
「OSK企業ネットフォーラム」の実施等、各
地域でのネットワーク構築にむけた検討・運営
会議。
(3)ハートフル事業所ネットワーク事業
大阪府からの委託により、大阪府障がい者雇
用促進センターと協力し、障がい者を雇用する
事業所等に向けたセミナーの開催や企業相談な
どに応じる。
□新役員体制
代 表 理 事 江口 敬一
副代表理事 井尻 雅之
副代表理事 奥脇 学
副代表理事 金塚たかし
副代表理事 湯川 隆司
理 事 伊集院貴子
理 事 乾 伊津子
理 事 岩﨑富巳子
理 事 酒井 京子
理 事 嶋田 彰
理 事 森 悟子
理 事 矢野 孝
監 事 時枝 民生
監 事 安蔵 崇史
<ジョブコーチ養成事業部>
(1)職場適応援助者養成研修(大阪/地方)の実施
最 高 顧 問 關 宏之
3
2013 年 8 月
第48号
記念講演
「障がい者雇用について思うこと」
㈱ダイキンサンライズ摂津 取締役工場長 後藤 金丸 氏
事務局 伊集院 貴子
とは、強い文化の会社において、管理者が率先
して文化を維持し形成する人々を意味する。企
業発展のために企業の「文化」を体現する人々
が必要。ダイキン工業では井上礼之会長兼CEO
が、まさにシンボリックマネージャーである。
後藤工場長自身も自分に与えられた持ち場でシ
ンボリックマネージャーを意識していこうと思
っている。今回の参加者のみなさんにもそれぞ
れの持ち場、立場でシンボリックマネージャー
を意識してほしい。
大切なことは社風を意識した日常管理。ジョ
ブローテーションをしながら社員の適性を見極
める。井上会長の教えでもあるが、会社と社員
双方がお互い好きになることで信頼関係が生ま
れる。会社はその社員が必要とされる居場所を
作る。社員は与えられた場所で精いっぱい力を
発揮し、居心地の良さをつくる。そこから帰属
意識、安心感が生まれる。後藤工場長自身も、
社員とのコミュニケーションをとても大事にし
ており、「お互いの目線(心)を合わせる」「話
しやすい雰囲気を作り、自らも心を開き安心感
を与える」ということを意識してコミュニケー
ションをとっている。
5月25日第13回通常総会終了後、当ネットワ
ーク会員であり、インターンシップ事業の受け
入れ企業、ジョブコーチ研修の講師として積極
的に活動してくださっている、㈱ダイキンサン
ライズ摂津の後藤取締役工場長より、会社創立
20周年を振り返った今、
「障がい者雇用について
思うこと」のテーマでご講演いただきました。
○はじめに…
後藤工場長は、昭和36年にダイキン工業㈱に
入社、平成7年にダイキン工業㈱より出向され
た。㈱ダイキンサンライズ摂津取締役工場長と
して就任し、当初は仕事もあまりなく、親会社
に仕事のお願いに行くが、「お前の会社は何を
する会社か?何ができるのか?」と言われ、就
任間もない工場長は、会社の実力も中身もあま
りわからない状態だった。
ただ、はっきりしていたことは、赤字の会社
だということ。このままではすぐに債務超過と
なり会社も駄目になると思い、「業務の拡大」
「職場改善」
「社員のスキルアップ」に取り組む。
そのために應武社長と相談し、さまざまな改革
をされた。
1.社風を作る
①仕事で嘘は言わない
1つ嘘をつくと後で苦労をする。仕事をする
上では正直に立ち振る舞うことが大切である。
②仕事は厳しく
納期、品質、コスト、安全を意識し、常に挑
戦的な気持ちを持つこと。障がいのある社員
が行うから出来ないではなく、出来るように
工程を考え仕事では決して甘えない。
③職場は明るく
人間関係に大切なこと。
このような社風を作ることで社員みんなが
達成感を味わい笑顔になる。
○記念講演を終えて
ジョブコーチ養成研修をはじめとする後藤工
場長の講義や講演の中で、必ず耳にする「嘘を
つかない、仕事は厳しく、職場は明るく」「知
識と知恵と行動力のかけ算」など、まさに後藤
工場長語録のオンパレードであった。「『働く』
ことについては、障がいのある人も健常者も関
係ない!」ブレない工場長の信念をあらためて
聴くことができた。まさに、職業生活50年を超
えるいぶし銀、後藤工場長ならではのお話であ
った。引き続き、当ネットワークの会員として
障がい者雇用に関わるさまざまな場面でご活躍
いただき、私たち後輩の「育て」の達人として
ご指導いただきたいと願う。
2.社員の採用活動はダイキンサンライズ摂津
で行う
後藤工場長が就任するまでは、ダイキンサン
ライズ摂津の採用もダイキン工業の人事部で行
っていた。業務のミスマッチがあると、つい人
事部の責任にしたくなる。そうならないために、
また、自社の求めるニーズに会う人材を採用す
るために、社長と工場長が採用面接を行う。自
分たちが採用したのだから自分たちで責任を持
って育てていこう!という気持ちに繋がる。
3.雇用管理について常に意識していること
シンボリックマネージャー(象徴的管理者)
▲講演する後藤工場長
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2013 年 8 月
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2013 年 8 月
第48号
4月・6月講演会
シリーズ
『企業と福祉と当事者』
広報事業部 岩﨑富巳子
今年度は、障がいのある人の雇用と就労の推
進について、それぞれの立場で抱えている問題
や課題を明らかにし、会員相互の意見交換等を
深める機会を目的として「企業と福祉と当事者」
の対談形式を8回シリーズで開催する。
なるような訓練を受けていて、仕事の進め方、
人に対する態度ができていると思っていたの
で、実習1ヶ月が終了した時には、仕事の体制
に組み入れていました。人よりもキーボード操
作がすごく遅いですが、頭の回転がとても速く、
技術のスキルがかなり高かった。企業の立場か
らすると、仕事を想定した訓練は、とても必要
だと思います。
4月講演会
「支援機関と連携して本人にあった働き方を考える」
◆就職してから感じること
当事者:職リハで勤怠システムを作っていた
ので、プログラムを開発することは想像もつか
ないようなことではなかったが、お客さまとの
コミュニケーションが難しかった。就職して3
年目が第一の壁でした。仕事を進めることが難
しく、甘くないと痛感しました。それからは、
どんな仕事がきても、精神的にしんどくなるよ
うなことはなくなりました。僕らのような(頚
椎損傷)人は、仕事をしている方は珍しいと思
います。退院してから外へ引っ張り出せるしく
みがあればいいと思います。
福祉:訓練が終了してからも職リハの特別講
座で講演してもらい、訓練生の目標になってい
ます。就職活動の反省点は、求人内容にすがり
すぎたと思っています。奥進システムさんとの
出会いのように、いろんな出会いを作っていか
なければいけないと感じました。
企業:雇用する決断のポイントは『仕事がで
きる』ことです。重度障がい者でも能力があれ
ば働けることがわかりました。支援施設では経
験できない責任や、納期のある仕事でのお客さ
まとのコミュニケーションは、普通の人がぶつ
かる壁以外に、障がいがあって乗り越えなきゃ
いけない壁があります。その時に、いろんな創
意工夫をすれば乗り越えられると、一緒に働い
てみて感じました。障がい者雇用は、職リハと
出会ったことが大きな転機になりました。仕事
のことや社会人として送り出すことを考えて訓
練してくれる支援機関があると、企業の方でも
障がいのあるなしにかかわらず安心して受け入
れることができます。障がい者雇用がここまで
進んでいるのは、ひとえに支援機関の力だと思
います。仕事はこういうものだとアピールする
ことも必要だし、こんなこともしてほしいと提
言もしつつ、お互いに働くことを考える上で、
どのように訓練し、どのように就職して働くか
企 業:㈲奥進システム
ソフトウェア開発企業。プログラミング・
企業システムを作成。
福 祉:大阪市職業リハビリテーションセンター(職リハ)
障がい者職業能力開発施設。
当事者:㈲奥進システム 社員
バイク事故で頚椎損傷。車いすの生活と
なり、職リハ情報処理科で2年間在籍。
◆職リハから就職するまで
当事者:簿記検定を受けるための勉強や、シ
ステムアドミニストレーターの資格(PCの仕
組み)を取得するための勉強をしました。ホー
ムページの作成や、エクセル・ワードをプログ
ラムで自動処理できるような勉強もしました。
職リハにくる求人票には、純粋なプログラマー
の募集は少なかった。体力的なこともあり通勤
にこだわって就職活動をしました。
福祉:訓練の特徴は、外部コースが非常に
多く、訓練生はプロから評価をいただくので、
本人にとってもモチベーションが上がります。
テーマを与えてプレゼンテーションをする機会
を設けています。OJTによるスキルアップがで
き、模擬的な仕事ができることが特徴です。セ
ンター業務だけではなく、大阪市からも仕事を
請け負っており、訓練生が担当者と打合せをし
ながら仕事を進める、ということを訓練の中で
学んでもらっています。当事者さんは、能力評
価は高かったのですが、障がいが重いことが就
職に至らず、在籍期間では就職できませんでし
た。卒業してからもフォローアップし、奥進シ
ステムに実習をお願いしました。
企業:すでに障がいを持った一年先輩を受け
入れて、職リハを信頼していました。即戦力に
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第48号
2013 年 8 月
というイメージを持ちながら進めていくこと
は、非常に大事なことだと思います。
よりの強みでした。キグチ工研さんに会社見学
の電話をした段階でアットフォームな感じが伝
わりました。受け入れに関して、不安に思うこ
とをストレートに言ってくれたのでやりやす
く、実習を受け入れる前に、企業出前講座をさ
せていただきました。内容は、統合失調症につ
いて、一緒に働く際の注意点、慣れるまでの声
かけ、変化について、全員の方に聞いていただ
きました。最初は支援者も同行し、徐々に実習
時間を伸ばし、業務日誌も作りました。どの仕
事をどのくらいの時間をかけたか記入し、本人
や工場長のコメントも書いていただきました。
企業、支援者、当時者で共有でき、ふりかえり
も行ったので、日誌を見て具体的な話ができま
した。
▲4月講演会
6月講演会
「精神障がい者を受け入れて」
◆就職してから感じること
当事者:実習で終わりだと思っていたので、
雇ってもらえると聞いた時は嬉しかった。初任
給で自転車を買って、自転車通勤にしていま
す。社長から親睦を深めるためにと旅行にも参
加し、行って良かったと思います。実習を重ね
る中で体力がつき、体がついていくようになり
ました。働くことが好きだから、働き続けられ
るし、休日はリフレッシュしています。会社の
みなさんは話しやすい方ばかりで、とても働き
やすいです。
企業:トライアル雇用を始めることは雇うと
いうことになる。雇用となると賃金が発生する
ので儲けてもらわないといけないと、先に思い
ました。当事者さんは、前向きに一生懸命働い
てくれていました。トライアル雇用期間の社内
旅行も家族旅行感覚で、誰か一人欠けるよりも、
勤めていただくにあたって一緒にという気持ち
がありました。障がい者を雇用するにあたって、
頼る所がないのは一番の不安要素です。JSNが
間に入っていただいて、雇うことに至ったのが
一番何よりも良かったことだと思っています。
従業員は社長に頼ればいいと思っているが、社
長の立場になると、誰を頼ればいいか不安にな
る。その不安を取り除いてくれる支援者がいる
ことは一番嬉しいことです。当事者さんがたま
たま当社にあっただけで、もし違う方だったら
断っていたかもしれません。頼れるところが
あって、まじめにコツコツと働いていただける
のであれば、障がい者であっても、健常者であっ
ても企業としては構わないし、実際に雇ってみ
ないとわからないことだと思います。
福祉:当事者さんの表情が柔らかくなってい
るように思います。
もう支援者を頼っていなくて、
しっかり会社の一員になっています。雇用して
いただいた後、キグチ工研さんから他の企業を
紹介していただき、とても嬉しく思っています。
企 業:キグチ工研
精密板金・プレス加工・金型設計製作
福 祉:大阪精神障害者就労支援ネットワーク門真
(JSN門真)精神障害者就労支援施設。
当事者:キグチ工研 社員
平成15年2月から入退院を繰り返す。
18年間働いていた会社に復帰できず解雇。
JSNの訓練を経てキグチ工研に就職。
◆JSN門真から就職するまで
当事者:精神医療センターでJSNを紹介して
もらいました。JSNに入って、すぐに働きたかっ
たが実習を受けなければならなかった。週5日
でスタートし、仕事が見つかるまでやってみよう
と思いました。箱の組み立て、花の世話、草む
しりなど実習を経て、キグチ工研へ行きました。
企業:先代の時に知的障がい者を受け入れて
いましたが、企業を縮小したので障がい者を雇
う余裕がありませんでした。JSNから会社見学
の依頼があり、町工場を見学してもらうことは
いいと思いました。受け入れにあたっては、内
職的なことをしてもらえばいいかと考えていま
した。障がいを持っている方は、ひとつのこと
に対して脇目も振らず一生懸命やってもらえる
と、先代から話を聞いていました。そのとおり、
もくもくとひたすら作業してくれていました。
福祉:実習では希望していない(やったこと
のない)仕事もしてもらっています。職種にこ
だわらず、与えられた仕事を身につけていただ
きます。当事者さんの長所は「休まない」「コ
ツコツとする」「仕事が好き」ということが何
7
2013 年 8 月
第48号
<短期職業訓練インターンシップ実施状況(H25.7.31)>
Ⅰ.インターンシップ登録及び実施状況 実施中及び実施済件数
22 名
修了数
16 名
中退数
1名
(うち雇用移行のための中退数) (0 名)
実施中数
5名
実施予定および調整中
登録取消
IS 利用登録人数合計
6名
0名
28 名
Ⅱ.インターンシップ相談者状況 <全体>
実施
修了者数
中退者数
実施中数
聴覚
小計
実施予定・調整中
登録取消
合計
0
0
0
0
2
0
2
視覚
0
0
0
0
0
0
0
身体
肢体
内部
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
小計
知的
0
0
0
0
2
0
2
5
1
3
9
2
0
11
精神
その他
11
0
2
13
2
0
15
0
0
0
0
0
0
0
計
16
1
5
22
6
0
28
Ⅲ.就職状況
就職者数
障害種別就職率
身体
0
0%
知的
1
11%
精神
その他
0
0%
5
38%
全体
6
27%
※ 就職状況については一部確認が取れていない所があるため、一部数に反映できていない可能性があります。
※ 総訓練時間は訓練開始日における訓練実施予定時間の総数です。
※ 受講時間数については、訓練終了時点での受講時間の総数となります。2ヶ月訓練受講中等で未修了のため、報告段階で
の総訓練時間数と差が発生することがあります。
8
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