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エコバッグに関する若年層の意識の現状に関する研究
エコバッグに関する若年層の意識の現状に関する研究 ~本学学生の意識に関する調査分析~ R05033 指導教員 小林 弘樹 松下 潤 1.研究背景 1年間に使用されるレジ袋は約 300 億枚(1 人 1 日約 1 枚)にのぼり、これは原油約 56 万リットル(大型タン カー2 艘分)に相当する。しかし、最終的にはこのほと んどがゴミとして廃棄されている。 このため、買い物にバッグを持参してスーパーマーケ ットやコンビニエンスストア等でレジ袋をもらわないよ うにすれば、レジ袋の原料となる資源の消費削減につな がり、温室効果ガスの 1 つである二酸化炭素(CO2)削減 にもつながる。このように、買い物に自分の袋(バッグ) を持参することで環境負荷を減らすことができる。そこ で、レジ袋の代替品が期待できるエコバッグについての 研究を行う。 4.アンケート概要 4.1 アンケート対象 本学のシステム工学部(P 電子情報、Q 機械制御、R 環境)の学生に対して調査を実施する。 4.2 アンケート内容 ①内閣府の世論調査の設問 ②インターネット上でのアンケート調査の設問 ③エコバッグについての設問 ④エコバッグを利用者・未利者に区分した設問 ⑤今後のエコバッグ普及の予想に関する設問 ⑥環境に対する関心についての設問 ⑦生協でのレジ袋削減対策、エコバッグ販売についての 設問 2.研究目的 若年層世代の環境に対しての関心が低いことから、若 年層である本学学生に対してアンケートを行い、 「レジ袋 の削減」 「エコバッグ普及」の条件を調査する。 5.アンケート結果 ①内閣府の世論調査との相違点 ・学生は、「学校の講義」から環境についての情報を得 ていることが多い。 ・学生は、「買い物の時にポリ袋やビニール袋などをも らわない」割合が高い。 ・学生は、レジ袋無料配布禁止について「賛成」の割合 が少なく、 「どちらでもない」の割合が多くなっている。 ②インターネット上のアンケート調査と比較 ・エコバッグ利用者 (学生:35%、一般:54%) 未利用者 (学生:65%、一般:46%) ・エコバッグの内容について 「知っている」 (学生:72%、一般:78%) 「名前を見聞きしたことがある」 (学生:22%、一般:19%) 「知らない」 (学生:6%、一般:3%) ③エコバッグについて ・エコバッグが製造される過程から環境に配慮されてい ることについて知らない学生が、54%で半数以上を占め ている。 ④エコバッグの利用者・未利者に区分した設問 ◆エコバッグ利用者の特徴 ・環境に配慮された項目が 6 割以上を占めている。 ・エコバッグを利用している 6 割以上の学生が、「もら った」「家庭にあった」と回答している。 ・買い物以外にもエコバッグを利用する学生は 6 割にも 達する。 ・エコバッグがあるにも関わらず、進んでエコバッグを 利用している学生が 37%と半分にも満たない。 ・エコバッグに興味が出る発信源は、エコバッグをもら って使うことやバイト場のエコバッグ推進運動などが挙 げられている。 ・「デザイン(ファッション性)」(43%)「持ち運び 100% 80% 68% 54% 60% 57% 60% 58% 男性 51% 40% 33% 女性 36% 32% 31% 29% 20代~ 30代~ 40代~ 20% 21% 0% 10代~ 50代~ 60~ 図 1.マイ箸・エコバッグ持参率 ここでは、若年層の環境意識の低さが窺えるマイ箸・ エコバッグ持参率の例を図 1.で表した。 3.エコバッグの概要 エコバッグという言葉は、素材の選定など製造の段階 から、使い終わった後のリサイクルに至るまで、環境に 配慮しているバッグを指すことが多かったが、マイバッ グが市民にも取り組みやすい環境対策として巷で流行す るにつれて、両者の区別があいまいになりつつある。そ れでも、 (財)日本環境協会によるエコマーク認定品のエ コバッグをみると、環境に優しい素材を使っていること やリサイクルのしやすさなどを認定要件として挙げてい る。一方、最近では、エコバッグやマイバッグを販売す るスーパーマーケットなどの事業者が増えている。 ※この持参する袋のことをエコバッグという。エコバ ッグは、自分のエコバッグを持ち歩くことから、マイバ ッグと呼ばれることもある。 に便利」(41%)「頑丈にできている」(35%)が揃え ばさらにエコバッグを使いたいと思う。 ◆エコバッグ未利者の特徴 ・エコバッグを利用しない理由の上位が、「持ち歩く のが面倒」(42%)「買う機会がない」(33%)である。 ・ 「持ち運びが便利」(49%)「値段が安い」(34%) 「デザイン性(ファッション性) 」(33%)などの条件 が揃っていればエコバッグを利用したいと思う。 ・3 割近くの学生が 300 円未満のエコバッグなら購入を 考える。 ◆エコバッグ利用のための条件 50% 46% 45% 40% 36% 35% 29% 30% 26% 25% 23% 20% 17% 15% 15% 14% 11% 11% 10% 9% 8% 6% 6% 5% 4% 保 冷 機 能 があ る 素 材 の良 さ シ ン プ ルな も の 有 名 ブ ラ ンド 洗 濯 が可 能 防 水 ・撥 水 処 理 が さ れ て い る 形状 そ の他 大 きさ 軽 い エ コバ ッグ を 利 用 す る と ど こ の店 で も ポ イ ン ト が貯 ま る 値 段 が安 い 頑 丈 に で き て いる デ ザ イ ン (フ ァ ッ シ ョ ン性 ) 持 ち 運 び が便 利 0% 図 2.エコバッグ利用のための条件 ・エコバッグ利用者・未利用者は、今後エコバッグを利 用するに当たって「持ち運びに便利」(46%)「デザイ ン(ファッション性)」(36%)「頑丈にできている」 (29%)等の条件が重要であることが言える。 ⑤エコバッグ普及の予想 ・必ず普及する(4%)普及する(27%)少しは普及す る(55%)という回答の合計が 86%にも達する。 ・普及しないと考える学生は、エコバッグはビジネスに おいて利益を上げるための運動であり、毎年エコバッグ の新作が出され無駄になることや、レジ袋が有料化され ない限り、普及は見込めないという考えである。 ⑥環境に対する関心について ・4 人に 1 人しか石油枯渇の現状を知らない。 ・約 8 割の学生が、普段からレジ袋をもらわないように 意識している。 ⑦生協でのレジ袋削減対策、エコバッグの販売について ・生協でのレジ袋削減対策についての賛成が、48%でお よそ半分である。 ・約 6 割の学生が、生協でエコバッグを売っていること を知らない。 6.考察 (傾向と対策) ①内閣府の世論調査との比較・相違点 環境の情報を学校の講義等から得ていることにより、 買い物の時にポリ袋やビニール袋などをもらわないよう になっており、レジ袋削減、エコバッグの普及が見込め ると言える。 ②インターネット上でのアンケート調査 エコバッグの利用率は一般よりも低く、若年層世代の 本学学生も環境意識の低さが証明されたと言える。 ③エコバッグについて 表 1.製造過程・エコバッグ利用率 人数 エコバッグが環境に配慮され製造されていること 知っている 聞いたことはある 知らない 総計 エコバッグ利用率 ある ない 10% 12% 8% 16% 17% 37% 35% 65% 総計 22% 24% 54% 100% エコバッグの内容について 7 割以上の学生が、知って いるにも関わらず、利用率が低い。その理由として、エ コバッグが環境に配慮され製造されていることについて 知らない学生が多いためであり、詳しい情報を学校の講 義等から教育することが必要となる。 ④エコバッグの利用者・未利用者に区分した設問 エコバッグを利用している 6 割以上の学生が、もらっ たものや家庭にあるものを利用していることや、未利用 者は 300 円未満のエコバッグを希望していることから、 エコバッグを無料で配布することによって利用率は上が る。 ⑤エコバッグ普及の予想 普及する可能性は高いと言える。普及しないと考える 学生の意見に対し、行政や生協等がレジ袋を有料化し、 その利益でエコバッグを製造する。そして、そのエコバ ッグを無料配布することで、 反対意見の対策につながる。 ⑥環境に対する関心について 表 2.石油枯渇の現状・レジ袋無料配布の賛否 レジ袋無料配布禁止についての賛否 人数 石油枯渇の現状 賛成 反対 どちらでもない 知っている 3% 4% 2% 少しは知っている 7% 3% 7% 知らない 25% 20% 31% 総計 35% 26% 38% 総計 8% 16% 76% 100% 石油枯渇の現状について知らない学生は、レジ袋無料 配布禁止について反対している。そして、石油枯渇の現 状について 4 人に 1 人しか知らないため、多くの学生に 対しての教育が必要となる。これにより、約 8 割の学生 が普段からレジ袋に対して意識を配っているため、今後 エコバッグの普及の可能性が見込める。 ⑦生協でのレジ袋削減対策、エコバッグの販売について レジ袋削減の対策において生協が、さらに工夫や改善 (店内にカゴ等を置くことや、レジ袋削減の対策結果・ 効果の提示)をすることによって、賛成者を増やすこと ができる。 7.まとめ 以上のことから、エコバッグ普及の条件等の傾向や対 策が明確になった。これらを踏まえ、誰もが日常的な行 動として生活することによって、環境負荷を減らすこと ができる。 ≪参考文献≫ ・内閣府 環境問題に関する世論調査 http://www8.cao.go.jp/survey/h17/h17-environment/index.html ・iMi リサーチバンク http://www.imi.ne.jp/blogs/research/2006/03/post_125.html