Comments
Description
Transcript
PDF - 青森県感染対策協議会 AICON
Aomori Infection Control Network 「愛CONニュース」2015年4月号 いよいよ雪も溶け,新年度が始まりますね.今月もAICON事務局より「愛CONニュース」をお届けします.県内の感染制御に関 わる情報,耐性菌および抗菌薬適正などの情報をお届けしています.読み物として気軽に目を通して頂ければ幸いです. エボラ出血熱はどうなった? 最近エボラの話題が下火になりましたが,厚労省のメルマガ 「感染症エキスプレス」からの報をお知らせしておきます. 世界保健機関(WHO)の2月18日付の発表によると、2月15日 までの1週間にギニア、リベリア、シエラレオネで新たに128例 の患者、108例の死亡者が報告され、これらの国におけるこれ までの累計は、患者数23,218例、死亡者数9,365例、マリ、ナイ ジェリア、セネガル、スペイン、アメリカ、イギリスを含めた総計 では、患者数23,253例、死亡者数9,380例となっています. 医療機関の皆様におかれましては、引き続き以下の対応を お願いします. (1)発熱症状を呈する患者には必ず渡航歴を確認する。 (2)受診者について、発熱症状に加えて、ギニア、リベリア又 はシエラレオネの過去1か月以内の滞在歴が確認できた 場合は、エボラ出血熱の疑似症患者として直ちに最寄り の保健所長経由で都道府県知事へ届出を行う. (3)ギニア、リベリア又はシエラレオネの過去1か月以内の滞 在歴を有し、かつ発熱症状を呈する患者から電話の問い 合わせがあった場合は、当該エボラ出血熱が疑われる患 者に対し、最寄りの保健所へ連絡するよう、要請する. まだまだ油断できませんね.過去の渡航者が青森に来るの はこれからかもしれません! 侵襲性肺炎球菌感染症 (五類全数把握疾患) 肺炎球菌が血液または髄液から検出された感染症のことな のですが,実はこれ診断から7日以内に届出が必要なのです. 右の表はH26年の青森県の報告数 ですが,届出なしにスルーしている 症例も多いんじゃないでしょうか? それほど珍しくもないかもしれませ んが,一応法律で決まっていることな ので届出をお願いします. 小児では成人と異なり肺炎を伴わ ず、発熱のみを初期症状とした感染 巣のはっきりしない菌血症例が多く みられます.また、髄膜炎は、直接発 症する場合の他、肺炎球菌性の中耳 炎に続いて発症することがあります.成人では、発熱、咳嗽、 喀痰、息切れを初期症状とした菌血症を伴う肺炎が多くみられ ます. 侵襲性肺炎球菌感染症の予防にはワクチン接種が有効です. 平成25 年4月より小児、平成26 年10 月より高齢者を対象とし た肺炎球菌ワクチンが定期接種となっています. 抗菌薬適正使用へのヒント ~抗菌薬マニアッククイズ! 今月はクイズに挑戦してみてください.来月号に正解とミニ 解説をします.全問正解者はすごい! ★マニアックレベル:初級編★ ○×で答えよ. ①内科認定医試験で「感染症の指標」として CRPを選択すると不正解になる. ②ペントシリン(PIPC)の適切な成人投与量は2g×2回/日であ る. ③弘大病院では緑膿菌に対しカルバペネムよりCAZ (モダシン) やPIPC/TAZ(ゾシン)の方が効く可能性が高い. ④血培からの表皮ブドウ球菌はほぼコンタミと考えてよい. ★マニアックレベル:中級編★ 選択肢から選べ. ⑤黄色ブドウ球菌による市中感染症のうち, MRSAの割合として正しいのはどれか? a. 20%以下 b. 30-40% c. 50%以上 ⑥免疫不全患者や人工呼吸器装着者に対しカルバペネムを使 用する意義として重要なものはどれか? a. Stenotrophomonas maltophiliaをカバーするため b. 腸球菌全般をカバーするため c. グラム陰性嫌気性菌をカバーするため ⑦重症院内肺炎に対するempiricな選択として一般に最も推 奨されないのはどれか? a. TAZ/PIPC(ゾシン) b. MEPM(メロペネム) c. DRPM(フィニバックス) ★マニアックレベル:上級編★ 「・・・・」を埋めよ. ⑧肺炎球菌感染に対し点滴ニューキノロンの「・・・・」はその有効 性から原則選択してはならない. ⑨ペニシリン系抗菌薬を大量投与すると採血において「・・・・」 が実際より低く検出されることがあり注意が必要である. ➉難治性偽膜性腸炎の患者にはバンコマイシンやメトロニダゾール の内服より「・・・・」を飲ませた方が成績がよいというNEJM の報告がある. 意外と簡単でしたかね? 来月号をお楽しみに! ●ICT川柳 「熱発者 必ず聞こう 渡航歴!」 とにかく,あやしい感染症の鑑別に渡航歴はかかせません. 海外からの流行性疾患が見逃せないこの時期にはなおさら ですね. ★本稿に開示すべき利益相反はありません. ★ご意見・感想・質問はお気軽に下記へご連絡ください. AICON事務局 齋藤紀先 [email protected]