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第 6 学 年 社 会 科 学 習 指 導 案 単 元 広がる戦争と人々のくらし
第 6 学 年 社 会 科 学 習 指 導 案 6 年 1組 指導者 山本 健作 求める子どもの姿 日本が戦時体制に移行したことや戦争が長引いた事実や背景について、多面的・多角 的 に 調 べ 考 え を 交 流 す る こ と で 、 戦 争に 対 し て 異 な る 立場 か ら公 正に 判 断で きる 子 ど も 単 1 元 広がる戦争と人々のくらし 本単元と求める子どもの姿について 本 学 級 の子 ど もた ちは 、前単 元 の 学 習に お いて、年 表 や当 時の 様 子が 分 か る 画像 を活 用 し て 、 明 治 政 府 が 欧 米 諸 国 に 対 抗 する た め に 、 富国 強 兵 を め ざ し積 極 的 に 欧 米 文化 を 取 り入 れた こ と を 調 べ た 。 そ し て 、 日 清 戦 争と 日 露 戦 争 に勝 利 し た こ と によ っ て 、 ア ジ ア諸 国 の 人々 のく ら し や 日 本 国 民 の く ら し が 変 化 して い っ た 歴 史的 事 実 を 理 解 した 。 こ の よ う な子 ど も たち が、 日 華 事 変 や 我 が 国 に か か わ る 第 二次 世 界 大 戦 につ い て 調 べ 、 戦争 が 人 々 の く らし に 影 響を 与え た 事 実 や 、 我 が 国 が 被 害 を 与 え 、そ し て 被 害 を受 け た と い う 事実 を 理 解 し 公 正に 判 断 して いく こ と は 、 平 和 を 願 う 日 本 人 と し て世 界 の 国 々 の人 々 と 共 に 生 きて い く こ と の 大切 さ を 自覚 して い く こ と につ なが る であ ろう 。 本 単 元 は、 我 が 国 が 戦 時 体制 に 移 行 し た 背 景 や 、 戦 争 が国 内 外 の 人 々 のく ら し や生 命に 大 き な 犠 牲 を 与 え な が ら 行 わ れ た事 実 を 調 べ るこ と で 、 戦 争 とい う 歴 史 的 事 象を 異 な る立 場か ら 公 正 に 判 断 し て い く 学 習 で あ る。 子 ど も た ちは 、 年 表 や 、 当時 の 様 子 が 分 かる 画 像 や映 像な ど を 活 用 し た り 、 戦 時 中 の こ と をよ く 知 る 人 の話 を 聞 い た り しな が ら 、 戦 争 とい う 歴 史的 事象 を 捉 え て い く 。 そ し て 、 調 べ た 事実 を 根 拠 に して 伝 え 合 う 中 で、 新 た な 問 い を生 み 出 して いく 。 そ の 問 い を 仲 間 と 共 有 し 解 決 して い く 過 程 で、 戦 争 と い う 歴史 的 事 象 の 意 味を 多 面 的・ 多角 的 に 捉 え 、公 正に 判 断し てい き な が ら 歴 史 認識 を 育ん でい く こと が でき ると 考 え て いる 。 そ こ で 、以 下 の支 援を 具 体化 し 、本 単元 で 求 め る子 ど もの 姿 の実 現を 図 りた い。 ○ 「日 本 の 行 動 は 侵 略 で あ る 」 と い う 中 国 の 訴 え に 対 し て 国 際 連 盟 が 調 査 団 を 派 遣 し た 事 実 が 分 か る資 料 を 提 示 し た 上で 、 そ の 訴 え の 根 拠 を 調 べ る活 動 を 仕 組 む 。そ う す るこ とで 、 中 国 に 対 して 被 害 を 与 え た 事実 や 背 景 を 理 解 し 、 当 時 の 日本 と 中 国 の 関 係を 公 正 に判 断す る こ と が で きる よ うに する 。 ○ 回 天 記 念 館 を 見 学 し 、 当時 の 様 子 を 詳し く 知 る 人 に 話を 聞 き 、 感 じ たこ と を 仲間 と交 流 す る 活 動 を仕 組 む 。 そ う す るこ と で 、 特 攻 作 戦 に 至 る ま で追 い 詰 め ら れ た当 時 の 我が 国の 状 況 や 、 兵 士と し て戦 地に 赴 いた 人 々の 思い を 理 解 する こ とが で きる よう に する 。 ○ 戦 争 中 の 人 々 の く ら し の様 子 や 戦 況 悪化 を 読 み 取 る こと の で き る 資 料を 提 示 する 。そ う す る こ と で、 戦 争が 人々 に 与え る 影響 の大 き さ を 感じ る こと が でき るよ う にす る。 ○ 単 元 を と お し て 、 調 査 活動 か ら 生 み 出し た 問 い や 、 歴史 的 事 実 、 考 えた こ と を学 習マ ッ プ に ま と め、 交 流 す る 活 動 を仕 組 む 。 そ う す る こ と で 、 戦時 体 制 に 移 行 した 背 景 や戦 争が 人 々 の く ら しに 与 えた 影響 を 捉え 、 歴史 認識 を 深 め てい く こと が でき るよ う にす る。 -1- 2 目標 ○ 戦 争 に よ っ て 、 近 隣 諸 国に 大 き な 被 害を 与 え た こ と や国 民 が 大 き く 被害 を 受 けた こと を 理 解 し 、 その 事 実を 公正 に 判断 し なが ら歴 史 認 識 を深 め てい く こと がで き るよ うに す る。 ○ 戦 争 が 人 々 に 与 え た 影 響に つ い て 話 し合 う こ と で 、 平和 な 国 を つ く って い き たい とい う 願 い を も つこ と がで きる よ うに す る。 3 評価規準 社会的事象への関心・意欲・態度(関) 社会的な思考・判断・表現(思) 観察・資料活用の技能(技) 社会的事象についての知識・理解(知) ○ 日 華 事 変 や 我 が 国 に か ○ 戦 争 と い う 歴 史 的 事 象 ○ 年 表 や 写 真 な ど の 基 礎 ○ 戦 争が 始ま っ た 事 実と かわる第二次世界大戦 から学んだことを、比 的資料を活用して、必 の事実や戦争が人々に 較したり関連付けたり 要 な 情 報 を 集 め 、 読 み ○ 戦 争 によ っ て人 々 の く 与えた影響について意 総合したりして適切に 取ったりまとめたりし ら し や多 く の生 命 が 犠 欲的 に 調べ てい る。 表現 している。 ている 。 牲 に なっ た こと を 理 解 ○戦争から我が国が学ん している。 だことを考えようとし ○ 戦 争 が長 引 いた 事 実 と てい る 。 4 背景 を理 解している。 背景 を理 解している。 指導計画 31M(10時間) が本時 学習活動 第1次 学 習内 容 ※ 波線は問いの意識を 表す 子ど もの 意 識 我が 国が 戦 時体 制に 移 行し た 事実 と そ の 背景 を調 べ る ・ 戦争 について調べる意 欲(関 ) 9 M(3 時 間 ) ・ 戦 時体 制に 移行した事実 と背 景( 知 ) ォ我が国が戦時体制に ・中国は「日本の行動は侵略である」と国際連盟に訴えたね。中国 移行した事実と背景 に対して何をしたのだろう。満州事変が関係しているよ。日本軍 について調べ交流す は南満州鉄道の線路を爆破し、中国軍のしわざとして戦争を始め る たよ。なぜ、日本は中国に戦争をしかけたのだろう。きっと理由 (6M) があるはずだよ。第一次世界大戦の後、日本の輸出が減ったこと や、1929年 の 世 界 恐慌 で 不景 気に な り失 業者 が 増加 し たこ と だ ね。 当時「満州は日本の生命線」という考えがあったよ。だから、満 州国を承認しない総理大臣を殺害するという事件が起こったのだ ね。 そ して 、 軍 人 が政 治を 支 配す る こと にな っ たの だ ね 。 ォ 中 国 と の 戦 争 が 、 イ ・ 国 際 連 盟が 満州 国 を認 めな か った の で、日 本 は 国際 連 盟を 脱退 し、 ギリスやアメリカと 国際的に孤立したのだね。日本軍は、ナンキンを占領して多くの の戦争に広がった事 命を奪ったよ。だから、さらに外国から非難を受けることになっ 実について調べる たのだな。当時、中国を支援していたのは、イギリスやアメリカ (3M) だから、イギリスやアメリカとも戦争をすることになってしまっ たのだね。どのような戦争だったのかを調べたいな。戦争のこと がよく分かる施設に行って調べてみよう。周南市の大津島に回天 記念 館 があ る の だ ね。「 回天 」と は 何の こ とか な 。 第2次 学 習内 容 戦況の悪化による人々のくらしの変化と戦争が長引いた理由について話し合う 16 M (5 時 間) ・ 戦争 が長引いた理由(思 ) ・具 体的 調 査に よる 情報の収集( 技) ・ 戦況 が悪 化した事実 (知) ォ 回 天 記 念館 を見 学 し ・ 回 天 は 人 間 魚 雷 と 言 わ れ る 特 攻 兵 器 だ っ た の だ ね 。 回 天 に は 「 天 当時の様子について を回らし、戦局を逆転させる」という願いが込められていたのだ の話を聞き、戦況が ね。回天に乗った兵士は、自分の命を犠牲にして、敵国の戦艦に -2- 悪化した事実を理解 体当たりしていったよ。みんな大学生くらいの若い人ばかりだ。 ( 6 M) どのような思いで、回天に乗り亡くなっていったのだろう。家族 する はどのような気持ちだったのだろう。記念館の人のお話から、回 天に乗ることで身近な人を守ることつながると信じていたことが 分かったよ。それだけ、戦況が悪化していたのだな。そうした状 況の 中 で、 人 々 は どの よう な 思い で 、く らし て いた の だ ろ う 。 ォ 戦 況 の 悪 化 と と も に ・ 戦 争 が 始ま った こ ろは、戦 争 に対 し て希 望 を も って い たと 思う よ。 人々の思いやくらし この写真の見送る人は笑顔だね。しかし、戦争が進むと、空襲に が変化していった事 おびえたり、家族が亡くなったり、戦死者が増えたりして、無事 実について交流する に 帰 って き て ほ し い とい う 思 い が 強 くな っ てい っ た と 思う よ。「 日 ( 4 M) 本人なら、ぜいたくはできないはずだ。進め一億火の玉だ」とい うスローガンが、人々のくらしの様子を表しているね。小学生が 軍事練習をしたり、学徒動員で多くの若者が戦地に赴かなければ なら な いほ ど 、 日 本は 厳し い 状況 に あっ たの だ な。 ォ交流して考えたこと ・調べたことを、学習マップに整理するよ。戦況の悪化によって、 を学習マップに整理 ( 3 M) する 日本軍は特攻作戦まで考えたのだね。命を落とすことはこわくな かっ た のか な。 な ぜ特 攻兵 器 を 造 る まで 戦争 を 続け たの か な。 ぉ戦争が長引いた原因 ・家族が犠牲になったり、苦しい生活を強いられたりして、戦争を につ い て話 し 合 う ( 3M) 終わらせて欲しいと思っていた人がいたと思うよ。多くの犠牲者 が出たり、大きな被害を受けたりしたにもかかわらず、なぜ戦争 は長引いたのだろう。戦況が悪化している事実を知らされなかっ たからだよ。軍が政治を支配していたから戦争をやめようと言え なかったのだよ。日本が始めた戦争だから、なかなか負けを認め ら れ な か っ た の で は な い か な 。「 進 め 一 億 火 の 玉 だ 」 な ど の ス ロ ーガンで人々を国のために戦うという気持ちにさせたのだよ。こ の戦争が終わるきっかけは何だったのだろう。被害を与え、被害 を受 け た戦 争 に 対 して 人々 は どの よ うな 思い を もっ た の だ ろ う 。 第3次 学 習内 容 我が 国が 戦 争か ら学 ん だこ と を話 し 合 い 、考 えを 意 見文 に まと める ・ 戦争 に対する意見文(思 ) 6M (2時 間 ) ・戦 争から我が国 が学 んだ こ と( 関) 被 害 を 与 え た 立 場 と ・「 満 州 は 日 本 の 生 命 線 」 と い う 考 え か ら 、 近 隣 諸 国 に 被 害 を 与 え 被害を受けた立場か た日本が、最終的には沖縄戦で多くの犠牲者が出たり、2発の原 ら我が国が戦争から 子爆弾を落とされたりして敗戦という結果に終わったね。日本が 学んだことについて こ の 戦 争 か ら 学 ん だ こと は 何 だ ろ う。 近 隣 諸 国 の8月 15日 の 写 真 と 話し 合う 日 本 の 8月 15日 の 写 真 は 、 全 く 違 う ね 。 近隣 諸 国 の 人 々の 喜 び も 分 ( 3 M) かるし、日本人の悲しさも分かるよ。結局、戦争で幸せになる人 はい な いの だ な 。 ォ戦争に対する自分の ・今も世界各地で、絶えず戦争が起こっているね。しかし、日本人 考えを意見文にまと は 、 戦 後 68年 間 、 戦 争 で 一 人 の 外 国 人 の 命 も 奪 っ て い な い よ 。 こ ( 3 M) れは、平和な国をつくりたいという日本人の願いを表していると める 思う よ 。こ れ が 、 戦争 から 学 んだ こ とだ と考 え るよ 。 -3- 5 本時案 【平成25年11月29日 (1)ねらい 8 : 5 0∼ 9 :3 5 6年1組教室】 戦 況 の 悪 化 と人 々 の く ら しの 変 化 と の 関 係を 捉 え な が ら 、戦 争 が 長引 いた 原 因 に つ い て考 え るこ と がで きる よ うに する 。 ( 2 )学 習過 程 ※波線は問 いの意識を表す 学習 活動 / 子 ど も の意 識 ① 資 料 を見 なが ら、前 時 ま での 学習 を 振り 返 る 学 習内 容 支 援 (5 分 ) ○ 戦 争 開 始 前 か ら 戦 況 悪化までの資料を時 ・ 戦時 体制に移行した事 実と 戦況 が 悪化 した事実(知 ) ・ 戦争 の原 因 は世 界 的 な 不 景 気 だっ たよ 。 系列で示す。そうす ・ 戦況が悪化したため、人々のくらしは、どんどん苦しくなって ることで、前時まで いっ たね。そ して、軍 は、特 攻兵 器「 回天」まで 造 った のだ ね。 の学びを想起し、歴 ・ ぼくは、回天に乗りたくないよ。だってこわいから。回天に乗 史的事実が問いを生 って 、た く さ ん の人 が 命を 落 とし たの だ よ。 み出すきっかけにな A 多くの命を犠牲にすることが分かっているにもかかわらず、な ぜ軍 は戦 争 を や めよ う とし な かっ たの だ ろう 。 ② 戦 争 が長 引い た 原因 につ い て話 し 合う 学 習内 容 る よう にす る 。 ○日本軍が流した情報 ( 25 分 ) と歴史的事実を比較 できる資料を提示す ・ 戦争 が長引いた原因(思 ) ・ 沖縄本島や硫黄島を占領され、日本各地が空襲を受けても、自 ら始 めた 戦 争 だ から 、 負け を 認め たく な かっ たの だ と 思 う な 。 る。そ う する こと で、 情報操作が戦争を長 ・ 「 日 本人 な ら 、ぜ いた く は で きな いは ず だ。進 め一 億火 の 玉 だ」 引かせた一因である というスローガンにあるように、勝ちを信じて戦い続けるつも ことを捉えることが りだ った の だ よ 。 多くの犠牲者が出て、苦しいくらしにもかかわらず、当時の日本の 人々も、軍と同じ考えだったのだろうか。 で きる よう に する 。 ○「戦争を早く終わら せてほしいと願って ・ 空襲で家が焼かれたり、大切な人を亡くしたりした人は、早く 戦争 を終 わ ら せ てほ し いと 願 って いた は ずだ よ。 いた」という人々の 本音に迫った考えを ・ だけど、憲兵が戦争を批判する人を捕まえていたので、いくら 苦し くて も 、 反 抗す る こと が でき なか っ たの だね 。 取 り上 げる 。そし て、 憲兵の存在が分かる ・ 当時 の新 聞 を見 る と 、 戦 況 が 悪化 して い る事 実と は 違う ね 。 資料を示し、その仕 ・ 軍は、国民が一丸となれば必ず勝てると言うばかりで、正しい 事を考えさせること 情報を流さなかったよ。このことが戦争を長引かせた原因かも で、戦争に反対する しれ ない な 。 ことができなかった ・ 軍が 人々 を 国の た め に 戦 う と いう 気持 ち にさ せて い った の だね。 事実を捉えることが ③ で き る よう に する 。 本 時 の学 習を 振 り返 る 学 習内 容 ・次時 への 見通 し(関) ( 15 分 ) ・戦 争が 長引 い た事 実(知) ○以下の2点を観点と A 軍は、戦争を批判する人を捕まえたり、正しい情報を国民に伝 して振り返らせ、意 えなかったり、スローガンで人々の気持ちを操ったりして、日 図的指名によって戦 本全 体を 、 ど ん どん 戦 争に 向 かわ せて い った のだ ね 。 争が長引いた事実に ・ 軍は 、自 分 から 負 け を 認 め る のは 難し か った だろ う ね。 ついての理解を深め ・ では 、こ の 戦争 が 終 わ る き っ かけ は何 だ った のだ ろ う。 ら れる よう に する 。 ・ 近 隣 諸 国 に 大 き な 被 害 を 与 え 、 自 分 た ち も 大 き な 被 害 を 受 け た ・ 情報 操作と言 論統 制 戦争 に対 し て 、 人々 は どん な 思い をも っ たの だろ う 。 -4- ・ 新た な問い