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白浜町における 石綿セメント管更新事業について
平成 3 .1 0 第5 1号 ダクタイル鉄管 3 0 喝 .. -¥ . , . . I~~: ._~./.~:~一、 . 1・、¥ム - 一 旬 、 匂1 1 " ー ノ ' 叫 白浜町における 石綿セメント管更新事業について 和歌山県白浜町水道部 部長寺前 1.はじめに 学 知られ、斎明天皇をはピめ多くの宮廷人たち 白浜町は、紀伊半島のほぼ中央部に位置し、 面積65.53knf、人口 2万人を擁する町である。 当町の歴史は古く、道後、有馬と並んで日 が来泉し、 1300年 余 の 歴 史 を 持 つ 由 緒 あ る 温 泉と円月島、三段壁など多くの名所にも恵ま れた温泉観光地である。 本三大古湯に数えられており、飛鳥、奈良朝 古い歴史と、自然の景観に加えて数多くの の時代から「牟婁の温湯 J r 紀の温湯」の名で レジャー施設を有する総合リゾートゾーンと 図 1 位置図 湯煙、南国の太陽きらめく観光地として、四 して人々の注目を集めてわり、青い海、白い 季を通して地元関西地方はもとより、全国各 地 か ら 年 間 約 340万人の観光客を迎えている。 写真 1 円月島 白浜町における石綿セメント管更新事業について 写真 2 三段壁 3 1 に し て 給 水 量 が 限 界 点 に 達 し た た め 、 第 2次 拡 張 事 業 を 昭 和 36年 か ら 、 計 画 人 口 2万 3, 000 人、計画給水量 2万 3, 610mに変更して実施、 3 昭 和 40年に竣工した。 しかし、その後僅か 2年 目 に し て 夏 季 の 水 道 使 用 量 は 施 設 の 最 大 能 力 に 等 し い 2万 300m ' となり、来夏からの給水が憂慮されるため各 施設の拡充を図り、給水の万全を期するため 昭 和 43年 度 か ら 第 3次 拡 張 事 業 を 、 計 画 人 口 3万 4, 700人 、 計 画 給 水 量4万 540m'に変更して 実 施 、 昭 和 46年に完成した。 ところが、当拡張事業の完了をまたずして、 2 .水 道 事 業 の 沿 革 全国的に土地開発が急激に進展するに伴い、 全国有数の風光明娼なリゾート観光地である 白浜温泉の発展を支える大効脈ともなって 当町においても、宅地開発やリゾートマンシ いる上水道は、社運をかけた一民間会社によ ョンが多数計画され、水需要がますます増大 っ て 創 設 さ れ 、 完 成 を み た の は 昭 和 9年のこ す る こ と が 予 想 さ れ た た め 、 昭 和 47年から、 とであり、すでに半世紀の歴史を綴ってきた。 6ヵ 年 計 画 ( 竣 工 予 定 昭 和 52年)でもって、 当町はもともと半島地帯であるため、飲用 水 の ほ と ん ど は 谷 の 流 れ やj 留め池に依存しな ければならなかった口しかし、大正初期から 200m'に変更し、第 4次 拡 計 画 給 水 量 を 6万 7, 張事業に着手した。 しかし、昭和 48年のオイルショック以来、 自動車道の開設、国鉄紀勢線の南進、大型船 経済、社会情勢の急激な変動により、土地開 の就航などによる海陸交通の発達、整備が進 発やリゾートマンションの中断、,観光客の減 むに伴い、白浜温泉の開発計画が急速に進展 少など水需要は予想外に伸びず、そのため、 し、必然的に保健衛生ならびに防火保安上か 昭 和 59年に当拡張事業の見直しを行った。 らも飲用水の確保が温泉都市としてもっとも 見 直 し の 結 果 、 昭 和 70年 に お け る 1日最大 緊急で、重要な課題として、実現を熱望する声 給水量は、 4万 5, 000m程 度 と 予 想 さ れ 、 当 初 が高まってきた。 計画では余剰水ができるため、水事情に恵ま しかし、当時の瀬戸鉛山村〔合併前〕は、 3 れ な い 隣 接 の 田 辺 市 ヘ 1 日 2万 d の 分 水 を 行 水道事業を計画する財政的余裕がなく、この うことを決め、当初計画通り事業を施行し、 要望に答えることができず¥代わって土地開 平成元年度に完成した。 発 業 者 ら に よ っ て 昭 和 8年 に 白 浜 水 道 株 式 会 図 2 白浜町水道施設位置図 社が創立され、 8km 離 れ た 富 田 川 か ら 日 量 1, 呆呂 f 300m'を取水し、温泉街へ給水を開始した。 そして、昭和 2 8年 公 営 事 業 と し て 白 浜 町 が この水道会社を買収し、水道事業を継承した。 その後、町勢の急激な発展と観光客の激増に 十九淵 伴 い 、 第 1次 拡 張 事 業 を 昭 和 3 1年 か ら 、 計 画 人 口 1万 7, 000人、計画給水量 5, 990m'の計画で その後、昭和 34年 7月 の 紀 勢 東 西 線 の 連 絡 による観光客の驚異的な増加は、水道使用量 の 急 激 な 増 大 を 呼 び 、 拡 張 事 業 竣 工 後 2年 余 椿第 Oi 争水場 @ 己 自7 J < i . 也 NtAY 実 施 し 、 昭 和 33年に竣工した。 l西日水池 3 2 ダクタイル鉄管 平成 3 .1 0 第5 1号 図 3 白浜町下水道施設高低関係図 -50m 3 .拡 張 事 業 か ら 整 備 事 業 ヘ 拡張事業は、平成元年度に計画通りの完成 をみたが、その聞に実施した管路の整備事業 対策が急務となった。 2. 石 綿 セ メ ン ト 管 の 布 設 替 え 事 業 当 町 に わ い て 石 綿 セ メ ン ト 管 は 、 第 l次 お について以下に述べる D よび第 2 次拡張事業時(昭和 32 年 ~38 年)呼び 1. 漏 水 防 止 対 策 と 有 収 率 向 上 の 状 況 径75~500mm を全長約2 万 6 , 400m 布設したが、 当 町 の 有 収 率 は 、 表 1の通り昭和 56年 当 時 昭 和 55年頃から;事故が頻発しはじめ、安定給 は71 .25%と低く、このままでは経営的にも、 水と有収率向上のために、石綿セメント管路 また、水資源の有効利用の点からも放置する に対してなんらかの方策が必要なことが明ら こ と が で き ず 、 昭 和 57年 に 漏 水 調 査 班 を 編 成 かになった。 するとともに、相関式漏水探知器を購入し、 しかし、布設替えを実施するには多額の資 調査を進めながら漏水筒所の修理に努めた結 金 が 必 要 に な る た め 、 第 4次 拡 張 事 業 期 間 中 果、昭和 58年 に は 86.77%と全国平均の 82.7% (昭和 47年 平成元年)は経費の点から単独の を大きく上回ることができたが、その後は現 布設替え事業は控え、下水工事などと併行し 状 を 維 持 し て い く の み で 、 平 成 7年 目 標 有 収 た布設替えを優先したため、石綿セメント管 率 90%の 達 成 は 困 難 な 状 況 に あ り 、 抜 本 的 な の 布 設 替 え 延 長 は 5, 900mにとどまった。表 2 表 1 過 去1 0 年間の有収率の推移 年 度 有収率% にその聞の布設替え延長を示す。 表 2 石綿セメント管布設替え経過 日 百 手 口 56 71.25 57 75.00 58 86.77 昭 和 58 年度まで 779 59 88.19 日 召 手 日 59 411 60 88.29 60 774 6 1 88.21 61 255 62 87.63 62 551 63 87.28 63 797 1, 平成元 87.45 2 47 87. 単位 m 年 布設替え延長 度 平成元 1, 333 合計 5, 900 ,l__ 3 3 白浜町における石綿セメント管更新事業について 4旬 新 規 布 設 替 え 事 業 %を占めている。 1. 現 状 これらの石綿セメント管は、すでに耐用年 当 町 の 管 布 設 延 長 は 、 表 3の 通 り 、 平 成 3 数を経過しており、また、起伏の激しい地形 年 4月 1日 現 在 、 導 ・ 送 水 管 で25km (戸 75~ のため水圧も高く(図 2参照)、漏水事故の発 戸800)、 配 水 管 で 約170km(戸 40~ タ 600) 、合計 生 も 多 く な っ て い る 。 表 5に 過 去 の 事 故 件 数 来 旬 195kmで、ある。 を示す口 このうち石綿セメント管の布設延長は、表 なお、呼び、径300mm 、500mmの 事 故 の う ち 胴 4 の通り約 17.2km で、あり、特に呼び径300~500 体 部 の 割 れ は 1件 の み で 、 他 は す べ て 継 子 部 mmという大口径の管が延長約9.6kmと全体の56 の2葬故である口 表3 種別 石綿セメント管 HIピニル管 14, 965 配水管 管種別布設延長 29, 670 室 岡 〔平成 3年 4月 1 日現在〕単位 m ダク:タイル鉄管 言 十 532 125, 032 170, 199 2, 453 2, 453 692 19, 613 22, 547 1, 224 147, 098 195, 199 管 導水管 送水管 2, 242 言 十 17, 207 29, 670 表 4 石綿セメント管呼び径別布設延長 〔平成 3年 4月 1日現在〕 2. 新 規 事 業 の 概 要 第 4次 拡 張 事 業 の 完 了 し た 平 成 2年度から 10ヵ 年 の 長 期 計 画 に よ り 、 残 存 石 綿 セ メ ン ト 日乎び、径: ( m m ) 延 長 (m) 75 1, 367 100 1, 329 150 3, 189 200 1, 046 250 665 300 4, 909 400 633 500 4, 069 言 十 17, 207 管を全数ダクタイル鉄管に布設替えすること とした。 事業名・・…・石綿セメント管布設替え事業 (仮称) 期間……平成 2 年度 ~ll 年度 事 業 費 … … 14 億円(町独自財源による) 使用管種・・・ダクタイル鉄管 A形 お よ び K形 3. 平 成 2年 度 布 設 替 え 実 績 平 成 2年 度 に 実 施 し た 布 設 替 え 延 長 を 表 6 に示す。 表6 表 5 石綿セメント管事故件数 お点空 59 日 召辛口 60 7 61 2 75 5 100 3 2 1 150 3 6 1 200 2 62 2 63 2 平フじ 成 1 1 2 2 4 1 1 250 300 1 2 2 2 1 1 400 500 2 3 2 言 十 16 20 8 2 5 8 1 言 十 17 9I 18 。 。 4I 9 10 10 67 平 成 2年 度 布 設 替 え 延 長 単 位 m 呼 ぴ 径 mm 75 布設替え延長 553 100 68 150 868 200 579 250 241 300 66 400 500 言 十 。 918 3, 293 平成 3 .1 0 第5 1号 ダクタイ.ル鉄管 34 5属石綿セメント管布設替え工事 1. 今 回 実 施 し た 呼 び 径 500mm布 設 替 え 路 線 なお、管材料は施工性がよく、耐食性もあ り 、 強 度 的 に も 安 全 な ダ ク タ イ ル 鉄 管 K形 2 の概要 昭 和3 6年 か ら 実 施 し た 第 2次 拡 張 事 業 で ¥ 布設した富田浄水場 工法とした。 オレンジランド配水池 種管を採用し、不平均力のかかる箇所には特 殊押輪を使用するとともに、防食対策として 000m 間の呼び、径500mm送水管(図 3参照)約 8, ポ リ エ チ レ ン ス リ ー プ (JD P A認定品)も採 のうち、布設替えのすんでいない残り 5, 000m 用するごとにした。 を計画的に取り替えることとした。 2. 施 工 時 期 と 工 区 割 当管路は、オレンジランド配水池 ( 1 0, 000 r r f ) への重要送水幹線で¥過去継子部での破 すでに述べたように、当地は観光地であり、 夏季シーズンの施工は困難で¥シーズンの終 損事故が多発しており、その対策が急がれて 了する 9月 下 旬 か ら の 施 工 と し 、 年 末 年 始 を いた。 はずした昼間施工とした。 平 成 2年度はそのスタート年であり、約 900 m をダクタイル鉄管で布設替えした。 ま た 、 短 期 間 の 施 工 の た め 、 工 区 を 2分 割 して施工した。 3. 発 注 方 式 写真 3 呼び径500mm布設替え道路 当町は材料確保と管理の徹底できる支給方 式を採用しでわり、今回も材料はすべて町か らの支給とした口 3. 施 工 今回の呼び、径500mm 送水管布設替え工事は、 片 側 l車 線 の 主 要 な 町 道 で の 工 事 で あ る こ と と、地盤が岩盤であるため、安全対策と施工 の両面からかなりの制約を受けた。そのため、 工事の進捗が危倶されたが、 l臼当たり平均 2本 (L=12m)のペースで施工できた。 写真 4 2. 事 前 検 討 内 容 1.工法と使用材料 今 回 布 設 替 え 予 定 道 路 は 、 幅 員 6mの 幹 線 町道であり、交通量も多く、スムーズな施工 が望まれたため、各種工法 (PIP工法、 PTP 工法、推進工法など)を検討したが、①流量 の減少が許されないこと、②地盤が岩盤であ ること、などの理由により、従来通りの開削 3 5 白浜町における石綿セメン卜管更新事業について 1 4 0 c m 写真 6 J 写真 5 6 . おわりに 平 成 2年 度 か ら ス タ ー ト し た 石 綿 セ メ ン ト 管布設替事業の初年度は、当初の計画通り無 事完了した。 観光地ゆえの工期的制約や岩盤による掘削 工事の難渋など、種々の障害を克服しながら の工事であった。今後も多くの障害に直面す るであろうが、職員全員一丸となって取り組 み、スムーズな事業の推進と、早期に“ふれ っしゅ水道"の達成を図りたいと考えている。 最後に、今回の工事推進に当たり、ご協力 いただいた関係各位に対し改めて感謝申し上 げる次第である。