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コラム-夫がうつになって(147号) [PDFファイル/25KB]
相談室から コラム∼夫がうつになって∼ 女性のための総合相談には、さまざまな悩みが寄せられますが、やはり多いのは夫婦・ 家族間の悩みです。長い人生の間には様々な危機が訪れることがあります。こんな時、み なさんならどうなさいますか? 「どうしたらよいのかわからなくて・・」 Aさんの声は元気なく、戸惑っている様子がうかがえました。 うつで休職中の夫との関係に悩んでいるとのことですが、何から話し出してよいかわから ないような感じでしたので、面接相談にお誘いしました。 元々夫は几帳面で真面目な性格だったそうです。 おとなしいAさんとは仲のよい夫婦で小学生の長女と幼稚園の長男がおり、Aさんの両親 と同居しています。 まめな夫は以前から子どもたちの世話もよくしてくれてAさんより丁寧なくらいでした。 同居の両親ともうまくいっている方だと思っていました。 夫は、仕事もこつこつと真面目にやって成果を出し、上司からも一目置かれるような存 在でしたが、昇進したあたりから夫の様子が変わってきました。緊張しやすい夫は毎日遅 くまで仕事の準備や後片付けに追われ、予期せぬトラブルの後始末もしなくてはならなく なりました。始発出勤、終電帰宅の生活が続くようになると責任感の強い夫は眠れなくな り、とうとう半年たつ頃にうつと診断され、休職してしまいました。 Aさんは専業主婦で家にいることが多いのですが、昼間は寝てばかりの夫に配慮して子 どもたちにも静かに過ごすよう注意はするものの続くものではありません。 そのうち夫は些細なことで不機嫌な顔をするようになり、Aさんや両親とも口論になって しまうことが増えてきました。すると夫は「死にたい」と家を飛び出し、心配したAさん が心当たりを捜し歩く日々で気が休まらなくなりました。 また、夫が、静かにできない長男に手をあげることすらあります。 家の中は息がつまるようで、元気がなくなった長女のことも気にかかります。 近頃では心配症なAさん自身も眠れなくなり、両親と、夫のことについて相談するのも 億劫になってきました。 病気の夫のことは自分が支えてあげなくては、と思うのですが、気力がなくなり、そのこ とでまた自責の念がわいてきます。 「いつまでこんな生活が続くのでしょうか。夫は本当に病気が治れば元に戻るのでしょう か。」 Aさんの夫は通院していますが、Aさんご本人は、夫、子ども、両親の世話に明け暮れ、 ご自身の不調には何の対処もしてない様子でしたので、精神保健相談を勧めました。 精神保健相談を受け持つ医師に、これまでの状況、本人の不調等について聞いて貰い、 受診を勧められるとAさんは少しほっとされたようでした。 また、夫への対応についてもアドバイスを受け、何とかやっていこうと思えるようになり ました。 Aさんはこれまでも大変努力をされて家族のために頑張ってきた方です。女性センター の相談窓口では、Aさんをねぎらいつつ、ご本人自身の安全と健康について一緒に考え、 少しずつ問題を解決していけるよう寄り添う相談を心がけています。 当センターの「女性総合相談」では、皆様からの相談をお受けしています。相談は無料 で、相談者の秘密は厳守いたします。一人で悩まずにぜひご相談をお寄せください。 ※ご紹介した相談は、特定の事例ではなく、相談室に寄せられる様々な相談を織り交ぜ て構成したものです。