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ステークホルダーの皆さまへ

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ステークホルダーの皆さまへ
日本郵船グループの事業領域
Our Message
B to B、B to C から B to S(Business to Society)へ
人々の生活に欠かせない
あらゆるモノを届ける
日本郵船グループは、資源・エネルギーから食料品に至るまで、人々の生活に欠かせない
あらゆるモノを、世界中に広がる海・陸・空の輸送網を通じて届けています。
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NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK Report 2014
Our Message
多様な輸送サービス
コンテナ船
主な貨物
食料品/日用品/電化製品
トラック
主な貨物
食料品/日用品/電化製品
ターミナル
主な貨物
コンテナ/建設機械/
鉄道車両/完成車
貨物航空機
主な貨物
半導体/精密機器/
自動車関連部品
ドライバルカー
主な貨物
鉄鉱石/石炭/
木材・チップ/穀物
タンカー・LNG 船
主な貨物
原油/ケミカル・石油製品/
LNG(液化天然ガス)/LPG(液
化石油ガス)
/ナフサ/軽油
自動車専用船
主な貨物
乗用車/トラック/
工業用車両
客船
サービス内容
世界最高レベルの船旅
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK Report 2014
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経営の基本方針
Our Message
企業理念
基本理念
わたくしたちは、海・陸・空にまたがるグローバルな総合物流企業グループとして、安全・確実な「モノ運び」を通じ、
人々の生活を支えます。
経営方針
■ お客様とともに
■ 社会とともに
お客様から選ばれ信頼されるパートナーであり続けるために、
良き企業市民として積極的に社会の課題に取り組み、環境の
現場第一に徹し、創意工夫に努め、新たな価値の創造を追求
保全をはじめとして、より良い地球社会の実現に貢献します。
します。
■ グループ社員とともに
■ 株主・投資家の皆様とともに
グローバル企業として、社員の多様性と挑戦する気概を尊重
公正かつ透明な経営を実践し、効率的な事業活動を通じて、
し、人材育成に力を注ぎ、夢と誇りを持って働ける日本郵船
企業価値の増大を目指します。
グループを目指します。
Business to Society
事業活動における社会への影響と果たすべき責任
メガトレンド
果たすべき責任
■ 人口増加と人口移動
事業活動における
プラスの影響
■ 世界経済のアジアシフト
■ グローバル経済発展への貢献
■ 多様性の尊重
■ 環境負荷の増大
■ グローバルの雇用拡大
■ 地域との共生
■ 雇用確保
■ 消費者、社会ニーズの多様化
■ 環境負荷の低減
■ 技術革新を通じた新領域拡大
■ 安全輸送の徹底
事業活動における
マイナスの影響
■ 環境負荷増大
■ 事故時のさまざまな影響
持続的成長をリードする重要課題(マテリアリティ)への取り組み
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NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK Report 2014
P.40 へ
日本郵船グループでは、事業活動の根幹に「経済責任」
「環境責任」
「社会責任」を置き、
自社と社会の利益を同時に最大化
していく統合思考の経営を志向しています。中期経営計画「More Than Shipping 2018」の達成を目指し、グループ社員
一人ひとりが経済・環境・社会的視点を持ちつつ、事業活動を遂行することが企業価値向上につながると考えています。
事業活動
各事業部門年度方針
中期経営計画
More Than Shipping 2018
P.32 へ
企業理念
基本理念:わたくしたちは、海・陸・空にまたがる
グローバルな総合物流企業グループとして
安全・確実な「モノ運び」を通じ、人々の生活を支えます。
経済責任
社会責任
環境責任
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK Report 2014
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Our Message
日本郵船グループの CSR 経営
すべてのステークホルダーの皆さまへ
Our Message
第 2 ステージを迎えた
「More Than Shipping」戦略
2014 年 4 月より新中期経営計画「More Than Shipping 2018 ∼ Stage 2 きらり技術力∼」がスタートしました。その
名が示す通り、前中期経営計画で掲げた基本戦略を踏襲しつつ、当社が強みとする「技術力」を活かして、より大きく差
別化を図っていく考えです。これら新旧 2 つの中期経営計画を通して、社長就任時から描いてきた企業価値向上の道筋
をご説明します。
代表取締役社長・社長経営委員
工藤 泰三
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NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK Report 2014
Our Message
社長就任から今日までを振り返って
外部環境の急変に対応しながら、企業価値向上への道筋を描いた 5 年
今からおよそ 5 年前の 2009 年 4 月、私は社長に就任しまし
もあり、2011年度は再び300億円を超える経常赤字の計上
た。振り返ると、激変する外部環境への対応に追われた 5
を余儀なくされました。
年間でした。就任初年度は、2008 年秋に起きたリーマン・
続く 2012 年度には、さまざまなコスト削減策を実行し、
ショックの影響が色濃く出始めたころで、2009 年度の業績
経常利益は 177 億円と黒字化できましたが、決して満足で
については 304 億円の経常赤字を計上するなど、厳しい船
よう
きるレベルではありませんでした。2013年度になって、
出となりました。しかし翌 2010 年度に入ると状況が一転。
やく経常利益 584 億円という実績を残すことができ、完全
荷動きが予想以上に急回復し、業績も経常利益が 1,000 億
復活とまでは言えませんが、最悪期は脱したと認識してい
円を超える結果となりました。このまま上昇基調に入るの
ます。このように、とにかく環境対応に追われた目まぐるし
ではと考えていた矢先、2011 年 3 月に東日本大震災が発
い5年間でしたが、そうした中でも、従来型の海運業の枠を
生。さらにタイでの大洪水の影響もあり、再び荷動きが低
超えた発想で勝負する方針を明確に打ち出したことで、企
迷しました。また、欧州市場で金融危機が顕在化したこと
業価値向上への道筋を示すことができたと思います。
前中期経営計画「 More Than Shipping 2013 」の総括
2 度の経常赤字を乗り越えて
企業である以上、利益計上は必須だと考えています。その
二度の経常赤字を乗り越え、運賃安定型事業でしっかり
意味で、外部環境の激変があったとはいえ、二度にわたり
と稼ぐ力を身につけることができたのは大きな成果です。
計上した赤字は残念でなりません。上述の通り業績が乱
当社グループが、完全復活を宣言するには、運賃非安定型
高下する中、
前中期経営計画
「More Than Shipping 2013」
事業の▲550 億円をどんなに市況が悪くても限りなくゼロ
(以下、前中計)でも示したように、いかに経常利益を安定
にできるかどうかに懸かっていますが、これについてもあ
的に創出していくかということを最大の経営課題として捉
らゆる手立てを講じてきました。前中計でやるべきことは
え、この 5 年間グループ一丸となってこの課題に取り組ん
しっかりとできたと評価しています。
できました。その結果、
ようやくここにきてその目途が立っ
運賃安定型事業
てきたとの手応えを感じています。
コンテナ船セグメントにおけるターミナル事業、物流事業、不定専用船セグメントにお
ける長期契約船(LNG 船、海洋事業を含む)および自動車船事業、不動産事業など
前中計では、経常利益 750 億円を業績目標として掲げま
した。その内訳は、長期契約の積み上げといった運賃安定
型事業で 800 億円、市況に左右されやすい運賃非安定型
事業で▲ 50 億円というものでした。これが実際には 2013
年度の実績を見るとそれぞれ 1,100 億円、▲ 550 億円とい
う結果となりました。つまり、運賃安定型事業は約 300 億
経常損益推移
(億円)
1,500
1,000
500
円上振れた一方、運賃非安定型事業では▲ 500 億円も下
振れしたわけです。この結果から、他律的かつ非安定であ
ることのリスクをあらためて実感するとともに、
「業績変動
リスクの抑制」と「安定収益の積み上げ」が非常に有効な
戦略であることを再認識しました。
0
–500
–1,000
11
(実績)
12
(実績)
13
(実績)
13
計画(当初)
■ 運賃安定型事業 ■ それ以外の事業
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NYK Report 2014
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すべてのステークホルダーの皆さまへ
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業績変動リスクを抑制し大きな成果に
最も大きな成果が出たのはコンテナ船部門です。新造船
コンテナ 1 本単位で収支をコントロールするイールドマ
の発注を控え、余剰な船を減らし、需要変動に柔軟に対応
ネジメントは、海上輸送に加えて鉄道やトラックによる内
できる船隊を構築しながら、徹底的にコスト削減に取り
陸輸送網が広がる北米航路でまず実施し、2014 年度はア
組んできました。いまだ需給ギャップが大きいコンテナ船
ジアや欧州へ広げていきます。
の運賃水準は、主幹航路を例にとると、
この1年でアジア出
また、コンテナ船による減速航海の成功事例は現在ドラ
し北米向けならびに欧州向けの 1 コンテナ当たりに換算し
イバルカーにも展開され、さまざまな船種で成果を出しつ
て 200 ドル弱下がりました。両トレードで当社が取り扱う
つあります。
コンテナが年間約 110 万個ですので、収支面では約 200 億
イールドマネジメント
円の悪化要因となりましたが、減速航海とコンテナ貨物の
需要予測を基に、最適なタイミング・価格で商品を販売し、採算性を向上させる管理
手法
イールドマネジメントで、これを十分に補うコスト削減を
実現できたことは、極めて大きな成果といえます。
技術力と顧客視点で成長する運賃安定型事業
先述の通り、前中計では運賃安定型事業が計画比で約
お客さまからはこうしたパフォーマンスを通じ高い信頼を
300 億円上振れしました。この上振れは、海洋事業、LNG、
得ることができ、現在の長期契約獲得につながった事例も
ドライバルクといった分野での長期契約や自動車物流事
少なくありません。今後、当時契約したこれらの高コスト
業の拡大を通じて、それぞれ押し上げた成果です。特に、
船も返船時期を迎えますので、収益が大幅に改善し、安定
海洋事業は想定以上のスピードで成長しており、すでに当
事業に復帰してくれるものと期待しています。
社グループにおける収益の柱となっています。
自動車物流が堅調だった理由も顧客視点があったから
海洋事業の成長の源泉は、
「技術力」の高さにあると考
だと言えます。自動車メーカーの進出が急速に進んだタイ
えています。原油や天然ガスを扱う海洋事業では、高い操
や中国などで、当時インフラが不十分だった中、完成車輸
船技術と安全性が求められますが、当社グループにはこれ
送に不可欠な物流網や専用ターミナルを当社が自前で整
らを十分にクリアできる技術力があります。
備するなど、一歩先を読んだサービスを構築し、提供し続
また、エネルギー輸送面では、当社は船舶管理会社、研
けたことで、お客さまの信頼を獲得することができました。
修施設、CADET(船舶職員候補生)訓練船を独自に持ち、
高い技術力と安全意識を持った船員を自前で養成してい
るのが特徴で、
これによってお客さまに自信を持って安全・
確実な輸送サービスをご提供できるわけです。
ドライバルク輸送で長期契約が積み上げられた最大の
理由は、顧客視点を持ち続けたからだと考えています。
2004 年以降、市況が高騰し、主として鉄鉱石輸送に使用す
るケープサイズのスポット用船料が 1 日当たり 10 万ドル超
となる中、
お客さまの要望に応える形で、
なんとか船を調達
し投入してきました。一時的に収支面は圧迫されましたが、
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NYK Report 2014
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プレゼンスを高めた物流事業
2010年に旧郵船航空サービス㈱と日本郵船の物流部門を
増えています。また、アジアに目を向けると、アジア出しの
統合した後、前中計では弱かった海上貨物取扱量の大幅
貨物が急激に増えてきています。このような状況下、郵船
増加を目指し、NVOCC 事業の強化に注力してきました。
ロジスティクスは、世界中をカバーしたネットワークと、海
まず、積極的に船会社から大口のスペースを調達するこ
上フォワーディング、航空フォワーディング、コントラクト・
とで仕入れ力を向上させコスト競争力の強化に努めまし
ロジスティクスという国際フォワーダーとして求められる
た。その結果、取扱量が増えるにつれ、実力のあるフォワー
三種の神器がバランスよく備わった強みを活かして、今後
ダーとして市 場から認められるようになり、フォワー
大きく飛躍できると確信しています。
ディングサービスのみならずコントラクト・ロジスティクス
に関する引き合いも増えています。
ここ数年、物流そのものがダイナミックに変化しており、
それに伴いお客さまの需要も大きく変わりました。日本に
NVOCC:Non-Vessel-Operating Common Carrier
フォワーダー
海上・航空・陸上輸送や輸出入通関など、さまざまな諸手続きを組み合わせたドア・
ツー・ドアの国際物流サービスを提供する事業体
コントラクト・ロジスティクス
直接、お客さまと契約を結び、在庫管理・物流加工・輸配送管理などを一括して請け負
う物流サービス
おいてはかつては輸出が主流でしたが、今では輸入貨物が
新たな中期経営計画「 More Than Shipping 2018 」
市況に左右されやすいと言われがちな海運ビジネスにお
その課題をグループ全体で解決し、推し進めていくため
いて、運賃安定型事業での経常利益を 1,100 億円まで積み
の戦略を明確に示すべく、2014年3月末に新中期経営計画
上げることができ、戦略の方向性に間違いがなかったこと
「More Than Shipping 2018 ∼ Stage 2 きらり技術力∼」
を改めて確認できました。一方、運賃非安定型事業リスク
(以下、新中計)を策定・発表しました。
をいかに減らしていくかが、今後の最重要課題となります。
需給ギャップの改善が進まない事業環境の中で
当社の収支が改善してきているとはいえ新造船発注の勢
一方、今後事業拡大が期待できる分野として注目してい
いは衰えておらず、残念ながら船舶供給の高止まり傾向は
るのが、LNG や海洋事業などのエネルギー輸送部門です。
続く見通しです。この背景には、燃料費が高騰する中、技術
需要自体が拡大していることに加えて、シェールガス革命
革新を通じて実現可能となった燃費効率の優れた船舶の
を通じて、世界的な供給構造が変わり、バリューチェーンで
建造需要が年々強まっていることが挙げられます。
のかかわり方もこれまで以上に変化していくと見ています。
さらに世界的なカネ余りの状況の中、投機筋による船
また、産出されるエリアの変化、天然ガス田の小口化の流
舶投資が拡大しており、船舶の供給は従来以上に拡大す
れなどから、今後、深海油田へのシフトが進むことが予想
る恐れがあります。こうしたことから、船の保有形態につ
されます。こうした動きの中で、当社の持つ技術力が強み
いては事業リスクに応じたポートフォリオを常に考慮する
を発揮するため、今後この分野での参入機会はますます
必要があり、その点、貨物の長期輸送契約が存在しない
増えていくと思います。
コンテナ船部門などで当社がこれまで取り組んできたライ
トアセット化は正しい判断だと思っています。
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
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また、世界的に物流が増加する中で、環境規制は、バラ
スト水やSOx、NOxをはじめ、年々強化されていくことが予
想されます。私たちはこれを受け身ではなく、自ら進んで
先進的な取り組みを図っていく考えです。
バラスト水
船舶がバランスを保つため保持する海水であり、通常荷揚港で船底のタンクに注水
し、荷積港で排出される
SOx
硫黄酸化物。大気汚染や酸性雨などの原因の一つといわれている有害物質
NOx
窒素酸化物。光化学スモッグや酸性雨などの原因の一つといわれている有害物質
基本戦略を踏襲しつつ、期間を 5 年へ伸ばす
新中計では、
前中計で掲げた基本戦略を踏襲することにし
一方、新中計の期間については従来の 3 年から 5 年へ伸
ました。運賃非安定型事業リスクの抑制と運賃安定型事
ばしました。私は、中期経営計画は基本的には投資計画だ
業の積み上げが、当社グループの企業価値向上に極めて
と思っています。船は発注から竣工するまでに 2 ∼ 3 年を
有効であることが前中計を通じて実証され、今後の事業環
要します。
境の変化を踏まえても、この戦略を継続すべきと判断した
即ち、3 年先までの投資はすでに決まっているため、3 年
からです。
ではなく 5 年計画とすることで、まだ決まっていない将来
の投資計画を示したかったからです。
ROE のさらなる向上を狙った船隊整備
新中計では、LNG 船と海洋事業に重点的に投資する方針
しくなります。したがって、バランスシートを健全に保つた
を示しました。そのほか、一部のバルカーや自動車船など
め、資産を適切に入れ替えていくことが不可欠となります。
については、燃費効率の良い船への更新投資を実行してい
デット・エクイティ・レシオについては 1.0 倍を目標とし
く考えです。
ていますが、長期契約に紐付いた安定収益型の事業が積
船隊整備のポイントは、
総資産を増やさずにROE を高め
み上がれば、より安定したキャッシュ・フローが見込まれ
ていく点にあります。リターンが期待できる事業へ投資す
るため、負債レバレッジを高めていくことも考えられます。
る一方、余剰資産を圧縮し、ポートフォリオの入れ替えを進
しかし、一つの目安として1.0倍程度は確保していきたいと
めます。LNG 船や FPSO などは 1 隻当たりの投資額が大き
考えています。
いため、資産規模も膨らみ、財務基盤が弱体化する恐れが
あります。バランスシートが脆弱では、投資を行う際に、思
うように資金調達ができず、持続的な成長を描くことが難
FPSO:Floating Production, Storage & Offloading System
浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備。海底油田から揚がってくる液体から固形物、
水、気体を除去して商品品質の原油として貯蔵し、出荷単位量になったところで輸送
タンカーへの払出しを行う
コンテナ輸送を安定型事業へ
コンテナ船事業は外部環境に左右されやすく収益が不安
4,000TEU型(20フィートコンテナ換算で1万4,000個積み)
定です。そのため、市況変動リスクを抑え、赤字幅の圧縮に
の新造コンテナ船 8 隻の長期用船を決定しました。現在、
取り組んできましたが、将来的には黒字化だけでなく安定
当社はアジア・欧州航路に合計 14 隻の運航船を投入して
的に収益が出せる事業に構造転換したいと考えています。
います。そのうち4隻は1万3,000TEU(同1万3,000個積み)
その一環として、燃費効率が業界最高水準である 1 万
型の大型船ですが、3 年間の用船ですので、2016 年以降、
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NYK Report 2014
見込めるNVOCC事業を増やすことにより、
グループ全体と
ですので、
このうち4隻をさらに1万4,000TEU 型に代替し、
してのコンテナ取扱本数は逆に 500 万 TEU まで増加させ、
それに伴い余剰となる船腹を順次、北米などの他航路に
運賃変動の激しいコンテナ船事業の市況変動耐性を高め
転配し、最終的に老齢または燃費効率の悪い小型船を返
る考えです。また、ターミナル事業は、運賃水準に左右され
船・スクラップすると、総額で年間 230 億円程度のコスト削
ることなく取扱本数に連動する収益構造のため、今後も積
減が期待できます。これにより、2016 年度以降、コンテナ
極的に取り組んでいきます。
船事業の黒字定着化が視野に入ってきました。
このように異なるアセットを組み合わせることで、事業
このような船の入れ替え策を通して、いかなる状況にお
規模を拡大させると同時に運賃市況の変動に強い事業モ
いても必要と見込まれる長期的な保有形態のコンテナ船
デルを構築し、コンテナ輸送全体としてより安定的な収益
の規模は、現在の74 隻から2018 年度末には65 隻まで減ら
の見込める事業に転換していく計画です。
す予定です。
その一方で、市況に連動した用船料となる短期的な保有
用船
他社の船舶を借り入れること。チャーター船ともいう
形態の船や、船舶というアセットを持たず、安定した利益を
技術を磨き、次の飛躍に向けた礎をつくる
当社は、高度な「技術力」を要する海洋事業や LNG 船で大
に注目すべきは、
当社社員がプラントエンジニアの設計・調
きなアドバンテージを持っていることは先述の通りですが、
達・建設(EPC)段階から事業活動に直接関与する点にあ
その「技術力」を新中計の副題に掲げた狙いは単に強みを
ります。すでに当社から船長、機関長、技師を 1 名ずつ派遣
訴求したかっただけではありません。従来型の海運業だけ
すでに受注した
していますが、
さらに本FSO案件のほかに、
では知り得なかった知見を広げ、次の大きな飛躍に向けた
複数の FPSO 案件にも人材を派遣し、知見とノウハウの習
礎にするというメッセージも込めています。
得に努めています。こうした活動を通して知見が得られれ
2013年12月に、当社グループでシャトルタンカー事業を
ば、将来、FSRU や FLNG などの新規案件の参画を見据え、
手掛ける Knutsen NYK Offshore Tankers 社の子会社が、
エンジニアリング会社と同じ目線で会話することができ、
FSOの建造および用船契約を締結しました。当社グループ
より高い次元でプロジェクトに関われるようになります。
では初めての FSO 案件です。ここでも、当社グループが磨
そうなれば、この事業分野での商機はぐっと広がると期待
いてきた船舶の定点保持技術が活かされるなど、これまで
しています。
培ってきた「技術力」が評価されたと考えていますが、さら
シャトルタンカー
別名フローティング・パイプライン(Floating Pipeline)とも呼ばれ、海底油田上にあ
る石油生産・貯蔵・積出し施設などから海上で一定の距離を保ったまま油を積み込
み、陸上の石油貯蔵基地または石油精製基地までピストン輸送するためのタンカー
FSO:Floating Storage and Offloading system
浮体式海洋石油・ガス貯蔵積出設備。石油・ガスの生産を行なう設備を持たない、洋
上での貯蔵・積出専用の設備。FSOは生産設備(固定式の生産設備、TLP〈Tension Leg
Platform=緊張係留式プラットフォーム〉のような貯蔵設備を持たない浮体式の生産
設備、あるいは陸上の生産設備)で生産された原油を受け入れて設備内のタンクに貯
蔵し、シャトルタンカーへ積み出しを行う
EPC
FPSO、FSO などの海洋石油・ガス生産設備を設計(Engineering)から資材調達
(Procurement)、建造(Construction)まで一括で石油開発会社に提供する
FSRU:Floating Storage and Regasification Unit
浮体式 LNG 貯蔵再ガス化設備
FLNG:Floating Liquefied Natural Gas
洋上における LNG の液化設備および再ガス化設備
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代替船が必要となります。残り10隻は1万 TEU 未満の船型
すべてのステークホルダーの皆さまへ
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コスト改善の追求に終わりはない
前中計ではイノベーションや創意工夫を含む広い意味での
機関データといった、いわゆるビックデータも最適運航や
技術力を駆使することにより、大きな成果を出すことがで
新造船の船型を考える上で、活用すべき重要な素材です。
きましたが、事業活動が続く限り、3M(ムダ・ムラ・ムリ)は
今後も、気を緩めることなく3M の解消を図っていくという
必ず存在します。また、日々大量に蓄積される航海情報や
メッセージも、副題の「技術力」に込められています。
ESG への取り組みと成長戦略が融合する CSR を中心とした経営
当社はモノを運ぶことを生業としていますので、海や空が
進めていくためにも、ESG を考慮した持続可能な経営を
なければ事業として成立しません。海・陸・空で事業を展
進めていくことは重要であり、それが競争力の源泉になる
開する当社が、海や空を大切にしないことはありえま
と信じています。
せん。その意味で、環境へ配慮することと事業活動を通じ
当社は従前から、独禁法コンプライアンスの浸透・徹底
て成長戦略を描くベクトルは同じです。例えば、燃料油価
とグループ従業員一人ひとりの同法に係る意識改革を
格の高騰に対し、コスト削減を目的に減速航海を実施して
図ってきましたが、2013 年度は、特定自動車運送業務に関
いますが、20% 減速すると航海日数は若干長くなるもの
し、公正取引委員会より排除措置命令および課徴金納付
の、1日当たりの燃料消費量は半減し、一航海当たりの CO2
命令を受けました。皆さまには多大なご心配をおかけして
排出量を 30% 程度削減することができます。また、海運や
おりますことを深くお詫び申し上げます。
物流は世界経済の大動脈であり、社会インフラそのもので
外航海運業は、独占禁止法の適用を受ける国・航路と、
す。万一輸送に支障が出るような事態になれば、当社だけ
その適用が依然除外される国・航路が併存する複雑な事
でなく、世界の経済活動全体にも影響を与えかねません。
業環境にありますが、国際社会の趨勢は近時ますます規
さらに、事業として社会性が求められる以上、経営の健全
制が強化され適用除外の範囲が狭まる傾向にあり、当社
性、透明性、ステークホルダーからの信頼が得られなけれ
グループとしても、こうした動向の把握に一層遺漏なきを
ば企業の存続そのものが難しくなります。このように、E
期すと同時に、全社的な独禁法コンプライアンス強化に徹
(環境)
・S(社会)
・G(ガバナンス)のどれが欠けても、持
底的に取り組んでいきます。
続的成長は成し得ません。新中計で掲げる各施策を推し
安定配当と優良投資を通じて株主の皆さまのご期待に応える
新中計においても「配当性向25%」と「安定配当」が株主還
ます。ただ、株主の皆さまが配当に注目されていることも十
元の基本方針ですが、資本コストを上回る優良な案件があ
分に理解しています。配当性向 25% は、多くの投資案件が
る以上は、企業価値を高めるため、引き続き積極的に投資
あることを前提としており、その前提に変更があれば、配当
に振り向け、株主の皆さまのご期待に応えたいと考えてい
性向見直しのほか、自社株買いなども検討していきます。
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NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK Report 2014
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最後に
多様な事業ポートフォリオがもたらす競争優位性
リーマン・ショック後、当社グループが生き残ることができ
広範な事業ポートフォリオは、時にコングロマリット・
たのは多様な事業ポートフォリオのおかげです。コンテナ
ディスカウントを招くこともありますが、幅広く商機をつか
専業の船会社はいまも需給ギャップに苦しみ、当社以上に
むためには欠かせない強みだと考えています。ニーズが多
業績は厳しい状況にあります。業績が低迷すれば投資もま
岐にわたる海運・物流業において、事業の一点集中は危険
まならず、成長戦略も描けません。一方、
当社は事業領域を
です。あらゆる輸送やその周辺事業をこなす力を常に持ち、
広く持つことで、投資に振り向けるキャッシュ・フローを捻
ネットワークを張り巡らせておくことが、大きな差別化に
出できています。もし、将来的にコンテナ専業の船会社が
つながると私は確信しています。
淘汰されていくようなことがあれば、より安定した条件で
コンテナ船事業を展開できるチャンスも巡ってくるかもし
れません。
変化の兆しを逃してはならない
社長就任後、最も辛い決断が増資でした。優良な投資案件
外部環境の移り変わるスピードがますます速くなる中、
を目の前にする一方で、株主価値の希薄化につながる増
変化の兆しにはこれまで以上に敏感にならなくてはなりま
資の決断には、私も相当悩みましたが、最後は、当社の成
せん。定点観測は、私の役目であり必要があれば新中計の
長によって株主の皆さまの期待に応えるという強い覚悟
修正も辞さない考えです。また、最前線にいる社員には、少
を持って踏み切りました。
しでも変化の兆しが現れたら、すぐに情報を上に向けて発
この増資によって、
良いタイミングで LNG 船や海洋事業
信してもらいたいと思います。そして、経営者と社員が一
に投資することができ、その結果、収益の柱に育てること
丸となってどうしていくべきかを一緒に考えていきます。
ができました。もし、あの時増資していなかったら、現在の
これは、当社グループが成長を続けていく上で最も重要な
競争優位性を築くことはできませんでした。
ことだと思っています。
NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA
NYK Report 2014
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CFO から皆さまへ
Our Message
バランスという観点は投資と配当という側面でも重要で、
安定的な配当を維持しつつ、将来のための投資を時機を
逃すことなく行っていきます。
代表取締役・専務経営委員
経営企画本部長
(チーフファイナンシャルオフィサー:CFO)
水島 健二
■ 前中期経営計画の総括
末の DER は、収支改善効果もあって 2011 年度末の 1.84 倍か
Q 2013 年度の経常利益 584 億円を
ら1.72 倍へと改善しました。新中期経営計画の最終年度にあ
どう評価していますか。
たる 2018 年度末までに 1.0 倍とする考えです。
期初見通しの 400 億円を上回り、2012 年度比で 406 億円の増
益となりました。円安などの外部要因に加えコスト削減に注
力した結果、前中期経営計画「More Than Shipping 2013」の
Q 2013 年度は投資キャッシュ・フローが
プラスとなりましたが、その背景は何でしょうか。
3 年間を締めくくる年度として、相応の数字を達成できたと評
期初の時点では 1,000 億円強のキャッシュ・アウトを想定して
価しています。ただ、前中期経営計画で当初掲げていた経常
いましたが、上期が終わった段階でプラスに転じました。これ
利益目標 750 億円が未達となった点は真 に反省しなくては
は投資を絞ったということではなく、オフバランス化が進んだ
なりません。
ためです。当初自前で保有、つまりオンバランスでの調達を考
経常利益の中身を見てみると、運賃安定型事業で約 1,100
えていた船舶を、用船またはリースなどへ切り替えていくこと
億円の利益を上げたのに対し、市況に左右されやすい運賃非
ができたことによります。
安定型事業では約 550 億円の損失となりました。安定利益は
想定していた 800 億円よりも上積みできましたが、逆に運賃
■ 新中期経営計画における投資・財務戦略
非安定型事業で想定以上に損失が膨らみました。この損失を
Q 新中期経営計画における投資戦略の特徴を
できる限りミニマイズさせていくことが今後の課題です。
教えてください。
新中期経営計画では 5 年間で総額 7,900 億円の投資を計画し
* 詳細な業績については、P.26 をご覧ください。
ています。長期契約により安定的なリターンが見込める LNG
Q 足元の財務基盤をどう評価していますか。
船や海洋事業の分野がその約7割を占める予定です。ボラティ
この 3 年間で、有利子負債が約 1,700 億円増加しましたが、こ
リティの高いコンテナ船やドライバルカーについては市況が
れは長期資金を2012年度に前倒しで調達したためです。市況
大きく下がった時でも柔軟に対応できる体質にするため、
ライ
回復が見通しにくい中、万一の事態に備え、手元資金に余裕
トアセット化を進めていきます。堅調な輸送台数が今後も見
を持たせることが目的でした。セントラル・ファイナンス体制
込まれる自動車船は、更新投資を中心に、競争力を強化して
も整い、有利な条件で調達したこの資金を、それぞれの船舶
いく考えです。
投資へうまく振り分けることができたと思います。2013 年度
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運航規模・投資計画
(隻数)
① MTS2018*1
策定時
2014 年度末
(計画)
2016 年度末
(計画)
② 2018 年度末
(計画)
増減
① vs ②
99
74
119
95
70
120
85
65
125
85
65
125
−14
126
97
164
48
120
95
165
45
110
90
165
45
100
85
165
45
−26
77
67
79
876
75
70
70
855
70
70
65
825
70
100+α
60
835+α
−7
33+α
−19
−41+α
27
28
30
34
7
368
385
400
425
57
コンテナ船
うち長期固定船隊
自動車船
−9
6
ドライバルカー
ケープ *2
ポストパナマックス・パナマックス *3
4
ハンディ *(含むボックスシェイプ型)
チップ船
−12
1
−3
リキッド
タンカー(油槽船)
LNG 船(含む共有船他社持分)
その他船舶(在来船、冷凍船など)
合計
主な持分法適用会社の運航船
シャトルタンカー(KNOT)
コンテナ船運航船腹
Space Provision(万 TEU)
■ ライトアセット化 ■ 重点投資 *1. MTS:More Than Shipping *2. 12 万重量トン以上 *3. 6 万重量トン以上 12 万重量トン未満 *4. 6 万重量トン未満
Q 今後の財務戦略について教えてください。
ぞという時には負債レバレッジが一時的に高まっても投資す
優良な投資案件は依然として多く、今後も資金需要は旺盛で
ることはあり得ます。ただ、各部門で環境も異なりますので、
す。まずは手元資金を活用し、追加で資金調達の必要が出て
アクセルとブレーキの踏み方は、これまで以上に慎重に考え
きた場合に、有利な調達ができるよう、財務の健全性の維持・
ていきます。
強化に引き続き努めます。
2014 年度末の有利子負債は、2013 年度末の 1 兆 2,419 億円
戦略的な投資から営業キャッシュ・フローを伸ばし、積み上
自己資本は収
から1兆1,100億円と改善する見通しです。一方、
げた利益で自己資本を増強し、
そのうえで有利子負債を圧縮し
支改善に伴い 7,202 億円から 7,400 億円と堅調に伸び、その結
ていく方針は変わりません。そのためには活用されていない資
果、DER も1.72 倍から1.50 倍へとさらに改善する見込みです。
産の売却も進めていきながら、フリーキャッシュ・フローは黒
字を維持していく考えです。一方で、海運ビジネスでは、アセッ
■ 次期業績見通しほか
トへ投資しないと利益を伸ばせない側面も併せ持つため、
ここ
Q 2014 年度の業績見通しについて教えてください。
2014 年度は売上高 2 兆 3,160 億円(前年度比 787 億円増)、経
財務状況
(億円)
(倍)
15,000
3.0
、当期純利益 350 億円(同 19
常利益 700 億円(同 115 億円増)
億円増)を予想しています。為替は 100 円/ドル、燃料油価格
は 640ドル/トンを前提としています。保守的という声も聞こ
10,000
2.0
えますが、ドライバルカーやタンカーの市況は、前年度を上回
るといっても飛躍的に上がるわけではありませんし、コンテナ
5,000
1.0
船市況は、逆に少し軟化することが予想されるなど、決して楽
観視できるような状況にはありません。
また、前中計で注力してきた運賃安定型事業ですが、その利
0
12
■ 有利子負債(左軸) 13
DER(右軸)
14
(予想)
16
(計画)
18
(計画)
0
益成長は当面横ばいとなる見込みです。これまで投資した案
件が収益に貢献してくる一方、
既存契約が満了となる案件も出
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CFO から皆さまへ
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てくるため、運賃安定型事業の利益がすでに達成した 1,100 億
Q 借入の方針について教えてください。
円以上を超えて大きく伸び上がるのは、2018 年度以降になる
現在、固定借入が6割、変動借入が4割となっています。今後も、
と見ています。したがって、それまでは運賃非安定型事業での
金利動向をにらみながら、バランスよく織り交ぜていく考えで
マイナスをミニマイズし、さらにそれを黒字転換していくこと
す。また、調達する通貨も有利な条件であれば円建てではな
が重要な課題となります。
く、外貨建ての割合を増やしていきます。当社の通貨割合は、
収入では連結で見て外貨建てが8割を占める一方、費用側は7
割どまりで、まだまだ為替リスクが内在しています。費用を構
運賃安定型事業の利益推移(イメージ)
成する中の資金調達部分も円建て 7 割、外貨建て 3 割と、その
億円
観点からアンバランスな状態とも言えます。為替動向を注視
契約満了案件
したうえで、将来的には、収入と調達サイドの為替のミスマッ
1,100
チも無理のない範囲で修正していくことも考えています。
新規案件寄与
13
年度
18
Q 投資判断のポイントを教えてください。
営業部門の先にいるお客さまをよく知ることです。財務部門
には、リスク分析や財務分析と同じくらい、営業部門とのコ
Q コスト削減の方針・見通しについて教えてください。
ミュニケーションを意識するよう指示しています。地政学的リ
2013 年度は 257 億円のコスト削減を達成しました。期初の時
スクやカントリーリスクなどは、どう動くか誰にも予想できま
点では300億円を計画していましたが、運航船の一部で速度を
せんが、どこまでリスクを許容できるか、営業部門と一緒に
上げる必要が生じたため、燃料費が嵩み、未達となりました。
なって財務部門も悩み、できる限り情報を集め、双方がそれを
今後もこの燃料費削減はコスト削減の柱となります。
持ち寄り、総合的に投資を判断するようにしています。
前中計で 2010 年度比 10% を達成した燃料費削減につい
また、
日常的な議論とは別に、採算を検討する会議や投融資
て、新中計では同15% の改善に取り組みます。年間約3,000億
を判断・決定する委員会があり、マネジメント層に加え、営業、
円かかる燃料費に対し、10% 改善で300億円、15% 改善で450
財務、企画部門が集まって議論を交わします。全体の投資計画
億円となり、150 億円近いコスト削減を上積みする計画です。
とのバランスや、今年、来年、5 年後の見通しなどを踏まえ、投
2014 年度は、定期船 150 億円、不定期船 40 億円、合計 190
資の是非を判断しています。こうした、投資決定に関わるガバ
億円のコスト削減を計画しています。定期船は、燃料費削減
ナンスはしっかり機能していると考えています。
のみならず、船隊のライトアセット化とコンテナのイールドマ
バランスという観点は投資と配当という側面でも重要で、
ネジメントによるコスト削減効果も見込んでいます。不定期
安定的な配当を維持しつつ、将来のための投資を時機を逃す
船のコスト削減はすべて燃料費削減によるものです。
ことなく行っていくということだと考えています。
2013 年度コスト削減
(億円)
前年度比増減
円安
244
燃料油安
海運市況変動
コスト削減
その他
合計
22
84
2013年度:99.75円/$、17.42円円安
2013年度:$624.11/MT、
$49.16/MT安
–238
257
定期船部門212
59
406 2014 年度(計画) 190 億円
・定期船
・不定期専用船
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150 億円
40 億円
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