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貿易自由化前夜のフランス綿工業 ------------- -

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貿易自由化前夜のフランス綿工業 ------------- -
羅濟 論 叢
第130巻
第1・2号
1
本
勲
日本 曹 達 の 工 場 展 開 ・
・
… ・
… … …… … … ・
・
… ・・
・
・… 下
谷
政
弘
資 本 の 国 際 化 の 方 法 的 模 索(上)…
… ・
・
・・
… … ・
・… 奥
村
和
久
貿 易 自由化 前 夜 の フ ラ ンス綿 工 業 … … … … … … 清
水
克
洋
レ ー ヴ ェ 社 に お け る 工 場 管 理 ・… … … … … … ・
… ・
幸
田
亮
一
1
2
販 売 過 程 と マ ー ケ テ ィ ン グ 過 程 … … ….… … ・… ・
橋
0
5
2
7
7
9
昭
和57年7・8月
:東郡 内 學 経 …
齊學 會
(97)97
レ ー ヴェ社 に お け る 工 場 管 理
一
策1次 大 戦 前 ドイ ツ機 械 工 業 の発 展 と工 場.改革(2)一
幸
は
.前 編Dに お い て,ド
じ
め
亮
田
に
イ ツ 資 本 主 義 の 帝 国 主 義 へ の 転 化 期 に,ド
イ ソ機 械 工 業,
そ の 中 で も最 も重 要 な 位 置 を 占 め た 工 作 機 械 工 業 に お い て 急 速 な 発 展 が 見 ら れ
た こ と,そ
し て,そ
の背 後 に個 別資 本 レ ベル で大 幅 な工 場 改革 が行 わ れ た こ と
を レ ー ヴ ェ社LudwigLoewe&Co.A.一G.,Berlinを
取 りあ げ,ま
ず は機 械
体 系 に 関 し て そ の 内 容 を 明 ら.かに し た 。 こ の 機 械 体 系 の 変 化 に と も な い,工
を構 成 す る3契
機 の う ち,残
りの2契
機,す
場
な わ ち 労 働 力 編 成 ・統 轄 と工 場 記
帳 制 度 も大 幅 な変 化 を 示 した。 そ の 具体 的 内 容 を 検 討 す る のが 本 稿 の課 題 で あ
る。
1労
1内
働 力 編 成 ・統 轄
部請負制
19世 紀 中葉 か ら20世 紀 初 頭 の 各 国 の機 械 工 業 に お い て,労 働 力 の統 轄 形 態 と
して いわ ゆ る 内部 請 負 制 が 広 汎 に見 出 され る2)。 これ は 労 働 手 段 と して 反 応 系
1)拙
稿 「ドイ ツ機 械 工 業 の発 展 と レ ーヴ ェ社 新 工 場 一
策1次
大 戦 前 ドイ ツ機 械 工 業 の 発 展 と工
場 改 革 〔1}一 」 『経 済 論 叢 』 第129巻 第6号,⊥982年,参
照。
2)ア
メ リカで も内 部 請 負 制 は 広 汎 に 採 用 され て いた.従 来,こ れ が あ ま り認 識 され て こ なか った
1つ の 理 由 は,「 この制 度 は あ ま りに も広 く採 用 され て お り,当 時 の 人 々は そ れ につ い て と りた
て て言 及 す る必要 が な い と考 え た か ら」(D.Claw50n,BureaucracyandtheLaborProcessTheTransformationofU.S.Industry1860-1920,NewYork1980,p.75)で
あ った 。
ア メ リカの 内部 請 負制 に 関す るわ が 国 で の最:近の研 究 と して,塩 見 治 人 『現 代 大 量 生 産 体 制 論
一
そ の成 立 史 的 研 究 一 』 森 山 書 店 ,1978年
が 優 れ て い る。 イ ギ リスに 関 し て は,徳 永 重 良
rイ ギ リス賃 労 働 史 の研 究 』 法 政 大 学 出 版 会,1967年,第3章
を参 照.な
お,19世
紀 中 葉 の,/
98(98)第130巻
第1・2号
で は な く機 械 糸 冨)を用 い,熟
い.
作 業 の 統 制 を 大 部 分,熟
練 の 余 地 が 極 め て 大 き か っ た 機 械 工 業 に お い て は,
練 労 働 者 に 委 ね ざ る を 得 な か っ た 事 態 か ら生 じた も の.
で あ る 。 ドイ ツ に お い て も これ は 中 間 親 方 制Zwischenmeistersystem,請
方 制Akkordmeistersystemと
呼 ば れ,ま
轄 制Meisterwirtschaftと
た こ の 管 理 形 態 の 総 称 と.して 親 方 統
い う言 葉 が 使 わ れ て い た4)。
レ ー ヴ ェ社 に お い て も,創
立 以 来 この 内 部請 負 制 が採 用 され て い た。 内 部 請
負 制 に は 種 々 の 形 態 が 見 ら れ る が,レ
ら れ て い た 。 ま ず 第1に,機
械,工
工 あ が り の 請 負 人Unternehmerに
工 具,作
負親
ー ヴ ェ社 の 場 合 に は2重
具,鋳
造,木
型 の4製
よ り 請 負 わ れ,会
業 場 な ど の 生 産 手 段 を 提 供 し,他
方,請
の請負形態が と、
造 部 が そ れ ぞ れ 熟 練
社 は 彼 ら に 機 械 や 材 料,
負 人 は 自 ら労 働 者 な ら び に 事
務 員 を 調 達 し た 。 こ の た め 会 社 が 自 ら 関 係 し て い た の は 購 買 面 の み で あ り,80
年 代 半 ば に お い て 労 働 者 数 は1000名
を 越 え て い た の に,わ
ず か6∼8名
を 擁 し て い た に す ぎ な か っ た と 言 わ れ て い る 。 第2に,請
組 長KolonenfUhrerと
の職 員
負 人 は レ ー ヴ ェ社 で
呼 ば れ る 熟 練 労 働 者 に 仕 事 を 請 負 わ せ,こ
の組 長 は仕
上 組 や 旋 盤 組 な ど の 作 業 単 位 を 統 轄 し た 。 彼 は 請 負 給 で 仕 事 を 引 き 受 け,そ
れ
を 彼 の 配 下 に あ る 労 働 者 に 出 来 高 給 で 行 わ せ た 。 こ の 組 長 と呼 ば れ る 部 類 が 本
来 の 内 部 請 負 親 方 に あ た る も の で あ り,労
計 算,人
働 監 督 や 賃 率 設 定,作
事 面 で の 広 汎 な 権 限 を 有 し て い た5)。
こ こ で は,労
高 給 と 組 長 の 請 負 給 と の 差 額 が 組 長 の も の と な る た め,彼
業 計 画,原
価
働 者 へ 支 払 う出 来
は で きる 限 り労働 者
\ 機 械 工 業 と密 接 な 関 連 を もつ ドイ ツ電 機 工 業 にお け る 「職 長 経 営 」 に示 され る人 事 ・労 務 管 理 の
実 態 とそ の変 容 過 程 を明 らか に した もの と して,今 久 保 幸 生 「ドイ ツ電 機 大 経 営 の人 事 ・労務 管
理 」 『経 済 論 叢 』 第125巻 第1号,1980年,同
『佐 賀 大 学 経 済 論 集 』 第13巻2号,1980年
「 ドイ ツ電 機 工 業 に お け る労 資 関係 の形 成 と変 容 」
を参 照 。
3)こ
こ で は,概 念 のあ い まい な 「組 立 工 業 」 と 「進 行 工 業 」 とい う区 別 は用 い な い.「 工 業}ま…
・・
基 本 的 には そ こ で用 い られ る労 働 手 段 が 機 械 糸 で あ るか 反 応 系 で あ るか に よ って,機 械 的工 業
と装 置 工 業 に集 約 され る(中 村 静 治 「大 量 生 産 と大 量 生 産 方 式(体
第67号,1980年,同
4)Vgl.L.Bernhard,D㌍
制)の
概 念 」 『エ コ ノ ミア 』
『現 代 資 本 主 義 論 争 』 青 木 書 店,1981年 所 収,203ペ
ー ジ)か らで あ る。
五 髄oプ面 アろθか
じ 助Dθ 漉5`ん1απ4Leipzig1903.S.178ff.,D.
Laude,"Arbe虻s・undLQhnverhalt且isseinderBerlinerMaschine皿industriezuBeginndes
20.Jahlhunderts,画,&流
唄 留zゐ5伽oJ7z5ノ
彦γ30廓 β砂oZが認ん,Bd,133.1910.S.328仔.
5)H.Reichelt,D言8Arろ
θ舵 π σ1威 罐 ∬θ 碗 颪π8沸88漉
8痂 π伽 ∫`彦θ,Berlin1906,S.43ff.
艦Grqβ
う8師 θう ぬr八 面 ∬勉 π一
レーヴェ社 におけ る工場管理(99)99
の 出 来 高 給 を 切 り下 げ る よ う 努 め,こ
こ に 「資 本 に よ る 労 働 者 の 搾 取 が ・
・
・
…労
曲.
働 者 に よ る労働 者 の 搾取 を媒 介 と して 実 現 され る」5)事態 が 見 出 され るわ け で
あ る。 こ こで は,労 働 に対 す る資 本 の 専 制 的 指 揮 権 は 間 接 的 に しか 貫 徹 して い
な か った。
この親 方統 轄 制 の下 で の度 々の 出 来 高 単 価 の 切 り下 げ は,労 働 者 の側 で の そ
の 対 応 策 と して い わ ゆ る組 織 的 怠 業 を引 きお こ し,生 産 性 の停 滞 を まね いた7)。
他 方 で の先 に見 た よ う な19世 紀 末 の ア メ リカ機 械 製 品 の ドイ ツ市 場 へ の強 力 な
進 出は,個 別 資 本 に とって 製 品 の質 的 向上 と原 価 切 り下 げ を最 大 の課 題 と した。
こ こ に,前 編 で見 た よ うな新 た な機 械 体 系 を技 術 的 土 台 と して管 理 改革 が 促 進
され る の で あ る。
レ.一ヴ ェ社 にお い ては,改 革 の端 緒 と して,1888年
に それ ま で数 名 の請 負人
に よ り管 理 され て いた 製 造 部 門 の管 理 方 法 を 改革 した。 す な わ ち,製 造 部 門 を
武 器(大 量 生 産)部
門,工 作 機 械 部 門,「 「具 部 門 に再 編 し,そ の頂 点 に 部 門 長
を配 置 し,ま ず 請 負 人 を排 除 した.同
時 に膨 大 なM88型
小銃 の 受 注 を契 機 に 武
器 製 造 新 工 場 が建 設 さ れ,多 数 の新 た な 労働 者 が 必要 とな った が,熟 練 労 働 者
が 不 足 す る とい う状 況 の下 で,機 械 製 造 に 無縁 な 労働 者 が 数 多 く採 用 され る こ
とに な った。 これ らの非 熟 練 工 は,多 数 の 最新 の 大 量 生 産 用 工 作 機 械 に配 置 さ
れ,こ
れ らの 「武 器 部 品製 造 に 必要 な 機 械 類 は 部 品 が1つ
の加 工 の後,直
ちに
次 の 労働 者 へ 渡 る よ うに」8),いわ ゆ る直 列 大 量 生 産 型 に 編 成 され た 。 こ こでは
銃 器 生 産 の 持 つ 互 換 性 大 量 生 産 とい う特 性 か ら,い ちは や く生 産 の特 化 が 行 わ.
れ,熟 練 労働 者 の 不熟 練 労 働 者 に よ る大 幅 な代 替 とそ の作 業 内容 の限 定 とが 見
られ,統 轄 形 態 に お い て 内部 請 負 制 も会 社 職 長 制 へ 転 換 して い った の で あ る。
この経 験 は 後 に,機 械 製 造 用 新 工 場 設 立 に際 す る労 働 力統 轄 形 態 の再 編 に利 用
6)マ
ル ク スr資
本 論 』 第1巻rマ/レ
タ ス=エ
ン ゲ ル ス 全 集 』 第23巻(以
下r資
ペ ー ジ。
7)H.Reiche1し,α.α.α,$,87,
8)L屈zu.Lo剛
Be∬
θ&Co.A.一(;.inBerlin,D8π
θ肋 ∫derGesellschaj『`,Berlin1895,S,8.
々∫chriftausAnlassdes25jdhrigen
本 論 』 と略),719
100(100)第130巻
第1・2号
さ れ る。.
2労
働 の質的変化
ラ イ ヘ ル トの 調 査 に 基 づ く表 を 部 門 別 に 整 理 加 工 した 第1表
か ら,1905年
当
時 の レ ー ヴ ェ社 の 新 工 場 に お け る 部 門 別 労 働 者 の 配 置 と構 成 を 知 る こ とが で き
る 。 労 働 者 が 最 も集 中 し て い る の は 機 械 ・工 具 製 造 部 と鋳 造 部 で あ る が,そ
構 成 に は 大 き な 相 違 が 見 られ る.。機 械 ・工 具 製 造 部 で は 熟 練 工,半
率 が 大 き い の に 対 し,鋳
き い 。 し た が っ て,こ
の
熟 練 工 の比
造 都 で は 全 くの 不 熟 練 工 で あ る補 助 労 働 者 の 比 率 が 大
の 表 は 労 働 力 の 統 轄 上,機
械 ・工 具 製 造 部 が い か に 重 要
で あ る か を示 し て い る。
機 械 ・工 具 製 造 部 の 労 働 者 の 職 種 は,第1表
工 か ら成 る 熟 練 工 と,す
で 見 た よ う に,仕
検 査 工,画
工,塗
平 削 工,多
く の フ ラ イ ス エ か ら成 る半 熟 練 工,さ
上 工 や 旋 盤 工,
べ て の 中 ぐ り工 や 大 部 分 の 研 削 工,
ら に.残
従 事 す る不 熟 練 工 か ら構 成 さ れ て い る。 し か し,こ
りの主 に搬 送 作 業 に
の ラ イ ヘ ル トの 分 類 は,と
りわ け 旋 盤 工 を 全 て 熟 練 工 に 分 類 し て い る 点 で 不 十 分 と考 え られ る 。 と い う の
は,こ
の 時 期 に は す で に,旋
盤 工 の 中 で も徒 弟 教 育,職
業 教 育 を 受 け て い る熟
練 旋 盤 工 と そ れ を 受 け て い な い 半 熟 練 工 と の 区 別 が 存 在 す る か らで あ る。 第1
の 熟 練 旋 盤 工 に つ い て は 大 略,次
の よ う な 特 徴 づ け が 行 わ れ る 。 す な わ ち,
「自 身 で 彼 の 旋 盤 を 操 作 す る。 つ ま りそ れ を 調 節 し,工
具 と材 料 を 固 定 し,必
要 な 測 定 作 業 を 行 い,自
分 で 切 削 速 度 を コ ン ト召 一 ル す る 。 さ ら に 自分 の 機 械
の か な り複 雑 な 修 理,工
具 の 保 守 を 自身 で 行 わ ね ば な ら な い 。 こ れ ら の 仕 事:は
旋 盤 工 に そ の 知 的 能 力 と熟 練 を 多 大 に 要 求 す る し,十
な 判 断 を も必 要 とす る 。 そ れ ゆ え鉄 加 工 業,機
分 な 事 前 の段 取 りや 適 切
械工 業 にお い て 旋 盤 工 は もっ と
も知 的 な 労 働 者 で あ る」9)と。 こ れ に た い して,第2の
半 熟 練 旋 盤 工 には 部 品 の
大 量 生 産 に 従 事 す る タ レ ッ ト旋 盤 工 や 自 動 盤 工 が 含 ま れ る が,こ
れ らに お い て
は,そ
熟 練工 は これ
の 段 取 りや 調 節 は 熟 練 旋 盤 工:や仕 上 工 に よ っ て 行 わ れ,半
.9)F.Wolte■s,1万
割
興
。,、ん蹴
ε 四 擁 ∫cん雌
襯4伽
伽
♂
励8β
β4♂㍑勧 π94σ
・∬ ん・Werたzeugma・
診
θo伽 ガ∫`んθπEπ`㎜
・伽
瞬
・画
幅E・1・
曜
襯9虚r備rん
・
培 ・n1914・S・
一
⊥04一
第1表
蟹 製造部
職
長
熟
練
工
26木
仕 上 工
290
旋 盤 工
144
画 ・塗 工
11
部
長1
職
長3
工42
鋳 型 工 ユ35
塗 研.工23
鍛
職
造
部
施
設 部
不 明 そ の他
職.長3
長1
鍛 治工
焼 入れ工}・ ・
大
職
工
長1
計
35
ユ6
ブ リキ エ3
ベ ル トェ3
左
フ ラ イ ス エ34
中 子 丁:28
削
中 子 女 工12
平
削]二20
中
ぐ リ ェ51
工33
官
719
「3
86
1
工8
よ そ)270
d
C
52
工
習
5
見
2
5
3
貝 術 者夫
備
警門 御 火
池
25
3
b(紺
a
不 熟 練 工
(補 助 労 働 者)
の
造
研
女
そ
型
鋳
部門別職種構成表
一 戦 H洋 甲
μ暫 耳 餌][舘峨 醐
半 熟 練 工
(一 部 熟 練 工)
木型製造部
・・1職
検 査 工
レ..ヴ ェ社1905年
67
643十a
㈱
諜 濫 読
慮r捌
㎜
αL髭
43十b
、._環.、
面
・Loewe&(影
不 熟 練 工 に つ い て は,「
鋳 型 工!人
(お よ そ)471
、
撒
_轍
・A.一(三,Berlin,Berlin1910の
が2人
24十c
43十d
励_ 531,332
__ 。
葺
叙 述 を も と に 分 類.
の 補 助 労 働 者 を 用 い る 」(H.Reichelt,a.a.(),S.45)に
よ り分 類 。
巨
102(102)第130巻
第1・2号
ら の 機 械 の 監 視 と 単 純 な 操 作 の み を 行 う の で あ る1ω 。.
ヒ
旧 来 の 旋 盤 工 の 両 者 へ の 分 化 は,と
行 う 工 場 で も っ と も 明 瞭 で あ り,レ
りわ け ミ シ ン や 自 転 車 な ど の 大 量 生 産 を
ー ヴ ェ 社 に お い て も武 器 製 造 工 場 で こ の 分
化 が 進 ん で い た こ と に つ い て は 先 に 見 た 。 こ の 傾 向 は 機 械 製 造 部 に お い て も新
工 場 へ の 移 転 に と も な う,注
文 生 産 か ら特 定 機 種 の 見 込 生 産 へ の 転 換 に よ っ て
加 速 化 さ れ た 。 新 工 場 で は,タ
レ ッ ト旋 盤 工 な ど の 半 熟 練 工 の 職 能 が 特 化 し た
だ け で は な い 。 注 目す べ き は,い
や 機 械 修 理,検
ま や 本 来 の熟 練 旋 盤 工 の有 して い た 工 具 保 守
査 な ど の 職 能 が,そ
れ を 専 門 とす る 職 場,労
熟 練 工 の 職 能 自体 も 限 定 さ れ て き て,こ
働 者 に 分 離 され11),
こに 労 働 者 全 体 の機 械 へ の付 属 物 化 が
い っ そ う進 ん で い る こ と で あ る。
こ こ で,労
働 者 の 職 種 別 賃 金 格 差 を 示 す 第2表
年 時 点 で の 名.職種5名
を 見 て み よ う。 これ は,ユ902
だ け を 取 り あ げ た も の で あ り,先
に触 れた よ うな 旋 盤工
や 仕 上 工 の 内 部 で の 分 化 に つ い て は 明 瞭 で な い と い う制 約 は あ る も の の,年
給
と 日 給 を 合 わ せ て 考 慮 に 入 れ る こ と に よ り,一 方 で の 熟 練 工 た る鋳 型 工 や 旋 盤
工,鍛
冶 工,仕
上 工 と他 方 で の 不 熟 練 工 た る手 作 業 労 働 者 を 両 極 に して,そ
の
中 間 に 中 子 工 や フ ラ イ ス エ の 半 熟 練 工 が 位 置 す る こ とが 明 らか で あ る 。
以 上 の 職 種 構 成 と そ れ ら の 間 の 賃 金 格 差 の 事 実 は,熟
練 工 を で き る 限 り半 熟
練 工,不 熟 練 工 に よ り代 替 す る こ と,ま た,そ れ が で き な い と こ ろ で の 熟 練 工
層
に 対 す る厳 密 な 指 揮 ・統 制 とい う こ とが,資 本 に と っ て い か に 大 き な 意 味 を も
っ て い た か を示 し て い る 。
3内
部 請 負 制 か ら会 社 職 長 制 へ
労 働 の 質 的 変 化 に と も な い,新
工 場 の設 立 と同 時 に工 場 全体 で の 統轄 形態 も
内 部 請 負 制 か ら会 社 職 長 制 へ 移 行 し た 。 機 械 ・工 具 製 造 部 に お い て は,か
旋 盤 組,仕
上 組 な ど の 単 位 が 組 長 に よ っ て 統 轄 さ れ て い た の が,第1図
って
に示 さ
10)Eゐend..S.49.
11)F.Wegeleben,DieRationalisierungimDeutschenWerkzeugmaschinenbauindu∫
. D記rg63置
θ∼♂
ρ α珊Bβ
」5少
ガ
θ」66ゴL2`4即
智Loβ
割 θ&Co.且.一G.B,,&,,,Be■lin1924,S.55.
醒8
第2表
レー ヴ ェ社 にお げ る職 種 別 賃 金 格 差(1902年)
鷲 覧囎 鰍 購 駅 鷲駅 贈 鰍 舗 窺駕
AfA2A3A4A5
鋳
型
工
鍛
治 工
2781,9547.0286.1,6575.82791,6385.92791,8036.512871,9056.62821,7916.4
仕
上 工
3002,2297.42601,6596.42851,5945.62991,4274.812992,0827.02891,7986.2
旋
盤 工
2992,0406.82961,8996.42961,8696.32981,7336.82952,0135.82971,9106.4
木
型 工
2941,9056.52931,5235.21741,0796.22911,9276.62921,8136.22691,6496.1
295亀
∼9806、72332,1009.02681,5025.62971,6795.72922,3568.12771,9237.0
BユB2BaB聾B5
1 窪 目洋 π 誘耳 酬][甑 嘩
CIC2C3C4CS
DエDeDaDaD,
E↓E2E3E些E5
F,FzFsFnFs
中
子
工2119594.63031
,9526、42952,0306.92801,4185.1109.3923.62401,3505.4
G,GzGsGaGs
フライ ス エ
2941,8256.22178804ユ2961,6235.52991,3704.611016806.724112765.4
o
HLH巳H5H4
手作業労働者
2841,0913.833617475.23211,4994.713221,3814.3
出 所)H.Reicheit,α.σ,0.,S.132f.
Hs
3221,9886.23171,5414.8
墓
機 械,工
ドO恥
第1図
具 製 造 部 の 組 織
(日O軽)
工 具 製 造 部 の 組 織(1907年)
機 械 製 造 部 の組 織(・9・7年)'
睦.
一1
.大
一2.小
一3
一4
.大
.小
型平削職場
型 ・平
削
〃
型 フライス削職場
型 フ ライ ス削
.円
筒 フ ライ ス削
_6
.垂
直 穿 孔"
〃
糖
一7.水
平.穿 孔
一12
.チ
一13
..歯
一14
一15
出 所)J.111i巳n[haL仏
ャ ッ ク 加 工
切
〃
り.〃
ジ.切 り
.タ
レ ッ ト旋 削"
立
α.σ.S.47,92..
一3
.フ
レ ッ ト〃
ラ イ ス 削"
一4・
陥
研 削"
一5 ..平 面 研 削
〃
rご ∵ 三
耀∴
一9
一10
,ネ
.組
動 旋 盤,タ
〃
〃
一11
.見
習
工
〃
,つ
や 出 し
〃
.圧
断
〃
H .い⊃
室
算
計
.
一11
蜜
削 職 場
.自
強
長
門
都
騰 蝋1:
〃
.旋
一2
一qQO 齋
室
術
技
一5
〃
一1
レーヴ ェ社 におけ る工場管理(工05)105
れ る よ う な 新 し い 形 態 に 再 編 さ れ た 。 機 械 製 造 部 は15の 職 場 か ら,工
具製造部
セ
は11の 職 場 か ら 成 り,こ
る と 同 時 に 技 術 室,計
こ で の 職 場 は,ラ
イ ン 監 督 者 た る 職 長 に よ り統 轄 さ れ
算 室 の ス タ ッフ部 門 として の位 置 づ け も明瞭 で あ る。 か
つ て の 組 長 が 有 し て い た 出 来 高 賃 率 決 定 権 は,い
.職 員 の 手 に 分 離 さ れ,ま
りわ け,レ
ま では 熟 練 工 あが りの特 別 の
た 作 業 計 画 もす べ て 技 術 室 の 仕 事 と な った 。 ま た,と
ー ヴ ェ 社 の 特 色 と し て 指 摘 さ れ て い る 厳 密 な 検 査 制 度 の も と で は,
職 長 は い っ さ い 検 査 に 関 与 で き な く な っ て い る12>。 こ の こ と は 先 の 第1表
長 の 数 と検 査 工 の 数 が 同 一 で あ る こ と,す
な わ ち,各
職 場 ご と に1人
が 配 置 さ れ て い る とい う事 実 に 端 的 に 示 さ れ て い る 。 さ ら に,中
て 行 っ て い た 原 価 計 算 の 職 能 も奪 わ れ,計
や,技
術,事
の検査工
間親 方 が か っ
算 室 の 職.員 の 仕 事 とな っ た13)。 い ま
務 職 能 は 大 幅 に ス タ ッフ 部 門 に 吸 収 さ れ,か
も と で の い わ ゆ る成 行 管 理 は,ラ
で職
っての親方統轄制 の
イ ン ・ス タ ッ フ 制 の も とで の 合 理 的 管 理 に と
っ て 代 わ ら れ た の で あ る1%
機 械 ・工 具 製 造 部 で は 以 上 の 傾 向 が 見 ら れ た が,ラ
製 造 部 と鋳 造,鍛
イ ヘ ル トは,機
械 ・工 具
造 部 そ れ ぞ れ の間 に統 轄 上 の差 異 が 見 出 され る と指摘 して い
る 。 そ の 要 点 を 整 理 す れ ば,と
く に 賃 率 決 定,賃
金 配 分 を め ぐ っ て,か
っての
中 間 親 方 制 の も と で の 組 長 の 力 に 類 似 で で き る よ う な 職 長 権 限 の 強 さ とい う事
12)Vgl."SomeMethodsendCharacteristic.ofaBerlinToolShop"AmericanMachinist
と3,190じ,p.859f.,F,Wegelebeu,α.α,0.,S.57.
13)Vgl.H.Reiche比,α.α.α,S.60f.
14)内
部 請 負 制 度 の 下 で は 労 働 者 は 親 方 を 通 じ て 出 来 高 給 を 受 け と っ て い た の だ が,そ
賃 金 支 払 面 で も大 き な 憂 化 が 見 ら れ る 。 ま ず,時
次 に,当
時 ア メ リ カ,イ
ギ リス で 考 察 さ れ て い た 割 増 賃 金 制 の 導 入 が い ち 早 く試 み ら れ た 。 そ れ
は シ 山 レ ジ ソ ガ ー が 訪 英 し,ロ
・'の
の廃 止 後 は
間 給 の 導 入 が 試 み ら れ た も の の う ま くい か ず,
ー ワ ソD.Rowanか
ら 学 ん で き た もの で あ り.レ
ー ヴ エ ・コ ン
ツ ェ ル ン 傘 下 の 機 械 会 社 で い っ せ い に 採 用 さ れ た 。 し か し,結
果 は か ん ば し く な く,ス
を と も な っ た 労 働 者 の 反 発 を く ら っ て 数 年 後 に は 徹 回 さ れ,再
び 出来 高 給 制 度 に落 ち着 い た。 こ
トラ イ キ
こ で 注 意 す べ き は,こ
れ は か っ て の 内 部 請 負 制 の 下 で の そ れ で は な く,資 本 が 直 接 把 握 す る下 で
出 来 高 給 制 度 で あ り,レ
ー ヴ ェ 社 で ば そ の 後,賃
金 の 統 制 を め ぐ り,後
に 触 れ る よ う な 作 業
研 究 も含 め て 体 系 的 な 研 究 が 行 わ れ て い く の で あ る 。Vgl.C.Matschossu.G.Schlesinger.
Ludw.Lo,,"&(わ.ActiengesellschaftBerlin1869一
Lo8曜
エ929,Bel]in1930(以
下60西
と略)S.133ff,,F.Wegeleben,α.α.0.,S,148f.,F.Schulte,肋E瞬
methodeninderBerlinerMaschinenindustrie,Berlin1906,S.66,ま
工 業 に お け る 近 代 出 来 高 制 の 成 立 に つ い て 」r武
加 θ
δ伽 襯g∫ 一
た,今
蔵 大 学 論 集 』 第16巻,4,5.6号.1969年
野登
「 ドイ ツ
参 照.
106(106)第130巻
態 が,鍛
第1・2号
造 部 に お い て も っ と も強 固 に,ま
た 鋳 造 部 で もか な り の 程 度 で 見 られ
ゆセ
る が,機
械
・工 具 製 造 部 で は 全 く 見 ら れ な い ユ5),と
た し か に,労
い う こ と で あ る。
働 過 程 の 相 違 とい う こ と も あ り こ の よ う な 指 摘 は 一 面 で は 正 し
い 。 し か し,他
方 で,賃
い る と い う 事 実,ま
金 計 算,原
た,前
価 計 算 な ど の 事 務 労 働 は 職 員 の 手 に移 っ て
編 で 見 た 科 学 研 究 の 進 展 や 機 械 鍛 造,機
械 鋳造 方 法
の 大 幅 な 導 入 が 鍛 治 ⊥ や 鋳 型 ⊥ の 熟 練 を徐 々 に 解 体 し て い くガ 向 に あ っ た こ と
に も 注 意 せ ね ば な ら な い 。 例 え ば,鋳
開 と 平 行 し て,規
よ り,旧
merに
場 で の規 格 化 の展
格 鋳 物 部 品 の 大 量 生 産 を 可 能 に し た ア メ リ カ の ヴ ェ ー ダ.社
VeederCo.inHartford,Conn.の
フ ラ ン ス,ベ
造 部 門 に お い て は,工
ダイ カス
ル ギ ー に お け る 特 許 を 購 入 し.,大
ト鋳 造 法Spritzgupの
ド イ ツ,
量 生 産 を 開 始 し て い る。 こ れ に
来 の 熟 練 鋳 型 工 の 一 部 は 半 熟 練 丁:に 属 す る 機 械 鋳 型 エMaschinenfor・
代 替 さ れ て い っ た15)。
こ の よ う に 見 て く る と,各
し ろ,全
に,そ
部 門 間 で の 職 長 権 限 の 差 異 と い う こ と よ り も,む
体 の 傾 向 と し て 各 職 場 で 半 熟 練 工,不
熟 練 工 の 比 率 が 増 大 す る と と も
の 管 理 形 態 に お い て ラ イ ン と ス タ ッ フ 機 能 が 明 確 に 分 離 さ れ て い き,資
本 の 専 制支 配 が 直接 に 生 産 過程 をお お う よ うに な った こ と こそ が 強 調 され ね ば
な ら な い と言 え る。
こ こ で;労
と し て,基
働 の 質 的 変 化,内
部 請 負 制 の 解 体 と 時 を 同 じ く し て 見 られ る事 態
幹 労 働 力 養 成 方 法 の 変 化 に つ い て も触 れ て お く必 要 が あ る。 機 械 体
系 の 整 備 に よ り旧 来 の 熟 練 が 解 体 さ れ て く る が ∫ これ は 単 純 に 労 働 を一 面 化 す
15)V琶1.H.Reichelt,α.α.0.,S.61葺.大
野 英 一Qド イ ツ資 本 主義 論 』未 来社,1965年.259-274
ベ ー ジ参 照 。 なお.こ こで 付 言 して お く と,当 時,職 長 は 労 働 者 の採 用 ・解 雇 に あ た っ て大 きな
権 限 を有 して い るが,こ
の事 実 は 内 部 請 負 制 の残 存 を 示 す もの と は言 え ない 。 け だ し,現 場 監 督
者 と して の職 長 に第1次 の人事 考課 権 が 帰 属 して い る こ とは,今 口 のわ が国 の大 経 営 の 作業 長 制
の 下 で も見 られ る こ とだ か らで あ る(例 えば,木 元 進 一 郎 編 『現 代 日本 企 業 と人 事 管 理 』労 働 旬
報 社,1981年,76-94ペ
ー ジ参 照)。
16)Vg1.60JahreLoewe,S.45f.,S.203f.,F.Wegeleben,a.a.0.,S.92.104.さ
らに,鋳
造
所 の作 業 の客 観 化 に つ い て次 の よ う に言 わ れ て い る.「 熱 処 理 もま た,実 験 所 と材 料 検 査 に よ り
純 粋 な経 験 と カ ンか ら解 放 され,科 学 研 究 に置 き換 え られ た。 ・
・・
…職 場 に お け る職 長 の独 占 的 地
位 を保 障 して いた 彼 の 技 術,感
覚,秘
科 学 研 究 が そ れ に と って 代 わ った.こ
密 に基 づ く熱 処 理 作 業 は,こ
れ ら の偶 然 性 か ら解 放 さ れ.
こで も親 方 統 轄 制 か ら解 放 され た 」(訪 伽 面,S.91),
レー ヴ ェ社 に お け る工場 管 理(107)107
るだ け で 臆
吋
械 の 複 雑 化,高
とに 臆
せ畔
な ら ない・ す なわ ち汰
度 化 や 不 断 の 生 産 過 程 の 変 革 は,そ
群 の労 働 者 を必要
と し,そ
工 業 の糖
で あ る機
れ ら に 対 応 で き る よ う な 一.
のた め新 た な職 業 教 育 を 必然 的 に生 み 出 す
の で あ
る17)。
機 械 工 業 に お い て,従
来 の 万 能 的 熟 練 を も つ 機 械 工 は,手
場 内 の 内 部 請 負 親 方 の 下 で 徒 弟Lehringと
あ っ た が,多
して の職 業 教 育 を受 け て い た の で
く の 科 学 的 知 識 を も 必 要 と す る 新 た な 基 幹 労 働 力 の 養 成 に と っ て,
こ の 旧 来 の 方 法 は 不 十 分 な も の と な っ て い た 。 そ こ で,い
造 工 場 に お い て は 会 社 自 ら が 直 接,労
紀 末 か ら見 執
ば れ1・・,多
工 業 親 方 また は 工
働 力養 成 に乗
くつか の大 中機 械 製
り 出 す と い う こ と が,19世
る よ う に な ・ て きた ・ そ の 中 で も レ ー 弧
く の 工 場 に 影 響 を 与 え,ま
た,多
社 の教 育 ぽ 髄
と呼
数 の優 秀 な基 幹 労働 者 を機 械 工 業 ・
電 機 工 業 に 送 り 出 し た 点 で 極 め て 重 要 で あ る19〕。
同 社 に お い て は,1899年
に レ ー ヴ ェ 見 習 工 学 校LoeweLehringsschuleを
置 し シ ュ レ ジ γ ガ ーG.Schlesingerの
指 導 の も と,理
設'
論 と 実 習 を組 み 合 わ せ
た 職 業 教 育 を 開 始 し て い る 。 こ の 成 功 は た だ ち に 認 め ら れ,1904年
に は ドイ ツ
の 工 場 付 属 学 校 と し て 最 初 に 公 立 の 補 習 学 校Foribildungsschuleと
格 を 与 え ら れ,見
最
同等 の資
習 工 は 補 習 学 校 通 学 を 免 除 さ れ た2ω 。 見 習 工 の 教 育 年 数 は,
も 高 度 な 知 識 や 技 術 を 要 求 さ れ る 機 械 組 立 工Maschinenbauerは4年
盤 工 や 仕 上 工,平
工7)r資
削 工 は3年
本論 』 第1巻633-635ペ
で あ る 。 各 見 習 工 は,一
ー ジ参 照.ド
改 革 と市 民 社 会 』成 文 堂,1972年,ユ16ペ
18)vg,.L.B・a・,晦
た漁 鯉
・伽
イ ・ の牒
教破
ー ジ 以下 参 照 。
躍 ・4A・ 齢 ・
…Z禦
方 で,午
・
前7時
旋
か ら8時
に 関 して は ・ 高 木 健 次 郎 『教 育
πr理
耀
伽
・励
「 み
ganzungdernationaldkononeischeuLehrevonderArbeitsvereinignngacndArbeits'
tellung一,Diss.Berlin1910,S.49,F.Wegeleben,a.α.0.S.101,107ff.
19)「
工 作 機 微 詐 工場 乃至 工 作機 械操 作 職 場 は,そ こ に存 在 す る工 作 機 械 を以 て・ 機 微
び 兵器
を作 る と云 ふ に と ゴ ま らず,そ の 作 業 機 購 を 通 じて 工 員 を人 的 に陶 冶す る鍛 治 場 で あ り.こLに
鍛 錬 され た 労 働 都,労
働 力 群 編 成 の 枢 軸 と な り,最 も透 視 の利 も 最 も進 歩 的 な もの と して 現
は れ る」(奥 村 正 二 『工 作 機 械 発 達 史 』科 学 主 義 エ 業 社,1941年,77ペ
ー ジ)。
20)60JahreLoewe,S.138.な
お,ELehringは,本
来,手 工業 制 度 の も とで の 徒 弟 とい う意 味
だ が,手
工 業 親 方 を 意 味 す るMeister..が
工 場 内 で職 長 の意 味 を持 つ よ うに な った の と並 んで,
これ も工 場 に お け る見 習 工,実 習 生 の 意 味 を持 つ よ うに な った。 こ こで は,手
るた め に見 習 工 と訳 して お く.
工 業 徒 弟 と区 別 す
108(1D8)第!30巻
ま で 一 般 教 養,午
第1・2号
後4時
か ら6時
ま で 機 械 設 計 に 関 す る 教 育 を 受 け,他
方 で,
を 日中 は 各 職場 で体 系 的 な実 地 教 育 を受 け た 鋤 。
こ う して,か っ て 中 間 親 方 が 有 して い た 労 働 者 教 育 権 も,彼 か ら奪 われ 資 本
が 直 接 掌 握 す る こ とに な った の で あ る。
以 上 の検 討 か ら,新 工 場 へ の移 転 と同 時 に,労 働 の質,労 働 力編 成 ・統 轄,
労 働 力 養 成,こ れ らす べ て の面 で大 幅 な変 化 が 見 られ,労 働 者 全 体 の資 本 へ の
従 属 が 一 挙 に強 化 され た こ とが 明 らか に な った 。
11工
1旧
場 記 帳制 度
来 の記 帳 制 度
19世 紀 末 に お け る,一
高 度 化 を もた ら し,巨
方 で の重 化 学 工 業 の急 速 な発 展 は資 本 の有 機 的 構 成 の
大 な 固 定 資 本 の 価 値 移 植 問 題 を,他
方 で の 独 占資 本 間 で
の 世 界 市 場 を め ぐ る競 争 激 化 は 各 個 別 資 本 の も とで の 正 確 な 製 造 原 価 把 握 問 題
を,工
業 会 計 上 の 課 題 と し て 提 起 し た 。 と くに 製 造 工 程 が 複 雑 で 熟 練 工 の 労 務
費 の 比 重 が 大 き か っ た 機 械 製 造 工 場 で は,こ
れ ぽ 各 国 と もに大 き な問 題 とな っ
て い た22)Q
20世 紀 初 頭 の ドイ ツ機 械 工 業 に お い て,一
と し て,ベ
般 に 見 られ た 工 場 記 帳 制 度 の 特 色
ル リ ン と フ ラ ン ク フ ル ト ・ア ム ・マ イ ン の12の 機 械 製 造 工 場 を 調 査
し た エ ル ス ナ ーM.Chr,Elsnerは,こ
れ らの 工 場 に 共 通 し て 原 価 計 算 に お い
て 職 長 が 重 要 な役 割 を果 た して い た こ とを指 摘 し て い る。 これ らの工 場 で は職
長 が 振 り出 す 出 来 高 カ ー ドAkkordscheiuへ
の 労 働 者 の 記 入 事 項 を も と に,職
長 が 自 己 の 統 轄 グル ー プ ご と に 賃 金 を 中 心 とす る
・
覧 表 を作 成 し,こ
れ に基 づ
き 原 価 を 計 算 し て い た の で あ る。 こ の よ う な 方 法 の 欠 陥 と し て エ ル ス ナ ー が 指
摘 し て い る の を 整 理 す る と以 下 の3点
働 の 多 さ で あ る 。 第2に
に な る。 す な わ ち,第1に
職 長 の事 務 労
個 別 部 品 の 原 価 の 不 明 瞭 性 で あ り,こ
れ に は 機 械 の価
21)C,Kohl㎜n.``DieLehringsschulederFirmaLudwLoewe&Co.,A.一G.,Berlin",
物 炬
蕗α診`5診
θ`hπ
ゴ
々,2Jg,1908,S.362乱
22)宮 上一.男『
工業会計制度 の研究 』山川 出版 社,1952年,35ペ
ー ジ以下 参照。
レーヴェ社 におけ るユニ
場管理(109)109
値 移 転 や 各 部 門 で の 共 通 費 な ど を 含 む 製 造 間 接 費 の 問 題 が 含 ま れ る。 第3に
熟
練 労 働 者 自 身 の 報 告 に 頼 りす ぎ て い る こ と に よ り,「 労 働 者 は 個 々 の 出 来 高 仕
事 に お い て,収
入 の一 定 性 を保 っ た め に 自身 で 労働 時間 を規 制 し うる」 とい う
組 織 的 怠 業 を チ ェ ッ ク で き な い こ と で あ る23)。
レ ー ヴ ェ社 に お い て も,工
場 改 革 以 前 は 内 部 請 負 制 の 下 で こ の よ う な記 帳 制
度 が 採 用 さ れ て い た と推 定 で き る が,機
械 体 系 と 労 働 力 統 轄 の再 編 は 新 し い 記
帳 制 度 を も 同 時 に と も な った 。 こ の 場 合 も
機 械 体 系 で 見 ら れ た よ う に,ア
リカ の 成 果 を い ち は や く 導 入 し て い る 。 す な わ ち,工
と一部 は イ タ リア 式 で あ るが,特
場 簿記 の勘 定構 成 を見 る
に 製 造 勘 定 ぽ ア メ リカ 式 に 基 づ い て い る と指
摘 さ れ て い る細 。 シ ー レ ジ ソ ガ ー は レ ー ヴ ェ社 の 方 法 に つ い て,要
制,全
休 の 見 通 し性,親
方 統 轄 制 の 回 避,労
2指
ー ヴ ェ社 の 方 法 を,ま
ず指揮 ・
に 原 価 の 集 計 に つ い て 見 て み よ う。
揮 ・命 令 の 流 れ
工 場 の 記 帳 単 位 は1907年
造 部,皿
室,皿
所 要 所 の統
働 者 に よ る 報 告 の 減 少 と い う点 で
極 め て 優 れ て い る と指 摘 し て い る25)。 以 下,レ
命 令 の 流 れ,次
メ
の 時 点 に お い て,1機
工 具 製 造 部,IV特
鍛 造 部,盟
械 製 造 部,H特
殊 工 具 製 造 部,V規
木 型 製 造 部,IX鋳
殊機械製
格 部 品 製 造 部,VI調
造 部,X施
整
設 部 の10の 部 門 か ら構
成 さ れ て い る26)。 全 体 は ひ と つ の 体 系 に 従 い っ っ,各
部 門は それ ぞれ の事 情 に
23)M.Ch,.Elsner,``DぬBer2chmmgd色rI。oLnkostenin.derFabrikvonLudw.Loewe
&Co."A,一G,.inBerlin",Zeit∫
σんゆ
Bd.48:1904,S,64EE.ま
メ モ 帳,そ
た,別
漉3伽r6加85雄
鹿50加r玩g8η
の 文 献 に よ る と,旧
ガ
θ膵8(Z.V.d.1.)
来 の 原 価 計 算 方 法 は,「
職 長 の 記 憶,彼
の
れ に 経 営 技 師 に よ る い くつ か の 記 録 」 に 基 づ い て 行 わ れ て い た と言 わ れ て い る(H.
Meldlein,DerAkkordlohnindergrofiindustriellenNlaschinenindu∫
じ
か ε,Dm,.Erla昭e夏
ユ,
S.14).
24)J,Lilienthal,α.α.0.,S.157.
25)SchlesiesingersVorwortinebenda,
26)E加
ぬ,S,1f.各
部 門 の こ の よ う な 空 間 的 分 離 は,明
確 な 組 織 構 成 や 秩 序 維 持 に と っ て,ま
労 働 者 の 頂 点 に 立 つ 技 師 の 作 業 領 域 の 分 離 と 彼 の 責 任 の 明 確 化 に と っ て,さ
ら に は,全
信 頼 で き る 経 営 簿 記 に と っ て も っ と も 重 要 な 要 件 で あ る 」(W.Waldsc㎞idt,"LeitendeIdeeu
beimBauderFabriken,amerikanischeArbeitsmethodenundArbeitereinrichhmgeパ',
BJ盈
f,)・
θ「 ノ魏
τ醐gZ此
んθπ虚R此
ん5戯 ∬ 醜56ん 雄
㍑4▽b疏
∫即 添oん
ψ3勧
た
面 的 に
解.1907,S.14
第1・2号
応 じ た 記 帳 を行 い,原
則 と陰 し て 各 部 門 ご と に 独 立 し た 分 権 的 な 記 帳 統 制 が 行 わ
れ て い る。
第2図
レ ー ヴ ェ社 の 注 文 ・指 図 の 流 れ
一
1二場 長
/〆 ク 鞍
レ
部門長
鐡ぞ
壷:1
\
∵、
職
噸
長
\1
曲
㊥
幽'J
醐
〔
蟹 製造',s)
出 所)J.Lilienthal,a.a.O.5本
成 し た 第2図
戸斤
ヨ ヰに
カ ド
.1
、
茜
こ こ で,工
'1筋
ー ー ウ
倉庫
口"
1照
鼓・
一i\
\
\
ii噂 禦騰
簿
、、
\
司F務 所
〔鵬1膿
技術…
奮
甦P万
原 伺匡統
制 力L一ド
止
.
110(110)第130巻
文
よ
〔鋳造部 〕
時
労働 者
嗣
〔鍛 造部 〕
りfド 成 ロ
場 の 製 造 に 関 す る 主 な 指 図 や 諸 カ ー ドの 流 れ を概 観 す る た め に 作
か ら,工
場 記 帳 制 度 に お い て も 機 械 ・工 具 製 造 部 が 中 心 に 位 置 し
て い る こ とが 分 る 。
資 本 の 指 揮 ・命 令 の 順 序 に 従 っ て 見 て い く と,ま
製 造 指 図 書Vorratsbestellungがf乍
成 さ れ,工
ず,製
造決定が行われた ら
場 長 か ら 部 門 長 と技 術 室 に 渡 さ
れ る 。 技 術 室 に お い て 専 門 の 技 師 に よ り製 造 に 関 す る 見 積 も りが 行 わ れ,部
表Teillisteと
呼 ば れ る 一 覧 表 が 作 成 さ れ,原
の 複 写 が そ れ ぞ れ 計 算 室,倉
号 や 設 計 番 号,名
称,形
庫,職
品
紙 は こ こ に 保 管 さ れ る が,3枚
長 に送 られ る。 部 品 表 には 各 部 品 の製 造 番
状 ス ケ ッチ,材
料 が 記 入 さ れ,裏
面 に は各 用 途 に応 じ
レーヴェ社 におけ る工場管理(111)1!1
た 事 項 が 記 入 さ れ て い る 。 例 え ば,職
長 用 と計 算 室 用 の 部 品 表 の 裏 に は,冬
作
さ 業 内 容 と 出 来 高 賃 率 が 職 員 の 手 に よ り あ ら か じ め 記 入 さ れ て お り,職
長 は これ
を ひ と つ の 基 準 に 労 働 者 の 作 業 を 監 督 す る。 こ の 部 品 表 は 適 切 な 材 料 に つ い て
指 示 を与 え る だ け で な く,賃
こ こ に,か
金 計 算,原
価 計 算 に も 重 要 な 役 割 を 果 た し て お り,
つ て の 内 部 請 負親 方 の有 して い た 大 幅 な権 限 が ス タ ッフ部 門 に 吸収
さ れ た こ と の 一 端 を 見 る こ とが で き る 。
部 品 表 に 基 づ き,計
算 室 で2種
類 の カ ー ドが 発 行 さ れ る 。 ひ と つ は,工
の 多 数 の 複 雑 な 部 品 の 流 れ の 混 乱 を 防 ぐ と と も に,作
目的 を 持 っ た 移 動 カ ー ドBegleitekaiteと
に よ り,検
程上
業 の進 行 速 度 を統 制 す る
呼 ば れ る カ ー ドで あ る 。 ま た,こ
れ
査 工 は ミス を 出 し た 労 働 者 を 直 ち に っ き と め る こ とが で き る し,在
庫 調 べ に 際 し て も必 要 な 清 報 が 与 え られ る 。 こ れ は 計 算 室 で 発 行 さ れ た 後,直
ち に 材 料 置 場 へ 送 られ,そ
こ か ら加 工 順 序 に 従 っ て 移 動 し て い き,最
後 に組 立
職 場 の 職 長 か ら計 算 室 へ 返 却 さ れ る 。 も う一 方 は 出 来 高 カ ー ドで あ る。 先 に 見
た よ う に,部
づ き,各
さ れ,1枚
品 表 の 裏 に 出 来 高 賃 率 が 前 も っ て 指 示 さ れ て お り,こ
の数 値 に 基
々 の 作 業 に 対 し て 発 行 さ れ る の が こ の カ ー ドで あ る 。 こ れ は2枚
は 計 算 室 に 保 管 さ れ,他
方 は 職 長 に 渡 さ れ る。 職 長 は,こ
を 行 う労 働 者 の 氏 名 と 日付 を 記 入 す る だ け で あ り,記
労 働 者 は こ の カ ー ドの 裏 に,機
械 作 業 時 間 と手 作 業 時 間 とを 区 別 し て 記 入 し,
長 へ 帰 す。 職 長 は 記 載
事 項 を チ ェ ッ ク し て 計 算:室へ 返 却 す る 。 こ の カ ー ドの 集 計 に よ り,各
く,機
記 入 さ れ て い る 出 来 高 賃 率 に 基 づ き,労
ー ドを 中 心 と し た 指 揮 ・命 令 の 流 れ は,す
価計算
27)」.Lili㎝tha且,α.α.0.,S.50仔.
の カ ー ドに 事 前 に
働 者 に 週 賃 金 が 支 払 わ れ るZ7)』
力 統 轄 形 態 に 対 応 し た も の で あ る こ と が 了 解 さ れ よ う。
3原
作 業 に要
の後 の統 制 の た め の数 的基 準 が 得 られ るだ け で な
械 の 減 価 償 却 の た め の 基 礎 数 値 が 得 ら.れる。 ま た,こ
こ う し て,カ
れに作業
入後 これ を 労働 者 に 渡 す。
作 業 完 了 後 は 使 用 した 工 作 機 械 の 番 号 を 記 入 し た 後,職
す る 労 働 時 間 が 把 握 さ れ,そ
発行
で に 見 た新 しい 労 働
112(112)第130巻
第1・2号
製 品 の 原 価 は,現
在 と同 し
じ く,直
接 材 料 費 と直 接 労 務 費,製
か ら構 成 さ れ て お り,原 価 は 最 終 的 に,機
の 直 接 材 料 費 に 相 当 す る部 分 に は,本
ま れ る。 これ ら の 費 用 の 把 握 は,機
造 間 接 費 の3者
械 ・工 具 製 造 部 に 集 約 さ れ る。 第1
来 の 材 料 費 の 他,焼
き 入 れ 費 用 な ど も含
械 ・工 具 製 造 部 か ら鍛 造,鋳
造 部 へ 振 り出
さ れ た 注 文 カ ー ドの 回 収 に よ り行 わ れ る。 特 に 重 要 な の は 残 り の2者
で あるの
で そ れ ぞ れ 少 し詳 し く紹 介 し て お こ う。
ま ず,労
務 費 に つ い て で あ る 。 賃 金 統 制 に 関 し て は,先
と タ イ ム カ ー ドな ど の 回 収 に 基 づ き,計
buchが
に見 た 出 米商 カー ド
算 室 に お い て,.ま
ず 賃 金 台 帳Lohn-
作 成 さ れ る 。 こ れ は 旋 盤 職 場 な どの 各 職 長 グ ル ー プ ご と に,1週
を単 位
と し た 各 労 働 者 へ の 支 払 賃 金 を 詳 細 に 記 入 し た 重 要 な 台 帳 で あ る。 さ ら に,こ
れ に 基 づ き,1ケ
月 あ た りの 同 グ ル ー プ の 各 労 働 者 に 対 す る 支 払 賃 金 を 示 す 支
払 一 覧 表Zahlungslisteが
へ 送 ら れ,疾
作 成 さ れ,人
事 部BiirofurArbeitergelegenheiten
病 保 険 支 払 額 な どが 記 入 さ れ,月
末 の 賃 金 清 算 が これ に よ り行 わ
れ る。
労 働 者 へ の 賃 金 支 払 は,週
単 位 に 毎 金 曜 日 の 午 後 に 行 わ れ る。 こ の 際,長
に わ た る仕 事 や 数 人 に よ る共 同 請 負 仕 事 に 関 し て は,出
期
来 高 給 労 働 者 に 対 して
L
も一 人 一 人 設 定 さ れ て い る擬 制 的 な 時 間 賃 率 に 基 づ い て,分
そ し て,月
の 最 後 の 週 に,先
割 支 払 が な され る。
の 一 覧 表 を も とに 清 算 が 行 わ れ,保
が 控 除 さ れ 差 引 残 額 が 支 払 わ れ る 。 こ こで 注 目す べ きは,以
合,そ
険や罰金 な ど
前 の共 同請 負 の場
の り 一 ダ ー が.請負 給 の 配 分 権 を 把 握 し て い た の に 対 し,今
で は この配 分
もす べ て 計 算 室 の 職 員 に よ り計 算 され て い る こ と で あ る28)。 以 前 と違 っ て い ま
や,労
務 費 は 厳 密 に 資 本 に よ っ て 統 制 され て い る の で あ るg
次 に,製 造 間 接 費 は 大 き く3っ
unkostenと
呼 ば れ,各
部 分 で あ り,工
作 機 械 や 機 械 の 減 価 償 却,補
定 が 含 まれ る。 第2は,共
25)Eう8π
に 区 分 さ れ る 。第1は,職
職 場 ご と に 集 言1され る,い
磁,S.61ff.
助 材 料 費,職
通 経 費 と 呼 ば れ,機
場 経 費Abteilungs-
わ ゆ る直 接 経 費 に 相 当 す る
長 の 俸 給 な どの9勘
械 ・工 具 製 造 部 全 体 に 共 通 す る
レーヴ ェ社におけ'る工場・
管理(113)113
費 用 で あ り,部
は,工
門 長 の 俸 給 や 管 理 費,建
物 償 却 費 な ど29勘 定 が 含 ま れ る 。 第3
場 全 体 に 共 通 す る 費 用 で あ り,鉄
道 連 絡 費,門
衛 の 俸 給 等 の7勘
ん で い る 。 機 械 ・工 具 製 造 部 で と くに 重 要 な の は 前2者
ま ず,諸
帳 簿 の 数 値 を も と に 各 勘 定 ご と の 集 計 表Sammellisteが
次 に,こ
れ に 基 づ き,職
場 経 費,共
定 を含
で あ る 。 集 計 の 方 法 は,.
作 成 さ れ る。
通 経 費 の 各 勘 定 項 目 を 縦 欄 に と り,横
そ の 発 生 場 所 を 示 す 経 費 統 計Unkostenstatistikが
欄に
毎 月 作 成 され る。 この統 計
の 整 備 に よ って 得 られ る 毎 月 の 製 造 間 接 費 に 関 す る 諸 数 値 ぽ,生
産管理 のため
の 重 要 な 基 準 と な る の で あ る 。 こ の よ う.にして 得 られ た 製 造 間 接 費 は,.各 職 場
を 単 位 に,直
接 賃 金 配 賦 法 に よ っ て 配 賦 さ れ る29)。
第3図
原 価 一 覧 表 の 例
L.L,&Co.
原
価
一
覧
表
の フ ライ ス 研 削 盤
カ タ ロ グ番 号27BII
指 図 番 号3706V
日付
製 造 番 号25135-25184
材料 費
そ の 他
1
注文
番号
熱処 理費 賃
金
.
製 造
間接 費
=
2
9,464;69 10221…84…
3 4
5 6 7
8
9 0
1
機 械製 造部門
塗
色
鋳
鉄
鍛 造 所
鋼 材 倉庫
焼 き入 れ
施 設 部
規格部品
材 料倉 庫
外 注 品
…… 90…70
…7
,970;393
…
i
i
i
i
271i10
i
i
l
i
169;72
3
623:18
i
旨
20,'40
[2
.408…15
・8 2
89;25
L
i
l
59}90
計
・
邸86}53
90…70
… 7,970…39
…99…83
i
i 329345
…623…18
i
…
…
9…40…………
4…70
i
i
l
… 271…10
334…50
旨 2承 〕8…15
・8i・2
891253
..
・・・
…i・ ・
1台
出所)J.Lili
29)Eう
entha
帥zζ浸z,S.72fL
あ た
,α.α.0.,S.73.
り
271;1019,533…9910,326…
228…一.
(原 寸)249×36Dmm.
呂7
206…54
31,531;87
630164
i5:42・9・i68
王14(114)第130巻
以 上 の3費
第1・2号
用 は,同
一 製 品 ご と に 第3図
の 例 に 見 られ る 原 価 一 覧 表 に 集 計 さ
な
れ る。 こ の 例 で は,50台
の フ ラ イ ス 研 削 盤 の 原 価 総 額 が 集 計 さ れ た 後,こ
50で 除 す る こ と に よ っ て1台
あ た り の 原 価 が630マ
こ と が 分 る。 こ の よ う に し て,す
べ て の 製 品 ご と に1台
す 統 制 カ ー ドが 作 成 さ れ 計 算 室 に 保 管 さ れ,以
ま た,こ
ル ク64プ
れを
フ ェー ニ ヒで あ る
あ た りの 原 価 構 成 を 示
降 の 製 造 計 画 の 基 礎 資 料 と な る。
の 統 制 カ ー ドに 基 づ き,部
門 長 と 工 場 長 の た め の 統 制 カ ー ドが そ れ ぞ
れ 作 成 さ れ る、 部 門 長 の そ れ は,材
料 費 の詳 細 な 内訳 な らび に各 職 場 ご との労
.務 費 が ひ と 目で 分 る よ う に な っ て お り,部
者 は,工
門 統 轄 の 指 針 の 役 割 を 果 た す し・ 後
場 長 が 工 場 の 最 高 責 任 者 で あ る の に 応 じ て,収
益
純 益 の 項 目が 設 け
られ て い る の に 注 目 で き る 。
統 制 の た め の 諸 手 段 の 重 要 性 に つ い て リ リエ ン タ ー ル は 次 の よ う に 強 調 し て
い る。
「こ れ ら の 原 価 統 制 用 諸 カ ー ド と製 造 間 接 費 統 計 は,部
己 の 統 轄 部 門 の 姿 を 反 映 す る鏡 で あ る。 こ の た め,そ
の 正 確 で か っ 迅 速 な作 成
に 最 大 の 注 意 が は ら わ れ る」00)。機 械 ・工 具 製 造 部 は,工
位 置 し,そ
門 長 に とって 自
場 内分 業 の 集 約 点 に
こ で の 正 確 な 原 価 把 握 は 決 定 的 に 重 要 な の で あ る 。 し た が っ て,こ
れ らの 諸 手 段 は 同 部 門 の み な らず 工 場 全 体 の 実 態 を 反 映 す る も.のと し て,資
本
に と っ て い わ ば 「指 図 書 」 の 役 割 を 果 た し て い る と言 え る の で あ る。
こ こ で,レ
1906年
に,す
ー ヴ ェ 社 の 記 帳 方 法 の 先 進 性 に つ い て 言 及 し て お こ う。 同 社 は,
で に 同 社 を 退 社 し て ベ ル リ ン工 科 大 学 教 授 に な っ て い た シ ュ レ ジ
ソ ガ'337に,生
30)κ66π
.31)す
産 計 画 の 選 択 や 機 械 配 置,個
別 部 品 の 加 工 計 画,そ
の 原価 計 算
ぬ,S.80.
で に度 々名 前 を あ げた シ ュ レジ ソ ガ ー につ い て,こ
こで 簡 単 な紹 介 を行 って お こ う。 彼 は
1897年 か ら1904年 ま で レー ヴ ェ社 で主 任 技 師Oberingenieurを
うな ゲー ジ やrは
勤 め,こ
の 間,前
編で述べた よ
め合 い方 式 」.規 格 化 な ど互 換 性 大 量 生 産 技 師 に関 し て 先 駆 的 業 績 を 築 い て き
た。 彼 の そ の 才能 は た だ ちに認 め られ,1904年
か らベ ル リン工 科 大 学 の 初 代 の 工 作 機 械 教 室 主 任
教 授 とな り,科 学 的 工 作機 械研 究 に よ り 「工 作 機 械 精 度 規 格 」 を 開 発 した の を は じめ,ド
イ ツ工
業 規*DINの
制 定 に関 して 推 進 者 と して 貢 献 した 。 さ ら に第1次 大 戦 後 には 「ドイ ツ合 理 化 運
動 の指 導 者 」 と して 活 躍 した。 わ が 国 にお い て も,と くに機 械 工 学 の 分 野 で彼 の影 響 がた いへ ん
大 きか った こ とは よ く知 られ て い る(さ し あた り,奥 村 前 掲 書191-192ペ
イ ツ企 業 にお け る管 理 と技 術 の特 質 」 伊 東 光 晴 他 編r世 界 の企 業 一4西
筑摩 書 房,1975年,105ペ
ージ参 照)。
ー ジ,清 水 敏 充 「西 ド
ドイ ツの 経 済 と産 業 』
レー ヴェ社 におけ る工場管理(115)115
に か か わ る 諸 改 革 に つ い て の 研 究 津 委 託 した 。 こ こ に 徹 底 的 な 調 査 研 究 が 行 わ
れ,規
格 品 製 造 部 に お い て は,機
械1台
を 単 位 とす る 原 価 計 算 も試 み ら れ た が ド
これ は 部 門 費 集 計 な どが 複 雑 に な'りす ぎ る と い う こ と で,結
械 グ ル ー プ を 単 位 とす る計 算 方 法,す
局
同年 に 同種 機
な わ ち 職 場 別 原 価Platzkostenの
考えが
ドイ ツ機 械 工 業 に お い て 最 初 に 導 入 され る こ と に な っ た の で あ る32〕
。 このよ う
な調 査 研 究 と 職 場 別 原 価 計 算 方 法 の 導 入 は,原
を有 す る もの で あ り,そ
の 後,こ
価 計 算 の発 達 史 上 で 大 き な意 義
れ は 広 汎 に 普 及 して い く の で あ る 。
こ れ ま で 検 討 し て き た 原 価 を 中 心 とす る 記 帳 制 度 の 整 備 は 次 の2点
で重 要 で
あ る。
第1に,単
に 作 業 単 位 と して だ け で な く原 価 の 計 算 単 位 と し て 各 職 場 の 重 要
性 が 改 め一⊂見 直 さ れ,こ
が 採 用 さ れ,職
こ に い わ ゆ る原 価 場 所 別 計 算KQstensしellenrechnung
制 上 の 部 門 と原 価 部 門 と が 合 理 的 な形 で 統 一 さ れ た こ と で あ る。
か っ て の 記 帳 方法 の欠 点 で あ った職 長 の 事 務 労働 の多 さや 個 別 部 品 原 価 の不 明
瞭 性 は,こ
こ では 計 算 室 の 整 備 に よ って 克 服 され
正 確 な原 価 が 把 握 され る よ
う に な った 謝 。
第2に,諸
カ ー ドの 整 備,と
りわ け 原 価 報 告 書 制 度 の 整 備 に よ り,生
産工 程
の多 様 な 内容 を数 的 に一 元 的 に把 握 す る こ とが資 本 に と って可 能 とな った の で
あ る。 明 瞭 性 を 欠 い た 従 来 の 原 価 計 算 方 法 は こ こ に 改 善 さ れ,職
算 室 に 集 中 さ れ た 諸 数 値 は,部
場 を単 位 に 計
門 長 や 職 長 に 委 ね ら れ る資 本 の 指 揮 機 能 遂 行 の
た め の基 準 を 提 供 す る よ う に な った 。
た だ し,こ
の新 し い 方 法 に も こ の 時 点 で ま だ 不 十 分 な と こ ろ も残 っ て い た こ
と も事 実 で あ る 。 賃 率 決 定 が 専 門 の 職 員 の 仕 事 に よ っ て 行 わ れ て い る と は 言 え,
そ れ は 未 だ.「科 学 的 」 な も の で は な く経 験 的 な も の で あ った 。 こ の 問 題 の 克 服
の た め に は,テ
ー ラ ーF,W.Taylorに
よ り開 発 さ れ た 作 業 時 間 研 究 が 必 要 で
あ る 。 レ ー ヴ ェ社 に お け る こ の 時 の 課 題 は,こ
の 時 間 研 究 と標 準 原 価 計 算 の導
呂2)60」 α1Lア8Loθ
測β,S.129ff,
33)宮 上前掲書,130-131ペ ージ,な らび に,小 林靖雄 『原価管理 論』森山書店.1954年,第4章
参照。
1工6(116)第130巻
第1・2号
入 で あ っ た と 考 え.られ る。 標 準 原 価 に つ い て は 明 ら か で は な い が,時
.つ い て は テ ー ラ ー のShopManagement,1903が
出 さ れ た 直 後 で,ま
ツ に 本 格 的 に 紹 介 さ れ て い な か っ た1904年
に す で に,平
削 職 場,フ
場 に お い て 体 系 的 な 事 前 計 算systematischeVorkalikulationが
くか ら時 間 研 究 に つ な が る 研 究 が 行 わ れ て い た,と
られ る レ ー ヴ ェ社 の 先 進 性 は,後
て 知 ら れ た ドイ ツ 牒
間研究 に
だ ドイ
ラ イ ス削 職
開 始 さ れ,早
言 わ れ て い る8生)。こ こ に 見
の ドイ ツ合 理 化 運 動 の 中 心 機 関 の ひ とつ と し
研 究 連 盟R・i・h・aussch・
の 会 長 と な った へ 一 グ ナ ーK.Hegnerを
・sfurA・b・i・
生 み 出 し,ド
…udi・(REFA)
イ ツに お け る作 業 研 究
の 発 展 に 大 き く貢 献 した こ と に も示.され て い る。
お
わ
り
に
19世 紀 末 か ら20世 紀 初 頭 に か け て の レ ー ヴ ェ社 工:場改 革 を 検 討 す る こ と に よ
り 明 らか に な っ た 諸 点 を,工
場 の3契
機 に 則 し て 整 理 す れ ば 以 下 の と お りで あ
る。
第1の
機 械 体 系 に 関 し て は,動
が 見 られ,い
導 機,作
わ ば 新 し い 機 械 体 系 が 形 成 さ れ,互
う に な った 。 第2に,旧
34)60.砺
力 機,伝
換 性 ・見 込 生 産 が 行 わ れ る よ
来 の 機 械 工 の 万 能 的 熟 練 が 変 容 し.一
んrθ 加6w8,S.88f.第1次
大 戦 前 の 工 場 改 革 を 正 し く把 握 し な け れ ば.そ
理 解 も で き な い と 言 え よ う。 ヴ ェ ー ゲ レ ー ベ ソa,fレ
る 以 前 に す で に,テ
,旧
P,。b1,m,ki。
G 励,,。
ー ヴ ェ 社 で は,テ
ー ラー の著 作 が知 られ
大 戦前
醜 吻,S.1511.).
ドイ ツ に お け る テ ー ラ ー シ ス テ ム の 導 入
㎎d・sT・yl・
・sy…m・inD・
…chl・nd・
。。ZZ、
。顧,4「Jg.1978.ま
に 関 す
る 研 究
と し て.H.
・id・mE・st・nW・ltk・ieg-Eine
。eu。 し
。,b。 、。nd・ ・e・BerU・k・i・h・i呂u・ 唱 曲A・bd・
。4G。
α.4.0..S.146)と
と類 似 の こ と が レ ー8人
の 機 能 職 長 へ の 分.テ
割,ー ラ ー の 主 張 す る
来 の 万 能 職 長 の,
ヴ ェ社 で も 独 自 に 行 わ れ て い た こ と を 指 摘 し て い る(Eう
H。mb。,9,"Anf・
の 問 題 に ほ と ん ど触 れ て い な か っ た
の後 の 「ドイ ツ合 理 化 運 動 」 の十 分 な
ー ラ ー の 言 う よ う な 組 織 化 が 進 ん で い た 」(Wegeleb叫
述 べ,
な お,第1次
方 で半 熟 練 工 が
大 戦 前 の ドイ ツ に お い て す で に テ ー ラ ー シ ス テ ム の 導 入 が
い く つ か の 企 業 にと
お りわ
い てけ
試大み戦ら直れ前てにおはり,
か な .ま
り た そ の 是 非 を め ぐ り,
活 発 な 議 論 が 行 わ れ て い た 。 わ が 国 に お け る 研 究 史 で は.こ
が,第1次
業 機 そ れ ぞ れ で大 き な転 換
・蛸mpf・b・iB・sch1913",
た テ ー ラ ー シ ス テ ム を 含 め ドイ ツ 工 業 に お け る管
理 制 度 の 史 的 変 化 を 扱 っ た も の と し て 」.Kocka,`LlndustllellesMa田gement=Konzeptionen
,or1914",巧6π8厚
&況 認 ㎏8∬ ん此ん'θ,Bd.56.1969を
参照 。
とzんrθ
∫∬ ん励
プ=ilrWirtschafts-vndundModelleinDeuLsdユland
レーヴ ェ社 における工場管理(117)117
増 大 す る と と も に,他
方 で熟 練 そ の も の の 限 定,標
準 化 が 促 進 さ れ,こ
れ に応
じて 内 部 請 負 制 も解 体 し ラ イ ン ・ス タ ッ フ 的 管 理 組 織 に と っ て 代 わ られ た 。 第
3に,以
上 の2契
機 の 変 化 と同 時 に 記 帳 制 度 の 改 革 も行 わ れ,従
来,内
親 方 が 有 し て い た 原 価 計 算 職 能 を 計 算 室 が 把 握 す る こ と に よ り,資
部請負
本 が 直 接,
生 産 過 程 を 数 的 に 一 元 的 に 掌 握 で き る よ う に な った の で あ る。
以 上 の 諸 改 革 に よ り,旧
と転 換 し,こ
し,前
こ に,資
来 の 間 接 管 理,成
本 は,本
行 管 理 は 直 接 管 理,科
学 的管 理 へ
来 の 労 働 の 有 す る構 想 過 程 を 実 行 過 程 か ら 分 離
者 が 労 働 に 対 す る資 本 の 権 力 に 変 わ る こ と に よ り,資
本の専制的指揮権
が 一 挙 に 強 化 さ れ た の で あ るB5)。
「ベ ル リ ン 諸 工 場 の 中 の 宝 石 箱Schmuckkastchen」,「
⊥ 湯手
旨導 者 と工 場 技
師 に と っ て 最 高 の学 校 」㈲ と 呼 ば れ た レ ー ヴ ェ社 新 工 場 に お け る 諸 改 革 は,発
展 の 方 向 を 最 も 明 瞭 に 示 した も の と し て,内
外 の諸 工 場 に大 きな影 響 を与 えて
い っ た の で あ る。
こ う し て,ド
イ ツ 帝 国 主 義 の 生 産 力 発 展 の 一 象 黴 た る ドイ ツ 機 械 工 業 発 展 の
深 部 に 進 行 した 事 態 は 何 で あ.つた か,と
い う 冒 頭 の 課 題 に 戻 れ ば,そ
工 場 改 革 に よ る 生 産 力 基 盤 の 整 備 で あ り,そ
業 内 分 業=労
れ は ま ず,
れ に よ って 生 み 出 され た 新 た な企
働 の 社 会 化 に 基 づ く生 産 力 を 資 本 が 専 制 的 に 取 得 ・領 有 す る 過 程
で あ っ た と い う こ と が で き る 。 あ ら ゆ る 面 で の 反 動 ・抑 圧 の 体 系 で あ る 帝 国 主
義 へ の 転 化 期 に,生
産 現 場 に お い て も以 上 の 抑 圧,支
配 機 構 が 形 成 され て い っ
た の で あ る。
最 後 に,従
産 の 遅 れ,独
35)こ
来 の 研 究 史 で 指 摘 さ れ て す で に 久 し い 中 間 親 方 制 の 残 存,大
占 形 成 の 遅 れ と い う3点
の 過 程 は 他方,労
に つ い て,本
量生
稿 で の 論 述 と の関 連 にお い
働 者 に と って は 機械 や工 場 へ の単 な る付 属 物 化 を 通 じて の資 本 へ の従 属 の
強 化,労 働 か らの 疎 外,貧 困 化 以 外 の 何 もの で も ない.こ の 点 に関 す る研 究 は 今 後 の課 題 の一 つ
で あ るが,マ ル クス の この 理論 を武 器 ・,独 占資 本 主 義 の も と での 労 働 の変 容 と労 働 疎 外 の問 題
を,内 容 豊 富 で緻 密 な労 働 過 程 分 析 に よ っ て 明 らか に した 近 年 の労 作 で あ る,H.Bra>erm叫
LaboraadMonopoly(姻'若
αご一TheDegradationげWorkmetheTweノ`だ6疏
α ア
吻ryp
NewYork1974(富
沢 賢 治 訳 『労 働 と独 占 資本 』 岩 波 書 店,1978年)参
36)Werk∫'α
μ∫'θ`加z読,4Jg.1910,5.546.
照。
118(118)第130巻
第1・2号
て必 要 な限 りで一 言 触 れ エ 結 び と した い。
第1に
中 間 親 方 制 の 残 存 に つ い て 。 従 来,こ
れ は ドイ ツ 資 本 主 義 の 特 質 と密
接 に 結 び つ い た も の と し て 捉 え る 傾 向 が 強 か っ た と言 え る の で あ る が,む
機 械 工 業 に お け る 労 働 手 段 の 世 界 史 的 発 展 段 階 に 規 定 さ れ た,い
し ろ,
わば普遍的 に
見 出 さ れ る 統 轄 形 態 の 一 つ で あ った の で あ る 。 レ ー ヴ ェ社 に お け る 内 部 請 負 制
か ら ラ イ ン ・ス タ ッ フ 制 へ の 移 行 を 含 む 工 場 改 革 は,遅
た
「改 革 」 で は な く,そ
れ た も の を 根 強 く残 し
の 道 の 本 家 と言 って よい ア メ リカ 人 の 専 門 家 に 大 き な
.反 響 を 呼 び 起 こす ほ ど の 先 進 的 改 革 だ った の で あ る。
第2の
大 量 生 産 の 問 題 に つ い て 言 え ば,ま
の 部 門 に 属 す るか,す
な わ ち,軍
産 部 門 か で 大 量 生 産 の 適,不
ず は,同
じ機 械 工 業 と 言 っ て も ど
事 都 門 か大 衆 消 費 手段 生 産 部 門 か 生 産 手 段 生
適 が あ る こ とに 注 意 せ ね ば な ら な い37㌔ 前2者
異 な り工 業 用 機 械 設 備 の 多 くは 大 量 生 産 に 不 向 き で あ り,現
在 で も工 作 機 械 生
産 は μ ッ ト生 産 が 支 配 的 で あ る。 こ の 点 を 念 頭 に 置 い て み る と,当
工 作 機 械 工 業 に お い て,一
方 で 注 文 生 産 を 残 しっ っ も,強
と
該 期 ドイ ツ
力 に互 換 性 見 込生 産
を 押 し進 め て い っ た こ と に 注 目 で ぎ る の で あ る 。
第3の
独 占 形 成 問 題 も,第2点
で触 れ た よ うな機 械 製造 工 業 の有 す る多様 性
を 抜 き に ぽ 語 れ な い 。 自家 製 造 の 傾 向 を 根 強 く有 し,ま
た 迂 回 生 産 の頂 点 に 立
つ 生 産 財 生 産 部 門 で あ り,景 気 変 動 の 影 響 を も っ と も 強 く 受 け る 工 作 機 械 工
業38)は 独 占形 成 が 進 み に く い 部 門 で あ る 。 し か し,こ
らず レ ー ヴ ェ 社 は,兵
と,ま
た,ア
さ ら に は,政
どの 歴 史 的,地
器,電
機 製 造 と結 合 し,早
の よ うな 事 情 に もか か わ
くか ら金 融 術 策 を 駆 使 した こ
メ リ カ式 生 産 方 式 導 入 の 先 頭 に 立 ち 先 駆 者 利 益 を 享 受 で き た こ と,
治,経
済,軍
事,交
通 の要 衝 た る ベ ル リ ン に 位 置 して い た こ と な
理 的 に 恵 ま れ た 条 件 の も とで,自
身,機
械 工 業 にお け る コン ツ
ェル ン 形 態 で の 独 占 形 成 の 可 能 性 を 示 し た の で あ る 、 事 実,rは
な ど の 科 学 的 互 換 性 生 産 技 術 の 先 進 的 開 発 が,異
37)中
38)一
村 前 掲 書,206ペ ー ジ参 照 。
寸 木 突昭 『二〔作 機 械 業 界 』教 育 社 新 書,1978年,143-154ペ
め合 い 方式 」
な る企 業 間 で の生 産 の結 合 の
ー ジ参 照 。
レーヴェ社 における工場管理
(119)119
物 質 的 条 件 を提 供 し た の で あ った 。
眠
〔工982,3.25)
〔附 記 〕
本 稿 は,1981年
度 土 地 制 度 史 学 会 秋 季 学 術 大 会 で の 自 由論 題 報 告 に 加 筆 し た
も の で あ る 。 ま た,本
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1961(久
年)と
稿 脱 稿 後.ド
イ ツ 原 価 計 算 の 発 展 に 関 し てG.Dorn,
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醜 名ZZ飢Ko』 翻 解rん羅 η9加1)eutschland,Berlin
保 田 音 二 郎 監 修,平
林喜博訳
『 ドイ ツ 原 価 計 算 の 発 展 』 同 文 館,1967
い う優 れ た 著 作 が あ る の を 知 っ た 。 こ こ に は リ リエ ン タ ー ル の 著 作 の 歴
史 的意 義 が 明瞭 に示 さ れ て い る こ とを付 言 して お きた い 。
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