...

今年の夏は八雲を再発見!

by user

on
Category: Documents
23

views

Report

Comments

Transcript

今年の夏は八雲を再発見!
松江市立図書館だより
今年の夏 は八雲を再発見!
夏と言えば「怪談」。「こわいこわい」と言いなが
分の体験を重ねているものが多くあり、いかに八雲
らもその話に引き込まれ、気づくと八雲の世界にど
が日本人の心と共鳴する感性を持っていたのかを実
っぷりつかって…。まだ、そんな経験のない人も体
感させられました。この夏八雲の
「怪談」
を読んだら、
験済みの人も、今年の夏は「怪談」を読んで、八雲
ぜひチャレンジしてみてください。
の世界に触れてみましょう。
最 後 は、 松 江 歴 史 館 の 夏 休 み 企 画「 小 泉 八 雲
そういうわけで、本を読んで参加するとさらに楽 “KWAIDAN”の世界」
。
「秘密結社鷹の爪」の「吉
しめる、この夏おすすめの3つの
田くん」がプロデュースしたアニ
企画をご紹介します。
メは、まだここでしか観られない
はつ ひ ろう
まず1つは、平成20年にスター
初 披 露 の作品のようです。素材は
「雪おんな」
「耳なし芳一」など6
トした「松江ゴーストツアー」
。八
作品。ほかにも「秘密結社鷹の爪」
雲が再話した松江の怪談ゆかりの
のアジトの再現やお化け屋敷、八
地を訪ね、体感してみるこのツア
雲初版本(当図書館所蔵)の展示
ーは、今年5月までに180回を数
など内容は盛りだくさんで、大人
え、参加者数は延べ2,947人に及ぶ
から子どもまで楽しめる企画で
そうです。県外からの参加者が約
す。
7割。地元だと身近すぎて見落と
来年は八雲没後110年を迎える
してしまいがちな、八雲が感じた
ことから、ギリシャでのシンポジ
松江の魅力を再発見、再認識でき
ウムや「日本の面影」の舞台公演、
ると思います。かくいう私も未体
ひ
小泉八雲記念館の改修も予定され
験。「今年の夏こそは!」と、心惹
かれるツアーです。
ている模様。これからますます八
2つ目は、「小泉八雲をよむ」感 平成24年度「小泉八雲をよむ」表紙
雲から目が離せなくなりそうで
(松江市・松江市教育委員会・八雲会)発行より
想文、作詞・詩コンクール。歴史
す。
は古く、昭和61年に始まり今年で
28回目になります。昨年の応募総数は94点で、なか
上記企画の詳細は、松江市ホームページなどでご覧いただけます。
なかの力作揃い。ある県外の小学校ではクラスまと
まっての応募があり、「ヘルンさんもうれしいで賞」
松江市立中央図書館長
を受賞されました。感想文には八雲の作品の中に自
編集・発行/松江市立中央図書館
〒690−0017 松江市西津田六丁目5−44
☎(0852)27 −3220
CHIDORI
3124 ༃ ǓॢĆ‫ݤ‬ਖ
No.92
https://www.lib-citymatsue.jp/
E-mail : [email protected]
吉田紀子
図書館からのお知らせ
中央図書館
島根図書館
なつやすみ
こどものつどい
とき
7月 28 日(日)
ところ
総合文化センター
たなばた会
とき
8月1日(木)
10:00 ∼ 11:30
ところ
14:00 ∼ 15:30
中央図書館内にブッ
クカートを用意しま
した。本を探すとき、
選ぶときに便利です。
ご自由にお使いくだ
さい。
島根公民館内
ミニコンサート・
工作 ほか
(プラバホール)
大会議室
おはなし こうさく / つくってあそぼう
島根図書館 松江市島根町加賀1414番地(島根公民館併設)
TEL(0852)85-9088 E-mail:[email protected]
印刷:今井印刷株式会社
東出雲図書館 松江市東出雲町揖屋1139番地2
(東出雲ふれあい会館内)
TEL(0852)52-3297 E-mail:[email protected]
内 容
表 紙 「怪談」「骨董」初版本・月照寺の大亀
見開き 小泉八雲と怪談〜こわい話・ふしぎな話〜
裏表紙 郷土の栞『今年の夏は八雲を再発見!』
図書館からのお知らせ
小泉八雲 と 怪 談
小 泉 八 雲 1850年∼ 1904年
小泉八雲ことラフカディオ・ハーンが日本の神話の大き
な舞台になっている出雲の地(島根県松江市)に来たの
は明治23年8月。今から約120年前でした。松江中学校
て、1年2カ月あまりを松江で過ごしま
の英語の先生として、1年2カ月あまりを松江で過ごしま
本・神戸・東京と移り住みました。八
した。その後、熊本・神戸・東京と移り住みました。八
小 泉 セ ツ 1868年∼ 1932年
松江藩士の家
家に
松江藩士の家に
∼ こわい話・ふしぎな話 ∼
生 ま れ た セツ
ツ は、
八 雲と出 会 い 結
小泉八雲は日本の古い伝統や文化を愛し、素朴で思いやりにあふれた心
素朴で思いやりにあふれた心
を持つ日本人を愛しました。そして、当時まだよく知られていなかった日
まだよく知られていなかった日
本と日本人を、彼の作品を通して世界中の人に知らせてくれました。なか
でも、日本の伝説や昔話をもとにして書いた『怪談』は、今なお多くの人
に読みつがれています。いろいろな妖怪や幽霊のでてくるお話です。この
夏、みなさんも読んでみませんか。
婚
婚。教育者・作
作家
婚。教育者・作家
としての八雲を
を支
としての八雲を支
えてあたたかい
い家
えてあたたかい家
庭をつくり、四
四人
の子をもうけま
まし
の子をもうけまし
とそれを生み出してきた日本人の心を
雲は、日本の文化とそれを生み出してきた日本人の心を
た。幼 いころか
から
いころから
作品
しっかり見つめて作品
昔話や物語が好
好き
昔話や物語が好き
代表的な作品
雲」
に著しました。
「八雲」
とい う名 も「古 事 記」
耳なし芳一の話 「怪談」
書物
という日本の古い書物
だったセツは、
周りの人々から聞いた話を八雲に
だったセツは、周りの人々から聞いた話を八雲に
語りました。八
八雲の作品(『怪談』)つくりの大き
語りました。八雲の作品(
な協力者でもありました。
び わ ほう し
法師だった。
盲目の芳一は、平家の語りが得意な琵琶法師だった。
に 出 て い る和 歌 から
か平家の亡
しかし、あまりにも上手に語るため、いつしか平家の亡
とったものです。
おしょう
和尚が亡霊
霊にとりつかれてしまう。これを知った寺の和尚が亡霊
る。しかし、
から身をかくすため全身にお経を書いてやる。しかし、
怪談を語る時 の
セツと八雲の 様 子
なし芳一」
耳だけ書き忘れたため耳を引きちぎられ「耳なし芳一」
となってしまった。
松江・鳥取にちなむ話
水あめを買う女 「日本瞥見記 上(神々の国の首都)」
に ほんべっけんき
ある女がまだ冷たくならないうちにほうむられ、墓の中で子ども
を産んでしまい、幽霊となってその子を育てるために毎晩あめを買
だいおうじ
ろくろ首 「怪談」
私が昔話しをヘルンに致します時には、いつも始めにその
私が昔話しをヘルンに致します時には、いつも始めにその
かいりゅう
回竜という僧は旅の途中で木こりに出会う。実はこの
実はこの
話しの筋をザツト申します 面白いとなると その筋を書いて
話しの筋をザツト申します。面白いとなると、その筋を書いて
く
・・・
木こりは、ろくろ首で回竜を喰い殺そうとして・
置きます。それから委しく話せと申します。それから幾度とな
むじな 「怪談」
雪おんな
く話させます。私が本を見ながら
江戸(今の東京)紀の国坂での出来ごと。ある夜、声をかけた女の顔は目も鼻も口
話しますと「本を見る、いけませ
いに行く、中原町の大雄寺にまつわる話。
した商人は・・・
もない「のっぺらぼう」だった。驚いて逃げ出した商人は・
ん。ただあなたの話し、あなたの
小豆とぎ橋 「日本瞥見記 上(神々の国の首都)」
雪おんな 「怪談」
けません」と申します故、自分の
み の きち
お寺の近くの橋の下で、女の幽霊が夜な夜な小豆を洗っていた。
吹雪の夜、巳之吉の前にあらわれた美しい雪女。雪女
この幽霊は「かきつばたの歌」を聞くとたいへんおこるそうで、うたっ
は「今夜のことを誰にも話してはいけない」という約束
た者はおそろしいわざわいにあうといわれていた。ある侍が橋の上
をして去って行った。その後、巳之吉の妻になったお雪
で「かきつばたの歌」をうたって家に帰ると、わが子がころされて
はあの日の雪女にどこか似ていて・・・
いたという、北田町の普門院にまつわる話。
絵:「妖魔詩話」(小泉一雄 編 小山書店発行)より
ふもんいん
鳥取の布団 「日本瞥見記 下(日本海に沿うて)」
言葉、あなたの考でなければ、い
ものにして仕舞つて居なければな
りませんから、夢にまで見るやう
になつて参りました。
ろくろ首
「思ひ出の記」より抜粋
(小泉節子 著 ヒヨコ舎発行)
あに
ある宿屋のかけ布団から「兄さん、寒かろう」
「おまえ、寒かろう」
と何度も声が聞こえる。宿主が布団のことを調べると、親を亡くし
た幼い兄弟が、最後の布団を取り上げられ、大雪の中に追い出され
て亡くなってしまったことを知る。兄弟のために布団を寺に持ってい
く よう
き供養してもらうと、その後、布団から声はしなくなったという話。
その他に、子捨ての話「日本瞥見記 下」
(日本海に沿うて)
こっとう
や幽霊滝の伝説「骨董」(古い物語)もあります。
幽霊の体験をもつ八雲
妖精の国アイルランドで幼い時期を過ごした八雲は、乳母からたくさんの妖精の話
や怪談を聞いて育ちました。また、小さいときに一人で寝させられた部屋に毎夜のよ
うに幽霊が現れ、一生忘れられぬほどの苦しくこわい体験をしたことや、のっぺらぼう
を見たおそろしい体験などを書いています。これらの体験は、後に日本の怪談に深い
関心をいだき、『怪談』を著したことにつながるものがあるかもしれません。
資料の紹介
松江の七ふしぎ(新・日本児童文学選21) 平井呈一 訳
怪談(ふしぎな話)
白木 茂 訳
怪談 小泉八雲のこわ∼い話 ①∼⑩
高村忠範 絵・文
怪談(日本の文学15)
平井呈一 訳
怪談(ポプラ社文庫)
山本和夫 訳
怪談ほか(青い鳥文庫)
保永貞夫ほか 訳
思ひ出の記
小泉節子 著
日本瞥見記 上・下
平井呈一 訳
怪談・骨董他
平井呈一 訳
偕成社
旺文社
汐文社
金の星社
ポプラ社
講談社
ヒヨコ舎
恒文社
恒文社
Fly UP